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厳しい経済情勢下での労務管理の留意点

はじめに
    現在の厳しい経済情勢の下で、企業を巡る環境も厳しさを増している状態にあり、やむなく賃金、労働時間などの労働条件の引下げや希望退職者の募集、解雇などを行わざるを得ない企業もみられます。

    企業の事業活動が景気変動や産業構造の変化等の影響を受けることは避けられない面もあるでしょうが、労働条件の引下げや解雇などを行うことが、やむを得ない場合であっても、その実施に当たっては、法令で定められた規制や手続、労使間で定めた必要な手続等を遵守するとともに、事前に十分な労使間での話し合いや労働者への説明を行うことが最低限必要です。このようなことを行わず、安易に労働条件の引下げ等を行う場合には、労使の信頼関係を損ね、企業活力の低下を招いたり、社会全体としてみても、労働者の生活不安を招き、消費を冷え込ませ、景気回復を妨げることにもなりかねません。

    このため、以下の各事項をよく理解した上で、労働条件の確保に向けた適切な労務管理を実施するようお願いします。

賃金、雇用・退職に関する労働関係法令の概要

賃金等について

解雇の禁止について

解雇の手続について

退職時の証明について

労働条件に関する裁判例(参考)

就業規則の不利益変更が無効とされた例

解雇が無効とされた例

整理解雇の要件が示された例

雇止めについて解雇と同様に判断するとされた例

転籍について労働者の同意が必要であるとされた例



賃金、解雇・退職に関する労働関係法令の概要

(1) 賃金等について

(1) 賃金の確実な支払
 賃金は、労働者にとって重要な生活の糧であり、確実な支払いが確保されなければなりません。    このため、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定期日を定めて支払わなければなりません。(労働基準法第24条)
(2)退職金・社内預金の確実な支払等のための保全措置
退職金は労働者の退職後の生活に重要な意味を持つものであり、また、社内預金は労働者の貴重な貯蓄ですので、万一、企業が倒産した場合であっても、労働者にその支払や返還が確実になされなければなりません。このため、社内預金制度を行う場合は、確実な支払等のための保全措置を講じなければならず、また、退職金制度を設けている場合にも、確実な支払のための保全措置を講ずるように努めなければなりません。(賃金の支払の確保等に関する法律第3条、第5条)
(3)休業手当ての支払
   一時帰休など企業側の都合(使用者の責に帰すべき事由)により所定労働日に労働者を休業させた場合には、休業させた日について少なくとも平均賃金の100分の60以上の休業手当てを支払わなければなりません。(労働基準法第26条)

参考) 未払賃金の立替払制度の概要

   未払賃金の立替払制度は、企業が倒産したため賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、その未払賃金の一定範囲について国(労働福祉事業団)が事業主に代わって支払う制度です。

    詳しくは最寄りの労働基準監督署にお問い合わせください。

(2) 解雇の禁止について

以下に該当する場合の解雇は、法律上禁止されています。

(1)  業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇(労働基準法第19条)
(2)  産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇(労働基準法第19条)
(3)  国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労働基準法第3条)
(4)  労働者が労働基準監督署へ申告をしたことを理由とする解雇(労働基準法第104条)
(5)  労働組合の組合員であること、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇(労働組合法第7条)
(6)  女性であること、あるいは女性が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後の休業をしたことを理由とする解雇(男女雇用機会均等法第8条)
(7)  育児休業の申出をしたこと、又は育児休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条)
(8)  介護休業の申出をしたこと、又は介護休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第16条、平成11年4月1日から施行)

(3)解雇の手続について

(1)  やむを得ず解雇を行う場合には、解雇しようとする労働者に対して、

イ 少なくとも30日前に解雇の予告(ただし、この予告の日数は、1日について平均賃金を支払うことで、その日数を短縮できます。)
ロ 予告を行わない場合には平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払

をしなければなりません。(労働基準法第20条)
(2)  どのような場合に解雇するかなど解雇に関することは、労働条件の重要な事項です。このため、解雇・定年制等の退職に関する事項については、就業規則に定めておかなければなりません。また、就業規則は常時作業場の見易い場所に掲示、又は備え付ける等により労働者に周知しなければなりません。(労働基準法第89条・労働基準法第106条)
(3)  労働者が離職した場合には、事業主は、雇用保険被保険者資格喪失届に離職証明書を添えて公共職業安定所に提出しなければなりません。(雇用保険法施行規則第7条)
(4)  30人以上の離職者が生ずる場合には、公共職業安定所長に大量雇用変動の届出をしなければなりません。(雇用対策法第21条)

(4) 退職時の証明について

    労働者が退職する場合に、以下の事項について証明書を請求したときには、速やかに証明書を交付しなければなりません。(労働基準法第22条)
(1)  使用期間
(2)  業務の種類
(3)  その事業における地位
(4)  賃金
(5)  退職の事由(解雇の場合は、その理由を含みます。)
(※(5)については、平成11年4月1日以降退職した労働者に対して適用されます。)

労働条件に関する裁判例(参考)

    以上のような労働基準法等の定めに反しなければ、事業主が解雇等を自由に行い得るというわけではありません。
    裁判例では、労働条件の一方的な引下げについては、不利益の程度や代替措置等を勘案して合理性がある場合に限って、個々の労働者の同意なしに就業規則の不利益変更が認められるものとされています。
    また、解雇については、合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない場合には無効とされており、雇用調整のために行われる整理解雇についても、一定の要件が必要であるとされています。繰り返し更新されてきた短期の労働契約を更新しないこととするいわゆる「雇止め」については、事案によって、解雇の場合と同様に判断するとされた裁判例もあります。
    さらに、労働契約関係を終了させて新たな労働契約関係を成立させることになるいわゆる「転籍」(移籍出向)については、労働者の同意が必要とされています。
    代表的な裁判としては、次のようなものがあります。

(1)就業規則の不利益変更が無効とされた例

    就業規則の不利益変更を一方的に行う場合、代償となる労働条件を何ら提供しておらず、不利益を是認させるような特別の事情も認められないので、就業規則(退職金支給規程)の変更は合理的なものでなく無効であるとされた。
(最高裁第二小法廷 昭和56年(オ)第1173号 昭和58年7月15日判決)

(2)解雇が無効とされた例

    「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である」
(最高裁第二小法廷 昭和43年(オ)第499号 昭和50年4月25日判決)

(3)整理解雇の要件が示された例

    整理解雇をする場合には、
(1)  人員削減の必要性(特定の事業部門の閉鎖の必要性)
(2)  人員削減の手段として整理解雇を選択する必要性(配置転換などをする余地がないか)
(3)  解雇対象者の選定の妥当性(選定基準が客観的、合理的であること)
(4)  解雇手続の妥当性(労使の協議など)
が必要であるとされた。
(東京高裁 昭和51年(ネ)第1028号 昭和54年10月29日判決 等)

(4)雇止めについて解雇と同様に判断するとされた例

    「本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各傭止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、実質において解雇の意思表示にあた」り、本件各雇止めの判断に当たっては、「解雇に関する法理を類推すべきである」
(最高裁第一小法廷 昭和45年(オ)第1175号 昭和49年7月22日判決)

(5)転籍について労働者の同意が必要であるとされた例

    「労働契約の一身専属性にかんがみ、労働者の承諾があってはじめて転属が効力を生ずる」
(最高裁第一小法廷 昭和43年(オ)第1122号 昭和48年4月12日判決)
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