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監督指導を実施した建設工事現場のうち43.2%に何らかの法違反 |
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建設業一斉監督実施期間中に監督指導を実施した建設工事現場は88現場であり、そのうち労働安全衛生法違反(以下「法違反」という。)があったとして是正勧告を行ったのは38現場(43.2%)であった。
法違反があった現場のうち、特に災害の発生するおそれが高い作業を行っていた5現場(5.7%)については、使用停止、作業停止または立入禁止(以下「使用停止等」という。)を命じた。 |
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2 |
15現場で墜落防止措置義務違反 |
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(1) |
主な法違反事項
監督指導を実施した建設現場における主な法違反事項は次のとおりであり、最も多くの現場で認められた事項は、墜落防止措置の未実施であった。
【主な法違反】
(1) |
墜落防止措置の未実施 |
……… |
15現場(17.0%) |
(2) |
元方事業者の関係請負人に対する指導違反 |
……… |
7現場( 8.0%) |
(3) |
車両系建設機械の点検未実施 |
……… |
6現場( 6.8%) |
(4) |
昇降設備の不備 |
……… |
6現場( 6.8%) |
(5) |
安全通路の未設置 |
……… |
5現場( 5.7%) |
(6) |
安全装置等の有効保持違反 |
……… |
4現場( 4.5%) |
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(2) |
法違反の概要
(1) |
墜落防止措置の未実施
高さ2m以上の作業床の端や足場には、手すり等を設けて墜落防止措置を講じなければならないが、これを怠っていたこと。 |
(2) |
元方事業者の関係請負人に対する指導違反
元方事業者(元請)は、関係請負人等が法令に違反しないように必要な指導を行なわなければならないが、これを怠っていたこと。 |
(3) |
車両系建設機械の点検未実施
車両系建設機械については、1年以内ごとに1回定期に検査を行わなければならないが、これを怠っていたこと。 |
(4) |
昇降設備の不備
高さ又は深さが1.5mを超える場合には、安全に昇降できる設備を設けなければならないが、これを怠っていたこと。 |
(5) |
安全通路の未設置
現場へ通ずる場所及び現場内には、安全に通行できる通路を設けなければならないが、これを怠っていたこと。 |
(6) |
安全装置等の有効保持違反
設置された安全装置等については、有効な状態で使用されるよう点検整備を行う必要があるが、これを怠っていたこと。 |
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3 |
監督結果から見た問題点 |
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(1) |
本年度の法違反率は43.2%であり、昨年度(57.3%)より改善が見られた。しかし、法違反の内容では、依然として、墜落防止措置未実施が格段に多く15現場(17.0%)、元方事業者の関係請負人に対する指導違反が7現場(8.0%)とこれに続いた。
これら法違反が認められた現場のうち、特に災害の発生するおそれが高い作業を行っていた5現場(5.7%)に対しては、使用停止等を命じた。
なお、使用停止等を命じた5現場のうち、墜落災害の発生するおそれが高いとして使用停止等を命じた現場は、4現場であった。
建設現場のみならず、墜落災害は死亡災害につながることが多いため、高所作業における墜落防止措置の徹底を更に図る必要がある。 |
(2) |
車両系建設機械については、上記2の(2)に記載した法違反以外にも、就業制限(無資格運転)の法違反が認められた現場が2現場あった。車両系建設機械による災害も重篤な災害となる危険性が高く、車両系建設機械に係る安全管理についても更に指導を徹底していく必要がある。 |
(3) |
元請事業者が関係請負人に対して、法令に違反しないように必要な指導を行っていなかった法違反が7現場(8.0%)で認められた。建設業特有の重層的請負関係から発生する労働災害を防止するため、元請事業者に対して、関係請負人も含めた現場における安全管理について、更に指導を徹底していく必要がある。 |
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4 |
山梨県内における労働災害発生状況 |
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平成19年における死傷災害(11月30日現在)は、全産業で649件(人)と前年同期に比べ18件(2.7%)減少しており、建設業においても110件と前年と比べ20件(15.4%)の減少となっている。この中で、死亡者数は全産業で9人(前年同期は11人)であるが、このうち建設業は5人と過半数を占めている。
これらの労働災害発生状況から、山梨労働局では建設業における労働災害防止を図るため、今後とも管下監督署において的確な監督指導を実施するとともに、関係団体に対しパトロール等の強化・各事業場における安全管理の徹底を呼びかけていくこととしている。 |