平成20年度の定期監督等の概要【監督課】
神奈川労働局発表
平成21年6月1日
担
当 |
監 督 課 長 久 富 康 生
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監察監督官 古 屋 強
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電 話 045-211-7351
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監督実施事業場の3分の2に違反が認められ、違反割合は増加
~平成20年の定期監督等の概要~
神奈川労働局(局長 森岡雅人)管下12労働基準監督署が平成20年に実施した定期監督等の件数は、5874件で、このうち法令違反が認められ、改善を指導した事業場は約3分の2の65.3%(前年比2.6ポイント増)に達した。
法令違反の主な内容は、
- 法定労働時間を超えて労働させていたもの(1,521件 違反率26%)
- 割増賃金を支払っていないもの(881件 違反率15.1%)
- 機械設備に関する安全基準を満たしていないもの(891件 違反率15.2%) などであった。
神奈川労働局においては、今後とも7千件を超える休業災害の未然防止を図るほか、長時間過重労働、賃金不払残業の防止に向け積極的に監督指導を実施するとともに、重大・悪質な事案については、送検手続をとるなど厳正に対処することとしている。
1 定期監督等の実施状況
3分の2の事業場に法違反が認められ、その割合は昨年に比べて増加
平成20年の定期監督等の実施件数は、5,847件(前年比899件減)で、法違反が認められ、改善を指導した事業場の割合は65.3%(前年比2.6ポイント増)であった(【表1】グラフ1)。
商業、その他の事業に対する指導を強化
定期監督等の実施事業場の業種別の件数は、(1)建設業2,108件(全業種に対する割合36.1%・前年比0.7ポイント減)、(2)製造業1,273件(同21.8%・同3.8ポイント減)、(3)商業728件(同12.5%・同2.3ポイント増)、(4)その他の事業441件(同7.5%・同0.1ポイント増)であった(【表1】グラフ1)。
労働基準法の主要な違反は労働時間、就業規則、割増賃金
労働基準法の主要な法違反の内容は次のとおり(表2)。
ア ) 労働条件明示関係
- 労働基準法第15条(労働条件の明示)に係る違反
538件(違反率9.2%・前年比1.3ポイント増)
《違反事例》
労働者を雇い入れる際に、賃金額や支払方法等法定事項について書面を交付していないもの。また、交付しているが、法定項目が不足しているもの。 - 同法第89条(就業規則の作成等)に係る違反
921件(違反率15.8%・前年比2.7ポイント増)
《違反事例》
10名以上の労働者を使用しているのに、就業規則を作成・届出していないもの。
イ ) 労働時間・割増賃金関係
- 労働基準法第32条(労働時間)に係る違反
1,521件(違反率26.0%・前年比0.8ポイント減)
《違反事例》
時間外労働協定を締結・届出していないのに、法定労働時間を超えて労働させているもの。また、協定の締結・届出はあるものの、その協定で定めた時間を超えて労働させているもの。 - 同法第37条(割増賃金)に係る違反
881件(違反率15.1%・前年比0.6ポイント減)
《違反事例》
時間外労働、深夜労働を行わせているのに、法定割増賃金(通常の賃金の2割5分以上)を支払っていないもの。
労働安全衛生法の違反率が増加
労働安全衛生法の主要な法違反の内容は次のとおり(表2)。
ア ) 労働条件明示関係
- 労働安全衛生法第10~12、14、15、17~19条(安全衛生管理体制)に係る違反
1,029件(違反率17.6%・前年比0.5ポイント増)
《違反事例》
50人以上の労働者を使用しているのに、法定の管理者(衛生管理者等)を選任していないもの。 - 同法第20~25条(機械・設備等の危険防止措置に関する安全基準)に係る違反
891件(違反率15.2%・前年比0.7ポイント増)
《違反事例》
10名以上の労働者を使用しているのに、就業規則を作成・届出していないもの。
イ ) 労働時間・割増賃金関係
- 労働基準法第32条(労働時間)に係る違反
1,521件(違反率26.0%・前年比0.8ポイント減)
《違反事例》
時間外労働協定を締結・届出していないのに、法定労働時間を超えて労働させているもの。また、協定の締結・届出はあるものの、その協定で定めた時間を超えて労働させているもの。 - 同法第37条(割増賃金)に係る違反
881件(違反率15.1%・前年比0.6ポイント減)
《違反事例》
高さが2メートル以上の場所で、作業床の端に墜落防止のための手すりを設置することなく、作業を行わせていたもの。
※ 定期監督等とは、過去の監督指導結果、各種の情報、労働災害報告等を契 機として、労働基準監督官が実施する事業場に対する立入検査のこと。定期監督等は、法定労働条件の確保上の問題があると考えられる事業場に対し実施している。
2 今後の指導方針
今後とも、神奈川労働局及び管下労働基準監督署においては、厳しい経済情勢下での法定労働条件の確保、長時間労働の抑制や過重労働による健康障害の防止、今なお約7千人に及ぶ死傷者が発生している労働災害の防止など労働者が健康で安全・納得して働くことができる職場環境の実現を目指し、積極的に監督指導等を実施することとしている。