甲府労働基準監督署発表
平成18年6月8日
 

1  建設会社とその代表取締役を送致
 6月8日(木)甲府労働基準監督署は、建設業を営んでいる会社及び同会社の代表取締役をそれぞれ労働安全衛生法(土砂崩壊等による危険の防止)違反の疑いで、甲府地方検察庁に書類送検した。
 
2  事件概要
 平成18年5月11日(木)、個人住宅造成工事に伴う下水道管路布設工事現場において下水道工事を請負った下請負会社の土木作業員が、下水道管の埋設のために重機で掘削した幅1.1メートル深さ約2メートルの床面でシャベルにより整地作業をしていたところ、突然掘削面東側の土砂が幅5.53メートルにわたって崩壊し、胸まで埋まってしまうという労災事故が発生した。
 このときに胸を強く打ったことが原因で、被災者は8日後に死亡した。
 事故当日、現場は深さ2メートル以上の地山掘削作業であったにもかかわらず、土止め支保工を設置する等土砂崩壊防止対策が講じられていなかった。
 
3  労働安全衛生法等の規定
 労働安全衛生法第21条第1項・労働安全衛生規則第361条では、「事業者は、掘削作業を行う場合において、土砂崩壊又は土石の落下により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、あらかじめ、土止め支保工を設け、防護網を張り、労働者の立入を禁止する等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。」と定められている。
 
4  今後の方針等
 県内全産業における休業4日以上の労働災害は、平成16年が784件、そのうち建設業159件であり、平成17年が829件、そのうち建設業141件であった。また、死亡災害については、平成16年が11件、そのうち建設業6件であり、平成17年が8件、そのうち建設業1件であった。
平成18年6月5日現在では、8件の死亡災害のうち建設業が2件を占めている状況である。
 建設業における労働災害は減少傾向にあるが、全災害にしめる件数は多く、また、死亡災害などの重篤な災害につながりかねない危険が潜在している。
 そこで、当署管内においては、7月1日から7日の全国安全週間にあわせ、当署管内の建設工事現場での安全施工管理を徹底するよう監督指導の強化を図るとともに、今後も同種違反行為については、厳正な態度をもって臨むこととしている。

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