作業環境測定の実施について

 有害な業務を行う作業場では、労働者が化学物質等の有害物にさらされる可能性があります。このため、

労働安全衛生法(以下「安衛法」という)では、作業環境の状況を把握するため特定の作業場について作業

環境測定の実施(デザイン、サンプリングおよび解析を含む分析)とその結果の記録が義務付けられています。
 以下、この作業環境測定の実施等にかかわる主な事項については次のとおりです。

 

   

   1. 作業環境測定の必要な作業場

 

   2. 作業環境測定の実施方法

 

   3. 作業環境測定を行う者

 

   4. 作業環境測定結果の評価

 

   5. 評価に基づく措置

 

   6. 作業環境測定結果の記録

 

   7. お問い合わせ

 

 

 

 

1.作業環境測定の必要な作業場

 作業環境測定の必要な作業場は労働安全衛生法施行令21条に定められ、その概要は下表のとおりです。

 

 作業環境測定を行うべき作業場 測定の概要 
1 土石、鉱物等の粉じんを著しく発散する屋内作業場 粉じん濃度等
2 暑熱、寒冷、多湿の屋内作業場 気温、湿度およびふく射熱
3 著しい騒音を発する屋内作業場 等価騒音レベル
4 坑内作業場 イ 炭酸ガスが停滞する作業場 炭酸ガス濃度
ロ 28℃を超える作業場 気温
ハ 通気設備のある作業場 通気量
5 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の事務所 一酸化炭素、二酸化炭素の含有率、温湿度等
(参考) 事務所の室の建築、大規模の修繕や模様替えを行ったとき ホルムアルデヒドの量
6

放射線業

務を行う
作業場

イ 放射線業務を行う管理区域 外部放射線による線量当量率等
 放射性物質取扱作業場 放射性物質濃度
ハ 坑内の核原料物質の採掘を行う作業場 放射性物質濃度
7 第1類、第2類特定化学物質を製造し、取扱う屋内作業場など 第1類物質、第2類物質濃度等
石綿等を取扱う屋内作業場 石綿濃度
8 一定の鉛業務を行う屋内作業場 鉛濃度
9 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の作業場 第1種酸素欠乏危険作業場の酸素濃度
第2種酸素欠乏危険作業場の酸素、硫化水素濃度
10 第1種、第2種有機溶剤を製造し、取扱う屋内作業場 有機溶剤濃度

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注)表中の赤字は指定作業場、※印は作業環境評価基準の適用される作業場を示す。

*印は事務所衛生基準規則によるもの。

 

 

 

 

2.作業環境測定の実施方法 

 作業環境測定は、客観的でかつ正確さが求められるため、測定方法の基本的事項等が「作業環境測定
基準」
に定められており、これに従って作業環境測定を行う必要があります(安衛法第65条第2項)。
「作業環境測定基準」には、次のような内容が定められています。


   (1) 単位作業場所(作業場内での労働者の行動範囲、有害物の分布状況等に基づき定められ
      る作業環境測定のために必要な区域)の設定方法

   (2) 測定点の設定方法
   (3) 測定時刻、測定時間の選定方法
   (4) 測定機器の種類

 

 

3.作業環境測定を行う者

 作業環境測定を正確に行うためには、測定しようとする物質の性状や実施されている作業の方法、分

方法などについての高度の知識および技術が必要とされるため、作業環境測定の必要な作業場のうち、

「粉じん」、放射性物質取扱作業室」、「特定化学物質等」、「鉛」、「有機溶剤」、の“指定作業場”

あっては、自社の作業環境測定士(作業環境測定士試験に合格し、厚生労働大臣の登録を受けた者)に

測定を実施させるか作業環境測定機関 (厚生労働大臣または都道府県労働局長の登録を受けた機関)

に測定を委託しなければなりません。

 

 

 

4.作業環境測定結果の評価 

 作業環境測定結果を適正に評価するために「作業環境評価基準」が定められています。この基準に基づき、

作業環境の状態を第一管理区分、第二管理区分、第三管理区分に区分して評価を行わなければなりません。

なお、各「管理区分」は次のような状態をいいます。

  1管理区分:単位作業場のほとんどの場所で、有害物質濃度が管理濃度(作業環境管理の良否
             を判断するため、測定対象ごとに定められた濃度値をいう(作業環境評価基準の
             別表)を超えない状態。


  ・第2管理区分:単位作業場所内の有害物質濃度の平均が管理濃度を超えない状態。

  ・第3管理区分:単位作業場所内の有害物質濃度の平均が管理濃度を超える状態。

 


5.評価に基づく措置 

 作業環境測定結果の評価に基づき、次の措置を講じなければなりません。

  ・イ 第三管理区分に区分された場所については、直ちに設備、作業方法などの点検を行い、その結
      果に基づき、作業環境を改善するために必要な措置を講じ、当該場所の管理区分が第一管理区
      分または第二管理区分となるようにしなければなりません。

      必要な措置を講じたときは、その効果を確認するため、有害物質の濃度について測定・評価を
      行
わなければなりません。

      また、第三管理区分に区分された場所については、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる
      ほか、健康診断の実施その他、労働者の健康を図るために必要な措置を講じなければなりませ
      ん。


  ・ロ 第二管理区分に区分された場所については、設備、作業方法等の点検を行い、その結果に基づ
      き設備等の設置、作業方法等の改善その他作業環境を改善するために必要な措置を講ずるよう
      努めなければなりません。


  ・ハ 第一管理区分に区分された場所については、作業環境管理が適切であると判断されるため同区
      分理の継続に努める。

 


6.作業環境測定結果の記録  

 作業環境測定を行った場合は、(1)測定日時、(2)測定方法、(3)測定箇所、(4)測定条件、(5)測定結果、

(6)測定者名、(7)結果に基づく改善等概要を記録しておかなければなりません。(安衛法第65条第1項)

また、作業環境測定結果の評価を行ったときは、(1)評価日時、(2)評価箇所、(3)評価結果、(4)評価者名

を記録しておかなければなりません。(安衛法第65条の第2項第3項)

 

 

7.お問い合わせ  

 ご不明な点等につきましては、労働局又は最寄りの労働基準監督署まで、お問合せ下さい。

  

 

 
 
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