第6期 第2回 東京地方労働審議会家内労働部会(平成25年2月21日開催)

                                                                                                              第6期東京地方労働審議会

                                                                                                                  第2回家内労働部会

 

 1 日 時  平成25年2月21日(木) 午前10時00分~午前11時35分

 

 2 場 所  東京労働局13階 賃金相談室

 

 3 出席者

       部会委員  梶原委員、久禮委員、谷内委員、豊田委員、帆刈委員

               村上委員、石井委員、樋渡委員

             事務局  相浦労働基準部長、徳力賃金課長

             大山主任賃金指導官、横川課長補佐ほか

 

 4 議 

   (1) 東京における家内労働の概況と対策について

   (2) 東京都電気機械器具製造業最低工賃について

   (3) その他

 

 5 配付資料

     配布資料1(2401KB; PDFファイル)

     配付資料2(2582KB; PDFファイル)

 

 6 議 事

        

      部会長   定刻になりましたので、ただいまより第6期東京地方労働審議会第2回家内労働部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、日程をご調整いただきお集まりいただきましてありがとうございます。 

        東京地方労働審議会運営規程第7条の読みかえにより、部会長の私が議長となり議事を進めさせていただきます。 

        初めに委員の出欠状況のご報告をお願いいたします。 

 

      主任賃金指導官 

        それでは出欠状況を報告いたします。  

        昨年の第1回の部会で委員のご紹介は終えておりますので、資料1の名簿の順にご報告いたします。  

        公益代表委員、梶原委員、久禮委員、谷内委員、3名全員のご出席をいただいております。  

        家内労働者代表委員として、豊田委員、帆刈委員、村上委員、3名全員のご出席をいただいております。 

        委託者代表委員は、石井委員、中橋委員、樋渡委員ですが、中橋委員がご欠席とのご連絡をいただいてお

              りますので、2名のご出席をいただいております。 

        以上、委員定数9名のうち8名がご出席ですので、地方労働審議会令第8条第3項で準用する同条第1項に定

              める定足数、全員の3分の2以上または各側3分の1以上を満たしていることを報告します。以上でございます。

  

      賃金課長  賃金課長の徳力と申します。昨年4月1日付けで賃金課長を拝命いたしました。前任の滝澤に引き続きよろ しくお願いいたします。 

        本日の委員の出欠状況につきましては、ただいま報告させていただきました。私ども事務局の職員に異動 がございましたので、改めまして事務局を紹介させていただきます。

 

            (事務局紹介) 

 

      賃金課長 それでは、議事に先立ちまして相浦労働基準部長よりご挨拶申し上げます。

 

            (労働基準部長挨拶) 

 

      部会長  ありがとうございました。  

        それでは議事を進めてまいります。本日の部会は公開となっております。議事録は公開することとされており、会議終了後、事務局で取りまとめ、各側委員に署名をお願いすることになっております。署名委員につきましては、公益は私、梶原、家内労働者側は村上委員、委託者側は石井委員によろしくお願いいたします。  

        それでは議事1つ目でございますが、東京における家内労働の概況につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

 

      賃金課長 では、資料に関しましては、指導官よりご説明いたします。

 

      賃金指導官     (資料2から資料7まで説明) 

 

      部会長   どうもありがとうございました。それではただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見がありましたらどうぞご発言をよろしくお願いいたします。 

 

      豊田委員  1点よろしいですか。  

 

      部会長  はい。  

 

      豊田委員  44ページのところで、家内労働安全衛生指導員の指導結果というのが毎年出されているんですが、昨年もお聞きしたんですけども、家内労働法の26条により委託状況届というのは法律で義務化されておるわけですけれど、前回もそうだったんですけれど、東京労働局管内、一体何件委託状況届が出されているのか、いわゆる委託者が何件あって、その何%ぐらいしか出ていないのか、そのあたりがちょっとよくわからないので教えてほしいのが1つと、それからこの表でいうと39件あって30件が、要するに委託状況届でいえば指導があったということは出てなかったということなんで、いわばそういう点ではこの辺の対応についてはどのようにお考えになっておられるのか。そこら辺がきちっとしないと、家内労働状況というのが出されているんだけれど、私も再三言っているんですけれど、果たしてこの数値が実態を反映した正確なものなのかどうか、非常に疑義があるなと感じているんで、その辺を教えていただければ。 

 

      部会長  ただいまの質問に関しまして、事務局のほうからご説明をお願いできますでしょうか。  

 

      賃金課長  26条に基づきます家内労働の委託状況届は、実際に非常に少のうございまして、23年では74件出されております。それで、事務局としましても非常に少なくて、豊田委員がおっしゃるとおり実態の把握が危ぶまれるところでございます。それぞれ使用者団体の皆様方に提出の呼びかけをお願いするように会報に載せていいただいたり、ホームページに載せていただいたりとお願いいたしまして、24年度、今年度は25年1月末現在で140件の提出となっております。今後もこの家内委託状況届が出てまいりませんと、私どものほうも実数がつかみづらいというところがございますので、継続して出していただけるような督促をお願いしていきたいと思っています。以上でございます。 

 

      部会長  ありがとうございました。豊田委員、よろしいでしょうか。  

 

      豊田委員 はい。ぜひその点では24年度は140件に増えたということなので、位置づけをきちっとしてもらうと。法施行以来、もう数十年たっていますので、そういう点では改めて法律に基づくルールをやはり双方が遵守するのが大事かと思いますので、そのあたり引き続き、局のほうのご尽力をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 

 

      部会長  ほかにご質問のある方いらっしゃいませんでしょうか。 

        それでは、時間も迫っておりますので、行政の方々には委員の意見も踏まえ、今後の行政に生かしていただくようお願いいたします。 

        それでは引き続きまして議事の2つ目「東京都電気機械器具製造業最低工賃について」事務局からご説明お願いいたします。 

 

      賃金課長 それでは、電気機械器具製造業最低工賃の改正についてご説明させていただきます。改正につきましては、いろんな条件がございます。そのうちのまず1つ目としまして、電気機械器具製造業の関係委託者、関係家内労働者から今年度最低工賃改正の申し出がなされておりせん。  

        それから、2つ目でございます。今、資料でご説明申し上げましたとおり、前回21年も改正を見送っておりますが、最低工賃を改正する行政上の基準でございます前回改正から3年以上経過というものに今回は該当しております。ところが、説明申し上げましたとおり、特に最低工賃の適用を受ける家内労働者数が激減しておりまして、102名となっておりますので、2つ目の基準でございます適用家内労働者が300人以上存在するものという条件をかなり下回っております。逆に、廃止することの検討を開始する、適用家内労働者数が100人未満に減少し、将来も増加する見通しがないものに近い状態となっております。この点につきましては、先ほどの家内労働者、委託者のグラフのところでご説明申し上げたところでございます。 

        3点目でございます。やはり同じ資料7の実態調査のところでご説明申し上げましたが、特に64ページの資料の別表3でございます。委託者24社からの回答で、委託量の変化が横ばいあるいは減らしたとするところが1年前、3年前と比較してもやはり多くございます。次の工賃単価の変化では、ほとんどが変わらないと回答をいただいております。それから、同じく資料7の、回答をいただいております家内労働者44人の集計の中でも69ページの第5表でございますが、仕事量の変化は、減ったとするものが1年前、3年前とも多くなっております。次の工賃単価の変化でも多くが変化なしとの回答をいただいております。表の中には表してございませんが、この家内労働者44人のうち最低工賃の適用のある工程を委託されている家内労働者は6名いらっしゃいまして、この6名の方からの回答では、6名全員が3年前と比較して仕事量は減った、工賃単価は変化なしと回答をいただいております。このように、家内労働の状況としましては委託者、家内労働者ともに仕事量は減少、工賃単価は変わっていないというのが実際の状況であると思われます。 

        その次、4点目でございます。電気機械器具製造業を取り巻く状況でございます。資料4の統計関係でもご説明申し上げましたが、事業所数、就業者数は減少しておりますし、労働者の賃金は、一般労働者は増加しているものの、パート労働者は減少している状況でございます。工業生産指数も下がっておりますし、東京都区部内の消費者物価指数も下がっている状況でございます。ご存じのとおり、マスコミ等で報道されておりますように、韓国、中国の台頭で、液晶テレビであるとか白物家電などの家電製品の輸入が増えている一方、国内企業では規模縮小、工場売却等が進められており、現時点におきましては非常に厳しい状況でございます。 

        最後5点目でございますが、これはあくまで参考としてでございます。資料3でご説明申し上げましたが、東京以外におきましても最低工賃の改正がそれぞれ各局内のいろいろな事情があるとは思われますが見送りとなっているところが多くなっております。電気機械器具製造業最低工賃におきましては、全国で21定められておりましたが、平成23年に山形で廃止され、現在は全国で20件となっております。このうち平成21年の東京で見送りとした以降、改正決定したものは20件中4件、青森、岩手、宮城、群馬のみであります。東京と隣接しております埼玉、神奈川ではともに平成18年に改正の後、平成23年は改正を見送っております。なお、鳥取のほうでは現在廃止について諮問中と聞いております。 

        以上、ご説明申し上げましたが、東京における電気機械器具製造業の委託者、家内労働者の状況、同業種労働者の賃金の推移、あるいは景気状況から、今年度東京の電気機械器具製造業最低工賃の改正につきましては、見送ることが相当とやむを得ず判断したところでございます。 

        以上を踏まえまして、先生方のご意見をお聞かせいただければと思います。  

 

      部会長  どうもありがとうございました。それでは今、電気機械器具製造業最低工賃改正の諮問を見送るというご説明をいただきましたけれども、ご質問、ご意見がございますれば、委員の先生方、よろしくお願いいたします。 

        村上委員、いかがでしょうか。

 

 

      村上委員 電機連合の村上でございます。今、業界の動向を簡単に課長のほうから説明がありましたけども、非常に具合のいい企業と悪い企業と、特に先ほどありました半導体、これはもうひどい状態ですね。液晶も今まで得意だった部分が、主力だった部分が安いものに負けてきているという実態があるということであります。この最低工賃を決めるに当たって、私ども加盟組合に対して全部調査を行ったんですが、もういない。1次では出していないので、それ以降は出しているかもしれないんですけども、実態として私たちも把握できなかった実態があるということ。それから今37ページを見てみますと、工程内容というか、品目といいますか、この内容からすると、特殊な技術ではないなということが類推できるかと思います。そういったことから、海外にこのような仕事がどんどん流れたんだろうということで、今までの報告を聞いていますと、やっぱり緊急であるとか、少量でお願いしたいとか、そういった足らざるものを緊急でお願いして、休みだとか夜に、明日までにみたいなところで注文を受けて出しているような実態であるだろうと考えます。それから、あと、先ほどの報告の中で、月当たり13.4日であるとか、1日だったら4.1時間、月も3万2,790円ということ、これらを考えると主たる生計者でもないのかなと類推できます。意見の中で、48歳、42歳の方がちょっとこの年齢でどうなのかなというのは実態はよくわからないんですけども、平均的に見てみるとこのような主たる生計者ではないだろうということ。それから、企業内でも今65歳の雇用延長に向けて賃金制度とか、加えて働き方も変えていかないと、今までの例えば60歳といったときに、どうしていくのかという考え方とはまた違って考えていかないといけない。そういったときに、この仕事がそこにまた入っていくのか入っていかないのか、まだわかりませんけども、企業内でもそのような働き方、賃金制度も変えていくという実態があるかと考えます。 

        そういったことからしますと、どんどんこれが減少してきていまして、先ほどの21ページの資料を見てみますと、この制度というのが、まだ従事者の方、委託者もいらっしゃいますので、一気にこの制度をなくすわけにはいかないだろうと思うんですけど、将来に向けて、従前あったパイがこれだけ減ってきているのが、この制度でほんとうに担保できるのか、違った形で担保していくのかというのもまた検討していかないといけないのかなと思いますけども、今回のこの実態からすると、見送りはやむを得ないかなと私どもは考えます。以上です。  

 

      部会長  ありがとうございました。 

        それでは委託者側、石井委員いかがでしょうか。  

 

      石井委員 私の考えと、あと若干、先ほどの1つ目の議事で質問すればよろしかったんですけれども、ちょっと時間が押しているということでございましたので、この意見とあわせて質問も若干させていただければと思うんです。今、課長のほうからお話がありましたように、電気業界をめぐるマクロ的な点でございますけれども、やはり産業構造の変化といいますか、中国とか韓国との競争の激化、高コスト、日本の企業においては必然的に競争力の低下に直面せざるを得ない。非常に価格競争が激しい、一種の消耗戦みたいな面もあるわけですけれども、それに加えて円高の長期化、最近円安に動いていますけれども、非常に円高の影響を受けたということで、ご案内のとおり自動車産業とか家電産業が低迷している。国内の工場も閉鎖とか縮小とか再編とかいうことで、雇用そのものの受け皿が危ぶまれている状況の中で、最低工賃の制度もやっぱりそういう動きとは切り離して考えられない状況があるように理解をしております。親企業が海外移転していますから、当然国内企業に対しての発注量が減る、そうすると中小企業、とりわけ下請なんかはもろに仕事が減って、社内の雇用を維持するだけの企業経営で手いっぱいということで、とても家内労働者のほうに仕事を回したくても回せないという状況がある。それは先ほどの家内労働の実態調査においてもそういうことが読み取れるところであろうかと思います。 

        特に実態調査の中で、66ページから67ページに、委託者の意見ということで通信調査、これはいわゆる回答を寄せた24社のうちの9社の記載された意見をここに出されていると思うんですけれども、そういう委託者側の本音といいますか、現状を踏まえた意見とか、また、実地調査がこの4社だと思うんですけれども、実際もう少しは多く実態調査をされたのかどうかわかりませんけれども、この4社の実地調査の結果の意見なんかも踏まえれば、やはり先ほどの状況を勘案すると、諮問見送りもやむを得ないということが妥当な判断ではないかと思います。仕事量は減っているけれども、工賃単価は現状維持していくということからしても、最低工賃を下回るのは論外ですけれども、工賃を少なくとも維持しているということは、やっぱり委託者の精いっぱいの経営努力の現れかなという感じもしますので、こういう全体的な状況を勘案すれば、今申し上げましたとおり、諮問見送りもやむを得ないのではないかと考えております。  

 

      部会長  どうもありがとうございました。66ページ、67ページの委託者の意見については特に事務局のほうで補足はないということでよろしいですか。 

 

      賃金課長 今おっしゃられたとおり、66ページの通信調査は電気機械器具の委託をしている24社の中で書いてきていただいたものを載せております。67ページも、個別企業4社にお邪魔した時の話でございます。  

 

      石井委員 この4社の選定の基準というのは。 

 

      賃金課長 当局に委託状況届が出ていて、内職を使っていらっしゃって、電気機械器具の委託をしているというところを選んで行ってまいりました。  

 

      石井委員 わかりました。対応されたのはその企業の経営者の方。 

 

      賃金課長 経営にかかわっている方がほとんどです。 

 

      石井委員 ありがとうございます。 

 

      部会長  ありがとうございました。 

 

      豊田委員 よろしいですか。  

 

      部会長  はい。豊田委員、お願いいたします。 

 

      豊田委員 当該のところのご意見は尊重されるべきだし、そう思いますけれど、同時に家内労働の法律では、最低工賃については13条で、「当該最低工賃に係る一定の地域と同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮して定める」となっているわけですね。これは、法規制としての最低工賃というわけですね。現状は、先ほど課長さんが随分克明にお話があって、それはそれとして現状はほんとうに大変だなあと。まさに中小企業はほんとうに崖っ縁に立たされていると。その中で経営努力をされて今日の日本のいわば雇用や地域経済を支えられている。この点については尊重するんですけれど、ただ同時に、私は、はっきりさせなければいけないのは、最低工賃というのは法規制としてのこれ以下はあり得ないという、そこの下限を設けているということですね。このことの意義というのは、別に工賃を上げる上げないという問題ではないんですね。要するに、法規制として最低工賃、働く者として労働者なり働く者が人間たるにふさわしい生活ができるかどうかという、この規制をされているわけですよね。だからそこのところはもうちょっときちっと据えないといけないのかなということなんです。どうも全国的にも相当見送り見送りで、現状が厳しいからというのは一方で理屈としてはわかるんだけど、現状が厳しかったら最低工賃という法規制は要らないのかというあたりが問われるのではないかと私は思うんです。一方で最賃は毎年、これは改定されて、ちゃんとあそこにも大きく貼ってありますけど、東京では850円というふうになっているんだけど、一方で家内労働のほうは全くその辺が顧みられないというのはいかがかなと私は思うんです。何のための最低工賃制度なのか。しかも最低工賃の仕組み自体に私はいろいろ疑義はあるんです。工程別に決めるという極めて難解な、決めること自体が難解と。そのことを調査する側も大変、業者のほうも大変だし家内労働者も大変という点では、この辺は中央でも大分議論されているみたいですけれど、要はなかなか結論が得られていないということでこのままずるずるきている。だから、そういう点では形式的に最低工賃の改定をするかしないかではなくて、最低工賃のあり方そのものも検討すべき時期に来ているのかなという面はあるんですけれど、しかし法規制としてやはり最賃との連動が法律で言われているわけですから、そこはどうするんだというのが意見として私はあるんです。その辺はどのようにお考えになられているのか。 

 

      部会長    いかがでしょうか。  

 

      賃金課長  今、豊田委員がおっしゃられたとおり、家内労働法第13条で、「最低工賃は、当該最低工賃に係る一定の 地域と同一の地域において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮して定める」とございます。今回、電気機械器具製造業最低工賃でございますので、東京には電気機械器具の特定最低賃金がございますが、電気機械器具の最低賃金につきましては、その中の適用除外業務としまして、手作業により、または手工具により、もしくは小型電動機械を用いて行う巻き線、組線、かしめ、取り付け、組み立て等、いわゆる手作業については特定最低賃金である電気機械器具製造業最低賃金から除外しているということで、その部分は地域別最低賃金の適用に組み込んでいるところです。今、お話のございました地域別最低賃金のほうでございますけども、ここで申し上げている「同一又は類似の業務」というところと、すべからく全ての範疇の作業の業務に適用される地域別最低賃金というところがございますが、1つの参考としては当然考慮すべきものだろうと考えております。 

        直接比較する方法、手法等、あるいは比較の計算方法も含めまして、明確なところはまだございません。それで、私どものほうでは第13条1項の続きに括弧書きで入っております「同一地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金が決定されていない場合には、当該労働者の賃金との均衡を考慮して定める」というところを参考としたところでございます。その比較する賃金としましては、やはり電気機械器具製造業の家内労働者の多くが専業ではなくて内職型である、それから労働時間も比較的短時間であるということで、比較する上ではやはり製造業のパート労働者の実勢賃金が適切ではないのかと判断したところでございます。パートの労働者の賃金につきましては、先ほどの資料でご説明したとおり、それほど上がっていないという実情もございまして、今回賃金の引き上げの部分と最低工賃との比較というふうに判断したところでございます。 

        回答になっているかどうかでございますが、そういう判断でございます。  

 

      部会長   ありがとうございました。豊田委員、いかがでしょうか。 

 

      豊田委員  課長さんの回答は回答でわかるんですけれど、私が聞いているのは、見送り見送りを続けるといずれは廃止ということになると、最低工賃を決めるもともとの意義というのがどうなのかなというあたりをどのように当局としてお考えになっているのか、その辺をお聞きしたいと。法規制はもう要らないんだということなのかどうかも含めてなんですけど。自由に、お互いに資本力に物を言わせて競争すればいいという含みがあるのかないのか。 

 

      賃金課長  私ども行政のスタンスといたしますと、最低工賃は法律でございますし、家内労働者を保護する中で、家 内労働者の労働条件の確保、向上のためには当然定められている以上必要な、その中の1つが最低工賃であるという認識でおります。ただ、現状として引き上げ云々ということとの関係では、別にはなるのかと思いますが、もちろん法律でございますので、決して最低工賃が必要ないという判断をしているわけではございません。  

 

      部会長   ありがとうございました。よろしいでしょうか。 

 

      豊田委員  ありがとうございました。  

 

      部会長  大きな枠組みの議論は、それなりの場所でする必要はもちろんあると思いますが、本日の諮問の見送りについては豊田委員もご了承いただいたということで進めてよろしいでしょうか。 

 

      豊田委員  それは、当該のところでそういうことだし、局としてもそういう判断ということであればそれはそれとして、反対するものではないということです。  

 

      部会長  ありがとうございます。  

 

      豊田委員  ただ、最低工賃なり最賃というのは一体何のためにあるかというのは改めて考える必要があるのかなと。単に労働者を保護するだけではなくて、いわば企業が製品を再生産していく上でも、そこら辺のものをきちっとどう据えるかということがないと、私は、底なしになると思うんです。結局お互いが首の締め合いになって、結局競って落とされていくという、弱肉強食ということにならざるを得ないのではないか。そういう点では、最賃なり最低工賃の意味合いをもうちょっと、やっぱりきちっと位置づけがされているわけだから、そこはもう少し慎重にやるべきではないかという意見です。  

 

      部会長   かりました。どうもありがとうございました。 

 

      帆刈委員  関連していいですか。地方で、私も幾つか聞いたことがあるんですけど、実際に最低賃金で雇用している

              使用者はほとんどいなくて、ごく一部違反していた人がたまに会社にいるんですけど、まさにおっしゃったとおり最低賃金で、実際それで大半の労働者に支払っているという企業はほとんどないというのが実態なんです。ただ、最低工賃というのは実際どうなんですか。そういうデータはないんでしょうか。要するに、この仕事をやって実際どのぐらい、最低工賃が決められているけど、どれぐらいで支払うとか、そういう調査はされていないんでしょうか。これは関連した質問で、もう1点は、流れがあるので、私は別に今日の提案は反対しているわけではないんですけど、しかも電気の方が実情を踏まえた上でご意見もされていますから、それを私ども民間のいろんな企業にかかわっている労働者の中では、産業の中の各企業の状況を踏まえると、おそらく当然誰もが働いているほうは賃金が高いほうがいい、工賃が高いほうがいいと思っている中で、そういう現状の中で出ていますので、それについては特に反対意見はないんです。ただちょっと私はたまたま労働組合の立場で、政治活動にも参画しながら民主党政権を立場上支援しながらきて、現在自民党政権になって安倍総理になっているところで賃金を上げてくださいと、このところおっしゃっているわけですね。それでそれに対して民間の各企業の中でも、そういうことを発言する方が出てきているということを、今のこの時期にどのように考えるべきなのかなということをちょっと思うんですよ。流れの中では、工賃が実際に電気産業のいろんな仕事を受けている中で企業は大変でこうなって、しかも海外への仕事の移り度だとか、賃金水準、日本の現状は、もっと厳しいというのはわかるけど、ただ一国の総理が政府として、日本中賃金を上げなさいと言っている環境に対して、何かここでも少し感想なりを考えた上でこのことは決めていかなければいけないのかなと思うんですけども。ご提案されていることについては、まして一番実情をよくご存じの村上さんとかのご意見も出ているので、全く反対するつもりはないんですけど、今そういう流れになっていますよね。その辺のことも、三者、少し承知した上で決めていかなければいけないのかなと思うんですけども。 

 

      部会長    その点についていかがでしょうか。皆さん。 

 

      樋渡委員  総論、流れとしていろいろ動きはありますけど、やはり最終的にはそれぞれの企業がどう考えるかということになるとは思うので、そういう大きなところで、今の段階で政府がそう言っているからということですぐ何か方向性が決まることでもないのかなと私は思っています。それから、最賃との関係で、先ほど第13条を見ると、ほんとうに最賃の基準として時間給で幾らかというので比較するのと、工程ごとに単価で比較するのと、なかなか難しいですよね。ではこの工程ごとに1時間幾らになるかというのを多分見るのはなかなか難しいのではないかなと。 

 

      豊田委員  それは、私が言うのも変な話ですけど、決まっているんですね。出ていないんですよ、表に。週40時間で、要するに1日8時間で、それで換算したものがあるはずなんですよ。経費率が幾らというのも。そうすると大体時間当たり幾らになるかというと、おそらく電気の場合、この場合だと四百四、五十円ですかね。事務局のほうから正確なのを聞いたほうがいいと思いますけど。それはだから対比はできているんですよね。ただ対比させないようにしているわけでもないんだろうけど、ここには出ていないんです。  

 

      樋渡委員  あとは同一の仕事をしているというところ、その辺ですよね。最賃をどこと比較するのか。だから何か東京労働局の話だけではないような気がするんで、こういう話があったということで、また本省のほうとかいろいろとあると思うので、少し全体で話をするというような1つの課題としてこういうのが上がっているというのがいいと思います。 

 

      部会長  ありがとうございました。帆刈委員のご質問の内容は特に事務局のほうでお答えいただくことは、よろしいでしょうか。 

 

      賃金課長  1つ、支払いの関係で最低工賃で払っているかどうかというところですけど、もちろん最低工賃以下であれば当然直していただくことになるのですが、調査の対象の回答の中にはぎりぎりで払っているところもございます。ただ、その倍以上で払っているところもございまして、その割合は出してはおりませんが、支払い方として全てがかなり高いところで払っているというものではないのが実情でございます。 

 

      部会長    ありがとうございました。  

 

      豊田委員  ちなみに、先ほど質問のあった、8時間換算率だと幾らになるんでしょうか、電気機械器具では。 

 

      賃金課長  時間単価につきましては、最低工賃を決定したときの想定される金額で設定してございますので、いわゆる8時間当たりの。 

 

      豊田委員  換算率。 

 

      賃金課長  大体何個を普通であれば作れるかを前提にして、最低工賃を決めておりますので、それとの換算ということになります。前回改正、19年の改正のときに、最低工賃の工程の一番上にございますプリント基板に足の曲げを行うもの、37ページにございますが、8時間当たりの作業能率として、7,200個という数字が出されております。1個につき1円5銭ですので、8時間換算額が7,560円という見方になってきます。 

 

      豊田委員  それはそれで工程別に出していると思うんですけど、全体としてトータルにして8時間換算額というのが平均値で出ているはずなんですけど、前、中家審の資料を見たときにはそのようなのが全部出ていましたので。  

 

      賃金課長  単純平均では平均値にならないです。  

 

      豊田委員  目安として単純平均でもいいのではないですかね。加重平均ではなくて。ないですか、資料は。工程ごとに8時間換算額を出して、平均値で大体、例えば電気機械器具製造の場合は8時間換算額だと幾らだというのが、そこに対する必要経費が幾らで、平均値でこれですよというのは出ているはずなんですけれど、出していないんですか。そうしないと、最低工賃との均衡を考慮するといっても、考慮しようがないんですよね、比べる対象の次元が違うと、工程とその最賃の時間当たりの金額との。そうすると割り戻しているというか、掛け戻しているというか、やっているはずなんですけれど、その辺はないですか。  

 

      賃金課長  申しわけありません。手元のほうにはございません。  

 

      豊田委員  そうですか。はい。 

 

      部会長   ほかにご意見ある方いらっしゃいますか。 

         それでは皆様に忌憚のないご意見を頂戴いたしました。いろいろ経済状況も変動が多いところではござい

              ますが、ただいま説明いただきましたとおり、電気機械器具製造業最低工賃改正諮問を見送るという結論に

              ついては、皆様のご了解をいただけたということでよろしゅうございましょうか。 

 

(「異議なし」の声あり)

 

      部会長   ありがとうございます。それでは異議なしということで承ったということにさせていただきます。 

        それでは議事の3つ目の「その他」に移らせていただきますが、その他についてのご説明をよろしくお願いします。 

 

      賃金課長  1点ございます。資料8でお配りしております第11次最低工賃新設・改正計画(案)が、先々週2月7日に本省におきまして、労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会に示されて、了解を得たところでございます。間もなく正式に指示されてくるかと思います。東京を見ていただきますと、次年度につきましては、革靴製造業の最低工賃改正の予定となっておりますことをご報告させていただきます。  

        以上でございます。 

 

      部会長  ありがとうございました。次回は革靴製造業最低工賃の改正の予定ということで承りました。ご準備をまたよろしくお願いいたします。  

        それでは本日予定いたしました議事は以上でございますが、ほかに何かございますでしょうか。  

        ないと伺いましたので、本日の審議はこれで終了させていただきます。長い時間どうもありがとうございました。

 

 

          

          

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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