山梨労働局発表
平成19年3月28日
 

 山梨労働局は、管下4労働基準監督署における平成18年(1月から12月)の申告事案(注)の受理状況の概要を取りまとめた。
 
ポイント1
 平成18年の申告受理件数は、188件で減少傾向だが依然高水準
 
ポイント2
 業種別では、建設業が最多、接客娯楽業(旅館・飲食店等)では増加
 
ポイント3
 申告事案の違反率は約9割
 
ポイント4
 賃金不払いと解雇に係るものが全体の約9割
(注):申告とは、労働者から、労働基準監督機関に対して、労働基準関係法令に係る違反事実の通告がなされることをいい、これを受理した労働基準監督官は、その処理を行うに当り、事業場を臨検し、又は事業主や労働者を出頭させて、事実確認のための尋問を行い、又は、関係書類の提出を求める等して、違反事実の有無を確認し、違反事実が認められた場合には、事業主にその是正を勧告し、改善を図らせることにより、労働者の救済を図っている。
 
申告事案の受理状況の概要
【1 申告事案の受理状況】
1 申告受理件数の推移
 平成18年に管下労働基準監督署で受理した申告件数は、188件で、平成13年の305件をピークに減少傾向を示しているが、依然として高水準にある。

 
2 業種別申告受理件数
 申告受理件数を業種別に見ると、建設業が46件で最も多く、製造業35件、接客娯楽業30件と続いており、前年と同じ傾向である。また、ほとんどの業種で減少傾向にあるが、接客娯楽業(5件、20%)と保健衛生業(1件、25%)に増加が認められる。

 
3 違反率の状況
 前年からの繰り越し事案(36件)を含めた全申告事案に係る処理の結果、全体の88%において法違反が認められた。業種別に違反率を見ると、全ての業種で50%以上となっていて、特に製造業、接客娯楽業、商業においては90%を超える高率となっている。

 
4 内容別申告受理件数
 申告受理件数を申告内容別に見ると、賃金不払いが146件と最も多く、これに次ぐ解雇の52件と合わせると、全体の約9割を占めている(1件で複数の項目が申告されることがあるため、内容別件数の計は受理件数の計と一致しない)。

 
【2 申告事案の処理事例】

[ケース1 行政指導により不払賃金が支払われた事例]
 4か月分の定期賃金未払いであるとして、建設業を営む事業者にその支払いを求める退職労働者からの申告。
 当初は、代表者が呼び出しに応じず、臨検しても不在である等、代表者との接触が困難であったが、取引先への協力依頼等により、代表者を所轄署へ出頭させることができた。
 この際、違反事実を特定の上、所定の期日までに支払うよう是正勧告書の交付により、違反事項の解消(未払賃金の支払)を行政指導した。
 この結果、未払となっていた賃金4か月分(約100万円)が支払われた。


[ケース2 行政指導により解雇予告手当が支払われた事例]
 即日解雇されたとして、小売業を営む事業者に解雇予告手当の支払いを求めるアルバイト社員の申告。
 署への出頭を求め事実確認をしたところ、勤務態度が悪い等を理由に解雇したことが確認された。パート・アルバイトであっても、解雇手続きとして30日間の予告が法律上必要であり、予告が足りない日数分は手当の支払いを要することをねばり強く説得し、是正勧告書の交付により、違反事項の解消(不足日数分について解雇予告手当の支払)を行政指導した。
 この結果、予告不足日数に応じた手当(約4万円)が支払われた。


[ケース3 行政指導により残業手当が支払われた事例]
 時間外・深夜労働に対する割増賃金が全く払われないとして、旅館業を営む事業者にその支払いを求める労働者からの申告。
 関係書類を精査した結果、時間外・休日・深夜労働に係る割増賃金の不払いを確認したため、是正勧告書の交付により、違反事項の解消(消滅時効とならない過去2年間の割増賃金の支払)を行政指導した。
 この結果、時間外・休日・深夜労働に係る割増賃金の不払分(総額約200万円)が支払われた。


[ケース4 悪質な事案として書類送検した事例]
 業績悪化により定期賃金2か月分の未払いがあるとして、製造業を営む事業者にその支払いを求める労働者からの申告。
 賃金不払いの事実を確認の上、所定の期日までに支払うよう是正勧告書の交付により、違反事項の解消(未払賃金の支払)を行政指導した。
 その後、指摘した不払い分については、期日が遅れたものの支払われた。しかし、新たな賃金不払いや退職金不払いが発生し、分割払いによる案が事業者から提出されたものの、これも履行されない事態となった。
 これらのことから、行政指導により解決することは困難であり、かつ、悪質な事案であると判断したため、定期賃金及び退職金に係る賃金不払事件として書類送検した。
 
【3 今後の対応】
 景気は回復しているものの、それが中小企業、労働者全般に及んでいない状況にあることから、その対応については、申告・相談者が置かれた状況に配慮して、懇切・丁寧に対応するとともに、労働基準関係法令違反の問題が認められる事案については、引き続き、迅速・的確に処理する。
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