労働災害防止対策のあらまし

労働災害の発生原因

労働災害の発生原因を要因から大別すると、
  1. 1.使用した機械設備等の欠陥等による「物の不安全な状態」が要因であったもの
  2. 2.不適切な作業方法や機械の誤操作等「人の不安全な行動」が要因であったもの
  3. 3.1および2の組み合わせが要因であったもの

に分類することができます。

 したがって、労働災害を防止するためには、機械設備の欠陥等「物の不安全な状態」を改善するとともに、作業者に対する安全教育の実施を通じ「人の不安全な行動」の排除等の両面から対策を講じることが必要となります。

 このため、事業場においては、組織的な安全衛生管理体制を確立するとともに、年間を通じ、生産活動と一体となった計画的な安全衛生管理活動を推進することが求められています。

安全衛生管理体制の整備

 労働安全衛生法では、各事業場の業種、常時使用する労働者数に応じて、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医を選任するよう求めています。(下表参照)
 
 また、労働者数10人から49人の事業場は、業種に応じて安全衛生推進者または衛生推進者の選任が必要になります。
 
 なお、労働安全衛生法施行令第2条第3号に掲げる業種では、通達で安全推進者の配置が求められています。
 
 総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者および産業医を選任したときは、所轄の労働基準監督署長に報告する必要がありますが、推進者は報告の必要はありません。


  安全衛生管理体制の図
   

総括安全衛生管理者(労働安全衛生法第10条)

 総括安全衛生管理者は、法で定める一定の規模以上の事業場ごとに選任します。
 
 総括安全衛生管理者には、事業場において当該事業の実施を統括管理する者(トップ)を充てることになります。これは、安全衛生管理活動と企業活動が一体的に運営されることを期待しており、安全管理者(第11条)、衛生管理者(第12条)、または技術的事項を管理する者(第25条の2第2項)を指揮し、安全衛生に関する業務の総括管理を行います。

〔職場のあんぜんサイト:総括安全衛生管理者

統括安全衛生責任者(労働安全衛生法第15条)および安全衛生責任者(労働安全衛生法第16条)

 建設業および造船業のように重層下請関係において事業が実施される場合には、複数企業の労働者が同一の場所で混在して働くことによって生ずる労働災害を防止するため、元方事業者は統括安全衛生責任者を選任する必要があります。元方安全衛生管理者および救護に関する技術的事項を管理する者を指揮するとともに、特定元方事業者の措置義務(第30条第1項各号)の統括管理を行います。
 
 また、各請負人も、統括安全衛生責任者との連絡等を行わせるための安全衛生責任者を選任する必要があります。

〔職場のあんぜんサイト:統括安全衛生責任者

安全管理者(労働安全衛生法第11条)

  安全管理者は、法で定める一定の業種および規模の事業場ごとに資格を有する者から選任し、安全に係る技術的事項を管理します。

 〔職場のあんぜんサイト:安全管理者

衛生管理者(労働安全衛生法第12条)

  衛生管理者は、法で定める一定の規模以上の事業場ごとに必要な人数を選任し、衛生に係る技術的事項を管理します。

衛生管理者数一覧表

〔職場のあんぜんサイト:衛生管理者

安全・衛生委員会(労働安全衛生法第17条・18条・19条)

  法で定める一定の基準に該当する事業場は、安全委員会、衛生委員会(または両委員会を統合した安全衛生委員会)を設置する必要があります。

〔職場のあんぜんサイト:安全委員会衛生委員会安全衛生委員会

安全衛生推進者等(労働安全衛生法第12条の2)

 安全管理者や衛生管理者の選任が義務となっていない事業場は、法で定める一定の業種・規模の事業場ごとに「安全衛生推進者」または「衛生推進者」を選任し、その者に安全衛生業務を担当させます。
 
 なお、常時10人以上の労働者を使用する小売業や社会福祉施設、飲食店等の事業場では「安全推進者の配置等に係るガイドライン」に沿って、安全推進者を配置し、職場環境の改善や安全意識の啓発等の実施が求められています。

〔職場のあんぜんサイト:安全衛生推進者等安全推進者安全推進者の配置等に係るガイドライン

産業医(労働安全衛生法第13条)

  産業医は、法で定める一定規模以上の事業場ごとに、医師のうちから産業医を選任し、労働者の健康診断の実施およびその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、労働者の健康障害の原因の調査と再発防止のための措置などを行います。

〔職場のあんぜんサイト:産業医

作業主任者(労働安全衛生法第14条)

危険・有害な作業を行う場合、免許取得者または技能講習修了者の中から、作業主任者を選任し、当該作業に従事する労働者の指揮、取り扱う機械およびその安全装置の点検などを行うこととされています。

〔職場のあんぜんサイト:作業主任者
 作業主任者の種類 免許/技能講習 
 高圧室内作業主任者  免許
 ガス溶接作業主任者  免許
 林業架線作業主任者  免許
 エックス線作業主任者  免許
 ガンマ線透過写真撮影作業主任者  免許
 ボイラー取扱作業主任者  技能講習
 特定第一種圧力容器取扱作業主任者  免許
 普通第一種圧力容器取扱作業主任者  技能講習
 化学設備関係第一種圧力容器取扱作業主任者  技能講習
 木材加工用機械作業主任者  技能講習
 プレス機械作業主任者  技能講習
 乾燥設備作業主任者  技能講習
 コンクリート破砕器作業主任者   技能講習
 地山の掘削及び土止め支保工作業主任者  技能講習
 ずい道等の掘削等作業主任者  技能講習
 ずい道等の覆工作業主任者  技能講習
 採石のための掘削作業主任者  技能講習
 はい作業主任者  技能講習
 船内荷役作業主任者  技能講習
 型枠支保工の組立て等作業主任者  技能講習
 足場の組立て等作業主任者  技能講習
 建築物等の鉄骨の組立て作業主任者  技能講習
 鋼橋架設等作業主任者  技能講習
 木造建築物の組立て等作業主任者  技能講習
 コンクリート造の工作物の解体等作業主任者  技能講習
 コンクリート橋架設等作業主任者  技能講習
 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者  技能講習
 鉛作業主任者  技能講習
 酸素欠乏危険作業主任者  技能講習
 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者  技能講習
 有機溶剤作業主任者  技能講習
 石綿作業主任者  技能講習
 金属アーク溶接等作業主任者  技能講習

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