足場からの墜落防止措置が強化されます

 厚生労働省では足場に関する法定の墜落防止措置を定める労働安全衛生規則を改正し、足場からの墜落防止措置を強化しました。令和5年10月1日(一部規定は令和6年4月1日)から順次施行します。(パンフレット PDF


改正のあらまし

1 一側足場の使用範囲が明確化されます

 幅が1メートル以上の箇所において足場を使用するときは、原則として本足場を使用することが必要になります。

2 足場の点検時には点検者の指名が必要になります

 事業者及び注文者が足場の点検(つり足場を含む。)を行う際は、あらかじめ点検者を指名することが必要になります。

3 足場の組立て等の後の点検者の氏名の記録・保存が必要になります

 足場の組立て、一部解体、変更等の後の点検後に、点検者の氏名を記録・保存することが必要になります。
 また、労働災害防止対策を確実に実施するため、安全衛生経費については適切に確保してください。

改正の内容

一側足場の使用範囲が明確化されます(R6.4.1 施行)

 令和6年4月1日以降、幅が1メートル以上の箇所(※)において足場を使用するときは、原則として本足場を使用する必要があります。なお、幅が1メートル未満の場合であっても、可能な限り本足場を使用してください。
 つり足場の場合や、障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なときは本足場を使用しなくても差し支えありません。

(※)足場を設ける床面において、当該足場を使用する建築物等の外面を起点としたはり間方向の水平距離が1メートル以上ある箇所のこと。

▶「幅が1メートル以上の箇所」に関する留意点
 足場設置のため確保した幅が1メートル以上の箇所について、その一部が公道にかかる場合、使用許可が得られない場合、その他当該箇所が注文者、施工業者、工事関係者の管理の範囲外である場合等については含まれません。
 なお、足場の使用に当たっては、可能な限り「幅が1メートル以上の箇所」を確保してください。
    

▶「障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なとき」とは
  •  足場を設ける箇所の全部又は一部に撤去が困難な障害物があり、建地を2本設置することが困難なとき
   
  •  建築物の外面の形状が複雑で、1メートル未満ごとに隅角部を設ける必要があるとき
   
  •  屋根等に足場を設けるとき等、足場を設ける床面に著しい傾斜、凹凸等があり、建地を2本設置することが困難なとき
   
  •  本足場を使用することにより建築物等と足場の作業床との間隔※が広くなり、墜落・転落災害のリスクが高まるとき
   

※ 足場の使用に当たっては建築物等と足場の作業床との間隔が30センチメートル以内とすることが望ましいです。
 

<留意点>
 足場を設ける箇所の一部に撤去が困難な障害物があるとき等において、建地の一部を1本とする場合は、足場の動揺や倒壊を防止するのに十分な強度を有する構造としなければなりません。
 

足場の点検時には点検者の指名が必要になります(R5.10.1 施行)

事業者又は注文者が足場の点検を行う際は、点検者を指名しなければなりません。
▶ 指名の方法
 点検者の指名の方法は「書面で伝達」「朝礼等に際し口頭で伝達」「メール、電話等で伝達」「あらかじめ点検者の指名順を決めてその順番を伝達」等、点検者自らが点検者であるという認識を持ち、責任を持って点検ができる方法で行ってください。

▶ 点検者について
 事業者又は注文者が行う足場の組立て、一部解体又は一部変更の後の点検は、
  • 足場の組立て等作業主任者であって、足場の組立て等作業主任者能力向上教育を受講している者
  • 労働安全コンサルタント(試験の区分が土木又は建築である者)等労働安全衛生法第88条に基づく足場の設置等の届出に係る「計画作成参画者」に必要な資格を有する者
  • 全国仮設安全事業協同組合が行う「仮設安全監理者資格取得講習」を受けた者
  • 建設業労働災害防止協会が行う「施工管理者等のための足場点検実務研修」を受けた者
 
等十分な知識・経験を有する者を指名することが適切であり、「足場等の種類別点検チェックリスト」を活用することが望ましいです。

足場の組立て等の後の点検者の氏名の記録・保存が必要になります(R5.10.1 施行)

 事業者又は注文者が行う足場の組立て、一部解体又は一部変更の後の点検後に2で指名した点検者の氏名を記録及び保存しなければなりません。
<留意点>
 足場の点検後の記録及び保存に当たっては、「足場等の種類別点検チェックリスト」を活用することが望ましいです。


 建設工事従事者の安全及び健康の確保のために安全衛生経費の適切な支払いが必要です

 建設業における労働災害の発生状況は、長期的に減少傾向にあるものの、いわゆる一人親方等を含めた建設工事従事者全体では、墜落災害をはじめとする建設工事の現場での災害により、年間約400人もの尊い命が亡くなっています。
 労働安全衛生法は元請負人及び下請負人に労働災害防止対策を義務づけており、それに要する経費は元請負人及び下請負人が義務的に負担しなければならない費用であり、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるものです。建設工事請負契約はこの経費を含む金額で締結することが必要です。

労働災害防止対策の実施者及び経費負担者の明確化の流れ

(1)元請負人による見積条件の提示
 元請負人は、見積条件の提示の際、労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の区分を明確化し、下請負人が自ら実施する労働災害防止対策を把握でき、かつ、その経費を適正に見積もることができるようにしなければなりません。
(2)下請負人による労働災害防止対策に要する経費の明示
 下請負人は、元請負人から提示された見積条件をもとに、自らが負担することとなる労働災害防止対策に要する経費を適正に見積った上、元請負人に提出する見積書に明示する必要があります。
(3)契約交渉
 元請負人は、「労働災害防止対策」の重要性に関する意識を共有し、下請負人から提出された労働災害防止対策に要する経費」が明示された見積書を尊重しつつ、建設業法第18条を踏まえ、対等な立場で契約交渉をしなければなりません。
(4)契約書面における明確化
 元請負人及び下請負人は、契約内容の書面化に際して、契約書面の施工条件等に、労働災害防止対策の実施者及びそれに要する経費の負担者の区分を記載し明確化するとともに、下請負人が負担しなければならない労働災害防止対策に要する経費については、他の経費と切り離し難いものを除き、契約書面の内訳書などに明示することが必要です。



 国土交通省では、安全衛生経費が下請負人まで適切に支払われるよう、令和4年度より、学識経験者、建設関係団体等のご協力を得て「安全衛生対策項目の確認表及び標準見積書に関するWG」を設置し、安全衛生対策項目の確認表、安全衛生経費を内訳として明示するための「標準見積書」の作成・普及に向けた取組を進めています。「安全衛生対策項目の確認表及び標準見積書に関するWG」での議論や成果等は、順次、以下のHPで公表します。
 

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