都留労働基準監督署発表
平成19年10月11日
 

1  建設会社と代表者らを送検
 都留労働基準監督署は、10月11日、建設会社(「被疑会社」という。)と、被疑会社の代表取締役及び取締役の合計3名(法人1名、個人2名)を労働安全衛生法第100条第1項・労働安全衛生規則第97条第1項違反の容疑で甲府地方検察庁に書類送検した。
 
2  「労働者死傷病報告」を故意に提出せず(労災かくし)
 平成19年1月24日、被疑会社が山梨県富士吉田市内で施工した治山工事現場(沢に「谷止工(たにどめこう)」と呼ばれる小規模な砂防ダムを建設する工事)において、谷止工脇のブロック積み擁壁の上に積もった雪を落とす作業を行っていた労働者が約3メートル下の沢に転落、右踵骨を骨折し、休業約2か月を要する労働災害が発生した。
 しかし、被疑会社の代表取締役及び取締役は、休業を要する労働災害が発生した場合には「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出しなければならないことを知っていたにもかかわらず、自社が施工する工事現場において、労働災害の発生が明らかとなると、工事の発注機関から指名停止の処分を受けるなどの理由により、共謀の上、「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出しなかったものである。
 当署では、平成19年8月に「労災かくし」に係る情報が寄せられ、当該情報に基づき捜査を進めた結果、上記の事実が判明したものである。
 
3  労働安全衛生法の規定等について
労働安全衛生法第100条第1項(報告等)
 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
労働安全衛生規則第97条第1項(労働者死傷病報告)
 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第23号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
 
4  当署における今後の方針
 労働災害が発生したにもかかわらず、その発生をかくすために、労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を故意に提出しないいわゆる「労災かくし」については、
(1) 労働被災労働者が労災保険による適正な療養補償・休業補償等を受けることができない
(2) 労働基準行政として災害発生原因等を把握し、当該事業場に対して再発防止対策を確立させ、また、同種の事業場に対する適切な労働災害防止対策を講じさせることなどができず、労働基準行政の的確な推進をゆるがすことになりかねない
などの弊害を招くことから、引き続き厳正な対応を行うこととしている。
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