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給付基礎日額について
給付基礎日額
- 休業(補償)等給付や障害(補償)等給付などの生活の補償のための給付は、被災労働者が被災前に得ていた賃金額を基準に、給付金額(給付基礎日額・算定基礎日額)を計算・決定します。
- 給付基礎日額は、原則として労働基準法第12条に定める平均賃金に相当する額をいいます。(労災保険法第8条第1項)
- ただし、平均賃金をそのまま用いることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定める額を給付基礎日額とします。(同条第2項)
- なお、複数事業労働者の給付基礎日額は、原則、複数就業先に係る給付基礎日額に相当する額を合算した額となります。
平均賃金
原則の計算方法
- 平均賃金は、原則として、以下の計算方法より算定します。
算定すべき事由が生じた日※1の直前3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額※2を、その期間の歴日数で割った、1日当たりの賃金額
※1 算定すべき事由が生じた日
- 以下のいずれかの日をいいます。
- 業務上または通勤による負傷や死亡の原因となった事故が発生した日
または - 医師の診断によって疾病の発生が確定した日
ただし - 賃金締切日が定められているときは、算定すべき事由が生じた日の直前の賃金締切日
※2 計算に入れない賃金
- 結婚手当などの臨時的支払われた賃金や年2回支払われるボーナスなど3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、平均賃金の計算には入れません。
平均賃金の最低保障額
- 日給・時間給・出来高払給などの場合は「平均賃金の算定期間内に支払われた賃金総額をその期間中に実際に労働した日数で割って60%を掛けた額」と「原則の計算方法の額」を比較して、高い額を平均賃金とします。
平均賃金の計算例
計算例1(月給制の労働者)
- 月20万円の賃金を受けており、賃金締切日が毎月末日で、事故が10月に発生した場合
(20万円)×3か月÷92日[7月(31日)+8月(31日)+9月(30日)]
≒6,521.73円 ≒6,522円
(1円未満の端数は、1円に切り上げます。)
≒6,521.73円 ≒6,522円
(1円未満の端数は、1円に切り上げます。)
計算例2(月給制の複数事業労働者)
- 会社Aと会社Bの2社に就業している複数事業労働者で、会社Aからは月20万円、会社Bからは月10万円の賃金を受けており、賃金締切日が毎月末日で、事故が7月に発生した場合
会社Aの給付基礎日額は
(20万円)×3か月÷91日[4月(30日)+5月(31日)+6月(30日)]≒6,593.40円
会社Bの給付基礎日額は
(10万円)×3か月÷91日[4月(30日)+5月(31日)+6月(30日)]≒3,296.70円
合算した後の給付基礎日額は
6,593.40円+3,296.70円≒9890.10円1≒9,891円
(1円未満の端数は、1円に切り上げます。)
(20万円)×3か月÷91日[4月(30日)+5月(31日)+6月(30日)]≒6,593.40円
会社Bの給付基礎日額は
(10万円)×3か月÷91日[4月(30日)+5月(31日)+6月(30日)]≒3,296.70円
合算した後の給付基礎日額は
6,593.40円+3,296.70円≒9890.10円1≒9,891円
(1円未満の端数は、1円に切り上げます。)
計算例3(時給制の労働者)
- 時給制(1,000円)で1日の所定労働時間が8時間の労働者について、6月に災害が発生した場合(賃金締切日は毎月末日)
[賃金額と労働日数のモデル]
3月 120,000円(労働日数15日)
4月 88,000円(労働日数11日)
5月 80,000円(労働日数10日)
3月 120,000円(労働日数15日)
4月 88,000円(労働日数11日)
5月 80,000円(労働日数10日)
原則の計算方法による平均賃金は
(120,000円+88,000円+80,000円)÷[3月(31日)+4月(30日)+5月(31日)]≒3130.43円
最低保障の計算方法による平均賃金は
(120,000円+88,000円+80,000円)÷[3月(15日)+4月(11日)+5月(10日)]×60%=4,800円
採用する平均賃金は、最低保障の額が高いため、4,800円となります。
(120,000円+88,000円+80,000円)÷[3月(31日)+4月(30日)+5月(31日)]≒3130.43円
最低保障の計算方法による平均賃金は
(120,000円+88,000円+80,000円)÷[3月(15日)+4月(11日)+5月(10日)]×60%=4,800円
採用する平均賃金は、最低保障の額が高いため、4,800円となります。
スライド制と限度額
- 給付基礎日額は、保険給付の実質的な価値を維持するために、賃金水準の変動(上昇・下降)に合わせて、増額又は減額(スライド)されます。
休業給付基礎日額
- 休業(補償)給付の額の算定の基礎となる給付基礎日額は、賃金水準※が四半期で10%を超えて上下した場合、その変動率に応じて、増額又は減額(スライド)されます。
- スライド率により、実際に給付基礎日額が改定されるのは、平均給与額が10%を超えて上下した四半期の翌々四半期からです。
- また、療養開始後1年6か月を経過した場合は、年齢階層別の最低・最高限度額が適用されます。
(※)厚生労働省「毎月勤労統計調査」における労働者1人当たり1か月の平均給与額
年金給付基礎日額
- 年金の労災保険給付(傷病(補償)等年金・障害(補償)年金・遺族(補償)等年金)の額の算定の基礎となる給付基礎日額は、毎年、前年度と比較した賃金水準※の変動率に応じて増額又は減額(スライド)されます。
- また、年金が支給される最初の月から、年齢階層別の最低・最高限度額が適用されます
(※)厚生労働省「毎月勤労統計調査」における労働者1人当たり1か月の平均給与額