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業務災害とは(業務上の疾病について)

業務上の疾病について

 労働者に生じる疾病については、一般に多数の原因又は条件が競合しており、このような広義の条件の一つとして労働あるいは業務が関与することを完全に否定し得るものは極めて稀です。しかしながら、単にこのような条件関係があることをもって直ちに業務と疾病との間に因果関係を認めるのではなく、業務と疾病との間にいわゆる相当因果関係があると認められる場合にはじめて業務上疾病として取り扱われることになります。
 労災保険法による業務災害に関する保険給付は、労働基準法の規定に定める災害補償事由が生じた場合に行うものとされていますが、労働基準法における災害補償責任は事業主の過失の有無を問うことなく、事業主に課せられるものとされていること(無過失賠償責任)、また、罰則をもってその履行が担保されていること(労基法第119条第1号)、労災保険法における保険給付の原資は事業主の負担する保険料とされていること等から考えますと、労働者がり患した疾病の業務起因性は、明確で、かつ、妥当なものでなければならないことになります。また、業務により有害因子のばく露を受けることによって生体に何らかの反応が生じたとしても、これが直ちに労災保険給付の対象となるものではなく、医学上療養を要することが認められる疾病が生じた場合にはじめて労災保険給付の対象となります。
 業務上疾病の認定に当たっては以上のような基本的な認識が必要となり、これをさらに具体的に示すと次のとおりとなります。


(1)業務遂行性

 業務上疾病も業務上の負傷の場合と同様に業務起因性を要件としており、その前提条件として業務遂行性が認められる必要があります。すなわち、「労働者が労働契約に基づいて事業主の支配管理下にある状態」と定義され、業務上疾病は労働者が労働の場において業務に内在する種々の有害因子に遭遇(ばく露)して引き起こされるものであるから、これら有害因子を受ける危険にさらされている状態を業務遂行性ということになります。
ただし、この業務遂行性は、労働者が事業主の支配管理下にある状態において疾病が発生することを意味しているのではなく、事業主の支配管理下にある状態において有害因子を受けることを意味しています。


(2)業務起因性

 業務上疾病の発症の形態は、業務に内在する危険としての有害因子が労働者に接触し、又は侵入することによって疾病発生の原因が形成され、発症はその危険が具現化されたものとなります。したがって、業務起因性とは、業務と発症原因との間及び発症原因と疾病との間に二重に有する因果関係を意味します。そして、それぞれの因果関係は単なる条件関係ないしは関与ではなく、業務が発症原因の形成に、また、発症原因が疾病形成にそれぞれ有力な役割を果たしたと医学的に認められることが必要となります。
 先の業務遂行性の説明と併せてみた場合、例えば、労働者が就業時間中に脳出血を発症したとしても、その発症原因に足りる業務上の理由が認められない限り、業務と疾病と間には相当因果関係は成立せず、業務上疾病とは認められませんが、就業時間外において発症したとしても、業務上の有害因子にばく露したことによって発症したものと認められれば業務と疾病との間に相当因果関係は成立し、業務上疾病と認められます。


 一般的には、労働者に発症した疾病について次の3要件が満たされる場合には、
原則として業務上疾病と認められます。

  1. 労働の場における有害因子の存在
     この場合の有害因子は、業務に内在する有害な物理的因子、化学物質、身体に過度の負担のかかる作業態様、病原体等の諸因子を指します。ただし、一般的環境の場と労働の場において同一の条件で発症の原因となるもの及び人の健康障害を引き起こすことの知見が得られていないものは、労働関係の場における有害因子とはされません。

  2. 有害因子へのばく露条件
     健康障害は有害因子へのばく露によって起こりますが、当該健康障害を起こすのに足りるばく露があったかどうかが重要であり、基本的にはばく露の程度とばく露期間によって決まりますが、どのような形態でばく露を受けたかによっても左右されるので、これを含めたばく露条件の把握が必要となります。

  3. 発症の経過及び病態
     業務上疾病は、労働者が業務に内在する有害因子に接触し又はこれが侵入することによって起こるものであるから、少なくともその有害因子へのばく露開始後に発症したものでなければなりませんが、業務上疾病の中にはばく露した有害因子の性質、ばく露条件等によって有害因子へのばく露後短日時のうちに発症するものもあれば、相当長期間の潜伏期間を経て発症するものもあります。したがって、発症の時期は、有害因子へのばく露中又はその前後のみに限定されるものではないが、有害因子の性質、ばく露条件等からみて医学的に妥当なものでなければなりません。また、業務上疾病の症状・障害は、一般的に有害因子の性質、ばく露条件等に対応する特徴を有するので、臨床医学、病理学、免疫学等の分野における医学的研究によって確立された知見に基づいて業務起因性の判断がなされることになります。





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