第7期 第4回 東京地方労働審議会(平成27年3月19日開催)
第7期第4回 東京地方労働審議会
1 日時 平成27年3月19日(木) 13時30分~16時00分
2 場所 九段第三合同庁舎 11階 共用会議室1-2
3 出席者
委 員 佐藤会長、尾津委員、梶原委員、野川委員、橋本委員
井澤委員、傳田委員、半澤委員、米田委員、
上原委員、川本委員、土屋委員、鰐渕委員
事務局 西岸東京労働局長、原口総務部長、吉田労働保険徴収部長、
神保労働基準部長、藤村職業安定部長、中村需給調整事業部長、
元木雇用均等室長
4 議題
(1) 平成27年度東京労働局行政運営方針(案)について
(2) 最近の労働行政の動向について
・地方自治体との連携
・公共職業安定所のマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組
5 配布資料
本会議資料(2414KB; PDFファイル)
資料1 地方自治体との連携(1335KB; PDFファイル)
資料2 HW総合評価(499KB; PDFファイル)
平成27年度 東京労働局行政運営方針(案)(528KB; PDFファイル)
平成26年度 東京労働局行政運営方針(4390KB; PDFファイル)
6 議事
【金田企画室長】 定刻より若干早めではございますけれども、ただいまから、第7期第4回東京地方労働審議会を開催させていただきます。委員の皆様には、大変お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
私は、冒頭の進行を務めさせていただきます、総務企画室長の金田でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、開会に当たりまして東京労働局長、西岸正人より御挨拶申し上げます。
【西岸労働局長】 東京労働局長の西岸でございます。東京地方労働審議会の委員の皆様方におかれましては、日頃から当局の行政に対しまして、ひとかたならぬ御支援・御協力をいただきまして厚く御礼申し上げたいと思います。また、年度末の何かとお忙しいスケジュールの中で御出席を賜りまして、その点につきましても、重ねて御礼申し上げたいと思います。
当審議会では、東京労働局が所管いたします業務に関します重要事項につきまして、調査・審議をお願いしております。本日は、平成27年度の行政運営方針につきまして、また最近の労働行政・動向につきましても、こうした審議をさせていただきたいと考えております。今年度、東京労働局といたしましては、「誰もが能力を発揮できる安心なTOKYOへ」ということでスローガンに掲げまして、各行政課題の解決に向けた施策を推進してまいりましたけれども、来年度におきましても、労働基準、職業安定、雇用均等、そして能力開発の分野を含めた行政機関といたしましての機能を十分に発揮しつつ、効果的な施策を展開してまいりたいと思っております。
本日の審議会におきましても、皆様方の忌憚のない御意見・御指摘をいただきまして、来年度の行政運営方針に反映させてまいりたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【金田企画室長】 続きまして、本日御欠席の委員の報告をさせていただきます。公益代表では金子委員、労働者代表では白川委員と浅見委員、それから使用者代表では蜂谷委員と渡辺委員がそれぞれ欠席でございます。したがいまして、本日の出席委員は13名でございます。これは、地方労働審議会令第8条第1項の規定に照らしまして、本会議が有効に成立しておりますことを御報告申し上げます。
次に、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。まず、平成27年度の行政運営方針(案)と平成26年度の行政運営方針、それから、第7期第4回東京地方労働審議会資料、1枚めくっていただきますと目次がございまして、その次から、1ページから22ページまでのものとなってございます。それから、別とじで資料No.1と資料No.2と右肩にふっているものを御用意してあります。御確認をお願いいたします。万一、配布漏れ等がございましたら、事務局まで合図をいただきますようお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、これより議事に入りますが、本審議会は、東京地方労働審議会運営規程第5条第1項の規定に基づきまして公開とさせていただきます。議事録につきましても、意見者名を含め、公開とさせていただきますので、御了承願います。
では、以後の議事進行につきましては、佐藤会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
【佐藤会長】 はい。それでは議事に入る前に、運営規程第6条第1項に基づきまして、本日の議事録署名委員を指名させていただきたいと思います。労働者代表は井澤委員、使用者代表は鰐渕委員にそれぞれお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
それではさっそく議題1、平成27年度東京労働局行政運営方針(案)について御説明いただいて、皆様の御意見を伺うというふうにしたいと思いますが、それでは、安定部長から順次御説明いただければと思います。では、よろしくお願いします。
【藤村職業安定部長】 着席のまま失礼します。お手元の資料の平成27年度行政運営方針(案)、これに沿って御説明をさせていただきます。まず、私からは安定行政の分野ということで重点対策の説明をさせていただきます。
2枚めくっていただきまして、目次をお開けいただけますでしょうか。目次の右側の上、第3、東京の労働行政の重点対策、ここの1番の職業安定の分野における重点対策ということで、11項目、重点対策が出ています。ここについて御説明をするということであります。
(2)番、(3)番、(4)番、それぞれ、正社員の希望者に対する就職支援、それと、人手不足の分野の関係の魅力ある職場づくりの関係、それと(4)番の地方公共団体と一体となった雇用対策の推進ということで、ここが27年度の新たな柱立て、あるいは変更を行って26年度から2項目増やしまして、11本で平成27年度の安定分野の重点対策を考えています。
時間の都合上、新しい事業であるとか強化充実するものを中心に御説明をさせていただきたいと思います。
先に26ページをお開けいただけますでしょうか。26ページ上になります、(1)番、マッチング機能の更なる充実・強化というところでございます。現在、雇用失業情勢、今、皆様御承知のとおり、1月の東京の有効求人倍率が1.67倍ということで、引き続き改善が進んでおります。27年度においても同水準で推移するものと考えているところでございます。こうした状況の中、この(1)で書いてあるとおり、27年度からはハローワークの総合評価が全国で導入されるということで、後ほど私のほうから議題で提出してありますので、改めて御説明申し上げますが、ハローワークが労働市場における需給調整機能の牽引役として、広くこれからハローワークの取組を公表させていただきまして、国民の理解を得ていくという制度でございます。この取組を通じて東京全体の職業紹介業務の質の向上に努め、マッチング機能のさらなる充実・強化に取り組むということでございます。
続いて、求人者サービスの充実・強化というところ、27ページをお開けください。ちょうど真ん中の「このうち、」というところを御説明申し上げます。都内ハローワーク17か所、この連携によって、オール東京で求人を充足させていく取組につきましては、東京労働局のマッチング強化事業、これによりまして、充足させるスピードを意識した紹介を行ってまいります。
また、広域的なマッチングの取組につきましては、就業場所が遠隔地である場合、あるいは全国のハローワークとしっかり充足の依頼を行うという状況の中、連携を図りまして、特に1都3県、首都圏広域調整会議を通じまして、隣接する他県のハローワークと相互に連携をとって、日常的に充足に係る取組をさらに推進していくということでございます。
(イ)の職業別充足対策、一番下、また書きになります。人手不足の職種のうち、介護サービスの職業についてですが、めくっていただきまして、具体的には都内5か所のハローワークに設置してありますハートフルコーナー、ここの設置のありなしにかかわらず、全てのハローワークにおいてもやはりツアー型面接会であるとか、介護関係の訓練修了者を対象とした面接会の実施に取り組んでいくというところが1点、それと、保育士につきましては保育士のマッチング強化プロジェクト、これに基づきまして、地方公共団体と連携を図りながら人材の掘り起こしにつながりますセミナー等々を開催して実施していくというものでございます。
続いて、求職者サービスの充実でございます。32ページをお開けください。このウの民間を活用した就職支援のところを御説明申し上げます。多様化する求職者ニーズに応えられるように、ハローワークの保有する求人情報を地方公共団体であるとか職業紹介事業者などに、オンラインによって提供するサービスというのが、今年の9月から本格運用ということになります。このオンライン提供に係る利用募集というのは通年で行われるということですので、地方公共団体であるとか職業紹介事業者などに対して適切な周知に努めていくというところでございます。
33ページのほう、お開けください。下の(2)、重点対策の2つ目に移ります。正社員就職に対する支援というところでございます。ここは、非正規雇用労働者につきましては、労働者全体の3分の1を超え、引き続き高い水準で推移しているということで、非正規労働者の雇用の安定であるとか、職業改善を図ることがますます重要という認識を持っています。このため、フリーターなどの正規雇用化のための支援拠点であるわかものハローワークにおいて、一人ひとり、ニーズに応じた支援を提供していくというところでございます。
34ページをお開けください。上のイの非正規雇用労働者の正社員転換、あるいは処遇改善の推進でございます。ここで、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを総合的に支援するため、「キャリアアップ助成金」の積極的な活用を推進してまいります。正規雇用への転換であるとか、人材育成・処遇改善などに取り組んでいる事業主についても支援していくということでございます。
同じ34ページの下、重点対策の3つ目になります。人手不足分野における人材確保と雇用管理改善、魅力ある職場づくりの確保でございます。求人者サービスのところでも触れましたが、人手不足分野への取組との連動した対策というところでございます。ここは、人手不足が顕著となっている福祉分野、(ア)の介護、(イ)の看護、(ウ)の保育という職業につきまして、地方公共団体、東京都福祉人材センター、介護労働安定センター東京支部、ナースプラザ、こういった関係機関と必要な情報の共有を図るなど、連携をより密にしたマッチング対策に取り組んでいくというところでございます。
また、35ページの下、(エ)の建設分野の職業でございます。ここは不足している建設労働者を確保・育成するために、求人要件の緩和、あるいは経験者、有資格者に対して求人情報の定期的な提供をしていくなど、未充足求人へのフォローアップを積極的に実施しまして、現場の見学会であるとか、わかものハローワークを中心とした、建設業の魅力を伝えるためのコーナーの設置など、「建設人材確保プロジェクト」を積極的に推進していくというところでございます。
36ページをお開けください。上のイの雇用管理改善の取組でございます。人手不足分野における雇用管理改善、魅力ある職場づくりにつきましては、私たちハローワークが積極的に事業主を訪問いたしまして、周知啓発を行って、好事例の収集を行うなどして、さらに事業主が抱えている雇用管理上の課題について関係機関と協力の上、相談・援助を行って、魅力ある職場づくりに向けた雇用管理改善指導に努めていくということでございます。
同じ36ページ、重点対策の4つ目に移ります。(4)番、地方公共団体と一体となった雇用対策の推進でございます。アクション・プラン、一体的実施事業を含めて、詳細は後ほど私のほうから改めて御説明申し上げますが、東京都とはさらなる連携強化を図りまして、協働して総合的な雇用対策を展開する必要があるということで、今年2月10日に東京都雇用対策協定を東京都知事と厚生労働大臣との間で締結をいたしました。この協定に基づきまして、非正規雇用労働者の増加であるとか、福祉分野の人材確保、高校中退者への支援等々で、雇用面においての諸般の課題に対して綿密な連携協力を図っていくということでございます。
38ページをお開けください。重点対策の5つ目になります。若者・子育て女性に対する就職支援でございます。(ア)の新規学卒者に対する就職支援、ここは御承知のとおり2016年、来年3月卒業の学生から、採用選考の後ろ倒しによって、未就職卒業者が増加することがないように、しっかり就職支援等々を積極的に開催するなど、中小企業支援も交えて支援を充実させていくということでございます。
また、39ページのcのところのちょっと下です。「さらに、」というセンテンスでございます。若者応援企業をはじめとして中小・中堅企業とのマッチングに重点を置いてまいります。学生が中小企業の魅力であるとかメリットを感じることができるよう、事業主団体等の連携によって、説明会等をセットにした企業ツアーであるとか就職面接会の開催など、中小・中堅企業の求人と未内定学生とのマッチング機会を積極的につくっていくということで、強化してまいりたいというところでございます。
41ページをお開けください。駆け足で申し訳ございません。ちょっと下段のほうの(イ)の若者に対する就職支援でございます。ここは、若者応援企業でのマッチング対策というのは、さきにお伝えした新卒者のほかに、フリーターに象徴する若年者への就職支援、ここも重要な課題の一つでございます。フリーターに対する正規雇用化に向けた取組としまして、昨年9月に日暮里にわかものハローワークを立ち上げさせていただきました。今年度も引き続いて都合都内3か所のわかものハローワークを中心として、フリーター、ニートに対するきめ細やかな支援をしていくというところでございます。
44ページをお開けください。上のほうのセンテンス、イの子育て女性に対する再就職支援の充実でございます。ここは平成26年、昨年の9月に渋谷にあります東京マザーズハローワーク、ここに続いて、都内2か所目の専門施設、マザーズハローワーク日暮里を開設させていただきました。27年度、新年度に入りましても、多摩地域の拠点としまして、マザーズハローワークを立川に新設する予定でございます。設置後は都内3か所のマザーズハローワークと6か所のマザーズコーナーによってしっかり、子育て中の女性であるとか女性の活躍促進に向けた支援拠点として、充実させていくというところでございます。現在まだ予算が成立していないので、なかなか委員の皆様を含めて、オープンがいつですということが言えないところ、恐縮でございます、よろしく御承知おきいただきたいと思います。
続いて、重点対策の6つ目、45ページをお開けください。ここの下、下段のところのイの、高年齢者の再就職援助・促進でございます。東京の昨年6月1日現在の高年齢者の雇用安定法に基づいた確保措置の実施、企業の割合というのが99%を超えております。こうした中で、このイにあるとおり、高年齢者の再就職の援助というのを、新年度強化してまいります。ハローワーク大森、池袋、足立そして立川の4か所に設置しました高年齢者総合相談窓口、ここを拠点としまして、きめ細やかな支援であるとか、助成金制度などの、高年齢者を対象とした各種支援施策を効果的に活用していくというところで、高年齢者の就職促進を図っていきたいと思っております。
46ページをお開けください。重点対策の7つ目、障害者の雇用対策の推進でございます。法定雇用率、一昨年の4月、2%に引き上げられまして、現在ハローワークでは、法定雇用率の未達成企業に対する啓発と指導、ここを強化しているというところでございます。また、今年の4月1日からは、障害者の納付金制度の対象が、常用雇用労働者100人を超える企業に拡大されます。特に、中小企業に重点を置いた指導・支援にさらに取り組んでいくというところでございます。
48ページをお開けください。(ウ)の障害者個々人に応じた就職支援の推進というところで、ここは障害者に対しては個々の障害特性に応じたきめ細やかな支援をしていくと。地域の就労支援機関等と連携して「チーム支援」によって、就職から職場定着までの一貫した支援を行うというところでございます。
49ページの下段のところになります。重点対策の8つ目、職業訓練の効果的な活用でございます。従来申し上げております正社員等々、求職者に対する支援で、公的職業訓練、あるいは国の求職者支援訓練、この誘導を積極的に行ってまいります。当該訓練実施機関であるとか、東京都等と連携しまして、訓練受講生の受講後の就職あっせん、ここをしっかり強化したいというところでございます。
ちょっと飛んで53ページをお開けください。9つ目の重点対策、雇用環境の整備のためのセーフティネットの確保でございます。アで書いてあります雇用保険制度の適正な運営を図っていくということで、ここは中でも54ページの中段のところにあります(カ)電子申請の利用促進でございます。東京局では、昨年の12月に五反田に集中化のセンターを立ち上げさせていただきました。電子申請利用率アップをねらっております。ここは、ひっくり返せば引き続き、利用事業主へのサービス向上に努めていくというところでございます。しっかり周知啓発しながら進めていきたいと思っております。
重点対策の10番目、55ページの(10)番です。ここでは、生活保護受給者あるいは外国人留学生などの就職支援、ここの取組を進めていくというところでございます。
最後、59ページになります。ここで書いている(11)番、計画的に数値目標を定めた業務展開を推進していくということで、ここが実はまだ数字が入っておりません。検討時間、経過軸の関係でまだ入っていないことをお詫び申し上げます。後ほど私のほうから、また議題でも触れさせていただくのですが、数値目標を設定した業務の進捗管理を進めていくというページでございます。就職件数をはじめとした3つの地方計画の策定項目を中心としました各ハローワークごとの目標に向けて取組を進めていくというところで、また後ほど御説明をさせていただきたいと思います。
駆け足になりました。安定行政分野における重点対策でございました。よろしくお願いいたします。
【佐藤会長】 では、続いてお願いします。
【中村需給調整事業部長】 はい。続きまして60ページのほうになりますが、労働者派遣事業ですとか職業紹介事業といったいわゆる民間の人材ビジネスに関する重点対策について御説明申し上げます。都内の民間ビジネスの最近の状況をまず御説明いたしますと、最近は非常に労働者派遣事業、職業紹介事業、新規の事業開始の許可申請が増えてきているという状況にございます。労働者派遣事業は、昨年度と比べると約2倍程度で、事業所数は都内で2万件を初めて超えるという状況になりました。それから、職業紹介事業に関してもだいたい新規の申請、昨年に比べて1.3倍程度、事業所数は5,600強というような状況になっております。
来年度の重点対策ですが、資料の2の(1)から(4)、重点的には、私たちとしては4点掲げております。まず1点目の(1)法制度の周知ですけれども、労働者派遣法、職業安定法につきましては、引き続き事業者・労働者の方々への周知に力を入れていきたいというふうに考えております。特に、平成24年の労働者派遣法の改正で、「労働契約申込みみなし制度」というものが創立されまして、これが10月1日からの施行となっております。内容としましては派遣先が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れているときには、その派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込みをしたものとみなすというような制度です。これは関わる方も非常に広範にわたりますので、派遣先となるところがこうした規程を知らなかったということがないように、周知を強化していきたいというふうに考えております。
それから、労働者派遣法の改正法案、先日、国会に提出されましたが、この法案が成立した場合には施行日が9月1日を予定されております。それに向けて集中的に周知に取り組んでいくということを予定しております。
それから2点目の(2)、民間人材サービス等に対する厳正な指導監督の実施でございますけれども、指導監督にあたりましては引き続き全国斉一的な指導監督、それから都区内の関係部室ですとか労働基準監督署、ハローワーク、あるいは他の労働局と連携に努めながら、的確・厳正に行っていく方針としております。ポイントとしましては、労働者派遣事業については3点書いておりますけれども、まず悪質な違反を行った事業主および違反を繰り返す事業主に対する厳正な指導監督ということを第一に掲げております。是正指導を行ったあともなお違反を繰り返す事業主ですとか、悪質な違反を行った事業主には、改善命令あるいは事業停止命令といったような行政処分を行っておりまして、今年度もすでに8社、行政処分を行ったところですが、引き続きこういった厳正な指導監督を行っていきたいと考えております。
それから重点的な指導監督項目といたしまして、いわゆる偽装請負に対する厳正な対応、それから違反が多発する業界に対する集中的な指導監督ということを掲げておりまして、特に二重派遣などが多く見られるIT業界などを重点指導分野に設定しております。
それから、職業紹介事業者に対する指導監督の徹底につきましては、引き続き、苦情などで多い職業紹介の際の労働条件の適切な明示といったことなどを重点的に指導を行っていきたいと考えております。
それから、6月には全国の労働局で、不正な求人広告に関する実態調査と指導監督というものを集中的に行うこととしておりまして、これにも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
それから、3点目の労働者からの申告・苦情相談への迅速かつ適切な対応でございますけれども、法違反の申告ですとか苦情相談の件数自体は昨年度に比べて減少傾向にありますけれども、引き続き一件一件、迅速・的確に対応していきたいと考えています。また、労働者の方々にはこれまでも派遣労働者セミナーということで、法制度の理解を深めるためのセミナーを実施しておりますが、来年度も引き続き、こうした労働者向けのセミナーを開催していきたいというふうに考えております。
それから最後に、許可申請・届出の迅速な処理ということでございますが、冒頭に申し上げましたように、東京は非常に今、事業所数が多いですし、申請などの件数も増えてきていると。それから、本社機能が集中しておりますので、事業運営上の各種手続きが非常に東京に集中している状況にございます。ですので、こういったもの、今後も増加していくということが見込まれますので、引き続き業務の効率化を図りつつ、迅速な処理に努めていきたいと考えております。
それから、そうした手続きの処理にあたりましては、必要な要件の確認というのは当然ですけれども、特に労働者派遣に関しましては、派遣労働者に適用の漏れが見られる雇用保険ですとか、厚生年金の適用状況、こういったものにもしっかり確認を行って、適正な事業運営を図れるように指導していきたいというふうに考えております。
以上、雑駁ですが、需給調整分野の重点項目です。
【佐藤会長】 では、続きまして基準部長お願いします。
【神保労働基準部長】 はい。労働基準の神保でございます、よろしくお願いいたします。まず、運営方針の全体版の情勢につきまして御説明をさせていただきたいと思うのですが、7ページのほう、御覧になっていただければと思います。7ページのただし書きのところでございます。昨年の労働基準関係法令違反、あと申告の件数でございますけれども、一昨年に引き続きまして減少しておるということでございまして、この数年間、年間5,000件以上、あと7,000件あったものでございましたけれども、昨年は5,000件を切りまして4,400件となったところでございます。
一方、労災の関係でございますが、9ページのほうを見ていただきますと、「一方、」と書いてございますが、脳・心臓疾患あるいは精神障害という事案に係ります労災請求事案、件数としては依然高水準で推移をしているところでございます。
また、労働災害の状況でございますが、8ページに書いてございます。こちらを見ていただきますと、死亡災害、残念ながら建設業を中心に増加をした結果は、一昨年と比較をして3割を超える増加となっているところでございます。また、休業4日以上の死傷災害のこちらにつきましても、飲食店、卸小売業、保険衛生業等で増加した結果、前年とほぼ同数となっておりまして、一昨年達成をいたしました休業災害減少の流れを定着できないという残念な状況となっております。
こうしたことから労働基準の分野では、2ページのところを見ていただきますと、一つの基本的な考え方のもと、3つの柱を立てて進めていきたいというふうに考えております。囲みのほう、2番目のところでございますけれども、基本的な考え方でございますが、事業主の皆様あるいは労働者の皆様方に、まずは関係法令をきちっと知っていただく努力をしっかりさせていただきたいと思っております。特に業種の区別なく広く適用される、影響の大きい事項で改正等があった場合につきまして、例えば地域別最低賃金の額の改正等がございました場合は、力を入れていきたいと考えておりますけれども、そのほかにも労働契約法に定める無期雇用転換請求権の発生の原則ですとか、その例外でございます有期特措法の規程、あるいは最高裁の雇い止め法令の関係、さらには改正労働安全衛生法によるストレスチェック制度の周知については、力を入れて取り組みたいと考えております。
その上で、法令の改正等を知っていただいて改善を行っていただければいいわけですけれども、改善を行っていただけない不適正な事案につきましては、迅速かつ厳正に対処をしたいと考えているところでございます。
次に各論の御説明をさせていただきたいと思うのですが、その下に書いてございますように、長時間労働の抑制、過重労働による健康障害防止でございます。先ほど、労災請求、高止まりしていると御説明をさせていただいたわけでございますけれども、やはりその背景には長時間労働、働きすぎという問題があると考えているところでございまして、この分野につきまして、来年度、最重点にして取り組みたいと考えております。
62ページのほうをお開きいただければと思います。従来、過重労働による過労死等の労災請求が行われた場合に、迅速に監督を行うということでやってまいったわけでございますけれども、それに加えまして各種の情報から、時間外労働が1か月で100時間を超えていると考えられる会社に対して、重点的に指導を行うということを考えてございます。脳・心臓疾患あるいは精神障害の発症という結果が出てからということではなくて、発症したという情報がなくても長時間労働というところに着目をいたしまして、監督指導を行っていきたいということでございます。その際、重大・悪質な事案につきましては、司法処分を含めて厳正に対処をしたいと、そのことによりまして指導の実効性も確保したいと考えております。
なお、前回の審議会におきまして過重労働の重点監督結果を次回御説明するとお約束してございました。こちらのほう、資料の17ページ、こちらをお開きいただければと思います。当局管内で昨年の11月、約380の事業場を対象に監督指導を行ったところでございます。そのうち、約84%の事業場で何らかの労働基準関係法令違反が認められたところでございます。主な違反につきましては、やはり違法な時間外労働というのが最も多いということでございまして、監督指導を行った事業場の5割を超えて違反が認められたところでございます。しかもその最も長い労働者の時間数が100時間を超える事業場の割合でございますけれども、4割弱という高い水準となっているところでございます。
次の18ページを見ていただきますと、是正・改善指導の対象となった事例を2つほど紹介してございますけれども、事例2のほうを見ていただきますと、飲食店の事例ということでございますけれども、調理部門の9割を超える従業員が月100時間を超える違法な時間外労働を行わせていたということでございまして、労働基準法違反を指摘するとともに、長時間労働の抑制等の指導を行ったところでございます。
なお、前回の審議会で御指摘をいただきましたように、働きすぎ防止につきましては、ただいま御説明をした労働基準関係法令の遵守ももちろんでございますけれども、法令を上回る取組を促すことも非常に重要だと考えているところでございます。
再び運営方針(案)の2ページのほうを見ていただければと思うのですけれども、一番目の囲みのところに、働き方と休み方の見直しを行って、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた働き方を普及・促進しますというところがございます。こちらについてきちっと推進をしていきたいということでございます。具体的には77ページ以下に書かせていただいているところでございますけれども、ワーク・ライフ・バランスの推進というところでございます。78ページ、79ページと書いてございますけれども、まずは主要な企業のトップに働きかけをすることに、中小企業につきましても働きかけや取組への支援を行っていきたいと考えてございます。
それから、67ページでございます。労働者の安全と健康確保体制でございます。こちらにつきましては、今年度に引き続きまして、東京都版の12次防計画を基本に据えて進めたいと考えてございます。東京都版の12次防計画、業種横断的な行動災害防止対策を掲げさせていただいているということで、後ほど御説明します本省の取組を先取りするものということで、ここをベースに対策を打っていくということにしたいと考えております。
ただし、当局版12次防計画に定める死亡災害あるいは死傷災害の目標を達成することを考えますと、問題があるところに集中的にどんどん投入していく必要があると考えております。そこで、昨年と大きく違いますのは、67ページのアのところを見ていただきますと、最重点対策ということで掲げさせていただきまして、死亡災害が多発している建設業、それから死傷災害が多発している小売業と飲食店、こちらを最重点で取り組むことを明記させていただいたところでございます。
また、それぞれの業種を最重点とするだけではなくて、それぞれの業種で重点的に減少させるべき労働災害の課題、例えば建設業ですと墜落・転落災害、こちらのほうを明記させていただいて、そのために、本省のほうでも墜落・転落災害を防止するための規制の強化ということが行われておりますので、そちらの法令改正の周知徹底を図っていきたいと考えてございます。
また、申し訳ございません、資料の16ページのほうを御覧になっていただければと思います。先ほど、本省のほうで行動災害についての指示をしているというふうにご紹介をさせていただいたのですが、こちらがそれでございまして、「STOP!転倒災害プロジェクト2015」というのを今年度、本省の指示もございまして、展開をしたいと考えてございます。今までは、どちらかと言いますと重篤災害を中心にやってきたわけでございますけれども、やはり休業災害を減らすためには、転倒災害が多いということでございまして、9,000件中2,000件ぐらい、転倒災害ということでございますので、こちらに的を絞りまして、業種横断的に転倒災害を防止するためのプロジェクトを一年間通じて行っていきたいと考えているところでございます。
最後、すみません、また運営方針(案)のほうに戻りまして、68ページのほうを御覧になっていただければと思いますが、健康確保対策の最重点、化学物質による健康障害防止でございます。当局でも胆管がんの労災認定があったということでございますし、発がん性に着目して、有機溶剤から10種類の物質が特定化学物質に移管をされた等々の規制の強化が行われておりますので、対象となる物質を扱っている全ての事業場に対して計画的に指導を行うこととしております。
私からは以上でございます。
【佐藤会長】 どうもありがとうございました。では、続きまして雇用均等室長、御説明お願いします。
【元木雇用均等室長】 それでは、雇用均等行政の来年度の重点について、御説明をさせていただきたいと思います。行政運営方針に入る前に、一応、均等法等、雇用均等行政関係の法律の施行状況について、このA4横長の東京地方労働審議会資料の19ページで御説明をさせていただきたいというふうに思います。
まず、男女雇用機会均等法の関係でございますが、相談件数、一番上の左側を見ていただければと思いますけれども、特に労働者の相談件数なのですが、今年の1月末の段階で1,609件ということで、昨年度末の1,413件より増えているところでございます。その内訳なのですけれども、真ん中の円グラフで書かせていただいておりますが、最も多いのがセクシュアルハラスメントの関係で996件となっております。セクハラの関係の相談件数、少し落ち着いたかなというふうに思っていたところなのですけれども、昨年度が831件だったものがすでに996件ですので、またちょっと増えてきているなというところでございます。
それと、最近よく問題になっております、妊娠等を理由とする不利益取扱いについてなのですが、314件となっておりまして、昨年度末段階が355件でしたので、同じかそれ以上になるのではないかなというふうに考えております。
それから、この相談等を端緒といたしまして、紛争の解決援助が申し立てられることがあるわけなのですが、その件数も今年は増えておりまして、昨年度が全体として39件だったのですが、1月末段階で45件で、それで2月に8件、3月でもすでに1件か、また、なりそうな件数も増えておりますので、たぶんここは50件以上になるのではないかなというふうに考えているところでございます。案件としてはセクシュアルハラスメントの関係が18件、それから妊娠不利益取扱いの関係が今現在で24件ですので、昨年度よりまた増えていきそうな様子でございます。
それから、育児・介護休業法の関係に移らせていただきますが、これも紫色の一番下が労働者の相談件数なのですけれども、1月末段階で1,023件、昨年度が1,276件ですので、だいたい同じような感じで進んでいくのかなというふうに思っております。その内容について見ますと、一番多いのが育児休業等に係る不利益取扱いに関する事案ということで158件になっております。ここでちょっと注目したいのは、右側にあります期間雇用者の休業関係事案ということで98件というふうな形になっているのですが、これが昨年度末では45でしたので倍増しておりますので、期間雇用者、有期契約者、非正規の方に、一定要件の非正規の方でも育児休業は取れるのですけれども、そういった方々に休業が与えられないというような相談が増えているというところでございます。
それに伴いまして紛争解決援助ですが、27年1月末の段階で全体で38件という形になっておりますが、育児休業関係の相談というか紛争解決援助というのは、4月に復帰時に相談が増えたり、それも紛争解決援助が増えたりしますので、1月末段階で38件ではありますが、すでに2月で4件、3月で5件というふうな形で申立てがありますので、やはりこの昨年度並みになるのではないかなというふうに考えております。
それから、20ページに移りまして、次世代育成支援対策推進法の関係でございますが、これにつきましては届出率は現状としてはそこに、左にあるところでございますが、実は問題は今年の4月に改正次世代法に基づいて届出をしなければいけないことに、延長になりましたので、その届出率がいくつになるかというところをちょっと注目していかなければいけないというふうに考えているところでございます。それと、くるみん、真ん中に認定企業数を書かせていただいておりますが、これは1月末で770社ということなのですが、2月末で、この一月で10社増えまして、現在780社というふうになっているところです。それと、改正次世代法が施行になりますと、このプラチナくるみんというものも制度として発足するわけですが、すでにこの制度についての御相談も増えているというところでございます。
それから最後に、パートタイム労働法の関係ですけれども、現行法の相談については企業側からの相談が多くて、だいたい件数的にはこういう感じなのですが、やはり改正パート法についての相談が増えておりまして、現在のところ合計1,226件ということになっているところでございます。
こうした法律の施行状況をふまえまして、来年度の行政運営方針なのですけれども、東京の労働行政の81ページの最後の行から始まるところが、雇用均等行政の重点でございます。毎年のように、一応、男女雇用機会均等の関係、それから両立の関係、パートタイム労働の関係、の三本柱で進めさせていただいているところですが、まず、82ページ、男女雇用機会均等法の実効性の確保のところでございますが、御説明申し上げたいのはやはりこれのウのところでございます。先ほども申し上げましたが、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについての御相談も、全国的には増えておりますし、東京もだいたい高止まりをしているというようなところでございます。
それで、また書きのところにもありますが、今年の1月23日に最高裁の判決をふまえまして、この「『改正雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について』及び『育児休業・介護休業又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について』の一部改正について」という通達が出まして、妊娠等を理由とする不利益はどうかについての基準が少し明確になったところでございます。したがいまして、それに基づきまして積極的に、もしも法違反がある事業所であれば是正指導を行っていきたいと思いますし、特に相談を端緒にした、特に継続雇用を望まれるような方々についての相談につきましては、こういった指導、それからまたは紛争解決援助の制度を適正に行使いたしまして、雇用が継続するようにやっていきたいというふうに考えているところでございます。
それと、均等の関係では83ページのイでございます。女性の活躍促進に取り組む事業主に対する支援、ポジティブ・アクションの取組促進というところでございます。ポジティブ・アクションの促進につきましては、今年度も含めまして、局長を含め職員が各企業に出向きまして、こういった女性の活躍促進についての取組をお願いしますということで取り組んできたところでございますが、これもまた来年度についても引き続き行っていきたいというふうには思っているところでございます。
84ページになりますが、これの真ん中あたりに「このほか、」というふうに書いておりますが、いわゆる女性の活躍新法、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」というものが現在国会に提出されておりますので、その審議が終了してもしも成立になれば、その周知・業務が年度後半から始まるのではないかなというふうに思いますので、これまで行ってきましたポジティブ・アクションに関する営業と併せて、この法律に基づきます取組について企業にお願いをしていくということが必要ではないかなというふうに考えております。この法律は、施行、一応28年4月1日という形になっておりますので、集中的に年度後半にやっていくこととしております。
それから、次に両立支援対策についてでございます。これのアの(ア)についてご説明をさせていただきたいのですが、これにつきまして育児休業法に基づきます行政指導をやっていくというところなのですが、先ほども申し上げましたとおり、期間雇用者についての御相談が非常に多いというところでございまして、ここの「特に、」のところでありますが、中小企業の労働者の育児休業取得割合が依然と低いところ、それから短時間労働者や派遣労働者の女性の継続就業率が依然として低い状況であることをふまえ、育児休業の取得要件等について周知徹底を図るとともに、そうした方々が利用しやすい職場環境の整備を図っていきたいというふうに考えております。
それから、両立の関係につきましては85ページの(イ)ですが、先ほど妊娠不利益と、これはもう地続きということで、育児休業等を理由とする不利益取扱い等についての厳正な対処、対応ということにつきましても、先ほど申し上げた通達に基づいて指導をしていきたいというふうに考えております。
それから、両立の関係では、先ほど次世代のことも御説明させていただきましたウのところでございます。人材育成対策の推進ですけれども、まずは27年4月1日施行の改正次世代法に基づきまして、届出が完全、要するに100%届出になるようにしていかなければいけないということ、それから、くるみん、それからプラチナくるみんの取得をしていただくように進めていきたいなというふうに考えているところでございます。
最後に86ページ、パートタイム労働対策の関係でございますが、これはとにかく改正パートタイム労働法が確実に履行・周知されるようにということで、本年度におきましても各種説明会を行いまして説明をしているところではございますけれども、来年になりまして報告徴収を行って、なかなかまだそういった改正法どおりのことが行われていないというようなことであれば、さらにまた周知を図っていかなければいけないなというふうに考えておりますので、ここの上のほうの5行目あたりにもありますけれども、重点を置いた報告徴収の計画的な実施等により法の履行確保を図るとともに、改正パートタイム労働法の積極的な周知・啓発を行うということで、進めていきたいというふうに考えております。
以上が雇用均等行政についての重点でございます。
【佐藤会長】 では、続きまして徴収部長お願いします。
【吉田労働保険徴収部長】 では、徴収部から27年度の行政運営方針について御説明いたします。86ページ、御覧いただきたいと思います。5番の労働保険適用徴収の分野における重点対策ということです。
東京労働局管内の適用事業場数で40万事業場がありまして、労働保険料の徴収決定額は全国の約3割を占めております。また、昨年度の収納率、これは一昨年に引き続きまして全国で第3位という結果がありまして、労働保険財政等におきます東京労働局の担う役割、これは極めて大きいものというふうに考えております。
徴収部の仕事といいますと労働保険の保険料の徴収ということになります。まず、労働保険保険料の確定の精算、それから概算の申告、そして保険料の納付という年度更新という業務、それから保険料を滞納している滞納事業場に対する督促、そして労働者を雇用しているけれどもまだ未加入の事業場に対する加入の促進、徴収部の仕事はこれらも淡々と着実に進めていくことになりますので、したがいまして平成27年度の重点対策につきましては、26年度とほぼ、ほとんど変わりなく変更ありません。引き続き収納率の維持、そして向上を最重点課題として続けまして、大きく、これからお話しします3点について取り組んでいきたいというふうに考えております。
まず、1点目が(1)の労働保険料等の適正徴収ということになります。労働保険料の徴収にあたりましては、費用負担の公平を期するために労働保険料の申告納付という年度更新を円滑に、そして効果的に進めていくということ、それから、労働保険料が正しく算定されているかというような算定基礎調査、これを実施していくということ、それから年度更新等の際にある申告書の受理コーナー、相談コーナーをはじめまして、各種説明会、そしてあらゆる機会を通じまして、労働保険制度、特に最近は雇用保険の被保険者の適用拡大がありましたので、この点を重視しまして周知・指導を推進してまいりたいというふうに考えております。
併せまして、平成27年4月1日から労災の保険率、そして一括有期事業に係ります労務費率というようなものが改正になります。この点につきましても事業主等に確実に周知を行っていきたいというふうに考えております。それから、口座振替制度も導入されておりまして、このへんのところ、メリットがあるのだということについても周知していくということと、それから滞納事業場に対します納付督励、特に財産差押えとか強制措置、このあたりを積極的に実施してまいりたいというふうに考えております。
2点目は89ページになりますが、未手続事業の一掃対策の推進という(2)のところでございます。27年度につきましては、26年度から取り組んでおります第4次労働保険未手続事業一掃対策の2か年計画の最終年度になりますので、法務とか国交省とかの関係省庁のほか、東京都とか年金機構とも情報を密にしまして、基本的に自主成立を促すというところになるわけですが、自主成立に至らないところにつきましては、職権による成立という形で手続きの解消に努めてまいりたいというふうに考えております。
最後になりますが、89ページの(3)番、労働保険事務組合の指導というところです。東京局管内の事務組合というのは、27年1月末現在で777組合があります。この事務組合の事務、委託事業場、これは全体で見て4割で16万事業場を占めている状況があります。事務組合制度というのは、労働保険料の効果的な徴収と、それから中小事業主の事務の軽減というような大きな役割があります。27年度につきましても事務組合の指導計画というものに基づきまして、個別指導とか研修を行いまして、事務組合制度の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。
また、労災保険の特別加入制度というのがありまして、やはり27年4月1日から、一人親方と海外派遣の特別加入の料率が変更となります。これらにつきましても、事務組合そして特別加入団体への周知と、制度の適正な運営を図っていきたいというふうに考えております。私からは以上です。
【佐藤会長】 では、総務部長御説明お願いします。
【原口総務部長】 それでは、私のほうから、まず総務部の所管事項でございます個別労働紛争解決制度とその運用、あと労働相談の分野における重点につきまして、お手元に配布してございます資料の最後のページになりますが、22ページ、労働相談の分野における重点につきまして、行政運営方針(案)の90ページを含めまして御説明し、そのあと引き続き行政運営方針の94ページ以下の第4、行政分野の連携事項、第5、行政展開とサービス向上の基本となる事項について、通して御説明申し上げます。
それでは、今申し上げました審議会資料の22ページを御覧ください。タイトルは、平成26年の個別労働紛争解決制度の運用状況でございます。この前の審議会におきましては、平成26年度の上期の実績に基づきまして御説明申し上げたところでございますが、本日御提出をさせていただいております資料につきましては、平成26年の1年間の結果となってございます。
まず左側の2とあります、黄色のところでございますが、労働相談件数でございます。平成26年は11万6,547件、前年と比べまして0.7%増加という形で、ほぼ同水準で推移しています。相談の全数のうち、下のほうのオレンジでございますが、個別労働紛争に係る相談件数につきましては、平成26年は2万6,808件となっておりまして、前年に比べまして0.1%減という形で、こちらのほうも大きな変化はございません。
次に、相談内容でございますが、右側のグラフでございます。平成26年も前年に引き続きまして、解雇に関する相談件数が減少しており、数字では5%になります。一方で、右肩上がりにいじめ・嫌がらせに関するものが大幅に増加しておりまして、伸び率といたしましては約20%になっております。
次いで、また同じ表の左側、一番下になります、水色のところでございます。労働局長の助言・指導の運用状況についてでございますが、助言・指導の受付件数は、25年度にやや増加いたしたところでございますが、26年度は平成24年と同数の595件という結果となってございます。また、6のピンクのところでございますが、紛争調整委員会によるあっせんの運用状況につきまして、あっせん申請、受理件数は2年連続減少ということになっております。御承知のとおり経済環境が改善する中で、解雇などの雇用維持に関する問題が減少する一方で、雇用の場において問題が発生しているということが増加していると受け止めております。
なお、今申し上げました資料につきましては、行政運営方針の6ページから7ページに書いてございますが、重複しておりますので説明は割愛させていただきます。
続きまして、行政運営方針の90ページを御覧ください。90ページの6というところでございますが、労働相談等の充実の分野における重点対策でございます。
まず、(1)労働問題に関する相談への適切・迅速な対応ということ、(2)個別紛争解決制度等の積極的な運用についてでございますが、平成27年度も引き続き、相談者の置かれている状況に配慮し、懇切丁寧な相談対応、個別労働紛争事案の場合には、適切に助言指導、あっせんによる解決・援助を図っていくとしております。また、相談員の資質の向上を図ると同時に、法テラスや東京地方裁判所等の関係機関との連携強化も図ってまいりたいと考えております。
次に、(3)、話は変わりますが、その下になります労働法制の基礎知識の普及促進についてでございます。今年度は、昨日時点の実績で申し上げますと、19大学27回実施いたしまして、参加者数は2,050人となっています。昨年に比べますと、特に参加者数が倍増しているという形で、普及促進を図っているところでございます。これから社会に出る若者が、労働契約法、労働基準法等の、働くルールについて理解を深めるとともに、適切な職業選択と豊かな職業生活を送ることは、安定した労使関係を維持することとなり、経済を支える上で必要不可欠なことと認識しておりますので、平成27年度につきましても、引き続きこれを実施することとしております。
それでは、引き続きまして94ページをご覧ください。先ほど来、各部長が説明申し上げておりますが、東京労働局の各部室が連携して行っていく施策というのはどのような形になっているかということで、1から7まで項目を挙げてございます。
まず、1の労働条件の確保、雇用の安定等のための総合的施策の実施につきましては、人手不足業種の雇用管理の改善に向けまして、労働局、監督署、ハローワークが積極的に連携するという形となってございます。
2の女性の活躍促進、3の仕事と家庭の両立支援対策の推進、および4のパートタイム労働対策の推進につきまして、先ほど均等室長が御説明申し上げましたとおり、主体といたしましては雇用均等室でございますが、男女機会均等法等の3法に関わる法違反の事例を、監督署、ハローワークが把握した場合には、速やか提供し、適正に処理する。そのほか、均等室で地方自治体等と各種支援制度の普及促進に向けまして、周知等々を図ることとしております。
5の派遣労働者の保護および就業条件の確保対策の推進につきましては、需給調整事業部と労働基準部での共同監督などを連携し実施いたしまして、指導監督を行うこととしております。6の外国人労働者の対策推進につきましては、外国人に対しまして労働条件面におきまして、国籍による差別が禁止されているということは当然でございますが、そのような責務を的確に把握されていない事業主もいらっしゃることがございますので、事業主に対しまして、労働局、監督署、ハローワークが連携いたしまして、労働関係法令の遵守を徹底したいと考えております。
7番目の労働保険の未手続事業一掃対策の推進につきましては、先ほど徴収部長が御説明申し上げましたが、第4次労働保険未手続事業一掃対策2か年計画を着実に実施するために、労働局、監督署、ハローワークが連携いたしまして推進することとしております。
次に、98ページ以下の行政展開とサービス向上の基本となる事項についてですが、1の地方公共団体との連携による地域に密着した行政の展開につきましては、行政ニーズに即応した労働行政を展開するために、特に近年はハローワークの、先ほど担当部長より御説明ありましたハローワークの求人情報のオンラインの提供であるとか、一体的実施、アクション・プラン等、国と地方公共団体とが連携・協力して政策目的を果たしていく機会が増えてきております。このため、機会を捉えまして、東京都知事をはじめといたします都の幹部職員であるとか、区市町村の首長、さらには特別区会、市長会等を積極的に訪問いたしまして、労働局が行っている施策の内容、東京都の情報提供をいっそう充実してまいりたいと考えているところでございます。また、地方公共団体は公共事業の発注機関といたしまして、労災防止上、重要な役割を担っておりますので、東京都や特別区などの基礎自治体との緊密な連携を図ることとしております。
さらに、労使団体とも定期的な協議の場を設定するなど活発な御意見等を賜るよう、地域の関係者が労働行政に対して理解を深めていただけますよう努めるとともに、当審議会におきましても、公労使より貴重な御意見を賜り、行政運営に的確に反映するように努めることとしてまいります。
98ページから99ページになります。ほかの労働局との積極的な連携のところでございます。労働行政は全国ネットワークにおいて業務を展開する行政となっておりますが、経済・労働市況の規模が極めて大きく、企業の本社機能が集中していることなどの特徴を有しております東京におきましては、労働局として果たすべき役割の大きさを認識しつつ、労働局内の各部局・部室が隣接県をはじめほかの労働局と積極的に連携し、全国的視野を持って施策を推進することとしております。
その下には、労働基準行政、安定行政、均等行政と個別に連携施策がございますが、ここは説明を割愛させていただきます。
続きまして、100ページからでございます。総務部の特に管理部門としての業務となってございます。見出しのみ申し上げますが、3の積極的な広報活動の実施、4の保有個人情報の厳正な管理、5の情報公開制度・個人情報保護制度への適切な対応、6の綱紀の保持、7の防災対策、8の会計経理の適正な執行とコスト削減の取組、9の事務の簡素合理化と業務運営の重点化、10の研修の充実、以上につきましては国民全体の労働行政に対する理解と信頼を損ねることがないよう、行政上の業務に適用される法律、業務規程等に従いまして、適正に行われますよう、また、都内の利用者の方々へのサービスが一層充実・向上するように努めてまいりたいと考えています。
簡単ではございますが、説明は以上でございます。
【佐藤会長】 最後に、西岸労働局長。
【西岸労働局長】 それでは最後に全体のまとめ、スローガン等について御説明したいと思います。この行政運営方針の表紙の次のページをお開きいただきたいと思います。御説明する前に、もう一つ26年度のこの取組をもう1ページ開けていただけないでしょうか。26年度につきましては、最重点目標とその取組が書かれています。3点ございますが、見ていただいてもすぐわかりますように、1点目が職業安定行政、2点目が基準行政、3点目は均等行政という形で整理されております。
労働局の組織体制を念頭に置いたものとすれば、これは1つのわかりやすい形であるのですけれども、親和性の高い施策を、組織ごとに整理するという形で進めたと思いますけれども、本年度につきましては、見ていただたくとわかりますように、組織ごとではなくて東京労働局全体として、所管する施策とか組織を有機的に活用してどういうことを目指して効果的な行政をしていくかという観点から、先ほど各部長から御説明いたしました施策等を俯瞰いたしまして、そこにありますように3つの観点に整理しております。
1点目は、将来に希望と意欲を持って働くことができる良質な雇用の創出・確保ということでございまして、経済・雇用情勢は好転しており、改善基調にございますけれども、数字的な改善のみではなくて質的な向上、つまりは将来に向かって希望・意欲を持てる働き方、あるいは職場の創出を求めていくという姿勢を社会が求めているのではないかということでございましてこう整理いたしました。
主な実施事項といたしましては、下に書いておりますように、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現、あるいは次世代の支援、そして良質な雇用機会の増大と自らの職業能力を高めること、あるいはハローワークを中心とした労働市場の整備と、こういうことをもってこの概念を実現していきたいというふうに思っています。
2つ目は、豊かで活力のある社会にふさわしい公正な働き方の確保ということでございます。公正な働き方、これは安心あるいは安全というものをもたらすものだと思いますけれども、このことが確保されるということが成熟した豊かな活力ある社会、これを形成していくということのためには不可欠ではないかということで整理したところでございます。
具体的なものは、実施事項といたしましては、最低基準を定めた労働基準法を、あるいは労働基準法に限らず、先ほど需調部長が説明したような例えば派遣関係、そういういろいろな労働関係法令の遵守というのを徹底していくと。で、もし不適切な事案があればそれに対する厳正な監督、あるいは指導監督を行っていくということです。そのほか、個別的に長時間労働の抑制とか労働災害の防止であるとか、最低賃金の履行とか、労災補償の適正給付、あるいは労働紛争の未然防止、適切な処理というようなこと、こういうことをもって、この概念を達成していきたいと思っています。
3つ目は、希望する全員が参加し、活躍でき、尊重し合える労働環境の整備でございます。少子高齢化が進展する中で、一方、景気回復による人手不足も高まってきております。人手不足をどうやっていくかということも考えておりまして、こういう状況のもとで、何よりもまず御本人たちのどうやって自己実現するのかがございますが、同時に女性の方のみならず、若年者、高齢者、障害者、生活保護受給者、あるいは外国人といった、そういう方が労働市場に参加をし、活躍でき、さらに加えて、お互いを尊重し合いながら働けるという労働環境を整備することが、人材確保にとどまらず、社会に多様性を持たせまして、柔軟かつ強い働き方ができるのではないかということで考えております。具体的な、主な実施事項といたしましては、若年者の正社員化であるとか、女性の活躍促進であるとか、高齢者の就職促進、あるいは障害者に対する就職から職場定着までの切れ目ない支援、あるいは生活支援と一体となったワンストップ型の就労支援、そしてまた外国人留学生の就職支援などです。
こういう形で、27年度につきましてはそういう機能的な観点から少し整理してみようかというふうに考えております。
最後にスローガンのことです。これは表紙を御覧いただきたいと思います。「誰もが公正に希望を持って働けるTOKYOへ」と、これは2ページ目で御説明いたしました3つの柱、ここに施策を書いてある3つの柱をさらに集約したものという形で、おのおのについてのキーワードを入れ込みまして、3つの柱をまとめた形にしました。これにつきまして、以前お配りしたときに表紙のスローガンだけ書いていなかったかと思いますが、考え方としては、今、表紙の次のページのところにあった3本の柱をもとに作ったところでございます。
以上、各部長からもるる申し上げましたけれども、より良い行政運営方針にしてまいりたいと考えております。ぜひ委員の皆様方の忌憚のない御意見を賜りたく存じます。よろしくお願いします。
【佐藤会長】 どうもありがとうございました。これから運営方針について御質問なり御意見を伺うというふうにしたいと思いますが、一応確認で、運営方針を作る目的というのは、基本的には来年度、局あるいは職員、これに即して行政を担っていきますよということを、対外的にもこういうことをやりますということを説明するものでいいですか。
【西岸労働局長】 はい。
【佐藤会長】 それで、審議会で一応御意見を伺うけれども、決めるのは局で決めるということですね、最終的には。ここで決めるわけではなくて労働局が決めるもの、最終的に、でいいですか。
【西岸労働局長】 そうです、最終的には。
【佐藤会長】 そうだよね。ここでは皆様の御意見を伺って、局が決める。
【西岸労働局長】 ええ、できる限り御意見をふまえて対応したいと思います。
【佐藤会長】 ということのようですので、まず最初に御質問を先に伺って、そのあと運営方針、こういうふうな少し強調、このへんがいいのではないかという御意見を伺うようにしたいと思いますので。まず確認とか御質問があれば先に伺えればというふうに思います。
【傳田委員】 ちょっと質問。
【佐藤会長】 はい、どうぞ。
【傳田委員】 どこだったかと思って探していました。質問でよろしいのですよね、単純な。
【佐藤会長】 ええ、単純な。ここ何ですかということを先に伺っておいて、御意見をお伺いしたいと思います。
【傳田委員】 1か所だけ、障害者雇用のところでちょっと。目標というのが34.4と言われたところがあったと思うのですけれども、それでその数字というのが。
【佐藤会長】 なんかありましたね、未達成のところのというやつですね。どこだっけ。
【藤村職業安定部長】 46ページ、下です。
【傳田委員】 そうですね。ここの34.4というのがちょっと、具体的に書いてあるのですけれども、これは何の数字、目指すということなのですけれども、プラス何かの率ということですか。
【藤村職業安定部長】 障害者の雇用率が、実は東京は雇用率が1.77%ということで、全国に0.03%、ただ、一番やはり東京で課題なのは、この雇用率を達成していない企業の割合が全国で47位。ダントツなほうで一番ビリ。だから、そこのところをどう払拭するかというところで、実はお手元の審議会の資料、ちょっと御覧いただきたいのですが、6ページ、この下段のところで障害者雇用対策ということで、雇用率はこういう状況で推移しています。右側の折れ線グラフを御覧いただくと、東京、本社機能が集中しているということで、東京に1,000人以上というのが2.02%と非常に高い中で、左側にあるように雇用率達成企業割合の30.3%というのが、去年の6.1報告の状況なのです。
内訳を見てみると、また右側の折れ線グラフの下の黒い線、これが東京、50から290人、やはり50人に2%雇用率が上がったときに、参画してきた50人規模の企業が、雇用、割と1人とか達成していないというのは多いものですから、ここが非常に東京のネックでして、ここをなんとか、行政運営方針に戻ります34.4%ということでここを目指していくことによって、雇用率未達成企業が減ってくる、平均以上になってくると。そんな逆算方式でハローワーク17所のほうにも、あと1人雇用する、なんとか達成企業が増えていくというところをねらったものです。
【傳田委員】 そのために設定したのはよくわかるのですけれども、34.4というのは35でもないし30でもないし、どうしてそれが出たのかなというのが極めてあれなものですから、説明するときも、みんなこれで出そうよというふうに、34.4と僕らも言わなきゃいけないとすると、少し言いにくいなと、そういう感じを持ったので質問させてもらったのですけれども。
【佐藤会長】 よろしいですか。では、ほかには何か。今みたいな、ちょっと確認というか。どうぞ、上原委員。
【上原委員】 この案の3ページのところ、中段で(2)の前、構造的な人手不足問題の影響が非常に大きいということで、何か新聞なんかでは働き手が毎年20万人ぐらい減っていることが報道されています。それからその下の、一方で若者については平均より失業率が高いというのが書いてあって、それからもう一つ、5ページの(7)の職業訓練のところで、今度、充足率が、求職者支援の申込者が減っていて70%ぐらいだというふうに書いてあって、このへんの関連というか、要するに職業訓練なんか、もうしている時間がないよということなのか、何か数字が同じ方向を向いていないような気がするので、そのへんは少し深掘りしたらいかがなものかなというのが一つと、もう一つは、企業側にマイナンバーというのが相当求められてきて、このへんが雇用のほうでどんなふうになってくるのか、少しどこかに触れられたほうがいいのではないかなというような気がしたので、その2点です。
【佐藤会長】 では、もう内容に入ってきたのですけれども、今の関わるところで。
【藤村職業安定部長】 では、1点目のほう。今、御指摘のとおり、非常にその案件については、そうしたいくつかの案件が出てきていますので、一概にこれという回答は出ません。ただ、ハローワーク東京のほうでは、トレンドとしては求人が増加傾向にあるのは来年度も間違いない、それと求職者が減少にあるのも間違いない。そんな中で、やはり我々、学生の支援もしているものですから、そういうことから考えると、少子高齢化の中で、東京に大学が200~300あると。そうすると、やはり後ろ倒しの問題で、いろいろ中小企業のほうのお声を聞いていると、人手不足感というのは強く現れてきていると。
で、この若年の雇用状況についても、やはり中退者も含めて、社会に出たところでしっかりと定着してもらうことを主眼としながら、企業のほうでも雇用管理を改善して、しっかり魅力あるものとして進めていただきたいというところでございます。
そんな中で、いわゆる訓練の話が一点出てまいりました。実は資料のほうの、7ページをちょっとお開けください。右側の上のほうのところになりますが、訓練はおおむね公共職業訓練、東京都の訓練です。それと、求職者支援訓練、この2つの分野で、実は27年度計画数は、公共職業訓練はほぼ26年度の実績と同じぐらいの数字で計画を持っています。
ところが、国の求職者支援訓練については、二十数%下げて、東京の場合は9,540件の訓練の計画ということで、大幅に下げました。この影響というのは、だいたい非常に企業のほうが採用したいというニーズが強いということ、それがハローワークの求人に現れております。
これが一概に言えるかどうかわかりませんが、昨年は90点の合格点だったのが、70点で入れると。このことは、委員の皆様に非常に失礼な言い方かもしれないのですが、そういう傾向が窓口で現れているというのも一つの要因でして、必要な者についてしっかり訓練へ入れていくというところで絞り込んでおります。雑駁なことで申し訳ございません。
【佐藤会長】 マイナンバー、厚労省でないにしても何かあれば。
【原口総務部長】 マイナンバーは、労働行政ですと労災、雇用保険、徴収の関係にあるかと思います。何らか一部方針が示されていることもありえますし、周知広報をしっかりやるなど、書き込めるのかちょっと検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
【佐藤会長】 それでは、内容について御意見なり要望等を伺おうと思うのですが、一応、これを見ると安定のところが一番多い、次が基準、量的に。なので、安定部長を少しお休みさせようということで、安定を除いて、まず基準とそれ以外のところから先に御意見を伺おうというふうにしましょう。安定はその次にやりますから。
【傳田委員】 すみません。最後に局長が御説明いただいたところになりますけれども、スローガンとそれから中身の目指す行政方針というところで、3番目に、不勉強で今一般的に言うのかどうかということで、希望する全員がと、こういうふうになるのですけれども、これは表の、前は誰もが公平にという意味になりますよね。で、希望する全員がというのが、正社員転換を希望するだとか、65歳までの雇用延長を希望するだとか、女性の方がもう一回職を希望するとか、いろんな希望するというのはあるかもしれないのですけれども、今まではずっと全員参加のということで書いてあるので、そちらに例えていうのですけれども、どこかで何か議論したことがあったのかもしれませんけれども、希望するというその意味がどういうふうな関係であるのかというのを教えていただければと思うのですね。
ただ、全員が参加をすることもできるし、全員が活躍というのもおかしくないし、希望しない人は尊敬し合わなくていいのかみたいな、どこにどういうふうにかかるのかということも含めて教えていただきたいのですけれども。お願いします。
【原口総務部長】 今、委員がおっしゃいました形の希望するという、全員が正社員ではない、そういうことは前提にはやはり意思というか、労働市場に参加する、何らかの働くということを通じて参加するというのが前提なのですね。ですから、そういうことを、労働市場に参加するということを希望する者であって、ちょっと角が立つかもしれませんが、あまり働きたくない方を無理無理、全員参加型だと言って連れていくということは、そこはプロセスがあってやはりモチベーションを上げて労働市場に参加していただくというプロセスはある。
ですから、一応そこを、全員をそのようにするということも大切かもしれませんが、まずは希望するという方々が全員参加できて活躍ができる。で、お互いにそういう、ただ機械的に働くのではなくて、お互い認めながら働くという職場づくり、そういうことが大切ではないかなということで、今回はそこに書いております。
【傳田委員】 たぶんそういうことなのだろうと思いましたけれども、昨年まではしっかりと全員参加型の社会と、こういうふうに言葉があって、変わるならその意味合いがもう少しわかったほうが、私なんかは嬉しいなと思っておりまして、ちょっとそういう。
【野川委員】 関連して。
【佐藤会長】 はい、どうぞ。
【野川委員】 今おっしゃったような方向を生かすのでしたら、「誰もが」でいいのではないですかね。誰もが参加し、活躍でき、尊重し合えるということです。なぜかというと、「希望する全員」では、希望しない人は入らないことになってしまいます。「誰もが」といえば当然それは、「嫌だ」という人までは来ないのですから紛れがありません。そういうふうに書いたらいいのではないかというのが1つです。
ついでに意見を言っていいですか。
【佐藤会長】 はい、どうぞ、もちろん。
【野川委員】 この行政運営方針(案)のキャッチフレーズ。私は去年よりはずっといいと思っているのですね。去年は、「働く」も出てこないし、別に働くことと関係ないのではないかという懸念もありましたが、今年の案はそうではない。それで私の提案は、「公正に」の場所を後ろに持っていく。「誰もが希望を持って公正に働けるTOKYOへ」。なぜかというと、公正にが、この書き方だと「希望を持って」にかかってしまう可能性がありますが、希望を持つことは別に公正にでなくても誰でも持てるのですよね。そもそも公正にって何のために必要かというと、その次のページの行政方針にあるように、働き方でしょう。働き方は公正にならなくてはいけないのだから、それをやはり明確にしたほうがいい。だからそのためにも「誰もが希望を持って公正に働けるTOKYOへ」と。これだと紛れがないのではないかなというのは提案です。御検討いただければと。
【原口総務部長】 委員御指摘の、先ほどの2ページ目、誰もとある、希望する全員がというところを誰もがという表現に改めるべきではないかという御指摘は、そのようにさせていただきたいと思います。ちょっと、みんなでこんなことかなと思いながら書いたというのはあるのですが、中の人間だけがわかっていても仕方ないと思いますので、そちらのほう、誰もが参加し、活躍できるという形に。
で、公正のところでございまして、先ほど局長のほうからも御説明申し上げましたけれども、誰もがという一つの単語と、公正に希望を持って働けるという4つの順列、メッセージじゃなのですけれども、いろんなバリエーションが当然のごとく出てきたわけです。委員御指摘の公正に働けるは、確かにこの公正がどこにかかるかというのは部内というか局内でも、どこに持っていくかというのは議論がございましたが、確かにその働けるという、名詞にかかるところのほうがわかりやすい。そこのところは公正が希望にかかるのは変だと、ごもっともな御意見でございますので、そちらのほうに申し訳ございません。
【佐藤会長】 2つ目のスローガンも「公正な働き方」になっているものね。
【川本委員】 私も同じ意見です。下の枠のところにある言葉を集めてスローガンにしたのですよね。枠内では、公正な働き方だし、前のところは将来の希望というのがあるし、最後は環境ですから。公正な働き方のほうが、下の枠内ともマッチングすると考えます。
【佐藤会長】 あと、ついでに言うと、これは僕だけかもわからない、この一番上の雇用の創出・確保。普通、創出というと企業が雇用をつくるという話で使うよね。だから普通はこれ、雇用の確保でいいのかわからないのだよね。つくるわけではないでしょう、直接は。だから、良質な雇用の確保なのですよね、ここは厳密に言うと。こだわらないけれども。あまりハローワークが雇用をつくるとは言わないのではないかという気もしないではない。
【野川委員】 確かに、行政が雇用をつくるかと。
【佐藤会長】 わからないけれども開拓はある。だからひどいところは、もしかして「雇用の確保」でもいいのかもしれないとはちょっと思いました。ただ、あまりこだわらないけれども。
【川本委員】 厚生労働省も昔から使っている言葉ですよね。要するに雇用の創出や確保をする環境を整備していきますと言っているわけで、結局、やるのは企業なのですから、実際問題として。採用するのだって企業だし、したがって、環境をそのために整備していくという意味でしたら、あまり違和感はないのかなという気になるのです。特に、あまりこだわらないところです。
【佐藤会長】 そうですか。やはり企業のところは、中はあまり。昔はあったよね、企業の誘致だとかそういうことも含めて。あと、企業の創業とか。あまりそういうのが入っていないので。いいです。
では、ここはいいですか、方針。戻ってください。あまり、安定を除くと言いにくい。では、全部でもいいけれども、安定ばかりたくさん出るかなと思ったので安定をちょっと一休みして、基準とそれ以外での御意見をまず伺って、出なければもう安定も含めてにしたいと思います。
【傳田委員】 もう一つよろしいでしょうか。基準部長のほうから御説明いただいた長時間労働の抑制、過重労働による健康障害の防止をはじめとする適正な労働条件の確保とあります。お話の中にもありましたけれども、今後、不安のある制度の対応などについてもというようなお話がありました。
まさにそのとおりで、我々も今年の春はさまざまな労働時間短縮の取組を行いますけれども、生活時間の確保のためにもそのことが必要だという側面もワーク・ライフ・バランスそのものなので、過重労働対策というとすぐにこの規制になるのですけれども、生活時間も大事だからなというようなことを少し表現できるようなことも少し考えていただくのと、もう一つは、アドバイザーの方とかいろんな方々が御指導されていただくので、今、我々はけっこうインターバル規制の話をしょっちゅうしていまして、いろんな労使間の春の交渉の中でもそのことをいろいろと議論して、協定を結んだりとか、今しているのですけれども、そういう動きが出てきているし、今回の労働基準法の改正の中でも、書こうとして踏み込んでいませんでした。最初のところにはちゃんと載っているので、少し、こういうこともあるのだなと言ってイメージが湧くように、以上のところで言葉が一つ入っているのと入っていないのとでは違うので、そのインターバル規制って言わないのでしょうね、その場合は、だから。
【川本委員】 反対です。
【傳田委員】 反対ですか。
【川本委員】 労働基準法制の改正についての、労働政策審議会でも、使用者側はこの問題についてずっと反対しているはずですし、取りまとめの文章にも反対という言葉、あるいは労働側がそれを求めているという言葉で入れてまとめているはずです。したがって、これは行政としてどうするか、ここにまだ決まっていないことを、あるいは色をつけて書くことについては賛同しかねます。以上です。
【傳田委員】 我々はこういう取組もあるという一つ、悪いことではありませんので、取り入れてやっていただけるところがあればそれはそれでいい話ですから、こういうことも考えられるというような表現は、別に悪いことではないのかなと思って要望させていただきましたけれども。判断されるのは東京労働局ですから。
【神保労働基準部長】 いずれにしましても法令を上回った取組ということでございまして、各団体に御説明をしたときも、基本的にどのようなメニューをお選びになるかという、各企業がお選びいただくだろうなということで、そこは労働条件の確保とは違った形で取組をさせていただきたいと思いますので、表現については工夫させていただきたいと思いますけれども、そこを外さない形で記載をさせていただければと思います。
【佐藤会長】 一つ法令を上回る部分ということと、業態とか企業によってはそういうのが非常になじむというか必要なところもあると思うので、そういう資料はわかるように、御検討ください。
ほかには。
【土屋委員】 ちょっとよろしいですか。労働災害の防止で、今回、転倒災害プロジェクトを発足しました。確かに全産業の二十何%は転倒災害と、これは紛れもない事実なのですが、特にまた今回、東京労働局さんが挙げていただいたのですが、重点取組期間の2月は過ぎてしまったので、今度は6月、何か特別な催しというか、キャンペーンは張られるのですか。
【神保労働基準部長】 そこまでは具体的にどういうふうにするというところまでは詰まっていないのですけれども、6月は重点月間でございますので、それなりの取組をする、しなければ逆にいけないのだろうというふうに考えております。
【土屋委員】 今、特に第三次産業が一番多い。私、建設業ですけれども、建設業でも、1割の発生率です。不休災害も見てもやはりかなり多いので、やはりこれはある程度、高齢化社会の一つの現れかなというのも一因があるかと思います。その前に、職場の環境整備というのは一番で、段差をなくすとか注意表示をするというか、なくさなければだめだと思います。そういうのがまず一歩で、そういう事例を挙げていただくことと、また、9月は厚生労働省でも健康推進月間をあげています。そういうキャンペーンも取り込んで働く方一人一人の健康増進を図るためにいろんな取組もやるような施策を中に入れていって、全体で転倒災害の防止という組み合わせをしていただいたほうがいいかなと思うのですが。
【神保労働基準部長】 御指摘のように、今ちょっと考えておりますのは、御説明しなかったのですが、労働災害防止については年間を通じて切れ目なくやっていくことが大切だと考えておりまして、ただ、全く同じことをやりますとマンネリになってしまうので、それぞれの節目ごとでちょっと切り口を変えた形で、ただ、転倒災害にスポットを与えた形で取組をさせていただきたいと思っておりまして、御指摘いただいたことをぜひ参考にさせていただいて、取組をさせていただきたいと思います。
【土屋委員】 あと、建設業も特にきちっと指導してください。建設業の災害減少が図れず、ほんとうに頭が上がらなくて申し訳ございません。
【井澤委員】 同じく私も建設関係なものですから、とりわけ昨年の労働災害の増加で、労働局のほうでも分析されているとおり、ベテランの従事者なんかの死亡だったり、あるいは重大災害ですか、非常に複数の方が亡くなられるような災害が多かったというふうに認識していますので、やはりしっかり分析されている部分にスポットを当てて、取組を6月に向けて、年中行事だという話ですけれども、やっていただきたいというふうに思います。とりわけ、昨年のところでは50億円以上の現場を集めていただいての決起大会なども緊急で開催していただいたりということもありましたので、そういった取組も随時、状況に応じて入れていっていただきたいというふうに思っています。
現場の安全教育が、とりわけ不足しているのではないかなというのが、私たち組合の側からの意見ではありますので、やはり高速道路で火災が発生して亡くなられたというような、事故調か何かができて分析されていると思うのですけれども、たばこを吸っていたというような目撃証言もあったということを聞きますと、やはりきちっとした現場での安全教育の重要性というのを感じますし、私、組合でもそういった教育はやっておりますけれども、とりわけ行政とも、業界団体の皆様とも一体となった取組を進めたいというふうに思っていますので、そういったところもしっかりやっていっていただきたいというふうに思います。
【神保労働基準部長】 御指摘のように、建設業、非常に災害が多発したということでございまして、先ほども御説明をさせていただきましたけれども、例年と異なりまして建設業は最重点の一つということで明示的に掲げさせていただきましたし、先ほど御指摘のありました三次産業も、小売業、飲食店、こちらも最重点ということで、今までになく力を入れなければいけないということを職員にも指示をしておりますので、ぜひ今御指摘いただいた点を含めて取組に生かしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
【佐藤会長】 それでは、安定も含めてということでも結構ですので、全体の質問なり御意見があれば。
【土屋委員】 人材の育成ということで、建設業、縮小産業から基幹産業へと移行しています。しかし現状は労働者の確保が大変なのですけれども、行政のほうではいろんな助成金を出していただいているのですが、今回弊社でもやはり中小企業、要するに協力会社、そこが一つの母体として、ある程度の人材の育成・確保を進めていきます。そのためにはいろんな助成金、たとえば建設従事者確保育成助成金制度があります。そういうものの窓口を明確にしていただきたいと思います。
また先ほどのお話があったように教育が一番大切だと思うのですよ。で、先ほど文書の中で学生さんの労働基準法とかの勉強という話もあったのですが、そういうのは私はほんとうに、また逆に建設業界に入るのならば安衛法とか、それ以外も一緒なのですけれども、働くためには安衛法とかをみんな知っていただきたい。たとえば労働安全マネジメントシステムで言えば、安全文化をつくる第一歩かと思うのですよね。そういうふうにして学生の段階から教育が入るような、安全という分野をつくっていただければいいかなと思いますが、そういう部分も含めて、例えば事業協同組合の中で活動し学生の講義に行ったりまたやれるので、そういう窓口を教えていただければ、積極的に業界のほうも参加できると思いますので、そういう、切り口を教えていただきたいと思います。
【佐藤会長】 ほかには。全体について、かまいませんので。
【野川委員】 いいですか。運営方針案の90ページに、労働問題に関する相談に適切・迅速な対応をしなければいけないとあります。そして6の(1)、そこのアのところの(1)(2)(3)とあって、(1)に問題解決に資するよう関連する法令・裁判例等の必要な情報提供とアドバイス、とありますが、これ、できますかね。というのは、今非常に重要になっているのは民事的な知見なのですよ。昔の労基法だったらこれでやると違反ですよと、割と簡単なのですよね。8時間超えて働かすのだったら36協定が必要ですよと、すごく明確なのですが、今、必要なのはそうではないのです。労働契約法、御存じのとおり例えばハラスメントが起こりました、それから有期労働者の雇い止めが起こりました、そういう場合に、どういう判断が法的な観点からなされるかということをきちんと理解した上で、ここにあるようなアドバイスをできる職員がちゃんと備わっているかというと、私は不安なのです、はっきり申し上げて。
どうしても昔ながらの基準行政の枠組みの中で考えるので、法律の条文を見てこれだったら違反とか、これ、ここに書いてあるでしょうというだけでは済まないアドバイスが、今後とも非常に重要になるのですね。そういう観点から見ると、次の104ページの研修の充実ということを、私としては、飛躍的に充実させていただきたいのですね。
何と言っても、日本の場合には特に組合が弱くなってしまい、労使関係というものが非常に脆弱になってしまったことがあって、国民各層の労働法制に関する知識がもう絶望的なほどにないのですよね。こんなことも知らないのということを何度も言わなければいけないのですよね。そうすると、何か問題があって、これどう解決するのかなと言って労働局に相談に行ったら、なるほどこういう判例があって、就業規則を不利益変更するとこういうことになるのかとか、有期雇用にして雇い止めするとこうなるのか、ハラスメントといったってこの程度だと道義的な問題だけれども、これだと損害賠償があるのかと、損害賠償は本人だけではなくて会社にもいくことがあるのかとか、そういうことがきちんと理解されていれば、法的に解決するってそういうことなのだな、ということになっていくわけですよね。
だからそのためにも、労働基準法だけではやはりだめなのですよね。先ほど申し上げた職場の中で起こるさまざまな人格的利益の侵害であるとか、個人情報の侵害であるとか、解雇であるとか、そういうことについてきちっと教えられるという人材が、労働局にはもっと必要だし、みんながやはりある程度水準を上げなければいけないので、結論としてはこの研修の充実というところの工夫をかなりてこ入れしていくことが私としてはございますね。
【佐藤会長】 もう少し短期的という、中期的でということでいかがですか。現状はどうなっているかということ。
【野川委員】 去年の資料を見ると一応この一番最後に、こういう研修をやりましたというふうに、管理監督者研修とか、その他研修いっぱいあるのですけれども、いろいろあるのですが、労働契約関係とか民事的なことに関する研修が心もとないのですよね、どちらかというと。安全衛生とか雇用均等とか、業務に直結するから、そういう知識についてはもちろんいろいろ広くやっていますけれども、現実に職場で起こっている民事的な問題、これへの対応ができるための研修というのをもうちょっと検討していただければと思いますね。
【佐藤会長】 何かありますか。はい、どうぞ。
【原口総務部長】 2つございました。1つは学生に対する労働法の講義につきまして、私たち行かせていただいていますけれども、労働法なんて聞いたことはない、その前に労働基準法の名前すら知らないという学生さんたちを相手に、まずは労働基準法という、こういう法律がありますよというアウトラインを話し、最賃というのを知っていますか、アルバイトの方々の最賃というところから入っていって、そういう法律みたいなものがあるのですというところをお話しするだけでだいたいもう90分となってしまいます。だから、別に安全衛生法を全く無視して基準法だけをやっているというわけではなくて、いろんな労働者を守っていただける法律、こんなものがあるのですよという中に安全衛生法についても、資料にはあって、量はありませんけれども、説明させていただいく。ただ、そこで、短時間の中で学生さんたちがどこまで理解が深まるかというのは問題がありますけれども、一応、私たちが行っている講義というのはそんな形で行っています。
というのと、あと、労働基準法だけではなくて、最近ちょっと複雑困難化している民事については2つありまして、1つは職員の知識を深めるという意味では、労働局が主催とする研修はなく、本省が一括して職員を研修するという形で全国から集めてやるということがあります。今の職員のレベルが低いということであれば、より一層高度化するような中央研修について、総務部が担当でございますので、本省のほうにもお願いしたいとは考えます。
もう一つは、相談員自体は、民間の人事労務をされていた方々を採用という形でお願いしてやっておりますので、その点につきまして実は非常に詳しい方も多くて、ある程度の適切な対応はされているというふうに考えております。
【野川委員】 頼まれれば私とか橋本さんとか、言っては悪いけれども、1回1万円、2時間で講演したっていいですよ、特に民事的なことについての。
【佐藤会長】 どうぞ、川本さん。
【川本委員】 次の議題に行くと思いますので、時間があまりないかと思うのですが、今のお話で1点だけ。まず学生向けに今行かれているのですけれども、おっしゃるとおりだと思います。学生に対して、こんな法律があって、働くということに対して様々なものがあるのだなとわかってもらえればいいわけで、あまり細かな話だとわからないですから、多くの人は。で、詳しく知りたい人は法学部へ行くのです。そして、法学部出身で詳しい方たちが、例えば皆様の御職業に就くとか、あるいは民間に行っても人事労務でプロになって、そういう人たちがいろんな御相談に来た人たちに指導していくということに、やはりなるのだろうと思います。
それからもう一つ、今その実際指導していく立場のという意味では職員の皆様で、担当する方はより深く勉強していただきたいと思いますし、あるいは民間の方をまた御活用いただくとかいったものにしていただければいいと思います。ただ、注意しなければいけないのは、行政として受ける場合はとにかく公正性は担保しなければいけないということです。労働者側に偏りすぎても企業側に偏りすぎてもいけないわけですから、ほんとうの意味でバランスを持った方でないといけないし、そういう知識教育といいますか、経験教育みたいなのが必要なのだろうなというふうに思うという感想でございます。以上です。
【傳田委員】 今の点で1つだけ。
【佐藤会長】 どうぞ。
【傳田委員】 我々が連合のほうで調査して義務教育期間中に全く労働法令を教えてもらわなかったという人は36%ぐらいなのですね。あとの人は何らかしら聞いている、要するに義務教育の中で。ですから、あとは教え方の問題なので、我々はカリキュラムにしてくださいというのを一番言っていて、来月は東京都の教育長にそういう要請をするのですけれども、そういうのが一点、これはお知らせです。
ただ、学校教育の中で使っていただくというか、平成何年ですか、5~6年前に厚生労働省のほうで出されたものがあるのですよね。高校教育で使っていただくためのちょっと薄い、A4のこういうのがあったと思うのですけれども、全然リバイスされていなくて、実はほかのものからすると、説明とかそういうのが不十分だったりしているようなふうに見えるので、ぜひ今の流れの関連の中で、リバイスしていただきたいという要望があったということはどこかで伝えておいていただきたい。
【佐藤会長】 東京労働局でも以前つくったよね。毎年つくっているのかな。何かこう、簡単な労働法の解説、基礎知識みたいなのをつくっていたような気がした。
【傳田委員】 学校用、共通のやつでつくったのですか。
【西岸労働局長】 いずれにしてもそのあたり、今、本省でもわかりやすいものをということで作っておりますし、我々もつくっております。それに対しまして学校、大学等へ説明に行くときにはもちろん基本を説明しますが、基本というか、解雇はこういうふうに判断されるとか、そういうことについてもざくっと説明いたしますので、我々、大学へ行ったときにはそういう民事的な契約の話、あるいは解雇の話などもしております。
それから、先ほど川本委員がおっしゃった公平性について、要するに労働基準法みたいなものとか、契約というか民事的なものとか、労働相談はもともといろんなものが一発で来まして、その中で整理をしていって、権限行使が関わるものは各部署に分けて、残ったというか、いわゆる民事部分だけをということなので、セクションも権限行使のところとは全然別の形で、総務の中に企画室という形で置いて、民間の相談員、それから職員もいます。それからあと、場合によったらあっせん委員という形で学識経験者の方に入っていただいてやっている形にして、権限行使との分離はきちっとした上で、民事的にこういうルールがありますよということについて資料を提供しながら御説明するという形にして、そのあたりはるる意識しながらやっております。
【佐藤会長】 もう一つ議事があるので、だいたいよろしいですか。
それでは、今日委員の皆様から出していただいた意見で、具体的にスローガンのところ完成したわけですね。そういうことも整理していただいて、そのへん、どう直すかについては事務局と私で最終的に調整させていただくということでよろしいでしょうか。あと、これは来年度の方針ですが、たぶんやりながら考えなければいけないのもけっこう多くて、1つは大卒の就職、どうなっていくかわからないので、やはり就職時期が動いたことによって、来年の3月ぐらいに積み残しがワーッと出るかもしれない。だからそういうこともちょっといろいろあると思いますから、大卒について言えばそういうこともあれば、それで言えば適切に対応していきたいですし、国会でかかっている法律がいくつかあるので、それが通るとまた基準法しかり女性活躍新法しかり、きちっと広報していただいて、あるいはもう通っていて、この秋から、ストレスチェックはそうですね、これからというのはあると思います。そういう、100%ここで決められないこともあると思いますので、そういうことをふまえて来年度までやっていただければと思います。これはお願いです。では、そういう件でよろしくお願いいたします。
それでは議題の2ということで、最近の労働行政の動向についてに入りたいと思いますので、事務局から(2)の(1)(2)をまとめて御説明いただければと思います。
【藤村職業安定部長】 それでは、お手元の資料の後ろに資料No.1と2がございます。今の労働行政の状況について御報告かたがた、引き続き御意見も頂戴したい部分がございますので、私のほうから御説明させていただきたいと思います。
まず、資料No.1でございます。ここで労働行政の動きとしまして、地方自治体との連携、ここの標題にありますとおり、東京都の雇用対策協定とアクション・プラン一体実施の関係、2点について現在の取組事項等について御説明をさせていただきます。
資料をめくっていただいて1ページ、ここにございますのが、先ほど27年度の行政運営方針の中でも御説明させていただきました東京都との連携ということで、今年の2月10日に東京都知事と厚生労働大臣の間で締結いたしました、東京都の雇用対策協定となります。そもそも雇用対策協定とは、地域の雇用問題を解決するために、自治体と国である労働局との間で締結するといったものでございまして、共通の目的であるとか、あるいは両者が連携協力して取り組んでいく事項、そういった推進体制を定めたというものがこの締結の中身になっているというわけでございます。
この協定は全ての自治体の間で締結しなければいけないというものではございませんで、地域の実情により順次締結しているという状況で、現在全国の状況をお伝え申し上げますと21の自治体ということで、都道府県では9か所、それと11市1町、合計21の自治体で、労働局とが雇用対策協定を締結していると。この1ページでご案内している東京都の雇用対策協定でございますが、東京においてもこうした中、東京都からの提案を受ける形で、2月10日に締結にいたったということを御報告申し上げたいと思います。
通常、雇用対策協定は自治体と労働局の間で締結しているというものでございますが、東京においては首都であるということも鑑みまして、協定自体、先ほど申し上げましたとおり知事と大臣との間の締結といった運びになりました。この協定締結、大臣との間というのは全国でも初のというふうな状況でございます。協定の内容自体は、この資料1ページ、後ほど御確認をお願いしたいと思っております。
今後、この雇用対策協定に基づきまして、次年度、27年度以降、東京都と東京労働局が連携し協力して、取組を進めていくということになるのでしょうが、その連携協力した取組の大きな方向性といたしましては、2ページをお開けください。ここで、こういう概要であるということをお伝えさせていただきたいと思います。
現在、国とともに、国会あるいは議会において27年度予算の審議中、段階中ということもございます。詳細に確定的な中身についてお伝えするというのは、まだ動く可能性も若干なりともあるということで、御承知おきいただきたいと思います。お伝え申し上げましたとおり国のセーフティネットでの対応と、それと首都東京とのこういう各種の施策、これが都の連携を強化していくということで総合的な雇用対策を推進していくもので、大きくはローマ数字1にございますとおり、現行の枠組みによる対策の強化、それとローマ数字2にありますとおり、連携強化による新たな対策を実施するということで大枠を示してございます。
なお、連携強化による新たな対策といたしましては、非正規雇用労働者の正社員化、それと、人手不足分野での対応、新たに都内の都立高校の中退者の支援というものも検討しているという状況でございます。ローマ数字3にありますとおり、柱として3つ目、ここは東京都と東京労働局の間の情報の共有化をさらに進めて、この連携施策を盤石のものとして、利用者である企業あるいは住民、国民の雇用という分野でいろんな面からバックアップしていくという協定でございます。
以上がこの雇用対策協定に関する説明ということになります。さらに具体的な中身が進捗したり決まりましたら、こういう機会を通じながら委員の皆様方にもお知らせしてまいりたいと思います。今日は、この東京都と雇用対策協定を結んだという御報告を一点、私のほうからさせていただきたいと思います。
次に、基礎自治体との連携。東京都庁との連携は今お話ししたとおりでございまして、基礎自治体との連携ということで3ページ以降、アクション・プラン一体実施に係る事業について御報告をさせていただきたいと思います。この一体的実施事業、3ページにございますとおり、基礎自治体が実施している福祉の分野、それと、国が実施する雇用施策とが相まって、一体的に実施運営していくという取組になります。
まずは、事業の説明に移る前に、この事業を実施するに至った経緯というのを簡単に御案内申し上げます。資料ちょっと後ろに行きます、7ページ、8ページ、ここでこの事業の実施に関する閣議決定の内容を抜粋してそちらにお示ししてございます。7ページのところです。これは平成22年12月閣議決定におきまして、ハローワークの地方移管といった慎重に議論すべき問題はある中で、国が実施する職業紹介と自治体が実施する福祉等に移管する相談業務というのが、一体的に実施してみて、その成果課題を検証していくというところから始まったものでございます。
8ページを御覧いただくと、今年の1月に閣議決定をしておりますが、ここではハローワークの特区であるとか、あるいは求人情報のオンライン提供、そういった取組と併せて、この一体実施事業も含めて、今後その成果と課題をまた検証していくといったステップを踏んでいるという状況でございます。こうした経緯によって、東京労働局において23年の7月、実はいち早く新宿区長に手を挙げていただいただいたという経緯がございまして、ハローワーク新宿とタッグを組んで、区の福祉の窓口に併設する形で、一体的実施事業を開始させていただきました。
3ページにちょっと戻らさせてください。右側の黄色の下地が表にあるとおり、実は場所数が、この新宿との取組、ここを皮切りに、自治体からの意向を踏まえまして、順次この事業を拡大させていただいたというところでございます。結果、この26年度末で、下段にあるとおり都内22の市町村、22か所によってこの事業を展開しているという状況でございます。
4ページに移ります。この22か所の一覧を参考として付けてございます。19か所が生活保護受給者への対応型、下の3か所が一般求職者への対応型ということで御覧いただきたいと思っております。この事業についてはハローワークが、各自治体の庁舎であるとか福祉事務所の中に設置された常設窓口で、ハードの面でも一体的に職業紹介を実施したといった特徴がございます。
続いて、5ページ、6ページをお開けいただきまして、この事業の実績であるとか、自治体からの評価、ここをまとめた資料が6ページでございます。冒頭に経緯を御説明した際に触れさせていただきましたけれども、この事業については実施とともに成果課題の検証を行うということで、重要な位置付けというふうになっております。このため、私どもとしましても、この部分については本審議会の中で、公労使の皆様方、委員の皆様方から意見を頂戴できればということで、後ほど審議の時間の中でコメントをいただければ幸いでございます。
5ページから簡単に御説明させていただきます。この事業については、生活保護受給者の就労支援を実施するいわゆる生保型、それと、生活保護受給者に限らず、広く一般求職者に対して実施する一般型の2つの形態があるということで、資料左側が生保型における就職実績、平成23年度以降を記載したものであります。実施箇所数を順次拡大していくということで、全体の就職件数としては、23年度以降右肩上がりという状況でございますが、26年度については1月までの実績ということになりますので、御留意いただきたいと思っております。
また、実施年度ごとに棒グラフを階層に分けて記載してあります。これは何かと言うと例えば23年度に実施した施設、これが、棒グラフで青色の部分になります。自治体との連携強化であるとかノウハウの蓄積を背景にしまして、年度を重ねるごとに着実に実績を挙げているということが御覧いただけるというふうに思います。直近の実績については今年1月時点で、赤字で丸囲いをしておりますとおり、生保型で1,961名の就職、それと一般型、右側になります、こちらで1,778名の方の就職、右下、合わせて3,739人が就職されているといった状況でございます。
続いて6ページをお開けいただきたいと思います。この事業に対する自治体の評価であるとか、利用者の声をまとめたもので、結論から申し上げまして、悪い評価はないということで先にお伝え申し上げて、一定の評価をいただいているということで引き続きハローワークの働きに対して期待している部分もあるということでございます。
資料の一番上のマスが首長からのコメントの一部、品川区・足立区長のコメントを掲載させていただきました。これが期待の部分ということで御覧いただければと思います。また、資料の左下が各自治体に対して実施したアンケート、これは直近の2月に全国でアンケートを実施した際、東京の自治体の意見ということになります。いずれにしてもこの事業に対して肯定的な御意見を頂戴しているということで、しっかりした福祉と雇用のワンストップサービスを提供できる点において、この事業の評価をいただいているということを、御報告申し上げたいというふうに思います。
また、ちょうど真ん中のこのアンケートの下のところ、黒いポチで、就職支援ナビゲーターが福祉事務所内に常駐するということで、就職者の増加にもつながっていると、結果として保護費の削減にも効果があったという自治体もございました。それとあとは、左側にあるとおり1つ目のポチで、福祉事務所と同じフロアにハローワークの相談窓口があり、ケースワーカーや生活支援、この連携がしっかりとスピーディーに行えるということで、ハローワークのシステムをここにまた改めて置いたところがございましてリアルタイムの職業相談ができたということです。
就職実現された利用者からのコメントが一番右側で、ここに52歳男性の方、46歳男性の方のところがございます。特にこの43歳の女性の方は、2人の子どもとともに住む場所がなくなって生活保護の相談をされた際、思いもよらず大企業に就職することができたと。この経験と知識というのは、子どもの就活にも役立てたい、ここはどういう意味なのかちょっとわからないです、子どもの就活ということは生活保護とリンクしてほしくはないなというふうには感じながら、こんなコメントをいつもハローワークの職員が拝見させていただいているという状況でございます。
こうした利用者からの声もあるのですが、ほかにも自治体側から、担当のケースワーカーから利用者と一般に仕事探しに協力ができるようなとの、区の職員側からのいいコメントもございます。私も一昨年度までこの一体的実施事業を経験させていただきました。まず言えるのは本人の自立に向けて一歩を踏み出してくれるきっかけというのが一番大事だと。意欲喚起というところでございます。ここのところは一体的に福祉の窓口の中、区役所の中に入り込んで、いろいろ支援しているというメリットがございます。
以上がこの事業の実績、自治体からの評価ということになります。また改めていろいろその他の御意見も頂戴できればというふうに感じています。
続いて資料2のほう、こちらを御説明申し上げます。こちらはハローワークのマッチング機能に関する業務の評価・改善の取組ということで、説明させていただきたいと思います。この時間までいろいろ御説明をさせていただきましたいろんなハローワークのサービスメニュー、こういった取組状況の説明とは、これから説明する内容は少し異なっております。ハローワークのサービスをどのように管理・評価して向上させていくかといった、組織内部での取組について御説明をするという状況ですので、最初にお伝えを申し上げたいと思っております。
まず、資料の1ページをお開けください。この取組を実施するに至った経緯に関する昨年6月の閣議決定、「日本再興戦略」改訂2014でございます。この資料の下、点線囲みしているのが該当部分でございます。ハローワークの機能強化として、各所ごとのパフォーマンスを比較・公表等を行う仕組み、これを導入して、2015年度、この4月、新年度から実施することとされたのが、この閣議決定のきっかけでございます。今までもハローワークではいわゆるPDCAサイクル、これをもちまして、目標としている就職件数であるとか、充足数の管理をして、最終的にこうした機会をもって、東京都では15万件就職ができましたとさせていただいているのは、日々・週・月単位で各ハローワークの管理を行っているという実態があるからというふうに感じております。そうした観点から、この閣議決定を受けたこの取組については、全く新しい取組を実施するというものではなくて、今申し上げたとおりPDCAのサイクルによって大きく目標管理の手法をさらに拡大していくといった内容でございます。2ページがこの取組の概要ということで、字がいっぱい書いてございます。時間の関係上、この取組をどのように拡充したかという点を中心に、3ページ以降でこの取組のポイントを3つほど御案内申し上げたいと思います。
3ページを御覧いただきたいと思います。この取組はつまるところ、ハローワークのパフォーマンスをどう評価するかということになります。3ページがこの評価の体制ということです。ハローワークの目標管理は就職件数、充足数などのいわゆる業務に対する成果に主眼を置いたというところでございまして、3ページでいろいろ、左上の(1)、主要指標による評価、それがこれに当たります。先ほど私から、計画の中の黒ポチで数字が出ていません、申し訳ございませんとお話し申し上げました、安定分野の重点対策で御説明した内容、その中の地方計画策定項目と、これが就職件数を何ぼにすると、充足数をどのぐらいにすると、雇用保険受給者の早期就職の数をどうするか、この3つが全国統一した目標でございまして、この項目がここに該当するものでございます。
このほかに、補助指標による評価であるとか、所の重点指標による評価、それと所の重点項目に対する評価といった、各ハローワークが地域の実情に応じて設定できる指標であるとかサービスの質の向上に係る業務体制の取組といったものも、評価の対象として、総合的な視点からハローワークの評価を行うというのがこの事業でございます。資料にあるとおり、総合評価ということで、これが取組の1つ目のポイントでございます。
4ページをお開けください。ポイントの2つ目でございます。総合評価の方法でございます。この評価の実施方法として、単に就職件数が何ぼだという就職数値、反対の高い低いを見るというのではなくて、全ての指標をポイント換算しまして、ハローワークごとに合計ポイントで算出した上で、その合計ポイントをもって各ハローワークを比較していくという仕組みを導入していくというようなものでございます。各ハローワークを比較するにあたっては、全国のハローワークを業務・規模等によって11のグループに分けます。このグループの中で4段階の評価結果を出すということになっております。
こうした仕組みがポイントの2つ目、最後にポイントの3つ目でございます。以上の一連のプロセスというのを踏まえた上で、最終的には公表するというところでございます。各ハローワークの目標、その進捗管理、また、この4段階の評価結果などについては、ホームページの掲載により公表させていただくというのが、4ページの下の最終の1行で書いてございます。
資料の最後、ここで5ページ目に付いておりますのが、この取組の基礎となる27年度の東京労働局の全体としての数値目標でございます。今、数値として出ているのがこの主要指標、先ほども説明しました就職件数、これを27年度都内ハローワーク17か所をもって13万1,130件、求人充足件数も17万280件、それと雇用保険受給者の早期再就職の件数が4万3,700件ということで、ここを目標とするということで、今ほぼこの目標に沿って、細かいことへの目標管理の項目出しをしているといったのが、今の状況でございます。東京労働局では、この数字というのは、だいたい全国の目標の1割弱というところで、そういった規模感ということでございます。
以上、この取組のポイントを大きく3つほど御説明させていただきました。まだまだ手元へ具体的な内容が進捗されておりません。引き続きこうした機会を使って、委員の皆様方からいろんな意見を頂戴しながら、この評価、取組を進めていくと考えております。よろしくお願いを申し上げます。
【佐藤会長】 2つ御説明で、1つは自治体との連携で、都との協定、もう一つは実際は前から始まっていた基礎自治体との一体的運営ということで、福祉関係のところで連携しながら就業につないでいくという、これはかなり我々も見学する機会や見ていただいたこともあったかと思います。それとあと、もう一つはハローワークのパフォーマンス評価するという、これはたぶん厚労省で決まってもう来年度から動くということで、2つ御説明をいただきました。
まず最初は、2つあるので前半のほうについて、自治体の連携と具体的な一体的実施、これについて御意見。
【川本委員】 よろしいですか。
【佐藤会長】 どうぞ。
【川本委員】 ただいま御説明いただきまして、ありがとうございます。資料No.1の4ページから5ページに具体的にお書きいただいているのでこのへんを中心に御意見を申し上げたいと思います。
まず、雇用と福祉の連携といった、国と自治体がそれぞれのノウハウを生かした連携、つまりこの一体的実施事業が深まっているということで、地域住民へのサービス強化につながっているということを、高く評価をしているところでございます。また、生活保護からの脱却という点におきましても、各自治体の財政への貢献もあるという御説明もございました。このため、本事業につきましては、引き続き自治体や地域住民、労使の意見をふまえてサービス改善に努めつつ、より充実・拡大に取り組んでいただきたいと考えるところでございます。
また、目標管理を徹底しつつ実施をして、成果を挙げていくということが望ましいと思っているところでございます。
加えて、本事業を含めて地域における雇用対策の強化、それから地域住民へのサービス強化ということのために、国と自治体がそれぞれのノウハウやネットワークを活かした連携を、さらに進めていくべきと考えているところでございます。
で、話はちょっと変わってしまうのですけれども、過去に、ハローワークは都道府県に移管すべしといった意見が多く聞かれた時期がございましたけれども、良い機会ですので、これには反対であるとの旨を改めて申し上げておきたいと思います。ハローワークは全国レベルでのネットワークを活かした就職支援を行う機関でありますし、また、雇用保険業務を所管しているということですので、現状においては移管すべきではなく、引き続き国が責任を持って実施すべきであると考えておる旨、表明しておきたいと思います。以上でございます。
【佐藤会長】 前半について、一体取組の評価と、あと、ハローワークと業務の関係で、都との関係もそうですね、基本的には、今、川本さんが言われたようなものを前提にしながらどう連携するかということかなというふうに思います。
はい、どうぞ、上原委員。
【上原委員】 質問なのですけれども、資料1の4ページにはそれぞれの区や何かから出てきているわけですけれども、名前がみんな違うのですけれども、その。
【佐藤会長】 施設の名前ね。
【上原委員】 ええ。統一する必要はないのかというのが1つと、これを展開すると、例えばそれぞれの区や何かに、国から例えば助成金が出るとか、そういう予算措置みたいなのはあるのかというのが1つと、もう一つは6ページの、四角があって真ん中の四角の下の黒ポチの就職支援ナビゲーターというのと、いわゆるキャリアコンサルタントとの言葉の差があるのかどうか、そこを教えていただきたいと思います。
【佐藤会長】 はい。では、どうぞ。
【藤村職業安定部長】 まず1点目の名前でございます。実はこれ、各区のほうが、提案型方式でいろいろネームバリューをつくってきているという実態でございますので、統一的にされていないということを御報告させていただきます。
それとあと、予算のほうの御質問がございました。これだけで行くと、区市が手を挙げて国が入り込んでいく中で、国がハードであるシステム等を持ち込んで、職員常駐型ということがございますので、特に予算措置を区側にするとかそういった状況は特にございません。ハード的には我々が入っていく、ソフトも同じだということです。
それと最後に、6ページの真ん中の下、就職支援ナビゲーターが福祉事務所内に常駐、これは職員とともに、非常勤専門のハローワーク、国側の就職支援ナビゲーターということで、就職、職業相談ができる専門の方、例えば人事労務を経験された方をここに投入していくとか、あるいは生活保護受給の関係で区の福祉の経験のある方、さらに職業紹介に精通している方とか、そういう条件をつけてナビゲーターとして配置をさせていただいております。
【佐藤会長】 さっきの予算のことで言うと、それぞれが予算を特別にそれにつけている。だから、国のほうはその予算をつけた、それぞれがお金を出してやっているということね、その担当する部門について。
【藤村職業安定部長】 はい、そうです。区が、御覧のように区役所の施設の中、少し窓口を縮小して、その一体的実施のために場所を提供しているという状況でございます。
【佐藤会長】 そうしたら、後段も含めて結構ですので、このハローワークのパフォーマンス。どうぞ。
【井澤委員】 報告いただいた資料だけ見ればバラ色なのですけれども、どうしても労働者に寄り添っている組合の実態からすると、3,739人という数字がどれほどなのかというのもあるのですけれども、この人たちは、そのあと継続してその仕事に就けられているのかどうかということが少し心配になります。で、この事業がこれからも進んでいけば、東京都の生活保護の受給者というのは減っていくわけで、そういった部分も含めて、トータルで実際に効果的な数値を挙げられているのかどうなのかなというのが少し疑問がありましたので聞かせてください。
【佐藤会長】 では、前半を少し、フォローなんか、そういうのをやられているかどうかとか含めて。
【藤村職業安定部長】 今、お話いただきましたそこは、まさしく御意見として頂戴しているところでございます。私も経験させていただきまして、いろいろたくさんの受給者が来ているというのが、ちょうどリーマンショック直後でございました。そんな中でやはりハローワークが出張っていって、その場で福祉の相談、生活相談と合わせて、仕事の相談ができるというメリットをしっかり感じているというのが、利用者からの実態でございます。
ハローワークのほうで、先ほどお話ししたナビゲーター等々が職業紹介をして定着するかどうかというのは、それぞれ担当制で、全ての場所が担当制をもって職業紹介をしていますので、その後やはり生活保護受給の状態に戻らないよう、定着支援をケースワーカーとともにしているというのが実態でございます。
正直申し上げて、定着のほうはなかなか進まないというのが実態でございます。なぜかというと、働くという意欲のきっかけづくりというのも重要でございまして、これは自治体はもう強くそこを課題にしているとおっしゃっておりました。そうした場合に、そこをクリアにしていくというのが非常に難しいところでございまして、これからも、日々いろいろ課題検証しながら、一歩一歩進んでいくというのが実態でございます。
それとあと、最終的に生活保護受給者が減っていくというのが一番理想なのだというふうに思いますけれども、よく状況を鑑みてみると、生活保護受給者というのは属地主義ということでございまして、例えば新宿区だとか渋谷区だとか、豊島区というのは非常に多いと。いわゆるファミリー的にも非常に高いという状況がございます。生活保護受給者の中でも高齢世帯とか障害世帯とか、本来的にやはりこの最終のセーフティネットを受けなければいけないという人もいるので、我々が考えているのは常にその他世帯層、働ける層をハローワークへ誘導するように、しっかり自治体と連携しているというところをお伝え申し上げたいと思います。
【井澤委員】 ありがとうございます。
【佐藤会長】 まず働く意欲を持ってもらい、層は層で就職活動してもらってつなげる、だから、全部がそこへ乗れるわけではなく、やはりこのセーフティネット、必要な人たちもいるし。ですから、それ全体からすると、ほんとうはある面で一部ですよね、ここに。その前にもいろいろ苦労されて、いろいろ可能性あることをやられているなと拝見しました。
どうぞ。
【野川委員】 総合評価のことについて1件です。実は今日、午前中に厚生労働省の政策評価有識者会議がありまして、厚労省の政策評価について検討していたときにいろんな意見がありましたが、そのうちの1つで、これを見ても少し気になったのは、どうしても評価というのは結果が重視されるので、定量的な評価が中心になりますね。しかし、その場でも出たのですが、定性的な評価というものをもう少し見直してもいいのではないかということです。
特に労働問題というのは、必ずしも数が満たされればそれでいいという世界とは若干異なります。例えばこの最後の5ページ、マッチングの中には、主要指標として就職件数、以下3つございますし、補助指標として3つある。これはそれぞれいいのですが、例えばもともとのハローワークの機能というのは、民間の職業の紹介もあり得るわけですよね。しかし、ハローワークというのは、いわば最低限の必要なところですよね。いろいろ手だてがないような人でも、行ってサービスを受けられるという意味での機能をちゃんと果たしているかということをもう少し評価の基準に加えるべきでしょう。それには例えば、いろんな就職した人に対してサンプリングして、例えば学校からすぐに就職した人はもちろん学校に来た募集要項を見てでしょうけれども、そうではなくて、中途就職した人たちが例えば知人の紹介で縁故を頼っていった、ハローワークを頼っていったというようなところをサンプリングして調べて、ハローワークというのが、それこそ労働市場におけるセーフティネットとしての機能を果たしていると言えうるのかどうかといったことも、評価の指標として検討しうるのではないか。今年の方向については特にどう具体化するかということについても時間が必要ですので言いませんけれども、そういう点も、政策評価と業務評価、必ずしも一致はしませんが、やはり今申し上げたような点は業務評価についても検討しうるのではないかと思います。意見です。
【佐藤会長】 いいですか。何かあれば。
【藤村職業安定部長】 そこは、実は我々のほうも、今、野川先生がおっしゃったような感覚というのは、昨年の夏から秋にかけてこの話が出たときに感じました。ハローワークというのはサービスを提供する機関ということであって、全国津々浦々にはやはり自治体側のサービスを、ハローワークに求めるニーズもそれぞれ千差万別でして、そこをどうやって定性的に定量的にこの評価を行うか、大事なポイントだと思っていまして、最終的にはこの総合評価の方法であるとか、これはどんどん提案されて、いろいろ議論していく中で、我々としてもしっかりそこは、この方法でハローワークを評価していただいて、サービスの向上、質の向上に努めていくということをお伝え申し上げたいというふうに思います。
【佐藤会長】 とりあえず来年度はやってみて、当然、今、野川先生言ったみたいに当然見直していかなければいけないと思いますので、最終的に何が目的かって、やはり質の高いサービスを提供されること、それに貢献するかどうかだと思います。
あとはどうぞ。
【上原委員】 評価のほうで、おそらく基準があるのだろうと思うのですけれども、例えばこの点数とかリストがって書いてありますけれども、1人当たりどうなのかというのをパフォーマンスで見た場合、そういう視点も要ると思います。人数が多いほうがある程度高いと思うのです。そのへんがたぶん、だからもともと基準があるのではないかと思うのですけれども、そこのところを教えていただければ。
【藤村職業安定部長】 ハローワーク、全国でも540何か所あり、御意見を頂戴したように、ハローワークの規模、それがいわゆる就職件数、求人をどのくらい扱っているとか、それである程度グルーピングをしているのです。そんな中でやはり、今、野川先生もおっしゃったように、一律に定性的に定量的に判断するというのは難しいので、例えば各ハローワークのほうからその地域に合わせてこういう項目を、例えば一番多いのは障害者だと、しっかりとたくさん施設があるところ、そこを目標立てしていくとかそういったものを、いわゆる加算ポイントとして今後進めていくという内容になっていますので、ある程度一律ということで総合評価の中で評価ができると。
ただ、最終的に1年ぐらい先になるのでしょうか、公表されたときに、やはり全国のハローワークがこういう評価によって、こういうサービスを提供しているという部分が出てくると、そこも活用できるだろうとハローワークのほうでも考えながら、次の重要計画を立てていくということができるので、そこを今度活用していきたいなというふうにも、実は感じているというのが現状です。
【佐藤会長】 先ほど野川先生も言われたような、例えば先ほど人材サービスを、東京はたくさんあるけれども、それでハローワークの全体のウエートは、地方に行くとハローワークのやるべき基準が非常に高いところもあって、だから単純になかなか、地道に括るといってもいろんな要素があって、ほんとうはすごく難しい。とりあえずやってみてからですね、これ。
【藤村職業安定部長】 川本委員のほうからお話ありましたけれども、とても力強い、ハローワーク移管、絶対反対ということをいただいたので、しっかりそのパフォーマンスを27年度はやっていきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【佐藤会長】 それではいいですか、この件については。
それでは、本日、予定した議事は議題終了です。最後に、事務局を代表して局長から御挨拶いただければと思います。
【西岸労働局長】 本日は、来年度の行政運営方針および地方自治体との連携等々につきまして、さまざまな角度から御議論あるいは御意見を出していただきましてありがとうございました。
運営方針の策定にあたりましては、先ほどいただきました御意見を活かしてまいりたいと思います。また、東京都雇用対策協定に基づく施策あるいは一体的実施事業につきましても御意見を踏まえまして、よりいっそう利用者のサービス向上を図れるように努めてまいりたいと思います。来年度も我々に期待を寄せていただいております。課せられた役割を果たしてまいりたいと思いますので、いっそうの御支援をお願い申し上げまして御礼の言葉とさせていただきます。今日もありがとうございました。
【佐藤会長】 ありがとうございました。それでは、これで第7期第4回の東京地方労働審議会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
【金田企画室長】 委員の皆様、長時間御審議いただき、ありがとうございました。これをもちまして散会とさせていただきます。本日は御協力いただき、ありがとうございました。
―─ 了 ──
この記事に関するお問合せ先
雇用環境・均等部 企画課(企画担当) TEL : 03-6867-0212