労働条件相談Q&A 労働基準部
解雇・雇止め関係
 
Q.労働者を解雇する場合の手続きについて教えて下さい。

A. 労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前の予告が必要となります。また、予告が30日に満たない場合は、その満たない日数分の平均賃金の支払が必要(これを「解雇予告手当」といいます。)となります。(労働基準法第20条)
また、以下に該当する場合、解雇は禁止されています。
(1) 業務上の傷病による休業期間及びその後30日間(労働基準法第19条)
(2) 産前産後の休業期間及びその後30日間(労働基準法第19条)
(3) 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労働基準法第3条)
(4) 労働者が労働基準監督署へ申告をしたことを理由とする解雇(労働基準法第104条)
(5) 労働組合の組合員であること、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇(労働組合法第7条)
(6) 女性であること、あるいは女性が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後の休業をしたことを理由とする解雇(男女雇用機会均等法第8条)
(7) 育児休業の申出をしたこと、又は育児休業したことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条)
(8) 介護休業の申出をしたこと、又は介護休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第16条)

以上のような労働基準法等の定めに反しなければ、事業主が解雇を自由に行い得るというわけではありません。
なお、解雇が無効とされた次のような裁判例がありますので、参考にして下さい。
「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解されるのが相当である。」(最高裁第二小法廷 昭和43年(オ)第499号 昭和50年4月25日判決)
さらに、整理解雇をする場合には、
(1) 人員削減の必要性(特定の事業部門の閉鎖の必要性)
(2) 人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(配置転換などをする余地がないのか)
(3) 解雇対象者の選定の妥当性(選定基準が客観的、合理的であること)
(4) 解雇手続きの妥当性(労使の協議など)
が必要であるとされています。(東京高裁 昭和51年(ネ)第1028号 昭和54年10月29日判決 等)

 
Q.会社に退職願を提出しましたが受け取ってくれません。会社が同意してくれないと私は退職できないのでしょうか?

A. 民法では期間の定めのない雇用契約については、解約の申し入れ後、2週間(ただし、月給制の場合は、当該賃金計算期間の前半に申し入れて下さい。)で終了することとなっており、会社の同意がなければ退職できないというものではありません。(民法第627条)
なお、会社の就業規則に退職について規定されている場合は、原則として就業規則の規定が適用されますので一度確認してみてください。
(就業規則で極端に長い退職申入れ期間を定めている場合などは、労働者の退職の自由が極度に制限され、公序良俗の見地から無効とされる場合もあります。

 
Q.会社で総務を担当していますが、このたび労働者を就業規則の規定に基づき懲戒解雇にしようと思っています。解雇予告は必要でしょうか?

A. 会社の規則で定める懲戒解雇の事由に該当したとしても労働基準法に規定する解雇予告又は解雇予告手当の支払は必要になります。
ただし、その懲戒解雇の事由が事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為など労働者の責に帰すべき事由であった場合は、解雇予告又は解雇予告手当の支払は不要です。なお、この場合は、労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。(労働基準法第20条)

 
Q.1年契約のパートタイム労働者を契約更新しながら雇用していますが、このような労働者に対して契約更新しなかった場合、解雇の手続は必要ですか?

A. 期間の定めのある労働契約の反復更新によって実質上期間の定めのない労働関係になったと認められる場合には、労働基準法第20条(解雇の予告)が適用されます。しかしながら、同上が適用されない場合においても、事業主の更新拒絶により労働契約が突然終了することによって被る労働者の不利益を緩和することが望ましいことから、事業主は、1年を超えて引き続き労働者を使用するに至った場合は、当該労働契約を更新することなく期間の満了により終了させるときに、少なくとも30日前に予告を行うように努めて下さい。


 
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