第662回兵庫地方最低賃金審議会議事録 

日時  令和5年7月31日(月)   9時31分~10時52分
場所 兵庫労働局16階 第3共用会議室
出席者 公益委員  梅野会長、坂本委員、桜間委員、千田委員
労働者委員 岩﨑委員、小西委員、檀上委員、堀井委員、森田委員
使用者委員 瀬川委員、松岡委員、松下委員、𠮷川委員
事務局 金刺労働局長、木下労働基準部長、田中賃金室長、飯田賃金指導官、山中労働基準監督官
議題
(1)地域別最低賃金の目安に係る中央最低賃金審議会の答申について
(2)最低賃金実態調査結果について
(3)意見陳述について
(4)その他
議事録 梅野会長
ただ今から第662回の兵庫地方最低賃金審議会を開会いたします。
本日の会議について、事務局から報告をお願いします。
飯田賃金指導官
本日は、山口委員、倉本委員が御欠席です。
また、坂本委員が遅れられておりますが、最低賃金審議会令第5条第2項の規定による定足数を充足しておりますことを御報告させていただきます。
審議に入ります前に、傍聴者の方々には、受付でお渡ししております遵守事項に記載してある注意事項に、御留意いただきますようお願いします。
それでは、審議に入ります前に、兵庫労働局長より、御挨拶を申し上げます。
金刺労働局長
本日も暑い中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。
本年度の最低賃金額改定の目安につきまして、7月28日に中央最低賃金審議会において、答申が取りまとめられました。
内容につきましては、この後事務局より御説明いたしますが、引上げの目安額は、過去最高のBランク40円として、とりまとめられたものでございます。
兵庫においては、これから最低賃金の改正審議が進められていきますが、公労使三者が、それぞれの立場や考え方の違いはありましても、審議において、真摯に議論を積み重ねて、全会一致へ向けての御努力をいただきますようよろしくお願いいたします。
田中賃金室長
ここで、一言だけ状況について、説明をさせていただきます。
本日中に中央の方から藤村会長が、委員の皆様方にビデオメッセージを届けると聞いているところでございますが、現時点でまだ我々の手元には届いておりません。
おそらく本日の夕方ぐらいに来るのかなというところでございまして、残念ながら、本審でビデオメッセージの方はお伝えできないという状況でございます。
次回8月2日に予定しております専門部会の冒頭にでもビデオメッセージが流せればと考えているところでございます。
以上です。
飯田賃金指導官
それでは、この後会長より議事進行をお願いいたします。
梅野会長
本日の議題は、
(1)地域別最低賃金の目安に係る中央最低賃金審議会の答申について
(2)最低賃金実態調査結果について
(3)意見陳述について
(4)その他
となっています。
では、最初の議題(1)「地域別最低賃金の目安に係る中央最低賃金審議会の答申について」です。
事務局から説明をお願いいたします。
田中賃金室長
すでに新聞とかテレビなどで中央での目安の結果につきましては、御承知かなというところではございますが、その答申内容につきまして、簡単に説明をさせていただきます。
皆様のお手元の資料No.1、これが答申の全文になりますので、これに沿って説明をさせていただきます。
地域別最低賃金につきましては、各地方最低賃金審議会の審議を経て、都道府県労働局長が決定をするということになってございますが、昭和53年より地域別最低賃金の全国的整合性を図るといったことを理由に中央最低賃金審議会におきまして、毎年地域別最低賃金改定の目安を設定しまして、地方最低賃金審議会に提示をするということとされているところでございます。
その目安の位置付けとしましては、地域別最低賃金の審議の参考として示すものであって、これに拘束されるというものではないとされているところでございます。
本年につきましては、3ランク制に変更されてございます。
これを踏まえまして、先日の7月28日付け「令和5年度地域別最低賃金改定の目安について(答申)」の内容について、確認をさせていただきたいと思います。
資料No.1の1面目、こちらが答申文の全文になります。
説明ということで読み上げをさせていただきます。
令和5年7月28日
厚生労働大臣 加藤 勝信 殿
中央最低賃金審議会 会長 藤村 博之
令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)
令和5年6月30日に諮問のあった令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について、下記のとおり答申する。
1 令和5年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった。
2 地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会に提示するものとする。
3 地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会において、別紙1の2に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待するものである。
4 中小企業・小規模事業者が継続的に賃上げしやすい環境整備の必要性については労使共通の認識であり、政府の掲げる「成長と分配の好循環」と「賃金と物価の好循環」を実現するためにも、特に地方、中小企業・小規模事業者に配意しつつ、生産性向上を図るとともに、官公需における対応や、価格転嫁対策を徹底し、賃上げの原資の確保につなげる取組を継続的に実施するよう政府に対し要望する。
5 生産性向上の支援については、可能な限り多くの企業が各種の助成金等を受給し、賃上げを実現できるように、政府の掲げる生産性向上等への 支援の一層の強化を求める。
特に、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げ、生産性向上に取り組んだ場合に支給される業務改善助成金については、対象となる事業場を拡大するとともに、最低賃金引上げの影響を強く受ける小規模事業者が活用しやすくなるよう、より一層の実効性のある支援の拡充に加え、最低賃金が相対的に低い地域における重点的な支援の拡充を強く要望する。
さらに、中小企業・小規模事業者において、業務改善助成金の活用を推進するための周知等の徹底を要望する。
6 中小企業・小規模事業者の賃上げ実現に向けて、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇、ものづくり補助金、事業再構築補助金等を通じた生産性向上等への支援の一層の強化に取り組むことが必要である。
その際、赤字法人においても賃上げを促進するため、課題を整理した上で、税制を含めて更なる施策を検討することも必要である。
さらに、中小企業・小規模事業者がこれらの施策を一層活用できるよう、周知等の徹底を要望する。
7 価格転嫁対策については、「中小企業・小規模事業者の賃上げには労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化が不可欠である」という考え方を社会全体で共有し、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月)・「改正振興基準」(令和4年7月)に基づき、中小企業・小規模事業者が賃上げの原資を確保できるよう、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の適切な転嫁に向けた取組の強化を要望する。
また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
となって、ございます。
以上が答申文の全文でございます。
答申文にございます別紙1、こちらにAランクからCランクまでの引上げ額の目安金額が示されているところでございます。
本年度につきましては、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円、兵庫のBランクにつきましては、40円ということが示されております。
続きまして、その下の項目2ですが、こちらに公益の見解をまとめるに当たって、最低賃金法第9条第2項の3要素、つまり労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払能力など検討内容が記載されてございます。
ア 賃金 こちらについては、かいつまんで、申し上げますと、春季賃上げ妥結状況における賃金上昇率は、連合第7回最終集計においては、全体で3.58%、中小でも3.23%となっており、30年ぶりの高い水準となっているとなってございます。
また、経団連の方の春季労使交渉月例賃金引上げ結果におきましても、大手企業は3.91%、中小企業でも2.94%となっている状況にございます。
賃金改定状況調査の結果につきましては、第4表のところでございますが、平成14年以降第4表①②における賃金上昇率につきましては、今年度初めて全てのランクにおいて、2%以上という結果でございます。
このように賃金上昇については、非常に大きな数字が出ているということでございます。
イ 通常の事業の賃金支払能力、こちらについては、各種統計資料に基づいて、議論を行ってきたとなってございます。
中でも、昨年から改善が見込まれているという言葉であるとか、宿泊業、飲食サービス業につきましても、大幅に改善をしているといった記載がございます。
しかしながら、中小企業・小規模事業者におきましては、賃上げの原資を確保するためにも、一層重要性が増している価格転嫁については、いまだに不十分な状況にあるといった記載もございます。
この中で、賃上げ原資を確保することが難しいといった企業も多く存在するとなってございます。
ウ 労働者の生計費、こちらについては、少し読ませていただきます。
労働者の生計費については、関連する指標である消費者物価指数を見ると、昨年の改定後の最低賃金額が発効した10月から今年6月までの「持ち家の帰属家賃を除く総合」におきまして、対前年同期比は4.3%と全国加重平均の最低賃金の引上げ率3.3%を上回る水準となってきたということでございます。
直近の月次を見ましても、対前年同月比で今年4月に4.1%、5月に3.8%、6月に3.9%となっており、昨年10月から今年1月にかけまして、上昇幅が縮小傾向にはあるが、引き続き高い水準であるという記載がございます。
以上を受けまして、エとしまして、各ランクの引上げの目安についての記載がございます。
まず、一つ目に挙げた賃金については、高い水準になっているということ。
二つ目の賃金の通常の事業の賃金支払能力につきましては、コスト上昇分が転嫁できたといった企業の割合が増加している一方、全く転嫁できないといった記載も多く書かれており、難しい企業も多く存在するとなってございます。
三つ目の労働者の生計費に関しましては、継続的に消費者物価の高騰がみられる状況であることから、昨年の改定後の最低賃金額が発効した10月から今年6月までの消費者物価指数の対前年同期比が4.3%、昨年度の全国加重平均の最低賃金の引上げ額の3.3%を上回る高い伸びであったことも踏まえることは、今年度は適当と考えられるとございます。
こういったことを総合的に勘案し、今年度の各ランクの引上げ額の目安を検討するに当たっては、先ほど申し上げた4.3%を基準として検討することが適当であると書かれております。
一方で、今年1月から6月の消費者物価の上昇率については、Aランクがやや高めに推移をしている。雇用情勢としては、B・Cランクで相対的に良い状態であることなどを考慮すると、各ランク間で大きな差異があるとは言い難い。
しかしながら、地域別最低賃金が相対的に低い地域における負担増にも一定の配慮が必要であるということから、Aランク、Bランク、Cランクについては、1円差が適当であると書かれてございます。
以上を受けまして、今回の別紙1で示された金額が導き出されたと書いてございます。
以上が公益委員見解の要素の検討状況について、記載されているところでございます。
さらに、その下に、政府への要望でありますとか地域最低賃金審議会への期待について、記載されております。
さらに、その後ろにその元となった参考資料として、各種データが載ってございます。
別紙2につきましては、中央最低賃金審議会の目安に関する小委員会の報告でございますが、それぞれその背景となった労働者側の見解、使用者側の見解といったことが記載されているものでございます。
簡単ではございますが、私の方から以上でございます。
梅野会長
ただ今の説明について、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
松岡委員
今の御説明の内容は紙上とかで我々が見ることができるものになるかと思うのですが、これは厚生労働省から一般に発表されているものであって、審議会委員に伝達がされているというわけではないと理解して、よろしいでしょうか。
田中賃金室長
この場で伝達をさせていただいたということでございます。
松岡委員
今の御説明が伝達と考えたらよろしいですか。
田中賃金室長
そうです。
松岡委員
はい、分かりました。ありがとうございます。
梅野会長
それでは、次の議題(2)「最低賃金実態調査結果について」に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
田中賃金室長
引き続きでございますが、私から、目安小委員会の資料の中に使われたものを含めまして、賃金改定状況調査結果、並びに最低賃金と生活保護との乖離の結果について説明をさせていただきます。
資料No.2と資料No.3のところでございます。
資料No.2のところ、横になった表ですが、これは中央の目安小委員会の方で使われた資料で、めくっていただきますと、全国各都道府県の生活保護額との差が確保されているといったことを示した資料でございます。
さらにめくっていただくと、一覧表がございまして、その先に兵庫労働局の確認の資料を入れているところでございます。
まず、最低賃金につきましては、生活保護水準より下回ることがないようにということで確認が求められているところでございまして、資料No.2のとおりで、乖離は生じていないということでございます。
簡単に説明しますと、兵庫局の場合、「生活保護と最低賃金の比較(令和5年)」と書いた文書で、細かい数字がいっぱい出ていますが、赤字のところなどを中心に見ていただければと思います。
直近の生活保護をチェックするにあたりまして、令和3年のデータを使うということで、これは中央の方から指示をされた計算方式がございまして、それに沿って計算をしております。
それで、そこから、導き出された生活保護額というものがCの欄にございます107,808円、これが導き出された数値ということでございます。
それと次にD、これが一昨年の最低賃金から計算されたものでございまして、それでFのところで計算をしていくと、1時間当たり168円、昨年度の段階で昨年さらに32円引上げがあったということで、この差が広がって、200円という数字が出ているということです。
戻っていただいて、県別の小委員会の資料の3ページの兵庫というところを見ていただくと、一番左の列に△168というのがあって、それで32円引き上がって、それで△200が出ているというようなここの数字がこの後ろの資料から導き出されたということでございます。
結論としまして、現行の最低賃金が、時間当たり200円生活保護水準より上回っている状況が確認されているという資料でございます。
続きまして、賃金改定状況調査ですが、資料No.3でございます。
そちらを御覧ください。
右上に資料1となっているのは、中央の方の資料番号でございますので、我々の方は資料No.3ということでございます。
中央で調べております賃金の改定状況調査につきましては、30人未満規模の事業場で令和4年6月と令和5年6月を調査対象といたしまして、どのぐらい改定があったのか、賃金の上昇率について、全国の約16,000社を対象に確認しているということでございます。
兵庫につきましては、Bランクでございまして、兵庫が含まれる実態値については、このBというところを見ていただければということでございます。
めくっていただきまして、非常に数字が小さいので、また後でじっくり見ていただければと思いますが、足早に説明をさせていただきます。
第4表①こちらは一般労働者及びパート労働者の賃金上昇率を示した表でございます。
ABCのランクごとに令和4年と令和5年の賃金上昇率について、記載しております。
一番上の男女計産業計のところですが、Aランクは2.3でございます。
昨年が1.4、Bランクについては、2.0、昨年が1.4、Cランクについては、2.1、昨年が2.0だった。計については、2.1、昨年は1.5となってございます。
これらの状況につきましては、先ほど中賃の目安の中にも出てきておりましたが、最低賃金が時間額のみで表示されるようになった平成14年度以降については、昨年最大水準だったものがさらに上回る水準になっているということでございます。
この第4表①については、1時間当たりの額の男女計別賃金上昇率の下にこの男女別の賃金上昇率が出ております。
また、次のページの第4表②は一般とパート労働者別の賃金上昇率について、さらに次のページは、第4表③ですが、一般とパート労働者別の賃金上昇率が書いてございます。
また、さらに令和4年6月と令和5年6月の両方に在籍していた者のみの対象に集計についても、資料がABCランクごとに書かれているような状況でございます。
賃金改定状況調査については、非常に見難いものでございますが、以上でございます。
続きまして、兵庫労働局で行っております基礎調査結果については、この後、山中の方から説明をさせていただきます。
山中労働基準監督官
賃金室の山中でございます。
基礎調査の結果について、私の方から説明をさせていただきます。
資料No.4を御覧ください。
まず、1ページです。
基礎調査の目的は、最低賃金審議会における最低賃金決定又は改正のための審議資料に資するため、労働者の賃金分布を把握することによって、特に低賃金労働者の賃金実態を明らかにするため、統計法に基づく一般統計調査として実施するものです。
調査の範囲、調査事項につきましてはⅡのとおりとなっております。
兵庫局では、本年、兵庫県最低賃金対象1,409事業所、特定最低賃金対象1,582事業所の合計2,991事業所に調査票を郵送、調査を実施しました。
集計において、事業所の労働者数を1から9人規模を規模1、10から29人規模を規模2、30から99人規模を規模3とし、また、事業所の所在地を阪神、播磨、県北・淡路の3地域に区分して、集計しております。
集計結果については、5ページの方に載ってございます。
その次の6ページから9ページまでは、集計結果を地域別最低賃金適用産業について労働者規模、地域別に区分して、特性値を一覧で示したものになります。
特性値とは数値分布の特性を示す数値でございます。
詳しい説明については、10ページ目を御覧ください。
10ページに、図とともに説明を記載しているのですが、ここで用いている第1・二十分位数、第1・四分位数、中位数とは低いものから高いものへと順に並べて等分したときの区切りの値となります。 すなわち第1・二十分位数とは数値を低いものから並べて20分の1に当たる下位5パーセントの順位に該当する数値ということになります。
6ページに戻ってください。
こちらの表が地域別最低賃金全産業の特性値となっておりまして、全数では第1・二十分位数、第1・十分位数がともに960円、第1・四分位数が1,000円、中位数が1,200円となっており、前年度との対比では第1・二十分位数、第1・十分位数、第1・四分位数については、いずれも3%程度増加ということになっております。
中位数については横ばいとなっております。
引き続き、11ページの方になるのですが、こちらが集計全数に係る特性値の推移を表とグラフにしたものになります。
11ページの下段に未満率と影響率を表とグラフにして、記載しております。
ここにある未満率とは現在設定されている兵庫県最低賃金960円を下回っている労働者の割合、影響率とは最低賃金額を改定した場合、その改定後の最低賃金額を下回る労働者の割合をいいます。
今年度調査における現在の地域別最低賃金960円に対する未満率は2.2パーセントとなっております。
12ページは阪神地域の特性値を100として播磨、県北・淡路地域の特性値を比較して地域間格差を表したものになります。
13ページ以降は地域別最低賃金適用産業の基礎調査結果の総括表になっております。
総括表(1)については、規模別・地域別・年齢別のもの、総括表(2)については、男女別のものになっております。
続きまして、19ページの方は、地域別最低賃金適用全産業総括表から算出した最低賃金引上げ額・率と影響率の関係表になっております。
現在の地域別最低賃金960円を1円から50円の範囲で引き上げた場合に対応する影響率が示されているものとなります。
関係表を見ていただきますと、例えば、1円引き上げたとした場合に影響率が13.92%、10円引き上げられた場合は影響率が14.91%という見方をしていただければと思います。
続きまして、1枚めくっていただいて、21ページ、22ページは時間額に対応する該当労働者、また当該労働者の累積度数の分布グラフになります。
グラフを見ていただきますと、現行最低賃金額960円、あと時間額1,000円に該当する労働者のところに一定数の労働者がいることが認められると思います。
戻っていただいて、この表と対比しまして、19ページの関係表にて1,000円のところで影響率が大きく変わっているところがあると思うのですが、そういった形で労働者の分布と影響率に相関性があるということがここから認められるということになっております。
私からは以上です。
梅野会長
ただ今の説明について、何か御質問、御意見等はございませんでしょうか。
各委員 (特になし)
梅野会長
この調査結果の捉え方につきましては、それぞれの委員のお考えがあると思います。
結果として、出た数値については、毎年金額審議の上での判断材料となります。
労使双方、この結果をよく御検討いただけたら、幸いです。
では次に、議題(3)「意見陳述について」に移ります。
事務局から説明をお願いいたします。
田中賃金室長
兵庫県最低賃金の改定決定に係る関係労使の意見聴取につきましては、7月18日まで公示を行わせていただきまして、全日本建設交通一般労働組合兵庫合同支部、兵庫県労働組合総連合、自立労働組合連合不二家神戸労働組合、兵庫県パート・ユニオンネットワークの4団体から意見書の提出がなされております。
いずれの団体からも口頭による意見陳述の希望がございましたので、本日来ていただいているところでございます。
各団体の意見書につきましては、本日の皆様の資料のNo.5、No.6、No.7、No.8と、説明順に資料をつけてございますので、また見ておいてください。
また、この後意見陳述を具体的にいただくわけですが、7月25日兵庫県労働組合総連合、国民春闘兵庫県共闘委員会の方から、「兵庫地方の最低賃金を直ちに、1,000円以上に、1,500円に引き上げ、中小企業支援の拡充、地域間格差の解消、全国一律最低賃金制度を求める要請書」として合計1,718筆の個人署名が、兵庫労働局長並びに兵庫地方最低賃金審議会会長あてに提出されてございます。
また、7月27日にも尼崎労連の方から、同様の要請書でございますが、合計3,364筆の個人署名が兵庫労働局長並びに兵庫地方最低賃金審議会会長あてに提出されておりますことを併せて御報告させていただきます。
それの資料につきましては、後ろの資料の中に入ってございます。
意見陳述の準備を今からさせていただきますが、順番につきましては、全日本建設交通一般労働組合兵庫合同支部、続きまして、兵庫県労働組合総連合、続きまして、自立労働組合連合不二家神戸労働組合、最後が兵庫県パート・ユニオンネットワークの順とさせていただきます。
意見陳述につきましては、おおむね10分以内の説明をいただきまして、その後意見交換を含めまして、合わせて15分以内でお願いをしております。
それでは、今から準備をさせていただきます。
少しお待ちください。
 
(事務局側で準備)
梅野会長
それでは、最初の方をお呼び下さい。
飯田賃金指導官
はい、それでは、最初の方を御紹介いたします。
全日本建設交通一般労働組合兵庫合同支部の津村様です。
梅野会長
当審議会長を務めております梅野と申します。
本日はありがとうございます。
早速ですが、提出された意見書に基づき、10分以内での意見陳述をお願いいたします。
意見陳述人
全日本建設交通一般労働組合兵庫合同支部書記長の津村です。
今日は貴重な時間をありがとうございます。
まず、政府が「基本方針2023」で示した方針は今年は全国加重平均1,000円の達成を含め、しっかりと議論を行う。
また地域間格差は地域別最低賃金の最高額に達する最低額の比率を引き上げるなど地域間格差の是正を図るとしています。
そこで、兵庫県最低賃金審議会へ私ども建交労兵庫合同支部は兵庫労連が掲げる最低賃金を全国一律1,500円以上に大幅に引き上げていただきたい。
そして、格差を解消して、全国一律にすることを求めますので、しっかりとした議論をよろしくお願いします。
私ども主力のトラック産業では、2003年4月1日物流二法の改正が行われ、営業区域規制の廃止により、一路運行の最大時間が144時間となり、営業範囲が全国に拡大しました。
その結果、地方のトラック運転者が東京などで働いても地方の最低賃金が適用されるという矛盾が生じています。
唯一確立されたトラック産業の特定最賃は2007年に高知県で発効され、これは910円という当時の地域別最賃が全国加重平均で当時687円、東京では最賃が739円からみても、大いに評価できるものでした。
しかしながら、その後1円たりとも上がっていないまま、現在の地域別最賃の全国平均を大きく下回る結果となっています。
その上でも、全国一律最賃制への転換は不可欠と考えております。
このことをやはり国に強く求めていただきたい。
当然に最低賃金の引上げに伴う中小・零細企業への支援策を国に意見をしていただきたい。
最後になりますけれども、より開かれた審議会とするため、審議会や専門部会の全面公開と審議会、専門部会委員への公正な選任を求めるとともに口頭での意見陳述の機会や傍聴人数を拡充することを求めます。
以上です。
梅野会長
ありがとうございます。
ただ今の全日本建設交通一般労働組合兵庫合同支部からの意見陳述につきまして、お尋ねしたいことがございましたら、どうぞお出しください。
堀井委員
ありがとうございます。
発地着地で賃金が違うから問題だと御指摘されているのですが、元々トラック業界の賃金の決定は出発地が基準なのですか。
どちらが基準になるのですか。
意見陳述人
出発地ですね。
当然自分がいるところ、所在地です。
例えば、九州だったら九州が基準になります。
いくら東京で6~7日間いても、出発地が鹿児島だったら、鹿児島の最低賃金が適用されるということになっているのが問題だということです。
堀井委員
生活は九州でされているのですよね。
意見陳述人
そうです。
梅野会長
ほかいかがですか。
各委員
(特になし)
梅野会長
それではこれで終わります。
ありがとうございました。
それでは、次の方お願いいたします。
飯田賃金指導官
それでは、次の方を御紹介いたします。
兵庫県労働組合総連合の中村様です。
梅野会長
審議会長の梅野です。
ありがとうございます。
早速ですが、提出された意見書で10分以内での意見陳述をお願いいたします。
意見陳述人
兵庫労連で副議長をしています中村といいます。
よろしくお願いします。
私どもの意見書を見ていただいたら、良いのですが、主にはこれまでと違うのはこれまでは1,000円をすぐに超えてくれ、それの後1,500円を目指してくれということになっていましたが、その間の物価高騰がありますし、2010年の政労使合意で、10年後には1,000円と言っていた年はすでに過ぎていて、現在では私たちもこの地域で生活するのに調査をした結果、1,500円から1,600円くらいは必要だという生計費調査もありますし、全国的には1,500円以上必要だという生計費調査を全労連としては行っています。
そのほかの結果も踏まえて、今年は直ちに1.500円に引き上げてくれという要請になっています。
今回の中央の答申の中にもあるのですが、最低賃金法によりますと、第9条で地域における労働者の生計費と賃金と通常の事業の賃金支払能力という3つを考慮して、審議をするということになっていますが、私たちとしては労働者の生計費というのが一番重きを置かれるものだと思います。
その生計費自身が1,500円以上いるという全国での調査結果を踏まえて、審議していただきたい。
中央の今回の答申を見させていただくと、中小企業・小規模事業者という文言が6回も7回も出てくる。
そこを支えることがこの最低賃金を大幅に上げるためには絶対必要だということはこれまで中央でもこちらの審議会でも答申の中で厚生労働省の方に挙げていただいている。
去年は特に政府に要望するというような項目になっていたと思います。
そういうことで、ずっとこの間政府の動きとか厚生労働省の動きとかを見ていきましても、厚生労働省としては業務改善助成金に頼り切っているように見えます。
そのほかの政策は特に中小企業支援という面では感じられないと思いますので、それについて、まず厚生労働省の方にもう1回尋ねてみる必要があるのではないか。
ぜひお願いしたいと思います。
それから、全国一律といっている根拠としては、先ほど言いましたように全国の生計費調査ではほぼ変わらない1,500円以上という結果が全労連としては出していますので、ぜひそのことについても、求めていっていただきたい。
審議会の持ち方というか、より開かれた審議会という項目も入れていますが、それについては徐々にではありますが、公開される審議会が増えてきて、専門部会も今後最初だけではなく、途中も公開されると聞いています。
しかし、専門部会については、今年の委員が全員男性だという結果を見ました。
私たちとしては、審議会の委員に、女性2名と男性1名推薦して全員落ちましたが、ぜひ女性比率、特に女性・男性の賃金格差がひどいといわれている日本でこの最低賃金の近くに女性がいっぱいいる状態の日本の中での審議会はやはりその辺のこともきちんと考えた審議をしていただきたいと思います。
以上です。
梅野会長
ありがとうございます。
ただ今の意見陳述につきまして、何かお尋ねしたいことはございますでしょうか。
各委員
(特になし)
梅野会長
ないようですので、これで終わります。
ありがとうございました。
次の方、お願いいたします。
飯田賃金指導官
それでは、次の方を紹介いたします。
自立労働組合連合不二家神戸労働組合の藤原様です。
梅野会長
審議会長の梅野です。
ありがとうございます。
早速ですが、この陳述資料に基づいて、意見陳述をお願いします。
意見陳述人
それでは意見陳述させていただきます。
例年同じような内容で出させていただいているので、大体の内容は分っていただいている方も多いかなとは思うのですけれども、意見書としては、1ページ目に2項目書かせていただいています。
読み上げておきます。
1.兵庫県最低賃金を「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことができる賃金、「労働者の生活の安定、労働力の質的向上」に値する最低賃金に引き上げること。
そのために、時間給を1,500円以上にすること。
2.時間給1,500円以上にするために、必要と思われる政策についての建議を行うこと。
この2点が中心的な意見ということです。
その上で、それを説明するために資料を付けさせていただいています。
目次の方を見ていただいたら、良いのですが、大きくは3つの領域で意見を述べさせていただいています。
「引き上げ額の議論の前に」ということが1点目、2点目が「額の議論にあたって」、3点目が「建議のために」ということです。
3ページ目の方に「はじめに」ということで書かせていただいています。
昨年までは、意見書で時間給1,500円を目指し、1,200円以上にすることとしていたのですけれども、物価高騰、国際的な最低賃金の引上げ動向、そして何よりも「健康で文化的な最低限度の生活」という観点から、今年は「1,500円以上」ということにさせていただいています。
このページで資料を4点紹介させていただいています。
一つは日弁連、一つは兵庫県弁護士会、あと毎日新聞と朝日新聞の社説です。
これらは私たちの意見と重なる部分が多いので、簡潔にまとめられているもので、ぜひ読んでいただければと思っています。
兵庫県の弁護士会の意見については、少し触れているのですが、今年は「中小企業への十分な支援を直ちに」という表現になっているということで、私たちもやはりそういうことは必要だと思っているということです。
4ページ目ですけれども、毎年お願いしていることは最低賃金を意識して生活してくださいということです。
やはり年収200万円前後のワーキングプアといわれる人の生活と年収400万~500万、あるいは1,000万の人とでは、生活で受け止められるものが全然違うと思っているわけです。
やはり最低賃金を意識して生活していただければ、とりわけ例えば労働局長に最低賃金を意識して、生活していただければ、多分10月にもし改定されたとしても、10月にはもう一度再改定を求める審議の要請というものは労働局長からされるだろうというぐらいには思っているわけです。
ワーキングプアといわれる方たちの生活というものは大変に厳しい状況にあると思っていますので、そういうことを意識して、生活し、審議していただきたいということが1点目。
2点目が例年取り上げているのですけれども、やはり最低賃金が全国加重平均を下回るという事態になってから、若者の流失というのが止まらないままになっているというのが現状だと認識しています。
やはり若者の流出を止めるということでいうと、最低賃金を引き上げるということが重要だと認識しています。
次に、去年までは付けていなかったのですけれども、新しい項目として、少子化対策ということでのお話が出ていることを書かせていただいています。
2011年には結婚の壁といわれているのが300万円ということになっていましたけれども、2019年の朝日新聞では400万円以上ということでいわれています。
少子化対策、若者の非正規が増えているという中で、やはり年収300万~400万に届くような最低賃金の引上げということが必要だろうと思っています。
次に、答申の発表のあとでということなのですが、労働局の発表の前に、答申が出た際に、建議を取り上げてください、ということで、例年要請はしているわけですけれども、それが実現されていないということで、今年改めて、ほかの労働局のプレスリリースを資料として揚げさせていただいています。
労働局は最低賃金の引上げを諮問したということですけれども、それに対して、賃金とこういう政策が必要だとこの2本立てで審議会が答申を出されているのですから、やはりそれについて労働局がきちんと受け止めるべきだと思っているわけです。
審議会の方から、労働局の方にきちんと建議を取り上げてほしいということを言っていただきたいということです。
その次には、異議申出の説明というのをしていただきたいということです。
いつも厚生労働省の方もそうなのですけれども、目安の発表の時にやはり異議申出の説明が出ていない。
全ての答申が出揃った後で異議申出がありましたよ。
そういう制度がありますよというような説明になっているので、そういうのはおかしいだろうということで思っているので、制度は制度としてきちんと説明していただきたいということです。
6ページ目はこれも例年と同じなのですけれども、国連・社会権限規約委員会の懸念ということが2013年に出ていて、その問題を取り上げています。
そのあとにILOの条約ということについても取り上げさせていただいていますので、見ていただければと思っています。
8ページにいっていただいて、最低賃金の改正、生活保護との整合性ということについては、2008年に法改正がされたということです。
それに基づいて、厚生労働省から資料が出されているのですけれども、やはり法改正に伴った資料ということでは不十分だろうと考えているということです。
そこで、日弁連の2011年の意見書等を参考にして、比較すべき対象等について、いろんなケースを想定したらどうかということで書かせていただいています。
そういうのを参考にしながら、委員の方が要請すれば、労働局の方で 資料を準備していただけると思っていますので、積極的に生活保護との比較ということについて、委員の方から資料提供を労働局の方に求めていただければと思っています。
とにかく今現在の比較対象というのは、若年単身者ということで、それがもう週40時間、365日働くということになっているので、そういう比較対象となっているということで、生活実感とかけ離れてしまっているというのが現状だろうと思っていますので、もう少し生活実感に合うところの生活保護対象との比較というのが必要だろうと思っているということです。
そこまでが大きい項目で、11ページからが「額の議論にあたって」ということです。
1,000円では低すぎるということで、一応朝日新聞の社説、毎日新聞の社説を引用させていただいていますけれども、1,000円ということでは年収200万円ワーキングプアというような状況だということで、1,000円では低すぎるというのが多くの意見だと思っています。
1,500円を求める声が拡大しているということで、私たちも1,500円ということを主張させていただいています。
13ページでは募集賃金平均額ということが以前公表されていたのですが、それと比較しても低いですよということと、東京・大阪とも格差をなくしていただきたいということで、14ページの頭の方には、兵庫の弁護士会が大阪の最低賃金額と同程度になるような大幅な最低賃金の引上げがなされるべきであるということで書かれています。
物価上昇これは幅を持たせて5%から10%、これも上をとれば、100円程度の引上げということになっています。
フランスでは物価上昇が続けば、定例とは別に物価上昇に合わせて、アップされるというふうになっている。
制度的には日本においても、労働局長が諮問すれば、年に何度でも引き上げられるということになると思いますので、そういう観点から審議会の方でも議論していただければと思っています。
「建議のために」というのは去年の建議をそのまま生かしています。
最低でも、こういう施策は設定いただきたいことと、社会保険料の事業主負担の減免そういうことについては、財政的にも大幅な引上げの突破口になりうると考えています。
資料の40ページ後ろから2ページ目に日弁連の資料を入れていますけれども、そこでも諸外国の例を参考にしながらということでは、韓国の例を引き合いに出して、社会保険料の負担減ということで書かれているということで、やはり隣の韓国の例を具体的に参考にしながら最低賃金の大幅な引上げを実現していければと思っています。
そういうことで今社会保険料について、パートの年収の壁の解消ということで議論がされているわけですけれども、そうしたパートの壁、年収の壁ということだけでなくて、最低賃金の大幅引上げに向けて、社会保険料の問題をどうしていくのかというような議論にしていければ良いのかなと思っているということとまた自民党の最低賃金一元化推進議連というのがありますが、そこは内部留保についても課税していけばそういう財源が確保できるというようなことで提言がまとめられているということの紹介です。
最後に全国一律最低賃金ということで日弁連の主張を紹介させていただいているということとドイツでは法律で引上げを決めているというような事例を紹介させていただいています。
全国一律最低賃金という主張をさせていただいているのですが、今年も目安でAからC、4段階から3段階に変えたというですけれども、やはりそこで1円ずつ目安額が変わっているということで、結局大阪とはまたそのままの額でいけば差が開いてしまうというようなことになってしまうので、そういうことではなしに、やはり生計費調査ということに基づけば、全国どこでも同じということで、1,500円を求めているということです。
以上です。
梅野会長 ありがとうございます。
ただ今の意見陳述について、お尋ねしたいことがあれば、どうぞお出しください。
各委員
(特になし)
梅野会長
それでは、これで終わらせていただきます。
ありがとうございました。
次の方お願いいたします。
飯田賃金指導官
それでは最後の方を御紹介いたします。
兵庫県パート・ユニオンネットワークのここに座られている方が古角様とこちらに座られている方が森口様です。
梅野会長
審議会長の梅野です。
本日はありがとうございました。
早速ですが、御提出された意見書に基づき、10分以内で意見陳述をお願いいたします。
意見陳述人1
兵庫県パート・ユニオンネットワークの事務局長をしています森口です。
よろしくお願いいたします。
私たちは毎年意見書の提出をさせてもらって、最低賃金の大幅な引上げをずっと要請してきました。
また、今年は2月には急激な物価高騰がありまして、私たちの生活を圧迫していたことから、最低賃金再改定の要請書も提出をしました。
しかし、その要請書に対する回答は一切なく、もちろん再改正もされなかったのです。
再改正というもののハードルが高いとなれば、今年こそ最低賃金を大幅に1,000円はもちろん、1,000円以上引き上げてもらわなければいけないということを考えています。
今年も非正規職員として働いている当事者から今から意見陳述してもらいますけれども、皆様にはその思い、期待、声を真摯に受け止めていただいて、最低賃金の大幅な引上げをよろしくお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
意見陳述人2
加西市クローバー労組で特別執行委員をしております古角と申します。
最低賃金改定の決定に係る意見として文章をまとめてまいりましたので、読ませていただきます。
新型コロナウイルス感染症が医療及び検査体制の構築やワクチン接種の進展などにより、感染拡大を防ぐ取組みが進められ、ウィズコロナに向けての動きも活発になり、経済がゆるやかな回復傾向を見せています。
しかし、その一方製造業を中心に海外サプライチェーンの影響により、部品不足や資材不足などにより、いまだ生産調整などを余儀なくされている厳しい状況が続いています。
さらに、国際情勢に起因する急激な物価上昇や円安の影響により、働く者の生活はより厳しさを増しており、経済及び物価上昇にあった賃上げが喫緊の課題となっています。
加えてコロナ禍以前からの課題である人手不足を補うための外国人労働者の増加やパート労働者、契約社員、派遣社員など雇用形態の多様化も依然としてある。
労働意欲喚起による生産性向上と社会の格差是正を目的とした政府の同一労働同一賃金の趣旨に鑑みるとともに人口流出を防ぐ策としても、最低賃金の引上げと早期発効は重要です。
審議会におかれましては、意見を述べています私たち兵庫県パート・ユニオンネットワークの組合員であり、非正規労働者として働いている者の生の声を真摯に受け止め、審議してくださるようよろしくお願いいたします。
加西市グローバル労組として、加西市における現状もまとめてまいりましたので、読み上げさせていただきます。
加西市においては、公契約条例が制定されています。
公契約条例は、地方公共団体が契約を結ぶ際に、入札基準や落札者決定で契約先における労働者の賃金や雇用安定などの社会的価値を評価するものです。
加西市は、公契約条例を制定し、公契約に係る基本方針を定め、工事請負契約などで労働報酬下限額を保障しています。
令和5年度の下限額が1,000円に改定され、令和5年度4月1日に公告されました。
これに伴い、公務職場においては、下限額を下回る会計年度任用職員(非正規職員の呼び方)の該当者のみ、その直近上位の号給で調整することになりました。
しかし、金額調整だけに終わっているために問題点も発生しています。
その問題点というのは、複数年にわたり経験年数が全く加味されず、在職者調整もされないことによって、賃金カーブがいびつになっていることです。
昨今の記録的な物価高騰、それに見合う賃上げを求める民間企業の労働組合の今年の春闘は大手企業を中心に要求どおりの満額回答が相次ぎました。
「別紙[賃金・労働報酬下限額・最低賃金の比較表]のとおり、昨今の最低賃金の引上げにより下限額が追いついておらず、逆転現象さえ見受けられるため、このような社会情勢を的確に把握し、下限額の将来予測とともに会計年度任用職員の基礎号給の見直しをするべきである。」との要求を、加西市当局は全く受け入れない状況が続いています。
よって、「賃金の経済政策」としての最低賃金の引上げの重要性を強く認識し、上記に書いております3点の事項について、早急に取り組むよう強く要望させていただきます。
文章に書いていないのですけれども、聞いていただきたいことがあります。公務職場においては、今3人に1人は非正規職員である会計年度任用職員とされており、行政サービスの重要な担い手をしております。
賃金の低い労働者の労働条件の改善をすることで経済の健全な発展に寄与すると思っておりますし、公務職場においては良質な市民サービスにもつながると考えております。
そういうことで3点の要望を実現してほしいと思い、陳述にまいりました。よろしくお願いいたします。
梅野会長
ありがとうございました。
ただ今の意見陳述につきまして、何かお尋ねしたいことがございますか。
瀬川委員
どうもありがとうございます。
使用者委員の瀬川といいます。
最後に付けていただいた表を単純に見ると加西市の会計年度任用職員の方は令和4年分として県最賃の1時間960円を下回っている水準に設定されているということになるのでしょうか。
もし、そのとおりであるならば、直ちに最賃法違反ということになるのかなと思うのですが、いかがなのでしょうか。
意見陳述人2
令和4年度の最低賃金が960円に改定されました。
最低賃金は10月1日改定なのですけれども、労働報酬下限額の改定が4月1日になっているのです。
いつも条例化するときには最低賃金が10月に決まるのを予測してこれぐらいになるであろうという予測の下に4月1日に下限額を決定し、条例化するのですけれども、令和4年度に関しては、その当局と労働報酬下限額を決める審議会の方がちょっと甘かったということがありまして、令和4年4月1日の労働報酬下限額が950円に設定されてしまった。
その後の10月1日に960円に最低賃金が上がってしまいました。
今年の令和5年度4月1日は労働報酬下限額が1,000円に上がっております。
最低賃金が令和4年10月1日960円でしたので、少し幅を持たせて、今年の令和5年4月1日は1,000円に引上げになっております。
それに伴い、会計年度任用職員の時給単価1,000円を割っている者に対してだけ、労働報酬下限額1,000円に設定されているのですけれども、そこの部分だけ触っていますので、正確に言いますと7年間時給が上がらない状況が続いております。
在職者調整をするのが、本来なのですけれども、在職者調整をしておりませんので、抵触する該当者のみ賃金だけを触っておりますので、下限額の1,000円で7年間賃金が上がらない状況が続いています。
瀬川委員
実態の話として、労働局の方でお調べいただいた方が良いのかも分からないなという感想を持ちました。
以上です。
意見陳述人2
すみません。10月に最低賃金が960円上がって、その差額の時期については、応急措置として、その最賃額には上げています。
その下限額が4月1日に上がったのですけれども、それまでの応急措置として、10月1日から翌年3月31日までの賃金は最低賃金の960円に上がりました。
その説明が抜けていました。
瀬川委員
それでは、法違反はなかったということですね。
意見陳述人2
すみません。
なかったです。
堀井委員
ありがとうございます。
労働側委員の堀井でございます。
この場で最低賃金を引き上げなさいという要望なのに、結局それをやったとしても、先ほど言った問題が解決されないのではないのかと思うのですが、そこはどうお考えなのですか。
意見陳述人2
最低賃金を大幅にアップしていただけることによりまして、今回でしたら、7年間全然経験年数が加味されない方がすごく増えることが予測されます。
そうなると当局はそこだけ触るということがもう無理に近い状態になるので、私たち労働組合としてもこれだけ最低賃金が上がっているのだから、早急に見直しをしないといけないということが言いやすくなると思っております。
堀井委員
分かりました。
梅野会長
ほかございますか。
よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、これで意見陳述は終了とします。
それでは、最後の議題(4)その他ですが、事務局から説明をお願いいたします。
田中賃金室長
それでは、最後ですが、次回の日程について説明をさせていただきます。
次回につきましては、委員の方にはすでに通知済みではございますが、8月7日月曜日の午後2時をめどにお願いできればと思います。
この日は午前中に専門部会を予定しているところでもございまして、専門部会後の開催ということでございます。
併せて、8月7日の本審としましての公開・非公開についても確認をお願いできればと思います。
以上です。
梅野会長
次回は8月7日月曜日午後2時からでよろしいですか。
また、公開・非公開ですが、今年度の地賃答申も、非常に注目されるところであります。
今年も公開でよろしいでしょうか。
各委員
(異議なし)
梅野会長
ありがとうございます。
それでは次回は、8月7日月曜日午後2時公開で行います。
ほかに事務局からございますか。
田中賃金室長
次回の本審でございますが、先ほども申し上げたとおり、午前中に専門部会を予定しているところでございます。
専門部会につきましては、審議の進捗によっては、いろいろ調整が必要になろうかということもございますし、また当日昨年もそうだったのですが、午前の専門部会が少し延びてしまい、開始時間が遅れるといった場合も想定されるところでございます。
それについて、御承知おきいただければというところでございます。
また、この後ですが、兵庫県最低賃金専門部会第1回目を予定しているところでございます。
案内につきましては、11時半ということで少し時間が空いたところではございますが、会場の準備がございますので、傍聴の方は引き続きの方もいらっしゃるとは思うのですが、一旦退出をお願いできればということでございます。
よろしくお願いいたします。
梅野会長
ほかございますか。よろしいですか。
それでは、これで審議会終了いたします。
ありがとうございました。
お疲れ様でした。

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