甲府労働基準監督署発表
平成21年3月25日
労働安全衛生法違反の疑いで送検
―車両系建設機械の用途外使用で転倒―

1 建設会社及び代表取締役を書類送検
   平成21年3月25日、甲府労働基準監督署は、建設業を営む会社及び同会社の代表取締役を、それぞれ労働安全衛生法違反(労働安全衛生法第20条第1号、労働安全衛生規則第164条第1項)の疑いで甲府地方検察庁に書類送検した。
 
2 事件の概要
 平成20年11月10日午前11時15分頃、山梨県牧丘町牧平地内の治山用堰堤建設工事現場において、コンクリート製谷止工の建設を下請けした建設会社の男性作業員が、通称「バッカン」と呼ばれる生コンが入った運搬用容器をコンクリート打設箇所に運搬する作業を行っていた。 作業員は、車両系建設機械の一種であるドラグ・ショベルのバケットに付いているフックにワイヤーを掛け、「バッカン」(約1.4トン)を吊り上げ、ドラグ・ショベルを旋回させたところ、遠心力によりそのバッカンが谷側に振れ、バランスを崩しドラグ・ショベルが転倒した。このため作業員が、ドラグ・ショベルの運転席より投げ出され、胸を強く打ち死亡したものである。
 
3 法違反の内容
 労働安全衛生法とそれに基づく労働安全衛生規則では、車両系建設機械をその主たる用途以外に使用することを原則禁止しているが、本件では掘削用機械であるドラグ・ショベルを荷の運搬に使用した。
 
4 当署の今後の方針等
 平成20年の県内全産業における休業4日以上の死傷者数は852人(前年比63人増)で、そのうち建設業における災害は141人(前年比5人増)となっている。また休業4日以上の労働災害発生件数のうち、死亡災害件数は15人(前年比5人増)で、そのうち建設業における死亡者数は7人(前年比1名増)となっており、このうち2名は車両系建設機械に起因する災害で死亡している。
 車両系建設機械を起因とする労働災害は、死亡災害等の重篤な災害につながりかねない危険が潜在していることから、当署においては今後とも車両系建設機械による労働災害防止を図るため、管内の事業場に対する監督指導を強化し、安全管理の徹底を呼びかけていくとともに、今後も同種違反行為については、厳正な態度をもって臨むこととしている。

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