3 労使が取り組むべき事項 |
(1)労働時間適正把握基準の遵守
使用者は、労働時間適正把握基準を遵守する必要があるとともに、労働組合も、労働者に対して労働時間適正把握基準を周知することが重要です。 |
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使用者は、賃金不払残業を行わせることのないようにするため、労働時間適正把握基準を遵守する必要があります。
また、労働組合も、使用者が適正に労働時間を把握するために労働者に対して労働時間適正把握基準の周知を行うことが重要となります。
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(2)職場風土の改革
賃金不払残業の背景に、やむを得ないという労使双方の意識(職場風土)がある場合には、これをなくすための取組を行うことが望まれます。 |
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賃金不払残業の背景には、職場の中に賃金不払残業が存在することはやむを得ないとの労使双方の意識(職場風土)が反映されている場合が少なくありません。こうした労使双方の意識をなくすため、例えば
(1) |
経営トップ自らによる決意表明、社内巡視等による実態の把握 |
(2) |
労使合意による賃金不払残業撲滅の宣言 |
(3) |
企業内又は労働組合内での教育 |
などの取組を行うことが望まれます。
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(3)適正に労働時間の管理を行うためのシステムの整備
(1) |
適正に労働時間の管理を行うためのシステムの確立
賃金不払残業の実態を把握した上で、関係者が行うべき事項や手順等を具体的に示したマニュアルの作成等により、「労働時間適正把握基準」に従って労働時間を適正に把握するシステムを確立することが重要です。 |
(2) |
労働時間の管理のための制度等の見直しの検討
賃金不払残業の温床となっている業務体制や業務指示の在り方にまで踏み込んだ見直しを行うことも重要です。 |
(3) |
賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施
賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施等により、適正な労働時間の管理を意識した人事労務管理を行うことが望まれます。 |
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(1)について
賃金不払残業が行われることのない職場を創るためには、職場において適正に労働時間を管理するシステムを確立し、定着させる必要があります。
このため、まず、例えば、出退勤時刻や入退室時刻の記録、事業場内のコンピュータシステムへの入力記録等、あるいは賃金不払残業の有無も含めた労働者の勤務状況に係る社内アンケートの実施等により賃金不払残業の実態を把握した上で、関係者が行うべき事項や手順等を具体的に示したマニュアルの作成等により、「労働時間適正把握基準」に従って労働時間を適正に把握するシステムを確立することが重要となります。
その際に、特に、始業及び終業時刻の確認及び記録は使用者自らの現認又はタイムカード、ICカード等の客観的な記録によることが原則であって、自己申告制によるのはやむを得ない場合に限られるものであることに留意する必要があります。
(2)について 必要に応じて、現行の労働時間の管理のための制度やその運用、さらには仕事の進め方も含めて見直すことについても検討することが望まれます。特に、賃金不払残業の存在を前提とする業務遂行が行われているような場合には、賃金不払残業の温床となっている業務体制や業務指示の在り方にまで踏み込んだ見直しを行うことも重要となります。 その際には、例えば、労使委員会において、労働者及び管理者からヒアリングを行うなどにより、業務指示と所定外労働のための予算額との関係を含めた勤務実態や問題点を具体的に把握することが有効と考えられます。
(3)について 賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施(賃金不払残業を行った労働者も、これを許した現場責任者も評価しない。)等により、適正な労働時間の管理を意識した人事労務管理を行うとともに、こうした人事労務管理を現場レベルでも徹底することも重要となります。
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(4)労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化とチェック体制の整備
(1) |
各事業場ごとに労働時間の管理の責任者を明確にしておくことが必要です。 |
(2) |
労働時間の管理とは別に、相談窓口を設置する等により賃金不払残業の実態を積極的に把握する体制を確立することが重要です。 |
(3) |
賃金不払残業の実態を把握した場合には、労働組合としての必要な対応を行うことが望まれます。 |
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(1)について 労働時間を適正に把握し、賃金不払残業の解消を図るためには、各事業場ごとに労働時間の管理の責任者を明確にしておくことが必要となります。特に、賃金不払残業が現に行われ、又は過去に行われていた事業場については、例えば、同じ指揮命令系統にない複数の者を労働時間の管理の責任者とすることにより牽制体制を確立して労働時間のダブルチェックを行うなど厳正に労働時間を把握できるような体制を確立することが望まれます。 また、企業全体として、適正な労働時間の管理を遵守徹底させる責任者を選任することも重要となります。
(2)について 労働時間の管理とは別に、相談窓口を設置する等により賃金不払残業の実態を積極的に把握する体制を確立することが重要となります。その際には、上司や人事労務管理担当者以外の者を相談窓口とする、あるいは企業トップが直接情報を把握できるような投書箱(目安箱)や専用電子メールアドレスを設けることなどが考えられます。
(3)について 労働組合においても、相談窓口の設置等を行うとともに、賃金不払残業の実態を把握した場合には、労働組合としての必要な対応を行うことが望まれます。
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