都留労働基準監督署発表
平成20年10月1日
 

1  会社と代表取締役を送検
 都留労働基準監督署は平成20年10月1日,食料品製造業を営む会社(「被疑会社」という。)と同社の代表取締役を,それぞれ労働安全衛生法違反(同法第61条第2項)の疑いで甲府地方検察庁に書類送検した。
 
2  事件の概要
 被疑会社は,豆腐の製造,販売業を営むもの。同社では豆腐の製造過程で発生する「おから」をホースでおから乾燥施設へ圧送していたが,平成20年7月11日,地面から3.3メートルの高さにあったホース内に,そのおからが詰まった。そこで,おからを取り除くために,代表取締役が,同社所有の最大荷重1.5トンのフォークリフトを運転し,当該車両のフォークに差し込まれたパレットに同社の労働者(56歳 男性)を乗せた上で,パレットを約2メートル上昇させ,そのままフォークリフトを前進させたところ,労働者が地面に墜落して頭部を強打し,脳挫傷の重症を負った。
 最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転の業務に従事するためには,登録教習機関等が実施するフォークリフト運転技能講習を修了するなど法定の資格を取得する必要がある。同社代表取締役は,フォークリフトを運転するには法定の資格が必要であることを認識していたにもかかわらず,無資格でこれを運転し,その結果本件災害を発生させたものである。
 
3  参考事項
(1)  山梨県内におけるフォークリフトに関係する労働災害は,平成18年1月から本年8月までの間に39件発生しているが,このうち,22件が1箇月以上の休業を要する災害であり,また,この22件のうち,14件が2箇月以上の休業を要する災害となっている。
 フォークリフトに関係する労働災害が発生した場合,長期間の休業を要する災害となりやすいことから,当署では今後ともフォークリフトに関係する労働災害防止を図るため,無資格者による運転の禁止,安全な作業方法や運行経路などを定めた作業計画に基づく安全作業の徹底,などの対策を十分に講じるよう,監督指導,パトロール等を通じて呼びかけているところであり,今後も同種違反行為に対しては,厳正な態度をもって臨むこととしている。
(2) ○労働安全衛生法(抜粋)
   事業者は,クレーンの運転その他の業務で,政令で定めるものについては,都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ,当該業務に就かせてはならない。
第2項 前項の規定により当該業務につくことが出来る者以外の者は,当該業務を行ってはならない。
第3項(以下略)
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