労働条件・労働時間
労働条件関係
厳しい経済情勢下での労務管理の留意点
現在の厳しい経済情勢の下で、企業を巡る環境も厳しさを増している状態にあり、やむなく賃金、労働時間などの労働条件の引下げや希望退職者の募集、解雇などを行わざるを得ない企業もみられます。
労働条件の引下げや、解雇などを行うことが、やむを得ない場合であっても、その実施に当たっては、法令で定められた規制や手続、労使間で定めた必要な手続等を遵守するとともに、事前に十分な労使間での話し合いや労働者への説明を行うことが最低限必要です。
このため労働基準法等の法令を守るとともに、裁判例を参考にしたうえで、労働条件の確保に向けた適切な労務管理を実施するようお願いします。
労働条件に関する裁判例(参考)
就業規則の不利益変更が無効とされた例
就業規則の不利益変更を一方的に行う場合、代償となる労働条件を何ら提供しておらず、不利益を是認させるような特別の事情も認められないので、就業規則(退職金支給規程)の変更は合理的なものではなく無効であるとされた。
(最高裁第二小法廷 昭和56年(オ)第1173号 昭和58年7月15日判決)
解雇が無効とされた例
「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である」
(最高裁第二小法廷 昭和43年(オ)第499号 昭和50年4月25日判決)
整理解雇の要件が示された例
整理解雇をする場合には、
人員削減の必要性(特定の事業部門の閉鎖の必要性)
人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(配置転換などをする余地がないか)
解雇対象者の選定の妥当性(選定基準が客観的、合理的であること)
解雇手続の妥当性(労使の協議など)
が必要であるとされた。
(東京高裁 昭和51年(ネ)第1028号 昭和54年10月29日判決)
雇止めについて解雇と同様に判断するとされた例
「本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各傭止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、実質において解雇の意思表示にあたり、本件各雇止めの判断に当たっては解雇に関する法理を類推すべきである」
(最高裁第一小法廷 昭和45年(オ)第1175号 昭和49年7月22日判決)
雇止めについて解雇と同様に判断するとされた例
「本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各傭止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、実質において解雇の意思表示にあたり、本件各雇止めの判断に当たっては解雇に関する法理を類推すべきである」
(最高裁第一小法廷 昭和45年(オ)第1175号 昭和49年7月22日判決)
退職勧奨について
ことさらに多数回、長期にわたる退職勧奨は、いたずらに被勧奨者の不安感を増し、不当に退職を強要する結果となる可能性が高く、退職勧奨は、被勧奨者の家庭の状況、名誉感情等に十分配慮すべきであり、勧奨者の数、優遇措置の有無等を総合的に勘案し、全体として被勧奨者の自由な意思表示が妨げられる状況であった場合には、当該退職勧奨行為は違法な権利侵害となる。
(最高裁第一小法廷 昭和52年(オ)第405号 昭和55年7月10日判決)
[原審(広島高裁 昭和52年1月24日判決)判断を容認]
転籍について労働者の同意が必要であるとされた例
「労働契約の一身専属性にかんがみ、労働者の承諾があってはじめて転属が効力を生ずる」
(最高裁第一小法廷 昭和43年(オ)第1122号 昭和48年4月12日判決)
配置転換について
就業場所や職務を限定する労使の合意がなく、就業規則や労働協約等に根拠があれば、使用者に配置転換を命ずる権限があるものと解される。
ただし、使用者の配置転換権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することは許されない。
使用者の転勤命令権は、業務上の必要性(企業の合理的運営に寄与するものである)が存しない場合または必要性があったとしても[イ]不当な動機・目的がある場合もしくは[ロ]労働者が通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせる場合等を除き、権利濫用とはならないものというべきである。
(最高裁第二小法廷 昭和59年(オ)第1318号 昭和61年7月14日判決)
在籍出向について
在籍出向については、労働協約の内容として規定されているか、就業規則上明白に規定する必要があり、そうでない場合には、労働者個人との合意のものに行われるべきである。
(最高裁第二小法廷 昭和47年(オ)第798号 昭和48年10月19日判決)
[原審(東京高裁 昭和47年4月26日判決)判断を容認]
懲戒処分について
「使用者は広く企業秩序を維持し、もって企業の円滑な運営を図るために、その雇用する労働者の企業秩序違反行為を理由として、当該労働者に対し、一種の制裁罰である懲戒を課すことができる」
(最高裁第一小法廷 昭和53年(オ)第1144号 昭和58年9月8日判決)
「使用者の懲戒権の行使は、当該具体的事情の下において、それが客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合に初めて権利の濫用として無効となる」
(最高裁第二小法廷 昭和56年(オ)第284号 昭和58年9月16日判決)
採用内定取消しについて
「採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示」がなく、採用内定通知が労働者の炉宇津緒契約の申込みに対する承諾と判断される場合、誓約書の提出等と相まって、就労の始期を定めた「採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解する」
当該労働契約の解除は「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められる社会通念上相当として是認することができるものに限られる」
(最高裁第二小法廷 昭和52年(オ)第94号 昭和54年7月20日判決)
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準
過重労働による健康障害を防ぐために
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