職場の労務管理に関するQ&A

賃金、退職金、賞与編

Q1.

どのような場合に就業規則を労働基準監督署に届出る必要がありますか?

A1. 常時10人以上の労働者を使用する使用者について、一定の事項を記載した就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届出ることを義務付けています。(労働基準法第89条)

Q2.

就業規則を作成しようと考えていますが、具体的にどのようなことを規定する必要があるのでしょうか?

A2. 就業規則に必ず記載しなければならない事項は、次のとおりです。
   ・ 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
 ・ 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
 ・退職に関する事項(解雇の事由を含む)
  なお、上記以外に、退職手当に関する事項、臨時の賃金(賞与)・最低賃金額に関する事項、食費・作業用品などの負担に関する事項、安全衛生に関する事項、職業訓練に関する事項、災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項、表彰、制裁に関する事項、その他全労働者に適用される事項については、定めをする場合には記載しなければならないこととされています。(労働基準法第89条)

Q3.

就業規則の作成や変更は、会社が自由にできるのですか?

A3. 就業規則は、会社が作成・変更するものですが、内容について法令や労働協約に反することはできません。また、就業規則を作成・変更する際には、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければなりません。(労働基準法第89条、第90条)
なお、就業規則の変更が「不利益変更」に当たり、合理的なものでないため無効とされた裁判例があります。(最高裁第二小法廷昭和56年(オ)第1173号昭和58年7月15日判決)

Q4.

就業規則は20年前に作成し、監督署へも届出済みですが、その後全く変更していません。変更が必要ですか?

A4. 20年前と比べると労働基準法も改正されておりますし、その間に労働時間、休日など労働条件も変わってきていると思われます。変更部分があれば就業規則も見直しを行い、所轄の労働基準監督署長への届出も必要となります。(労働基準法第89条)

Q5.

労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか?

A5. 労働基準法第109条では、労働者名簿、賃金台帳、雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない、と定めています。これらの書類をパソコン上で作成して保存するには
   (1)法令で定められた要件を具備し、かつそれを画面上に表示し印字することができること。
 (2)労働基準監督官の臨検時等、直ちに必要事項が明らかにされ、提出し得るシステムとなっていること。
 (3)誤って消去されないこと。
 (4)長期にわたって保存できること。
などの要件を満たしていれば可能です。

Q6.

就業規則を従業員に周知するのは当然だと思いますが、その他に周知しなければならないものはありますか?

A6. 労働基準法及び同法による命令等の要旨、時間外・休日労働に関する協定等の各労使協定、新裁量労働制に係る委員会の決議内容を従業員に周知する必要があります。(労働基準法第106条)

Q7.

就業規則などの周知は、どのような方法で行えばよいのでしょうか。

A7. 以下のいずれかの方法で周知しなければなりません。
    
  1. 常時各作業場の見やすい場所に掲示・備え付ける。
  2. 各人に書面で交付する。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する。

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