労働保険の適用
労働保険に加入するには、労働保険保険関係成立届を所轄の労働基準監督署又は、公共職業安定所に提出します。同時に保険関係が成立した年度分の労働保険料を概算保険料として、申告・納付していただくことになります。
労働保険の保険関係の成立
労働保険の保険関係とは、保険事故(業務災害、通勤災害、失業)が生じた場合に労働者ないし被保険者は、保険者(政府)に対して保険給付を請求する権利をもち、これに対応して保険加入者(事業主)は、保険者に保険料を納付する義務を負うという、権利義務関係の基礎となる継続的な法律関係をいいます。
「事業」の単位
労働保険の保険関係は「事業」を単位として成立します。この適用単位としての「事業」とは、工場、事務所、商店、建設工事など、一つの経営体、すなわち一定の場所において一定の組織のもとに有機的に相関連して行われる一体的な経営活動をいいます。
したがって、会社そのもの、企業そのものではなく、一つの会社にいくつかの支店や工場がある場合には、原則として支店や工場ごとに保険関係が成立することになります。
当然適用事業と暫定任意適用事業
労働保険が適用される事業は、まず当然適用事業と暫定任意適用事業とに区別されます。
・当然適用事業とは
一人でも労働者を雇用して、事業が行われている限り、法律上当然に労災保険又は雇用保険の保険関係が成立するとされている事業をいいます。
したがって、当然適用事業においては、事業主や労働者の意思に関係なく、その事業を開始した日又はその事業が適用事業に該当するに至った日に法律上当然に保険関係が成立することになります。
・暫定任意適用事業とは
農林水産の事業のうち、常時使用労働者が5人未満の個人経営の事業のことを言います。
雇用保険の加入については労働者の2分の1以上
労災保険の加入については労働者の過半数
の同意又は加入を希望した場合、事業主は加入の申請をしなければなりません。
なお、労災保険では、農業に限り事業主が特別加入をする場合には、常時使用労働者が5人未満であっても適用事業となります。
一元適用事業と二元適用事業
・一元適用事業とは
労災保険の保険関係と雇用保険の保険関係とを合わせて一つの労働保険の保険関係として取扱い、保険料の申告・納付等を両保険一本として行う事業です。
・二元適用事業とは
その事業の実態からして、労災保険の保険関係と、雇用保険の保険関係を別個に取扱い、労働保険の申告・納付等はそれぞれ別個に二元的に行う以下の事業です。
1.都道府県及び市町村が行う事業
2.1に準ずるものの事業
3.港湾労働法の適用される港湾の運送事業
4.農林・水産の事業
5.建設の事業
労働保険における労働者とは
労働者とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。
ただし、雇用保険上の労働者とは、事業主に雇用され事業主から支給される賃金によって生活している者、及び事業主に雇用されることによって生活しようとする者であって、現在その意に反して就業することが出来ない者をいいます。
・請負と労働関係
請負契約による下請負人は、労務に従事することがあっても「労働者」とはなりません。
・委任と労働関係
委任は、「事業に使用される」関係ではありませんので、「労働者」とはなりません。
この記事に関するお問い合わせ先
総務部 労働保険徴収室 TEL : 0776-22-0112