第8期 第4回 東京地方労働審議会(平成28年11月30日開催)

8期第4回 東京地方労働審議会

 

 

1 日時   平成281130日(水) 10時00分12時00分

 

 

2 場所   九段第三合同庁舎 11階 共用会議室3-13-2

 

 

3 出席者

委 員 佐藤会長、梶原委員、長江委員

傳田委員、恵島委員、米田委員、唐澤委員

土屋委員、川本委員、蜂谷委員、佐々木委員、大津委員、會津委員

事務局 渡延東京労働局長、黒澤総務部長、湯地労働保険徴収部長

古瀬雇用環境・均等部長、岩瀬労働基準部長、藤村職業安定部長

井上需給調整事業部長

 

 

4 議題

(1)平成28年度における重点施策事項に係る進捗状況(上半期)について

(2)その他(質疑、意見交換)

 

 

5 配布資料

  8期第4回 東京地方労働審議会資料(3.01MB; PDFファイル)

  (平成28年度における重点施策事項に係る進捗状況(上半期)について)

 

 

6 議事

【永野課長】  おはようございます。定刻2分前でございますけれども、全員おそろいのようですので、ただいまから第8期第4回東京地方労働審議会を開催いたします。本日委員の皆さま方には、大変お忙しいところご出席を賜りましてありがとうございます。私は冒頭の進行を努めさせていただきます、雇用環境・均等部企画課長の永野でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは本審議会の開会にあたりまして事務局を代表し、渡延東京労働局長よりごあいさつを申し上げます。

【渡延局長】 おはようございます。東京労働局長の渡延でございます。東京地方労働審議会委員の皆さま方におかれましては、平素から当局の行政運営につきましてひとかたならぬご支援、ご協力賜りまして厚く御礼を申し上げます。

 この審議会、第84回目の開催でございます。前回は大変暑いさなか725日にハローワークの総合評価の取り組みについてご審議をいただいたところです。本日の議題は平成28年度上半期の重点施策に係る取り組み状況です。お手元のA4横長の資料を1枚めくっていただきますと、平成28年度東京労働局行政運営方針と全体の概要をまとめた紙を付けております。この行政運営方針の案については本年3月の審議会で案の段階でこの審議会にご披露しまして、委員の皆さま方からのご意見を頂戴したところです。そうしたものも踏まえてここに掲げるスローガン、「誰もが安心・納得して働けるTOKYOへ」と掲げ、「全員参加の社会」の実現加速、公正かつ適正で納得して働くことのできる環境整備、これを最重点課題として労働基準、職業安定、雇用均等の各行政が一体となり、その機能を十分に発揮しながら施策の効果的かつ効率的な推進に努めてきております。

 本日は主に本年度上半期までの業務の実施状況についてそれぞれ担当部長からご報告申し上げます。委員の皆さま方から忌憚(きたん)のないご意見を頂戴しまして、今後の行政運営に反映させてまいりたいと考えております。本日はなにとぞよろしくお願いいたします。

【永野課長】 ありがとうございました。本日ご欠席の委員を報告させていただきます。公益代表の脇坂委員、野川委員、橋本委員、そして労働者代表の荒井委員、藤城委員が本日ご欠席です。したがいまして本日の出席委員は13名となり、地方労働審議会令第8条第1項の規定に照らしまして本審議会が有効に成立していますことをご報告申し上げます。

 続きまして新任の委員をご紹介します。労働者代表の牧田委員が任期途中でございますが、退任をされました。その後任としまして平成28101日付で恵島委員が任命されましたので、ご紹介します。

【恵島委員】 皆さま、はじめまして。牧田の後任ということで本日からこちらの審議会に出席させていただきますUAゼンセンの恵島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【永野課長】 ありがとうございました。次にお手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。お手元にはクリップ留めで出席者名簿、本日の次第、座席表、審議会の委員名簿、そして先ほど局長のごあいさつにございましたが、本日の審議会資料A4横長のカラー刷りのものが1冊といったものでございます。配布漏れがございましたら、事務局までお願いいたします。

 それではこれより議事に入らせていただきます。本審議会は東京地方労働審議会運営規定第5条第1項の規定に基づきまして原則として公開の会議とさせていただきます。議事録につきましても発信者名を含め公開とさせていただくこととなっておりますので、ご了解をお願い申し上げます。

 では以後の議事進行については佐藤会長にお願いします。会長どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤会長】 はい。議事を進めさせていただきますが、前回体調不良による欠席でご迷惑をおかけし、どうもすみませんでした。会議の議事録の作成については東京地方労働審議会運営規定第6条第1項の規定により2名の委員に議事録署名をお願いするということになっています。本日の議事録の署名人には労働者側は唐澤委員、使用者側は佐々木委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

【佐藤会長】 それでは議題の(1)平成28年度における重点施策に係る進捗状況(上半期)についていつもと同じように順次担当のセクションからご説明をいただきます。最初は労働基準部長からです。よろしくお願いします。

【岩瀬部長】 おはようございます。労働基準部の岩瀬でございます。よろしくお願いします。カラー刷りの資料の1ページに運営方針が書かれています。この下の公正かつ適正で納得して働くことのできる環境整備、このなかにある働き方改革の実現ですとか、労働者が安全で健康に働くことができる職場づくり、こういったところを私ども労働基準部として所管しているところでございます。

 1枚めくっていただきまして、2ページから具体的に施策について書かせていただきました。まず、長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害の防止対策を始めとした労働条件の確保対策の推進について、(1)長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害防止に係る監督指導ですが、各種情報から時間外休日労働が1カ月80時間以上超えていると考えられる事業場ということで、(1)の100時間以上ですけれども、718件実施しています。(2)の80時間を越え100時間以下はまだ少ないのですが265件です。(1)のほうが優先的に行っているという関係からこのようになっております。(3)は長時間労働の原因として過労死等の、労災請求が行われた事業場に対する実施状況です。違反率はここに書いてあるとおりです。やはり一番多い法違反は労働基準法の労働時間についてです。週40時間または18時間を超えるものです。36協定未届けという事業場もございますけれども、一番多いものはやはり協定で締結している時間をオーバーしているというものです。なかには特別条項を結んで、その回数をオーバーしているものもあります。また、手続きを経ないで時間外労働を行わせているというものがあります。(2)は特定分野における労働条件確保の推進です。それぞれ働き方、職種等々に特有の問題に着目して監督指導を実施しています。

 下半期の取り組みは引き続き重点的に同対策を推進することです。特に80時間から100時間以下の、(2)の部分がまだ件数が少ないです。

ここにつきまして下期はもう少し件数が増えます。トータルしますと上期で1,000件近くですが、年間にするとこの倍になる予定です。(1)と(2)とも約1,000件ぐらいだと思っています。

 2はすでに行ったものですが、11月に過重労働解消キャンペーンということで、いろいろ実施しました。全国一斉の相談ダイヤルを116日に実施しました。東京で受けたものが233件でしたが、これは昨年よりも6割アップしています。労働者の方々と家族の方々の相談が多かったです。中身は長時間労働、賃金不払残業、それから休日・休暇といったものでしたが、これは例年どおりです。やはり関心は高いと感じています。(2)は使用者団体等への協力要請です。労使の5団体に要請をさせていただきまして、皆さまにもご協力いただいたところでございます。周知啓発も積極的に行いました。(4)ではベストプラクティス企業ということで味の素の本社へ1128日に局長が訪問し懇談をさせていただきました。6カ月間で20時間の労働時間を短縮しています。定時退社や朝型の働き方を積極的に取り入れているということで、テレビ東京でも放映されたと思います。(5)重点監督の実施です。先ほどから申し上げているような長時間労働が疑われる事業場に対して、特に11月は積極的に実施しました。若者の「使い捨て」が疑われる企業ということで、安定行政とも連携して離職率の高い事業場に対しても実施させていただきました。合計約700程度を予定しています。

 3は引き続きそれぞれの特定分野における働き方に着目した監督指導をしっかり行っていくということで書かせていただきました。

 3ページは、申告・相談の状況です。私ども労働基準監督機関への申告についてはここにありますように数字が2,120件、対前年同期4.2%の減です。相談も1.8%減と、ともに微減しています。相談内容は右側に労使別、相談方法、相談内容とあります。昨年度末に報告したものと対比しますと、事業主の方からの相談は1.1ポイントだけですけれども、少し減りました。ここについては私どもとしてもさらに事業主の方から相談を寄せられるようにしたいと思います。相談内容につきましては、賃金不払が2.3ポイント増えています。(1)-1の賃金不払が増えて、(4)の割増賃金も0.5ポイント増えています。逆に解雇は0.9ポイント減っています。前回も1ポイント減っていると報告したと思いますが、やはり解雇はどんどん減っており、賃金不払は増えていますが、全体数が減るなかにあって相対的にアップしたものだろうと分析しています。下期については引き続き、申告事案については労働者が置かれている状況を見はからって優先的にしっかりと指導を行っていきたいと思います。未払賃金立替払制度につきましては記載のとおりです。

 続きまして4ページです。こうしたなかで違法な長時間労働が疑われている事業場に対しましては書類送検した例ということで二例ほど書かせていただきました。一例がトラック運転手にかかる事案です。1カ月127.5時間の残業を行って脳出血でお亡くなりになったというものです。もう1つはソフトドリンクの販売、自販機の設置、運営をするベンダーと呼ばれる会社です。こちらも1カ月あたり最長158時間24分の時間外労働の結果、精神障害を発症したものです。この事例については最後にも書いてありますが、是正するように複数回勧告をしたところですけれども、是正されなかったということで書類送検したものです。

続きまして5ページ、安全の関係です。「Safe Work TOKYO」というキャッチフレーズで4年目ということで「4th Stage」です。重点は建設業における墜落・転落防止対策。これは死亡災害が一番多いので、これを最重点としています。もう1つは全体の6割を占めるのが第三次産業ですので、小売業、飲食業、社会福祉施設における転倒災害防止対策を行っています。

 右側の発生状況をご覧ください。目標は一番上にありますようにH29年にはここまでもっていこうということです。下のグラフのように1121日現在ですが、死亡者数は本当に微減にとどまっています。死傷者数についても0.25%しか減っていません。私どもとしても大変危機感をもっているところです。特に下のグラフにある死傷者数の小売業は6%も増えています。飲食店も7.7%、社会福祉施設も8.7%も増加してしまっているという状況です。この災害の3割が転倒災害です。こういった状況でこれまでも取り組みとして「STOP!転倒災害プロジェクト」とか、春先に死亡災害が続きましたので、「STOP!死亡災害」を全署にて展開してきましたが、このような状況だということです。

 建設については12月にまた一斉監督を行いさらに引き締めてまいりたいと考えています。2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて会場の問題はまだはっきりしていませんが、受注元方が決まりましたら連絡会を発足してオリンピック開催に向けて絶対死亡災害を発生させないという対策をしっかり取ってまいりたいと思っています。

 それからもうすでに雪が降ってしまいましたが、冬期は路面凍結による転倒災害もありますので、これも専用リーフレットを作りまして近々全署にて啓発の展開をしたいと考えています。

 最後ですが先ほど申し上げた第三次産業の転倒災害等につきまして全署にて取り組みをさらにしっかり行っていきます。

 続きまして6ページです。こちらは労働者の健康確保対策についてです。ストレスチェックは昨年12月から施行されて今日で1年ということですので、50人以上規模の事業場においては必ず実施していただかなければなりません。これまでもこの審議会の各委員からもご指摘いただきましたように、とにかく周知をしっかり行うということで、かなり広くやってきたつもりです。もちろん私ども東京局内全署においても行ってきました。

 もう一つが化学物質対策です。全ての化学物質を取り扱う事業場に対して有機溶剤とか特定化学物質についての指導を順次行っています。また6月からリスクアセスメントの義務化が実施されていますので、こういった専門的なことも周知・啓発をしています。

 右側はメンタルヘルス対策調査結果です。「心の健康づくり計画」の認知度、事業者自らが積極的に推進することを表明しているかというアンケートをしています。(3)のストレスチェックが義務化されたことを知っているかと昨年と今年で回答を求めましたが、100%でないという現実を知らされてしまいました。この45%の隙間をまずしっかりと埋めなければならないと考えています。下の6月段階で「実施しましたか」という質問に対して「その他(未定)」の8.2%が現にあるということも私どもはしっかり受け止めています。

ですから、まず「行う」ということをご存じいただき、そして「やり方が分からない」ということが絶対にないように私どもとしても周知を図っていくことが今後大事だということで進めています。下期では1年経過していますが引き続きこの取り組みをしっかりと行っていくつもりです。

 もう一つ、右下の業務上疾病発生状況の推移です。業務上疾病のなかで災害性腰痛が多いということを書きました。昨年までの数字ですけれども、今年10月末でも328件ありました。業界としては運輸業、­保健衛生業、商業、金融業です。これが全体で6割から7割を占めています。腰痛予防対策をこういった業界にはしっかりと行っていきたいと考えています。

 続きまして7ページ最低賃金についてです。101日から時間額932円、25円の引き上げをさせていただきました。生活保護基準との乖離(かいり)はありません。影響率は全体で12.8%です。パートタイム労働者についてのみ27.7%と非常に高い影響率になっています。こういう状況からとにかく周知が大事だということで、(2)にありますようにとにかく一所懸命周知をさせていただきました。(3)のように個別に周知が特に必要だと思われる約700事業場に各署からも連絡させていただきました。そういったなかで相談支援センターもあり、これまで約300件の相談がありました。また、助成金の周知なども行っています。

 下期は特定最賃については先日審議が終わりました。改正は今回はないということになりました。932円についての周知は図っているところですが、3にありますようにそれがしっかりと履行されているかという監督を1月から2月にかけて実施する予定です。大変影響率が高く、各事業主の方は厳しいなかで賃金を上げていただいているという声もたくさん聞いています。公正競争の点から言いましてこの履行確保の監督はしっかり行っていかなければならないと考えています。もう一つ、革靴製造業最低工賃の改正が予定されています。年度末にかけて審議を行っていただきます。

 最後は8ページ、労災補償の状況です。迅速・適正な労災補償を行うということです。表では東京都内で約20万件の療養補償給付を行うということを紹介しています。労災関係は私どもとしては事務処理上しっかり調べることが大事ですが大変重要で複雑困難な、脳心臓疾患事案、精神障害事案、そして(3)のアスベスト疾患事案について的確な処理が求められています。脳・心臓疾患についての速報値は、ここには印刷しませんでしたが、毎年夏に発表しています。28年の上期は脳・心臓疾患の請求が77件でした。認定は14件でした。確実に昨年度を上回る勢いです。右側の精神障害では上期は147件でした。これは「最多件数更新」と27年度の吹き出しにありますが、H28年度はさらにこれを超えて300件を上回る勢いです。ちなみに認定は51件です。やはりいじめ・嫌がらせの関係といったものが目に付きます。

 石綿については未請求の方がいらっしゃらないかということで、必死に病院周りをしまして疑われる方がいたら請求を、ということで周知した結果、上期は73件の請求がありました。請求と認定は時期がずれています。ですからグラフ上、赤と青が逆転することもあります。下半期ではたくさん請求をいただいていますので引き続きしっかりと調査をして迅速に決定していきます。マイナンバー制度施行もありますので、漏れのない丁寧な対応をしたいと考えています。労働基準部からは以上です。

【佐藤会長】 続きまして、職業安定部長から説明お願いします。

【藤村部長】 着席のまま失礼します。安定部の藤村でございます。委員の皆さまには日頃から安定行政に関してご理解・ご協力をいただいております。厚く御礼申し上げます。私からは続いて審議会資料の9ページから23ページまでお話申し上げたいと思います。

 まず9ページです。ハローワークの役割の最重点はマッチングの強化です。右上の表では上半期の職業紹介の業務取り扱い状況を示しています。新規求職者数は前年同期比で6.5%減少しているなかで、就職件数・充足数ともに達成率をご覧いただくとおり目標に届いていないという状況で推移しています。特に右側下段にあります雇用保険受給者取り扱い状況ですが、受給資格決定件数が前年同期比で7.8%減少するなかで、就職決定件数も減少しているのが現状です。

 こうしたハローワーク利用者の職業紹介業務の指標というのがおおむね雇用失業情勢の推移と併せ持つ関係にありました。右中段の有効求人倍率のグラフがあります。東京における有効求人倍率です。先日10月分がプレスされました。ここに書いてありますのが9月分です。実は10月分のブルーの東京の有効求人倍率は2.07倍ということで、さらに0.04ポイント上がりました。2倍台が続きましたのが7カ月連続というのが直近の状況です。リーマンショック後の22年から新規求職者の減少、それと新規求人の増加のトレンドに変化はありません。景気の回復のスピード感とともに息の長い雇用情勢の改善が続いている状況です。先日発表されました国勢調査によりましても日本の総人口が初めて減少し、人口減少時代がすでに鮮明となっているという報道もありました。労働力を求める企業とのマッチングの対策については労働市場のなかで需給調整機関としての東京のハローワークが中核的な役割を果たすべきだということを強く認識しています。特に正社員就職実現の取り組みを重点的に進めています。雇用情勢の詳細は次のページの参考資料をご覧ください。

 続いて11ページです。今年度の職業安定行政の最重点の取り組みとなります左側の正社員転換・待遇改善等の推進と右側の人手不足分野における人材確保です。ここについては272月に東京都と雇用対策協定を結び、この協定に基づきます事業計画においても連携して実行となっています。

 これまでの当局の取り組みです。厚生労働省の施策を受けましてすでにご案内のとおり正社員転換・待遇改善実現本部を立ち上げました。非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善の実現に向けた取り組みを推進するとともに東京における実現プランとして今年の330日「東京5カ年計画」を策定しました。詳細は次ページの参考資料をご覧ください。この東京の実現プランの実行にあたりましては東京都雇用対策協定において実施される正社員転換に係る取り組み等々を実現プランに盛り込み実施しています。

こうしたなかで非正規雇用労働者37%となっているのが現状です。不本意非正規の割合もこの79月期でわずかに減少したとは言っても15.2%あるというのが実態です。こうしたなかで当局では下半期において取り組みを強化、補完する形で都内のハローワークとともに10月から3カ月間「東京労働局・めざせ!今こそ正社員!プロジェクト」を開始しました。正社員就職実現と事業主への支援を強化した取り組みを進めています。

 13ページです。このプロジェクトの概要です。右側に書いています若者応援の宣言企業、それとユースエール認定企業の取り組み、またキャリアアップ助成金の活用、いずれも東京都雇用対策協定の事業も含めて展開中です。左側ではハローワークによる正社員就職の実現。初めて社会に出る新卒者をはじめ、若者、子育て中の女性、高齢者や障害者、また能力開発やキャリア形成に取り組んでいる職業訓練の受講者や雇用保険受給者の方々に対して、都内17カ所のハローワーク、新卒応援ハローワーク、わかものハローワーク、マザーズハローワークにおいて、担当者制等による個別支援を中心として正社員就職の実現を推進しています。また、介護、看護、保育、あるいは建設などの人手不足分野における人材確保の取り組みでは求職者に対して職場見学と面接会をセットにしたツアー型面接会の開催をして人手不足業界の事業主との距離感を近づける取り組みといったものも実施しています。「魅力ある職場づくり」の推進のためにさまざまな助成金制度の周知、委託事業を通じた雇用管理改善の取り組みと合わせてマッチング効果を高めた正社員の実現の取り組みを実施しています。

 14ページです。地方公共団体と一体となった雇用対策の推進です。まず、当局と東京都との連携においてはこういった場面ではいろいろお話をしていますが、東京都雇用対策協定に基づき次のページの参考資料にありますように事業計画を策定しました。若年者を中心とした正社員化、中小企業の人手不足における人材確保への対応、地域の課題に対して基本的かつ総合的な雇用対策を実施しています。また、ハローワークと基礎自治体との連携です。16ページに示しているとおりハローワークを中心に地域雇用問題連絡会議を開催しました。ハローワークと基礎自治体がそれぞれの強みを発揮して一体となって雇用対策を進めまして地域の住民サービスの強化を図っています。自治体の政策ニーズの把握であるとか、あるいはニーズに即応した業務展開に努めまして、国と自治体とが連携して政策目的を果たしていく機会で積極的かつ確実に対応していくことが重要であると考えています。

 下半期では一体的実施事業的展開、あるいは地域の利便性向上のための施設「ふるさとハローワーク」の運営に取り組んでいます。以上、このページまで申し上げた正社員転換の取り組み、あるいは人手不足分野における人材確保、そして地方公共団体との連携事業を実施していくための個別的対策としては次の17ページ以降に若者とか子育て中の女性、そういった方々等への取り組みを簡単にご案内申し上げます。

 17ページです。若者に対する就職支援の中の新卒、未就職卒業者に対する就職支援です。初めて社会に出る高校生、大学生の就職、正社員就職を実現する第一歩と強く考え行政の重要な責務であるところです。

景気、経済情勢の判断材料となる指標が新卒求人の動向と言われています。左側の表のとおり、今年9月末現在の高校生の求人は前年比で13%増加しています。求人倍率も6倍を超えてきました。こうした動向により高校生の就職内定率は前年より1.1ポイント上回り、就職決定者も8年ぶりに3,000人を超えて昨年度をさらに上回っています。

 一方で資料にはありませんが大学生の内定率です。先般厚生労働省が公表しました。9月の状況です。71.2%と前年同期比で4.7ポイント増加しています。左側下段の下半期では未内定の生徒・学生に対して「ひとりにしない」「あきらめさせない」をコンセプトとして個別支援を実施します。右側表のとおり12月以降も高校生・大学生を対象に就職面接会を実施します。来年の22日に東京都との雇用対策協定に基づいて東京都との連携事業として約170社の参加により大卒の合同面接会を予定しています。

 また、昨年10月に施行された若者雇用促進法の取り組みについて左側下半期の取り組みで若干記述はしていますが、簡単に説明します。昨年101日施行分の1つ目でありますユースエール認定企業の制度です。現在全国で121社、東京では10社の認定があります。2つ目に若者の就職活動時や就職後のトラブルを防止するためには労働法制に関する知識の理解を深めることが重要です。学校の要望に応じましてハローワーク等から講師を派遣するという制度です。当局では大学、高校に向けて要望に対応しています。

 続いて本年31日施行分の1つ目である新卒段階でのミスマッチによる早期離職を解消するために企業が労働条件を的確に伝えることに加えて募集採用に関する状況などの項目を提供する仕組みです。求人票とあわせて青少年の雇用情報シートで提供する方法です。ハローワークでは青少年雇用対策基本方針に基づき全ての項目の提供を求めています。2つ目に、ハローワークにおいて一定の労働関係ルール違反になった事業所を紹介することがないようにこうした新卒求人を一定期間不受理とする取り組みです。具体的には労働基準法、最低賃金法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法のうち制令に定められた条項に違反し、是正勧告を受けたり、公表された場合に不受理ということになります。以上のように若者雇用促進法への対応について都内ハローワークはもとより労働基準監督署、または局内各部との連携によりまして強化している状況です。

 続いて18ページの若者に対する就職支援です。不安定就労の長期化、あるいは職業知識、経験の不足によって就職活動に特有の課題や不安を抱えている若年者に対する就職支援についてです。フリーターに対する正社員雇用に向けた取り組みを含めて都内に3カ所ありますわかものハローワークを中心に個別担当制により一人一人の課題に応じたきめ細やかな就職支援に取り組んでいます。

 下半期の取り組みは先ほどお伝えしました12月までの3カ月間のプロジェクトのなかで1110日から1カ月間を「若者正社員就職応援キャンペーン」として若年者向けの強化期間を設定しセミナーや就職面接会を集中的に実施し年内での正社員就職の実現を目指しているのが現状です。また、ユースエール認定企業とともに一定の労務管理体制が整備されています。若者応援宣言企業を有機的に活用して求人の充足対策を行うとともに、正社員転換を行う中小企業等に対してキャリアアップ助成金の活用を促進して正社員の実現に取り組む中小企業の事業主への支援を実施しています。

 続いて18ページの右側です。子育て中の女性に対する就職支援につきまして3カ所のマザーズハローワークを拠点として小さなお子様連れでも利用しやすい環境づくりと、個別担当制により求職者個々の状況に応じたきめ細やかな就職支援に取り組んでいます。地方自治体とは待機児童や潜在求職者などの情報共有を図りながら関係機関と連携を密にして安心して就職活動ができるように配慮するほか、ひとり親の方を含めて支援を必要とする方の把握であるとか個々の希望に添った支援を行っています。仕事と子育てを両立しやすい求人の確保についても全てのハローワークと連携して引き続き取り組んでまいります。

 なお、今年度から東京都雇用対策協定に基づき東京都との連携事業として仕事と子育て両立支援合同就職面接会を2月に開催することを計画しています。

 次の19ページは新卒応援ハローワーク、わかものハローワーク、マザーズハローワークの概要ですので、後程ご覧いただきたいと思います。

 続いて20ページです。高年齢者の雇用対策です。今年61日現在の高年齢者雇用安定法に基づいた雇用確保措置実施企業割合が右側のグラフのとおり99.5%となりました。前年度から0.1ポイント増加しています。未実施企業に対しては個別指導を徹底して、早期に完全実施を図ることにしています。また、ハローワークの大森、池袋、足立、立川の4カ所に設置した生涯現役支援窓口にて高齢者へのきめ細やかな就職支援を重点的に取り組んでおります。

 下半期においては、今年の62日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」により生涯現役社会の実現が注目され、2次補正予算において創設された65歳以上への定年の引き上げとか66歳以上の年齢まで継続雇用できる制度を導入した事業主への助成金、65歳超の雇用推進助成金の活用を周知して、65歳以上の継続雇用をさらに支援しています。

 続いて下段の障害者雇用対策です。実はこちらが今年61日現在雇用状況報告のプレスの予定が12月にずれ込んでいます。平成2761日現在はすでに皆さんにご案内しているとおりですので説明は省かせていただきます。ただ、障害者の関係ではこの4月に施行された改正障害者雇用促進法により、雇用の分野における障害者に対する差別の禁止・合理的配慮の提供義務に関して事業主に対して継続的な周知・啓発を図っています。

 続いて21ページです。今年度におきましては東京都雇用対策協定に基づいた連携事業として東京都が行う公的職業訓練と、国が行う求職者支援訓練を一体的に実施しています。これによりハローワークの全ての相談窓口において訓練受講者によって就職の可能性が高まる者を適切に訓練へ誘導し、受講あっせんを行っています。ひとり親、出産・育児によるブランクがある女性であるとか、長期的にフリーターとなっている若者に対しても強化しているところです。

 続いて22ページです。外国人の雇用対策の推進です。外国人に対する就職支援では東京労働局管内では外国人の留学生を対象にした東京外国人雇用サービスセンターと就労に制限のない在留資格者を対象にした新宿外国人雇用支援・指導センターの両拠点を中心に増加する外国人に対するきめ細かな就職支援を行っています。

 最後23ページです。これまで申し上げた取り組みの実施にかかる総合評価の取り組み状況です。今年7月第8期第3回の審議会でも報告しました各ハローワークの好事例、あるいは全国のハローワークで取り組んだ好事例を都内ハローワークに提供して取り組みの改善を促しました。10月には上半期の実績を基に各ハローワークの所長からヒアリングを実施して年度の目標達成に向けた指示を行い、取り組みを進めているところです。

 以上、大変駆け足になりましたが、今年度上半期の安定行政と重点対策について説明させていただきました。

【佐藤会長】 どうもありがとうございました。それでは続いて需給調整事業部長からご説明いただければと思います。

【井上部長】 続きまして需給調整事業関係について説明します。資料は続いて24ページをご覧ください。左側の民間人材ビジネスの動向についてです。労働者派遣事業については許可制の労働者事業は5,220となっています。前年同期比で約1割増加しています。一方、旧特定労働者派遣事業は14,326となっており、こちらは許可制への移行に加え事業報告を提出しないことによる行政処分等もありまして、前年同期比で約1割減少しているという状況です。職業紹介事業については一貫して増加傾向にあります。

 2点目の法制度の周知状況については派遣元事業主、派遣先事業主、職業紹介事業者、そして労働者向けのセミナーなどさまざまなものを通じて延べ79回、4,272人を対象に実施しています。また、個別の指導監督に状況について下に記載していますが、労働者派遣事業、職業紹介事業ともに前年同期比よりも指導監督の実施状況は多くなっている状況です。是正指導率は労働派遣事業については職業紹介事業に比べて高めになっています。内容としては改正労働者派遣法が施行されましたが労働者派遣契約であったり、または派遣労働者への就業条件提示といったものの内容が改正法に対応し切れていないというような法違反です。なお、資料には記載していませんが、1128日に法違反を繰り返す職業紹介事業者1社に対して事業停止命令、二重派遣を行っていた労働者派遣事業者1社に対して業務改善命令の行政処分を行っています。

 25ページです。労働者派遣事業、職業紹介事業の相談・苦情といったものの対応状況です。苦情・相談状況については、労働派遣事業、職業紹介事業ともに増加しています。特に労働者派遣事業については前年同期比で22.6%増加しています。この点はやはり昨年930日から施行されている改正労働者派遣法の影響が大きいのではないかと考えています。派遣労働者からの苦情・相談の内容については下の円グラフに記載しています。内容としては苦情処理に関すること、または労働条件の相違に関すること、または派遣労働者に対する就業条件の明示といったことに関する苦情相談が労働者の方からは多くなっている状況です。職業紹介事業の求職者からの苦情・相談については苦情処理、労働条件、個人情報保護に関するものが多くなっている状況です。

 下半期におきましても引き続き派遣労働者をはじめ派遣元・派遣先に対する改正労働者派遣法の周知にしっかりと取り組んでいくとともに法の履行確保を図るために労働者派遣事業者、職業紹介事業者に対する指導監督に記載した内容に重点を置きながら取り組んでいきたいと考えています。以上、雑ぱくではございますが、需給調整事業関係の説明とさせていただきます。

【佐藤会長】 では、続きまして雇用環境・均等部長からご説明お願いします。

【古瀬部長】 雇用環境・均等部長の古瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。引き続きまして、資料26ページからになります。まず、「働き方改革」推進の取り組みについてです。働き方改革については6月に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいても最大のチャレンジと位置づけられているところです。東京労働局においても局長を本部長とします働き方改革推進本部を設置しました。左側にありますように基本方針として、「企業の自主的な働き方の見直しの推進」、と「働き方の見直しに向けた地域全体における気運の醸成」、この2つを柱として取り組んでいます。

 具体的な取り組みとしては、右側にも少し写真を載せていますが、夏の「ゆう活」も含めて働き方改革について労使団体に協力要請をしている他、休暇取得促進についても広報に協力をいただいています。また、個別の企業にも訪問して取り組みの事例をお聞きするとともにさらにその取り組みの要請をしているところです。下半期も複数の個別の企業を訪問させていただく予定です。

 また、本年4月に東京都が新宿に設置した「TOKYO働き方改革正規雇用化推進窓口」に私ども労働局からも働き方・休み方改善コンサルタントを配置して企業からの相談に応じる他ミニセミナーなども開催しています。下半期も引き続き地方自治体および労使団体との緊密な連携の下、働き方改革の推進に努めてまいりたいと考えています。

 それから次のページ、雇用均等分野における相談・指導の状況です。相談の件数については上段一番左側のグラフをご覧ください。28年度上半期の相談件数は6,180件です。昨年度1年間の件数の約半数弱の数字です。下の円グラフは相談内容を別に見たものです。傾向としては一番左の円グラフ、均等関係の相談内訳で「妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱い」の割合が高まってきているということが今年度の特徴です。下の段の一番右側に指導件数を付けています。指導件数については、今年度から新たな指導の手法が導入されたこと、また年度の前半については、女性活躍推進法の施行業務にかなりボリュームがありましたことを背景に、前年並の稼働状況にはならなかったということがありますので、下半期は集団的な指導方法も取り入れまして効果的、効率的な指導を行っていきたいと考えています。

 次のページ、紛争解決援助の申立て状況です。紛争解決援助申立て件数については、昨年は件数が少なめな年だったということもあり、今年度は上半期だけで昨年度の1年分の件数に近い数字となっています。下の右側に女性活躍推進法施行状況について付けています。9月末現在の数字を載せていますが、301人以上企業、義務がかかっているところの届出率は全国で99.2%、東京では98.0%となっています。これが10月末現在の数字ですと、全国では99.5%、東京では99.0%となっています。また、その隣の300人以下企業からの届出数は全国で1,586社となっていますが、10月末現在では1,782社、東京では382社のところが10月末では454社に増えています。

その下に女性活躍推進法に係る認定企業、いわゆる「えるぼし」認定の認定数を載せています。9月末現在全国で182社、東京で70社とありますが、10月末現在では全国で200社、東京では82社に増えています。

 次に29ページです。改正均等法、育児介護休業法については291月から施行となりますので、現在その周知に全力を挙げて対応しています。東京局におきましても大規模な説明会から中規模のセミナー、または個別相談会と各種の規模で周知を行っています。いずれも盛況という状況です。引き続き周知に努めてまいりたいと考えています。

 30ページに参ります。労働法制セミナーに関する取り組みです。こちらは大学等から要請をいただきまして、労働局の幹部や職員が大学に出向いて学生の皆さんを対象に講座を行っています。その件数が増加傾向にあります。今年度が上半期で23回、下半期の予定を含めますと38回の開催見込みとなっています。右側の写真は、労働法制セミナーに合わせてアルバイトを行う際の留意点を学生の皆さんに説明するようにしまして、その際の様子をNHKのニュースでも大きく取り上げていただいたものです。

 次のページです。左側は今年度4月から7月に「学生アルバイトの労働条件を確かめよう!キャンペーン」と銘打ちまして、ただいま申し上げた労働法制セミナーに合わせた取り組みの他、労働局、また監督署に若者相談コーナーを設けるとともに大学への出張相談を労働法制セミナーとは別に単独で7大学に行いました。受けた相談は28件となりました。来年度に向けてもっと周知をしていきたいと思っています。

また右側のパワーハラスメントの予防対策や、次のページの「労働契約法(無期転換ルール)」についても各種のセミナー、個別訪問等さまざまな機会を捉えてあわせて資料配布や説明をするなど周知に力を入れているところです。

 33ページです。個別労働紛争解決制度の状況です。下半分のグラフに昨年度までの状況を付けています。傾向としては左側のグラフのとおりいじめ・嫌がらせが一貫して増加しています。また、解雇等の減少傾向が見られるという状況です。今年度上半期の状況についてグラフの上に青の枠囲いがありますが、総合労働相談件数は63,014件で昨年度よりやや増加しています。中身の傾向についてはいじめ・嫌がらせが引き続き最も多いなかで退職理由に関する紛争とか労働条件の引き下げに事案の増加が見られる状況です。以上ですが、下半期も各分野においてしっかり推進し来年度の取組につなげていきたいと考えています。

【佐藤会長】 最後に労働保険徴収部長からお願いします。

【湯地部長】 労働保険徴収部の湯地でございます。どうぞよろしくお願いいたします。労働保険適用徴収分野における重点対策について報告します。資料は最終の34ページです。東京労働局管内における労働保険料等の徴収決定額については全国の約3割を占めています。労働行政を運営する財源を確保するという役割においては当局の位置づけは極めて重要なものとなります。こういったことから平成28年度においても引き続き労働保険の未手続事業一掃対策の推進、それから労働保険料の適正徴収、労働保険事務組合の指導、この3点を重点対策として取り組んでいます。

 それでは1点目労働保険の未手続事業一掃対策の取り組みについてです。東京労働局では本年度から新たに第5次労働保険未手続事業一掃対策2か年計画を策定したところです。本計画に基づきまして未手続事業の的確な把握、受託団体と連携した加入勧奨、度重なる指導にもかかわらず手続きを行わない事業主に対する職権成立、こういったことに取り組んでいます。その取り組み状況ですが、資料右上の未手続事業一掃対策の推進状況をご覧ください。28年度における成立目標件数は前年度目標にプラス200件の9,000件としています。上半期における取り組み結果ですが、速報値で成立件数は4,024件です。年間目標数に対する達成率は44.7%となっています。これは前年度の同時期に比べて件数では759件、達成率では7.6ポイントそれぞれ上回っています。現在までのところおおむね順調に推移している状況です。下半期におきましても引き続き未手続事業の的確な把握、効果的な加入勧奨などに取り組んでいきます。

 続きまして2点目労働保険料等の適正徴収についてです。資料の右中段の労働保険料徴収決定および収納状況をご覧ください。28年度労働保険料の収納率の目標は27年度の収納率99.18%以上としています。今年度の実績は9月末現在の徴収決定額が約7,821億円です。収納率は41.68%となっています。収納率については前年度の同時期より0.63ポイント上回っています。このように今のところは目標の達成に向け順調に推移している状況です。上半期においては労働保険の年度更新を円滑に運営することを中心に保険料の滞納整理や保険料が正しく申告されているかを調査する算定基礎調査などにも取り組んできました。下半期は労働保険の年度更新がひと区切りつきましたので、算定基礎調査への取り組みを加速しながら年間目標の達成に向け努めていくこととしています。

 最後に3点目労働保険事務組合の指導等です。東京労働局管内の労働保険事務組合数は平成27年度末現在で772組合となっています。これらの労働保険事務組合に事務を委託している事業場の数は約167,000件となっています。適用事業場全体の約4割を占めています。労働保険事務組合制度が十分に機能し、その信頼性を確保するためには労働保険事務組合が適正に運営されることが不可欠であることから当局では事務組合監査、指導計画に基づきまして個別指導や集団指導を実施しています。下半期においてもこれらの指導を継続実施するとともに事務組合の担当者を対象とした研修会を開催するなど事務組合の一層指導に努めていくこととしています。労働保険適用徴収分野の重点対策の上期実績と下期の取り組みは以上です。

【佐藤会長】 どうもありがとうございました。それではこれから今までご説明いただいたことについてご質問、ご意見をうかがいたいと思います。分けるのが難しいかもしれませんが、最初ご質問ということで、ここが少し分からないとかもう少し説明してほしいということを先にうかがうようにしまして、そのあとにご意見ということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。ここが少し分かりにくいとか。

【長江委員】 障害者関係の合理的配慮の周知・徹底のところです。

【佐藤会長】 20ページです。

【長江委員】 内容は主なものになっているのかというのを再度おうかがいさせていただきたいところです。特に今年から施行された改正障害者差別解消法に基づく合理的配慮というものを含めた状態での適切な助言、指導が具体的にどのように行われているのかをまず確認させてください。よろしくお願いします。

【佐藤会長】 助言指導の中身ですね?

【長江委員】 はい。

【佐藤会長】 はい。では、お願いします。

【藤村部長】 指導の中身ということですか。

【長江委員】 はい。

【藤村部長】 4月に施行されています改正障害者雇用促進法のなかで雇用分野における差別禁止と合理的配慮の提供を受けるということです。ここは募集・採用時、そして採用後の事業主の責務となるこの差別禁止・合理的配慮の提供義務ということで、ここのところは各ハローワークに雇用指導官が配置されています。障害者の雇用管理改善指導を含めた障害者の雇用率達成のために各企業に入り込んで個別指導をしています。個別でやることしてはこの改正障害者雇用促進法のこうした事業主の責務の部分について啓発をしております。あとは、さまざまな事業主に向けて、例えば助成金の説明会だとかセミナー等も開催しています。そういった場面に総力を挙げてハローワークのほうで改正障害者雇用促進法の周知をしております。それと相談件数ですが、いくつか来ていますが、相談窓口を設置するという事業主の責務であるとか、あるいは事業主の障害者からの苦情を自主的に解決するという努力義務が企業のほうにもありますので、そこもあわせて履行確保のためにいろいろな啓発をしています。まだ事例はありませんが、紛争という部分になってきますと、我々は雇用環境・均等部と連携して、当然労働基準部ともそうですが、紛争解決のための制度にのっとって進めていく予定です。

【佐藤会長】 よろしいですか。

【長江委員】 はい。

【佐藤会長】 ご質問を先にということで、他には。

【傳田委員】 26ページの「働き方改革」推進の取り組みというところです。さまざまな事業を展開していただいています。そのうち地方公共団体との連携のなかで、一番下のポツになりますが、「東京都との共同相談窓口の運営」とあります。私は具体的にこれが何をされているのかが分かりません。右にあるこの連携の窓口を一緒にやっていることとは違うのですか。

【古瀬部長】 この「共同相談窓口」というものは右側にあります新宿に設置している「TOKYO働き方改革・正規雇用化推進窓口」のことです。

【傳田委員】 そうですか。分かりました。

【佐藤会長】 よろしいですか。

【傳田委員】 はい。

【佐藤会長】 他には? 唐澤委員。

【唐澤委員】 5ページの左側下、上半期のところです。そこの2番、2020年東京オリンピック・パラリンピックの建設の工事における安全管理というところです。

この連絡会を発足するとなっていますが、厚労省でもそういった連絡会というものを発足しているかとは思います。東京都として独自に組むという形なのでしょうか。このへんについて詳しく教えていただければと思います。

【佐藤会長】 お願いします。

【岩瀬部長】 ありがとうございます。東京労働局として独自に行うものです。政府全体として行っているものは発注者ですとか、さまざまな団体で、もちろん私どももメンバーとして入っています。私どもが設置するものは総合建設業者の方々に集まっていただきまして、政府として行っている協議会での安全に関する事項を伝達することです。情報共有をして安全に工事を進めていくというような関係で連絡会を設置するものです。

【佐藤会長】 よろしいですか。

【唐澤委員】 要望はあとですか?

【佐藤会長】 ご意見はあとでおうかがいします。ご質問は? 川本委員。

【川本委員】 2点あります。まず、5ページです。災害防止の話のなかで建設業においては墜落・転落防止対策というところです。墜落・転落が非常に死亡とか重傷につながると書いてありますが、この墜落・転落というものは建設業においての職種みたいな特徴はあるのかというのが1つ目です。

 それからもう1点は17ページです。未就職卒業者に対する対策をいろいろされているということで、特に右側下の111日以降12月、2月に合同就職面接会をされているということで大変よい取り組みだと思います。これについて就職が決まっていっているものがもし分かれば教えていただきたいと思います。また、今後もこういう取り組みは毎年続けていく予定なのかということもあわせてお答えいただければと思います。

【佐藤会長】 先ほどの労災の方でよいですか。

【岩瀬部長】 職種については特に特徴までは承知しておりません。もちろん高所作業を行う足場での作業の方などが多いと思われます。今年も14名の方がすでに建設現場にて墜落・転落で亡くなっておりますので、さらにしっかりと分析していきたいと思います。

【佐藤会長】 安定部長から先ほどの……。

【藤村部長】 今ご質問がございました17ページの右下です。10月、11月、12月と新卒関係で合同就職面接会を開催しています。最終的には就職決定者が何名であったというものはまだ出ていません。通常23カ月経過しませんと数字が出てきません。2次、3次の結果、就職が決定するという場合もありますので、ご承知置きいただければと思います。

【佐藤会長】 これはあれですか、そのページの上のほうは3月で卒業した学生だから早目に出ているのですか。上のほうは既卒者ですね?

【藤村部長】 例えば一番上の42526は既卒者限定となっています。

【佐藤会長】 これは卒業した人がその場で早く決まると?

【藤村部長】 そうです。おっしゃるとおりです。

【佐藤会長】 はい、分かりました。他には?

【傳田委員】 安定部長からお話をいただいた若者雇用促進法の関係のなかで、求人票の法令違反とかで不受理をやっているという話がありました。どういう内容のもので不受理にすることが多いのか。どの程度出ているのか。それは予想をはるかに上回っているのか。またはあまりないものなのか。そのへんの状況をお願いします。

【藤村部長】 今、後ろに振り返って伊藤職業安定課長とお伝えしていいものかどうか、というところですが、実際は1件。

【佐藤会長】 それほど多くないということですね。

【藤村部長】 1件出ています。同一情報で2回違反しています。

基準法と最賃法に該当していました。今この企業は是正をしてから6カ月経過していますので、求人を公開しています。

【佐藤会長】 他には? 私から2つ。1つは12ページに正社員転換のいろいろな取り組み目標があります。それから23ページに全ハローワークの評価の指標があります。23ページのものは全部「常用」という言い方をしています。上は正社員転換ですよね。普通常用と言いますと有期も入っていますよね。正社員転換のほうは無期、こちらの目標は常用です、いわゆる正社員の目標というものはこちらではないのかどうかというのが1つです。そのへんの関係がどうなってかをかおうかがいします。

【藤村部長】 今、会長が示された12ページは「東京5カ年計画」です。これは東京都と連携していく事業のなかでどう取り組むかです。ただ、23ページの年度ごとの目標数で正社員の就職件数、これが23ページ右側(3)の(7)です。

【佐藤会長】 こちらにあるのですね。

【藤村部長】 はい。ここに目標数が出ています。これの5年分ということで進めています。ただ、12ページの「5カ年計画」は平成30年に中間期で一度見直すということになっていますので、常用を含めてハローワークのほうで日々、週、月単位で目標管理をしています。管理しやすい数字ということでこういうようにお示しをしています。

【佐藤会長】 はい、分かりました。もう1つ、雇用環境・均等で26ページのところです。企業へ「働き方改革」「ゆう活」の取り組みをお願いしているということですが、国のほうでもこの夏に「ゆう活」をしていましたよね。人事局から出先課も含めてやりなさいということになっていますので、東京労働局は何かやりましたかということなのですが。

【黒澤部長】 総務部長でございます。我々労働局のほうでもこの「ゆう活」を実施するということにしていました。一例を挙げますと、この建物の中にいる職員は例えば月に10日を「ゆう活」に当てるというようなことです。例えば私なども30分早く来て早く帰るということをやっていました。率直に申しますと、ハローワークとか労働基準監督署といった第一線機関になりますと、やはりお客さまとの関係もありますので、できる・できないがあります。ただ、実際にはできる限り職員には取り組むように、そこは自主的にやると。そこは全職員に周知をした上でできる限り趣旨に沿うと。ただ、業務上国民の皆さまにご迷惑をかけない範囲で、というのが実態でした。

【佐藤会長】 意見になるかもしれませんが、たぶん民間企業へは取引先がそう言っても改革しなさいと言っているのですよね。なので、できるだけ取り組んでいかなければなりません。質問は以上ですか。あとはご意見を。もちろん質問と重なっても構いませんので、ご意見があればおうかがいしたいと思います。

【長江委員】 2点あります。1点は多くの表とかにも見られることですが、特に5ページの死亡者数および死傷者数の前年度との比較のところです。あと、33ページの個別紛争に関する相談の主な内容のグラフで使われている数値というのが実数値なのです。

実際に東京労働局さんはこういった実数値の案件を受けて、どういった何らかの取り組み、例えば「この安全のほうでしたら指導を行う」とかということをやられているはずです。実数値がどう増えたか、どう減ったかというところは純粋に評価する基準にはなりません。需給状況をちゃんと考えないということです。例えば5ページの社会福祉施設で死傷者数が増えていますと。でも、同時に社会福祉施設の数自体は大きく増えている状況の下では実はこの死傷者数は比率で見ると減っているかもしれない。というと、東京労働局さんの取り組みはこの数値だけを見ると悪いのではないかと思ってしまうのですが、実は悪くはないというふうに正確に読むことができます。このグラフとか表を出すときに実数値だとか比率というところにもう少し注意をはらって書いていただけると我々としても評価がしやすいです。

 それから33ページに関する「27年度」と書いてあるところのグラフです。これは横軸に年次を取っていて、これも実数で書いてありますが、「いじめ・嫌がらせは一貫して増加」と。「雇止めは減少傾向が見られない」と。これも市場の需給状況をきちんと把握してみないと。実際に需要が増えているわけですよね。そうしますと、いじめ・嫌がらせは実は横ばいなのかもしれません。そして雇止めは減っているかもしれません。ということは、実数だけ見ているだけでは評価できないので、そういったところでグラフの作成に注意をはらっていただきたいというのが1点目です。

【佐藤会長】 はい。それは納得ということですか。すぐにやれというのはなかなかできないものもありますから。はい。

【長江委員】 2点目です。障害者の合理的配慮等々の周知・徹底の問題です。これは国際的に見て差別禁止法というものが今回施行された障害者差別解消法と呼ばれる法律の内容になるわけです。今までの経済学的研究をずっと俯瞰(ふかん)してみますと、差別禁止法を行った国で雇用が増加した国はないという実態があります。実際にその労働者の雇用環境自体は横ばい、もしくは悪化しているという研究の結果が出ていますので、ぜひこの指導それから周知を行うときに割当雇用制度の目標、すなわち数の増大の周知と合理的配慮の内容の周知。これはクオリティーのほうです。これをうまいこと指導のなかで組み合わせて使っていただければ採用時点のものも含めた合理的配慮だけを強調し過ぎると、おそらく障害者の雇用は他の国と同じような形で減ってしまいます。

ですので、割当雇用というところも平行して、そのへんのバランスをうまく保ちながらご指導をやっていただければというのがコメントです。

【佐藤会長】 後者の割当雇用は障害者の雇用率なのかということですか。

【長江委員】 そうですね。

【佐藤会長】 はい。雇用率の達成、未達成とは違うということ。そのときにあまり合理的配慮を強調すると進まないということですか。

【長江委員】 そうです。

【佐藤会長】 何かあれば。例えば前半の33ページのところで言いますと、これは当たり前ですけど、東京の雇用者数が増えていますかね。雇用者数の伸び、少なくともそのくらいで割ったらとか、そういう話です。指数化して雇用者数は1.2倍になっていれば、例えばですけれども、いじめ・嫌がらせが1.2倍と言うと同じぐらいの発生率ということもあると思います。本当に増えているのか、ということ。数が増えているのは事実です。比率として増えているかどうかを見るときに少し留意ということだと思います。他にご意見は。川本委員、どうぞ。

【川本委員】 2点あります。1点目です。いつも申し上げていることで申し訳ないのですが、こういう文書が出てきますと、私はどうしても「非正規雇用労働者」という言葉が非常に気になっています。これは労働法のなかにも正式に出てくる用語ではありません。ここはやはり有期労働契約者という形で統一していただきたいと思っています。厚労省のアンケート等のデータがそうなっていますので、厚生労働省にご検討いただきたいという意見です。非正規という言葉が一人歩きして、ずっと続いていることについて大変違和感をもっています。

 2点目です。先ほどの5ページに関係して墜落・転落の話でお聞きします。高所作業ということでしたけれども、たぶん建設の世界は「とび」であったり、あるいは型枠大工さんだったり鉄筋工さんだったり塗装だったり、それぞれ専門の会社ですので、もしも墜落で死亡あるいは重傷という事故が多い業種に絞られるのであれば、そういう専門会社さんについて命綱の徹底などをきっちりとされれば効率的かと思います。それで質問した次第です。もしも特徴があるようでしたら効率的な指導を行っていただくと一番事故が防げるかなと思った次第です。以上です。

【佐藤会長】 はい。他にいかがですか。どうぞ。

【米田委員】 2ページに長時間労働の関係がありますが、トラック関係は拘束時間が非常に長くて、中小零細を含めて全体的に3,000時間を超えるような事業主がいるというところです。今厚労省と国交省で相互通報制度において、そういった事業主に対する相互の監査等々をやっていただいているところですが、一度この運行管理者に対する指導を徹底してやっていただきたいと思っています。今年3月に中国自動車道の八本松トンネルで多重追突事故が起き70名を超える方が緊急搬送されて死傷者も出た事案です。運行管理者が逮捕されました。実態として運行管理者は一度免許を取ってしまうとなかなかそこからはよほどのことがない限り適正な指導を行われていない。おざなりになって責任ある運行管理者になっていないのではないかという現場の意見があります。そういった運行管理者の下で適正な運行するということがなかなか難しいと。ですから、こういったところは国交省だけではなく厚労省も含めて運行管理者試験を一度取ってしまえば、年に一回講習を受ければOKみたいなことではない取り扱いをしていかないと、なかなか長時間労働がそのままということにはならない。また、事故率が非常に高くなってきます。相対的には拘束時間です。その事故を起こした運転手さんは1カ月で420時間ですから。そういうことが中小零細には結構散見される事案です。

大手中堅クラスが中小零細のトラック事業主を協力会社として使うときに結構そういった認識のなかで使われているということがありますので、そういう中小零細に関わる運行管理者の指導を徹底していただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

【佐藤会長】 はい。何かあれば。いいですか。

【岩瀬部長】 ありがとうございました。私どもは確かに使用者に対して是正勧告をさせていただいていますが、そのなかで運行管理者をどう指揮・命令するかということも入ってくると思います。ただ、なぜそのような計画になっているのかということまで踏み込んでいけば運行管理者の認識にも関わってくると思いますので、国交省とも運輸支局とも連携を取ってやっていますので、そういったところを意識しながら指導したいと思います。

【佐藤会長】 では、川本委員。

【川本委員】 運輸の話が出ましたので、個人的な意見で申し上げます。今、非常に違法駐車の問題がクローズアップされています。運転手で特に運輸の方々は違法駐車になってはいけないということで、相当走り回ったりして体力的に、あるいは精神的にも追い詰められている部分もあるのではないかと思います。ルールは非常に大事なのですが、やはり現実に即したルールというのが一番大事なことであって、もしも路上駐車時間のルールが現実とあまりにも乖離しているようであればルールを現実的なところに近づけることを検討されることも大事なのではないかと思う次第です。これは個人的な意見ですが、ぜひ一度お考えになっていただければと。これは厚生労働省の範ちゅうではないと思いますが、やはり過労とか事故につながる問題だと思いますのでご一考いただければと思います。以上です。

【佐藤会長】 今のことは2ページのところでしたね。これは違反率とありますね。ただ、これが結構難しいのはいろいろな情報で「問題があるな」というところに行ったわけですよね。なので、これで違反率を出すということは何かよく分かりません。これは選び方で決まってしまうのですね。選んだ情報でかなり精度が高いものが100%違反率。問題があるところに行くわけですよね。だけど、行ってみたら(2)で言うと違反率51.3%ですから、49%は平気でしたという話です。この違反率という率を使うのはどうかと。つまりランダムに取って行っているわけではないですね?

【岩瀬部長】 会長の今のご指摘ですけど、ここは今80時間以上働いていると思われているものに全て行くという考え方でやっています。なかには会長がおっしゃるような情報をもとにというのがございます。

【佐藤会長】 そういうことですね。

【岩瀬部長】 はい。各種情報から、というのはそういう意味です。丸めて書いていますけれども。

【佐藤会長】 基本的に80時間という協定があるところということですか。

【岩瀬部長】 そうです。ですから各種情報のなかには36協定を見て、それだけ特別条項で結んでいると。実際に自主点検をさせていただいて「あ、行っているだろう」ということです。やはり長時間労働の手続きそもそもが遵法かどうかという問題ではなくて。

【佐藤会長】 そうしますと、かなり高いということですね。逆に言えば「ひどそうだな」というかよりは80時間以上の協定を結んだところへ行ってみたらこれだけあるということですね。

【岩瀬部長】 そうです。

【佐藤会長】 分かりました。そのように言っていただくと問題が多いということがよく分かります。

【唐澤委員】 先ほどお答えいただきましたオリンピック・パラリンピックのところです。やはり全世界が注目するというところでは、工事のトラブルとかについては全世界に発信されてしまうタイプだということで建設業のところでも各国でもニュースで取り上げられている状況です。要は受注の元方、元請けだけの責任ではなくて、そこで働く労働者の問題でもあるというところから業界を上げて努力していかないと安全に関しては駄目ではないかと考えます。この連絡会というものにぜひ労働者側も参加できるようにご検討いただけないでしょうか、ということです。

【佐藤会長】 いかがでしょうか。

【岩瀬部長】 そこは私どもとしても検討していきたいと思います。

【佐藤会長】 はい。他にご意見でもご質問でも。

【恵島委員】 均等法・育介法の改正の周知に関する取り組みのところで意見です。先ほどご説明のなかでも28年度の上半期で妊娠・出産に関する不利益取り扱いの相談内容が多いということもありました。さまざまなキャラバンとかセミナー、相談会をされるということで非常に有益であると考えています。こういうところに申し込んで情報を取りに来られる方というのは非常に関心が高いところで、ほぼほぼ問題がないところが多いのかなと思います。そうではなくて、なかなか難しいかもしれませんが、中小企業などにぜひ出向いて、あまりこういうところに参加しないような中小企業の経営者層に向けてぜひ育介法に関する周知の取り組み等も要望としてお願いしたいと思います。

【佐藤会長】 はい。何かあれば。

【古瀬部長】 ありがとうございます。私のほうも自主的にいらしていただける方だけではなくて、中小企業にも出向いて行きたいと考えています。

【佐藤会長】 先ほどの長時間労働で監督違反がありましたよね。そういうときはたぶんそれだけがひどい会社ではないのかもしれません。たぶんいろいろ問題点があると思います。そのへんの周辺も見るのですか。そういうことはないのですか。

【岩瀬部長】 監督は総合監督です。

【佐藤会長】 総合監督ですね。そういうところで引っかかってくれば、たぶん今みたいなことも出てくると思います。

【傳田委員】 去年から今年に「働き方改革」とかで、そのなかでも長時間労働、労働契約法の20条に絡むような、今の同一労働同一賃金に結びつくようなことがずいぶん話題になっています。その都度、例えば労働局の監督が話題になったり、「働き方改革」のなかでも先ほどからお話があったように労働局が様々な団体に要請したとか、すごく労働基準監督署とかハローワーク、そういう単位で「労基署やハローワークがこういうのをやっているんだ」ということが周知されてきたり注目されたりしています。労働組合の相談活動をやっていますが、「労基署に行って聞いたんですよ」という件数がすごく増えています。ですから注目度と言いますか、それが飛躍的に高まっているのではないかと思います。働いている人たちの関心が労働環境に向いています。確かに政府主導の「働き方改革」ということで話題になり、働いている人もそういう感じになっていることは事実だと思います。そういうなかで一番最後の「個別労働紛争解決制度」ということで28年度の上半期だけで、例えば相談件数8%、それから相談ではなくて民事上の個別の紛争にもなるのだというものが9%増えています。助言・指導の申し出が16%増と。具体的に紛争調整委員会に出るのも10%以上の増加です。これは今までにないぐらいの伸び方ではないかと思います。やはり今労働者は労働環境に目がいっていて、「何とかしてください」というのが相当出ているという結果だと思います。

 それから3ページとの比較ですけれども、片方で「労働基準法に違反しています。ですからこれを是正していただきたい」と言って申告をするのが逆に減っているという相関関係にありますので、ここがよく分からないのです。

一つの質問になるのかもしれません。労基署全体でさまざまなことをやっているなかで、申告しづらいような環境を作ってしまっていると問題だと思います。個別労働紛争関係の相談数が増加しているが、労基署への申告・相談が減少している状況について、そのへんの関係です。もし、こういう関係ではないのか、というような部長自身が思われるようなことがあれば教えていただければと思います。

 それから労働環境を改善していくなかで2ページの特定分野における労働条件確保の推進について。相談とか申告が多いような業種に対しては、その業界団体の皆さんと改善を図るために産業の魅力を上げることによって人材不足もカバーしていただくというような取り組みを並行してやっていただく。これは非常に大事で、ここにあるようなことがターゲットだということは理解しています。先ほどの自動車運転者、介護労働者とか派遣労働者ということも分かりますが、特に申し上げたいことは非常に請負契約で就労する労働者が増えている現実の中での問題です。委託会社が受けて、そのなかで雇用者を使うことはいろいろな就労の仕方があっていいと思います。実は問題になっているのは個人請負者の増加というなかで「私は雇用されているはずなんだ」とか、「委託契約だけど、やっぱりその契約内容の遵守がなされていない。」との問題が多く発生しています。ここのところについてはもう少し強化をお願いしたいと思っています。経産省で11月に始まった検討会で「『雇用関係によらない働き方』に関する研究会」というものがでてきました。雇用ではなくて一人でそういうふうに働けという、いかにも挑戦的な名前の研究会だなと私は思いますが。昔でしたらベンチャーの育成とか起業家対策というような名前でやっていたことがまさに「雇用関係によらない働き方検討会」で個人請負や副業を増やそうということでどんどんやられて発展するような働き方は好ましくありません。これは労働者側からの意見ですけれども、こういうなかでやはりきちんと契約労働者に対しての対策を強化していただきたいと思います。そのことをお願いしたいと思います。

 もう1つ。新卒のことについてですが、新卒の方で女性が最初に職業に就くときにやはり正規社員ではない有期に就く人が半分を超えることがずっと続いています。いろいろな正規転換のところで努力をしていただいて一所懸命目標を立てて、またはお金をかけてやっていただいてやっていることは承知をしており評価もしております。しかし初めに自分が社会に出る一歩目に正社員になれないという女性新卒の人たちのことを重点的に企業の皆さんにご理解いただくような働きかけを強化していただきたいと思います。男性が多く働く業種とは違う業種のところに有期雇用の方が多いというのは実態としてありますので、やはり新卒からそういうことが増えるのかもしれませんが、やはり新卒を採るのは正社員で、というムードを高めていただきたいという要望をさせていただきたいと思います。

【佐藤会長】 ご意見とか、何かあれば。なければいいです。他に。どうぞ。

【會津委員】 15ページの左側2番、中小企業等での人材確保対策等の強化で職業訓練の強化とありますが、ぜひ強化していただきたいと思います。厚生労働省の行政事業レビューで建設労働者(育成助成金)と認定職業訓練助成事業費が今年度の公開プロセス対象事業に選定されました。予算削減の方向にあるのではないかと危惧をしているわけです。その点はいかがでしょうか。

【佐藤会長】 もしお分かりになればということです。なければあとになりますけれども。特に情報はありますか。

【藤村部長】 その回答にそぐうかどうか分かりませんが、実は行政事業レビューで私ども安定関係のマザーズハローワークが今回議題になりまして議論されています。聞くところによりますと、以前の行政事業レビューは無駄削減でやっていましたが、今は効率性、効果的かどうかというところを見ているようです。我々は安心したのですが、この建設関係の認定職業訓練について承知していませんので、また分かれば連絡したいと思います。

【佐藤会長】 はい。他にはいかがですか。よろしいですか。今回皆さまからご質問をうかがったということで一応審議会での議論はここまでにさせていただければと思います。あとは事務局のほうでお願いします。

【永野課長】 佐藤会長、ありがとうございました。それでは次回の第8期第5回の審議会は3月頃の開催予定としております。事務局のほうで別途日程について調整させていただきたいと思います。それでは最後に事務局を代表して渡延局長からごあいさつをお願いします。

【渡延局長】 本日は東京労働局平成28年度の重点施策の進捗状況についてご紹介申し上げました。委員の皆さまからはさまざまな角度からご質問・ご意見を頂戴したところです。頂戴した貴重なご意見については今後の行政運営に反映させてまいりたいと考えています。また、制度に渡るものでのご質問等については、のちほどお伝えできるものについてはご連絡を申し上げたいと思います。委員の皆さま方には引き続き一層のご支援をお願い申し上げまして御礼のごあいさつとさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

【永野課長】 では、これをもちまして第8期第4回東京地方労働審議会を終了させていただきます。ご協力ありがとうございました。長時間のご審議、大変お疲れさまでございました。これにて散会とさせていただきます。ありがとうございました。                               

(終了)

 

 

 

 

 

 

 

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