第8期 第5回 東京地方労働審議会(平成29年3月21日開催)

8期第5回 東京地方労働審議会

 

 

1 日時   平成29321日(火) 13時30分15時30分

 

 

2 場所   九段第三合同庁舎 11階 共用会議室1-11-2

 

 

3 出席者

委 員 佐藤会長、梶原委員、脇坂委員、野川委員

傳田委員、藤城委員、米田委員、唐澤委員

土屋委員、川本委員、佐々木委員、大津委員

事務局 渡延東京労働局長、黒澤総務部長、湯地労働保険徴収部長

古瀬雇用環境・均等部長、岩瀬労働基準部長、藤村職業安定部長

井上需給調整事業部長

 

 

4 議題

(1)平成29年度東京労働局行政運営方針(案)について

(2)その他(質疑、意見交換)

 

 

5 配布資料

  8期第5回 東京地方労働審議会資料(3582KB; PDFファイル)

 

 

6 議事

 

【永野課長】 定刻2分前ですけれども、委員の皆さまが全員おそろいですので、ただいまから第8期第5回東京地方労働審議会を開催させていただきます。本日委員の皆さま方には年度末の大変お忙しいところ、また足元の悪いなかご出席を賜りましてありがとうございます。私は冒頭の進行を努めさせていただきます雇用環境・均等部企画課長の永野でございます。ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは本審議会の開会にあたりまして事務局を代表して東京労働局長の渡延忠よりごあいさつを申し上げます。

【渡延局長】 東京労働局長の渡延でございます。委員の皆さま方におかれましては平素から当局の業務運営について格別のご理解・ご協力を賜りまして改めて厚く御礼を申し上げます。

 年度末あと10日という大変お忙しいなかでご参集を賜りまして誠にありがとうございます。本日の審議会の議題としては平成29年度東京労働局の行政運営方針(案)についてこの場でご説明をさせていただきまして、委員の皆さま方からご意見を頂戴することを予定しています。1年前にこの場で間近に迫っていました41日から実施の当局の雇用環境・均等部を新たに設置する機構改革をご説明する機会がありました。あれから約1年ですが、この間労働基準、職業安定、雇用均等、能力開発、各行政系統の垣根を越えた横断的連携的による行政運営に努めてきたところでございます。また、この間中央政府の動きとしては委員の皆さまもご承知のとおり働き方改革に大変、光りが当たっているところです。昨年12月には同一労働同一賃金のガイドライン(案)が作成された他、今月中にも「働き方改革の実行計画」の取りまとめが予定されているところです。そうした計画ができ、これから法令制度になっていくものもあります。その間平行して予算措置等で実施が決まったものも多数あります。そういったものを受けまして、来る4月から労働局においても厚生労働省の各都道府県における現地機関として働き方改革の旗振り役をしっかり努めていくことが労働局の仕事です。特に私ども東京労働局では経済社会の中心である東京でこうしたものをきちんと実現していく責任は大変大きいものと考えています。そうした背景事情のなかで平成29年度の行政方針(案)を本日ご説明する予定です。そのなかでは「誰もが安心して活き活きと働ける東京へ」をスローガンに掲げることにしまして、「働き方改革」の推進などを通じた労働環境の整備・生産性の向上、それから「全員参加型社会」の実現加速の2つを大きな柱にしています。耳でお聞きになっただけでは1年前とどこが変わっているのかという印象をもたれるかと思います。変える必要があるところは変えて、必要がないところは変えないという考え方で整理したつもりでございますが、改めてご説明申し上げますので、ご意見を頂戴したいと考えています。

 いずれにしましても長時間労働の是正による良質な労働環境の確保や女性・若者など希望する全ての方が社会に参加できる環境づくりに労働局、監督署、ハローワークが一体となって取り組んでいきたいと考えております。

本日はなにとぞよろしくお願い申し上げます。

【永野課長】 ありがとうございます。ここで本日ご欠席の委員を報告させていただきます。まず公益代表委員の橋本委員、長江委員、それから労働代表委員の荒井委員、恵島委員、それから使用者代表委員の蜂谷委員、會津委員、この6名の委員の方が本日欠席です。従いまして、本日の出席委員は12名ということになります。地方労働審議会令第8条第1項の規定に照らしまして本審議会が有効に成立していますことをご報告申し上げます。

 次にお手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。まず机上に配布しております資料は上からA4縦長1枚の「出席者名簿」、同じくA4縦長1枚の「本日の次第」、それから「座席表」です。次にA4横長でカラー刷りのもので「第8期第5回の東京地方労働審議会資料」です。こちらの資料は事前に送付していますが、グラフに2カ所の修正がありました関係で改めて配布させていただいております。念のため修正された箇所を申し上げておきます。まず2ページ、雇用環境均等担当部署のページの右下にありますドーナツ円グラフです。平成28年度相談の内容(パート)の数値が修正となっています。もう1カ所は17ページ、労働基準担当部署のページの右下の棒グラフです。こちらの石綿関連疾患の労災補償状況で数値が今回修正になっていますので、改めて配布しております。

 また、職業安定担当部署の数値につきまして本日の資料に若干の修正がありますが、今日配布しました資料で左上に「机上配布資料」と書いてある横長のものです。こちらをお配りしております。これはのちほどの担当部長からの説明のなかでご案内しますので、よろしくお願い申し上げます。

 配布資料の確認に戻りまして、次に縦長の分厚い資料で「平成29年度行政運営方針(案)」です。そして最後に2枚物の「東京都革靴製造業に係る最低工賃の改正決定について答申」というものがあります。以上が机上の資料となります。不足のものがありましたら、手を挙げていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

 それではこれより議事に入らせていただきます。本審議会は東京労働審議会運営規定第5条第1項の規定に基づきまして原則として公開の会議となります。その議事録についても発言者名を含めて公開とさせていだきますので、ご了解のほどお願い申し上げます。

 以後の議事進行につきましては審議会会長より進めていきます。それでは佐藤会長、どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤会長】お忙しいところご出席いただきましてありがとうございます。議事に入る前に事務的な手続きがあります。会議の議事録の作成につきましては東京地方労働審議会運営規定第6条第1項の規定により会長のほか2名の委員に議事録への署名をいただくことになっております。

つきましては本日の議事録の署名人には労働者側は藤城委員、使用者側は大津委員にお願いしたいと思いますのが、よろしいでしょうか。では、ご了解をいただいたということでよろしくお願いします。

【佐藤会長】 それでは本日の議題(1)平成29年度東京労働局行政運営方針(案)についてご説明いただいてご議論いただければと思います。それでは雇用環境・均等担当部署からご説明いただきます。よろしくお願いいたします。

【古瀬部長】 雇用環境・均等部長の古瀬でございます。本日はよろしくお願いいたします。お手元の資料に基づきまして説明させていただきます。

 では、「行政運営方針(案)」の縦の資料を1枚めくっていただけますでしょうか。こちらで行政運営方針の全体像を説明させていただきます。スローガンとして「誰もが安心して活き活きと働けるTOKYOへ」としました。まず「誰もが」というところは新しい文言ではありませんが、ここは変えないことがふさわしいと考えました。昨今の働き方改革等がありまして「活き活きと」という文言を入れています。このようなスローガンにした上で最重点課題については下の青い枠の二本柱に設定しています。

 1つ目の柱は昨今の議論を踏まえますとやはり働き方改革であろうということで、「働き方改革」の推進などを通じた労働環境の整備・生産性の向上としました。項目として長時間労働の是正による良質な労働環境の確保。それから非正規雇用労働者の待遇改善等。また、人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備。それから労働者が安心して健康に働くことができる職場づくり。この4項を盛り込んでいます。

 2つ目の柱はスローガンでも「誰もが」とうたっておりますとおり「全員参加の社会」の実現加速としています。内容としては女性の活躍推進、若者の活躍促進、高齢者の活躍促進、障害者、難病・がん患者等の活躍推進、外国人材の活用、重層的なセーフティネットの構築。こういったものを盛り込んでいます。1枚めくると本文の目次になっています。全体の構成としては本年度のものを使用していますが、第1が東京の労働行政を取り巻く情勢の分析です。第2は東京の労働行政の課題です。1枚目にありました柱立テーマがこの第2の部分に対応しています。第3は東京の労働行政の重点対策ということで具体的な取り組みを各担当部署ごとに整理してまとめているものです。最後の第4は行政展開とサービス向上の基本となる事項です。行政運営上の基本的な事項、地方公共団体、労使団体との連携とか情報管理などを盛り込んでいる部分です。

 では、引き続きまして具体的な内容と下半期の行政運営の状況を併せまして各担当からご説明させていただきます。レジュメはこの行政運営方針(案)に加えて横書きの資料を用いたいと考えています。それでは雇用環境・均等部から内容を説明させていただきます。この横書きの資料1ページをご覧ください。なお、行政運営方針では雇用環境・均等部の部分は30ページからになっています。それでは前後して恐縮ですが、横書きの1ページ、「働き方改革」推進の取組について、です。企業トップ等への働きかけについては本年度7社、下半期の訪問企業が右側に写真を載せています4社です。中小規模の企業さまも含め訪問させていただきました。また、働き方、休み方改善コンサルタントによるコンサルティングを年間370件以上実施しました。来年度の取り組みについては下の枠にありますように、引き続きさまざまな手法で企業への働きかけを行いまして、その情報発信に努めるとともに関係団体への働き方改革に係る要請とか協力依頼、地方公共団体との連携を推進して地域全体の機運情勢に努めていきたいと考えています。

なお、働き方改革の一環として非正規雇用労働者の正社員転換や同一労働同一賃金の実現に向けた待遇完全の取り組みを行うこととしていますが、来年度より非正規雇用労働者の待遇改善を図ろうとする事業主を支援するために47の都道府県に民間委託で非正規雇用労働者待遇改善支援センターを設置して相談対応等を行うことにしています。

 次に2ページ、雇用均等分野についてです。相談件数は左上にありますように本年度は1月末時点で2453件となっています。その下の円グラフは相談内容の内訳です。一番左の均等法では上半期に引き続き妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いが約3割で最も多くなっています。真ん中の育児介護休業法では改正法の施行を背景として相談件数が増えており介護関係が増加しています。それから右下の表が指導件数です。一番右側は平成28年度1月末時点の数字ですが、2月末の数字も暫定ではありますが、申し上げます。均等法については50件です。それから育児介護休業法については指導件数も多くなりまして、411件です。パートタイム労働法については117件です。これが足元の数字となっています。

 続いて3ページ、紛争解決援助の件数については左上にありますが、94件です。その隣の調停申請の受理件数は本年度1月末時点で12件です。左下の「くるみん」の関係です。928社となっています。右下の女性活躍推進法については、これも2月末の数字がありますので、口頭で訂正させていただきたいと思います。上の表で一般事業主行動計画策定届出です。(1)と(2)の数字は省略しますが、(3)の届け出率です。これは1月末と同様で全国で99.9%、東京では100%となっています。その隣の300人以下の企業の届け出企業数は全国で2,523社です。東京では674社です。その下の「えるぼし認定」については全国で268社、うち300人以下企業が19社です。そのうち東京の数字は120社、全国で認定の約45%を占めています。うち300人以下が7社となっています。なお、段階別の数字は2段階目が44社、3段階目が76社になっています。

 続いて4ページ、改正均等法・育介法の周知の取り組みについては大小さまざまな規模で説明会、相談会を行いました。他に東京都の主催で有楽町の国際フォーラムで行われましたライフワークシンポジウムのなかで労働局としてもミニセミナーを行うなどさまざまな周知・啓発に努めました。来年度も確実な履行確保、それから周知・啓発に努めたいと思います。

 次に5ページ、労働法制セミナーについては本年度実施大学数、それから回数、参加学生数ともに大きく伸びており、NHK等でも取り上げていただきました。来年度もより多くの学生を対象に実施したいと考えています。

 次に6ページです。学生アルバイトの労働条件の周知・啓発キャンペーンについては来年度も引き続き労働法制セミナーとの連携も含めて実施を続けていきたいと考えています。また、右側の職場のパワーハラスメントの関係、それから7ページの労働契約法の無期転換ルールについては特に力を入れて効果的な周知・啓発に努めたいと考えています。

 最後8ページ、個別労働紛争解決制度の関係です。平成28年末、12月末時点で取りまとめた数字です。左上の枠、それから右下の棒グラフの個別労働紛争の相談、助言指導、あっせん、それぞれの件数は前年に比べていずれも増加しています。また、左下のグラフは平成27年度までの主要な相談内容別の動向です。これは前回の審議会でいただきました指摘を踏まえて試みとして相談件数の数字を東京都の雇用者数で割りまして1,000人あたりの相談件数に置き換えたものです。雇用者数については平成20年から22年にかけていったん減少はしているものの長期的には増加しています。精緻な分析は難しいところですが、大まかな傾向ではこれも件数のグラフと似たような形になっているかと考えています。環境・均等部については以上です。

【佐藤会長】 次は労働基準部長からです。よろしくお願いします。

【岩瀬部長】 労働基準部長の岩瀬です。それでは労働基準部の関係について説明します。運営方針の本文の構成は先ほど古瀬部長から説明したとおりです。私もカラー刷り横長の資料で説明をします。

 1つ目が長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害防止の徹底をはじめたとした労働条件の確保対策の推進について。働き方改革の推進の長時間労働の是正による良性な労働環境の確保に向けて私どもが最も重点とするものがこの分野です。

 (1)のように1カ月100時間を超えていると考えられる事業場、80時間から100時間以下と考えられる事業場、そして長時間にわたる過重な労働による過労死などの労災請求が行われた事業場です。それぞれ1月末時点での実施件数と違反率です。違反率は何らかの労働基準関係法で違反があったものです。ただ、違反の中心となるものはやはり労働時間の36協定を締結している36協定の限度時間超えなどがあります。やはり高い違反率を示しているところです。今後ともここについてはしっかり指導させていただけなければなりません。ただ、これは私どもから36協定の届け出だけではなくて、そのあとも時間を超えているであろうというもろもろの情報を基に行っております。本年度は2,000件の実施予定ですが、一定の違反率が上がるのは致し方ないと思っています。

 もう1つ、(2)特定分野における労働条件確保の推進について。(1)から(10)までありますが、それぞれ特有の問題がありますので、その問題に着目して監督指導を実施していきたいと思います。

 来年度についてはやはり長時間労働の関係では昨年の1226日に厚生労働本省の大臣を本部長とする長時間労働削減推進本部におきまして『「過労死等ゼロ」緊急対策』というものが決定されています。それとこれまでの過重労働の総合対策と引き続き適正な労働時間管理、長時間労働の是正に向けた指導をしっかりと窓口、監督などで行っていきたいと思っています。具体的には(1)にありますように80時間以上のところ、過労死請求が行われている事業場に対する引き続きの監督指導を実施します。そしてその「過労死等ゼロ」緊急対策です。

社会的に影響力が大きい企業が違法な長時間労働を繰り返しているような場合については本社の管轄所長、東京の場合はこれが大変多いわけですが、全社的な是正指導をさせていただきます。また、より重大な場合、本社指導を行った結果として是正指導に従っていただけない場合には労働局長による是正指導を実施とともに企業名公表をするというスキームになっています。平成29年度はこれをしっかりと行っていくことになると思います。

 (2)は新たに「労働時間適正把握ガイドライン」というものを120日に厚生労働本省から発出されました。このガイドラインは自己申告制運用が不適正なことから、曖昧な労働時間の把握が長時間労働または不払い残業に至ったという経験から新たにガイドラインを定めたものです。改めて使用者の責務について書かれています。また、取るべき措置についても明確に書かれていますので、この点についても平成29年度は周知をさせていただきたいと考えています。

 1枚めくっていただきまして、10ページ、申告・相談に対応についてです。景気に大きく左右するこの申告・相談の関係ですが、(3)のように申告・相談ともに減少しているところです。本文では年ベースですが、年ベースでも同じく対前年度比で3%減少しています。また、未払い賃金立替払いについても当然その賃金不払いの申告も減っていますので、こちらについても減少しています。さりながら3,000件を超える賃金不払いの申告があります。500件を超える解雇の申告などもありますので、そういった申告事例については置かれている労働者の方の状況に意を払った迅速な対応をしっかりとさせていただきたいと考えています。

 11ページは書類送検した事例です。過重労働撲滅に向けて先ほど申し上げました長時間労働削減対策推進本部におきまして「かとく」というものが東京・大阪に設置されています。そういったものも含めて長時間労働にかかる送検処分を行ったものについて事例を2つ書かせていただきました。1つは渋谷管内で行われたパン製造業における違法な長時間労働、そして割増賃金の不払いという事例です。もう1つは「かとく」の事案です。大手広告代理店の事例です。こういったことも含めて重大悪質な事例については司法処分を厳正に行っています。こういったところは運営方針の本文の40ページから45ページに書いています。良質な労働環境の確保。環境の改善から働き過ぎの防止。司法処分との取り組みの強化。一般労働条件対策の推進。不払い残業の防止。それから特定分野でのそれぞれ特有の問題についても一つ一つ対応していくということ等々を書かせていただきました。以上が監督の関係です。

 続きまして、カラー横長の資料12ページからは産業安全の関係です。働き方改革の前提となる労働者が安心して働くことができる職場づくりに関係した安全についてです。12ページ左上は平成25年から5年計画の第12次労働災害防止計画です。それぞれ目標を書きました。もちろん私たちもこれに向けて進めてきました。

特に平成28年度は右側の最重点対策として建設業の墜落・転落、小売業・飲食店・社会福祉施設における店頭災害防止対策を徹底的に行います。これをもって第12次労働災害防止計画目標を達成するために頑張ってきました。結果は中段にありますように、こちらは1月末現在の速報値ですが死亡災害は3.7%の増加です。建設業はうち25人で全体の45%を占めるという状況です。また、休業4日以上の死傷災害についても2%の増加で全体の6割が第三次産業です。転倒とか墜落などの行動災害についても2%の増加です。私どもが掲げている目標の達成がのきなみできていないという結果です。前回の審議会でもただ増えている、減っているだけではなくて、どのぐらいの労働者の方がいるのかというご指摘もありました。特に三次産業についてのご指摘もありました。それを踏まえて次のページで第三次産業における労働災害防止対策になります。先ほどもありました年千人率の推移も出しました。第三次産業の労働災害防止対策をなんとかしなければならないということで進めているところですが、やはり宿泊・飲食サービス業も医療福祉も卸売・小売も1,000人あたりで1年間で発生した諸災害の割合はこのように減少しています。建設は工事量の変化もありますが、年千人率としては減少しています。製造業もそれなりに減少しているところですが、やはり第三次産業は減少していないということから「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」というものが今年の1月から厚生労働本省及び中災防の主唱により始まりました。企業全体としての取り組みを促すような対策を講じています。計画をしっかりと企業全体として作っていただいて災害を減していく、一つ一つの小さな事業場でなくて、そういう対応をしていただくというものが平成29年度の一つの柱です。左側は建設業の関係です。やはり死亡災害が45%を占めているという大変高い割合です。墜落・転落がそのうちの50%を占めている状況ですので、この墜落・転落災害防止について引き続き行わなければなりません。それには基本的な安全対策ができていないというものが見受けられます。特に、まずは足場の関係です。はしごの墜落・転落災害も増えていますので、こういったところについても指導させていただきます。また、その建設業全体で需要が増加して人手は不足している状況です。新規入職への指導、また不足気味と言われている職長たちにも職長教育もしっかりと指導していくということを平成29年度では考えています。

 1枚めくっていただきまして、14ページ、労働者の方が健康に働くことができる職場づくりという健康面について。1つはメンタルヘルス対策についてです。労働災害防止計画でも安全管理体制の構築が必要な全ての事業場でメンタルヘルス対策に取り組むということを目標として掲げられています。安全管理体制の構築が必要というのは50人以上の事業規模の事業場です。まずはストレスチェックを実施していただかなければなりません。これについては本年度まで周知は右側のグラフのように未実施が9.4%もあります。ストレスチェック実施結果報告書の提出状況ですが、33日現在13,491件、46%の数値です。実施はしたが完了して報告してないということもあるかとは思いますが、いずれにしてもストレスチェック完全実施に向けてさらなる指導を行っていきます。

どういった事業場でまだ報告が出ていないかということは当然私どもで分かることですので、平成29年度はその点についてもしっかりと指導していきたいと考えています。化学物質について職業性疾病の問題については引き続き発生しているということですので、リスクアセスメントの義務化の周知などをしっかりと指導していきたいと考えています。これに加えて「過労死等ゼロ」の具体策のなかでメンタルヘルス対策の推進でパワハラも含めて啓発等を来年度は行うことを考えています。一定期間の複数のこういった精神障害を発生させた企業に対しては本社の指導も行うことを計画しています。詳細についてはまだ決まっていませんが、そういう計画もあります。職業性疾病のなかで腰痛が右側のグラフのように1月末の速報値で643件です、そのうちの437件が災害性腰痛です。業種別では社会福祉施設、小売業、陸上貨物運送事業の3つです。この腰痛についてもガイドラインがありますので、それに基づく指導等を実施していきます。以上が安全または健康面です。本文では46ページから今申し上げたような対策を書かせていただきました。48ページからが健康分野についてです。

 1点、49ページの「ク」の産業保険活動の活性化、健康づくり対策のところです。ここではその「過労死等ゼロ」緊急対策での省令改正について書いています。1つは産業医へ長時間労働に関わる情報提供の義務化とありますが、これは一月100時間を超える長時間労働を行っている方、残業を行っている方の氏名とかの情報について産業医へ提供が義務化されるものです。もう1つ、医師の調取の充実等というものは健康診断の結果から業務に関係する情報を求められた場合には速やかに提供しなければならないという義務です。この2つを盛り込む安全衛生規則の改正が予定されています。41日施行となっていますが、先般中央の安全衛生分科会で答申が出まして、61日の施行になりました。41日施行とありますが、「61日施行」に訂正してください。以上が安全と健康についてです。

 続きまして横長資料の15ページに戻りまして最低賃金制度、家内労働制度の適切な運営です。最低賃金制度についてはこれまで何度もご説明しておりますが、改正決定を昨年10月に行いました。この周知について徹底的に行っているところです。右側にたくさん書いてありますが、周知・履行確保キャンペーンと銘打ちまして1月から3月の上旬にかけてもろもろの周知活動を行いました。左側真ん中の黄色い枠は監督を行った結果、どういうふうに皆さんはおっしゃっているかということですけれども、最賃制度を知っている事業場が違反している事業場では77%しかないとか、最低賃金額は4割しか知らないということです。知らないということで最賃を払っていなかったということですが、いずれにしても「知らない」ことがいまだにあります。使用者の方だけではなく、やはり労働者の方々にもきちんと知っていただかなければならないということからこういったキャンペーンを行っています。

引き続きこの取組は進めていきます。今年はグリーンの四角枠で(4)に東京都革靴製造業最低工賃の改正審議が行われました。本日の資料の一番下に労働審議会の回答による改正決定の答申文を付けています。梶原先生を部会長とした専門部会を設置してご審議いただきました。一覧表だけを付けさせていただきましたが、7.09%の金額改正が行われました。これから官報決済などの手続きがありますので、4月下旬の発効の予定です。平成29年度は東京都婦人服製造業関係の改正に向けて審議を行います。以上が最低工賃・家内労働関係です。本文では45ページです。その下段からこの対策について書いてあります。

 最後は横長資料17ページ、迅速・適正な労災補償の実施です。まずは給付の状況が書いてあります。私どもとするとやはり調査にかなり複雑性、混乱性を伴いますのは脳・心臓疾患と精神障害事案です。この2つについての請求等々がやはり一番注目されるところです。平成28年度はまだ速報値ですので本当に精査しきれていませんが、本日の審議会ということで準備したところです。前回は精神障害がもっと増えるのではないかという動きがありましたが、1月末現在ではそれほどでもありません。ただ、脳・心臓疾患と精神障害を足した過労死事案としては昨年度を上回るのは間違いないという状況です。また、石綿関連疾患も遅発性のものです。がん診療連携指定病棟等にも受診から労災請求勧奨を依頼した結果、やはり昨年を上回る請求件数になるだろという状況です。いずれに対してもこれらの事案についても効率的、効果的な調査をしまして認定基準に基づいて適正な認定を行うことを考えています。これについては本文の53ページに記述しています。労働基準部からは以上です。

【佐藤会長】 続きまして職業安定部長からお願いします。

【藤村部長】 それでは安定行政の関係について私のほうから説明します。まず、机上配布資料の修正箇所です。カラー版の補足資料25ページです。ご覧のとおり数字が1つずれていました。非常に読みにくいのですが、こういう形で修正させていただきますので、よろしくお願いします。

 このカラー版の資料から説明します。最近の雇用失業情勢です。カラー版資料の19ページです。都内の雇用情勢の全体の動きです。今年1月の東京の有効求人倍率は2.05倍です。2倍台の高い水準を10カ月連続で示しています。求人増加求職減少の動きは引き続き平成29年度も続いていると推測しています。また、厚生労働省が発表した全国の大学生の就職内定率、それと都内高校生の内定率、共に改善しているという状況です。今日も日経新聞でトップを飾っていますが、引き続き企業の採用意欲が高いという状況です。一方で昨年10月に総務省から発表されました国勢調査の状況によりますと、総人口に占める65歳以上の人口割合が26%で過去最高です。

また、15歳未満の人口が12%で過去最低という状況です。こうした人口減少が続くなかで少子高齢化が顕著になりまして、生産年齢人口も減少が続いているという状況です。私どもとしましても冒頭に局長からお話がありました昨年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されまして、そのなかで働き方改革が一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジがされているところです。私ども安定行政に関するテーマとしては同一労働同一賃金など非正規雇用労働者の処遇改善や転職・再就職の支援、人材育成や女性、若者、高齢者、障害者の就業促進、そして病気の治療あるいは子育て・介護と仕事の両立、こちらが今まさに政府全体で重点的な課題とされています。こうしたなか、補足資料31ページをご覧ください。平成27年度から始まりましたハローワークの総合評価のなかの項目でお伝えします。本年度1月までの数字が記載されています。左上が主要指標です。就職件数の平成28年度目標に対する進捗(しんちょく)状況が77.7%です。求人充足数については78.3%です。雇用保険受給者の早期再就職件数は2811月末の累計で67%という状況です。いずれも目標への達成状況としては平成28年度途中ではありますが、非常に厳しい状況です。平成28年度分については改めて数字が出た段階でご案内したいと思います。

 平成29年度の行政運営方針ですので、数字的なものはカラー版の資料にありますので、平成29年度行政運営方針(案)の13ページをご覧ください。東京の労働行政の課題で労働環境の整備を上げ、安定行政の課題としては中段にあります「非正規雇用労働者の希望や意欲・能力に応じた正社員転換・待遇改善を強力に推し進めていくこと」が課題です。続いて20ページをご覧ください。「全員参加の社会の実現加速」を掲げまして、性別や年齢、障害や難病の有無に関わらず、誰もが活躍できる「全員参加の社会」の実現が不可欠であると。多様な特性、ニーズに応じたきめ細やかな就職支援が必要であることが今の東京の安定行政に課せられた課題であり大きなテーマです。こうしたテーマの上で55ページで東京局の安定行政担当部署の重点対策を示しています。(1)ア ハローワークの役割の最重点、マッチング機能の強化です。職種別では求職者のニーズの高い求人は不足する一方で未充足となる求人も多数あるという状況のなかで求人求職のマッチング機能をさらに充実・強化し、早期の再就職を図ることが引き続き我々ハローワークの重要な課題です。先ほどお伝えしましたハローワーク総合評価が導入されました。国民が広く利用するセーフティネットとしてハローワークのパフォーマンスの検証結果を公表して国民の理解を得ていくことが信頼を向上させる上で重要です。平成29年度におきましても労働局とハローワークが一体となって取り組みをつうじたマッチング機能のさらなる充実・強化を引き続き図っていきます。

 56ページをご覧ください。(ア)求職者に対する就職支援の強化。57ページ(イ)求人者に対する充足支援の強化についての取組。60ページ(ウ)求人内容の正確性、違法性の確保に努めまして、61ページ(エ)では職員の専門性の向上に努め、基本業務の点検を実施し、(オ)でハローワークが雇用のセーフティネットとして地域の中核的役割を果たすため利用者の視点に立ったサービスの一層の改善・向上を図かることとしています。

「誰もが安心して活き活きと働ける東京」という平成29年度の東京局の行政運営方針のスローガンを実現していくために平成29年度の安定行政の最重点の取り組みとしては正社員転換、待遇改善の推進と考えています。これについて説明します。64ページになります。(2)本年度においても正社員就職実現のためにさまざまなプロジェクトを都内ハローワークにおいて実施しました。都内における5カ年計画である正社員転換、待遇改善実現プランに基づきまして、地方公共団体との連携を図り取組を進めてきました。平成29年度におきましてもこうした取り組みの着実な実施に努め、非正規雇用労働者の企業内での正社員転換や人材育成、または処遇改善などの取り組みを推進するためにキャリアアップ助成金の積極的な活用を促していきます。さらにフリーター等の正規雇用化のための拠点である「わかものハローワーク」において長期的にフリーターとなっている者に対するキャリアコンサルティングをつうじた職業訓練への誘導、あっせん機能を強化するとともにセミナーの開催、あるいはトライアル雇用奨励金の活用を通じて一人一人のニーズに応じた支援メニューを提供していきます。加えていわゆる就職氷河期に就職時期をむかえた不安定就労者に対して短期・集中セミナー、また、企業に対する雇い入れ支援を新たに実施することによって正社員就職に向けた集中的な支援を実施していきます。

 65ページ、最重点取り組み事項の2つ目になります。人材不足分野等における人材確保等の推進です。この「魅力ある職場づくり」については積極的な方法による周知・啓発、また、雇用事例の収集を図りまして雇用主が抱える雇用管理上の課題については関係機関と協力の上に相談援助を行い「魅力ある職場づくり」に向けた雇用管理改善指導に努めていきます。

 66ページ、(イ)ではマッチング支援の強化ということで、人材不足が慢性化している福祉分野、あるいは建設業の職業について地方公共団体等の関係機関と必要な情報の共有を図るなど連携をより密にしてマッチング対策に取り組んでいくとともに未経験者向けの企業説明会やツアーの面接会の実施など未経験者にも魅力を発信するために行っていきます。

 続きまして最重点の取組事項の3つ目、68ページ、地方公共団体との連携です。説明の関係で70ページ(ウ)をご覧ください。平成272月に東京都知事と厚生労働大臣との間で締結しました東京都雇用対策協定に基づきまして東京都雇用対策協定運営協議会を定期的に開催し、事業計画の策定等を行い事業を効果的・効率的かつ一体的に実施していきます。平成28年度250本の協定事業がありましたが、現在平成29年度は調整中ということです。また、雇用対策協定を含めた雇用施策全般の意見交換を行い東京都との間で雇用対策連絡調整会議を実施し、相互の連携基盤を強化していきます。さらに基礎自治体との連携です。ハローワークを中心に地域雇用問題連絡会議を開催しました。区市町村と情報共有を行いながらハローワークと基礎自治体がそれぞれの強みを発揮して一体となった雇用対策を進めることで地域住民サービスのさらなる強化を目指していきます。具体的には生活保護受給者、若年者などに対して基礎自治体の雇用支援事業や福祉から就労までの支援を実施する一体的実施事業の展開、若年者や高齢者、障害者の就職面接会の共同開催など事業連携を進めていきます。

以上の3つの最重要点課題の取組事項、正社員実現の取り組み、人材不足分野における人材確保対策の推進、それから地方公共団体との連携事業を実施していくための個別的対策については次の70ページ、(ア)からになります。

 具体的な取り組みとしてかいつまんで説明します。70ページ、(ア)が女性の活躍等の関係です。子育て中の女性等に対する就職支援についてはご承知のとおり3カ所のマザーズハローワーク、6カ所のマザーズコーナーに加えて平成29年度にはハローワーク品川にマザーズコーナーを新たに設置して、小さなお子さま連れでも利用しやすい環境づくりと個別担当制による求職者個々の状況に応じたきめ細やかな就職支援に取り組んでいきます。ひとり親の方々も含め支援を必要とする方の把握に努め、仕事と子育てを両立しやすい求人、雇用確保についても都内全てのハローワークの求人担当と連携して引き続き取り組んでいきます。

 71ページ、(イ)若者活躍促進です。初めて社会に出る高校生、大学生の支援です。こちらは正社員就職を実現する第一歩であると考えています。行政の重要な責務であると認識しているところです。採用選考に関する指針による大学生の就活スケジュールについては、ご承知のとおり採用選考の開始が平成28年度に続いて平成29年度も61日からとなりました。また、高校生においても就職する卒業生や中退者への支援、早期離職者への支援については東京都とも協議を進めまして、地方自治体とハローワークの間においてもさまざまな支援を進めていきます。ハローワークにおいて一定の労働関係法違反があった事業所に紹介することがないように、こうした新卒求人を一定期間受け入れない仕組みより求人不受理の制度の周知を実施していきます。また、早期離職を解消するために青少年雇用情報シートによってさまざまな項目の提供を求めていくこととしています。その他、ユースエール認定企業、あるいは若者応援宣言企業をはじめとして、中小、中堅企業とのマッチングの機会を積極的に提供することとしています。また、75ページに記載のとおり、若者の就職活動時や就職後のトラブルを防止するために若者が自ら労働法制に関する理解を深めることが重要としてハローワークからも大学等に向けて講師を派遣していく制度をPRしていきたいと考えています。

 76ページ、若年者に対する就職支援について職業選択が適切に行えないなど、他の年齢層にない特有の課題を抱えております。都内3カ所の「わかものハローワーク」を中心にフリーターやニートに対する正社員就職実現に向けた支援を実施していきます。

 続いて79ページ、高齢者の関係です。平成28年、昨年の61日現在での高年齢者雇用安定法に基づく雇用確保措置実施企業割合が99.5%となりました。前年度からは増加しました。希望者全員が65歳まで働ける企業、年齢に関わりなく働くことができる企業の普及・啓発をさらに取り組んでいきます。職業紹介の分野ではこれまで4カ所設置しました生涯現役支援窓口に加えて新たに平成29年度は4カ所のハローワークに設置します。計8カ所の生涯現役支援窓口で高年齢者のきめ細やかな就職支援に重点的に取り組んでいき引き続き65歳以上の求職者への再就職促進を図っていきます。

 続いて80ページ、(エ)をご覧ください。障害者の雇用状況です。障害者の雇用状況については実雇用率1.85%で過去最高を更新したところです。

300人未満企業の実雇用率は1.05%と低い状況です。特に中小企業に重点を置いた指導・支援に取り組んでいきます。また、障害者に対しては個々の特性に応じたきめ細やかな相談支援、関係機関と連携したチーム支援によって就職の促進を図っていきます。

 85ページ、がん患者等への就職支援です。医療機関との連携のもとに職業相談、職業紹介を実施していきます。

 86ページ、外国人の関係です。すでにご案内しているとおり外国人留学生を対象とした東京都外国人雇用サービスセンター、それと就労に制限のない在留資格者を対象とした新宿外国人雇用支援・指導センターを中心に就職支援を図ってまいります。

 続いて88ページ、職業訓練の関係です。平成29年度においても訓練の計画を策定しました。東京都雇用対策協定に基づく連携事業として一体的に実施していくこととします。

 94ページです。こうした取り組みを実施することによって、平成29年度の主要な目標です。こちらはペンディングになっていましたが、先だって出ました。A4横の机上配布資料で最後のページになります。平成29年度の主要な目標数値として就職件数については114,300件を目指します。求人充足数は152,000件を目指します。雇用保険受給者の早期再就職件数は43,000件を目指します。こうした目標立てをしていきたいと思います。目標ベースで前年から就職件数では約10%ほど下げた目標になっています。充足数も雇用保険受給者の早期再就職件数のいずれも下がっています。こうした目標の完全達成ということで先日ハローワークとの間でヒアリングを実施しまして、さまざまな取り組みを実行していきたいということが平成29年度の安定行政です。以上です。

【佐藤会長】 どうもありがとうございます。続いて需給調整事業担当からお願いします。

【井上部長】 続きまして需給調整事業関係について説明します。カラーの資料32ページと33ページを併せてご覧ください。まず民間人材ビジネスの動向です。労働者派遣事業については平成27年度改正によりまして届出制の特定労働者派遣事業が廃止されまして全面的に許可制に移行することになっています。許可制の労働者派遣事業の数自体は増えています。その一方で報告書を提出しない事業主に対する行政処分もありました。労働者派遣事業の事業所数全体としては若干減少しています。また、月ごとの新規の許可数の推移が下のグラフになります。平成27年度と平成28年度実績です。比較しますとだいたい昨年度の2.5倍という状況です。職業紹介事業については事業所数が増加しています。集団指導、個別指導監督の実績については右側に記載しているとおりです。

 続きまして申告・相談の状況です。申告の件数については前年同期よりも大幅に減少しています。一方相談とか苦情といったものについては労働者派遣事業、職業紹介事業それぞれ増加しています。内容としては労働条件の相違、苦情の処理関係といったものが派遣についても職業紹介についても双方で占める割合が大きくなっている状況です。

 こうしたなか平成29年度の取り組みです。33ページの右側です。平成29年度におきましても派遣労働者、派遣元、派遣先に対して改正法の内容を含めた法制度の周知徹底を図っていきたいと考えています。また、現在職業紹介の機能強化とか求人情報等の適正化を内容とする職業安定法の改正法案がこの通常国会に提出されています。

先日衆議院で可決されたと承知していますが、今後成立した場合には円滑な施行に向けて周知広報に取り組んでいくこととしています。また、指導監督についても局内各部署所ともよく連携しながら指導監督に取り組んでいきたいと考えています。特に労働者派遣事業については改正労働者派遣法の履行確保も当然なことながら悪質な違反を繰り返す事業主に対する行政処分、二重派遣や偽装請負の法違反が見られるIT業界への指導監督といったものに重点を置いて取り組んでいきたいと考えています。また、労働者からの申告・相談についてはよく内容を精査しながら適切な対応を図っていきたいと考えています。許可申請・届出の関係については旧特定労働者派遣事業の経過措置が平成30929日に終了します。管内には依然として13,000を超える旧特定労働者派遣事業の事業所が存在していますので、全てが許可制に移行するわけではないのですが、引き続き労働者派遣事業を営む事業主のほうには早期の切り替え申請を行っていただくように説明会等を通じながら丁寧な対応をしていきたいと考えています。簡単ですが、当方の取り組み方針を説明させていただきました。

【佐藤会長】 それでは労働保険徴収部長からお願いします。

【湯地部長】 それでは労働保険適用徴収関係の重点対策について説明します。横長の資料34ページ、行政運営方針(案)の97ページ以降となります。はじめに労働保険の適用状況について報告します。労働保険適用事業状況についてはこれまでの指導等の成果により着実に増加していますが、一方で中小規模事業を中心に新たな未手続事業が発生しています。また、労働保険料の収納率についても年々上昇しているものの依然として収納未済歳入額が存在しています。このような状況も踏まえて平成29年度におきましても本年度と同様に労働者を雇用する全ての事業主の労働保険への加入と労働保険料等の確実な納付を最重要課題として「労働保険の未手続事業一掃対策の推進」、それと「労働保険料等の適正徴収」、「労働保険事務組合に対する指導等」を3本柱として重点的に取り組んで行くこととしています。

 それでは重点対策1点目の労働保険の未手続一掃対策の推進について簡単にご案内します。東京労働局におきましては本年度から「第5次労働保険未手続事業一掃対策2カ年計画」を策定しましてさまざまな対策に取り組んできました。横長資料に本年度の取り組み状況があります。成立目標件数9,000件に対して12月末時点の数値ですが、6,368件の事業場が新たに成立に至っています。これは昨年度の同時期と比べると件数では857件、目標件数に対する達成率では8.2ポイントそれぞれ上回っています。年度内に目標が達成できる見込みです。平成29年度におきましては本年度の取り組みのなかで判明した問題点も検証の上、2カ年計画の2年目ということで引き続き未手続事業の的確な把握や受託団体と連携したより積極的な加入勧奨、さらには度重なる指導にも関わらず手続きを行わない事業主に対する職権成立や労働保険制度の周知広報の充実を図りまして未手続事業のさらなる解消に取り組んでいくこととしています。

 続きまして2点目の労働保険料等の適正徴収についてです。平成28年度における労働保険料等の徴収決定及び収納状況については横長の資料をご覧ください。1月末現在の状況ですが、前年の同時期と比較しますと徴収決定額及び収納済額はいずれも減少しています。

これは本年度実施された雇用保険料率の引き下げの影響が大きいものと考えています。一方収納率については0.38ポイント上昇して7.40%となっており適正徴収という観点では一定の成果を上げた状況です。平成29年度の取り組みは労働保険料等の適正徴収のためには、その根幹となる労働保険の年度更新業務を円滑に推進することをはじめ口座振替納付の利用勧奨、実効ある滞納整理、事業場に対する効果的な算定基礎調査などを着実に推進していくことが重要ですので、平成29年度においても本年度と同様にこれらの業務を着実に推進していくこととしています。

 最後3点目は労働保険事務組合に対する指導等です。労働保険事務組合に事務処理を委託する事業場は全体の約4割を占めています。労働保険料の徴収と中小事業主の負担軽減のために大きな役割を果たしています。そのため平成29年度においても本年度と同様に指導計画に基づく監査等により問題を認めた場合の個別指導を着実に実施することなど労働保険事務組合制度の信頼の確保に努めていくこととしています。併せて一人親方や中小・零細事業主等が安心して就業できるよう労災保険の特別加入制度の周知広報にも努めていくこととしています。以上です。

【佐藤会長】 それでは最後になります。総務部長からお願いします。

【黒澤部長】 総務部長でございます。こちらの行政運営方針(案)の106ページをお開きください。総務部においては東京労働局のいわば管理部門として適正な行政執行の体制を確保していくところです。まず、106ページ、4からです。情報の厳正な管理です。私ども労働行政で保有しています個人情報は当然ながら厳格な管理が求められるわけです。日常業務に漏えいのリスクか潜むということを職員に十分理解させるために研修とか全職員参画による点検活動によって意識啓発、注意喚起を行っていきます。また、事務処理の見直しなどについても取り組んでいきたいと考えています。特に文書の送付あるいは紛失を防止するということで人事異動の時期などをつかまえて研修や点検活動に力を入れて適正な文書管理の徹底を図っていきたいと考えています。

 続いて107ページ、5、情報公開制度・個人情報保護制度です。行政機関、情報公開法に基づきます行政文書の開示請求、あるいは個人情報保護法に基づきます個人情報の開示請求、両方とも件数が年々増加しているところですが、その両者について迅速かつ適切な処理を図っていきたいと考えています。

 続いて108ページ、6、綱紀の保持です。労働行政については労使の皆さま方を初めとして国民の皆さま全体の信頼を得て初めて業務が円滑に遂行されるものと考えています。そのような行政推進の基盤は行政に対する信頼ですので私どもの職員による非違行為に発生を防止し、全ての職員が綱紀保持の徹底を図ることとしています。特に国家公務員倫理法を踏まえての一層の綱紀の保持・増進、あるいは法令遵守の徹底に取り組んでいきます。また、官用自動車をはじめ交通事故の防止、飲酒運転を絶対起こさないといったことも含めとありますが、取り組んでいきます。また、職員におきます職場のハラスメントといった問題に関しても、その防止と排除に向けて取り組みを徹底していきたいと考えています。

 続いて109ページ、7、防災対策です。災害が起きますと私ども労働行政として、まずは発災直後の来庁者の方々あるいは職員の安全を確保すること。次の段階として災害後の労働災害の防止、災害調査。次の段階としてやむを得ず離職された方の早期再就職への取り組み。そして最後に労働力を確保しての災害復旧工事という役割があると認識しています。従いまして「東京労働局防災業務・業務継続に関する実施要領」といったものを定めて防災訓練の実施、非常用物資の備蓄なども行いまして万が一の場合の窓口業務の維持、業務体制の確保を図っていきたいと考えています。

 続いて同じページ、8、会計経理の適正な執行とコスト削減の取組です。会計経理事務に関しては公金を適正に執行するという重要性を認識して会計法令の遵守の徹底を一層図っていきたいと考えています。また、公共調達に関してより効果的、効率的な予算執行が可能となりますよう取り組んでいきたいと考えています。特に委託事業が年々増加しているなかで契約事務の透明性、あるいは競争性の向上、さらには適正な履行といったものが強く要請されているところですので、事業の受託者に対して厳正な契約の履行それから各種法令の遵守といったものを引き続き求めて取り組んでいきたいと考えています。また、障害者就労施設などから物品の調達について障害者優先調達推進法に基づく取り組みを引き続き進めていきます。また、行政サービスをいかに低コストで実現するかという視点をもちまして行政事務の効率化、さらには経費の節減についても取り組んでいきたいと考えています。

 最後になりますが、111ページ、10、研修の充実です。社会の変化あるいは各種行政課題の複雑化に対応するためにはさまざまな研修を実施しているところです。特に業務の関係に関してはそれぞれ指示を行なっていますが、そういった業務そのもの以外におきましても、例えば分かりやすい説得力のある話し方を目指してプレゼンテーション研修、あるいるはパワーポイントなどを使っての資料作成研修、あるいは報道発表資料を分かりやすくするための広報担当職員研修といったものを実施していく予定です。以上のような取り組みを行いまして東京労働局としての行政体制をきちんと確保していきたいと考えています。以上です。

【佐藤会長】どうもありがとうございました。かなり広範囲で膨大な説明でした。これからただいまご説明いただいたことについて皆さんから質問なりご意見をうかがいたいと思いますが、最初に確認的なことでもう少し説明がほしいということがあれば先にうかがいます。「ここの数字は」とか「このへんがよく分かんなかったんだけど」というものがあれば。

【野川委員】 単純な質問です。9ページ、労働基準担当部署です。

【佐藤会長】 カラーの資料のほうですね。

【野川委員】 カラーで横長の9ページです。1の長時間労働抑制等の(2)、特定分野における労働条件確保の推進で(1)から(10)まであります。他は全部分かりますが、(9)出稼労働者とあります。これは他から見ますと違和感があります。具体的な中身を教えてください。

【佐藤会長】 ではよろしくお願いします。これは労働基準部署ですね。

【岩瀬部長】 当然出稼労働者の人数は減っているところですが、冬季に東北地区からいらっしゃった方々の賃金不払いなどの事件が多くはないのですが、実質ありました。

そういう陳情なども私どものほうにも来ております。建設を中心にそういった労働条件を確保されるように対策をしっかりと行っていかなければなりません。実際には各署においてそういった建設業協会とかに対して労働条件の確保についてお願いするということです。並べてはありますが、一応そういった要請もありますので書かせていただきました。

【野川委員】 震災の関係で増えたということはないのですか。

【岩瀬部長】 すいません。

【佐藤会長】 今のように確認しておきたいということや、もう少し説明してほしいことがあれば先にうかがいます。よろしいですか。もちろん区別できないところがあると思います。それで構いません。今までの分野について、まずはお一方2つぐらいまでということで。3つ、4つは2巡目にしたいと思いますが、どなたでも。

【脇坂委員】 職業安定のところで質問が2つあります。職業安定の事業はこの10年近くで大きく変わりまして、素晴らしい事業が展開されています。ここまで丁寧にする必要があるのかと思うぐらい素晴らしいです。2つ軽く驚いたもので説明いただきたいです。縦の資料56ページ、「b」です。「求職者の掘り起こし」が若干びっくりしました。このように言うまでは「求人開拓」が中心だったと思いますが、こういう「求職者の掘り起し」は初めて聞くでお聞きしたいです。この文章に「真にハローワークの支援を必要とする者が存在すると」というのはどういう人たちが念頭なのですか。変な話ですが、今すごく人が足りないから求職者の掘り起こしなのか、そうではなくてここに出ている「真にハローワークの支援が必要とする者」とあります。普通になかなかハローワークに来られないと。でも、そういう人たちも掘り起こすということは社会的に意義があるといったことなのかが質問の1つです。

 もう1つは、60ページの「g」です。事業所画像情報の積極的な活用です。これも軽くびっくりしました。これは非常に便利だと思いますが、どのようなプロセスなのかが興味深いので、これについて説明をお願いします。

【藤村部長】 まずは56ページの「求職者の掘り起こし」です。聞き慣れなくてごめんなさい。まず1点は離職したときにハローワークの利用をしっかり案内しておく必要があるだろうと。ハローワークをなかなか利用しない方もいると。求人情報誌とか民間職業紹介機関といったところも可能なのですが、基本的にはハローワークと職業紹介機関とのすみ分けというか、求人も違いますし、しっかりハローワークの利用を案内して、ここに書いてありますように駅とか図書館等に公共施設にリーフレットを置くなりして利用を勧奨していきます。これは転職しろという話ではなく、そういうことになります。特に若年で早期離職が「七五三現象」と言われる状態は昔から今も変わっていません。そういうなかで高校では都立高校との連携をハローワークでしていますので、高校生が就職してから56月に辞めてしまってフリーターに転じるということではなくて、さらにまたハローワークに足を運んでいただくということを高校の就職担当の先生にも啓発していくということです。

 それから60ページの事業所画像情報です。ハローワークの求人は平成11年まではペーパーでやっていました。そのあとの11年以降は全国でペーパーレスということで1つの求人をたくさんの人が見ることができます。ただ、リーマンショックのときとは違いまして今はものすごく求人が豊富になっています。私もたまにハローワークに行ってみますと、検索機で100ペーシ、200ページを追いかけて見ている人がいます。そうしますと、やはり窓口を利用するように勧奨しながら、かつ求人情報検索機のなかで我々ハローワークの職員が求人開拓に行って会社の風景といった視覚効果をこの画像情報として取り入れることによってなおリアルに求職者の方に見ていただくといった視点で考えています。ただ、求人開拓はこういう雇用情勢ですので、求職者のニーズに合わせて開拓に行っています。もっぱら正社員の事務系中心で求人開拓に回らせていただいています。そういったなかでの画像情報です。特にマザーズハローワークです。子どもを預かってくれる施設とか、障害者の方ですと車椅子でも可能な施設になっているかとか、そういったところもしっかりPRするように、ここ数年もハローワークも変わりました。

【佐藤会長】 他に。

【傳田委員】 連合東京の傳田です。縦長の3ページです。雇用環境・均等部長なのか労働基準部長なのかは分かりませんが、「働き改革」のポイントが4つ載っています。今は9つ議論されていると思います。9つ書けという話ではなくて、テレワークも入っていまして東京都も一所懸命やりたいということではありますが、それと同じ列に副業・兼業があります。私どもから考えますと、ここは極めて慎重に進めていただきたいという思いがあります。それは本業に対する影響や長時間労働につながることです。今行われている雇用形態に関わららない働き方研究会みたいなものがあります。つまりウーバー(Uber)のように雇用ではなくて自分で就労しながら企業もやるというように、いろいろなことも想定できるかもれません。いずれにしてもいろいろなところでセミナーが行われています。我々が行って話を聞きますと、例えば労災はどうなるとか雇用保険はどちらに入るかという基本的なことが分からない人たちが一所懸命説明されているのです。聞いていますとイラ立ちを感じると言いますか、どうしてそれぐらいのことが分からないまま説明者になるのかということもあります。しっかりとした研究なくして普及することによる影響力みたいなものがあります。この運営方針のいずれにも付いてきていない項目ですが、働き方改革のなかでこの1年間にそれがどういうふうに議論されていくのか。そのあたりが出てくるようになるのかは承知しておりませんが、いずれにしても少し懸念があるところです。しっかり対策については入れておくなり、今までの考え方で先ほどの対応方針もありますので、そのあたりは重点的に監視する意義はあると思いますので、少し考慮いただきたいと思います。

 2つ目は基準行政の9ページ、平成29年度の重点的な監督指導については2,000件ぐらいが目標だとおっしゃいました。

そうすると、これは今年とあまり変わらないということなのでしょうか。(1)、(2)、(3)を足していくと1,700件ぐらいだと思うのですが。これを増やしていくということではないのでしょうか。これは今までのところですよね。集計がいつだったのかは分かりませんが、年度末までいけばこれが少し増えて、そうするとあまり変わらないと思います。ボリューム的には増やすということになるのかどうかをうかがいたいと思います。同じように下で指導の内容が(1)、(2)とありますが、この(2)については先ほど部長も説明されていたとおり我々としては今までは当たり前だったけれども曖昧で誰もが把握していなかったようなこと。例えば着替えの時間とか指揮命令権があったりとか、そこの場所に拘束されているのは労働時間とかいうことかいずれもはっきり書かれていますので、そういった部分については重点的に説明していただきたいと思います。

 もう1つはたぶん古瀬部長のところになると思いますが、7ページです。2018年を迎えるにあたってこうしたリーフレットも使っていただきました。7ページの右側にあるリーフレットはなかなかよくできたものです。私どももあちらこちらで使わせていただいております。なかには弁護士が講演のなかでも使うということです。例えば手順も書いてありまして、「とりあえず調査しなさい」とか手順が書いてありますので、とても参考になると思います。それと同時にうしろでは実例集になっています。リーフレットにするにはボリュームで制限されたものしかできませんので、今年1年間企業のなかで検討していただく上ではさまざまな事例が見て取れて参考にして、ということが非常に必要になってくると思います。リーフレットに関わりなくぜひ東京労働局のホームページで次から次へといろいろな事例が生まれてきますので、こうしたことについてご紹介するような取り組みをぜひ行っていただきたいです。書くか書かないかは別にしまして、ぜひお願いをしたいと思います。

【佐藤会長】 最初のご質問をうかがっておけばいいですか。まず9ページの労災のところでもしあれば。

【岩瀬部長】 2番目のご質問はカラーの資料の9ページですね。私の所管ですので、そこだけ。2,000件とは平成28年度の数字のつもりで申し上げました。ただ、平成29年度もその数はそう大きく変わらないと思います。今計画作成中です。だいたい2,000件です。それは対象がやはり80時間という線で引いていますので変わらない予定です。実際に法違反の状況もこういった状況です。全国で2万、東京で2,000件という数字ですが、しっかりと行えば十分浸透していくかと思っています。

 それから労働時間適性把握の使用者の法的措置に関するガイドラインについては先ほど申し上げたけれども、労働時間の考え方についてしっかり明記をさせていただいております。今まで法的措置についてはそこまで書いていなかったのですが、お分かりいただいているという前提です。今回は明記していますので、そういったことを今後私どもの局内の説明会などでしっかり周知を行っていきます。

【佐藤会長】 無期転換のほうを。

【古瀬部長】 無期転換の事例の周知については局のホームページで取り上げていきたいと思っています。

【佐藤会長】 これは本省に無期転換のサイトがありまして、そこに載っているのではないかと思いますが。

【古瀬部長】 そうですね。

【佐藤会長】 それを労働局単位でやるかどうかですけれども。

【傳田委員】 東京は東京でぜひやってもらいたいですよね。

【佐藤会長】 委託事業でやっているものがたぶんこの年度末に公表されて事例が増えるのではないかと思います。リンクを張るとか独自のものはもちろんそれでいいと思います。

【古瀬部長】 はい、そういったところも含めて。

【佐藤会長】 他にはいかがでしょうか。

【川本委員】 2点あります。まず縦長資料の行政運営方針(案)の11ページから15ページです。「人材確保対策の推進や労働生産性の向上」とあります。15ページの真ん中から下に「全産業の労働生産性の向上、(ア)個々の労働者が生み出す付加価値(労働生産性)を高めていくことが不可欠である」という文章があります。これについてはまずありがたいと申し上げておきたいと思います。なぜこんなことを申し上げるかと言いますと、「生産性向上」という言葉はやたら出てきます。例えば時短の議論のなかで時短をすると生産性が上がるというような話がよく出るのですが、いったいそれは付加価値生産性向上を言っているのか物的生産性向上を言っているのか、よく分からないことが多々あります。いろいろな方がいろいろな考え方で使っておられます。従いまして、ここではきちんと「付加価値」ということで言っているということで明確にしていただいたことにまず感謝申し上げたいです。そうしますと、ここに出てくる労働生産性というのは全部このことだなというのが分かるわけですが、14ページの(3)の「イ」では「最低賃金引き上げと生産性の向上」とあります。ここでは労働とも何とも言っていないので、ここでは最低賃金引き上げの環境整備として中小企業の生産性向上に向けた支援を行うというものが毎年のように入っています。この生産性向上は物的生産性ですか、労働生産性ですか、あるいは両方ともですか、というのが明確ではないということで、できれば言葉をきちんと統一していただきたいです。併せて今後、生産性という言葉を使うときには両方を指しているのか物的なのか、労働生産性、要するに付加価値生産性なのか明確にしていただければと思います。ちなみに物的生産性は時間あたり生産する例えば物量が増えるという意味合いです。付加価値生産性は、これは企業経営にとってはものすごく大事です。いくら労働者が頑張ったり効率的にやっても、ものが1個も売れなかったら、付加価値生産性はゼロ円なのです。つまり会社が倒産するのです。したがって、経営の観点から言うとすごく付加価値生産性は大事だということですので、言葉を明確に使っていただきたいという意見です。

 2点目は、ページが飛んで73ページの一番下の「d」、就職・採用活動開始時期に対応した支援のところについてです。「一般財団法人日本経済団体連合会」において、平成28920に「採用選考に関する指針」を改訂し、となっております。経団連と書くのであれば、「一般財団」ではありませんので「一般社団法人」に修正いただきたいと思います。

次に質問です。これだけの大変幅広で、かつきめ細かく、さまざまな対応をされているということについて、まず都の労働局に対して敬意を表する次第でございます。それで思ったことは、いったい総勢何名でこれだけ多くの仕事をしているのかなと。差し支えなければ何万何千人とか何百人とか教えていただきたいです。併せて今労働局あるいは本省でもいわゆる有期労働契約の方も多々雇われているのではないかと思います。公務員の方々についてはいわゆる労働基準法だったり契約法だったり、その他適用になっていないのは承知で申し上げているのですが、例えば今の時間外の規制であったり、あるいは有期契約の5年超で無期転換をする話であったり、あるいは今出てきていますガイドライン案では同一労働同一賃金を進めていくという内容もありますが、これは公務員の世界においては何か同様なことを検討されているとか対応されていることがお分かりでしたら教えていただきたいと思います。以上です。

【佐藤会長】 どなたがいいでしょうか。前半はご意見ということですが、もしご意見で何かあれば。人数とかはあれですよね。あと、先ほどの経団連はあれですけれども、だいたい何人ぐらいの職員を出して有期の人がいてとか。ザクッと。

【黒澤部長】 総務部長でございます。順番が逆になりますが、一番最後の公務員の超過勤務と同一労働同一賃金です。超過勤務に関しては確か国全体として民間における年間360時間に準拠するような目安になっていたと思います。ただ、もちろん実際はそれよりも低い水準で推移していますが、とにかくやむを得ないことがない限り基本的に超過勤務はしないのが前提で取り組んでいます。特に非正規の職員に関して、例えばハローワークの相談員の方がいらっしゃいますが、この4月から待遇が変わりました。例えば期末手当が支給されるとか昇給制度も取り入れられることになりました。報道ベースでは総務省だと思いますが、地方公務員でもそういった法整備を進めていくということです。公務員の世界においても徐々に進んでいると思っています。この行政運営方針に関しては基本的に私ども労働局の雇用環境・均等部が中心となりまして原案を作ります。実際には各ハローワークなり労働基準監督署なりにも案の段階で見せまして、それぞれ職員からも意見をもらうというやり方で進めています。

【佐藤会長】 職員は何人ですか。

【黒澤部長】 ザクッとですけれども、主に職業安定行政を念頭に申し上げますと、正規の職員で1,500人ぐらいです。

【佐藤会長】 安定だけで。

【黒澤部長】 1,400人ぐらいです。相談員の方もほぼ同じで1,500人前後だと思います。

【佐藤会長】 はい。いいですか。他には。

【唐澤委員】 横長資料8ページのいろいろな労働相談の関係です。

この件数がアップしているというところですが、これは例えば労働局の相談しやすい体制を築いてきたからこうやって増えてきたのか、それともやはりいろいろ困っている方が多くて相談されて、これが氷山の一角でまだまだ増えるのかどうかというところについて教えていただきたいのが1点です。あと、一番最後のページになりますが、労働保険のところです。年金事務所だと未手続事業所のところに案内を出したりとか回ったりとかして、2年さかのぼって徴収されたりしていると思います。一掃という話にはなっていますが、雇用保険とかについては計画をされているのですか。そこまで強固にやるのか、もし継続されているのであれば教えていただければと思います。

【佐藤会長】 分かる範囲内で。

【古瀬部長】 まず個別労働紛争の件です。先ほどの説明では前年度との比較でいずれも件数が増えていると説明したかと思います。個別に見ますと、もろもろの相談を含めた全体の相談件数は増えてきていますが、個別労働紛争に係る相談件数はグラフの黄色い部分になります。グッと増えていると見るか、中期的に見たら横ばいと見るか、そういうところではないかと思っています。また、あっせんの件数については下の赤い部分ですが、これは数年減少気味でしたのが増加に転じた数字ではないかと思っています。いろいろな分析はなかなか難しいところです。

【湯地部長】 労働保険の関係です。未加入の加入促進のところでは本年度は9,000件を目標に取り組んできたわけです。このあたりは年金事務所との連携ももちろん入っています。件数的には100件、200件の話ですけれども、年金事務所からの情報をいただきながら協働で事業所へ指導に行っている状況です。

 この事業についてはやはり私どもだけでは難しい部分もありますので、労働保険事務組合連合会に一部業務委託をしまして、そこと連携を取りながらやっている状況です。契約自体は本省で一括契約しているような状況です。

【佐藤会長】 よろしいですか。先ほどの個別紛争のところですが、こういう事柄が増えているかというのはなかなか難しいです。実態で増えているということと、もう1つはもともとあったけれども、それをパワハラと認識しなかったものが厚労省がそういう言い始めたからということの両方あると思います。厚労省では研修をすることをサポートするような委託事業があります。やはり研修をやりますと出てくるということがあります。ですから、なかなか区別が難しいところだと思います。

 私から2つありますが、1つは雇用均等関係です。この4月から「くるみん」等の認定基準が変わりますよね。企業の方からすると行動計画の途中で認定が変わりますので、この4月以降認定基準の見直しが起きるので、例えば来年の夏で計画が終わると認定はどちらでもらえるのかとか結構いろいろあるみたいです。

説明会をやることになっているのかどうか、あるいは問い合わせは結構あるのかどうか。

【古瀬部長】 周知が3月ぎりぎりになってしまっています。お問い合わせはいただいていますので、答えられる範囲でお答えはしていますが、これから反応がいろいろあるかと思います。内容的には本省で経過措置を組んでいるところです。

【佐藤会長】 企業の方からするとあまり不利益がないようにできるのかな。もう1つは総務部長にうかがいます。この働き方改革のところで、労働局としていろいろな業務の見直しがありますよね。やはり効率的な仕事をするとか無駄な仕事をしないとか、いくつかありますけど、そういう労働局として職員に働き方改革みたいな取組はやっていないのですか。夕活のときに人事局が働き方改革の取り組みを募集していますよね。来年度もあるのか。いくつか役所を見ますと、出先機関も含めてかなり継続的にやっているようなところもあります。なので、できれば東京労働局は大きいので民間に勧めているような働き方、休み方改革を自分のところでやるというお考えはないのですか。

【黒澤部長】 総務部長でございます。東京労働局でも職員の働き方、休み方改革の実施要綱を作りました。

【佐藤会長】 そうなのですか。

【黒澤部長】ただ内部的なものですので、あまり胸を張って言えるのかどうかということになりますが、内容的にはかなり基本的なところからと言いますか、1つは先ほども話題になりました超過勤務を削減するというようなことです。あとは休暇を取得促進するということで、例えばマンスリー休暇といって月1日は年休を取ろうというようなことです。年間で16日を取得目標にして、予定表を作って、そのとおりに取れているかどうかを月の途中と最後に管理者がチェックをしたりします。取れていないと他の日に指定させるというようなことをやっています。あとは、水曜日あるいは金曜日を定時退庁日として放送などをして基本的に残業ゼロとするようなことを取り組んでいます。基本的には地道に取り組んでいるところです。

【佐藤会長】 ぜひ進めていただければと思います。あと、おひとかたで。

【脇坂委員】 先ほど川本委員から最賃と生産性のことで言われましたが、私も経済学者ですから少しだけ見解を申し上げます。非常に学問的にも重要な指摘です。ひょっとしたら最賃の研究もそこが明らかになっているかもしれませんが、ある時期から最賃の研究がアメリカでも非常に盛んになりました。それまでは最低賃金が上がると雇用者数が減るということでしたが、理論的にも実証的にもそうではなくて、最低賃金が上がっても雇用者数が増えるという研究が非常に増えてきました。その理屈は賃金が高い企業が雇用者数を増やすと。その理由は広い意味での生産性の向上なのです。ただ、付加価値生産性なのか普通の物的生産性なのか区別している議論ではなかったのです。ですから今言われてから少し考えていましたが、非常に論理的にも難しいかなと思います。ですから事務局で調べていただいて、もしそういうことがまだ明らかになっていないのであれば、最賃引き上げと生産性の向上というのは少し乱暴で論理的にも実証的にもまだ私は学問的に明らかになっていないと思います。今聞いていて僕が過去の研究をざっと頭に浮かべても苦しいかなという感じです。

【佐藤会長】 何かありますか。

【渡延局長】 ここまで各委員から頂戴した意見のなかで先ほど傳田委員から副業の話がありました。

また、川本委員からは生産性の話もありました。

両方のご意見をうかがっていて思ったのですが、若干言い訳になってしまいますが、私ども東京労働局としてはあくまで具体的な事務事業をもって仕事を実施する立場でございます。厚生労働本省においてさまざまな政策の企画立案の段階に関しては、そうした動向につき、普及・啓発的に周知することはあっても、具体的な取り組みにはなかなかなってきていないものがあります。ですから「副業」などのご指摘もありましたが、この時点では一文字も入っておりません。

 こういったものを各労働局が行政運営方針を作るにあたっては、これは厚生労働本省から基準となる準拠通知みたいなものが示されて、そのなかにフレームが示されています。今の生産性のところについても基本的に厚生労働本省から示されたフレームを踏襲しております。今回の14ページ、15ページをご覧になっていただきますと、この記述はいずれもカギ括弧(「」)で引用されていまして、「ニッポン一億総活躍プラン」を14ページは引用していますし、15ページでは「日本再興戦略2016」を引用しています。いずれも閣議決定をそのまま引用しているところですので、ただいまのご提起は非常に難しい問題です。突き詰めていきますと、閣議決定を回すに当たって、どういうふうにその理屈を整理したかというところに帰結する問題です。その意味で私どもとしてこういうご提起があったということは受け止めて、厚生労働本省にもきちんとお伝えしておきたいと思います。この時点では、私どもの機関としてはなかなかお答えしにくい状況にあることはご理解いただきたいと思います。

【脇坂委員】 分かりました。

【佐藤会長】 最後に野川委員から。

【野川委員】 質問と回答は1分で終わると思います。横長資料17ページ左の図で脳・心臓疾患の労災補償状況です。請求件数は右肩上がり、認定件数は右肩下がり。その結果平成26年度は計算したら認定率は3738%です。平成28年度は1213%で3分の1になっています。これは誤差の範囲を少し超えているかなと思います。もし、何らかの理由があれば教えてください。

【岩瀬部長】 これだけですと乱暴な数字でございます。青と赤は対比していません。当内年度に行われた請求で当内年度で行われた認定です。プレス発表のときはそのように発表しています。ですから、1月現在というのはまだ19件しか認定していないということです。今調査を進めています。

【佐藤会長】 ずれがありますからね。

【岩瀬部長】 はい。だいたい6カ月から8カ月ぐらいかかります。年度あたりのものが通常ということです。

【佐藤会長】 両方あるといいですね。

【岩瀬部長】 申し訳ございません。

【野川委員】 請求件数に対する認定率という形で。

【佐藤会長】 というものも出せれば出したほうが本当はいいのかもしれません。そうしますと、外で出すかは別として、業務統計でもどう変わってきているか分からないということが起きるかもしれませんね、もしかすると。それはご検討ください。

【岩瀬部長】 はい。

【佐藤会長】 だいたいよろしいですか。大きなご意見を出していただいたということでよろしいでしょうか。それではこのあと今日うかがったもので直したほうがいい点については事務局と相談して修文させていただくということでよろしいでしょうか。私と事務局で調整させていただくことでよろしいでしょうか。

【一同】 はい。

【佐藤会長】 ではそのようにさせていただきます。

【佐藤会長】確認ですが、先ほどのハローワークの総合評価です。平成28年度の実績が出た段階で審議会での報告ということですけれども、昨年度は開催でやりましたね。これは開催するということではなくて、皆さんにご連絡するという形でやるという理解でよろしいでしょうか。

【永野課長】その点については事務局からご説明させていただきます。おっしゃるとおり平成28年度については総合評価の初回の報告にあたるということでもありまして、少々ご無理を申し上げて審議会を会議形式で追加開催をさせていただきました。平成29年度以降については審議会の委員の皆さんのご負担等も踏まえて総合評価が出たあとの7月頃に事務局から各委員の皆さま方に資料を送付するということで報告させていただきます。それに対してご意見等があればまた頂戴するという方向です。郵送という形での審議会ということに代えさせていただきたいと思っています。

【佐藤会長】 今ご説明がありましたように昨年度は初めてということでしたが、本年度分の評価は事務局からの資料送付で審議会の代わりという形でさせていただくことでよろしいでしょうか。

【一同】 異議無し。

【佐藤会長】 それではそのようにさせていただきます。それではあとの進行を戻させていただきます。

【永野課長】 佐藤会長ありがとうございました。それでは最後に事務局を代表して渡延局長からごあいさつを申し上げます。

【渡延局長】 本日は平成29年度の当局の行政運営方針(案)についてさまざまな角度からご意見を頂戴しました。誠にありがとうございました。ただいま頂戴したご意見に基づきまして必要な修文についてはこれを行い、その修文については会長にお諮りした上で最終的な行政運営方針を確定していきたいと思います。委員の皆さま方には今後一層のご支援をお願い申し上げまして御礼の言葉とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

【永野課長】 ありがとうございました。それでは、これをもちまして第8期第5回東京地方労働審議会を終了させていただきます。委員の皆さま方本日は長時間のご審議、大変お疲れさまでございました。これをもちまして散会とさせていただきます。ありがとうございました。

(終了)

 

 

 

 

 

 

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