第25回兵庫地方労働審議会家内労働部会議事録

 
日 時 令和6年2月1日(木) 10時00分~10時57分
場 所 神戸クリスタルタワー16階 第3共用会議室
出席状況  公益を代表する委員  3人  出席3人  定数3人
 労働者を代表する委員  3人  出席3人  定数3人
 使用者を代表する委員  3人  出席3人  定数3人
議 題
(1)部会長の選出、部会長代理の指名について
(2)令和5年度家内労働対策について
(3) 兵庫県釣針製造業最低工賃について
(4) その他
  議  事  録
飯田賃金指導官
おはようございます。
指導官の飯田と申します。
よろしくお願いいたします。
定刻になりましたので、只今から兵庫地方労働審議会第25回家内労働部会を開催いたします。
なお、鷲尾委員におかれましては、あらかじめ少し遅れる旨の連絡を受けておりますので後程、到着される予定です。
本来であれば冒頭、木下労働基準部長から御挨拶申し上げるべきところではございますけれども、本日は所用により欠席とさせていただいております。
 続きまして、本日の出席の確認をいたします。
本日は、全員ご出席いただく予定でございますので地方労働審議会令第8条第1項の規定による定足数を充足しております。
また、本日の家内労働部会は議事を公開する事としておりましたが、傍聴希望はございませんでした。
今回は第12期家内労働部会委員による1回目の部会となります。
部会長が選出されるまでの間は事務局で進行をさせていただきます。
それでは、今期の委員の方を御紹介させていただきます。
お手元にお配りしております資料1兵庫地方労働審議会家内労働部会委員名簿を御覧下さい。
名簿順にお名前をお呼びしますので恐れ入りますが一人ずつ、御起立いただき一言御挨拶などいただければ幸いです。
まず公益代表の今井陽子委員です。
今井委員
今井でございます。
よろしくお願いいたします。
飯田賃金指導官 同じく梅野巨利委員です。
梅野委員
梅野です。
よろしくお願いします。
飯田賃金指導官 同じく岡崎利美委員です。
岡崎委員
岡崎でございます。
よろしくお願いいたします。
飯田委員 次に、家内労働者代表の中西織絵委員です。
中西委員
中西です。
よろしくお願いいたします。
飯田指導官 同じく三村敏委員です。
三村委員
三村です。
よろしくお願いします。
飯田指導官 同じく森田直樹委員です。
森田委員
森田です。
よろしくお願いします。
飯田指導官 続きまして、委託者代表の瀬川里志委員です。
瀬川委員
瀬川でございます。
よろしくお願いします。
飯田指導官 同じく藤嶋純子委員です。
藤嶋委員
藤嶋です。
よろしくお願いいたします。
飯田指導官
続きまして議題1、部会長と部会長代理の選出に移ります。
部会長及び部会長代理につきましては慣例により公益代表委員の中から御推薦いただき、皆様にお諮りする事にさせていただいております。
今回、事前に公益委員の方で御調整をいただき、部会長に今井委員、部会長代理に梅野委員をとの御推薦をいただいておりますけれども、皆様よろしいでしょうか。
各委員 異議なし。
飯田指導官
ありがとうございます。
それではこの後の、議事進行につきましては部会長の今井委員にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
今井部会長
座ったままで失礼いたします。
今井でございます。
部会長を務めさせていただきます。
慎重審議に努めてまいりたいと思いますので引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
では、議事に入らせていただきます。
議題2は令和5年度家内労働対策についてです。
事務局から御説明をお願いいたします。
田中賃金室長
賃金室長をしております田中です。
去年に引き続きとなっております。
よろしくお願いいたします。
本日は冒頭説明がございましたが、部長が所用により欠席しており大変申し訳ございませんが、御了承いただきたいと思います。
少し長い説明になりますので座らせていただきます。
まず、家内労働の現状と関係について説明をさせていただきます。
家内労働とは、メーカー等から部品または材料、原料の提供を受けまして物品の製造加工を行うものでございます。
発注する側を委託者、発注を受けて作業を行う側を家内労働者といいます。
また、家内労働者の同居の親族で家内労働に従事する者を補助者と定義しております。
定義につきましては資料11「家内労働法規関係」のところに書いてございますけれども、家内労働法規の1つ目、家内労働法第2条の定義のところに細かく説明がございますので、追って御参照いただければと思います。
続きまして、資料2兵庫地方労働審議会の構成関係についてのところでございますけれども、家内労働部会は兵庫地方労働審議会に設置されております常設の部会の1つでございます。
常設部会とは港湾労働部会、労働災害防止部会、家内労働部会の3つがございます。
そして最低工賃を実際に改正するとなった場合は、別に金額を審議する為に最低工賃専門部会を開催するとなってございます。
こちら表で言えば、常設部会の家内労働部会のすぐ右に波線で囲まれたものになりますが、最低工賃を設定するとなった場合はこういったものを都度、設置するという動きになってございます。
裏側のページには委員、臨時委員の職務の関係についての記載がございます。
1番目の家内労働部会の職務の項目では家内労働法第21条第1項の規定による最低工賃専門部会が所掌する事項を除き、家内労働に関する専門事項を審議することになっております。
本日行われている家内労働部会は最低工賃の決定以外の最低工賃の改正の方向性等、家内労働全般について御審議をいただくという位置づけになってございます。
続きまして、家内労働の対策関係でございますが全国の家内労働の状況について説明をしたいと思います。
資料12の「家内労働のしおり」32ページ、33ページのところを御覧ください。
上部の横表について、昭和48年ごろをピークに委託者数は減少が続いているということでございます。
右端に令和4年度の状況が載ってございますけれが、家内労働従事者数については98,339名で、委託者については7,017名となっており、ピーク時の昭和45年、48年頃は約200万人家内労働者が居りました時と比べると概ね20分の1、約5%の規模にまで減少している状況でございます。
続きまして兵庫県の状況でございますけれども、資料3「兵庫家内労働の概況」でございます。
こちらの2ページ目表1ですが、こちらは平成15年から令和5年までの兵庫県内の家内労働関係の数字の推移です。
ここ10年の推移について折れ線グラフにしたものが下の図1-1及び図1-2でございますが、減少傾向になっているところでございます。
直近の状況で言うと、図1-1委託者の推移について、令和5年で161事業所となっており、家内労働者数については約3,380名となっています。
全国的な状況と同じように減少傾向となっております。
次に3ページですが、こちらは円グラフでございますけれども、家内労働者の業種別の状況について、お示しをしたものでございます。
兵庫県内で多い業種としまして繊維、紙加工品、皮革製品、電気機械器具、その他でございます。
繊維と電気に関しては全国的にも家内労働者数が多いものでございまして、それ以外の兵庫の地場的な産業でございます。
4ページは委託者の状況につきまして、各監督署別・業種別に一覧にしているものでございます。
兵庫県内では姫路・加古川・西脇・但馬といった地域で委託者が多い状況になっております。
5ページ、6ページは監督署別・業種別の家内労働者数を示しております。
続きまして、7ページは危険・有害な業務に従事する家内労働者数を示しておりますけれども、従事者数が多いのは⑤の動力により駆動される機械を使用する者となっております。
こちらは一般的に言うと、縫製業での織機やミシンといった機械を使用する作業でございます。
下の表は、家内労働者の方の労災補償保険の特別加入の状況を示したものでございますが、非常に少ない状況となっています。
家内労働者が労働基準法で言うところの労働者という位置づけではないものですから、別途に事務組合を作っていただき、任意で特別加入をしてもらうという位置づけになっているところでございます。
続きまして、資料4ですが、こちらが家内労働の安全衛生指導員の実績でございます。
現在、兵庫労働局では1名の方に委嘱をしており、家内労働安全指導員が委託者の方を訪問していただいて安全衛生または、その他一般的な家内労働に関する指導を行ってもらっている状況にございます。
今年も計画通り11社を回っていただいておりまして、主に家内労働手帳の関係の指導をさせていただいているところでございます。
続きまして資料5こちらは監督関係の指導状況です。
年間各署1件程度の実施を予定しておりますが、12月末時点で2件しか実績がない状況でございます。
年度末までに実施予定であると聞いておるところではございますけれども、計画より若干少ない状況となっております。
また、今年は違反がない状況となっておりますが、例年委託状況届の未提出や家内労働手帳の不備、といった違反が多く、それについて指導をしている状況でございます。
私からは以上でございます。
今井部会長
御説明をありがとうございます。
議第(2)「令和5年度 家内労働対策」について御説明をいただきました。
只今の事務局の御説明等について、御意見や御質問等がある方がおられましたらよろしくお願いいたします。
御質問、御意見等はございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
議第2についてはここまでとさせていただきまして、次の議第へ移らせていただきます。
次は、「最低工賃についての実態調査」の結果を元に御意見を伺う事になりますが、まずは最低工賃に関して事務局から御説明をお願いいたします。
田中賃金室長
続きまして、最低工賃につきまして簡単に御説明をさせていただきます。
最低工賃につきましては、「一定の地域において一定の業務に従事する家内労働者についてその最低額を定めている」制度でございます。
先程の資料12「家内労働のしおり」の22ページ、23ページを御覧御覧いただければと思います。
全国で96件の設定がございます。
兵庫県では5件の設定がございます。
全国的にも、縫製関係や電気機械器具関係が多くある状況でございます。
兵庫県を見ましても、縫製関係や電気機械器具関係もあるのですが、兵庫独自で言えば釣針製造業という全国的にも珍しいものがあると状況でございます。
最低工賃の見直しについては、3か年の最低工賃の新設・改正計画というものがございまして、それに基づいて行っているというところでございます。
兵庫県には5つの最低工賃がございますので、こちらを3か年で2・2・1に分けまして、毎年2つ、もしくは1つ最低工賃につきまして、実態調査を行った上で新設・改正・廃止について、御意見をいただくものになっているところでございます。
続きまして、資料No.6ですが、今年度は「第14次 最低工賃新設改正計画及び実施状況」の2年目、令和5年度という事で、兵庫県釣針製造業最低工賃の調査を行う年にあたっているものでございます。
また、「最低工賃の新設・廃止」といった基本的な考え方につきましては、裏面に書いてございます。
最低工賃につきましては、3年を周期に見直しを見当するという事になっております。
新設の場合につきましては、こちらに記載しておりますように、関係団体から要請が出されている、あるいは特定の作業に従事する家内労働が300名以上おり、今後も増加傾向、最低工賃を設定する事が望ましいといった状況につきまして新設で実施するという事になってございます。
現在、家内労働の状況または要請もないころから、新設する状況ではないという判断をしております。
見直しにつきましては、廃止、改正の有無を判断することになりますが廃止については、該当する作業について、家内労働者数が100名未満に減少する、あるいは、将来も増加をする見通しがないといった場合、要するに実効性を失っている場合につきまして、統合整理などを検討し、難しいという場合は廃止を検討するというようになっているところでございます。
改正については、当該最低工賃にある程度の実効性、実用性がある場合で家内労働者の工賃の状況や、委託者の状況から当該産業の最低工賃の引き上げ、統合が必要といった場合に改正を検討するという事になっているところでございます。
最低工賃の新設、改正の場合は本審ここで言いますところの地方労働審議会に諮問を行いまして最低工賃専門部会の設置をして、最低工賃の金額の審議を行っていくという運びとなってございます。
改正する場合については、最低工賃専門部会の所掌になるわけですが、家内労働部会におきましては、その前段階としまして、改正をするかどうか、または廃止を検討するかどうかといった方向性について実態調査を踏まえながら事務局の説明をさせていただきまして、その後、御意見を伺うという事になってございます。
以上です、よろしくお願いいたします。
今井部会長
最低工賃についての実態調査の説明の前に、最低工賃全体の概要説明をしていただきましたが、以上の御説明について、御意見や御質問等がある方はおられますでしょうか。
特にないようですので、個別の最低工賃について議事を進めさせていただきます。
議題3「兵庫県釣針製造業最低工賃について」という事ですので、事務局から資料の説明をお願いいたします。
山中監督官
賃金室の山中です、よろしくお願いします。
私からは資料No.7から資料No.9までについて説明させていただきたいと思います。
説明が長くなりますので座らせていただきます。
資料No.7「兵庫県 釣針製造業の企業数・生産数量・生産金額の推移」を御覧下さい。
こちらの資料は兵庫県からデータの提供を受けまして、とりまとめを行ったものとなります。
当該データから兵庫県内の釣針製造業を営む企業数が徐々に減少をしているものの、直近10年間においては生産数量、生産金額が一定の水準を保っているものと見ることができると考えております。
続きまして、資料No.8「兵庫県釣針製造業最低工賃(推移)」を御覧ください。
こちらは釣針製造業最低工賃の推移をまとめたものになっております。
釣針製造業最低工賃につきましては、平成元年 2月23日に設定されまして同年4月1日に効力発生し、その後4回の改正を経て平成15年8月14日から現在設定されている最低工賃となっております。
当初4業務6規格について最低工賃が設定されていましたが、現在は3業務7規格について最低工賃が設定されている状況になっております。
続きまして【資料No.9】「兵庫県釣針製造業家内労働実態調査結果報告」を御覧下さい。
昨年 6月の状況について委託者、家内労働者双方に郵便調査を行い、その結果をとりまとめたものとなっております。
時間の制約もございますので、主な事項を抜粋して説明させていただこうと思います。
報告書の1ページと2ページを御覧ください。
本調査のうち、委託者に対する調査は、西脇市にございます播州釣針協同組合と加東市にございます兵庫県釣針協働組合から得られた情報や、同組合が入手した名簿と今年度に届け出があった委託状況届等の委託者情報に基づいて、現在も家内労働者への委託がなされていると考えられる15社を対象として調査を行いました。
ここで言います委託状況届は、委託業務の内容、従事する家内労働者数などについて、委託者から所轄の労働基準監督署に毎年ご報告をいただいているものになります。
また、家内労働者に対する調査については委託者調査を行った15社に対して、委託者を通じてそれぞれが委託している家内労働者の中から5名を上限として無作為に抽出した後、調査票を配布していただき合計58名に対して調査を依頼したものとなります。
今年度の調査結果につきまして、委託者については調査を依頼した15社全てから御回答をいただきまして、そのうち「委託あり」すなわち、家内労働者との契約があるとの御回答をいただきましたのは、うち14社、さらにその中で「最低工賃の設定がある規格の業務を委託していると」御回答をいただきましたのが10社という結果になりました。
また、「委託がある」と回答した委託社14社が委託している家内労働者の総数は425名となっております。
委託のある家内労働者については、令和2年度調査においては340名となっておりましたので数字としては増加しているように見えるのですが、今年度は御回答をいただいた委託者の数が前回調査よりも多かったということで1社あたりの家内労働者数として割り戻してみますと、今年度は1委託者あたり30.4名で令和2年度の前回調査時については30.9名となっておりますので全体の家内労働者数に大きな変動はないのではないかと考えております。
家内労働者については58名の方に調査を依頼し、うち38名の方から御回答をいただきました。
続きまして、報告書3ページから9ページまでは委託者調査の結果、10ページから14ページまでが家内労働者調査の結果をとりまとめたものとなっております。
15ページから22ページが委託者調査・家内労働者調査の両調査に共通する調査事項を併記する形でとりまとめたものとしております。
23ページから26ページが今回の調査時に使用した調査票のひな形となっております。
別冊になっているのですけれども、補足資料という形で付けている資料が平成23年度調査から令和5年度の調査までの直近5回の推移の調査結果をとりまとめたものとなっております。
調査結果について個別に説明をさせていただきます。
まず、委託者調査の結果でございます。
報告書の4ページを御覧下さい。
こちらは委託者が委託をしている家内労働者による希望、雇用をしている労働者数による希望をとりまとめたものとなっております。
1番上の表になりますが、100名以上の家内労働者への委託があると御回答をいただきましたのが2社、家内労働者への委託が29名以下であると回答をいただきましたのが10社という事で1部の大手の会社と中小零細事業場に分かれている状況にある事が認められます。
報告書の6ページを御覧下さい。
こちらの表は最低工賃の設定がある7つの規格について、工賃の金額階級別に工賃最低値、及び最高値ごとの家内労働者分布数をとりまとめたものとなっております。
7ページの1番下の表が最低工賃設定規格ごとの工賃最低額、最高額及び該当している労働者数のまとめた表となっております。
8ページが最低工賃の設定がある7つの規格のそれぞれの工賃分布につきまして、過去2回の調査、平成29年度調査と令和2年度調査、令和5年度調査との比較したものを掲載しているものでございます。
9ページは調査票に委託者様の御意見を自由に御記載いただく欄を設けており、こちらに釣針業界各社の現状、今後の見通しというものを自由記載いただいたものになっております。
調査を依頼しました委託者様のうち7社から御回答があり、この項目は全数御意見をそのまま転記させていただいております。
いただいた御意見の内容としましては、前回調査時と同様に家内労働者の高齢化を不安視する意見に加えて昨今の気象状況の影響を不安視する意見など、いずれにしても先行きの不透明感を示すネガティブな意見が大半でございました。
また項目9については、最低工賃に関する御意見をいただいた項目になっております。
続きまして、「家内労働者調査の結果について」に移らせていただきます。
報告書の11ページを御覧下さい。
ここでは家内労働者の性別・専業・内職・副業の別ごとにまとめております。
専業は、家内労働を当該世帯の本業とされている世帯主の方、内職は主婦や高齢者と世帯主以外の家族で世帯の本業とは別に家計補助の為に家内労働を行う方、副業は他に本業を有する方が世帯主であって、本業の合間に家内労働に従事する方をいいます。
結果としましては、大半の方が内職の女性であるという結果が得られました。
同じページの項目2と3になりますけれども、家内労働に従事する1か月あたりの日数、1日あたりの時間数をとりまとめております。
平均いたしますと、1ヶ月あたり約19日、1日あたり約5時間、家内労働に従事されているという結果になっております。
13ページ項目8になりますが、こちらは家内労働者の方の年齢、経験年数を表にとりまとめたものとなっております。
年齢につきましては、回答のあった27名のうち、60歳以上の方が14名で半数を占めるという結果となっております。
経験年数では、経験年数15年以上の方が14名と半数を占める結果になっておりますが3年未満の方が7名いらっしゃるので、令和2年度調査以降一定の新規参入者が認められる状況とはなっております。
14ページにつきましては、最低工賃に対する御意見を伺っている項目で項目9は設定項目を選択していただく形式になっておりますが、1番の「最低工賃をあげてほしい」という回答が約半数、残りは3番の「特に意見がない」という御意見になっておりました。
項目10につきましては、自由記載欄となっておりまして、こちらについても全数いただいた御意見の方は転記させていただいております。
いただいた内容としましては工賃額の低さを訴える者が大半ではありますが、安定した仕事量を求めるという御意見もございました。
続きまして、家内労働者と委託者共通事項の説明に移りたいと思います。
17ページ、18ページが最低工賃設定比較ごとに1時間あたり、1日あたり、1か月あたりの工賃額を計算した結果となっております。
工賃額と1時間あたりの作業量は調査結果を利用し、1日あたりの工賃額を出す際には、1時間あたりの工賃額に8時間を乗じ、1か月あたりの工賃額を出す際には、1日あたりの工賃額に便宜上22日を乗じて計算しております。
19ページ、20ページにつきましては工賃額について過去2回の調査と比較したものとなっております。
19ページについて右の列の包装業務を1例として御説明させていただきます。
この列では、包装業務について上から今回調査の工賃最低額、最高額及び加重平均額、前回調査結果の加重平均額、前々回調査結果の加重平均額、現行最低賃金額、今回調査の加重平均額と最低工賃額との比率、前回調査時加重平均額との比率、前々回調査時加重平均額との比率を記載しております。
包装業務の工賃額については、加重平均が前々回、前回と比べて増加している事が認められます。
21ページ、22ページにつきましては最低工賃が設定されている自宅の業務以外にどのような比較の業務があるか、とりまとめたものとなっております。
21ページにつきましては、委託者調査の結果を委託者ごとにとりまとめておりますが複数の委託者で同じ規格の業務が設定されている状況は確認できませんでした。
最後に別冊の補足資料になりますけども、こちらが平成23年度から今年度調査までの5回の調査をグラフ化したものとなっております。
1ページから委託者数、家内労働者数、3ページ以降は工賃の平均額、最低額の推移をとりまとめた資料となっております。
以上が今年度の釣針製造業の最低工賃改正実態調査との概要でございます。
今年度の調査を踏まえ、事務局といたしましては、工賃額については設定されている最低工賃額との比較において一部高いものも認められましたが、大多数は最低工賃額近傍方の設定になっており、大幅に過去から工賃額が上昇した様子も見られないこと、また、委託者の意見で家内労働者の高齢化や、異常気象の釣り業界への影響等、依然として先行きを不安視する声が多く認められる事を理由として、本年度の兵庫県釣針製造業最低工賃については改正見送りが妥当ではないかと考えておりますので、その旨御提案させていただきたいと思います。
また、廃止基準につきまして現状釣針製造業の最低工賃設定業務従事者が廃止基準の100名を超えている状況にございますので、現段階で廃止を検討する必要についてもないものと考えております。
私の説明は以上でございます。
今井部会長
御説明ありがとうございます。
では只今の事務局からの説明等について御意見、御質問等ある方はよろしくお願いいたします。
瀬川委員よろしくお願いいたします。
瀬川委員
瀬川でございます。
委託者の立場から言う事としては少しおかしいのですが、今、政府が賃上げをしようと言っている状況がありますので、どの経営者の方にも頑張って賃上げをして下さいという要請があります。
当然ながら非常に厳しい状況に置かれている地場産業に対しても同じだろうと思います。
今回の釣針の産業については厳しい状況に置かれている地場産業ですけれども比較的まだマシな方で、経営の概況などを見ていますと、横ばいくらいだと思います。
ただ、実態としては、最低工賃近傍にいらっしゃるところがあるので見送りというのは妥当かと思うのですが、労働局さんの考えとして、政策的に最低工賃もなんとか上げていける余地があるのなら、ちょっと行政主導で上げるべきではないかというお考えがあったりはしないのでしょうか。
田中賃金室長
これについては長らく引上げてきていないという状況もございますので、審議会としてそれが総意という事であれば今後引上げを検討することになります。
ただ政府の中央から最低工賃自体を最低賃金のように賃上げという事を同視して引き上げろという通知は特にございませんし、最低工賃というもの自体が賃金というものとは少し質が違いいわゆる加工代ものでもございます。
現状、原材料費が上がる、あるいは原材料にかかる燃料代が上がる、といったことは事実としてあるのでしょうけれども、実際そういったものは委託者が引き受けているものであって、家内労働者自身は、あるとすれば電気代の上昇が若干あるかとは思いますが、物価高がダイレクトに反映されているというものとはまた違うところもあります。
今後、引上げについての御意見が審議会としての総意でございましたらば最低工賃について将来的に引上げることはあるのだろうと思いますが、現時点では実態調査結果を踏まえて実態乖離や人数的な変動といったものを踏まえまして、今回は見送り提案させていただいた次第です。
瀬川委員
釣針産業の経営者さん達も恐らく、社内の従業員さんに対しては賃上げを今年やっていかなければいけない状況なのでしょうけど、最低工賃とはまた全然考え方が違うのだという事ですね。
分かりました。
ありがとうございます。
今井部会長
ありがとうございます。
他に御意見、御質問等ございませんでしょうか。
藤嶋委員よろしくお願いいたします。
藤嶋委員
調査報告書の14ページの家内労働者の方々の調査によって出てきています御意見のところで一つ気になる御意見があるのですが、3番目のところで工賃が規定以下の場合、企業への調査や指導はないのですかという御意見があります。
お一人の意見かもしれないですが、非常に大きな内容を指し示していらっしゃるので、こちらについては無記名でどなたの御意見かは分からないものなのでしょうか。
規定違反している委託会社さんがあるのかなとも思うのですけども。
こちらの労働審議会で議論する内容なのかどうか、私には分かりかねるのですが、この点ついてどのように思われていますでしょうか。
飯田指導官
この点については室内でも検討しておりますが、調査表を送る時に、今回の調査目的以外で行政として情報を利用する事はないという前提で調査を行っています。
そのため、この調査結果を受けて、委託者に直接指導を行うということは難しいですし、調査票が無記名という点でも情報としてわかりかねるところがございます。
そうは申しましても法律に関わる部分ですので行政として何もしないわけにはいかないと考えております。
時期ややり方については検討いたしますが、兵庫県下の各労働基準監督署にはこういった御意見があったことについては情報提供する形で対処していこうかと考えております。
藤嶋委員
ありがとうございます。
恐らく書かれた方も労働局さんが絡んでいらっしゃるアンケートと御認識の上で、お一人の声かもしれないのですけども、お声を上げていらっしゃると思いますので、それに対して是非ご対応いただけたらと思います。
ありがとうございました。
今井部会長 他に御意見、御質問等ございませんでしょうか。
三村委員
委託者サイドの方々から色々御意見がありまして、今、社会的な方向性というのは、やはり人員不足の解消、それから物の値段が上がってきているという意味で、人材確保とか色んな意味で人への投資という部分では賃上げを一つ大きな柱として、労使で取り組んでいくのだという思い、意向だと思いますので、その辺はすごく意識はしていただきたいという思いは強く持っています。
とはいえ、最低工賃額を決めるというとなかなか難しい一面があるのかなと、労働者というテーブルに乗せて考えられない家内労働法の難しさというのも分かる部分ではあるのですが、一方で最低工賃の推移を見させてもらったら、平成15年以降止まっていますが、それまでの間は、4回重ねて若干なりとも上がってきています。
その際どういう基準で上がってきたかということが分かれば教えてほしいと思うのと、そこで引上げが止まってしまった理由経過というのはあるとは思うのですけれども、一方で中播の関係は、家内労働者さん、委託者さんも含めて横ばいにきている、若干右肩下がりなのかとは思うのですけど、業種的にはまだそんなに落ち込みもないと受け取れます。
直近の工賃最低額の推移なんか見させてもらうと、現行の最低工賃額と似た数字と、業務の内容によっては結構高めで最低額を推移しているというものもありますので、これまで上げてこられたという基準なり、強いて言うならば、今現状これくらいの水準だから、この業務だけ最低工賃額を引き上げてもいいのかなど、そのような事も可能なのかどうか。
そういったことで少しでも工賃額底上げができるのであれば、家内労働者の思いに少しでも我々としての役目としては役立つ事なのかという思いがあります。
さまざまな家内労働者さん、委託者さんもそうだと思うのですけど、工賃額を上げたいのだけどなかなか上げられない。
でもやはり委託が無くなると、家内労働者さんがいなくなってしまうと自分達でも困るのだという事も実際にはあると思います。
そういったことから、行政側からアクションをかけていくというのも実は必要なのかなという思いも持っています。
ただ、進めて行くということになればまた別の部会も立ち上げなければいけないということになるのですけども、そういう思いがあります。
田中賃金室長
貴重な御意見ありがとうございます。
平成15年当時の話なので正直申し上げて我々が承知していないところもあります。
そうは言いつつ行政ですので、今の御意見も踏まえて、次3年後というのが次回の釣針製造業の調査になるのですけれども、それまでには少なくとも当時、どういう経過であったのか情報収集したいと思いますし、現状の委員の方はどなたも釣針業界に関わっていらっしゃらないと思いますので、改正当時の委員といったような古いところの繋がりについても情報収集はしていきたいと思っているところでございます。
また、引上げにあたっての金額がどれくらいというのも恐らく業界の方にお話を聞かないと、ある程度のイメージでしか我々も申し上げられないので、まずは情報収集というところは図っていきたいと考えている次第です。
今井部会長
ありがとうございます。
他に御意見、御質問等ございませんでしょうか。
そうしましたら議題3についてはここまでとさせていただきまして、意見をとりまとめさせていただきたいと思います。
これまで御質問や御意見等をいただいたところですが、設定工賃額との実態の大幅な工賃上昇もなく、多数が最低工賃額近傍の状況にある事、また、廃止についても100名以上従事者がいるという事を踏まえ、廃止検討も現時点においては必要ないという事で、兵庫県釣針製造業最低工賃につきましては今年度の改正諮問を見送りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
各委員 異議なし。
今井部会長
ありがとうございます。
それでは本部会といたしましては、兵庫県釣針製造業最低工賃については改正諮問の見送りが妥当であるとの結論とさせていただきたいと思います。
それでは続いて議題4その他についてですが、委員の方から全体を通して何か確認事項等ございますでしょうか。
特に無いようですが、事務局から連絡事項等ございますでしょうか。
飯田指導官
そうしましたら、次回2月26日ですけれども「兵庫地方労働審議会」が開催されます。
その席で本日の家内労働部会の概要につきまして部会長の今井委員からお伝えいただく事となります。
よろしくお願いいたします。
また、本日の部会の議事録につきましては、後日全ての委員にメールでお送りいたしますので、御確認をいただいた後、ホームページに掲載する予定としております。
以上でございます。
今井部会長
ありがとうございます。
他に特に無いようでしたら、これにて「第25回家内労働部会」を終了させていただきます。
ありがとうございました。

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