労働者の死亡または退職の場合で、権利者の請求があった場合には、請求を受けた日から7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません。
ここで言う賃金とは、労働協約や就業規則などであらかじめ支給条件が定められている退職金も含みます。但し、退職金の支払時期については、あからじめ定められた支払時期で良い、とされています。
なお、賃金または金品に関して争いがある場合には、異議のない部分をその期間中に支払い、または返還しなければなりません。
ここで言う権利者とは、退職の場合は本人、死亡の場合は相続人をいい、金銭貸借関係にある債権者は含みません。なお、請求者が権利者であるかどうか疑わしい場合には、戸籍謄本などにより権利者であることを証明してもらうことが大切です。不注意で権利者でない者に支払った場合に、正当な権利者から請求があったときは二重の支払いをしなければならないことになります。
また、法定相続人は一人とは限りません。むしろ、民法の分割相続の原則から二人以上の場合のほうが多く見られますので、委任状のない相続人に支払った場合は後で困難な問題が起こることもありますので、注意が必要です。
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