山梨労働局発表
平成21年12月24日
 山梨労働局(局長 山口 晃)管下の労働基準監督署(3署)では,平成21年12月1日(火)から同年12月15日(火)までを「建設業一斉監督実施期間」として,県内の建設工事現場に対し,集中的に監督指導を実施した。
 年末年始は何かとあわただしく,普段の作業や生活のリズムが変わりやすいことから労働災害が多発する懸念があるため,当局では,労働災害防止の徹底を目的として,「平成21年度年末年始無災害運動」を平成21年12月1日から平成22年1月31日までの間,展開しているところであるが,この取り組みの一つとして,特に死亡災害の発生が懸念される建設工事現場に対して重点的に監督指導を実施したものである。
 建設現場における労働安全衛生法違反については,死亡災害発生など重大な事態につながる危険性が高いことから,今回の監督結果を踏まえ,建設工事現場に対する監督指導を継続して実施するとともに,発注機関及び業界関係団体に対する労働災害防止に向けた自主的な取り組みを引き続き指導していくこととしている。


1  監督指導を実施した建設工事現場のうち53.1%に何らかの法違反
 建設業一斉監督実施期間中に監督指導を実施した建設工事現場は130現場であり,そのうち労働安全衛生法違反(以下「法違反」という。)があったとして是正勧告を行ったのは69現場(53.1%)であった。
 法違反があった現場のうち,特に死亡災害等の重篤な労働災害に繋がる危険性の高い法違反が認められた10現場(7.7%)に対しては,使用停止,立入禁止等(以下「使用停止等」という。)の行政処分を行った。
2  46現場で墜落防止措置義務違反
(1) 主な法違反事項
 監督指導を実施した建設現場における主な法違反事項は次のとおりであり,最も多くの現場で認められた違反事項は,墜落防止措置の未実施であった。

【主な法違反】
(1) 墜落防止措置の未実施・・・・・・・・・・・・・・・ 46現場(35.4%)
うち高さ2m以上の場所からの墜落防止措置の未実施・・ 22現場
うち高さ2m以上の足場からの墜落防止措置の未実施・・ 24現場
(2) 元方事業者の関係請負人に対する指導違反・・・・・・ 39現場(30.0%)
(3) 安全装置等の有効保持違反・・・・・・・・・・・・・   7現場( 5.4%)
(4) 車両系建設機械の主たる用途以外の使用の制限・・・・  5現場( 3.8%)
(5) 車両系建設機械の接触の防止・・・・・・・・・・・・   4現場( 3.1%)
(6) 車両系建設機械の運転席から離れる場合の措置・・・・   4現場( 3.1%)
(2) 主な法違反の概要
(1) 墜落防止措置の未実施
・高さ2m以上の作業床の端や開口部には,囲い,手すり等を設け墜落防止措置を講じなければならないが,これを怠っていたこと。
・高さ2m以上の足場には,手すり,中さん,幅木等,足場の種類に応じた墜落防止措置を講じなければならないが,これを怠っていたこと。
(2) 元方事業者の関係請負人に対する指導違反
 元方事業者(元請)は,関係請負人等が法令に違反しないように必要な指導を行なわなければならないが,これを怠っていたこと。
(3) 安全装置等の有効保持違反
 クレーンのフックの外れ止めや丸のこの刃のカバー等の安全装置については,有効な状態で使用されるよう点検整備を行う必要があるが,これを怠っていたこと。
(4) 車両系建設機械の主たる用途以外の使用の制限
 車両系建設機械については,パワー・ショベルによる荷のつり上げ等,車両系建設機械の主たる用途以外の用途に使用してはならないが,これに反していたこと。
(5) 車両系建設機械の接触の防止
 車両系建設機械を用いて作業を行う場合には,運転中の車両系建設機械に労働者が接触する危険を防止するために,立入禁止や誘導員を配置する措置を講じなければならないが,これを怠っていたこと。
(6) 車両系建設機械の運転席から離れる場合の措置
 車両系建設機械の運転者が運転席から離れる場合には,バケット等,作業装置を地上に降ろし,原動機を止めて走行ブレーキをかける等の措置を講じなければならないが,これを怠っていたこと。
3  監督結果から見た課題
(1)  今回一斉監督を実施した建設工事現場のうち法違反が認められた現場は53.1%であり,そのうちの約7割の現場に墜落防止措置の未実施違反が認められた。このうち,特に墜落災害の発生するおそれが高いとして使用停止等を命じた現場は,約2割(9現場)であった。
 高所からの墜落・転落災害は,死亡等重篤な災害に直結する可能性が非常に高いことから,同防止対策を徹底することが必要であり,併せて足場等からの墜落防止等の対策強化を目的として改正された労働安全衛生規則(平成21年6月1日施行)の周知徹底を図っていく必要がある。
(2)  元方事業者(元請)が関係請負人等に対して,法令に違反しないように必要な指導を行なっていなかった現場は39現場(30.0%)であった。
 建設工事現場においては,作業が輻輳し,工事の一部を請け負う下請事業者単独では十分な労働災害防止対策を講じることができないものであり,工事全般について大きな権限と責任を有する元請事業者が下請事業者に対して適切な指導を行う等,元請と下請が一体となって労働災害防止対策に努めるよう指導を徹底する必要がある。
(3)  車両系建設機械に係る法違反については,上記2の(1)の(4)から(6)を併せると,13現場(10.0%)に認められた。車両系建設機械による災害についても重篤な災害となる危険性が高いことから,同災害防止対策について更に指導を徹底していく必要がある。
4  山梨県内の労働災害発生状況及び今後の方針
 平成21年における死傷災害(11月30日現在)は,全産業で554件と前年同期に比べると170件(23.5%)減少しており,建設業においても81件と前年と比べ43件(34.7%)の減少となっている。
 一方,死亡災害については全産業で8人(前年同期は13人)であるが,このうち建設業は3人であり,全産業の4割近くを占めている状況である。
 山梨労働局では,昨年の死亡災害の大部分が山間部の土木工事現場において発生していることを踏まえ,今年度においては,特に,山間部における治山工事,林道開設工事,砂防工事等(以下「治山工事等」という。)に対する監督指導を強化しているところであるが,上記の労働災害発生状況から,引き続き,建設業における労働災害防止を図るため,今後とも管下労働基準監督署において的確な監督指導を実施するとともに,発注機関及び関係団体に対し,自主的なパトロール等の強化,各事業場における安全管理の徹底を呼びかけていくこととしている。
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