第6期 第3回 東京地方労働審議会 (平成24年12月5日開催)
第6期第3回 東京地方労働審議会
1 日時 平成24年12月5日(水) 15:45~17:30
2 場所 九段第3合同庁舎 14階第1、2会議室
3 出席者
委 員 佐藤会長、梶原委員、金子委員、橋本委員
秋山委員、白川委員、傅田委員、米田委員
上原委員、加藤委員、田中委員、大浜委員
事務局 伊岐東京労働局長、高橋総務部長、青木労働保険徴収部長、
相浦労働基準部長、清野職業安定部長、中村需給調整事業部長、
荒川雇用均等室長
4 議題
(1) 平成24年度における重点対策事項に係る進捗状況(上半期)
(2) 東京ゼロ災害運動及び職業性疾病への対応等について
(3) アクション・プラン(地域主権改革)に係る一体的実施事業の進捗状況について
(4) その他(今後の労働局の運営体制について)
5 配布資料
本会議資料 (1533KB; PDFファイル)
別添資料1 (5592KB; PDFファイル)
別添資料2 (1585KB; PDFファイル)
別添資料3 (10130KB; PDFファイル)
別添資料4 (1111KB; PDFファイル)
別添資料5 (107KB; PDFファイル)
別添資料6 (112KB; PDFファイル)
別添資料7 (3362KB; PDFファイル)
別添資料8 (5537KB; PDFファイル)
6 議事
【石原企画室長】 定刻でございますので、ただいまから第6期第3回東京地方労働審議会を開催いたします。
本日、委員の皆様には大変お忙しいところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。冒頭の進行を務めさせていただきます総務部企画室長の石原でございます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
初めに、本審議会の開催に当たり、伊岐東京労働局長より開会のごあいさつを申し上げます。
【伊岐労働局長】 東京労働局長、伊岐と申します。去る9月10日付で東京労働局長に就任いたしました。実を言いますと、本席におります東京労働局の部長級の幹部は、職業安定部長を除き、今年度4月、それから、8月、9月と順次交代いたしまして、先日の視察を除けば、新しいメンバーで東京地方労働審議会の皆様にお目にかかるのは初めてとなります。改めてどうぞよろしくお願い申し上げます。
また、本日は大変お忙しい中、御視察もいただきまして、大変ありがたく存じます。
さて、本日の議題でございますが、「今年度における東京労働局の重点対策事項に係る取組状況」、「東京ゼロ災害運動及び職業性疾病への対応」、「地域主権改革、アクション・プランに係る一体的実施事業の進捗状況」、これらを含む4項目につきまして御審議いただきたくお願い申し上げます。
特に、地方公共団体等との連携を一層強化いたしましたアクション・プランにつきましては、去る11月26日に新宿就職サポートナビをはじめ、新宿ハローワークの施設を御案内させていただきましたところ、大変余裕のない日程にもかかわらず、多数の委員の先生方に御参加いただきましたことにつきましても、改めて御礼を申し上げます。
さて、昨今の労働行政をめぐる状況でございますが、御案内のとおり、景気につきましては、世界景気の減速等を背景としまして、このところ弱い動きとなっており、雇用につきましても依然として厳しさが残る中で、このところ改善の動きに足踏みが見られるといったような表現が、11月の月例経済報告でされているわけでございます。この景気や雇用についての基調判断の表現は、10月と比べ、一段階悲観的なものになっておりまして、先行きにつきましても、当面は弱い動きが続くというふうに見込まれているわけでございます。
また、その後の景気回復につきましても、ヨーロッパ、中国など、海外経済環境をめぐる不確実性が高く、世界景気のさらなる下振れ、あるいは金融資本市場の変動などが我が国の景気を下押しするリスクとなっているところでございます。
東京労働局では、今年度、「働くことがむくわれる社会をめざして」をスローガンに掲げ、誰もが健康で安心して働ける社会を実現するための取組を進めてまいりました。ハローワークのマッチング力を強化し、安定した雇用の実現を図ること、働き過ぎ、賃金不払、解雇などの問題に優先的に対応すること、男性も女性も安心して働ける環境をつくること、これら3つが最重点目標になっております。さきに述べたような厳しい環境のもとではありますが、基準、安定、均等の3行政がそれぞれ連携をしながら、年度の3分の2ほどの期間をこのような目標のもとで頑張ってまいりました。本日は最初の議題として、これらの進捗状況をお聞き取りいただくわけでございます。
また、本日の御視察とも関連いたしますが、長年、すう勢的に減少しておりました労働災害件数がここ2年ほど増加傾向にあり、本年も対前年比で増加となることが憂慮される状況にあることから、2番目の御報告事項といたしまして、今年度、特に基準行政において力を入れております東京ゼロ災害運動につきまして御報告をし、併せて、胆管がんなど新たに発生しております職業性疾病の問題への対応についてもお聞き取りいただきたいと存じます。
さらに、先日御視察いただきました新宿区の例をはじめ、都内5か所で展開しておりますアクション・プラン、すなわち国のハローワークが実施する無料の職業紹介と自治体の業務の一体的運営につきまして、その進捗状況を御報告いたしたいと存じます。ハローワーク新宿の所長も参っておりますので、さまざま御質問等もいただきたいと存じます。最後に、行政を取り巻く厳しい環境を反映した来年度の東京労働局の業務運営体制につきまして、その窮状等を御説明させていただければと、こういうふうに考えております。
いずれの議題につきましても、活発な御質問あるいは忌憚のない御意見を賜りたく存じます。
また最後にですが、私自身が最近痛感しておりますのは、東京労働局あるいは労働基準監督署、ハローワークが展開しております各種事業や所掌事務の内容はもちろんのこと、このような私どもの組織がまず国の機関であること、あるいは全国ネットワークの利点を生かして、格差の縮小やセーフティネットの役割を果たしているということについての基本的な理解がまだまだ国民の皆様に広がっていないということであります。
このような観点から、東京労働局の存在あるいは役割を1人でも多くの方々に知っていただくための広報でありますとか、あるいは幅広いネットワークづくり、更にはフットワークあるいはコミュニケーションの強化といったことを私自身の使命とするとともに、職員にも徹底を図っているところでございます。この点につきましても、もしさまざまな観点から御助言、御叱声あろうと思いますので、是非これもお聞かせいただければ大変幸甚に存じます。限られた時間ではございますが、是非とも活発な御審議をよろしくお願い申し上げます。
【石原企画室長】 続きまして、本日の欠席委員の御報告をさせていただきます。公益代表は、尾津委員、田付委員、労働者代表は、浅見委員、三宅委員、使用者代表は、蜂谷委員、渡邊委員がそれぞれ欠席されています。よって、本日の出席委員は12名でございます。したがいまして、地方労働審議会令第8条第1項の規定に照らし、本会議は有効に成立しておりますことを御報告申し上げます。
続きまして、東京労働局職員を紹介させていただきます。(順次紹介)
続きまして、お手元にお配りしています資料の確認をさせていただきます。こちらの配付資料一覧のとおりでございます。御確認いただき、万一不備等ございましたら、事務局までお知らせください。
それでは、これより議事に入らせていただきます。以後の議事進行につきましては佐藤会長にお願いいたします。
【佐藤会長】 本日は視察御苦労さまでした。まず議題に入る前に運営規程第6条第1項に基づきまして、本日の議事録の署名委員を指名させていただきます。労働者側は秋山委員、使用者側は大浜委員にそれぞれお願いしたいと思いますのでよろしくお願いします。
本日は議事が4つありますけれども、進め方としては、関係がある(1)と(2)の2つを続けて御説明いただいて、その後、議論の時間をとって、(3)、(4)はそれぞれ別個に御説明いただき議論することとしたいと思います。
それでは、まず議題の1から御説明いただければと思います。事務局より順次説明をお願いいたします。
【清野職業安定部長】 改めまして、職業安定部長の清野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今年度の職業安定の分野では、9本の柱立てをして取り組んでいるところでございます。本日、このうちの対策の核となる項目につきまして、審議会資料に沿って上半期の実施状況等を説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、審議会資料の3ページを御覧いただきたいと存じます。1点目は、マッチング機能の充実・強化についてでございます。
上半期の一般職業紹介業務の取扱状況につきましては、右上の表を御覧ください。
新規求職者数が前年度比14.7%減となる中、就職件数は7万6,651件と、微増ではございますが、前年度比0.1%増となったところです。
一方、新規求人数につきましては、前年度比16.4%増と、おおむねリーマン・ショック前の求人数まで回復してきております。求人に対する充足数は10万3,599件で、こちらも前年度比1.3%増となったところです。新規求職者数、紹介件数が大きく減少する中、最大の成果目標である就職件数と充足数は目標を達成するとともに、前年同期比でも増加という結果となったことは、各ハローワークがマッチングを図るための取組を確実に実施した成果であると考えております。
主な取組としましては、左枠内を御覧いただければと思います。求職者ニーズの高い「正社員求人」や「事務系求人」を重点に確保するほか、幅広く充足を意識した求人の確保に努めており、安定所を利用したことがない事業所や、安定所以外の媒体を活用して求人活動を行っている事業者などへも積極的に接触して、求人の確保に努めているところでございます。
また、求人票に記載する情報はより詳しくわかりやすく記入するとともに、求人票に記された情報以上の事業所情報を求職者の方に提供するため、事業主や人事担当者の声などの採用ニーズを集約し、それを補足情報として入力をしたり、仕事や作業風景等のわかりやすい写真を画像情報として収集するなど、魅力ある求人情報の発信に努めているところでございます。さらに、「見立て求人」などを活用した積極的な「提案型紹介」、「来所勧奨型紹介」にも努めているところでございます。
下半期に向けた取組につきましては、基本的には上半期の取組を継続していくこととしており、とりわけマッチングの強化につきましては、都内17か所のハローワークが持つ求人者、求職者双方のニーズの情報を共有化して、オール東京としてマッチング機能を高める取組をしていこうということで、現在努力しているところでございます。
最近の雇用失業情勢ということで、右下に2つの表を載せておりますが、1つは、リーマン・ショック直後から、爆発的に利用が増大した雇用維持のための雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金の上期の状況でございます。対前年比で計画届出が4割減、また、対象者につきましても6割減というような状況でございますが、リーマン・ショック前と比べると、まだまだ企業の雇用維持の取組があり、これらの助成金利用がされている状況でございます。
一番下の表は、雇用保険受給者の取扱状況でございますが、受給者実人員は11%減少しておりまして、こちらもリーマン・ショック前の平成19年の月平均は4万7,109人ですので、まだそこまでは戻っていないという状況でございます。
詳細につきましては、後ほど御覧いただければと思います。
続いて、4ページの若年者雇用対策の推進について御説明いたします。
東京都内における平成25年3月卒の新規学卒者の求人状況は、資料に載せておりませんが、本年9月末現在、大卒求人は前年同期比27.5%増加。高卒求人につきましては、24.8%増加と、好調ではありますが、大卒、高卒とも今後も総量の確保が必要であることから、各事業主団体の皆様に求人要請をしておりますし、各ハローワークにおいては、所長をはじめとしたトップセールスによる求人開拓を実施しているところでございます。
来年3月卒業生の内定率についても、この資料掲載には残念ながら間に合いませんでしたが、11月27日に発表されております大学生等の10月1日現在の内定率は63.1%と、前年度よりも3.2ポイント改善しているところです。しかしながら、未内定者は全国でまだ15万7,000人と推計されておりまして、12月からは各大学では3年生への支援にシフトしていますので、まさしくこれからハローワークの力が求められているものと考えているところでございます。
就職支援につきましては、左の枠内に載せておりますが、特に東京新卒応援ハローワークについては、六本木から新宿に移転したことで、利用者も急増しており、また、大学との結びつきも強くなり着実に実績が上がっております。さらに、中小企業の魅力を学生に発信するため、管内中小企業PRコーナーを開設するなど、工夫し、取り組んでいるところでございます。
また、高校生につきましては、この3月卒業者について、6月までの支援の結果、99.9%まで就職させることができました。来春の卒業予定者についても、全員を就職させるよう頑張っているところでございます。各ハローワーク、新卒応援ハローワークでは、大学生も高校生も「ひとりにしない」立ち止まらせない寄り添う支援を実施しているところです。御提供した資料につきましては、高校生対象、大学生対象の面接会などですので、後ほど御覧いただければと思います。
次に、5ページに移らせていただきます。3点目は、高年齢者雇用対策の推進についてです。
高齢法に基づく高年齢者の雇用確保措置を講じている企業は、平成23年6月1日現在で95.0%でしたが、本年6月1日現在、96.8%まで改善されました。このようにほとんどの企業で確保措置の制度導入が図られているものの、制度の内訳を見ますと、継続雇用制度を導入している企業が83%であり、このうち労使協定に基づく基準により対象者を選別できる仕組みを設けている企業が7割と大半を占めている状況でございます。
下半期の取組としましては、改正高齢法が来年4月から施行されることとなりましたので、現在、集中的な周知・啓発を関係機関、事業主団体等との連携・協力を得ながら、効果的、また確実に進めているところでございまして、都内ハローワークにおいては、法違反となっている企業及び基準導入企業に対して、個別の企業指導も行っております。また、高齢者の就職状況は、中高年齢者を対象とした就職面接会の実施ですとか、窓口でのきめ細かい職業相談を実施した結果、就職件数は前年比6%増という状況でございます。
4点目は、同じページの中ほどからになりますが、障害者雇用対策の推進になります。本年6月1日現在の東京の障害者雇用状況についても、去る11月14日に公表されております。民間企業の実雇用率は1.66%で、前年の1.61%から0.05ポイント改善いたしております。企業規模別に見ますと、1,000人以上の大企業では1.88%と、法定雇用率を上回っている一方、1,000人未満では未達成となり、特に300人未満の中小企業では0.93%となっております。
本社機能の中枢を担う東京局の役割として、雇用率の引上げがされる来年4月1日を見据えて、大企業はもとより中小企業に対する指導支援の強化を図ることが重要と考えております。下半期の取組としましては、東京労働局及び都内各ハローワークにおいて、引き続き法定雇用率の引上げの周知・啓発に努めるとともに、より一層の障害者雇用拡大に取り組むこととしております。
最後に6ページとなりますが、職業訓練の効果的な活用による就職支援について御説明させていただきます。
昨年の審議会では、求職者訓練が10月からスタートしたばかりということで、実施施設を御視察いただきましたが、それからちょうど1年という状況でございます。
1つ目は、地域の人材ニーズに基づく訓練計画等の取りまとめでございまして、これは右上の表を御覧いただきたいと思います。本年度における求職者支援訓練の実施計画策定に当たっては、23年度の認定定員数に対する受講率や分野別のあっせん状況並びに24年度の新規求職者数の推計などに基づき、年度当初計画を対前年比25%減の2万7,000人で策定したところでございますが、年度途中においても、定員が過剰と思われる分野につきましては、実態を踏まえた調整を行い、最終的には2万5,500人とさせていただいたところでございます。
2つ目は、求職者支援制度を活用した就職支援としての求職者支援訓練のあっせん状況ですが、右の中ほどのグラフと下の表を御覧いただきたいと思います。早期再就職のためのセーフティネットとしての求職者支援制度が有効活用されるには、この制度が広く周知徹底されることが何よりも大事ということで、ハローワーク施設内あるいはホームページ、基礎自治体や商業施設等での周知活動を行ってきたところでございます。
また、ハローワークにおける全ての職業相談窓口において、職業訓練が必要と思われる利用者に対しては、制度説明や訓練窓口への誘導を積極的に行い、受講生確保に努めてきたところでございますが、予想を上回る新規求職者の減少の影響もございまして、募集定員に対する応募割合は約7割にとどまっている状況でございます。
3つ目は、平成24年3月までに終了した求職者支援訓練修了者の就職状況で本省が公表したものです。左の枠内の(2)の(2)を御覧いただきたいと思います。基礎訓練コースが67.2%、実践訓練コースが71.6%と、それぞれ目標値の60%、70%を上回ったところでございます。したがいまして、今後、下期に向けた取組としましては、求人・求職等の訓練ニーズの把握、分析に最大限努め、その結果を東京都や関係機関に対して情報提供を行うなど、連携強化を図ることにより、訓練計画の一層の適正化を進めることとしております。
また、制度周知につきましては、上半期の取組に加えて、全てのハローワークにおいて利用ガイドへの訓練項目の掲載や、民間広報媒体を活用して、潜在的ニーズの喚起に努めることとしております。
なお、訓練修了者に対する就職支援において、担当者制支援は有効な取組であることから、目標数を意識して一層の就職率向上を目指すこととしているところでございます。
以上、大変駆け足的になりましたが、安定行政の重点分野の取扱状況を説明させていただきました。
【佐藤会長】 では、次に需給調整事業の分野をお願いします。
【中村需給調整事業部長】 続きまして、労働者派遣事業、職業紹介事業などの民間の需給調整機関の指導監督状況等について御説明申し上げます。
まず許可・届出の状況でございますけれども、東京局管内におきまして、労働者派遣事業の事業所数は平成23年3月から減少傾向が続いております。減少の幅は近年小さくなっておりますけれども、直近の平成24年9月では、前年同月比0.3%減の1万8,869事業所となっております。
また、新規に許可の申請を行う、あるいは届出を行う事業所で多いのは、依然としてソフトウェア開発等のIT関係となっておりまして、こうしたところが半数以上を占めるという状況になっております。また、職業紹介事業の方の事業所数ですが、こちらも平成23年度以降、廃止事業所数が新設事業所数を上回る状況が続いており、全体としては減少という状況でございます。
続きまして、法制度の周知の関係でございますけれども、私どもは日ごろから事業所の方向け、あるいは労働者に向けて法制度に関する周知に積極的に取り組んでいるところでございます。事業所向けの周知といたしましては、説明会を開催しておりまして、本年度、上半期におきましては、労働者派遣事業関係では、派遣元事業主のみならず、派遣先のほうも対象にして、説明会を38回開催し、1,425名の参加を得ているところでございます。また、職業紹介事業関係では、31回、説明会を開催し、1,136人の御参加を得ております。労働者の方に向けては、ハローワークにおいてセミナーを開催しておりまして、上半期では7回、参加者272名の御参加という状況でございます。
また、改正法の周知でございますが、本年10月に改正労働者派遣法が施行されております。日雇い派遣の原則禁止、グループ企業派遣の8割規制、離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止が主な内容となっております。
改正法につきましては、参議院の附帯決議において、今回の改正内容について十分な広報、情報提供を行い、周知徹底するよう万全を期すこととされておりまして、私どもといたしましても、関係政省令が公布された8月以降、集中的に広報活動や事業者の方からの相談に対応してきたところでございます。
具体的には、資料の表にございますけれども、主に派遣元・派遣先を対象としたセミナーを都内各所で計12回開催いたしまして、1万2,000人余の参加を得ております。また、労働者派遣事業適正運営協力員向けに研修会を3回開催いたしまして、41名参加いただきました。その他労働者向けのセミナーですとか、関係団体からの依頼に応じて、講師として制度の内容を御説明するというような形で4,200人の応募参加を得ているという状況でございます。引き続き積極的な周知に努めてまいりたいと考えております。
次に的確・厳正な指導監督の実施というところでございますけれども、本年度上半期は、労働者派遣事業の指導監督に重点化したこともありまして、労働者派遣事業関係の指導監督の実施事業所件数につきましては、対前年度比10.5%増の1,123件となっております。また、そのうち是正指導した割合は、68.1%となっております。是正指導の内容につきましては、労働者派遣契約の記載内容の不備ですとか、労働者への就業条件の通知の不備などが多い状況でございます。また、職業紹介の指導監督件数につきましては、対前年度比7%減の213件となっております。
最後に、5番目の申告・相談への迅速・適切な対応でございますけれども、労働者からの法違反にかかる申告につきましては、前年同期に比べて倍増して26件となっております。苦情・相談の状況につきましては、そちらの表にございますけれども、労働者派遣事業については7万3,535件と前年度比24.7%増。特に労働者からの苦情・相談が増加しているほか、事業者からも改正法に関する相談が増加しております。労働者からの苦情・相談の内訳につきましては、下の円グラフに示しておりますけれども、制度全般にかかる問い合わせのほか、派遣・請負区分基準に関する苦情・相談あるいは雇止め、就業条件の明示に関するものが多い状況になっております。また、職業紹介事業につきましても、苦情・相談は前年度に比べ増えている状況にございます。労働者からの苦情・相談の内訳につきましては、円グラフにございますとおり、労働条件の明示に関するものが約3割というような状況となっております。
以上でございます。
【佐藤会長】 では、基準部長、よろしくお願いします。
【相浦労働基準部長】 基準部長の相浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、労働基準の分野について、特に資料8ページに書いてございます、この3点を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
まず1つ目は、経済情勢に対応した法定労働条件の確保等についてです。労働基準法違反ということで、賃金不払あるいは突然の解雇、長時間労働といったことにつきまして、具体的に監督署に救済を求める事案を申告と呼んでいますが、申告受理件数は、平成24年1月から9月末現在で5,030件、対前年比15%減となっています。この数字はリーマン・ショックの前の水準にはまだ戻っていません。やや減少とはいえ、依然として高止まりの状況と見ているところでございます。
また、倒産により賃金不払のままになっている方に対する、未払賃金の立替払でございますが、中小企業が事実上の倒産をしたときに、法律上の倒産ではなく、監督署長が倒産認定する件数です。申請件数は平成24年1月から9月で273件、対前年比23%の減となってございます。こちらにつきましても、やや減少とはいえ、リーマン・ショック前の水準にはまだ届いておらず、依然高止まりの状況と見ているところでございます。引き続き、賃金不払、解雇等の申告事案への優先的な対応、立替払の優先的対応に努めてまいる所存でございます。
また、労働条件に関する投書、働き過ぎなどの投書が監督署、労働局にかなり来るわけですが、昨年の11月に開設いたしましたメール相談窓口へ寄せられる情報は毎月確実に増えていまして、1月から9月で700件を超える件数に及ぶなど、監督署に寄せられる情報は急増しているというのが今の現状です。こういった情報に基づき、賃金不払残業の解消に向けた監督指導や、大量整理解雇等に係る啓発指導の実施など、積極的に取り組んでいるところでございます。
さらに、緊急対応として、ゴールデンウィーク中に発生しました高速ツアーバスの痛ましい事故を受けまして、バス業界に対して緊急の要請を行うとともに、5月、6月にかけて、陸運機関と合同で実施したものも含め、監督指導25件を実施し、必要な改善を指示してきているところでございます。
2つ目の柱は、長時間労働の抑制・過重労働による健康障害の防止についてでございます。脳・心臓疾患と精神障害事案にかかる労災請求を見ますと、脳・心臓疾患の労災請求は73件、これは4月から9月の数字です。少し落ちつきつつあるわけですが、一方、精神障害事案にかかる労災請求は、平成24年度上半期、4月から9月で145件と、昨年度同期比38%増と大幅に増加しています。脳・心臓疾患の件数の約2倍に上がっています。精神障害事案は大きく右肩上がりというふうに見ているところです。こういった労災請求の中には、長時間労働を背景にしたものも多数に上っています。これら労災請求案件に対しては、監督署としても迅速処理に努めているところでございます。
それから、長時間労働の対策ということでは、時間外労働協定、いわゆる36協定が監督署に届けられた際、限度基準告示に適合しない協定であった場合の窓口指導の徹底とか、自主点検の実施とか、長時間労働に起因した業務上疾病を発生させた企業に対しては、長時間労働が是正されているかといったような観点での監督指導を実施するとか、長時間労働を行わせている懸念のある情報がある企業に対しては、監督指導による時間外労働割増賃金等の労基法の規定の履行確保に努めているところでございます。
あわせてメンタルヘルス対策として、労働者の心の健康の保持・増進のための指針の指導や長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導の適正実施、対策に取り組もうとする事業者に対する支援策としてメンタルヘルス対策支援センターなり、東京都地域産業保健センターの利用勧奨を行っています。
それから、産業保健フォーラムということで、11月21日に「いま 知っておきたい こ
ころと身体の健康づくり」というテーマで、1,000人を超えた産業保健従事者向けのフォ
ーラムを開催し、啓発しているところでございます。
また、もう一点、総合的な労働時間対策ということでは、ワーク・ライフ・バランスの推進も重要であるという認識から、セミナーを11月8日に開催したところです。これらの啓発も工夫しながらやっているところでございます。
ちなみに、9ページに先ほど申し上げました脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況、更に、石綿関連疾病の給付状況を資料として付けてございますので、御参照いただければと思います。
3つ目の柱は、労働者の安全と健康確保でございますが、10ページを御覧いただきたいと思います。死亡災害、死傷災害ともに平成22年、23年と2年連続で増加していますが、この傾向は平成24年に入っても続いています。死亡災害でお亡くなりになられた方は11月19日現在、この数字で62名の方、前年同期が49名ですが、直近、昨日現在の数字は64名で、前年同期は昨日現在55名ということですので、直近のデータでは16%増となっています。また、10月末現在の休業4日以上の死傷数は7,037人と、昨年同期は6,629人であったことから、6.2%増となっています。
本件の詳細は議事の2番目で、後ほど改めて御説明いたしたいと思います。
それと、新しい話として2点ございます。1つは、無期労働契約への転換ルールを盛り込んだ改正労働契約法が公布されています。一部、雇止め法理の法定化につきましては、公布日の8月10日施行ですが、無期労働契約への転換、不合理な労働条件の禁止は、施行が来年4月1日でして、現在、局署で周知に努めているところでございます。ちなみに、局は、11月9日に約700名の方を集めた説明会を開催しています。今後は監督署単位で順次説明会を開催し、周知を図っていくことを予定しています。
さらに、職場のいじめ、嫌がらせ問題の防止・解決に向けた環境整備の観点から、当審議会、佐藤会長が主査としておまとめいただいた円卓会議のワーキンググループ報告を受け、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言が3月15日に取りまとめられましたが、その周知のため、全国に先駆け、7月25日に東京でセミナーを開催したところでございます。約400名を超える企業や労働組合の関係者にお集まりいただきました。今後ともこれらの周知に努めてまいりたいというふうに考えております。
最後になりますが、11ページ、最低賃金の改定状況を載せています。東京都最低賃金は、10月1日から850円となっています。また、2つの特定最低賃金についても、12月31日発効で、鉄鋼業は859円、出版業は857円と改定されています。東京都最低賃金、特定最低賃金につきましては、私どもといたしましてもきちんと守っていただけますよう、周知徹底、指導に努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
【佐藤会長】 では次に雇用均等についてお願いします。
【荒川雇用均等室長】 続きまして、雇用均等の分野における取組状況について御説明申し上げます。12ページでございます。まず均等法の関係でありますが、相談は上半期1,700件あまり寄せられております。前年度とほぼ同ペースでございます。5割強が労働者からの相談でございまして、内容は真ん中の円グラフにありますように、セクシュアルハラスメントに関するものが過半数を占め、次いで、妊娠などに関する不利益取扱い、母性健康管理と続いております。近年、相談内容に大きな変化はありません。
労働局長による紛争解決援助の申立ての状況でありますが、上半期は31件受理していまして、昨年同期と比べますと、若干減少しております。調停は5件、セクハラが3件と、妊娠不利益等にかかるものが1件、母性健康管理に関するもの1件受理しております。
行政指導につきましては、上半期236件実施いたしました。ポジティブ・アクションにかかる指導も積極的に行っているところでございます。このポジティブ・アクションにつきましては、今年7月に閣議決定されました日本再生戦略において、「働く『なでしこ』大作戦」の推進が明記されております。その一環といたしまして、雇用均等行政におきましては、ポジティブ・アクション促進のための営業大作戦を実施しているところでございます。企業に対して、取組を積極的に働きかけているところであります。
均等関係につきましては、年度の後半も引き続き相談への丁寧な対応、的確な紛争解決の援助、さらにポジティブ・アクションの推進にかかる指導を積極的に行っていく所存でございます。
次に、育児・介護休業法の関係ですが、本年7月から改正法が全面施行になっております。相談は上半期で4,500件あまり寄せられておりまして、ほぼ昨年度と同様のペースでございます。労働者からの権利行使に関する相談が300件あまり寄せられており、育児休業などの不利益取扱いに関する相談が最も多くなっている状況でございます。
局長による紛争解決援助の申立ては22件と昨年度に比べますと減少しております。調停は4件、申請を受理いたしました。行政指導につきましては、中小企業を中心に改正法に沿った規定整備指導を引き続き実施しておりまして、797件の指導を行っているところでございます。
育児・介護休業法関係につきましても、相談への丁寧な対応と的確な紛争解決の援助、さらに、改正法に沿った規定整備指導を着実に行ってまいりたいと考えております。
次に次世代対策の関係でございます。次世代法に基づく一般事業主行動計画につきましては、9月末現在で1万3,593社から届出を受理しております。うち届出が義務づけられている101人以上企業の届出率は90%まで改善されました。また、その隣の「くるみん」の認定企業でございますが、全国計では1,346社のうち東京では575社と4割強の認定企業があるという状況にあり、着実に増加しているところでございます。しかしながら、計画の未届け企業が、依然として東京都内に1,000社あまりございます。引き続き督促を行うとともに、「くるみん」の取得促進に向けた周知・啓発を行ってまいりたいと存じます。
次にパートタイム労働法関係でございますが、相談は減少傾向が続いてございます。法の履行の確保については、担当の指導員が事業所を訪問して、法に沿った雇用管理の改善に努めているところでございます。また、今年度は新たに配置されましたコンサルタントを活用いたしまして、事業主に対してパート労働者と正社員との賃金の均衡を図るための職務分析等の導入の支援を行っているところでございます。
最後に助成金、奨励金の関係につきましては、支給決定状況は資料のとおりでございます。両立関係の助成金については、中小企業の子育て支援助成金が非常に人気がございます。また、均衡待遇・正社員化につきましては、正社員転換制度の奨励金が人気のあるところでございます。年度後半も適正な支給審査に努める所存でございます。
【佐藤会長】 では次に徴収部長よりお願いします。
【青木労働保険徴収部長】 では、資料に沿いまして、御説明させていただきます。
労働保険の適用徴収分野の重点対策でございますが、労働保険料等の適正徴収、それから、労働保険事務組合制度の効率的な運用、労働保険未手続事業一掃対策の推進の3つを掲げて取り組んでいるところです。
まず1点目の一番左側、労働保険料等の適正徴収についてですが、東京労働局の今年度の労働保険年度更新対象事業場数は、約40万事業場です。今年度は労災保険及び雇用保険の料率の改定に加えて、保険料の口座振替制度が導入され、初めての年度更新となりましたが、おおむね順調に業務の推進ができたところでございます。今年度の徴収決定額は、10月末現在で、下の表に載せてありますが、8,253億円で、前年同月比較して、1,060億円、11.38%のマイナスとなっております。これは労災及び雇用保険料率の改定による引下げの影響と考えているところでございます。
また、収納率は10月末現在40.98%で、前年同月比0.51ポイントのマイナス、一昨年同月比で0.15ポイントの増加という状況でございます。
なお、直近の11月末現在では68.74%で、前年同月比0.14ポイントの増加となっております。
労働保険料等の徴収につきましては、全国の収納額の約3割を占めており、費用負担の公平性はもちろんのこと、労働施策を進める上での財政の基盤をなすものであることから、引き続き適正徴収と収納率の維持向上に努めてまいる所存でございます。
2つ目でございますが、中ほど、労働保険事務組合制度の効率的な運用です。東京労働局管内の労働保険事務組合数は802組合で、約16万3,000の事業場が労働保険事務組合に事務を委託しております。また、委託事業場のうち、約9万2,000事業場が15人未満の小零細事業で、全体の56%を占めている状況にございます。
労働保険事務組合が中小零細事業主の皆様から委託を受け、事業主に代わって、保険料の申告や納付などの労働保険の事務手続を行うことにより、事業主の事務処理の負担軽減が図れることはもとより、円滑な事務処理が期待できることから、行政にとっても非常に有用な制度と考えているところでございます。監督署、ハローワーク、東京都労働保険事務組合連合会等と連携をして、労働保険事務組合制度の周知を図るとともに、計画的な監査や個別・集団指導を行いまして、労働保険事務組合の育成支援に努めているところでございます。
3点目ですが、労働保険の未手続事業の一掃対策の推進でございます。これは平成23年度に第3次の労働保険未手続事業一掃対策3か年計画を策定しまして、3年間で1万8,158件の保険関係の成立を目標としているところでございます。今年度はその中間年に当たり、目標達成に向けて種々努力をしているところでございます。
労働保険制度は御案内のように、労働者の福祉向上を目的に、昭和50年に全面適用となっていますが、依然として、小零細事業にあっては、未手続事業場があることから、局内の各課室、監督署、ハローワーク等の連携はもとより、この事業の受託団体でございます全国労働保険事務組合連合会東京支部との連携強化を図り、実施しているところでございます。今年度上半期におきましては、年度当初より専門部会を設置して、ブロック別協議会を開催するなど、加入勧奨対象事業場リストの精度を高めるための手法あるいは加入のための働きかけ等の情報の共有や、団体に対する説明を行うなど、引き続き事業場の解消に努めているところでございます。
【佐藤会長】 では次に総務部長、お願いします。
【高橋総務部長】 総務部からは労働相談について御説明を申し上げます。資料のページは15ページでございます。まず私どもは総合労働相談ということで、都内21か所にコーナーを設置いたしまして、相談に応じているところでございますが、その24年度上半期の実績につきましては、5万7,730件で、その前の年の同じ時期と比べますと、11.6%の減です。そのうち民事的紛争である個別労働関係紛争にかかる相談件数は1万3,260件ということで、こちらのほうも前年同期比9%の減となっています。
このように件数的には若干減少している傾向も見られるところでございますけれども、その相談内容を見ますと、解雇、退職勧奨あるいは雇止めといった相談が減少してきている一方で、いじめや嫌がらせといった、相談に時間を要したり、あるいは難しい事案が大幅に増えているという状況でございます。
また、個別労働関係紛争にかかる相談のうち、労働局長の助言・指導に移行したものが314件ということで、これは逆に前年同期に比べまして、13.4%の増となっています。
さらに、あっせんに移行したものにつきましては746件ということで、こちらも前年同期比7%増となっているところでございます。
東京労働局といたしましては、相談者の方の置かれている状況に十分配慮いたしまして、引き続き懇切丁寧な相談対応を行い、その内容に応じて関係法令あるいは裁判例等の情報提供や、あるいは適切なアドバイスによる当事者間の自主的な解決の促進、更に外の機関の情報提供等のワンストップサービスを提供してまいる所存でございます。
【佐藤会長】 ではもう一つ、議題2の「東京ゼロ災害運動及び職業性疾病への対応等」について、基準部長からもう一度お願いします。
【相浦労働基準部長】 東京ゼロ災害運動及び職業性疾病への対応ということで、御説明をいたしたいと思います。
17ページに、本年度のこれまでの取組と、その成果について記載しています。本年の休業災害について、前年比を月ごとに折れ線グラフ化したものですが、東京ゼロ災害運動、具体的には3月に推進会議を立ち上げまして、関係団体の皆様方の御協力をいただきながら運動を本格始動したところでございます。その後、監督署においては、災害多発分野に対して最大限の業務量を投入し、監督指導を実施してきたほか、また、局においては、局長をはじめ、幹部が率先して安全気運向上のための取組を絶え間なく進めてきたところでございます。その成果もありまして、本日、各委員の御協力のもと実施した現場視察でも御覧になっていただいたとおり、都内の建設現場をはじめ、多くの事業場において、東京ゼロ災害運動に呼応した取組を展開していただくに至ってございます。
また、各団体でも独自のリーフレットを作ったり、会員向けの研修会で取組についての説明時間を行政側に提供いただくなど、御協力をいただいているところでございます。
それらの結果、年度当初に前年比で約4割増であった死傷災害が、直近の10月末現在では約6%増まで押さえ込むことができております。死亡災害については、最新の数字で、64名の方がお亡くなりということで、前年比9名の増加ですが、年度当初の4月には、前年同期4名のところ、16名お亡くなりになっています。比較数字からいうと4倍のペースで発生していたことを踏まえれば、運動の効果は一歩一歩確実に得られているのではなかろうかというふうに考えているところでございます。ただ、そういった重篤な災害は当然限りなくゼロに向けて、努力していかなければならないというふうに思っております。
本年も残すところ、あと1か月、何かと慌ただしい年末を迎えてございますが、前年を下回り、グラフの赤い線で示した11次防の目標達成に少しでも近づけるように、気を緩めることなく対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
先般、11月末ですが、局長による建設現場のパトロールを開催するとともに、12月は、建設現場への一斉監督を計画しているところでございます。そういった方策を講じ、少しでもこの目標値に近づけてまいりたいというふうに考えているところでございます。
次に胆管がん発症に関する各種取組状況について御説明いたします。左の欄に、印刷業に対する有機溶剤中毒予防規則等の遵守のための取組経過をまとめています。本年5月に大阪労働局管内の事業場において、校正印刷の業務に従事していた複数の労働者等から、胆管がん発症による労災請求がなされるという事案が発生したこと等を踏まえ、全国的な取組の中で、東京労働局でも一連の取組を実施しているところでございます。
本年6月には印刷機の洗浄作業に着目した全国561事業場への立ち入り調査の実施ということで、東京労働局管内では87事業場に対して立ち入り調査をいたしました。また、7月12日からは相談ダイヤルの設置ということで、東京労働局では東日本地域を担当し、7月13日からこの間、252件の電話相談等を受け持っているところでございます。さらに、7月、8月と、印刷業、18,131事業場に対する通信調査を行い、東京労働局管内では2,955事業場を対象として実施したところでございます。
さらに、9月、10月と、通信調査の結果、有機則またはがん原性指針の対象物質を使用していると回答した事業場及び通信調査に未回答の事業場等に対する集団説明会を、東京労働局では1,036事業場を対象として実施したところでございます。
右の欄に、印刷業に対する有機溶剤中毒予防規則等遵法状況、印刷業に対する通信調査結果をまとめています。これは全国47労働局7,105事業場における通信調査結果のうち、有機則等の対象物質を使用していると回答した事業場の管理状況について取りまとめ、10月に厚生労働本省が公表したものですが、このうちの東京労働局管内の部分を速報としてまとめたものでございます。
なお、この集計は単純集計ですので、局所排気装置等の設置の項目などで、「していない」という回答であっても、全体換気装置の設置でよい化学物質を取り扱っているようなところもありまして、「していない」から全て不具合であるというふうには見れないものも含まれていますが、「していない」とする肌色の部分がかなりあるということは非常に重く受けとめなければならないというふうに考えています。
特に局所排気装置の設置、全体換気装置の設置、特殊健康診断の実施、作業環境測定の実施等に、「していない」という事業場がかなり認められるところでございます。これは実は東京労働局の傾向だけでなく、全国的にも同じような傾向が見られるところです。
今後の当局の対応としましては、先月11月から有機則、がん原性指針の対象物質を使用している疑いがある事業場で、集団説明会に参加してこない事業場等の306事業場に対して監督指導等の手法により、有機則等の遵守について徹底を図ることとしていまして、今取り組んでいるところでございます。これにより、この業界については何とか網羅的に行政が接触を持って取り組んでいくという方針で臨んでいるところでございます。
以上です。
【佐藤会長】 どうもありがとうございます。今日はまだ議事が2つあるんですけど、進め方は例年と同じように御意見なり質問を先に出していただきます。ですので、どなたに対する御質問かということを言っていただき、可能な範囲でお答えしていただくことにしたいと思います。
ではどなたからでも。では、秋山委員。
【秋山委員】 質問が2点ございます。
まず1点は、職業安定の求職者支援制度のところで、求職者支援訓練の受講率が実際の募集定員よりかなり少ないというところで、そちらのところは例えば周知が足りないのか、ニーズと合っていないのか、原因を教えていただきたいのが1点です。
それからもう1点が労働基準のところで、36協定受理時の窓口指導、その次の自主点検というところの自主点検の具体的な内容について教えていただきたいと思います。
【佐藤会長】 では、傳田委員。
【傳田委員】 派遣法改正には、来週に協力員会議があって、施行前後におけるセミナーでの質問の集中した事項の報告などがあると思います。労契法セミナーは、基準部で9日でしたか、700名規模で1回開催と思います。次に各基準監督署単位での開催だと思います。今、使用者の方々がいろいろなところで、弁護士を講師に勉強会をやっています。労働局には、新しい改正部分、特に20条関係でどんな質問が来ているのかという点、それに、どのように答えているかということを教えていただければと思います。
もう一つは、高齢法改正です。来年の3月までに対応を一生懸命やろうとしています。希望者全員がといっても、こんな働き方や処遇では嫌だということでなく、対象者が継続雇用を希望したくなる制度でなくては何にもならないと思います。そういう制度づくりの専門アドバイザーの活用というのが指針の中にもあります。現在、そういう方が東京ではどのくらい活躍されて仕事をされているのでしょうか。
【佐藤会長】 はい。ほかには。加藤委員どうぞ。
【加藤委員】 要望ですけれども。
【佐藤会長】 はい、どうぞ。
【加藤委員】 東京ゼロ災運動に関しまして、昨年の3月ですか、ここの場に全産業集められまして、非常に労働災害が多いもので、東京ゼロ災運動を始めるよということで始まったわけですが、資料のグラフのように、確実に減少してきていると思います。それなりに効果はあると思うんですが、どこの業界、業種でもそうだと思うんですけれども、12月末でお仕舞いではなくて、年度でやっています。3月末ですね。それで、建設業界というのは3月末で引き渡しというのがかなり多いんですね。この資料を見ていただいてもわかるように、1月、2月、3月で多発傾向にあります。年度末というのは僕らもかなり輻輳した作業になるもので、年末も一つの山ですが、もう一つの山である3月末が工期を迎えて、どうしても引き渡さなあかんと。そこでかなり無理が生じてくるということで、事故が多い季節になるものですから、できましたら、東京ゼロ災運動をあと3か月続行していただき、3月末までやっていただけたら、非常にありがたいというふうに思いますので、是非とも御検討のほうをよろしくお願いしたいと思います。
【佐藤会長】 では、白川委員、どうぞ。
【白川委員】 需給調整の問題でございます。今回の上半期の状況によりますと、この苦情・相談が事業主、労働者ともに大変な増加ということでございます。そのことからは、法制度の周知をやっていただいているのは理解できるんですけれども、この状況からはまずはその周知のところを更に強化ということがベースでなければ、と思いますので、そこを更に強化していくということについてのお考えはいかがかと、この1点です。
【佐藤会長】 では、上原委員。
【上原委員】 基準なんですけれども、先ほどの加藤委員の御発言のとおり、非常に下がっているので、それは大変評価すべきことだということと、ここから更に下げるのに、中小とか規模別でどのような傾向があるのかというのを、もし資料があるなら教えていただければと思います。
【佐藤会長】 では、ここまでで一度締めまして、安定、基準、需給の順で可能な範囲でお答えいただくということでよろしいですか。
では安定のほうから。
【清野職業安定部長】 秋山委員から求職者訓練の関係で御質問いただきましたが、周知自体が100%とは考えておりませんので、先ほども御説明させていただきましたように、より周知を徹底させていこうということで取り組んでいるところでございます。
それから、ハローワークで実際に訓練の受講の相談を一生懸命するんですけれども、やはり公共と比べてもこの制度が厳格でございますので、なかなかそういう面で、御辞退といいますか、踏み切らない人たちもいると思っております。ただ、これは制度について大分御審議いただいて定めた運用でございますので、今しばらくここのところはしっかりやっていかなきゃいけないのかなと思っております。
いずれにしましても、周知につきましては、いろいろ機会や民間広報媒体なども使いまして、何とか徹底すべく取り組んでいるところでございます。
あと高齢法のアドバイザーの関係ですが、これは11月より法改正周知に特化した取組ということで、約2,500社に対して実施しております。アドバイザーは70名という体制です。
【佐藤会長】 よろしいですか。
では、基準がたくさんありまして、かなり関連している部分があるので、まとめてお答えいただければと思います。
【相浦労働基準部長】 では、基準の分野についての御質問にお答えしたいと思います。
36協定締結時の自主点検の具体的な内容ということですが、ガイドライン、基準告示を上回っているようなものについては、ガイドラインの内容を知っていますかとか、労働時間等設定委員会をはじめとする労使の話し合いの機会を設けていますかとか、年休の取得促進とかの環境整備を行っていますかとか、所定外労働の削減に向けての環境整備を行っていますかとか、そういった点検表を様式として提示しています。そちらで、その点検結果を報告いただく形になっていて、報告いただいたものの中からその1項目に働き方・休み方改善コンサルタントの個別訪問を希望しますかというような回答をする欄もありまして、報告をいただいたものからコンサルタントによる個別訪問の実施というような形で展開しているものです。
それと、契約法の関係については、就業規則をどういうふうに変えたらいいんだろうとか、実際の労働条件をどういうふうに設定していくんだろうかという質問がたくさん来ているということは承知しています。局としては11月に周知をスタートしたところですので、この年末から年明けにかけて上がってくる御質問を踏まえて、また、どこかのタイミングで、この審議会等の場を活用して、状況等について御報告させていただければと思っています。
3点目、東京ゼロ災害運動の延長の話ですが、実は東京ゼロ災害運動は6月までとしていたものが、先ほどのような数値でございましたので、12月まで延長をしたという経緯がございます。ただ、各方面からの声がございますので、今の状況では少し検討したいと思いますけれども、現在のところ再延長は予定していないというのが正直なところです。ただ、来年4月からは新しい災防計画が始まりますので、それにつながる3か月も非常に重要な期間であると考えております。そういう意味から、東京ゼロ災害運動の総括も踏まえて、年度末までの3か月をどういうふうにするかということについては、行政の内部及び関係の御協力いただいた方々とよく御相談させていただきたいと思っているところでございます。
それと、4点目、中小規模のところで災害が多いのかというお話でしたが、実は建設関係で見ますと、今日見ていただいたところは非常に大きい建設現場です。それに比べまして、やはり中小規模の現場においての災害防止活動は、大手に比べると十分でない面がございまして、そういうものが数字として、結果として表れてきているのも事実です。ただし、だから、大手では大きな事故がないかというと、決してそうではございません。監督署としては、大手には自主的な安全衛生管理を要請しながら、中小規模のところについては個別に監督指導を徹底していこうというような考えを持つなどして、対応しているところでして、特に中小規模現場については、そういったところだけを対象とした一斉の監督というのを計画していますし、この年末年始の取組の中でもそういったところを対象にしたいと思っております。
あわせて、建設業は、業界団体に所属しないアウトサイダーのところでの事故が実はかなり多うございまして、そういうところにもっときめ細かい指導ができないかということで、東京都と連携しまして、東京都のほうから業界団体、事業場名簿等を取り寄せ、緊急の要請、災害防止にかかる要請をお願いしたというような経緯がございます。そのような状況でございます。
【佐藤会長】 需給調整のほうで、もし何かあれば。
【中村需給調整事業部長】 白川委員の周知が重要という御指摘はごもっともだと私どもも認識しております。特に事業主向けの周知につきましては、今回の改正法の内容は派遣先にかかる規制も結構多いものですから、派遣先のほうにもしっかり周知していきたいと思っておりまして、私どもも派遣先向け研修会などをやっているところでございます。コンプライアンス意識の高まりか、関心を持っていらっしゃるところは多うございまして、参加申込みも増えておりますので、こうしたところも力を入れていきたいと思っております。
あと労働者向けのセミナーも、これも先ほど傳田委員から言及がございましたが、協力員会議でセミナー自体を早めにしっかり周知すべきという御指摘をいただいております。これも今年度、周知を早めにやっている結果、比較的参加者も増えておりますので、こうしたところも頑張っていきたいと思います。
何分、私どももやれるところには限界もありますので、関係団体にお呼びいただいたりしながら、引き続き周知を頑張っていきたいと思っております。御協力を引き続きよろしくお願いしたいと思います。
【佐藤会長】 そうしたら、まだもう少し時間がありますので取りあえずまだ質問を出していない方がいればどうぞ。
【米田委員】 基準の関係で、高速ツアーバスの事故のことになるんですけれども、道路運送業の関係で、トラックも必然的に自主団体で適正審査をする段階があって、70%ぐらい何らかの要件を満たさない業者があるんです。高速もそうなんですが、同じ路面で同じように走っているので、できれば業界団体と一緒に査察なり何なりやっていただくということが必要なのかなと思います。そうしませんと、バスもトラックも乗用車も同じように走っているので、それは誘発につながるのが非常に多いので、この辺は特に中小の関係は非常に厳しい状況にありますので、基準も含めてできれば、バスと同様にお願いをしたいなと思います。
【佐藤会長】 ほかにはありませんか。無ければ今の件をお答え願います。
【相浦労働基準部長】 トラック運転手の労働時間の問題とか、安全衛生管理の問題というのは、実は非常に大きな問題だと承知しています。また、トラック運転手ということで、そこの事業者だけではなかなか解決ができないような、相手、荷主先へ行っての作業とかがあって、トータルでいろいろな対策をしていかなければいけないというふうに思っています。そういう中で、監督指導という切り口もきっちりやっていまして、陸運との合同の監督や、向こうでやった結果を踏まえた情報を提供されると、改善基準上の問題があるとするならば、今度はこちらが監督をするとか、逆にこちらが監督をして、不具合が認められたようなケースについては情報を提供して、今度は陸運のほうから監査に入っていただくというような陸運と連携した監督指導を今も実施しているところでございます。
過労死案件に占める道路貨物運送業界の自動車運転手の関係というのはウエートが高いので、そういったことも踏まえて、これまで監督指導をかなりやっていますし、これからも引き続きやっていかなければならない部分だと承知しております。バスのことが最近、脚光を浴び、社会的な要請が出てまいりましたので、少しそちらを中心に御説明しましたけれども、自動車運転者の改善基準は非常に重要な問題だと考えております。
【佐藤会長】 大体よろしいですか。はい、傅田委員どうぞ。
【傳田委員】 労災防止指導員制度廃止から制度的に引き継いだ安全専門家会議ですが、あまりこういうところで活動報告がされない。年2回程度開催と聞いていますが、しっかりやられているのかどうか、労災増加の中にありますから、しっかり活動してもらわなきゃいけない制度だとも思います。報告段階で何かあれば、我々も目にすることになりますので、お願いしたいなと思っています。
【相浦労働基準部長】 安全衛生労使専門家会議は年2回開催していますが、非常に活発な御議論をいただいていまして、そういったところのノウハウを実は東京ゼロ災害運動の中にも取り入れさせていただいたりしています。労使ともに各専門家の委員の方から活発に御議論いただいているので、非常に有益だと思っておりまして、是非そういったノウハウを次回以降、提供できるものがあればお示ししていきたいと思います。
【佐藤会長】 では、大体いいですかね。あと、これは私が個人的に、教えていただければと思うんですが、資料のいろいろな数字、例えば未払賃金の立替えの件数も、これは労働者数ですよね。
【相浦労働基準部長】 この数字は企業数です。
【佐藤会長】 事業場数ですか。例えば調停なんかの数値は労働者数ですよね。
【荒川雇用均等室長】 申立て件数です。
【佐藤会長】 申立て件数ですか。つまり、どこかで大きい事故があると人数は増えるけど、件数、事業場単位だと、増えていないのかもしれない。数字の取り方が両方あるんですよね。
【伊岐労働局長】 次回からなるべく表示するようにいたします。
【佐藤会長】 お願いします。あと、相談なんかも、1人が何度も来ると件数が増えるんですよね。
【伊岐労働局長】 そうですね。
【佐藤会長】 だから、数字の取り方がものによって違うので、どこかに書いてあるといいですね。1枚目に載せるとか。
【伊岐労働局長】 はい。分かりました。
【佐藤会長】 それでは、前回の新宿就職サポートナビの視察ともかかわるわけですけれども、3のアクション・プランに係る一体的実施事業の進捗状況を御説明いただいて、前回の視察の感想も含めて御意見を伺っていきたいと思います。
【清野職業安定部長】 それでは、議題3の、「アクション・プランに係る一体的実施事業の進捗状況について」ということで、御説明をさせていただきます。
委員の皆様には、この会議に先立ちまして、新宿就職サポートナビを御視察いただく御案内を急きょ出させていただきまして、都合のつかなかった委員の皆様には大変申しわけありませんでした。また、お忙しい中御視察いただきました委員の皆様には、本当にありがとうございました。
それでは20ページをお開きいただきたいと思います。
平成22年12月28日に閣議決定された地域主権戦略大綱に基づくアクション・プランによりまして、利用者である地域の住民の利便性を向上させる観点から、希望する自治体において国が行う無料職業紹介事業等と自治体の行う職業能力開発あるいは福祉等に関する相談業務を一体的に実施するものでございます。自治体の提案に基づきまして、国と自治体が協議をして、内容を決定し、協定の締結等によりまして、自治体主導でハローワークと一体となって就労支援等を行う事業です。11月1日現在で、全国で43都道府県、59市区町村からの提案を受けまして、28都道府県42市区町で事業を実施しております。
次のページから2枚が東京局内での状況になりますが、東京においては、現時点で5区においてこの一体的実施を行っております。うち3区においては、生活保護受給者等の生活困窮者を対象とした就労支援を実施しており、平成23年7月から新宿区において、本年2月から中野区と墨田区において、それぞれ区役所内の福祉担当窓口と隣接した場所に就労相談窓口を開設させていただいております。
次のページの品川区においては、本年3月から、品川区の施設である中小企業センター内に「品川区就業センター」を設置し、ハローワーク品川による職業相談・職業紹介と、区による内職のあっせん等の就業支援や事業者への雇用支援サービス等を一体的に行っております。
また、つい先立っての12月3日からは、杉並区立産業商工会館において、杉並区とハローワーク新宿が一体的窓口を開設し、区民に対する就労支援、若者等の就労準備支援及び事業者への雇用支援サービスを開始したところでございます。いずれもハローワークが積極的に協力し、ハローワークが行う職業紹介と区が行う生活相談、自立支援等と一体的に行っているものでございます。
これら一体的実施施設の運営に当たりましては、それぞれの区に一体的就労支援事業運営協議会を設置して、事業計画の策定や事業実績の評価を行い、効果的かつ円滑な事業運営に努めているところでございます。平成23年度に事業を開始した4区についての事業実績は資料の右のとおりでございます。
皆様御承知のとおり、生活保護受給者は増加が続いておりまして、この8月には全国で213万人、東京でも28万人に上っており、各自治体にとっては、就労による自立支援は大変重要な課題となっているところでございます。
この生活保護受給者等を対象とした一体的就労支援をしている3施設について、21ページにまとめていますが、新宿区は昨年7月にスタートして、中野区、墨田区とも本年2月に事業開始ということでございまして、事業実績としましては、各施設とも目標を支援対象者の就職率60%以上として就労支援を行い、66%から100%というような高い就職率を達成しております。
なお、今年度のこれまでの実績につきましては、右側にありますが、70%を超える就職率となっております。
また、次ページには、品川区においても今年度の目標就職件数400件に対して、244件と順調に推移をしているところでございます。事業実績については、平成23年度に事業を開始した3区の運営協議会において、区とハローワークでそれぞれ評価を行ったところで、ただいまの資料の表の黄色の部分に載せていますが、区側の評価といたしましては、まず「ハード面の環境整備により、迅速できめ細かな一体的支援ができる環境が整った。」、「利用者の利便性が向上し、就職支援の機会が広がった。」、「求人情報端末の設置により、リアルタイムな求人情報の提供と仕事のあっせんができるようになった。」、「就労による自立については、区とハローワークが支援対象者の情報を共有し、的確な支援ができるようになった。」、「意欲の欠如により、支援期間が満了となるケースも見られるため、さらなる連携により、意欲の喚起が課題である。」とかというような意見がございました。
ハローワークとしましても、「ハード面の一体化により、ケース会議等の実施効率が向上しまして、一体的実施の効果が表れている。」、「同一施設内のメリットを生かして、福祉部門との連携を密にして、支援対象者の選定と、より一層の送り込みの強化をする。」等の意見があり、区側、ハローワーク側の両者とも一体的実施の効果を感じているところでございます。
また、利用された方のお声ということも含めまして、各施設における就職成功例を参考資料として、お示ししております。いずれも就職支援ナビゲーターが、担当制により、寄り添って、お一人一人の問題点や課題を洗い出して、就労意欲を引き上げながら、ケースによっては、求人企業への理解を求めた上で、就職に結びつけているところでございます。
先日、御視察の際、新宿所長のほうから説明もありましたように、参考資料の25ページになりますが、40歳の女性の例でございます。長崎のほうで夫からのDVを受けておりまして、これを逃れて、新宿のほうに来られた方が、全国広域ネットを活用した支援の結果、就職に結びついているというような例もございます。いろいろ載せておりますので、成功例につきましては、後ほど御覧いただければと思っております。
このように実績が上がっている要因としましては、東京労働局として、住民サービスを担当している基礎自治体との連携を進めてきたところでございまして、その一つには、平成17年度から生活保護受給者等の支援事業に取り組んできたところですが、更に平成23年度からは「福祉から就労支援事業」として強化をしているところです。その全体の実績としましては、都内17ハローワークと77か所あります福祉事務所との連携で、23年度については、支援対象者数は5,818名に対して、就職件数が3,990名、就職率が68.6%と、これも高い実績をおさめております。一体的実施による支援は、68.6%よりも更に高い実績となっております。そういうことから一体的実施は連携が一層緻密になりまして、実績効果を上げているものと評価をしているところでございます。
この事業は、ハローワークと基礎自治体とがお互いの役割、得意分野を持ち寄って連携しながら、一体的に実施する取組でございまして、各基礎自治体からも一定の評価を得ており、効果を上げていると考えておりますが、この後、委員の皆様から是非御評価あるいは御意見等、伺えればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【佐藤会長】 これは福祉から就労への移行支援という、非常に重要な取組であり、福祉事務所や自治体の方とハローワークの職員の連携、情報の受け渡し等、連携ができるかどうかがポイントかなと思うんですけれども、ここは少し皆様、自由に御意見なり感想を伺って、まとめて最後にお答えいただくような形でよろしいでしょうか。見ていただいた感想でも結構ですのでお願いします。
【田中委員】 よろしいですか。私も興味深く視察させていただきまして、非常に相談員の方も多数おられて、今日の資料にもありますように、達成率も高いということで、非常にいいことだと思うんですけれど、何しろ保護世帯が多くなると、国の財政を非常に圧迫しておりますし、経済界のほうから見ると、この保護世帯が増えていくと、最低賃金も上がっていくという仕組みもあったりして非常に難しい面がありますが、25ページにある新宿の資料の中にある抱える課題というのは保護をもらうと、もうあまり働く気がなくなるということですね。だから、これは国のほうでもやっぱり制度的な面で就労したほうがいいんだということを伝えてもらわなきゃいけないということもあります。今は何かそういうハローワークの人たちの熱意で就労を対象者に働きかけていますが、その熱意を支援するような仕組みがないかなと。それで、区のほうは、働け、働けとあんまり言っていないようだということも聞きました。区のほうでもやってもらうことで、もっともっと実を上げていただければと思うんですよ。だから、この支援対象者というのも、更にレベルを落とすのか、拡大するというのか、対象者の範囲を広げて取り組んでいただければありがたいと思っているところです。
【佐藤会長】 これは自治体の経済負担も非常に大きいので、自治体の方もできれば支援を続けたいと思っているという理解でいいですよね。実際、国だけじゃなく、自治体の財源負担はすごく大きくなってきているので。
ほかにどなたかありませんか。
【傳田委員】 このアクション・プラン実施から、連合でも全国でどうなっているか調査を行いました。それで私は、春先に品川の施設に行って見させていただいて、ああ、明るい感じだし、いいなと思いました。また、先刻は新宿に視察に行かせていただいて、まさに生活保護を受給する方が並んでいました。その窓口から、すぐ専門のアドバイス担当者につながるというところを見させていただいて、本当にこれはいいことだなと感じました。
また、一人ずつ生活保護の関係を面倒見る担当者の方、何ておっしゃいましたか、そこにセットされて連携を取る。仕事に就かれる方は、15%ぐらいと言いましたか。15%というのは、私は今の段階では、「えっ、そんなに高いの?」というイメージがちょっとあったものですから、相当それは成功しているなという思いもありました。今、都内5か所ということなのかもしれませんけど、どんどんと基礎自治体の方々が今までの先行事例なんかを参考にして要望する、労働局もそれに応えていくような体制をとられたらいいのではないかなと積極的に評価しています。
もちろん無料の職業紹介は、国のユニバーサルデザインで、これはもう国の仕事として、身近なところに置くことが必要だと思います。また、あのような方式で区の生活保護ですとか、または直接若い人とか中小企業のニーズに合った形で、一体的にやられることはいいことです。それも同じ場所でというのが絶対にいいことだと思うので、それは是非進めていただきたい。我々もできれば、いろいろな区に対しての政策要請も行いたい。区サイドにも、そういうことを検討してみてくださいということを言おうかなというふうに思っています。
【佐藤会長】 この前の話だと、受給者の方の30%から35%ぐらいは就労できそうだというお話でしたね。それで、その人が全部就労支援に移っているわけじゃないんだよね。移った人の7割ぐらいは就職している。そこのところ説明していただいていいですか。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 先日は御視察をいただいてありがとうございます。心強いお言葉を先生方からいただいたので、意を強くしていますが、実は生活保護受給者というのは、制度そのものが属地主義になっていますので、その地で保護責任というのが生じます。一方、ハローワークの業務では、先ほど局長の御挨拶にもありましたけれども、全国ネットワークで、職業紹介サービスを提供していますので、そこは少し、かみ合わない部分も実はありますが、私はその施設等ハード面が一体になったことによって、生活保護受給者を就労意欲の高い者から順に、少しずつカテゴリー別に分けて、どんどんハローワークのほうに回していくというスキームが一応今でき上がったというふうに認識しています。ですから、分母が少し少ないというふうに見えるかもしれませんけれども、実は分母はもっと大きくて、その中から就労の意欲、モチベーションが高い順に、5段階ぐらいに分けて順次やっているという状況は一つ御理解をいただきたいと思います。
その上で、生活保護受給者にはそれぞれの生活状況とか収入状況とかをきちっと把握しているケースワーカーがついています。そのケースワーカーと我々ハローワークの担当者がきちっと情報の共有化ができるということが、私は最大のメリットだと思っていて、ここはハード面の効果も含めて、かなりソフト面での効果が上がっているということです。次は、就労意欲を持たせていくという取組を今少しずつ進めているところですけれども、問題は若者を中心にした稼働能力を有した者、働けるけれども生活保護を受けている層が非常に大きくなっているので、そこは基礎自治体も含めて、就労支援の強化を図るという認識を持った取組をしていかなければいけないと思っているところです。
【佐藤会長】 ひとつ、確認ですけれど、かなり年齢が高いとか病気等で、客観的に見て働けない人もいると思うんですね。客観的に働ける人が3割ぐらいという話でした?
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 いえ、もう少しいます。
【佐藤会長】 もう少しですか。それで、意欲がある人、働ける可能性があって、意欲のない人もいるわけですよね。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 そうです。
【佐藤会長】 働いてもいいなという人が相談に来るわけですよね。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 そうです。
【佐藤会長】 そうすると、受給者全体で相談に行く人が3割ぐらいということですか。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 3割は来ません。
【佐藤会長】 3割は行かない。そうすると、客観的に働けそうだという人が3割ぐらいということですか?
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 客観的に働けるであろうと思われるのは3割から4割です。
【佐藤会長】 3割、4割位ですか。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 その他世帯とカテゴリー化される人たちですが、その中で、就労意欲のある人というのが、まあ、3割ぐらいですね。
【佐藤会長】 3割ぐらいですか。それは一生懸命やって3割ぐらいになっているということですよね。3割の3割。全体の1割ぐらいがやっと回ってきて、来た1割のうちの六、七割は就職できると。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 そういうことです。だけど、これは5段階ぐらいに分けて、もう全く無理というようなところは現段階ではやっていないです。
【佐藤会長】 でも、大変な取組ですね。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 先日大臣、政務官が来たときにもその議論があったんですけど、やっぱりカテゴリーに分けていかないと、なかなか就労支援というのを計画的にやるということは難しいです。やはり1人当たり平均2、3か月は支援期間がかかりますので。
【佐藤会長】 そうやって一人一人働く人が出てくると、また働こうと思う人も出てくるかもわからないですね。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 そうですね。
【佐藤会長】 手間暇かかって、時間もかかりますが、非常に大事な事業だということですね。
では、もう一つ、私からの感想で、先日一体的施設の見学後、新卒応援ハローワークに行って、あそこですごく勉強になったのは、企業の魅力みたいなものを職員の方が書いて貼っているというのはすごいなと思いました。あともう一つは、あそこは新宿だったから、新宿区として表彰している企業を集めて展示していて、あれもいい取組だなと思いました。やはり大卒を中堅中小企業にどうマッチングさせるかというときに、職安として、行政として、これはいい会社ですとは言えないですよね。
そうすると、やはりああいうやり方はいいなと思って、そういう意味では「くるみん」なんかも300人以下で取っている事業所というのはそんなに数多くないですよね。だから、その「くるみん」を取っている会社だけのコーナーとか、あといろいろな形で各区や東京都の表彰もありますよね。そういう会社を集めた就職フェアなどは企画してもいいかなと思って、あれはいい取組だと思いました。
【廣瀨新宿公共職業安定所長】 ありがとうございます。
【佐藤会長】 では引き続き、取組を続けていただければと思います。
それでは、最後の議題として、いろいろな事業が膨らみ、大切なことを実施するとやはり人手がいるわけですが、実際には人員は増やせないということで、その辺をどうするかということもあるかと思いますので、労働局にとっての課題なり、今後の取組なり、お話しいただければと思います。
【高橋総務部長】 私ども東京労働局といたしましては、縷々申し上げましたとおり、年間目標を定めまして、その達成と実績のさらなる上積みを通して、労使の皆様方に貢献しようということで、職員一同、全力で取り組んでいるところでございますが、今後の運営体制につきましては、いささか懸案もございますので、資料にて御紹介させていただきます。
まず定員についてでございますが、私どもの定員は、政府方針に基づく数次の定員削減計画の実施によりまして、この6年間で100名を超える削減を余儀なくされているという状況でございます。こうした定員減は、局や、あるいは第一線機関でございます監督署や安定所に薄く広く割り振りまして、業務の簡素・合理化、集中化といった努力を積み重ねてきて、対応したところでございますが、それでも持ちこたえることができず、この6年間に、実は安定所の出張所を2か所廃止しております。また、更に来年度でございますが、15人程度の定員削減が更に来るような見込みを持っておるところであります。
次に採用抑制についてでございますが、これは平成22年5月21日の閣議決定を受けまして、平成23年度の新規採用者から採用抑制ということが実施されることになったということであります。特に多々ある中央省庁のうち、厚生労働省は他省庁と比べて最も厳しい制約を課されましたために、23年度以降は新規採用が大幅に抑制されるという事態に至っております。
これによりまして、東京労働局におきましては、新規採用抑制のかかる前の平成22年度の採用では、主に退職者の補充要員として65名採用できた新規採用者が来年度、平成25年度では、安定、基準、両行政で最大1名というところまで激減することになったところでございます。
このように定員削減はもとより、新規採用抑制によりまして、退職者の補充が困難になりました結果、近年ではその毎年削減後の定員を満たすことができない、その差が欠員ということで累積しております。
その状況をグラフで御覧いただけたらと思います。資料内の棒グラフの高さが全体の定員でございますが、そのうち赤い部分が欠員ということでございまして、その全体から赤い部分を引いた青い部分、これが実人員でございます。特に、近年大きく減少してきておりまして、今年度は局の体制と地域に必要とされる18の監督署と17の安定所を維持するのにぎりぎりの体制にまで絞り込んできたところであります。
来年度は今年度に比べまして、基準系統と安定系統で、それぞれ都心部での中規模監督署1か所分と、小規模安定所の1か所分にそれぞれ相当する大幅な減少が見込まれております。
こうした大幅な人員減に対しまして、業務のさらなる簡素・合理化、あるいは集中化による省力化に取組ますとともに、私どもとしましては、定年退職予定者に再任用を働きかけてございます。また、東京労働局の職員のみならず、他省庁の職員にもお声掛けをして、何とか私どもの組織に再任用職員として入って助けていただけないかという活動を展開しておりますほか、民間企業からの出向や自治体からの研修生という形での受入れなど、できる限りの努力をしているところであります。
幸い、それに応えていただける機関も幾つか出てきておりまして、何人か集まりそうだというところもありますが、何せ削減のロットが大き過ぎまして、この大規模な減を解消するにはなかなか至らないのが現状でございます。
こうした中で、来年度の業務運営に関しましては、御利用者のサービスの低下を来さないように極力努めていく考えではありますが、何分かつてない急激な体制縮小が余儀なくされる見込みでございますので、ある程度待ち時間の増加や、業務処理の総量の低下、それに伴う苦情や批判が増えたり、あるいは職員が疲弊していくというゆゆしき状況も懸念される状況でございます。
業務の方は着実に進捗している中で、実はこの私どもの裏舞台ではこういう事情もあるということを、お含みおきいただければと思い、御紹介させていただきました。
御説明は以上でございます。
【佐藤会長】 現状を理解していただいて、機会があればいろいろなところで言っていただくということだと思うんですが、定員は、国の方針で少なくなりますよね。欠員というのは、定員はあるけど、採れないということですね。
【高橋総務部長】 そうでございます。
【佐藤会長】 そうすると、定員、採用全体を抑制しているということですか。
【高橋総務部長】 はい。
【佐藤会長】 定員も下がっているけど、配分されている分が定員の削減より埋まらないということですか。欠員が生じるということは、定員分が埋まらないということですか。
【伊岐労働局長】 そうです。新規採用が非常に制約されているので、普通でしたら、定年退職で辞めた人の分の新規採用を許してもらえば、全く定員の削減がゼロであれば、現員が維持できます。ところが、さっき言いましたように採用が1人とか2人ですので、辞めた職員の分がそのままぽっかり穴があいてしまうということです。
【佐藤会長】 定員が下がっている以上に新卒採用が少ないということですね。そして、辞める人が多いから。
【伊岐労働局長】 そうです。
【佐藤会長】 でも、それは採ってもいいわけですよね。欠員分は。
【高橋総務部長】 いや、駄目なんです。政府の閣議決定で、新規採用をやめろと言われているのです。
【佐藤会長】 なるほど、新規採用ができないということですね。
【高橋総務部長】 はい。
【佐藤会長】 定員で、人件費の予算はあるわけですね。定員があるんだから。
【伊岐労働局長】 そうです。ですから、再任用とかだったら良いということです。
【金子委員】 おかしな話ですね。
【伊岐労働局長】 官民人事交流でお見えいただくという場合には、新規採用ではないので、それはいいんです。
【佐藤会長】 いいわけですね。そうですよね。定員枠があって、予算はついているんだけど、新採で採れないということですね。
【伊岐労働局長】 はい。そうです。
【佐藤会長】 普通で考えると、民間では考えにくいことですよね。予算措置はあるわけですから。そうすると、中途採用はいいわけですか。
【伊岐労働局長】 いえいえ、中途採用も含めて通常の形の採用は抑制の対象になっているのです。
【佐藤会長】 採用も駄目なのですか。
【伊岐労働局長】 ええ。定年退職者等の再任用はいいんですけれども、普通の採用はできないのです。
【佐藤会長】 それは定員内ですか。
【伊岐労働局長】 そうです。定員の中です。ですから、フルタイム再任用ですと、定員を埋めることができます。
【佐藤会長】 そうですね。短時間だと外ということですね。
【伊岐労働局長】 はい。
【佐藤会長】 では、民間からだと出向じゃなくて、どうなるのですか。
【伊岐労働局長】 官民人事交流になります。
【佐藤会長】 人事交流じゃなきゃ駄目なのですか。
【伊岐労働局長】 はい。人事交流といっても、実際は片道の人事交流ということになります。
【佐藤会長】 それでもいいわけですね。
【伊岐労働局長】 それはいいんですが、これまた実施については非常に制約がありまして、私どもの給与水準で来ていただける方が極めて少ないと。
【佐藤会長】 それは民間企業の定年延長のところをこっちに来てもらってもいいんですか。交流と形式の手続だけすれば。民間企業の人事担当者の定年延長になるような人がこっちに来てもらうことはどうですか。
【高橋総務部長】 あくまで出向で、また元の企業に帰っていただくことが前提になります。
【佐藤会長】 という形式でつければいいわけでしょう。
【高橋総務部長】 はい。
【金子委員】 それは定年前でなきゃ駄目だね。
【佐藤会長】 65歳までということですね。
【高橋総務部長】 そうです。もうそのまま移籍というのは駄目でございまして。
【佐藤会長】 できないということだ。民間企業とうまくやればできそうだけど。
【伊岐労働局長】 ところが、やはり先ほど言いましたように、来ていただいている間は給与の補塡とか一切受けていただけませんものですから、その辺が。
【佐藤会長】 向こうからですか。
【伊岐労働局長】 はい。
【佐藤会長】 でも、定年後はどうせ下がるじゃないですか。60歳過ぎたら。こっちも低くなるということで。
【高橋総務部長】 その定年後に来ていただくというのではなくて、基本的に現役の出向の方です。
【佐藤会長】 現役じゃなきゃ駄目。これは変なルールですね。定員や予算があるけど、雇えないというのはちょっと理解しにくいですね。
【田中委員】 定年後の人を非正規というのか、そういうので、ある程度埋め合わせるということはできないの。
【伊岐労働局長】 相談員はまたそれこそ、私ども定員と同じぐらい相談員さんに来ていただいているんですが。
【田中委員】 外枠だから。
【伊岐労働局長】 それはあくまでも相談員でありますので、権力行使とか通常業務にちゃんと職員としてタッチしていただくということはなかなか難しいということになります。
【上原委員】 もし必要があるならば、やはり閣議決定を変えるということしかないんだと思うんですよね。要するに、費用対効果で、この間の新宿じゃないけれども、生活保護から、非正規から新卒支援までやっているわけですよね。それで失業率が4.2%かな。そのほかに生活保護が二百十三、四万いて、その辺を3割ぐらい稼働させようということでしょう。そのほかにフリーターがいるわけですよね。そういうのを、長期プランでこれぐらいにしたいと。そのときに、要するに、人の問題だから、これは機械でやるというわけじゃないから、企業論理でいうと非常に難しいんですよね。さっきの一体的実施なんか、まさにお金がかかる方向ですから。イメージだけで言うとですよ。
だから、人の効果をどう認定するかは非常に難しい議論はあるけれども、失業率で言うと、例えば今の4.2%が、フリーターなんかも入れるともっと上がり、生活保護なんかも入れると倍ぐらいになっちゃう。それを例えば更に半減するぐらいのイメージで、そのためにはどうしてもこれぐらいの人がかかるということで、差し引き、働く人が稼働すればですよ、国も安定するし、いいのではというようなプランをつくって、やっぱり政府にぶつけるしかないですよね。
【佐藤会長】 いや、だから、これは定員削減は先に決まっていて、今度の新規採用抑制は人件費を抑えるということで、二重にかかっちゃったわけですね。
【伊岐労働局長】 そうです。
【佐藤会長】 だから、定員削減以上に人を減らすというのを認めちゃって、そうしろという話なんですね。
【伊岐労働局長】 そうです。
【佐藤会長】 そういうことですよね。これはなかなか難しいですね。
【上原委員】 確かに世の中、行革だけど、新聞の記事ですけど、ニューヨークだかどこかのおまわりさんを減らしたら犯罪件数が上がったという、そういうことがやっぱりあるんですよ。だから、非常に効果が上がっている取組は人手をかけないと。
【佐藤会長】 定員はあるけど、予算がないと。
【金子委員】 そうです、予算がないと。
【佐藤会長】 そういうことなんですね。
【伊岐労働局長】 予算を抑制しようという意図はあるんです。
【佐藤会長】 そういうことですね。だから、わかりやすく言えば、定員はあるけど、予算はつけないという話ですから。
【白川委員】 大臣は御存じなんでしょう。
【伊岐労働局長】 要は、結果として退職者不補充のようなことになっていますから。
【白川委員】 その原則があって、片方で定期採用の人たちはこれまた削減するから、どんどん欠員が生じていくと、こういうことなんですか。
【伊岐労働局長】 要は、定期採用は極めて抑制させられていますので、退職者の補充には全くほど遠いことになってしまうと。
【白川委員】 官民人材交流で、民間のほうが企業から賃金補塡したら駄目なんですか。
【伊岐労働局長】 残念ながら駄目なんです。
【白川委員】 先ほどおっしゃっていたけど、そうなんですか。
【田中委員】 あれはオールジャパン的に駄目なんです。どの省でも。
【白川委員】 でも、それは交流なら出すと。
【傳田委員】 今、だから、自治体として東京都23区で。
【佐藤会長】 今、反対に高くなっているんですよね。国のほうが高いですよと言って、とんでもないとかという話になっちゃうんだけど。
【加藤委員】 それは順番が逆でね。閣議決定はいいんだけれども、自分たちが人数をまず下げて、それでやっぱりおかしいと思う。その辺はスーッと。
【伊岐労働局長】 そういうことで本日はそのような窮状をお察しいただく資料をお出ししたわけです。
【佐藤会長】 これは結局ここに書いてあるとおり現状でやるしかないですよ。ルールの中で言うと。だから、あとは業務をどこかで減らせるか。あとは非常勤。でも非常勤の予算が別につくわけじゃないでしょうから、非常勤もそんなに増やせないでしょう。
【伊岐労働局長】 かなり業務の集中化はやっております。少なくとも相談員を減らされたら大変なので、それはお願いしていますが、これもなかなか予算のこともございまして。
【佐藤会長】 これだけ非常勤が増えちゃっているので、結局、職員の人は非常勤のマネジメントがメインの業務だというふうに変えていくしかないですよ。非常勤の人に仕事をしてもらって、職員はの仕事はマネジメントだというふうに変えないと無理ですよ。
【傳田委員】 それは大胆な意見で。
【佐藤会長】 でも、実際はもうそうなっているんだから。
【伊岐労働局長】 ただ、職員が専門性があるから、職員がやるというふうなことを否定することになってしまうと、じゃ、職員は全くマネジメント要員だけでいいのかということになってしまいますので。
【佐藤会長】 いやいや、もちろんやるのよ。専門性があるからマネジメントもできる。
【伊岐労働局長】 またいろいろなところで気にとめていただければと思っています。
【佐藤会長】 ですから、新しい政策はいいんだけど、それに必要な人の手当をしないで、やれというのは困りますよね。特に職員をつけてくれないで、非常勤だけでやれというのはなかなか難しいので、いいことをやってもできない。実態は御理解していただいて、いろいろなところで大変になっているということを言っていただければと思います。
では、何か今後の予定、事務連絡があればお願いします。無ければ局長からどうぞ。
【伊岐労働局長】 それでは、本当に今日は午後、たっぷりと御視察と御審議を御熱心にいただきまして、誠にありがとうございました。こういう機会でありましたので、できる限り資料も提供させていただいて、御説明もいたしましたが、不備な点もあったかと思います。次回の審議会ではまた今日いただいた意見を生かして、効率よく有意義な審議会を是非したいと思っていますので、引き続き御支援及び御叱声のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【佐藤会長】 10分延びてしまいましたけれども、これで第6期第3回東京地方労働審議会を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
── 了 ──
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