仕事と家庭の両立支援対策の充実を目的とした改正育児・介護休業法が施行されてから2年が経過しました。山梨労働局雇用均等室に寄せられる同法に関する相談は、近年、増加しており、労働者からの相談内容は複雑化の傾向にあります。
育児休業や介護休業は、労働者が法に定められた事項を記載した書面により申し出ることにより取得でき、事業主は要件を満たした労働者からの申出を拒むことができず、休業を申し出たことや取得したことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。また、休業制度以外にも働きながら育児や介護をしやすくするための様々な制度が設けられています。
これらの制度について、事業主はあらかじめ就業規則等に記載しておくことが求められます。
10月は「仕事と家庭を考える月間」です。
事業主のみなさん、優秀な人材を確保し、労働者の定着を図るためにも、いま一度、自社の就業規則等を見直してください。
働くみなさん、法で定められた制度を十分に活用し、仕事と家庭を両立しましょう。
男性のみなさん、妻が専業主婦や産後休業中であっても、少なくとも産後8週間までは育児休業を取得することができます。
雇用均等室では、就業規則等の点検や制度利用に関することなど育児・介護休業等についての相談や一般事業主行動計画の策定に関する相談を随時、受け付けています。 |
TEL 055-225-2859 平日AM8:30~PM5:15 相談は全て無料です |
育児・介護に関する相談状況
平成18年度に山梨労働局雇用均等室に寄せられた育児・介護休業法に関する相談は、前年度比7.1%増の480件であった。
相談者の内訳をみると、労働者からの相談は81件で、前年度比15.6%減であったが、個別的な権利に関する事案は28件で増加(前年度比33.3%増)しており、特に、育児休業の取得や不利益な取扱いに関する相談が多くなっている。雇用均等室では、これらの相談に対し、法律や制度の説明をするとともに、必要に応じ、事業主に対する指導を行っている。
また、事業主からの相談件数は329件で、前年度から7.9%増となっている。主な内容は制度に関するものであり、改正法が施行されて2年が経過した現在も現行法に則した規定整備が行われていない事業所が多くみられる。 |
<1> 相談件数の推移 |
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<2> H18年度の相談件数(相談者の種類別) |
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<3> 労働者からの相談のうち、個別的な権利に関する事案(H18年度) |
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【相談事例(1)】 |
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会社に育児休業の申出をしたが、会社のトップが休業を認めてくれない。
→<室の対応>事業主は要件を満たした労働者からの休業申出を拒むことはできないことを説明。
→<結果>労働者が会社の人事労務担当を通じて交渉した結果、休業を取得できることとなった。 |
【相談事例(2)】 |
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6か月契約の派遣社員として勤務。派遣社員には育児休業はないと言われ、派遣元から解雇された。
→<室の対応>期間雇用者であっても一定の要件を満たす場合には育児休業が取得できること、育児休業の申出を理由に解雇することは不利益な取扱いに当たることを説明。
→<結果>相談者は復職を望んでいないため、法の説明をするにとどまった。 |
【相談事例(3)】 |
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現在、育児休業中の正社員。会社から「復職後はパートになってもらう」と言われている。
→<室の対応>育児休業の取得を理由とする不利益な取扱いは法に違反することを説明。
→<結果>相談者は行政が事業主から事情聴取することを望まず、室が提供した資料をもとに相談者自身が会社と交渉した結果、正社員のままで復職することができた。 |
<4> 事業主からの相談内容(H18年度) |
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一般事業主行動計画の策定・取組状況
平成17年4月に全面施行された次世代育成支援対策推進法に基づき、常用労働者301人以上の事業主は一般事業主行動計画の策定・届出が義務付けられ、常用労働者300人以下の事業主には努力義務が課されている。
山梨労働局管内における提出状況は、平成19年9月15日現在118社(うち、義務企業は53社)で、認定申請予定ありとしている企業は24社(うち、義務企業は12社)である。
行動計画の目標として取り上げられている取組内容をみると、「育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備」、「育児休業や時間外労働・深夜業の制限、産前産後休業等諸制度の周知」が最も多くなっており、次いで、「所定外労働削減のための措置の実施」、「子育ての時間を確保できるようにするための措置の実施」、「年次有給休暇の取得促進のための措置の実施」となっている。 |
<1> 策定・届出状況(平成19年9月15日現在) |
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届出数(義務企業) |
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労働者数 |
あり |
なし |
未定 |
1,001人以上 |
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7( 7 ) |
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0 |
3 |
4 |
501~1,000人 |
20( 20 ) |
5 |
8 |
7 |
301~500人 |
26( 26 ) |
7 |
6 |
13 |
31~300人 |
40 |
10 |
7 |
23 |
30人以下 |
25 |
2 |
9 |
14 |
合 計 |
118( 53 ) |
24 |
33 |
61 |
〔参考〕 |
平成16年事業所・企業統計調査(総務省)によると、山梨県の常用雇用者数300人以下の企業数 10,557社 |
<2> 取組内容(118社) |
(注)一般事業主行動計画においては、複数の目標を掲げることが可能である |
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平成19年度仕事と家庭を考える月間実施要綱
1 |
趣旨 |
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我が国が直面する少子化の背景には、仕事と子育ての両立が困難で、就業継続希望と出産・育児の希望との二者択一を迫られる状況とその原因となっている長時間労働などの働き方をめぐる様々な課題が存在している。
このため、女性が安心して出産し、男女ともに働きながら子どもを育てやすい環境を整備することについての重要性が高まっている。また、企業が労働者の意識の変化やニーズに対応することで優秀な人材の確保・定着を図り、労働者の意欲の向上を通じて企業の競争力を高めるという経営上の観点からも、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現が注目されている。
このような状況の下、10月を「仕事と家庭を考える月間」とし、仕事と家庭の両立について社会全般の理解を深めるとともに、働き続けやすい職場環境づくりに向けた企業等の取組を促進するため、広報・啓発活動を全国的に実施することとしたところである。
平成19年度「仕事と家庭を考える月間」においては、関係機関・団体の協力を得て、次の目標の下に全国的に広報活動等を実施する。
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2 |
目標 |
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仕事と家庭の両立を図り、働き続けやすい職場環境づくり
働き方の見直しとワーク・ライフ・バランスの推進
男性も育児参加しやすい企業風土の見直し
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3 |
期間 |
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平成19年10月1日~10月31日
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4 |
主唱 |
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財団法人21世紀職業財団
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5 |
後援 |
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厚生労働省
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協力を依頼する機関、団体 |
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報道機関、関係行政機関、使用者団体、労働団体、その他
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7 |
実施事項 |
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報道機関等を通じての広報活動 |
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