1.現状
■ 自動車運転者の働き方の現状(国交省資料)
自動車運転者の労働時間は他職業よりも長い傾向があり、人手不足状況が進んでいます。
(参考)・自動車運送事業の課題 (国交省資料)
・トラック輸送状況の実態調査結果(国交省HPリンク)
2.規制と対策の方向性
■ 自動車運転業務の長時間労働規制
・自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(「改善基準」)
自動車運転者の労働時間時間については、拘束時間の上限や休憩時間などの基準が定められています。
平成29年3月28日に策定された政府の「働き方改革実行計画」において、時間外労働の上限規制を設けることとされました。このような中で自動車の運転業務については、一般則の施行期日の5年後に年960時間以内の規制を適用し、さらに将来的に一般則の適用を目指すこととされましたが、今後それに向けて、長時間労働を是正するための環境整備を強力に推進することが求められています。
■ 自動車運転者の労働環境の改善を図る方向性(国交省HPリンク)
「働き方改革実行計画」においては、長時間労働是正のため、取引条件改善など業種ごとの取組の推進を図ることが必要であるとされ、特に自動車運送事業についてはその具体的な取り組み方針が示されています。
国土交通省・厚生労働省など各省庁においては、自動車運転業務の労働環境の改善を図るために次のような取り組みを進めています。
・トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会(国交省HPリンク)
荷主を含む関係者が参集した協議会が中央及び全都道府県に設置され、トラック事業者の取引環境・労働条件の改善に向けた協議と施策の推進を進めています。
平成28~29年度は各都道府県協議会において、トラック事業者、ドライバー、発・着荷主が連携して長時間労働の原因分析、改善策の検討、実践、検証を行うパイロット事業を実施しています。
・荷待ち時間の記録義務づけ(国交省HPリンク)
トラックドライバーの長時間労働を改善し、輸送の安全の確保を図るため、平成29年7月から、荷主の都合により30分以上の荷待ち時間が生じた場合に、荷待ち時間等を記録することが義務付けられました。
・ トラック・バス・タクシーの働き方改革 ~「直ちに取り組む施策」
トラック・バス・タクシーの働き方改革のために、各省庁が直ちに取り組むことを計画している施策。(平成29年6月29日現在)
(参考)「トラック運送業における適正取引推進、生産性向上及び長時間労働抑制に向けた自主行動計画」
長時間労働是正等に対してトラック業界をあげて取り組んでいる、全日本トラック協会の自主計画です。
■ トラックドライバーの労働条件改善のため、荷主のご理解・ご協力を!
荷主都合による荷積み・荷下ろしの際の待ち時間、検品・仕分け等の無償の付帯作業がトラックドライバーの負担となっています。例えば、1運行当たり荷待ち時間の平均は1時間45分、3時間以上が15%を超える状況であり、トラックドライバーの長時間労働削減のためにはその削減を図ることが重要です。
・トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン(国交省HPリンク)
トラックドライバーの労働環境を、若者が魅力を持てるような健全なものに改善していくためには、荷主とトラック事業者の間の適正取引を進めることが重要であり、そのためのガイドライン(平成29年8月改訂)が定められています。
・新たな荷主勧告制度(国交省HPリンク)
平成29年7月1日から、荷待ち時間の恒常的な発生や非合理な到着時刻の設定において荷主の具体的関与が認められる場合などが、国土交通大臣による荷主勧告(企業名公表)の対象となりました。
■ 陸上貨物運送業における労働災害防止
荷積み・荷下ろしの荷役作業時に多数の労働災害が発生しています。その防止を図りましょう。
「荷役作業での労働災害を防止しましょう」 (リーフレット)
荷役作業における5大災害は、(1)墜落・転落、(2)荷崩れ、(3)フォークリフト使用時の事故、(4)無人暴走及び(5)トラック後退時の事故です。これらを防止するため、陸運事業者のみならず、荷主、配送先、元請事業者などが取り組むべき事項を具体的に示しています。
「荷役5大災害防止対策チェックリスト」 (陸運事業者用)
「荷役5大災害防止対策チェックリスト」 (荷主、配送先、元請事業者等用)
荷役5大災害を防止するための取り組みが行われているかどうか、このチェックリストを用いて点検してみましょう。
交通労働災害を防止しましょう。
3.具体的な支援策
■ 自動車運転者の「労働環境の改善」に対する支援策
自動車運転者の人材確保を図り、働き方改革を進めるためには、その職場自体を、働きやすく働きがいのある「魅力ある職場」にしていくことが不可欠です。そのための労働環境の改善(雇用改善)に対して次のような支援策があります。
(1) 労働時間の的確な把握
運行実績をEXCELシートに入力するだけで、ドライバーの労働時間を自動集計し、「改善基準」を満たしているかどうかを判断できます。
EXCELシートに入力するだけで、タクシー運転手の労働時間と賃金を的確に計算できます。
(2) 労働環境の改善のためのノウハウ・好事例
・トラックドライバーの長時間労働の改善に向けた取組事例(国交省HPリンク)
荷主企業と運送事業者の協力によってトラックドライバーの長時間労働の改善を図った好事例を整理したパンフレットです。
・トラック運送における生産性向上方策に関する手引き(国交省HPリンク)
トラック運送事業における生産性向上の方法について、具体的な事例を交えながらわかりやすく解説しています。
(3) 労働環境の改善のための助成金
各種労働関係助成金制度の中に、労働時間短縮、賃金引き上げ、生産性向上など、働き方改革を進める事業主のための助成金制度が設けられています。
■ 自動車運転者の「人材確保」に対する支援策
(1) ハローワークによる人材確保支援
・人材総合支援コーナー
ハローワークにおいては、「人材総合支援コーナー」等において、求職者に対する担当者制個別相談、職場見学会、就職セミナー、面接会などの開催等を通じて、運輸業の事業主の人材確保を支援しています。
(2) 人材確保の好事例
人材確保を図るために効果的な各種のノウハウ・好事例を収集し整理した事例集です。