本項でいう「法」とは労働基準法、「施行規則」とは労働基準法施行規則をさします。
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1.賃金の支払い |
賃金は、通貨で、全額を、労働者に直接、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。賃金から税金、社会保険料等法令で定められているもの以外を控除する場合には、労使協定が必要です。 なお、一定の条件((1)労働者の同意を得ること、(2)労働者の指定する本人名義の預貯金口座に振り込まれること、(3)賃金の全額が所定の支払日に払い出し得ること)を満たせば、金融機関への振込みにより支払うことができます。 退職手当については労働者の同意を条件に、通貨支払いや金融機関への振込みのほか、(1)銀行振出小切手、(2)銀行支払保証小切手、(3)郵便為替により支払うことができます。 なお、証券会社の一定の要件を満たす預り金に該当する証券総合口座への賃金および退職手当の払込みも可能です。 |
■賃金支払い5原則■ |
■例外■ |
■賃金控除が認められる場合と相殺の禁止■ |
賃金については、全額払いの原則から、控除して支払うことは禁止されていますが、次の場合には賃金から控除して支払うことができます。
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また、労働者への貸付金を退職時の賃金と相殺したり、労働者の過失等による機器の破損料等の各種の損害額を、一方的に賃金や退職金から相殺したためにトラブルとなるケースが多くなっていますが、当該損害額をすべて労働者に負担させることの是非は別として、賃金等からこれらを控除することは、基本的にはできないことになっています。 |
2.賃金・退職手当等の支払時期 |
退職した労働者から「賃金」の支払請求があった場合には、所定の賃金支払日にかかわらず請求日から7日以内に支払わなければなりませんし、積立金、保証金、貯蓄金等、労働者の権利に属する金品についても同様に返還しなければなりません。 また、「退職手当」については、あらかじめ定められた支払時期に支払うこととなりますが、支払時期を定めていない場合には、請求日から7日以内に支払わなければなりません。 ただし、支払いの額などについて争いがある場合には、異議のない部分については請求日から7日以内に支払わなければなりません。 |
特に、「旅行積立金」や「親睦会費」等については、退職時に返還の有無について争いとなるケースが多く、当該控除の目的や返還の有無等について規約で明確にするとともに、雇用契約を結ぶときには、必ず労働者に明示することが必要です。 |
3.休業手当 |
会社側の都合により労働者を休業させた場合、休業させた所定労働日については、平均賃金の6割以上の手当を支払わなければなりません。 |
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