第7期 第2回 東京地方労働審議会(平成26年3月17日開催)

第7期第2回 東京地方労働審議会

 

1 日時   平成26年3月17日(月)  13時30分~15時30分

 

2 場所   九段第三合同庁舎 11階共用会議室1-3

 

3 出席者

   委 員   佐藤会長、金子委員、梶原委員、野川委員、橋本委員、

          浅見委員、白川委員、傳田委員、半澤委員、米田委員、

          加藤委員、田中委員、鰐渕委員

 

   事務局  伊岐東京労働局長、高橋総務部長、青木労働保険徴収部長、

          相浦労働基準部長、清野職業安定部長、中村需給調整事業部長、

          大西雇用均等室長

 

4 議題

(1)  平成26年度東京労働局行政運営方針(案)について

(2)  その他(質疑・意見交換)

 

5 配布資料

  本会議資料(1499KB; PDFファイル) 

 

6 議事

【石原企画室長】  ただいまから第7期第2回東京地方労働審議会を開催いたします。本日委員の皆様には大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。冒頭の進行を務めさせていただきます総務部企画室長の石原でございます。御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。それでは開会に当たりまして、伊岐典子東京労働局長より御挨拶を申し上げます。

【伊岐労働局長】  本日は年度末の大変お忙しいところ、東京地方労働審議会開催につきまして、お差し繰りいただきまして御出席いただきましたことを、まずもって心より御礼申し上げます。

 さて25年度も年度末になりました。当審議会におきましても、本当に今年度活発な御意見を頂戴し、直近の昨年11月はわざわざ渋谷のほうにお運びいただきまして、御視察をいただくと同時に、大変内容の濃い御審議をいただいたところでございます。私はちょうど地方産業力競争会議とバッティングしまして、最後のほうだけ御一緒させていただきましたが、本当に私ども職員にとりまして、皆様の御意見を、忌憚のない御意見をいただくまたとない機会だというふうに感じた次第でございます。

 さて本日は平成26年度の行政運営方針につきまして、御意見、御審議をいただくこととしております。かなり御説明のほうも長時間にわたるかと思いますが、なるべくコンパクトにして御意見をいただく時間をなるべく長くしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 実は昨年度もかなり実質的に踏み込んだ御意見を頂戴したと思っておりまして、今日、御審議いただく御参考のために、少し思い起こしていただく材料を御提供させていただきたいと思うのですが。例えば職業安定行政に関しましては、新卒対策の関係では、ぜひ中小企業のメリットや魅力を学生や親に理解させる支援というような御意見を頂戴しておりました。ちょうどそれにぴったりの新政策がありまして、若者応援企業宣言事業というのがありましたため、私どもとしても本当にまなじりを決して、1,000社目標に25年度頑張りましたところ、何とかその目標を達成し、新卒応援ハローワークを中心に、就職面接会の開催をするといった通常の求職者対策に加えまして、学生の親を対象としたセミナーなどでも、この若者応援企業宣言事業を紹介させていただいたところでございまして、就職の実績も上がってまいりました。ありがとうございます。

 また、労働基準行政でありますが、建設産業の死亡災害は、何とか抜本的に死亡災害を減らす方法はないのか、対策の重要性の御指摘も頂戴いたしました。今年は「Safe Work TOKYO」というのを、これまたしっかり展開をさせていただいて、各関係業界の協力もいただき、また今までやっておりませんでした主要専門工事業者の皆様との連絡会議を設置するほか、幾つか新しい事業も試行錯誤を重ねつつ取り組んだ結果、建設業界そのものが成績がよくないんですが、全体としての死亡災害は大幅に減少したと同時に、工事量の増加等を考えると、建設業界も比較的成績のいい結果に終わりそうな勢いでございます。誠にありがとうございました。

 また、雇用均等行政ですが、ポジティブ・アクションの普及、促進というのが、安倍内閣でかなり女性活躍という名称でプッシュされておりました。それに関連するお励ましの御意見も頂戴したところでございまして、私どもも私自身も、主要な女性型でない男性型の企業のトップに働きかけをするというような取組を進めましたし、また、特に子どもを育てながら管理職に到達する実例、ロールモデルを広く知らしめるという意味で、均等・両立推進企業セミナー、1回やるだけでも結構、規模の小さい均等室ではなかなか荷の重い仕事ではありましたが、大変御好評をいただいたために、年度2回セミナーをやるという、大規模セミナー2回というのはなかなか過去にない取組をしまして、皆様に大変評価をいただいたところでございます。以上のように各行政で一歩一歩前進をさせていただいております。これもひとえに委員の皆様からの貴重な御意見あってのことと、心より感謝を申し上げます。

 さて、東京の景気、昨年度行政運営方針を策定させていただいたときには決まっておりませんでした2020年東京オリンピック・パラリンピックも決まり、2020年というのが非常に重要性を帯びた年になりました。各種労働行政だけではない政府全体の行政目標、数値目標も2020年をターゲットとしたものが多ございます。女性関係は非常に「202030」とかいろいろあるのですが、それ以外2020年、目標になっている年度でございますが、私どもにとりましては、一つ明確な目標ができたということです。それに向かってすべての人々が能力を発揮できる職につき、また安全で健康的な環境の下で仕事ができるといった安心を感じていただき、そして発展とか人材確保とかいうような、企業に対するメリットもしっかり実感していただけるような、そんな政策を推進していきたいと思っております。本日の審議会におきまして、また皆様の活発な御意見を頂戴いたしたく思います。

 また、先ほどお配りしましたが、最後にキャッチフレーズの案をつくっておりまして、お時間が許せば忌憚のない御意見をそちらのほうにもお願いしたいと思っております。どうぞ本日はよろしくお願い申し上げます。

【石原企画室長】  続きまして本日御欠席の委員の報告をさせていただきます。公益代表では尾津委員、労働者代表は井澤委員、使用者代表は蜂谷委員、同じく渡邊委員、同じく上原委員がそれぞれ欠席されております。従いまして本日の出席委員は13名でございます。これは地方労働審議会令第8条第1項の規定に照らし、本会が有効に成立しておりますことを御報告申し上げます。

 次にお手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。グレーの封筒の中に一式入れさせていただきました。本日の次第、座席表、委員名簿、出席予定者名簿のほかに、平成26年度行政運営方針案、同じく平成25年度現行の行政運営方針、そしてカラー刷りの第7期第2回東京地方労働審議会資料、以上でございます。万一、配布漏れ等がございましたら事務局のほうまで御連絡をお願い申し上げます。

 それではこれより議事に入りますが、本審議会は東京地方労働審議会運営規程第5条第1項の規定に基づき、原則として公開の会議とさせていただき、その議事録につきましても、発言者名を含め公開させていただくこととなっておりますので御了解願います。では以後の議事進行につきましては佐藤会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤会長】  それでは本日の議事に入らせていただきます。その前に運営規程第6条第1項に基づき、本日の議事録署名委員を指名させていただきます。労働者代表は浅見委員に、使用者代表は田中委員にそれぞれお願いしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 それでは議題の平成26年度東京労働局行政運営方針案について御説明いただいて議論したいというふうに思います。それでは、まず事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

【高橋総務部長】  それでは冒頭の部分を総務部長の高橋から御説明申し上げます。恐縮ですが座らせていただきます。

 お手元の行政運営方針の案の資料を御覧いただければと思います。冒頭、表紙がございますが、先ほど司会のほうからもございましたように、後ほどまたこのA案からD案について御意見等を頂戴できればというふうに思っております。それでは1枚おめくりをいただきまして、最重点目標とその取組についてでございます。今年も3つございまして、最初でございますけども、労働市場全体のマッチング機能の強化に努めるということでございます。冒頭にわざわざハローワークが中心となってというふうにございますけども、これは今年の9月から民間人材ビジネスや地方公共団体等へのハローワーク求人のオンライン提供が開始されることになってございまして、労働市場のマッチング機能というのが多様化していく、そういうことが見込まれる中で、やはり今後ともハローワークが労働市場において中核的なマッチングの機関という位置付けであり続けるということで、その役割を果たしていくという趣旨でございます。それが冒頭の2行にも書いてございます。

 その下の三角2つ目でございますけども、若年者、これは去年はといいますか今年度版では特に新規学卒者に重点が置かれた表現になってございましたが、今回は若者全般ということで後ほど出てまいりますけども、政策あるいは設備等の新施設等の充実を図っていただくという趣旨でございます。

 それから3つ目の三角は今年度と同じであります。次の4つ目の三角でございますが、今年度版では特に求職者支援制度に重点を置いた一つになってございましたが、今回は職業訓練、これは求職者支援制度はもとより、公共職業訓練等も含めました訓練全般を活用するという、そういう趣旨を記載したものでございます。その下は同じということで今年度版と同じでございます。

 2つ目でございますけども、労働基準分野でございますが、労働条件の確保、改善、それから労災防止ということが主眼でございます。今年度版では、一昨年の状況で死亡災害等の増加が非常に顕著でございました。それがその後、労災防止対策を取り組んでいく中でおかげさまで、後ほど出てまいりますけれども、昨年1年間は大幅に状況が落ち着いてきたということもございますので、今後その景気の回復等の中において増加することが懸念される長時間労働の抑制、あるいは過重労働による健康障害の防止等の課題を冒頭に持ってきたところでございます。

 その2つ下の「Safe Work TOKYO」をキャッチフレーズに、12次防を推進していくということでございます。こちらのほうも去年と違ったところでございますけれども、「Safe Work TOKYO」というキャッチフレーズ、これはますます東京都内、また、その周辺労働局でも「Safe Work」というキャッチフレーズが浸透していくところでございますが、その取組を引き続き続けていくということでございます。

 その下2つの三角については今年と同じでございます。それから3つ目は均等分野でございます。最初の三角でございますけれども、こちらのほうは今年の7月1日から改正均等法の施行規則、また改正性差別指針等が施行になりますことから、その周知等を含めまして均等法の実効性を確保するための取組、またポジティブ・アクションの取組を促すということが主眼となっています。

 あとの2つの三角については今年度版と同じでございます。それでは目次を飛ばしまして、第1、東京の労働行政を取り巻く情勢ということで、2ページのほうを御覧いただけたらと思います。下から本文の御説明をさせていただきますけども、本文作成に当たっての基本的な私どもの考え方といたしまして、これは労働行政の職員、私どもの職員のみならず一般の方にもぜひお目通しをいただきまして、その際に読みやすく分かりやすい内容等をつくるように、記載に努めたところでございます。例えば今年度から試行的に始めました専門用語等の脚注による解説でございますけども、今年度版は86カ所記載させていただきましたが、今年度版は154という、ほぼ倍増するにいたっております。そうしたことも充実していったところでございます。

 それでは以下本文につきまして、今年度版の変更した部分を中心に御説明を申し上げます。まず1の社会経済情勢の認識でございますけれども、第3パラグラフ、局長の御挨拶の中にもございましたけれども、経済情勢の認識について記載した部分でございますけれども、政府の経済対策の浸透や、あるいはオリンピック開催決定、そういうようなものから景気が緩やかに回復してきているというところまでが新しい認識の部分でございます。その他の部分については概ね今年度版と同様でございます。

 次に2でございますけども、雇用情勢をめぐる動向でございます。3月の初めに、平成25年度平均の完全失業率等は労働力調査の関係でございますが、その該当するところを修正させていただいたところでございます。また有効求人倍率につきましても平成25年平均ということで1.33倍ということで、対前年比で0.25ポイントという大幅な改善をみているところでございます。この背景についての分析がその後続いておりますけれども、ハローワークを挙げての各種取組の成果等がございます。その一方で、原材料費の高騰による企業収益の圧迫でありますとか、消費税引上げに伴う駆け込み需要の反動等々の不透明なところもございますので、そういったところにも言及いたしまして、今後とも雇用情勢注視が必要というふうにさせていただいております。

 それから3ページの(2)、若年者の雇用情勢でございますけれども、これは労働力調査については、年齢別等の細かい公表の部分がまだでございますので、これが公表されましたら、適宜その数字等を入れさせていただきまして、文章を変えさせていただきたいというふうに思います。

 次の4ページでございますけれども、高齢者の雇用状況でございます。高齢者、高年齢者雇用確保措置を実施している企業の割合でございますが、92.1%ということでございまして、これは前の年よりも若干下がってございますが、これは高年齢者雇用確保措置について継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが、昨年4月1日の改正で廃止されたということが影響しているものでございますが、労働局としては、局それからハローワークを挙げて、企業の取組を支援をしていくところでございます。

 それから障害者の雇用状況につきましては14万9,000人ということで、障害者の雇用者数が過去最高というふうになってございますが、一方で実雇用率は1.72%ということで、法定雇用率が2.0%引き上げてないということを考えますと、依然として低い水準であるといわざるを得ない状況になってございます。

 それから女性の雇用情勢でございますけども、こちらのほうも平成25年版の労働力調査の詳しい公表がまだでございますので、これは全く今年度版と同じような表記で仮置きさせていただいております。同じように5ページの6のパートタイム労働者の雇用情勢についても、毎月勤労統計の地方調査、平成25年版の公表がまだでございます。そうした新しい統計によって変更すべきところ、更新すべきところは、後ほど更新させていただきたいというふうに思っております。そういう統計の公表を待っているところが、あと7番の非正規労働者の部分、あるいは職業訓練の部分もしかりでございます。

 なお職業訓練(8)の部分でございますけれども、求職者支援訓練の実績でございますが、就職率について基礎コースが73.3%で、実践コースが79.8%といいますのは、これはそれぞれ目標が60%ないし70%でございますので、それを満たしているということがあろうかと思います。

 また(9)の民間人材ビジネスの動向でございます。こちらのほうは、まず労働者派遣事業の動向といたしましては、26年1月末現在の管内の労働者派遣事業所数が19,654事業所ということで、対前年比1.5%の増というふうになってございます。

 また次の6ページでございますけれども、職業紹介事業の動向ということでございまして、同じく26年1月末現在の管内の職業紹介事業所数、これが5,440事業所ということで、3.2%の増というふうになっていること等が記載されております。

 続きまして3番の労働条件をめぐる状況でございますけれども、(1)申告・相談等の状況でございますが、管内の監督署と総合労働相談コーナーにおいて寄せられる相談件数でございますが、29万件余りということで、前年に比べて減少したものの高止まりとなっているということが記載されてございます。

 それから7ページでございますけれども、(2)の労働時間等の、それから賃金の状況でございます。労働時間等の状況でございますが、東京における労働者1人当たりの年間総実労働時間数でございますけれども1,802時間ということで、前年に比べて27時間減少しておるということ等が記載されてございます。

 それから(3)の労働災害の状況でございます。平成25年、昨年の歴年1年間における死亡者数でございますが、まだ確定した数字が新しいものは出てございませんが、今年の1月末現在で死亡者数が51人ということで、前年の同じ時期に比べまして23人という大幅な減少をみたところでございます。

 また、8ページでございます。上から3行目で、休業4日以上の死傷者数でございますが、9,100人余りということでございまして、前年同期の9,168人に比べまして0.7%の減少というふうになってございまして、平成22、23、24と3年連続で増加してきた、こうした労働災害の件数が対前年比で減少をみるという成果がおりたところでございます。

 その下の(4)の労災補償の状況でございますが、平成24年度の労災保険の給付の関係でございます。新規受給者数が、業務災害によるものが6万3,000人余りということで、前年比で1.6%減少、通勤災害によるものが1万8,000人余りということで、対前年比4.6%増加ということで、全体では8万2,000人弱ということで0.3%の減少ということころでございます。なお一方で、どうも心臓疾患事案に係る労災件数でありますとか、あるいは精神障害等の事案の請求件数が依然として多い状況にございます。以上で第1の説明を終わらせていただきます。

 続きまして第2の東京の労働行政の課題でございます。12ページを御覧いただけたらと思います。最初の「全員参加の社会」の実現に向けた雇用改革・人材力の強化ということでございます。最初はマッチングの強化についてでございます。最近は景気回復が進んでいきます中で、企業の人材需要がますます確かなものとなってございまして、これを受けまして管内の有効求人倍率でございますが、25年の12月時点で1.48倍というふうになるなど、改善が進んでおるところでございます。こうした中で求人者の採用ニーズに応えて的確な人材を紹介するという取組がますます重要となってございます。そうした中でミスマッチ等も拡大する傾向となっているところがございまして、充足対策の強化等が求められているところでございます。

 加えまして、若年者でございますとか雇用保険の受給者、それから高齢者や女性、そういった幅広い求職者ニーズに的確に応えるということ。また、正社員経験が少ない方、あるいは短い方、それから失業期間が長期に及んでしまった方々など、求職者の対応が幅広くなってございますので、こうした方々に適切な支援策を選択して、有効に活用等をしていただくということも重要性が増していくということでございます。

 そうした認識に立ちまして、以下各論でございますけれども、(2)で失業なき労働移動の実現でございます。これまではどちらかといいますと、雇用調整助成金等で雇用をつなぎ止めておくということも重要な対策になってございましたが、今後はむしろ離職を余儀なくされる方のスキルアップやスキルチェンジによって、成熟産業から成長産業へと円滑な再就職を実現していくというふうな政策の必要性が出ているということでございます。

 また次のイでございますけれども、非正規雇用者である若い方の専門的、あるいは実践的な教育訓練の受講支援策などを盛り込みました雇用保険法の改正法案が、今、国会に提出されておるところでございまして、それが成立したあかつきには周知・広報などに努めていく必要があるということでございます。

 またウのところでございますが、成長が見込まれる分野への就職促進、それから、また2つ目のパラグラフにございますように、非正規労働者の直接雇用化、そうした課題に向けまして、公共職業訓練あるいは求職者支援訓練による支援を強化していく必要がございます。

 それからエでございますけれども、介護・医療・保育の分野でございますが、慢性的な人手不足ということが社会的な問題になってございます。こうした中で地方公共団体、あるいは関係機関と連携を図りながら、こうした分野のサービスを担う人材の確保を推進していく必要があるということでございます。

 (3)でございますが、民間人材ビジネスによるマッチングの強化でございますが、こちらのほうはアにございますように、ハローワークの求人情報の開放を適切に実施すること。さらに14ページでございますけれども、イのところでトライアル雇用奨励金等をもって、民間人材ビジネスや、あるいは出身大学等の紹介によって雇い入れる事業所も、その対象になるということになりましたので、この制度の活用を促進していく必要があるということでございます。

 ウのところでございますが、民間人材ビジネスの活用ということで、これまで民間の需給調整機関につきましては、マッチングが比較的容易な一部の求職者に、豊富な情報を提供するというビジネスモデルが大半を占めておったところでございますけども、今後は民間人材ビジネスの活力を引き出すことによって、それ以外の層も含めた新しいビジネスモデルを構築していくよう需給調整機能の強化を図る必要があるということでございます。

 それから(4)の女性の活躍促進でございますが、アの均等政策とポジティブ・アクションの取組でございます。こちらのほうは3行目にありますように、均等法及び関係法令について、今年の7月1日から施行される関係法令の改正内容も含めまして、周知徹底を図るということ。また、募集・採用、配置・昇進の性差別禁止等について、その履行確保を図るということ。また、妊娠・出産、産前産後休暇の取得等を理由とする解雇、その他の不利益取扱いについて厳正に対処する必要があるということ。また、さらにポジティブ・アクションの取組について、助成金でございますとか、15ページになりますが、制度の周知、それから女性の活躍情報の情報開示、見える化というものを進めていく必要があるということでございます。

 それからイの女性のライフステージに対応した活躍支援としまして、マザーズハローワークを中心に支援をしていく必要があるということでございます。

 また、ウの育児休業中の経済的支援の強化でございますけれども、育児休業給付の充実を盛り込んだ雇用保険法の改正法案が現国会に提出されておりますので、成立した場合にはその周知等を図る必要があるということ。

 また、エの仕事と子育ての両立を図る環境づくりということでございますが、こちらのほうも育児・介護休業法の周知徹底を図りますとともに、次世代育成支援対策促進法の延長等を内容とする改正法案が国会に提出されておりますので、成立した場合にはその趣旨等を説明していくということでございます。

 (5)の若年・高齢者等の活躍推進についてでございます。アの若年のところでございますけれども、次の16ページをご覧いただければと思います。正規雇用への移行が困難になっている方が多く、また、その際に就職相談になかなかなじんでいただけない方も多く見られるところでございます。そういう中でハローワークにおいて、これまで以上にいろいろな関係機関と連携した就職支援策が重要になっているということでございます。また、学卒者については学卒ジョブサポーターによる、きめ細かい就職支援を積極的に推進する必要がある、また、若者の「使い捨て」が疑われる企業等について、対策の強化を図る必要があるということでございます。

 イの高齢者についてございますけれども、年齢に関わりなく働くことができる雇用制度の普及に取り組むということと、高齢者の再就職支援の充実を図る必要があるということを記載してございます。

 それからウの障害者に対する就職支援でございますけれども、先ほどの統計分析にございましたが、多くの企業が法定雇用率を未達成の状況でございます。早期に改善が求められるということでございますので、この法令違反状態の回避に向けていっそうの努力が必要であるということでございます。

 また17ページの上から9行目辺りからございますが「さらに」のところでございますけれども、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えるという措置が平成30年4月1日からの施行が予定されておりますので、こうした障害者の雇用も進むように取り組んでいく必要があるということでございます。また(イ)でございますが、チーム支援の強化の必要性についてうたってございます。

 それから(6)重層的なセーフティネットの構築でございますけれども、アの生活保護受給者等の生活困窮者についての就労支援でございますけれども、こちらのほうも地方公共団体、それから関係機関との連携を図る必要があるということでございます。

 イの職業訓練や給付金の支援を通じた能力開発、あるいは訓練機関とハローワークとの連携を通じた就職支援ということでございます。こちらのほうも東京都および独立行政法人雇用支援機構とも連携した、きめ細かい就職支援が必要であるということをうたっております。

 それからウの一体的実施の推進でございます。次の18ページにまいりますけれども、こちらのほうも現在実施している地域を拡充しておりますが、こうした取組を進め、きめ細かい支援を進めていくことが重要であるということをいっております。

 次に、2の安心して将来に希望を持って働くことができる環境整備でございます。(1)はワーク・ライフ・バランスについてでございます。アを飛ばしまして、1の過重労働の解消でございますけれども、これは冒頭の景気情勢でも述べましたとおり、こういうことで仕事量が増加するということが、所定労働時間の時間外労働の増加が懸念されるということになっておりますので、そうした長時間労働の抑制、あるいは年休の取得促進、そういうことに向けて引き続き事業主の意識を高め、働き方・休み方の見直しを進めていく必要があるということでございます。

 またウの医療現場における勤務改善でございますけども、特に長時間労働、夜勤を含む交代制勤務で厳しい環境にあります医師や看護職員等が安心して働ける環境整備を進めていくのが課題ということになっております。

 (2)の安全で健康に働くことができる環境づくりでございますが、アの長時間労働の抑制、それから過重労働による健康障害の防止でございます。こういう長時間労働による健康障害が後を絶っておりませんで、精神障害や脳・心臓疾患等の労災請求も高水準で推移しているということでございますので、こうした長時間労働の抑制、それから過重労働による健康障害の防止、それからメンタルヘルスの対策を徹底していく必要があるということでございます。

 イの安全で健康に働くことができる職場づくりでありますが、来年度でございますが12次防の2年度目になりますので、この12次防計画による基本目標である29年度までに、死亡災害について過去最少の53人を下回ること、また休業4日以上の死傷災害では8,000人を下回るということを目標にして対策を進めていくということでございます。

 19ページでございますけれども、平成26年度はこういう景気回復や、あるいはオリンピック開催に向けた工事量の増加が見込まれておりますので、そうした中で平成25年度の減少傾向を確実なものとする必要があるということでございます。

 ウの化学物質の管理については、関係法令による予防規則等の遵守徹底を図りますほか、それ以外の対象となっているもの、化学物質以外についても安全データシートの交付が義務付けられているものを中心に、障害等の防止対策を積極的に推進していく必要があるということでございます。

 (3)のアでございます。労働条件の履行確保、それから関係法令の周知徹底でございます。これは引き続き進めていくということであります。

 イの申告・相談の的確な対応でございますが、企業倒産あるいは経営の悪化等に伴う解雇・雇い止めや賃金不払い、それから賃金不払い残業、労働条件の引き下げ等が懸念されておりますので、申告・相談に的確に対応していくということでございます。

 ウの最低賃金の周知でございますが、官民を挙げた周知に取り組んでいくということ、また、これにより大きな影響を受ける中小企業への支援を行うことの必要性が述べてあります。

 エでございますが、個別労働紛争解決制度の運用でございます。相談コーナーの機能強化とともに助言・指導、あっせん制度の積極的な利用促進を図っていくということでございます。

 オの迅速・適正な労災補償の実施でございますけれども、20ページに移らせていただきます。労災請求認定件数が依然として高水準で推移してございます。そういう状況ではございますが、労災保険の給付を迅速に適正に実施していく必要があるということでございます。

 また、労働保険の適用と徴収についてでございますけれども、これは労働保険制度の健全な運営と費用負担の公平を図るために労働保険の未手続事業所を一掃するということ、また、保険料の一斉徴収に取り組む必要があるということでございます。

 (4)の非正規雇用対策でございますけれども、これはフリーター等の非正規の方を正規化をしていくということ、それからイでございますけれども、そうした非正規労働者のキャリアアップ支援ということで、いろいろな成功事案や調査も含めまして、それを周知し啓発していくということ。ウでございますがキャリアアップ助成金の周知、それから活用促進の必要。

 エでございますが、有期労働契約者に関するルールの周知ということでございまして、これは昨年の4月から労働契約法で反復更新されて、通算5年を超えた場合に労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換できることというふうにされましたので、その内容について周知に努める必要があるということ。

 さらに21ページでございますけれども、無期転換申込権が発生する期間を10年とする特例も設けられたところでありますので、これが今年の4月1日から施行されるのに伴って、その周知も図っていくということでございます。

 最後にオでございますが、パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保、それから正社員への転換の促進ということで、的確な指導、専門家による相談・援助、あるいは職務分析や職務評価の導入支援、それから助成金の活用などを進めていくということでございます。なおパートタイム労働法の改正法案も国会に提出されておりますので、その成立が図られた場合には周知を図る必要があるということをうたってございます。私からは以上です。

【佐藤会長】  この後、3の重点対策のところを御説明いただきますが、全体は今総務部長のほうから御説明いただいたと思いますので、安定から順に御説明いただけるようですが、重点というところを中心に御説明いただければと思います。

【清野職業安定部長】  それでは安定部の清野でございます。皆様には日頃から大変なお力添えをいただいておりますことに感謝申し上げます。それでは安定分野の重点ということで24ページからでございますが、お開きいただきたいと思います。26年度におきましても25年度と同様、9本の柱立てで重点対策に取り組んでいくこととしております。各項目の説明は時間の関係がありますので、できるだけ端折ってさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 1点目はやはり安定行政の基本であります求人・求職のマッチング機能の充実強化、これの更なる取組を進めていくこととしております。東京の有効求人倍率は1月は1.46倍ということで、労働市場全体としては改善が進んでおりますが、職業別ですとか、あるいは勤務形態別にみれば、求職者ニーズの高い求人は不足する一方、未充足となる求人も多くあるということから、求人求職のマッチング機能を更に充実強化して、早期の再就職促進を図ることというふうな課題となっているところでございます。

 アの求人者サービスにつきましては、都内ハローワークの連携のみならず、ハローワークのネットワークの強みを発揮した県外広域の通勤圏ハローワークとも連携した充足対策を、首都圏広域調整会議等も含めまして日常的に取り組んでいくこととしております。

 その他、職業別にみて求人者ニーズの高い求人、例えば介護サービス系の職業などでは、ツアー型面接会と呼んでおります事業所見学とセットした面接会を開催するなど、さまざまな取組を推進しているところです。また、一定期間で未充足となっている求人につきましては、内容のリフレッシュに関する提案や、より詳細な事業所情報の提供など、貴重な求人資源を有益に活用させていただくよう、各ハローワークで取り組んでおります。

 27ページを御覧いただきたいと思いますが、イの求職者サービスにつきましてはこれまでも行ってきたことですが、個別担当制による支援の充実はもとより、26年度は若年者や雇用保険受給者の早期再就職により重点を置き、特に雇用保険受給者の方は定期的にハローワークを利用されるということでございますので、少しでも早い段階から計画的な再就職支援が行われるような体制整備を図ることとしております。

 続いて29ページを御覧ください。ウの民間を活用した就職支援ですが、昨年6月に閣議決定された日本再興戦略で、民間人材ビジネスの活用によるマッチング機能の強化が掲げられたことを受け、ハローワークが民間の職業紹介事業者や地方自治体と連携しながら、マッチングの強化に努めていくこととする新たな施策になります。具体的にはハローワークの保有する求人情報をオンラインで9月からというようなスケジュールになっております。

 続きまして30ページを御覧いただきたいと思いますが、(2)として若者・子育て女性等に対する就職支援でございます。アの若年雇用対策の推進でカッコは、新規学校卒業予定者、未就職卒業者に対する就職支援になりますが、今年度も「ひとりにしない」、「あきらめさせない」、こういうことを合い言葉に取り組んでまいりました。26年度においても、高校生にはハローワークのジョブサポーターが寄り添いながらの手厚い支援を行っていくこととしており、大学生等には都内2か所の新卒応援ハローワークと4か所のサテライトが連携しながら、求人の確保と就職支援に更に努めていくこととしております。

 また、33ページの(イ)若年者に対する就職支援では、一昨年渋谷にオープンしました東京わかものハローワーク、通称「わかハロ」ですが、昨年10月で1周年を迎え、この間約1,000人の就職者を送り出すなど、効果的な取組が進んでいるところでございます。26年度は新たに新宿にオープンするほか、城東地区にも1か所新たに設置し、支援の拡大、拡充に努めてまいります。また若者応援企業をはじめとする中小・中堅企業とのマッチングにも重点を置き、学生が中小企業の魅力やメリットを感じることができるよう、事業主団体等の連携による企業説明会や面接会を既に始めておりますが、26年度も引き続き、充実して実施することとしております。

 36ページのイの子育て女性等に対する支援につきましては、渋谷にありますマザーズハローワークをはじめ、都内8か所のハローワークにあるマザーズコーナーにおいて、小さなお子さま連れでも利用しやすい環境づくりと、個別担当制によるきめ細かい相談、子育て支援サービスの情報の提供など、安心した就職活動ができるよう配慮をしております。ほかに、仕事と子育ての両立しやすい求人、通称マザーズ求人というような呼び方をしていますが、こういうものの確保も各ハローワークの求人担当と連携して取り組んでいるところでございます。

 続いては37ページを御覧ください。(3)の高年齢者の雇用対策ですが、前回の審議会において白川委員からも、高齢者の雇用確保措置実施企業割合が92.1%にとどまり、未実施となっている相当数の企業に対してどのように取り組むのかというような御質問をいただいたところですが、希望者全員が65歳まで働ける制度が導入されるよう、高年齢者雇用アドバイザー等との連携によりまして、企業支援に努めております。未実施企業は1,992社あったのですが、2月末までに706社の改善を確認しております。また869社は年度内に改善予定ということを確認しております。残りの企業につきましても、現在強力な働きかけを続けているところでございます。また、高年齢者が安心して再就職支援を受けられるよう、都内4か所のハローワークに高年齢者就労総合相談窓口を設置し、職業生活の再設計に係る支援や個別担当制による就職支援などを実施することにしております。

 次に38ページの(4)の障害者雇用対策ですが、アの法定雇用率未達成企業に関することでは、昨年の6月1日現在の東京における障害者雇用状況では、雇用障害者数が14万9,245人、実雇用率が1.72%で、ともに過去最高を更新したところでございますが、雇用達成企業の割合が30%にも満たない状況でございまして、これまでの大企業に重点を置いた指導は継続しつつ、中小企業に対する指導、支援もしっかりと取り組んでいくこととしております。

 前回の審議会で田中委員から、雇い入れる企業への支援も必要という御意見もいただいておるところでございますが、大規模な面接会だけではなくて、各ハローワークで随時ミニ面接会の実施や雇用事例の見学会の開催、あるいは助成金等の御案内など、さまざまな支援を引き続いて行っていくこととしております。

 続いて42ページ(5)の職業訓練の効果的な活用による就職支援ですが、非正規雇用は雇用が不安定、あるいは賃金が低いことに加えまして、能力開発機会が乏しいとの問題が指摘されていることから、公共訓練、求職者支援訓練、あるいはジョブ・カード制度等の取組等をまとめて記載させていただいております。また、訓練就職者の就職支援に当たっては求人部門と連携し、実務経験者を求める求人というようなことについては、訓練受講者も応募できるような働きかけを積極的に行い、提案型の職業紹介に努めることとしております。

 続いて45ページ(6)の雇用環境の整備のためのセーフティネットの確保ですが、雇用保険制度の適正な運営、雇用調整等への対応等についてまとめております。特に改正保険法につきましては、育児休業給付や教育訓練給付の拡充などが盛り込まれており、これらを実行あるものとするため、今後の周知・広報にしっかりと取り組む必要があると考えております。

 次に47ページ(7)の求職者個々に的確に対応した支援ですが、アとして生活保護受給者と生活困窮者の就労支援の推進につきましては、アクション・プランによる常設窓口を含め、ハローワークと地方自治体が一体となった就労支援の強化として生活保護受給者と就労自立促進事業を進めております。また、こうした自治体との連携につきましては52ページ(8)の地方公共団体との連携による就職支援にまとめております。アクション・プランに基づく自治体との一体的実施につきましては高い成果が出ていることで、この審議会でも委員の皆様から、これからも進めるべきとの御意見もいただいているところでございます。現在常設窓口としては支援対象者を若者等の一般求職者としているところが2か所です。生活保護受給者等としているところは、この2月までに11の区と1つの市に設置しております。常設窓口の設置につきましては平成26年度も引き続き充実強化される方向であり、現在都内数か所の自治体と設置に向けて調整を進めているところでございます。また、ハローワークが近くにない地域においては、区市町村の施設等の中に設置しましたふるさとハローワークが地域密着型の職業紹介施設として役割を担っているところであり、現在15の自治体に設置しているところでございます。

 最後となりますが、54ページ(9)の計画目標数を定めた業務展開の推進ということで目標管理における数値を一覧表にしまして、各事業の運営方針説明と区分して掲載することとしております。数字的なところはもうしばらく時間をいただきたいと思います。以上、大変駆け足になりましたが、26年度の安定行政運営における重点対策について説明させていただきました。よろしくお願いします。

【佐藤会長】  次をお願いします。

【中村需給調整事業部長】  続きまして需給調整事業部の中村です。56ページの2、需給調整事業の分野における重点対策について御説明申し上げます。東京労働局管内の労働者派遣事業、職業紹介事業などのいわゆる民間人材ビジネスの状況ですけれども、先ほど御説明したとおり、労働者派遣事業所数、職業紹介事業所数、いずれも全国の約3割が東京に集中しております。また、派遣労働者数についても全国の約3割の77万人、それから新規求職申込件数も全国の64%となる282万件、求人数も全国の53%を占める154万件ということで、非常に東京が占めるウエイトが高いということで、来年度もしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

 重点対策(1)から(4)、大きな4つの柱立てで記載しております。順にポイントだけを御説明申し上げます。まず(1)の法制度の周知でございますけれども、平成24年10月から改正労働者派遣法が施行されておりますが、この規定について指導監督を行っておるところですけれども、まだ十分理解されていない事業主の方も見受けられる状況です。このため、引き続き労働者派遣法、職業安定法について周知に力を入れていくこととしております。また、今月11日に労働者派遣法の改正法案が国会に提出されましたけれども、この法案が成立した場合には、施行に向けて周知・広報にもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 2点目が(2)の民間人材ビジネス等に対する厳正な指導監督の実施でございます。方針といたしましては、引き続き全国斉一的な指導監督、それから局内の関係部室ですとかハローワーク、労働基準監督署、それから他の労働局との連携に努めながら、的確、厳正な指導監督を行っていくということとしております。

 具体的に申し上げますと57ページのほうに、まず労働者派遣事業者に対する指導監督の徹底ということで、4点重点取組を書いております。第一が、悪質な違反を行った事業主、および違反を繰り返す事業主に対する厳正な指導監督ということでございます。是正指導を行っても、なお違反を繰り返す事業主ですとか、悪質な違反を行った事業主に対しては、改善命令、事業停止命令といった行政処分を行っているところです。本年度も3社に対して行政処分を行いましたが、引き続き厳正な指導監督を行う所存でございます。

 また、重点的な指導監督の項目(イ)にありますような偽装請負に対する厳正な対応、それから違反が多発する業界に対する集中的な指導監督の実施、それから(エ)にございます、前回の改正法により新たに規定されました関係派遣先割合報告に係る指導監督にも重点的に取り組んでいきたいと考えております。それからイの職業紹介事業者に対する指導監督の徹底でございますが、引き続き苦情等で多い労働条件の明示などの項目を重点的に指導監督を行うこととしております。

 それから58ページのほうにまいりまして(3)の労働者からの申告・苦情相談への迅速かつ適切な対応ということでございますが、申告や苦情相談は昨年度に比べて若干減少傾向にございますが、引き続き一件一件、迅速、的確に対応していきたいと考えております。また、本年度に引き続きまして、ハローワークと連携して派遣労働者の方々を対象としたセミナーを開催して、労働者に対する法制度の理解、周知にも努めていきたいと考えております。

 それから最後(4)の許可申請・届出の迅速な処理でございますが、冒頭に申し上げましたように、東京は事業所数が非常に多いということ、それから本社機能が集中しているということもありまして、事業内上の各種手続の処理が東京に集中する傾向にございますし、その量も近年増加傾向にございます。引き続き業務の迅速な処理ということを旨として対応していきたいと考えております。

 それから手続の処理に当たりましては、必要な要件の確認はもちろんですれども、特に派遣労働者に適用の漏れが見られる雇用保険、厚生年金保険等の適用状況についても厳正な確認を行っていきたいと考えております。以上、ポイントだけ御説明申し上げました。

【佐藤会長】  それでは続いて基準ですか。

【相浦基準部長】  基準部長の相浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうから、その後3番、労働基準の分野における重点対策について御説明いたします。まず(1)1番目ですが、長時間労働の抑制・過重労働による健康障害の防止でございます。これは総務部長のほうからも申し上げましたとおり、いわゆる若者の「使い捨て」が疑われる企業等についての対応ということでございます。昨年9月にこれらの重点監督を実施していますが、全体288事業所のうち84.4%に当たる事業所に何らかの法違反が認められました。また、併せて9月1日に全国一斉無料相談を開設いたしましたけれども、東京では相談件数が224件ということですが、当日は終日電話が途切れることがなかったことから、潜在的な相談ニーズは対応件数を大幅に上回るものというふうにみております。

 具体的にはアに書いています長時間労働の抑制・過重労働による健康障害防止に係る監督指導としております。法の履行確保を冒頭に置き、そのための監督指導を実施するということでございます。併せて、重大・悪質な事案に対しては司法処分を含めて厳正に対処するとしております。

 加えてイのところで、過重労働による健康障害防止対策の推進に掲げる各種施策を展開していくこととしております。先へいきまして、2つ目の大きな柱は、65ページ(4)の労働者の安全と健康の確保対策です。12次防の初年度として「Safe Work TOKYO」をキャッチフレーズに、局長のほうからも御説明申し上げましたように、各方面に御支援、御協力を頂戴して、官民一体となった運動を展開させていただきました。企業各社におかれても「Safe Work TOKYO」のロゴマークを活用して現場に横断幕を設置する、安全ワッペンを装                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  着する、名刺に印刷をするというようなことをいただきました。また、労働組合でも「Safe Work」のロゴ入り封筒を作って、広く利用していただいたようなことがございます。御礼申し上げたいと思います。

 その結果、死亡、死傷ともに4年連続の増加を回避することができる模様でございます。この先は経済活動の活性化等も予想されますので、再び労働災害が増加に転じることがないよう、更なる取組が必要ということで、セカンドステージとして取り組むこととしています。具体的な各対応策については以下のとおり記載しています。

 3つ目に御説明を申し上げるのは71ページの上段エでございます。労働者の健康を確保するための対策でございます。化学物質管理、メンタルヘルス対策、受動喫煙防止対策などの充実を内容とする安衛法の改正法案が成立した場合には周知徹底を図るとしておりますけれども、(ア)は化学物質による健康障害予防対策の推進、これが衛生関係では最重点の課題と26年度は位置付けていきたいと思っております。監督指導、個別指導を行って、特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則等の遵守徹底を前面に打ち出して書いておるところでございます。

 次は少し先へいきまして、75ページの上段、(5)最低賃金制度の適切な運営でございます。特にイの最低賃金の周知徹底等ということで、最低賃金が毎年改定されていることから周知に当たって、地方公共団体、各種団体等の協力を得ることを追記し、周知の徹底を図ってまいりたいと考えております。

 その次に(6)でございますが、労災補償対策ですけれども、これのイ、胆管がん事案への的確な対応ということで、迅速、適正な調査を実施するとともに、ジクロロメタン、1,2-ジクロロプロパン等の時効の進行についての周知を行うことと、エの石綿関連疾患に係る給付請求事案に対する的確な対応ということで、石綿の認定労働者が就労していた事業所に対し、退職者への周知依頼を行うこととしております。

 最後に本日机上に追加で配布させていただいておりますが、東京都革靴製造業最低工賃をお配りさせていただいております。2月12日の革靴最低工賃専門部会から最低工賃改正の答申をいただき、全委員の皆様に郵送で既にお知らせさせていただいたところでございますけれども、諸手続を経て先週金曜日の14日に官報公示され、効力発生日がここに記載してあるとおり、4月13日と確定いたしました。併せてこの場で御報告をさせていただきます。以上でございます。

【佐藤会長】  では均等関係、お願いします。

【大西均等室長】  雇用均等室の大西でございます。私のほうからは平成26年度の雇用均等行政の重点項目、施策について御説明申し上げます。運営方針案の76ページ以降を御覧いただけますでしょうか。最初に男女雇用機会均等確保対策の推進でございますが、

男女雇用機会均等確保対策の推進としては、男女雇用機会均等法の実効性の確保ということで、均等法の施行規則及び関連指針が改正されまして、今年平成26年7月1日から施行されることになっております。改正内容につきましては、本日机上に追加で配布させていただきました資料の最初の1枚ものにございますが、これらにつきまして、特に施行前を中心に周知徹底を図り、募集・採用、配置・昇進、性差別禁止などに係る事業主への指導による法の履行確保を図ってまいります。併せて性別を理由とする差別的取扱いの是正、女子学生の就職に関する均等な機会の確保につきましても、企業に法違反が見られる場合は厳正な指導を行っているものです。

 それからエの妊娠・出産を理由とする不利益取扱いへの厳正な対応でございますが、引き続き相談が寄せられておりますので、セクハラ被害についての相談と併せて、改正指針の周知徹底とともに、紛争解決援助制度を的確に運用して、親切、丁寧かつ迅速な解決を図ってまいります。また、26年4月から、これは労働関係ではございませんけれども、産前産後休業中にも社会保険料が免除されるということが決まっておりまして、これにつきましては本日追加で配布しました資料の2枚目に内容が載っておりますが、このことも相談対応に際しまして必要な範囲で情報提供をしてまいりたいと思っています。

 行政運営方針の78ページのほうに戻りまして、ポジティブ・アクションに取り組む事業主に対する支援、一番最後のところでございますが、女性の活用推進は政府の成長戦略の中核と位置付けられており、平成26年度末までにポジティブ・アクションに取り組む企業の割合を40%超とする目標がございます。東京労働局におきましてもポジティブ・アクション促進に向け、局長自らも企業に対する直接的な働きかけを強力に推進するとともに、報告徴収の機会を十分に活用しまして、企業の具体的な取組ができるような必要な助言、及び助成措置などの情報提供を積極的に行いつつ、企業や就職希望者に対してポジティブ・アクション、情報ポータルサイトの活用を促し、女性の活躍状況の情報開示を図ってまいることとしております。

 26年度も引き続き、労働局長による企業訪問を積極的に行い、ポジティブ・アクションの推進で取組を強めてまいりますが、25年度、これまで実施しました局長の企業訪問の状況につきましては、各企業の御了解をいただきました範囲でホームページに掲載しておりますので、また後ほど御覧いただければ大変幸いでございます。

 またポジティブ・アクションについて、他の模範となる取組を推進している企業を公募し、表彰しておりますが、表彰結果とともにその取組や効果を周知してまいります。ちなみに25年度均等推進企業表彰式に合わせまして、被表彰企業で育児と両立させながら活躍している女性管理職をパネリストとするセミナーを開催し、これを2回開催いたしましたけれど、それらのセミナーの結果報告につきましてもホームページに掲載しておりますので、御覧いただければと存じます。

 次に仕事と家庭の両立支援対策の推進、79ページでございます。両立支援対策につきましては、育児・介護休業法に基づく各制度がより一層定着するよう、育児休業を利用しやすい職場環境の整備を推進していくということにしております。育児・介護休業法の確実な履行確保については、特に派遣労働者など期間雇用者の女性の継続就業率が依然として低い状況にありますので、期間雇用者の育児休業の取得要件について更なる周知徹底を図り、非正規労働者の育児休業、育児短時間勤務制度の利用促進を図ります。それから両立支援に取り組む事業主に対する支援といたしまして、労使に対する意識啓発についての広報活動を強め、ファミリーフレンドリー企業表彰の活用、東京都その他の自治体、関係機関との連携も図ってまいります。

 また80ページのほうになりますけれども、男性労働者の育児休業取得促進を図るとともに、新たに設置される育児休業からの円滑な復帰を支援する両立支援助成金について効果的な周知活用を図り、仕事と家庭を両立しやすい職場環境整備を支援します。

 次に次世代育成支援対策の推進、80ページの真ん中ぐらいですが、次世代育成支援対策の推進につきましては、行動計画の届出率について9割超の水準を維持しているところですが、引き続き、未策定、未届け企業に対する指導に努めるとともに、「くるみん」の認定企業数を平成26年度末までに2,000社とする政府目標がございますので、それの達成に向けて多くの企業が子育てサポート企業として、認定を目指していただくよう援助を行ってまいりたいと思います。

 また今国会に次世代育成支援対策推進法の延長を内容とする改正案が提出されておりますが、改正法が成立した場合には円滑な施行に向けて、その内容について周知を図ってまいります。なお改正次世代法案につきましては、本日机上配布資料の中に内容をまとめたものをお届けしております。また後ほど御覧いただければと思います。

 それからパートタイム労働対策の推進につきましては、80ページの最後から81ページにかけてですけれども、パートタイム労働対策についても、まずパートタイム労働法の着実な履行を図っていくということで、事業所への指導計画に基づき、パートタイマーの均等・均衡待遇の確保及び正社員への転換推進のため、パートタイム労働法に基づく報告徴収で的確な指導を行うなどの施行を着実に行っていきます。またパートタイム労働者の均等・均衡待遇に取り組む事業主への支援として、雇用管理に係る相談、援助や職務分析・職務評価の導入支援により、パートタイム労働者の雇用管理、改善のための取組を進めてまいります。

 パートタイム労働法につきまして改正法案が今国会に提出されておりますが、成立した場合には円滑な施行のために、その内容について周知を図っていくこととしております。改正パート法の内容につきましても、本日の机上配布資料の中にお届けしてあります。一番最後の1枚でございますので御参考としていただきたいと思います。以上です。

【佐藤会長】  それでは続きまして徴収部長から。

【青木労働保険徴収部長】  労働保険徴収部の青木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。82ページ、労働保険適用徴収分野における重点対策についてでございますが、26年度の重点対策につきましては今年度と同様に4つの柱を考えているところでございます。まず1点目は(1)労働保険料等の適正徴収でございます。東京労働局管内の適用事業場数は、近年40万件前半で推移をしておりまして、労働保険料等の徴収決定額は全国の約3割を占め、また収納率は昨年度は全国の平均収納率は97.73%で、前年度を0.03%減少する中、東京局におきましては98.63%で、前年度を0.04ポイント増加し、全国3位ということでございました。今年度は2月末現在98.28%で、前年同期0.18ポイント増加しており、年度末におきましては昨年実績を上回るものと考えておるところでございます。

 このような状況から、労働保険財政等におきます東京労働局の役割は極めて大きいものと、このように考えておるところでございます。これらを踏まえまして、収納率の維持・向上を最重点課題として位置付け、取り組むこととしております。

 具体的には適正な申告・納付の周知、特に26年4月1日より、石綿救済法によります一般拠出金率が、0.05/1,000から0.02/1,000に引き下げられること、また労災保険率表の製造業及びその他の事業の事業細目が改正されることから、事業主に対しまして確実な周知を行い、適正徴収の土台となります年度更新業務の円滑な実施を行うとともに、実効ある滞納整理を行い、収納率の維持向上を図ることといたします。

 84ページにまいりまして、(2)労働保険の未手続事業一掃対策の推進でございます。平成26年度から新たに取り組む「第4次労働保険未手続事業一掃対策2か年計画」に基づき取り組むことといたしまして、関係行政機関や東京都からの通報制度を活用いたしまして、未手続事業の的確な加入勧奨を行い、未手続事業の解消を図ることといたします。

 3点目(3)労働保険事務組合の指導でございますが、労働保険事務組合に事務処理を委託している事業場は管内事業場の約4割を占めておる状況でございます。労働保険事務組合の事務処理が適正かつ的確に行われ、労働保険事務組合の信頼性が確保されるよう、研修会等必要な支援指導を実施してまいります。

 85ページにまいりまして、ウの労働保険事務組合報奨金の区分経理の推進等についてでございますが、平成23年度に労働保険事務組合報奨金の交付要領が改正されまして、交付額の上限額に3年間の経過措置が設けられたところで、今年度をもって終了したところでございます。来年度におきましても、引き続き十分な審査を行い、報奨金の使途に係る区分経理の確実な実施を図ることといたします。

4点目でございますが、電子申請の利用促進でございます。今年度の年度更新におきます電子申請の取扱い件数は9,714件、4.3%で、前年より1.1ポイント増加したものの、まだ利用率が低い状況にあります。事業主や社会保険労務士等に一層の周知と利用勧奨を行うことといたします。私からは以上でございます。

【佐藤会長】  総務部長から。

【高橋総務部長】  それでは6の労働相談等でございますけれども、(1)は局あるいは安定所、監督署に寄せられた相談に対しまして、懇切・丁寧、適切・迅速な対応をしてまいるということを書いてございます。86ページの(2)でありますが、労働法制の基礎知識の普及促進にも引き続き努めてまいります。

 (3)でございますが、個別労働紛争解決制度の積極的な運用について、これは今年度と同様でございます。続きまして89ページからでございますが、第4の各行政分野の連携事項でございます。90ページを御覧いただきますと、1のところで総論として、労働条件の確保、雇用のための総合的施策の実施と書いてございますが、これは労働行政の各所管事項について、労働局の局内の各部局の連携によって総合労働行政機関としての機能の発揮をしているということを書いてございます。

 そこで2以降でございますけれども、それぞれ均等分野、3はワーク・ライフ・バランス、4はパートタイムということで、それぞれ均等室が中心となって、関係部署、事務局と連携していくと。5は派遣労働者の分野、6は外国人労働者で、92ページですが、労働保険の分野、それぞれ所管部局が省庁と連携して進めていくということを記載してございます。

 最後に第5でございますが、94ページを御覧いただきまして、1は地方公共団体との連携ということで、アクション・プラン等を例示してございます。

 2は他の労働局との積極的な連携ということで、隣接県含めまして、関係する労働局と積極的に連携をし、全国的な視野を持って施策を推進するということで「Safe Work TOKYO」など例示してございます。95ページでございますけれども、3の積極的な広報ということで、地域に密着した情報を提供できるように、広報活動を積極的に推進するということでございます。また資料は分かりやすいものにするようにし、またホームページや必要に応じてSNSなども活用をするなど、発信手段の多様化を進めてまいります。

 96ページからは個人情報の管理、それから5番は情報公開制度の運用、それから97ページの6でございますが綱紀の関係、それから防災、それから会計、経理と。それから98ページございますが、事務の簡素・合理化、それから10番の研修ということで、それぞれ記載をさせていただいております。以上でございます。

【佐藤会長】  どうもありがとうございます。それではこうさせてください。まず金子委員が業務で先に出られるということです。先に全体について御質問があれば伺うことにして、その後3つに分けて、まず御質問をお伺いしたいと思います。もし何か全体について。

【金子委員】  すみません。ちょっと大学のほうで会議があって平行しておりますので申し訳ありません。時間もあれですから全体を通して、地域の連携といいますか、例えば職業安定なんかでも、ハローワークの近県との連携、それを強めるということですけども、現実には近県とのハローワークの連携というのは、具体的にどういう効果が出ているのか、そこのところをちょっと知りたいのですが。それがさらに進めていくというような、どういうふうな狙いの中でやっているのかということを、追加して説明をいただければと思います。

【佐藤会長】  安定部長の、可能な範囲でお答えください。

【清野職業安定部長】  よろしいですか。労使条件というのはどうしても都道府県の境と一致しないものですから、そういった面でやはり隣接する都道府県との連携というのは重要なことだと考えておりまして、実際に面接会を一緒に開催したり、あるいは求人の連絡を絶えずさせていただいています。ハローワーク同士で、うちのハローワークはこの辺のハローワークの求職者の方が利用してくれているというのがデータで分かりますので、そういうハローワークには絶えず、こういう求人が出たら、このハローワークとこのハローワークとこのハローワークには連絡しましょうよと。それで求職者を送り込んでいる。そういう日常的な連携を中心に、場合によっては先ほど、最初に言いましたような、面接会を一緒にやりましょうとか、そのような連携をさせていただいていることによって、お互いの意識が高まるというのが一番の効果だなと思っておるところです。

【金子委員】  共同で面接会をやるというのは、実際には行われているのですか。

【清野職業安定部長】  行っております。

【金子委員】  東京、千葉、神奈川、埼玉?

【清野職業安定部長】  一挙に首都圏全体で面接会をやるというのは、それはちょっと。

【金子委員】  県境を越えたから。

【清野職業安定部長】  隣接しているところ同士で勉強しながらという意味です。

【金子委員】  世田谷区と川崎市とか、そういうたぐいのね。

【清野職業安定部長】  そうです。

【伊岐労働局長】  具体的には例えば、町田所って東京のハローワークですけれど、相模原のハローワーク、そうすると、実は非常に求職者も、それから求人者もかなり隣接しているものですから、入れ違いというか、やや混在しているような形で御利用いただいています。例えば介護施設が神奈川県の町田近くにあったり、その場合には町田市在住の求職者の人を積極的にマッチングしたほうが両方にとってよくなります。そうすると、共同で面接会をやるということによって、片や神奈川県の求人者も満足される。片や東京の求職者も満足されるということがあると、そういうことです。

【金子委員】  分かりました。結構です。

【相浦労働基準部長】  基準関係で一つ付け加えさせていただきます。広域でいろいろな事案を足並みをそろえて調査する、また、場合によっては司法捜査案件について、足並みをそろえて捜索を行うというようなことを隣接局で行っています。これは関係法令の問題は決して当該東京だけで起きている問題ではなく、隣接する各県において起きていたりするものですから、そういうところの情報を密に共有し連携してというふうになっています。

【金子委員】  ついでに労働基準で、長時間労働に対する是正というのは非常に重要な問題だというのは、全くその通りだと思いますけれども。先ほどの話の中に、司法処分を含めて、それを強化していきたいというふうにおっしゃっていますが、具体的に司法処分をどの程度のものとして出しているのかという、出していこうとしているのかね。

【相浦労働基準部長】  司法処分というのは究極的な形でございまして、そういう意味では監督指導によって案件を是正させていくというのが、監督機関としての基本的な立場でございます。そういうことによってもなお解決が図られないとか、もしくは再三にわたり同様のものが繰り返されるとか、そういったものに対して究極的な手法である司法処分というのを選択していくということでございます。

【金子委員】  去年のテレビで、監督官が手錠を持ってすぐに手錠をはめるとかいうけど、あまりにもインパクトが強すぎちゃうのだけれど。

【相浦労働基準部長】  逮捕するとか、そういうような案件が数多くあるわけではございませんけれども、強制捜査、捜索差押え等の案件については、当局管内でもかなりの件数がございます。

【金子委員】  分かりました。ありがとうございました。

【佐藤会長】  それでは、残り半までなので40分弱です。やはり全体に御意見を伺えればと思いますので、いつも安定と基準にたくさん質問が、悪いわけではありませんけれども。一応こうさせてください。76ページから92ページ、つまり均等と徴収と個別相談みたいなところが一つ。その前の、後ろからいきますので、次は需給関係と基準を合わせてということで、残り、今度は安定と。最後の時間ということで、まずそれぞれ10分ずつぐらい、質疑で10分ぐらいにしたいと。3~4人手短に御質問をいただいてお答えいただくという形にしたいと思いますので、均等、徴収、個別相談関係ですね。とか、その後ろ部分ですが、96までで何かあれば御質問を出していただければと思います。今から。

 一つだけ均等関係で、先ほど4月から始まる産休中の社会保険料免除、これはここには書いてなかったですよね。中には。

【伊岐労働局長】  産前産後休業中の社会保険料の免除は労働関係ではなくて社会保険の関係で、従来育児休業中の社会保険料の免除というのは既に進めているのですけれども、4月から産前産後休業中の社会保険料は事業主、被保険者ともに免除になっていることで、一応そういう妊娠・出産に係る不利益取扱いの御相談に際しては、そういう情報を労働者にも事業主にも提供していきたいということで説明に加えさせていただきました。

【佐藤会長】  よく分かりました。ただ育休中の助成金の過払いの場合、安定行政に書いてあって、多分そのパンフレットを作るのであれば、確かに分野が違うからって載せないっていうのはどうかな、というふうに思うので。一つのパンフレットにして、育休中のあれが変わるのと合わせて、産休中の社会保険料免除があるというのを書いたほうがいいかな。分野が違うという、もらう人は1人なので。

 もう一つは有期の方の育児休業の取得要件のところも、これは均等の中に入って、でも大事なのは育休から突然入るわけじゃなくて、産休から入るわけですよね。有期の人も雇用期間内であれば産休は取れるので、ですから実は産休が有期の人も取れるという情報を出すほうが先で、なのかなというふうに思うのですが。

【大西雇用均等室長】  おっしゃるとおりで、産休と育児休業というのは法令上で見ると。

【伊岐労働局長】  産休についても知っていただくことも重要なので、そういうことも合わせて周知の対象にするというような感じで、少し入れ方を考えて。

【佐藤会長】  法律は違っても利用者にとってはつながっているので、ぜひその辺は連携ということでやっていただければいいです。

【大西雇用均等室長】  利用される方の立場に沿った記述をちょっと考えて。

【佐藤会長】  それでは今度需給調整基準のところで。どうぞ。

【加藤委員】  65ページの労働者の安全と健康の確保対策ということで、平成25年度は第2、12次防の計画の初年度として「Safe Work TOKYO」をキャッチフレーズでやられて、伊岐局長をはじめとして関係者の御努力によって、かなり労働災害が、仕事が増えているのだけれども減ってきているというのは御努力のおかげだと思います。ただここに書いてあるように、今年度、平成26年度は第2次、12次防のセカンドステージという書き方をなさっているのですけれども、まず決定的に違うのはオリンピック・パラリンピックが2020年度に始まりますよと、それについて多少の記述はあるのだけれども、もうちょっと前面に押し出して、せっかく東京が中心となって世界に発信できる場なものですから、「Safe Work TOKYO」も当然なんですが、もうちょっと何かいい表現がないかなというふうな、オリンピックに関してせっかくの機会ですしね。ちょっと希望といいますか。

【相浦労働基準部長】  実は66ページにちょっと書いてあるのですが、建設業に対する労働災害防止対策の推進の中で、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向けた関連工事の関係ですけれども、一番下のほうにオリンピック・パラリンピック東京大会関連建設工事安全衛生対策推進協議会、こういったものを設けて、ここをベースにいろいろな災害防止活動を展開していこうというふうに今考えております。ただ、ここの協議会には関係各省庁がいろいろと関係してまいりますので、そこの協議会の立ち上げに向けて今調整を行っているという状況でございます。

 実際に今年度やってきた建設業対策の中で、新規就業者に対する安全衛生講習会だとか、さらに専門工事業者との連絡会議の立ち上げ、そういったことはかなり有効であろうと思っておりますので、その点もセカンドステージ、次年度では拡充していきたいというふうに考えております。

【加藤委員】  分かりました。ありがとうございます。

【佐藤会長】  他に需給調整基準関係で。どうぞ。

【傳田委員】  60ページのところに、労働条件の確保、それから改善の推進というところでは、それぞれやはり産業別ですとか、こうした類型別に重点を、ここにはこういうというのがとても大事だなというふうに思うので、そうした意味でぜひこうしたくくりの中で、やっぱりその辺にある業界団体の皆様ですとか、十分連携を取っていただいて、そこで何が根本的にどうしてほしいのかと、業界の皆様の意見もあると思いますので、その辺を十分くみ取っていただいて、片やでは労働相談等でたくさんあるから、こういうふうなところを重点とされているということは、労働者のほうからの意見というのは十分分かっていただいていると思うので、ぜひ使用者団体の皆様、またはそれぞれの業界団体の皆様と一緒にレベルアップしていくという立場で考えていただきたいというふうに思っております。

 もう一つ、下の課題のところ、行政の課題のところのほうなのですけれども20ページのところで、昨年4月1日から全面施行されました改正労働契約法、この部分の課題が載っているのですけれども、これに対応する部分で言っているところというのは多分63ページのところになるのでしょうか。

【相浦労働基準部長】  そうです。

【傳田委員】  そうすると、こちらの20ページのところでいわれているのは、今、昨年の議員立法だとか、それからこれからの法律ですとか、除外規定ですとか、そういう部分のことが書いてあるわけですけれども、こちらのほうは書いてないと。全般的に、そうすると昨年決まったやつをしっかりやっていくと。除外は除外で、またしかれたらきちんとやるよと。こういう意味なんだろうと思うのですけれども、それで、後ろのほうの64ページの後ろの4行に当たる部分です。例えばこれは特区申請があった場合についてのあれとは関係ないわけですよね。新たなルールについて、例えばお伝えしますとか、分かりやすいように解説をしますとか。

【伊岐労働局長】  恐縮です。そこのとこは、今日お出しするバージョンでは反映しておりませんが、もう少しここは拡充の修正をする予定であります。恐縮です。

【傳田委員】  分かりました。それを意味しているのではないなと思いながら、どこにあるのかなと。

【伊岐労働局長】  来期ではそういう検討もして、そこをもうちょっと書き加えようとしていますが、先生方にお送りするタイミングがちょっと間に合いませんでした。失礼しました。

【傳田委員】  分かりました。

【佐藤会長】  他には。

【相浦労働基準部長】  1点目のいろいろな業種団体といいますか、使用者団体とも連携して、労働条件の改善等に努めるべきという話については御指摘のとおりだと考えておりまして、安全衛生の関係に限らず、いろいろな業界団体、中小企業団体等とも連携をしていきたいというふうに思っております。

【佐藤会長】  いかがでしょう。他に基準、需給調整関係で。もちろん最後に全体でまた伺いますけれども。よろしいですか。それでは一番分量の多い安定関係に、もしあれば。

【白川委員】  まず、労働行政の課題のところの基本的な認識を一番最初に記載していただいているのですが、書いていらっしゃるとおりなのですが、私ども労働団体が足下で春闘を中心に各経営者と会っていまして、今、かなり裾野の広い中小ものづくり産業の経営者の、いわゆる求人マインドが非常に高まってきているんですよね。ところがこの春闘でかなりいい回答が出ているのは、やはり将来に対して、そのことがあるので回答せざるを得ないという経営者も多い。やはりこの間、長きにわたる不況で、かなり絞ってきていて、ところがこの第4四半期で自動車中心に盛り上がってきていると。ですが、かなり現場は高負荷高残業に全般的になっているんですね、中小の現場は。しかしながらそこで取ろうと思ってもミスマッチングで、なかなか来ていただけないと。特にここには記載されていますけれども、技能者よりも技術者なんですよね。なかなかここが充足しないことには、日本の産業全体の好循環にはつながらないんではないかと。そういうことがありますので、足下の状況はそのような状況もあるということで、やはり中小企業のものづくりと、私はあえて言いますけれども、日本の産業の足腰ですので、そこについてのやはり認識というものも、直近の状況ではあろうかと思いますので、これは参考にしていただいたら結構なんですけれども。

 まずそういった考え方で、私はずっと見させていただいておりますと、17ページから18ページ、さらにはその中の個別の施策もあるんですが、そのような認識の下に書かれている施策というふうには読めないんですよ。結果的につながるというのは分かるんです。結果的にはね。さまざまな重層的な施策を積み重ねていらっしゃるし、連携、そして一体化運用もこれまで以上にやられようとしているんですけれども。少なくとも東京で、そういう事業者数が非常に多い状況の中で、そこにもターゲットをあてていただいた。具体的にいえば、17ページの(6)のイのところです。これは後ほどの具体的なところも多少は出てきているんですけども、ここのイとウが非常に分かりやすいかと思うんです。ここで訓練機関とも連携しながら、やはり今経営者市場ニーズが、どこに最もタイト感があるのか、そこをしっかりと探りながら、中小企業のものづくりは集積していますからね。ほとんどのところは連携されているんですね、このウのところで。ただ、今中心的な板橋とか、それから三多摩地域はいわゆる手薄というところですので、ぜひその辺りに、地域との一体化は中小ものづくりの集積されている地域と、より目線を持って連携をするんだと。

 さらに訓練というところも、市場ニーズの強いところを、ぜひ行政と個別企業と連携しながら、そこをしっかりとつないでいくというような形を、考え方として打ち出していただいたらどうかなと。内容的にはそんなに不都合はないと思うんですけれども考え方がないと、総括するときに目線でチェックができないのではないかと。以上です。

【佐藤会長】  なかなか難しいかと思います。13ページなんかも、基本的に成長分野への人の移動といったときに、平均的に製造業から福祉やそちらへという書き方が多くて、製造業にも人は必要なわけですよね。その辺をどうやっていくかということが、確かに御指摘のとおりです。

【伊岐労働局長】  地域のニーズの側というと、それに対する移動的な地域ぐるみの取組というのはおっしゃるとおりで、特に技術者というふうに、少し高度技術者というふうなことに関して言うと、やっぱり大卒を中心とする新卒応援ハローワークの機能だとかを、八王子にももちろんありますので、多摩地区、都の中心部でやっていくということが一つと、それから今日も御披露しましたけれど、わかハロも多少増やします。そういう中には技術を持った、しかし何らかの形で就職が困難な方がいらっしゃったりして、そこの結び付けによって、冒頭私が御紹介した若者応援企業なんかときちんと結び付けることによる技術者不足の対応ができるかと思います。

 ただやっぱり抜本的な対応というのは、公共職業訓練の中で、これは都で展開している公共訓練をいかに活用するか。私どもでやっている求職者支援訓練とか、もっと短期の訓練というのはどちらかというと、技術者というよりはもうちょっと技能者レベルだったり、一般労働者レベルなので、できれば職業訓練短期大学とか、あるいは都の訓練校なんかとの連携というのは当然やりたいと思っていますので、ちょっとそこのニュアンスをどの程度出せるか分かりませんが、文章上、おっしゃるようなことがもう少し出せるように考えてみたいと思います。

【白川委員】  佐藤会長がいみじくも私の心の中を言い当てられたんですけども。私はJAMという組織の代表ですので、やはりものづくりというものも、片方でしっかりと保持をしながらということで言わせていただいた。

【伊岐労働局長】  そうですね。おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。

【佐藤会長】  ですから広い意味では東京の産業の動向を踏まえたような、東京の場合、中小製造業がたくさん集積して、他方でそういうサービス業等々もあるけど、本社機能もあるけど、同時に中小企業の集積という高い崖なんで、そこのところをどうするかという考え。

【伊岐労働局長】  ちょっと付言させていただくと、学校教育のところとのつなぎというところをいうと、学部構成とかも、今例えば建設労働者不足なのだけれど、実は建築学科がどんどん、土木と建築が縮小しちゃっていて学生は少ないですよみたいな、若干のタイムラグがあったりするので、大学のほうにも私どもが需給調整機関として、このようなふうになっているよというような情報提供ができればなと思いますし、今大学との連携とかいうことも、ハローワークで頑張っていますので、そういう場でも少し工夫をしてみたいと思います。よろしくお願いします。

【佐藤会長】  全体的に、これ、安定とかですけれど、東京というのは、例えば女性でいうと、女性がたくさん働いていると書いてあるのだけど、東京というのは女性の就業率はすごく低いのね。働いている人の中の管理職率は相対的に高いのだけれど、途中でたくさん辞めているのですよ。ですので、そういう状況を考えたときに何をするかという、東京の置かれた状況というのを少しきちっと見たときに、それによっては政策が変わるかどうかという話しかなというような気もします。

【伊岐労働局長】  今のは重い宿題で、東京の状況のところに何かそういうふうに書いたほうがいいと。

【佐藤会長】  その辺は東京の特徴みたいなのを少し書き込んでいただくといいかなとちょっと思いました。今のお話から。

【伊岐労働局長】  努力いたします。

【佐藤会長】  いかがでしょうか。全体でも構いませんし。どうぞ。

【傳田委員】  組合の皆さんからよく意見がでるのは、それはどういうことなのかというと、今のお話しみたいに、雇用の流動に対する支援が充実をこれからするということで、これも46ページから47ページのほうに、円滑な再就職を実現するために、事業主とか対象労働者の受け入れ訓練が書いている一方で、2~3個下の雇用維持に努力する、対する支援と。ここがどうなっているのということをよく聞かれるわけです。今までの制度だけでいえば、5%ぐらい前年に比べてということが、景気がよくなっていれば、みんなよくなっているのだから、ほんとは使えるのというようなことはあるのですけれど、ほんとうに大勢の方がこれで雇用維持してきたという経過があって、今までですと、こういう表の中でも使った人たちが何パーセントと載っているんですが、今は載らないようなことなものですから、果たしてそれだけでいいんだろうかというような思いがあって。ただ、ほんとうに前の基準だけでいったら、どれぐらい使えるのかというのがわれわれはよく分からないので、現場がどうなっているのかという面があるのですけれど。何らかやっぱりそういうものとは別にイーブンかもしれないけど経営は大変厳しくて、従業員の雇用維持をするために何かないのというようなものに対して有効なものが、国の制度がない以上、東京だけやるなんていうことはできないと思うのですけれど、ただし、当てはまる事業主もおいでになると思うので、この下がって2行で、これでいうと47ページのとこですか、活用を図るようなところがあれば応援していきますという、ぱっとこういうふうな書き方よりは、もう少し、まだそういうニーズがあればきちんと使える制度がありますというふうな書き方にならないなのかなという気はしております。

【佐藤会長】  他には。

【野川委員】  職業安定分野における重点対策は長いのですが、このうちの(1)は一般的なことですね。(2)から(4)までが、若者、子育て女性、高齢者、障害者と、要するに属性ごとにターゲットを絞った対策があるんですが、私が注目したいのは、このうちの36ページの一番下の、母子家庭の母等の雇用対策の推進というところなのです。というのは、ターゲットを絞った雇用対策については、人的な属性としてどうしてもサポートが必要だという人たちと、システムとして、この人たちが働きにくい状態にあるという場合とか大きく分けるとあって、前者の代表はやはり障害者です。障害を持っている方たちは、どうしてもその人の持っている属性としてサポートが必要なので、これに対してはアクティブな対応をしていかざるを得ない。これに対して高齢者などは、実はシステムの問題が大きいわけですよね。60歳定年なんていうのは、今は60でも元気な人はいっぱいいます。昔できたシステムがそのまま残っていたのを、何とかそれを変えることによって働く方向へ誘導するということでしょう。

 この子育て女性というのは、どちらかというと恐らくシステムの問題だと考えられているほうが多いと思います。つまり、子育てをしていながらも能力もあり、体力もある女性はいっぱいいるのだから、システムを変えて労働市場にもっと活躍していただこうということだと思います。

 しかし、このうちで、母子家庭、つまりこれはシングルマザーですね。この人たちは、私は一緒にはできない部分があるのではないかと思います。要するに、どうしても人的属性として、かなりアクティブな対応をしないと、とてもちょっと労働市場に一般的な形で戻ることはできない。これは世界的にそうですよね。要するにシングルマザーというのは貧困層の一つの中心なのですよね。シングルマザーであるというだけで、まず貧困に落ちていくということが多い。だからどこの国でも、アメリカでもヨーロッパでもいろんな対応をしているし、しかしそれにもかかわらず、やっぱりその状況は国際的に変わっていないのですよね。こういうことを日本でも考えた場合には、やはりシングルマザーは減っていくという状況にはないと思いますね。

 その中でこの対策を見ると、わずか3行プラスしかなくて極めて一般的なことしか書いてないのですよね。これは恐らく子育て女性一般の中の一つとしか位置付けられていないからだというところが考えられるのですね。ちょっとシングルマザーの置かれた状況についてはもう少し違う、まさにもっとアクティブなサポートがないと、この人たちが労働市場で活躍できるようなことにはなれないということを踏まえたような対応というのができないかなというふうに思っているのですが、いかがでしょう。

【伊岐労働局長】  非常におっしゃるとおりなのですが、実はさらりと書いていますが、職業訓練制度、特定求職者雇用開発助成金等、一般の子育て女性には適用されない制度が、かなりシングルマザーには手厚く現行で適用されておりまして、それをあまり強調せずに書いているが故につれなく見えますが、実は従来より非常に手厚くやっています。逆に、実は子育て女性全般に比べると、シングルマザーは非常に就労意欲も、実は管理職に就きたいという昇進意欲も高いというのが分析でも出ておりまして。もう一つ言うと、シングルマザーというのは、要は子育てでいうと両立支援弱者なのですよね。一般の子育て女性というのは旦那と分けることが多少なりともできる。ところがシングルマザー、シングルファザーは1人で仕事も、それから子育てもやらなきゃいけない。そういう文脈でいうと、子育て部分でより一般の子育て女性より程度の高い弱者という位置付けもできるので、従前のことをさらっと書いているので弱めに見えますが、実は手厚くやっているということが分かるように書かせていただきたいと。

【野川委員】  あと、統計的にシングルマザーが置かれた状況が分かるような指標というのがあるといいですね。まさにシングルマザーという類型は、それなりにフォロー、把握できる類型だと思いますので、経済的にどれぐらい厳しい状況にあってどうなっているのかということね。それが分かると、おっしゃった個別の対策についても、どれぐらい実際に効果を上げているのかとか、どこが足りないのかとかいうことが分かると思うので、少なくとも私が種々見ているシングルマザーは、皆様ものすごい苦労していて、とてもそれは半端じゃないという感じがしています。

【伊岐労働局長】  先ほど会長からも、女性の分析をもうちょっとという話がありましたので、それに加えて、もし東京労働局管内で何か書けるようであれば前段の部分に書いて、こちらについてはもう少し、やっている施策が手厚いものであることが分かるように書かせていただきたいと。

【佐藤会長】  もう一つ最後、さっきのスローガンもあるので、いかがでしょうか。もしあれば。

【田中委員】  どこかに書いてあるのだと思うのですけれど、精神障害者の雇用というのが、今すぐではないですけど義務付けられるということがございます。経済界のほうが非常に困っているというかですね。企業で取ろうかと思ってトライしてみると、次はいつ来てくださいというと、もう来なくなるとか、いろんなことがあって、知的障害者とか身体障害者非常に難しいという状況があって、どういうふうに、どういうような場で使っていったらいいのかとか、そういうところの成功事例というのはどういうことなのかとか。それから教育訓練機関で、労働力化のためにどういうことをやろうとしているのだとか、そういうようなことをそろそろ、一生懸命やってそれをこういう方針の中でも入れて、全体に周知というか情報提供というか、図っていくというようなことを、なかなか普通の障害者に比べるとほんとに難しいので、ぜひ強力な取組をお願いしたいと思っているんです。

【佐藤会長】  41ページに少し書いていただいたのかな。41ページ、もしあれば。

【清野職業安定部長】  田中委員からいただいて、前々から精神障害者のモデルケースじゃないですけれども、いろいろな雇用事例なんかも必要ですよということでいただいておろうかと思います。今、いろいろな同じケースを集めたりもしていまして、それはまた御披露といいますか、発表できるのかな、なんて思っておりますが。これは厚生労働省のほうでいろいろ全国から集めたりしていると思います。

 また、実際に今おっしゃっていただいた「明日から来てね」と言ってもなかなかとかというところもお話が出ましたけども、そういう方だけではなくて、実は精神障害者の方の雇用というのはやっぱり一番は、支援機関が入っておりますので、そういう支援機関との連携によって雇用を決めていくというんですか、雇入れの時間帯も最初から8時間労働とかというと、なかなかきついというようなこともあって、もっと短いところから徐々に徐々にというようなことも含めまして、相当支援機関の支援者が企業と連絡を取りながら、本人の状況を見ながらやっているというのが今だと思います。ですから支援員も徐々に増やしていただいておりますので、そういう形で進めていけるのかななんて思っているところです。なかなか企業全部にというのは、すぐに精神障害者となると、ちょっとそういうなかなか厳しいといいますか、大丈夫かなというような模範が多いのかなというのは分かりますので、そこは先ほど言ったように、できるだけ成功事例みたいなのをどんどん出していければなと思っています。

【佐藤会長】  まだあるかと思いますが、スローガンもあるので、あと時間も10分を切っているということもありますので、よろしいですかね。これは僕たちが決めるわけではなくて、いろいろ御意見なりを言っていただいて、局のほうで決めるということですよね。そうすると、今一応4つ、金子先生が書いて置いていったのもありますので。だから他に参考案があれば言っていただくとか、これはちょっとまずい、何かそういうような御意見も出していただいて、あとは労働局のほうで決めていただくという趣旨のようであります。いかがですかね。

【加藤委員】  C案で「誰もが能力を発揮できる安心な社会へ」と。これを「社会」を「東京へ」というふうにしていただけないでしょうかなと思って。

【伊岐労働局長】  確かにおっしゃるとおりです。

【加藤委員】  全力東京というと、ちょっとむち打たれて頑張れ。ちょっと私のこれは意見です。余談かもしれないですけど。

【伊岐労働局長】  局内でもいろいろありまして、実は全力投球とかけているのはお分かりかと思いますが、もう一つは、私ども東京労働局が、ソチオリンピック全力応援というキーワードがありましたけど、誰もが活躍、誰もが安心あるいは誰もが能力を発揮できる安心な社会について、東京労働局が全力で頑張りますということもニュアンスとして出したいと。もう一つ言うと、東京の持てるポテンシャルをなるべく高めたいという趣旨で「全力東京」というキーワードはどうかなと。おっしゃるとおり、むち打つ感じがあまり強すぎていかがなものかという御意見が強かったら「全力東京」が入っていないほうを考えようと。今日お出しした趣旨はそういうことであります。

【佐藤会長】  僕は今加藤さんについて言うと、安心な社会という、安心が社会にかかっちゃうと、何か普通のセーフティーだけみたいな感じになってしまうので、僕は強いて言うと「安心して誰もが能力を発揮できる東京へ」とか、働くほうにかかっているんだよね。多分安心はね。犯罪が少ない東京みたいな感じなっちゃうと困るので、かなと思ったんで、C案だったら「安心して誰もが能力を発揮できる東京へ」とか、どうかなとは思ったぐらいです。

【伊岐労働局長】  安心して誰もが能力を発揮できる……

【佐藤会長】  できる東京へとかと。

【伊岐労働局長】  分かりました。「安心」が後ろに来たのは、能力発揮に「安心」がかかっちゃうのだったと、逆に安全性とかそういうところで読み切れるかなという危惧がありましたが、おっしゃる通りそういうほうがいいかもしれません。書き留めさせていただいて。

【佐藤会長】  他の方から、今みたいに何か御意見があれば。

【野川委員】  いいですか。この4つはどれも似ていますけれども、よく読むと全部に必ず出てくるのは2つで「誰もが」と「安心」ですよね。「誰もが」は修飾句だからいいのですけれど、「安心」というのは全部に入っていて、「活躍」と「能力発揮できる」と「全力東京」はないのもあればあるのもある。ところで「安心」というのは、平成25年度も「安心」ですね。ということは、「安心」というのは絶対崩せない最優先の概念なのですか。それは逆に言うと不安の除去ですよね。不安の除去こそが毎年必ずこれだけは外せない最優先課題だと、そういうふうに理解してよろしいですか。

【伊岐労働局長】  労働行政の特質として労働者を守るとか、労働者を雇用保障、実を挙げるとか、差別を排除するみたいなものというのは二字熟語でいうとどうしても、私どもの地位だと「安心」という言葉が出てきて、実はなるべく「安心」だけにならないように「活躍」だとか「能力発揮」だとか入っているのですけれど、実は職員の人たちから募集しますと「安心・安全」みたいなところがたくさん出てくるのです。ですから「安心」はやっぱりキーワードだと思うのですが。できるだけ前向きにという気持ちで、去年は「安心」が最初に来たので「安心」が最初じゃなくて、もうちょっと前向きのほうを先にしてとか、少し変化を講じようと思ったのが今日の。

【野川委員】  今年はこれでしょうがないと思いますけれども、「安心」というのは頼る形ですよね。安心させてほしいんですよね。つまり自分でつくり出すというよりは、誰かに安心させてくださいというような、受け身な言葉なのでね。今朝ラジオでやっていたけども、15年ぐらいずっとベストセラーの新書があって、東大の有吉さんの認知経済学ですが、安心社会から信頼社会へということが書いてあります。つまり「安心」というのは古いということですよね。昔は日本社会、高度成長期とかの、あまり海外的にグローバル化がみられないような時代には、組織の中で安心して働くということは意味が大きかった。ところが信頼というのは、自分である程度つくり出すものなので、そっちのほうがグローバル化社会には合っているので、ちょっと労働省も昔から若干そういう点では後ろ向きの官庁だみたいにいわれていて、それに流れているようなところも感じるのですけれど。将来的には「安心」という言葉でとどまらない、もうちょっと「安心」と同じ結果をもたらすけれどもアクティブな、信頼もそうだけれども、スローガンを考えていただきたいなというふうに思いました。「安心」で全部そろっているのでね。以上です。

【佐藤会長】  信頼職場とかでいいのでは。

【伊岐労働局長】  安心という言葉は私も実は別の言葉に替えられないかというのは、毎年、実は昨年度も思ったのですが。労働の他の皆さんはどうでしょうか。

【傳田委員】  まだ「安心」か「安全」がいいような感じがしております。

【野川委員】  労働界はそうだと思いますよ、前から。

【佐藤会長】  いわゆるブラック企業みたいなことで、信頼できないってあるよね。信頼って結構大事かもしれないね。

【伊岐労働局長】  いただいたお言葉、実は心情的には、私はほとんどそのままそういう気持ちですが、一方で労働者の方々の「安心」を今求められている分野もあるということで、将来の課題として、いつかは「安心」を脱皮した将来にしたいと。

【佐藤会長】  今出た御意見を参考にしながら、また考えていただくということにして、一応議論はここまでにさせていただいて、今日は局長から最後に御挨拶をいただいて、何か今日の議論についていただけるようですので、よろしくお願いします。

【伊岐労働局長】  いつも説明が長すぎて、御議論をいただく時間が短くなってしまうので極力頑張って短くしたつもりですが、それでももしかしたら、皆様はお聞きになって「え?」と思われたかもしれません。ただ、だんだん長くなって分厚くなって、注文が付いてすごくなってきましたが、われわれとしては思いをお伝えし、職員に情報を横で共有化するとして、すごく重視している表れであります。今日も率直な御意見を頂戴しましたが、全員がこれを読み込んで、自分の分野以外もしっかりいろんな先生の御意見も受け止めて横の連携をしっかり取っていくということが、最終的には行政効果を高める一番のポイントだと思っていますので、そういう気持ちで新年度頑張りますので、ぜひ今後ともよろしく御支援、また御叱正のほどをお願いしたいと思います。ありがとうございました。

【佐藤会長】  どうもありがとうございました。それではこれで第7期第2回東京地方労働審議会を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。

【石原企画室長】  どうも佐藤会長ありがとうございました。委員の皆様、長時間にわたりお疲れさまでございます。これをもちまして散会とさせていただきます。本日は御協力ありがとうございました。

【佐藤会長】  どうもありがとうございました。

                                ―─ 了 ──

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