甲府労働基準監督署発表
平成20年3月23日
労働安全衛生法違反被疑事件の送致について
 甲府労働基準監督署は,平成21年3月23日(月),炭素質電極製品の製造業を営む会社及び同社の製造課長を労働安全衛生法違反(同法第21条第2項,労働安全衛生規則第518条第2項)の疑いで,甲府地方検察庁に書類送検した。事案の概要等は下記のとおりである。


 

1 事件の概要
   平成21年2月18日,同会社の工場構内において,労働者(60歳男性)が高さ約3.7メートルの箇所で集じん機の塗装作業を行っていたところ,墜落し頸髄損傷等の重傷を負った。
 本件作業箇所は,足場等の設置が困難な箇所であったが,労働安全衛生法では,足場等を設置することが困難な場合,次善の措置として(1)安全帯(命綱)を労働者に使用させる,(2)防網(安全ネット)を設置する等の措置を義務付けている。本件は,当該措置を講じないまま作業を行わせていたものである
 
2 当署における今後の方針
 山梨県内における労働災害による休業4日以上の死傷者数は,平成20年776人(前年比51人増)で,そのうち製造業における死傷者数は215人と,業種別では最も多い。また,労働災害による死亡者数は,平成20年15人(前年比5人増)で,そのうち製造業における死亡者数は5人と,建設業(7人)に次いで多い状況にある。
 平成20年の休業4日以上の死傷者数,死亡者数は,前年と比べいずれも増加となっており,さらに,昨今の企業の経営環境の悪化に伴い安全衛生管理部門の縮小,安全衛生管理活動の減退等による安全衛生管理水準の低下が懸念されるところである。
 このような現状を踏まえ,当署においては,今後とも労働災害防止を図るため,各事業場に対して監督指導,パトロール等を実施し,より一層の安全管理の徹底を呼びかけるとともに,重大悪質な事案については厳正な態度をもって臨むこととしている。
 

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