第6期 第4回 東京地方労働審議会(平成25年3月14日開催)

第6期第4回 東京地方労働審議会

 

1 日時   平成25年3月14日(木)   9:30~11:10

 

2 場所   東京労働局 九段第3合同庁舎(11階 共用会議室4)

 

3 出席者

   委 員  佐藤会長、金子委員、梶原委員、尾津委員、橋本委員、

         秋山委員、三宅委員、傳田委員、米田委員、上原委員、

         大浜委員、加藤委員、田中委員、蜂谷委員

 

   事務局  伊岐東京労働局長、高橋総務部長、青木労働保険徴収部長、

         相浦労働基準部長、清野職業安定部長、中村需給調整事業部長、

         荒川雇用均等室長

 

4 議題

(1)   平成25年度東京労働局行政運営方針(案)について

(2)   その他(質疑・意見交換)

 

5 配布資料

  本会議資料(1739KB; PDFファイル) 

 

  平成25年度 東京労働局行政運営方針(案)(632KB;PDFファイル)

 

  平成24年度 東京労働局行政運営方針(825KB; PDFファイル) 

 

6 議事

【石原企画室長】  お待たせいたしました。定刻でございますので、ただいまから第6期第4回東京地方労働審議会を開催いたします。

 本日、委員の皆様には大変お忙しい中を御出席いただきましてありがとうございます。冒頭の進行を務めます総務部企画室の石原でございます。どうぞ御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 それでは、開会に当たりまして伊岐東京労働局長よりごあいさつを申し上げます。

【伊岐労働局長】  東京地方労働審議会の委員の先生方におかれましては、平素より当局の行政運営に対しまして、一方ならぬ御支援、御協力を賜りまして、まずもって御礼申し上げたいと思います。

 また、昨年は当審議会の審議に関しましても、いろいろな御視察を含めて、多岐にわたって御参画をいただき、本当に実質的な実りのある御審議をいただいたことにつきましても心より御礼申し上げたいと思います。

 さて、昨年の審議会が終わりました後、御案内のように政権交代がございまして、安倍政権においては、既に年明けには補正予算を国会に提出、また、緊急経済対策の樹立といった様々な政策上の変化が起こっているところでございます。

 補正予算につきましては、既に去る2月26日に成立しましたし、また、今現在、精力的に25年度予算の審議が国会において行われておりますが、この補正予算であるとか本予算において多岐にわたる労働行政の新しい施策が盛り込まれているところでございます。

 このような新しい施策も含め、東京労働局における25年度の行政運営に係る方針を地方労働行政運営方針という形で案として取りまとめ、本日は皆様に御審議いただくことといたしました。

 案につきましては、後ほどまた詳しく御説明を申し上げたいと思いますが、昨年いただきました御審議によって、24年度の行政運営方針ができたわけでございますが、今般、25年度の行政運営方針の案を作るに当たりましては、私どもとしては、次のようなことに特に留意したところでございますので、冒頭御披露して、また御審議のときの御参考にしていただきたいというふうに思います。

 お手元にあるような資料、大変細部にわたる行政運営方針でございまして、これまでは行政運営方針が東京労働局の組織、あるいは職員にとっての業務運営の基本方針となるということを一番の主眼として策定し、それから、この運営方針を実施してきたわけでございます。

 25年度は、これに加えまして、是非この行政運営方針を一般の国民の皆様に、東京労働局の行政を知っていただくための、いわゆる広報のツールとしても活用したいという意識を持って編さんしたいというのが、私どもの今回の案の策定に当たりましての1つの目的でございました。

 確かに細部にわたるものでございまして、一般の皆様がこれを全部読み通すということはなかなか難しいのかもしれませんが、それぞれの御関心領域については、東京労働局が何をやろうとしているのかということを、少なくとも行政運営方針を読んでいただければ、分かっていただけるようなものにしたいという願いを込めて作ったわけでございます。

 では、何が違うのかということでございますが、後ほども御披露いたしますが、まず、言葉遣い等々は、なるべく解説を施したり、分かりやすくするという努力を、十分ではないかもしれませんが、させていただき、それでもなかなか御理解いただけない、あるいは新しく出てきたような言葉、あるいは用語につきましては、注を付けるといったこともさせていただきました。もちろん内容につきましても、本省から予算等を踏まえて一般的な指示が私どもに来ておるわけでございますが、その指示を下敷きにしながらも、東京労働局で十分議論して、どのような形で行政運営をしていくかということについて、独自性のあるものに仕立て上げてきたというふうに思っております。

 そんなことを御披露しながら、今日はじっくり御議論いただきたいと思います。

 なお、この行政運営方針の取扱いにつきましては、御案内のように本予算がまだ審議中ということで、年度内に予算が成立することはやや厳しい状況であり、暫定予算になる可能性も高いということでございますので、恐らく暫定予算となった場合には、本予算の成立後に外にはオープンにしていくという形で、この運営方針は作っていきたいと思います。

 また、この運営方針ができました暁には、より簡易な、もちろん、この運営方針自体も、先ほど言いましたように、いろんな方に読んでいただきたいと思いますが、もっと簡易に東京労働局の行政を見知っていただくための資料も、本日、御議論いただきます運営方針を下敷きにして作っていきたいというふうに思っているところでございます。

 いずれにしても、今日の議論を私どもとしても楽しみにしておりますので、あらかじめお送りしたかと思いますが、是非御忌憚のない御意見を運営方針にいただきまして、実りある審議にしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【石原企画室長】  続きまして、本日御欠席の委員の報告をさせていただきます。公益代表では田付委員、労働者代表では浅見委員、白川委員、使用者代表では渡邊委員がそれぞれ欠席されています。したがいまして、本日の出席委員14名でございます。これは、地方労働審議会令第8条第1項の規定に照らし、本会が有効に成立しておりますことを御報告申し上げます。

 次に、お手元にお配りしています資料の確認をさせていただきます。配付資料一覧にありますように3冊ございます。御確認をお願いいたします。平成25年度東京労働局行政運営方針(案)、そして、平成24年度東京労働局行政運営方針、別冊として色刷りの第6期第4回東京地方労働審議会資料、この3冊でございます。万一配付漏れ等ございましたら、議事の途中でも御遠慮なく挙手にて合図をお願いいたします。

 それでは、これより議事に入ります。

 以後の進行につきましては佐藤会長にお願いいたします。

【佐藤会長】  それでは、よろしくお願いします。まず議題に入る前に、運営規程第6条第1項に基づきまして、本日の議事録署名委員を指名させていただければと思います。労働者側代表は米田委員に、使用者側代表は蜂谷委員にそれぞれお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、先ほども局長の方から御説明ありましたように、本日は平成25年度の東京労働局行政運営方針(案)について御説明を受けて、議論したいというふうに思います。来年度の局の運営の基本になるものですので、皆さんからいろいろ御意見を伺えればというふうに思います。

 それでは、順次、事務局から説明をお願いいたします。

【伊岐労働局長】  それでは、まず、本日の御説明のやり方を御紹介したいと思いますが、目次を開いていただきまして、平成25年度東京労働局行政運営方針目次が、めくっていただいて2枚目の裏から始まっているかと思いますが、第1と第2、東京の労働行政を取り巻く情勢及び東京の労働行政の課題を私の方から御紹介させていただきます。

 それから、第3の東京の労働行政の重点対策、これにつきましては担当の部・室長から順次御説明させていただきます。

 続きまして、第4、各行政分野の連携事項、それから、第5、行政展開とサービス向上の基本となる事項、これにつきましては総務部長の方から御紹介する、こういう段取りで全体を説明させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、まず、表紙の次のページにあります最重点目標とその取組のところをお開きいただきたいと思います。

 これは、24年度の運営方針にも同じような「最重点目標とその取組」というのがございまして、いろんな形で簡単に外向けにアピールをするときに使わせていただくものでございますが、この柱書きをちょっと見比べていただきますと、ハローワークのマッチング力云々の職業安定行政については柱は同じでございます。

 ただ、中を見ていただきますと、少し変化がございまして、ハローワークのマッチング力云々の箱の中の最初のポツのところで、求職者ニーズだけではなくて、求人者ニーズということを強調して書いてあるということが1つ大きな変化でございます。

 それから、3番目のポツのところで、企業の雇用管理の改善を図りというくだりがございますが、ここに高齢者と障害者に加えて非正規雇用労働者の雇用に関して、雇用管理の改善のテーマの1つとして加えているということがございます。

 それから、最後のポツのところで、24年度の方針では改正労働者派遣法関係に非常に力点を置いておりましたので、3行ほど書込んでおりますが、施行も無事終わりましたので、少し簡易な表現に改めているというところがございます。

 それから、2番目の箱は基準行政の分野でございますが、ここは表題から少し変化がございまして、「健康で安心して働ける職場をめざして、労働災害の防止、労働条件の確保改善等に取り組みます」ということで、労働災害の防止のところが前面に出てきているという変化がございます。

 その下に引き続いております小さなポチも、最初に労働災害防止対策というのが掲げられているということで、25年度の労働基準行政については、労災防止が一丁目一番地になっているということが、ここでお分かりいただけるかと思います。主として順番が変化しているということに、この小さいポチの各柱については御注目いただければというふうに思います。

 それから、3番が均等行政でありますが、これは、「女性の活躍を推進するとともに」という表現が柱に加えられております。これは、昨年の6月以降、なでしこ大作戦であるとか、女性の活躍を推進するための政府挙げての取組が前政権から非常に強化されてまいりまして、今の安倍政権におきましても、やはり女性の活躍促進は大きな柱でございます。そういうことを配慮して、東京労働局の行政運営にも大きく打ち出しているということが1つ。それに連動いたしまして、その下に引き続くポチも、配置・昇進の性差別の解消等と均等法の実効性の確保であるとか、ポジティブ・アクションについて、まず最初の柱で掲げているといった順番と、あるいは表現の変化がございます。

 以上のように、最重点目標とその取組の中にも大きな変化を加えているということがございます。

 引き続きまして、第1の東京の労働行政を取り巻く情勢から順次また御説明しますが、適宜24年度の運営方針と比較していただければ幸いでございます。

 まず、1ページの社会経済情勢でございますが、ここは全面書換えをいたしました。実を言いますと、昨年のものは全国の社会経済情勢をなぞっていたところでございまして、東京の独自性のようなものはほとんど無く、下の方の数行でございました。今般は、東京労働局の管轄地域の状況から始まって、東京の企業集積であるとか、本社機能が集まっていることであるとか、あるいは東京の労働力供給の特徴であるといったものを書き込んでございます。

 なお、経済環境に関しては、9月には結果が分かることになっておりますが、東京都が誘致しようとしております2020年の夏季オリンピックといったものも、もし誘致が決まれば、一気に東京都内の様々な分野の産業に大きな影響があるかと思いましたので、年度半ばに結果が分かるとはいえ、そういうことも書き込んでいるということでございます。

 めくっていただきまして、雇用をめぐる動向でございます。ここは、基本的には数字のリバイスをしているということでございますが、御案内のとおり、昨年に比べますと完全失業率も低くなってまいりましたし、有効求人倍率は逆に上がってきたというような、年度をわたった変化がございます。

 ただ、東京の特徴として、失業率は全国より高い、それから、有効求人倍率は全国よりもやはり高いということで、その両方が高いんですが、その意味するところは反対でございますので、恐らく摩擦的な失業などが多い地域であり、しかし、求人も多いというようなことが表されているところでございます。

 特に求人が増えたことについては、昨年10月以来、東京マッチング事業など、求人開拓も含めて、ハローワークもかなり努力したことなども挙げさせていただきながら、倒産件数が減ったことであるとか、それから、非正規労働者の雇止めに落ち着きが見られるといった分析も含めて、最近の失業情勢を第3パラグラフの辺りに書かせていただいているところでございます。

 エンディングでございますが、(1)の最後の2行、「以上のように、東京における雇用情勢は、改善の動きが見られるものの、注視が必要な状況が続いている」、こういう表現にさせていただきました。

 若年者の雇用状況でございますが、これも全体の雇用状況と連動いたしまして失業率は減少しているということ。それから、離職者の勤続期間割合、これは、ちょっと新しい数字がまだオープンになっていないので、昨年と同じ数字になっておりますが、若者の勤続年数が短い、短期間の勤続の者が多いというようなことを書かせていただいております。

 それから、大卒の就職内定率につきましても、申し訳ありませんが、まだ最新の数字が出ておりませんが、昨年度よりは上がってきているものと思います。ただ、それでも、十分かといえば、そうでもないということで、なお一層、就職支援の必要性、特に未内定、あるいは未就職卒業者の就職支援が必要だということを書かせていただいているところでございます。

 高年齢者の雇用状況につきましては、新しく高年齢者雇用安定法の改正がございましたので、高年齢者雇用確保措置の実施の関係のことを書かせていただいております。

 障害者雇用状況につきましても、障害者の雇用率が今度2%に上がるということもございますので、状況としては改善しているということですが、今後も更に努力が必要だということを、後ほど課題として引き出せるような書きぶりにしているところでございます。

 女性の雇用状況につきましても、前年の数字をリバイスしたものを書かせていただいているところでございます。

 めくっていただきまして、4ページにつきましても前年と同じような項目につきまして、パートタイム労働者の雇用状況であるとか、非正規労働者の雇用状況につきまして記述させていただいております。

 それから、職業訓練の状況でございますが、公共職業訓練の実施状況について、特に受講者数、あるいは施設内訓練、委託訓練別の就職率なども挙げさせていただいております。実は施設内訓練59.7%というのは昨年度に比べて落ちております。委託訓練における就職率は上がっております。ただ、東京の公共職業訓練からの就職率は、実は全国ベースに比べて非常に低うございまして、これは1つの課題となっているところでございます。後ほど御紹介いたします。

 それから、求職者支援制度につきましても、ひところより訓練対象者についてはかなり落ち着いてきておりますが、1万人を数える受講者がいるということと、それぞれ就職率について掲げさせていただいているということでございます。

 それから、(9)のところが民間の労働力需給調整事業の動向でございますが、大変申し訳ありません、平成23年の事業報告集計というのは本省の方でやっておりまして、ちょっと本省の集計が滞っている関係で、まだここにお示しできない状況です。

 ただ、その前段の派遣事業所数等々を見ていただきますと、実は派遣事業所数は前年より微減になっております。ただ、その割には、意外と新規許可の申請届出をした事業所が1,289ということでございますので、要は出入りが激しいということが、ここで分かっていただけるかと思います。

 それから、ページめくっていただきまして、職業紹介事業の動向は、派遣事業と比べまして微増という形で、新規許可申請・届出をした職業紹介事業所数が掲げられております。今、御説明しているのは5ページの上の方のイ、職業紹介事業の動向というところでございます。

 ここも事業報告集計がまだ私どもの手元に来ておりませんので、新しい数字がちょっと御紹介できない状況でございます。

 以上がいわゆる職業安定行政、それから、労働力需給調整行政に関連する様々な状況を御紹介したところでございますが、労働条件をめぐる動向ということで、労働基準行政関係の動向について、5ページの下半分ぐらいから御紹介をします。

 これも昨年度と見比べていただきますと、まずもって労働災害の状況から書き起こしていまして、行政の重要事項に即した書きぶりにさせていただいております。

 労働災害における死亡者数は76人と、前年に比して増加傾向というようなことが5ページの(1)に掲げられておりまして、一昨年、昨年に続き3年連続で休業4日以上の死傷者数が増加の見込みとなっているということが、非常に重大な状況として私どもとしては認識しているところでございます。これは、全国と同様でございます。

 そして、業種別では、製造業や清掃・と畜業等は減少していますが、建設業で横ばい、そして、いわゆる第三次産業であるところの卸小売であるとか保健衛生業等々で労働災害が増えているということが大きな問題として認識しているわけでございまして、その辺りをこの第2段落に書かせていただいているということでございます。

 それから、労災が増えていることに応じまして、当然、業務上疾病件数等々が増えているということでございます。

 6ページに行きますと、労働時間・賃金の状況ということになります。労働時間・賃金の状況につきましては、経済が少し活況を呈し始めていることを反映してでしょうか、平均の総実労働時間が増加、それから、パートタイム労働者を除いた一般労働者の年間総実労働時間も増加ということでございまして、いわゆる正規従業員を中心として労働時間が増えているということと、結果として、(2)のアの第2段落に示しておりますように、「労働時間分布の長短二極化」の状況があるということは昨年にも書かせていただいたことと同様でございます。

 それから、申告・相談等の状況は、昨年は一丁目一番地に書かせていただいていたものでございますが、この申告・相談つきましても経済状況の変化を反映してでしょうか、相談件数がかなり減少しているということが第1パラグラフに書かせていただいたことでございます。

 ただし、その最後の行、いじめ、嫌がらせの相談が増加するなど複雑多様化の傾向にあるといった、相談内容についてのコメントが昨年度と比較して新たに加えられているところでございます。

 それから、6ページの一番最後の行から、いわゆる個別労働紛争解決援助の関係でございますが、助言・指導の申出件数が596件で、前年度と比べて12%増加。それから、紛争調整委員会によるあっせんの申請が、これまた前年に比べて5.8%増加ということで、相談は減っているけれども、個別紛争解決援助制度の御利用については増えているというようなことが、ここで示されているところでございます。

 一方、雇用均等室の方は、実は相談件数も減り、紛争解決援助の申立につきましても若干減る傾向ということでございまして、これがどういうことを意味するか、若干分析が必要かなと思っているところでございます。

 それから、労災補償の状況は、先ほど申し上げましたように、労働災害が増えていることもございまして、新規受給者数等が増加しているということがございますし、その中でも(4)の第2パラグラフの2行目辺り、精神障害者等事案の労災請求件数が、前年、平成23年186件から248件ということで非常に増えているというような、やはり複雑な事案についてはかなり増えているということが見て取れることでございます。

 以上、ざっと行政を取り巻く状況についての記述を御紹介してまいりました。

 次に、東京の労働行政の課題ということでございますが、7ページの1からずっと書かせていただいております。

 経済社会の活力の向上と地域の活性化に向けた雇用対策の推進ということで、求人・求職部門が一体となった積極的なマッチングの推進といったことを、先ほど申し上げたような問題認識に基づきまして、求人に関してかなり書き込んでいるところでございます。

 それから、8ページ、(2)で若者・女性・高齢者・障害者等の就業実現でございますが、これは、何といっても若者の安定雇用の確保が新政権ではかなり強調されておりますことから、そこをしっかり書かせていただいたとともに、昨年10月に開所いたしました東京わかものハローワーク等々の記述も新たに加えているということでございまして、新卒応援ハローワークに加えて、こういうフリーター対策についても強調しているということがございます。

 それから、女性の活躍促進については、9ページ以降、これも第3次男女共同参画基本計画に掲げられたポジティブ・アクションの取組比率の目標値等々を御紹介した上で、特にポジティブ・アクションの取組について課題であります。また、大企業が集まっている東京においては、大企業は管理職における女性比率が低いものですから、余計頑張らなければいけないといったことを書かせていただいております。

 女性の就業希望の実現、あるいは仕事と家庭の両立支援策の推進についても書かせていただいておりますし、また、10ページにパートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保と正社員転換の推進の記述がありますが、この3段落目にありますように、パートタイム労働法改正法案は、審議会での審議は終わっておりますが、国会に提出する時期を今探っている状況かと思います。もし国会に提出され、また成立した場合には、その円滑な施行といったことも必要だということが書かれております。

 高年齢者の就労促進につきましては、改正高年齢者雇用安定法に沿った取組の必要性等々を書かせていただいておりますし、障害者に対する就労支援の推進につきましても、これは、先ほど御紹介した雇用率の状況を踏まえて、より一層雇用率上昇の取組が必要であり、また、法定雇用率2%に引き上げることに対する対応の必要性を書かせていただいております。

 11ページですが、成長分野などでの雇用創出、人材の育成の推進ですが、ここは、昨年、書き込みをしっかりしておりまして、これも新政権での経済再生に向けての様々な政策と連動したものでございます。

 また、介護・医療・保育職種の人材確保につきましても、慢性的な人手不足でマッチングをしていかなければいけないということを書かせていただいております。

 一方で、11ページの下の方、雇用のセーフティネットの推進でありますが、生活保護受給者などの生活困窮者に対する就労支援、これも昨年より抜本強化というような形で書かせていただいておりまして、特にアクション・プランなどの取組を新年度、大幅に強化するという本省指示も踏まえて書かせていただいております。

 また、先ほど御紹介しましたように、公共職業訓練等々の就職率が非常に悪いものですから、安定行政、訓練行政の連携を通じた就職支援について、12ページのイのところで書かせていただいております。

 また、先ほどのアクション・プランについてはウでももう一度書き、また、派遣労働者の保護につきましても12ページの(5)で、これも昨年同様書かせていただいております。

 安心して働くことのできる環境整備は、まず、非正規雇用労働者の雇用の推進につきまして、特にこれも補正予算、本予算等々で強化された事業を念頭に、必要な行政展開を図るべく書かせていただいていますし、また、有期労働契約の5年超えについての無期労働契約の転換等を内容とする労働契約法の改正等も踏まえた取組につきましても、その必要性を書かせていただきました。

 13ページのジョブ・カードを活用した職業訓練につきましては、これもハローワークと訓練機関の連携の面もあるわけでありますが、特に非正規労働者対策として、このジョブ・カードを十分活用しようという安倍政権の意向を踏まえた書きぶりにさせていただいております。

 有期労働契約者についての新たなルールは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 13ページは、ワーク・ライフ・バランス、それから、過重労働等々につきましても書かせていただいておりますが、14ページの(2)のウ、医療現場での勤務環境の改善に向けた取組につきましては引き続き実施するということで、特に看護師だけでなく、もっと幅広い医療関係労働者について実施することにしております。

 14ページの(3)は安全で健康に働くことができる職場づくりです。これについては、後ほど部会の方でも御審議いただきます労働災害防止計画第12次のものが本省版は発表されておりまして、東京労働局版を御審議いただきます。ここで非常に独自性のある目標を作っておりますので、これをしっかり達成するための初年度の取組が必要だということは書かせていただいておりますし、併せて全国的に話題になっております胆管がん問題についても書かせていただいております。

 長時間労働の抑制等は、従前どおりであります。

 良質な労働環境の確保としましても、従前書かせていただいたものをちょっと順番を再編しながら挙げておりまして、申告・相談への対応、最低賃金の周知等々ございますが、15ページで中ほどにオというのがございまして、労働法制の基礎知識の普及促進、これは職業安定行政でも、また、基準行政でもそれぞれの文脈でこれまでもやってきたところでございますが、本省指示が昨年ありまして、労働局幹部が率先して大学等に赴いて、特に将来就職する予備群である学生さんにしっかりとした労働法制度の基礎知識を持ってもらうような説明なり、講演なりをするようにという指示がございまして、そういうものについても引き続き25年度も行うということで、その必要性を書かせていただいているところでございます。

 労災補償、あるいは労働保険適用促進、適正徴収についても、引き続き大きな必要性がございますので、ここに書かせていただいております。

 駆け足のつもりでもかなり時間を取ってしまいましたが、以上が第1、第2の状況と課題ということでございます。

 では、以下、順次部長の方から説明させていただきます。

【佐藤会長】  お願いします。

【清野職業安定部長】  職業安定部の清野でございます。皆様には安定行政の取組に日ごろより御協力、御理解をいただいておりますことを深く感謝申し上げます。

 私からは、職業安定分野における重点対策の説明をさせていただきます。

 まず、16ページをお開きいただきたいと思います。重点対策項目の変更点などは3点ほどございまして、1点目は、今年度においてはマッチング機能の充実・強化を1番目の項目に挙げ、求職者の就職、求人者の充足対策を重点的に取り組んできたところです。来年度においても1番目の項目として、マッチング機能の充実・強化として更なる取組を行うこととさせていただいております。

 2点目が重点対策項目数を減らす観点ということもございまして、若年雇用対策の推進と子育てする女性等に対する就職支援を統合して、2番目の項目として若者・子育てする女性等に対する就職支援としてまとめさせていただきました。3点目は、数値管理となる計画目標数を定めた業務展開の推進というのを9番目の項目として、他の事業方針とは項目を区分したところでございます。これらの変更はありますが、平成25年度の重点対策項目は、今年度同様、9本の柱立てとさせていただいております。

 各項目の説明につきましては、時間の関係から重点項目のうち新しい事業や、あるいは強化・充実するものを中心に説明させていただきますので、御了承をよろしくお願いいたします。

 それでは、16ページの第1項目、マッチング機能の更なる充実・強化です。東京の有効求人倍率が昨年3月に1倍台に乗りまして、以降、1月には1.21倍という状況になっております。求職者ニーズの高い求人は不足する一方で、未充足となる求人も多くあるということから、その未充足要因を分析の上、求人のレベルに応じた充足対策の強化が課題となっているということでございます。

 また、若年者や雇用保険受給者等、幅広い求職者ニーズに応えるためにも、求人・求職のマッチング機能を更に充実・強化し、早期の就職促進を図ることが課題となっているところです。

 このためマッチング機能の更なる充実・強化では、求職者サービスの充実・強化のための対策をまとめておりますが、昨年度と比べ、特に先ほど来話がございます求人者サービスの充実に係る取組部分を充実させております。

 アの求人者サービスの充実・強化の(ア)求人者に対する充足に係るサービスの実施についてということで、求人票の記載の充実など基本業務の徹底を一層図ること、そして、求人の内容等に応じて、自所で充足が可能なのか、あるいは都内近隣所が協力して行うのか、また、県外広域の連携を図るのか、というようなことを的確に見極めた上での充足対策を実施することとしております。

 (イ)は職種別から見た重点を置いた充足対策ということで、まず、求職者ニーズが高い事務的職業及び求人者の需要が高い介護サービスの職業について、重点を置いた充足対策を実施していこうということです。

 介護サービスの職業につきましては、新規求人をターゲットにし、各所においてツアー型面接会の開催等、工夫をこらした充足対策の実施に取り組みます。

 17ページの(エ)結果を意識した未充足フォローアップの実施ですが、事務的職業と各ハローワークごとに選定した職業の計2つの分野については、特に求人条件の緩和や求人補足状況の追加などによるリフレッシュを行い、充足させていこうということで、結果を意識した取組を実施することとしております。

 18ページの(オ)事業所画像情報の積極的な活用による応募数の向上ということで、マッチングを図るためには求人票記載以上の情報を求職者の方に提供し、具体的な仕事や就業場所のイメージをつかんでもらうことも有効なことで、このため視覚に訴えられる画像情報を収集し、求職者への提供を積極的に推進するなどの取組によりマッチング機能を強化することとしております。

 続いて、21ページから25ページを御覧ください。第2項目となります若者・子育てする女性等に対する就職支援です。特に若年者雇用対策については、昨年度と比べ新規施策等を追加しております。

 アの若年雇用対策の推進で、(ア)新規学校卒業予定者、未就職卒業者に対する就職支援等の、22ページになりますが、cというところの欄で、恒常的に就職支援を必要としている大学等においては、大学内にジョブサポーター相談窓口を設置するなど、常駐型の支援を実施することとしています。

 23ページのe、未就職卒業者の就職支援の強化ということで、若年人材育成・定着支援奨励金求人への積極的な応募の勧奨ということで、いわゆる若チャレ奨励金というのができますが、これを活用していくものです。

 それから、24ページのi、若者応援企業宣言事業の推進ということで、これは、若者のための求人を提出していただき、積極的に採用・育成に取り組んでいただく中小・中堅企業を若者応援企業として積極的にPR等を行う事業ということでございます。

 (イ)の若年者に対する就職支援でございますが、昨年10月に渋谷にオープンしました東京わかものハローワークや各所わかもの支援コーナーの窓口に積極的に誘導して、個別支援を実施していこうということでございます。

 また、東京わかものハローワークでは、あるいは正社員経験の少ない、正社員経験のない、同じ悩みを抱える仲間を少人数制で就職応援していこうという、ジョブクラブというのが大変好評でございますので、このジョブクラブへの勧誘を積極的に行っていくこととしております。

 25ページの(ウ)は、若者ステップアッププログラムによるフリーター等に対する就職支援の強化の中では、bのトライアル雇用制度の活用と、先ほども触れました若チャレ奨励金求人を活用して、特に中小・中堅企業へのマッチングの充実・強化を図ることで、若者の就職支援の強化を図ることとしております。

 続いては26ページから27ページを御覧ください。下から2行目になりますが、第3項目となる高年齢者雇用対策の推進です。この項目については、高年齢者に係る雇用確保措置や再就職促進に係る対策をまとめております。

 昨年度と比べて追加等した点は、27ページのアの(ア)高年齢者雇用確保措置未実施企業に対する指導・助言で、改正高齢法に基づき指導を繰り返しても、具体的な改善の見られない事業主については、企業名公表も視野に入れ勧告を行うということでございます。

 イの(イ)は高年齢者総合就労支援事業の実施ということで、こちらは新規の施策でございます。具体的には、都内に2つの安定所、池袋所と足立所を予定しておりますが、高年齢者相談窓口を開設しまして、職業生活の再設計に係る支援や担当制による支援、あるいはチームによる就労支援を実施することとしております。

 次に、第4項目となります障害者雇用対策の推進については、28ページから30ページに書かせていただいておりますが、1,000人以上規模企業の平均実雇用率は1.88%と法定雇用率を上回っておりますが、300人未満では0.93%と中小企業における取組が低調であることを踏まえまして、企業の雇用課題に対応した指導・支援による雇用機会の拡大を図る必要があることなど、障害者雇用に係る雇入れ指導、あるいは就職支援について全般的にまとめております。

 次いで、第5項目の30ページから33ページを御覧いただければと思いますが、職業訓練の効果的な活用による就職支援についてでございます。

 非正規雇用は、雇用が不安定、あるいは賃金が低いことに加えまして、能力開発機会が乏しい等の問題が指摘されていることから、公共訓練、求職者支援訓練、あるいはジョブ・カード制度等の取組等をまとめて記載させていただいております。

 次は、33ページから34ページに第6項目として雇用環境整備のセーフティネットの推進について、雇用保険制度と雇用調整等に対する的確な対応をまとめております。

 次の34ページから38ページには、第7項目の求職者個々の状況に的確に対応した就職支援ということで、様々な支援対象者の対策についての取組をまとめておりますが、大きな変更点ということで、34ページのアの(ア)生活保護受給者等就労自立促進事業の推進として、生活保護受給者等を含めた生活困窮者の就労支援を抜本強化し、新たに生活保護を開始する者の早期支援を強化するとともに、生活保護の相談者で受給に至らない者などの生活保護ボーダー層についても支援をしていこうということでございます。

 支援方法としては、定期的な巡回相談の実施等により福祉事務所に早期にアプローチする仕組みを整備するとともに、地方自治体へのハローワークの常設窓口の設置など就労支援体制を整備して、生活困窮者の就労支援を実施していこうということでございます。

 35ページのイの非正規労働者への就職支援では、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを総合的に支援するため、事業主の取組を促進する包括的な助成措置の積極的な活用を促すとともに、キャリアアップに関するガイドラインを周知し、事業主の実情に応じたきめ細かな相談支援を行い、有期・短時間・派遣労働者等安定雇用実現プロジェクト、これはまだ仮称で未確定な部分がございますが、これを推進していくこととしております。

 次に、第8項目が地方公共団体との連携による就職支援ということで、38ページから40ページに記載させていただいております。この項目の内容は、昨年とほぼ同様ですが、アクション・プランに基づく一体的実施の推進、あるいはふるさとハローワークの運営など、地方公共団体と連携して取り組む施策が、この項目に含まれております。

 なお、東京労働局においては、新宿区、中野区、墨田区、品川区、杉並区の5か所で一体的実施を行っております。いずれも、事業実績は順調で、首長さんからも大変好評をいただいておりますが、今日の別添の資料の5ページ、6ページに1月までの実績もお示ししておりますので、委員の皆様には、後ほどこの辺についての御意見もいただければと思っているところでございます。

 最後となりますが、40ページから41ページに第9項目の計画目標数を定めた業務展開の推進ということで、目標管理における数値を一覧表にしまして、各事業の運営方針説明と区分して掲載させていただいております。

 以上、大変駆け足で雑駁となりましたが、平成25年度安定行政分野における重点対策の説明を終わりにさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【佐藤会長】  続いて、需給調整事業部長、お願いします。

【中村需給調整事業部長】  需給調整事業部、中村でございます。42ページからの労働者派遣事業、それから、職業紹介事業などの民間の需給調整の分野に関する重点対策について御説明申し上げます。

 まず、この項目の全体の構成ですけれども、(1)が的確かつ厳正な指導監督の実施、それから、(2)申告、苦情相談への迅速かつ適切な対応、(3)民間を活用した就職支援ということで、大きく3つの柱を掲げておりますが、これ自体は本年度の行政運営方針と同様でございます。

 まず、(1)のア、法制度の周知、計画的な指導監督の実施でございますけれども、ここでは私どもの業務に関する基本的な方針を記載しております。

 まず最初の(ア)法制度の周知でございますが、昨年10月から改正労働者派遣法に基づいて派遣元、派遣先に対して新たな指導監督を行っているところでございますけれども、そういった中で、依然、改正法を含めて法制度に関して十分御理解いただいていない事業主の方も見受けられるという状況でございます。このため改正労働者派遣法、それから職業安定法について、引き続き事業者、労働者の方々への周知に力を入れていくこととしております。

 それから、(イ)の許可申請・届出の適正かつ迅速な処理でございますが、本年度は、一般労働者派遣事業、有料職業紹介事業、いずれも新しく事業を始めるという許可申請が増えてきております。来年度もこういった傾向が続くと思いますので、引き続き適正、迅速な処理に努めていきたいと考えております。

 (ウ)的確かつ厳正な指導監督の実施でございますけれども、全国斉一的な指導監督、それから、局内の関係部課室ですとか、監督署、ハローワーク、それから他の労働局との連携に努めながら的確かつ厳正な指導監督を行う方針でございます。

 それから、求人広告に関する苦情、例えば応募したら労働条件が違っていたものなどに対しても適切な指導等を行っていきたいと考えております。

 イの労働者派遣事業者に対する指導監督でございますけれども、これは、(ア)にも書いておりますが、まずは悪質な違反を行った事業主や違反を繰り返す事業主に対して厳正な指導監督を行っていくということを第一に掲げております。

 法違反があった場合には、まず是正指導を行って、主体的な是正を促しておりますけれども、それでもなお違反を繰り返す事業主や悪質な違反を行う事業主に対しては、改善命令、事業停止命令といったような行政処分を行っております。

 本年度も違反を繰り返す事業主、4社に対して行政処分を行っておりますが、引き続き厳正な指導監督を行う所存でございます。

 また、重点的な指導監督項目といたしまして、違反が多く見られる事項、(イ)、(ウ)に書いておりますが、派遣受入期間を超えた違法派遣への対応、偽装請負に対して重点的に取り組んでいくこととしております。

 ウの職業紹介事業者に対する指導監督の徹底でございますが、職業紹介事業者に対しましては、引き続き苦情で最も多い労働条件の明示、職業紹介の際に労働条件の明示が適切に行われているかを重点的に指導監督を行うこととしております。

 それから、改正労働者派遣法によりまして、日雇い派遣が原則禁止となったことに伴いまして、日々単位の職業紹介というものが増加することが予想されますので、来年度は、いわゆる日々紹介といったものについても重点的に指導監督に取り組んでいきたいと考えております。

 (2)の申告、苦情相談への迅速かつ適切な対応でございますが、派遣労働者の方などからの申告は、本年度1月末までで41件となっておりまして、前年同期の25件に比べて増加傾向にございます。申告、苦情相談は、今後も増加することが見込まれますので、一件一件、迅速かつ適切に対応していきたいと考えております。

 それから、派遣労働者の方々に対しても法制度に関する理解を深めていただきたいと考えておりまして、本年度に引き続き、派遣労働者セミナーをハローワークで開催することを予定しております。

 (3)民間を活用した就職支援でございますが、厚生労働省が運営しております求人情報のポータルサイト、「しごと情報ネット」について、職業紹介事業者や、職業紹介を行う地方公共団体などに求人情報の掲載を行うように働きかけていきたいと考えております。

 以上です。

【佐藤会長】  次に労働基準部長、お願いします。

【相浦労働基準部長】  基準部長の相浦でございます。よろしくお願いいたします。

 私の方は、44ページ、3の労働基準の分野における重点対策について御説明を申し上げます。

 (1)に労働者の安全と健康の確保対策を掲げています。先ほど局長からも申し上げましたとおり、労働災害が3年連続で増加しています。これは、東京労働局にとりましては安衛法制定以来の出来事でございます。そういう意味で、安全と健康を基準行政の冒頭に置いたのは、ここ10年で初めてのことになります。基準行政としては、来年度は安全衛生の方に大きくかじを切って、安全衛生に最優先で取り組もうという姿勢を表しているところでございまして、(1)の部分につきましては、本年度、24年度のものを全面的に改定しています。

 そのメインに置かれておりますのが第12次東京労働局労働災害防止計画(12次防計画)でございますが、これは、全国的な課題に加え、東京における災害の実情を踏まえ、首都東京の特殊性を考慮した独自の視点から、今後5年間に特に力を入れるべき課題を整理しています。

 具体的には、44ページ下の方ですが、重点とする業種として三次産業、特に小売業、社会福祉施設、飲食店、ビルメンテナンス業、この業種を重点としていくということが1つでございます。

 さらに、45ページにまいりまして、荷役作業中の災害が多く発生している陸上貨物運送事業に対する災害防止対策の推進、さらに、死亡災害が全体の3分の1を占めております建設業に対する労働災害防止対策を進めてまいりたいと思います。

 緊急経済対策、オリンピック・パラリンピック招致の場合の工事量の増加、羽田空港のハブ化、首都高の改修工事、インフラの再構築、老朽化した高層建築物の解体工事の増加が見込まれますので、現場における安全衛生教育、危険感受性の向上、災害防止対策の「見える化」の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

 また、大きな新しい切り口といたしましては、45ページの下から4行目になりますが、形態別対策ということで、転倒、墜落・転落、腰痛等の行動災害防止というものをメインに据えてございます。特に新しい切り口は、46ページのbにございます転倒災害の防止対策の推進ということでございます。全業種的に起きておりますので、4Sの実施とか、作業場所の設備的な対応及び安全衛生教育の実施、作業手順の作成・遵守を図るということを新しく加えています。

 それと、東京の特徴でございますが、46ページ中ほどになりますけれども、首都東京は資本金10億円以上の企業の約半分が本社を置いています。そういった本社機能に着目した指導を行うことにより、本社のガバナンスを活用した傘下事業場における安全衛生管理体制の確立、安全衛生活動の活性化を図るというふうに取り組んでまいりたいと思っております。

 47ページに健康確保対策を書いていますが、真ん中ほど、(ア)メンタルヘルス対策ということで、ここでは「安全衛生管理体制の構築が必要なすべての事業場で対策を取り組む」という目標を設定しています。

 さらに、下の方になりますが、(イ)で、これは化学物質による健康障害予防対策の推進ということでございますが、胆管がん問題に関連して講じようとしている対策でございます。

 ページをめくっていただきまして、48ページは従前に余り変更を加えてございません。

 49ページは非常に大事なのですが、オの安全衛生対策を推進するための効果的施策の展開ということで、労働災害防止団体等の活動の活性化を書いています。行政はもちろん積極的に取り組みますけれども、行政だけでは限界があります。災害防止対策の推進に当たっては各業界団体、災害防止団体等と連携して共同して取り組んでいくことが必要だというふうに考えております。

 (イ)に安全衛生労使専門家会議の運営ということで、前回の審議会でも御意見をいただきましたので、本日は参考資料にその情報をお示ししています。

 (ウ)が非常に重要なのですが、労使及び国民の意識啓発の推進ということで、今回の12次防計画につきましては、サブタイトルとして「安全・安心な首都東京の実現に向けて」ということで、「Safe Work TOKYO」という呼称をキャッチフレーズにロゴを作り、普及用のグッズ、ピンバッジとか、掲示用ののぼりとか、安全宣言のワッペンを用意し、広範な災害防止活動を展開することとしています。

 2つ目の柱は、長時間労働の抑制・過重労働による健康障害の防止ということでございます。ここは基本的に本年度と変更はございません。

 ウで労働時間管理、健康管理に関する法令遵守のための監督指導を労災、安全担当部署と連携して行うということを書いています。

 3つ目は、経営環境等の変化に対応した法定労働条件の確保でございますが、今回少しはっきり書いたのが、ウの大量整理解雇、企業倒産等の事案への対応ということで、後段の解雇や雇止め、退職勧奨、出向等については、契約法や裁判例等に照らし不適切な取扱いが行われることがないよう、パンフレットを活用し、事業主に対し適切な労務管理の必要性について啓発指導を行うということをきっちり書いています。

 4つ目は、労働者の雇用・就業形態に対応した労働条件の確保・改善対策ということでございます。真ん中ほどの自動車運転者のところにつきましては、ツアーバスの事故を受けた形でございますけれども、交代運転手の配置基準についての周知にも努めてまいりたいというふうに考えております。

 あと、52ページになりますが、障害者の関係でございますけれども、障害者虐待防止法が施行されていますので、これらの施行について適切な対応を行ってまいりたいということが新規に書かれています。

 53ページでございますが、真ん中ほどに労働契約に関するルールの周知ということで、労働契約に関する基本的なルールを定める改正契約法や裁判例の周知を行いますということを書いています。

 次の54ページは最低賃金制度の適切な運営ということが柱になっています。最低賃金は年々引き上げられていますので、中小企業の経営課題と労務管理の相談等にワンストップで対応する東京都最低賃金総合相談支援センターの周知に努めてまいりたいというふうに思います。

 最後に、労災補償対策でございますが、イの胆管がん事案への対応というところが1つ加わっています。胆管がんに係る労災請求事案については、現在、本省において検討が進められておりますが、事案の因果関係について検討が進みましたら、東京局現場レベルにおきましては、調査に当たって、業務上外を適切に判断するため、本省にりん伺を行うというふうに考えているところでございます。

 駆け足でございましたが、以上です。

【佐藤会長】  では、均等行政、お願いします。

【荒川雇用均等室長】  雇用均等室、荒川でございます。

 55ページから59ページにかけまして、雇用均等行政につきまして御説明を申し上げます。

 均等確保対策、それから、両立支援対策、パートタイム労働対策の3本柱、かつ記載の順位につきましては前年度と同様でございます。

 まず、55ページの中ほどからでございます男女雇用機会均等確保対策についてですが、働く女性を取り巻く状況を見ますと、課長以上の管理職に占める女性の割合は依然として低い水準にとどまっておりまして、大きな男女間格差が見られるところでございます。このため、引き続き企業における雇用管理の実態の把握に努めまして、配置や昇進などにおける性別による差別的な取扱いにつきまして、法違反が認められる場合には厳正に法違反の是正を図ってまいります。

 また、妊娠・出産などを理由とする不利益な取扱い、あるいは次ページに行きまして、職場におけるセクハラに係る相談が引き続き寄せられておりますので、相談者のニーズに応じながら、紛争解決援助制度を的確に運用して迅速な解決を図ってまいります。

 また、57ページのイとしまして、ポジティブ・アクションについて触れてございます。こちらは、昨年度と比べてかなりボリュームを割いております。昨年6月以来、女性の活躍による経済の活性化を図るための営業大作戦を展開しております。企業に対してポジティブ・アクションの取組ですとか、あるいは情報サイトを利用した取組の宣言、女性管理職比率などについての情報開示、この働きかけを行ってまいりました。

 新政権におきましても、女性の活躍促進が引き続き重要な課題として位置付けられておりますので、来年度も労働局長自身による取組を含めまして、企業をお訪ねすることによってポジティブ・アクションの取組促進、これを積極的に働きかけていくこととしております。

 その下の仕事と家庭の両立支援対策の推進でございますが、昨年7月に改正育児・介護休業法が全面施行になっております。また、次世代法の定着を図ることも必要でございます。企業に対して助成金の活用をお勧めしながら、職場環境の整備を推進していくこととしております。

 特に派遣労働者など、期間雇用者の第一子出産前後の女性の就業継続率は依然として低い状況にございます。期間雇用者の育児休業の取得促進を目的とした助成金の新しいメニューが次年度からスタートいたします。これらの活用をお勧めしながら、期間雇用者の育児休業の取得要件などについての周知を図り、制度の利用の促進を図ることとしております。

 また、育児休業の取得などをめぐる不利益取扱いへの相談ですが、これは引き続き多く寄せられておりますので、的確に対応してまいりたいと考えております。

 58ページにお進みいただきまして、次世代育成支援対策でございますが、次世代法に基づく行動計画の届出率につきましては9割を超える水準を維持しておりますが、引き続き、未策定、未届け企業に対する指導に努めてまいります。

 また、「くるみん」の認定企業については、平成26年度までに2,000社とする政府目標がございます。この達成に向けまして、多くの企業が子育てサポート企業として「くるみん」の取得を目指していただくよう引き続き援助を行ってまいります。

 最後に、パートタイム労働対策につきましては、今、中央の方では改正法の国会への提出時期について探っている状況と承知しておりますけれども、私どもといたしましては、現行パートタイム労働法の施行を着実に行ってまいる所存でございます。

 また、新たに設けられます非正規雇用対策関連の助成金の活用をお勧めしながら、正社員への転換、それから、均衡の待遇の実現に取り組まれる企業を支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【佐藤会長】  続いて労働保険徴収部長、お願いします。

【青木労働保険徴収部長】  労働保険徴収部長の青木でございます。

 引き続き労働保険適用徴収分野の重点対策について、御説明させていただきます。

 まず、59ページの中ほどをご覧ください。来年度の重点対策として、今年度と同様に4つの重点の柱を立てました。

 まず、第1点目は、労働保険料等の適正徴収でございます。昨年度におけます労働保険料等の収納率は、全国平均97.76%に対し、東京局は98.59%となっており、全国平均を0.83ポイント上回っております。徴収決定額も全国の約3割に及んでいることから、労働保険財政における東京局の役割は極めて大きいと考えているところでございます。

 このようなことから、東京局の今年度の収納率は、2月末現在で98.10%で、昨年とほぼ同水準で推移しており、このままでいけば、昨年度を上回るものと見込んでおりますが、依然としてリーマンショック以前の平成19年度の98.6%の水準に達しておりません。そのため、来年度におきましても、引き続き収納率の維持・向上を重点対策として取り組むことといたします。

 具体的には、適正な申告・納付の周知や、適正徴収の基本となる年度更新の円滑な実施、さらには60ページにあります、昨年度第3期から導入されました労働保険料の口座振替制度の拡大、また、実効ある滞納整理や効果的な算定基礎調査を実施することといたします。

 第2点目は、60ページの下段をご覧ください。労働保険未手続事業の一掃対策の推進でございます。来年度は、平成23年度から開始した第3次労働保険未手続事業の一掃対策3か年計画の最終年度にあたります。目標達成に向けまして、関係機関と受託団体と一層の連携を図り進めてまいることといたします。

 第3点目は、61ページをご覧ください。労働保険事務組合の指導等でございます。東京労働局管内の事業場の約4割が労働保険にかかわる事務を労働保険事務組合に委託している現状から、労働保険事務組合に対しての支援、指導を行い、労働保険事務組合制度の信頼性の確保を図ることといたします。

 それから、特別加入制度の推進でございます。これは、去る1月にアルジェリアで発生いたしました海外派遣先での事件等から、来年度新たに設ける項目でございまして、海外派遣者に係る労災保険の特別加入制度の周知・指導を実施することといたします。

 第4点目は、電子申請の利用促進でございます。今年度の年度更新の電子申請の取扱件数は7,320件、受理率は3.2%で、前年より0.6ポイント増加しましたが、まだ利用率が低いことから、一層の周知を行うことといたします。

 以上でございます。

【佐藤会長】  では、総務部長、お願いします。

【高橋総務部長】  総務部長の高橋でございます。

 61ページの6、労働相談等の充実についてでございますが、この(1)については24年度と同じでございます。

 新しいところは、(2)のウのところでございまして、62ページ中ほどでございますけれども、障害者虐待防止法が昨年10月から施行されたことに基づきまして、使用者からの虐待が疑われる事案を把握した場合に、局と監督署、安定所が連携して迅速に取り組むということを述べております。

 また、(3)の方も、昨年の年度後半から始めたことでございますが、大学生等の就職支援の一環として、局長ほか職員が大学等を訪問してセミナーを実施するということを記述してございます。

 それから、(4)につきましては、62ページの下から64ページの5行目まで続いておりますが、特に大きな変化はございませんので、割愛させていただきます。

 次に、64ページ、第4の各行政分野の連携事項でございます。こちらの方は総合労働行政機関としての力を発揮できるように、主に局内の各部局が相互に密接に連携して取り組んでいくという趣旨のことを記述した部分でございます。

 1番については総論を書いてございます。ほぼ去年と同じでございますが、2、3、4は均等室所管の法律について書かせていただいております。それぞれ2の男女雇用機会均等法の関係、3の育児・介護休業法、パート労働法というふうに続いてございますけれども、内容としては昨年とほぼ同様でございますが、法制度の周知徹底、それから法違反が疑われる事案を発見した場合の対応について、均等室を中心に各部局が連携して適切に対応していくということを書いてございます。

 なお、2番の男女雇用機会均等法の対策についてでございますけれども、64ページの下、2行目から続いておりますように、学生さん等について、この法律の知識の習得支援等にも努めていくということを追加で記述してございます。

 それから、5番目につきましては派遣労働者の関係でございますが、こちらの方も昨年同様でございますので、割愛させていただきます。

 それから6番の外国人、それから7番の労働保険についても昨年とほぼ同様でございますので、割愛させていただきます。

 第5、行政展開とサービス向上の基本となる事項ということでございます。1番の地方公共団体等との連携ということでございますが、地方公共団体はもとより、労使の各団体、それから関係機関との連携を基盤として、行政ニーズの的確な把握と東京の実情に応じた効果的な施策展開を進めていくという趣旨のことを書かせていただいておりまして、とりわけ、この中で1の2つ目のパラグラフでございますが、アクション・プランを例にとりまして、様々な局面で、局長を始めとして労働局の幹部が相手方を訪問して、意見交換を行いながら適切に進めていくということも盛り込ませていただいております。

 それから、66ページの一番最後、2の他の労働局との積極的な連携でございますけれども、この項目につきましては新たに追加させていただいております。労働行政は御承知のとおり、全国ネットワークにより政策運営をさせていただいておりますけれども、東京については労働市場が非常に大きく、県境を超えて広がっていくということ、また、企業の本社機能が集中するといった特徴を踏まえて、それぞれ各分野の行政が近隣の労働局、更に全国的な視点を持って施策運営を行うという趣旨を書かせていただいております。

 3番目の積極的な広報活動の実施、67ページの下半分のところでございますが、こちらの方も前年に増して積極的に実施していくということで、とりわけ一般の方々に分かりやすい情報発信に努めていくということで、内容にも分かりやすさに視点を置いて、創意工夫に努めていくという趣旨を書かせていただいております。

 続いて、68ページの個人情報の適正な管理、それから5番目の情報公開制度・個人情報保護制度の適切な対応につきましては、前年同様でございますので、割愛させていただきます。

 6番の綱紀の保持につきましては、国民の信頼、期待を裏切ることのないように、業務面はもとより、私生活においても非違行為の発生が生じることのないように、綱紀保持の徹底を図っていくということを書かせていただいております。

 それから、7番、69ページの最後のところでございますが、会計経理でございます。こちらの方は、まず職員の心構えとして、経理を法令にのっとって適切に行うという視点はもとよりでございますが、業務を通じて監督署やハローワークの業務を円滑かつ適正に運営できるような下支えをするとの使命感を持って業務を行うということを盛り込んでおります。

 70ページにまいります。そのため専門性を高めるという視点では、今回、会計経理の実務研修等を充実していくという趣旨も盛込ませていただいております。

 さらに、(4)のところでございますが、公共調達に当たりましては、最近、価格が低廉であるということを特に重視するよう求められておりますけれども、それによって安かろう悪かろうの契約にならないように、仕様書等を工夫させていただきますとともに、受託者に対しては仕様書に沿って厳格な契約の履行を求めていくという趣旨を盛り込ませていただいております。

 最後、71ページの研修の充実でございますが、私どもの行政、人もどんどん削減されております中で、一人一人が戦力として貴重となっておりますので、研修にも更に力を入れていくということで、新しい教材やツール、それからブロック内での研修にも力を入れていくという趣旨を新たに盛り込ませていただいております。

 資料の説明は以上でございますが、なお、お手元の方にこの横長のパワーポイントの資料を配付させていただいております。こちらの方は、今年度の下半期の業務実績を中心に取りまとめさせていただいたものでございます。時間の関係で説明は割愛させていただきますが、後ほどお目通しいただければ幸いでございます。

 以上、よろしくお願いいたします。

【佐藤会長】  どうもありがとうございました。

 局長からは東京都の労働局の対象範囲の労働需要を踏まえて、また国の取組、両者踏まえて、労働局としてどういうところに重点を置いて来年度取り組むかというお話を伺って、その後、各行政領域ごとから新規の取組なり、重点事項についてお話をいただきました。

 今日は、いつもと違って11時10分までということなので、あと23分ぐらいなので、その後、委員会等あるみたいですので、既に二十数分しありませんので、ちょっと時間が少ないですが、前半10分程度、先に御質問なり、御意見を伺うようにして、その後、行政の方から、それぞれ担当ごとに御回答いただくというふうにできればと思っています。

 ですので、いつものように局長に質問だとか、安定部長に質問だということで、割合簡潔に質問を出していただければと思います。

 では、よろしくお願いいたします。どなたからでも。

【傳田委員】  はい。

【佐藤会長】  どうぞ。

【傳田委員】  私どもからすると、去年重要な雇用関係の法律が3つ変わったので、そのことを定着させていただくということ、それが行政運営方針にどう表現されているかが大きな関心事です。高齢者雇用安定法と派遣法、労働契約法ということであります。まず、27ページのところに高齢者雇用安定法の関係が載っています。是非、記載部分のことをやっていただきたいと思います。また、(イ)の項のところ、経過措置を取らないということだったら、本当は一番いいのですが、残念ながらそれを取るというようなところが今の状況だと随分多い状況があります。その点、特にここにあるように「対象者基準の内容や判断時期等について確認を行い」というようなことが、どういうふうに担保できているのかという問題があります。

 東京都は、今年、我々の要望も入れていただき3,000万円程の調査費用を取っていただいて、事業所と当該労働者の意識調査、実施状況の調査をやっていただけるということもありますので、是非、連携してやっていただきたい。

 それから、派遣法の関係は、御説明いただいたとおりだと思いますが、日々紹介の問題、それから、26業種以外の、昨日の山口の裁判判決のようなことが起きないように十分やっていただきたいということです。これまでいろんなところの労働局の説明で、実は努力義務の改正点が余り強調されて言われていないのが非常に残念です。例えば1年を超えて派遣をしている人たちには、安定雇用を目指して無期化にしてほしいというようなこと。 こうした点が余り語られないものですから、そういう努力義務のところも十分お話をいただきたいというふうに思っています。

 それから、労働契約法については53ページにありますが、先ほどの2法と比べると、この53ページの書きぶりは私にはちょっと不満です。労働条件通知書の中身が変わるのは見ていただければ分かりますが、ここに書いてあるとおり、どのように労使双方に情報提供や周知を図るのかという点です。具体的に18条、19条、それから20条の改正がありますが、冒頭、局長が言われたように、見れば分かるという工夫について考慮して頂きたい。労働局の取り組みが、使用者の方も見れば分かる、我々も見れば分かるということが前提として書いてあるとすれば、ちょっと物足りなさを感じております。

 つまり、非正規労働者の処遇改善に資する法律改正だったわけで、その点、もう少しそれぞれの条文について、どんなことを注意しながら進めていくということについて、きちんと書いておいていただくことが必要なのかなと思っております。この点、できるのであればお願いしたいと思っています。

 それから、全体を通じて「正社員化」という言葉が施策の中ではたくさん散らばっています。私は、派遣もそうですし、労働契約法を通じて、5年を超えたらということもありますが、5年を待たずにということもあります。正社員化にもっていく若年者に係わる事業もたくさんあるわけで、正社員化をしようという若者雇用戦略もあります。あちこちで、事業が並んでいます、それぞれの事業で別々に出ていますもんですから。若い人たちの雇用安定をする、その上で正社員化を図るということだと、こういうメニューがありますというような並べ方、こういうプログラムがいっぱいあるんだ、関係法律もこうだと理解が進むような表現、見せ方をしていただいて、それぞれで行政運営していただくような取り組み方をしていただきたいと思いました。

 私がたくさん言うと時間がなくなるんで……。

【佐藤会長】  はい。

【傳田委員】  アクション・プランに基づく一体的な事業の中での自治体との関係ですが、34ページや66ページから67ページぐらいのところです。私たちも昨年、視察をさせていただいて、それぞれの自治体の皆さんと一緒になって職業安定に資するべく事業をされているということについては、その意味も分かりましたし、実際どうやっているかということについては大変意義のあることだというふうに思っています。

 ですから、国と自治体が相互に連携を深めて、利用者の立場に立って一体的に事業を進める取組というのは、今、成果が出ているということは見させていただいておりますから、このような取組について、更に進めていただくべきかな、と思っております。この間言われているように、生活保護の方々の数字も、世帯数も受給者も更に増えるというような実態ですから、働ける人が職に就いて頂く必要があります。実際、生活保護費が高いからというよりも、働ける人が働くということが目標なわけですから、自治体の方々と連携を取りながら是非進めていただきたいと思っています。

【佐藤会長】  ほかに御質問とか御意見はありませんか。

【田中委員】  よろしいですか。

【佐藤会長】  どうぞ。

【田中委員】  1つは、51ページからになりますが、生活保護受給者の就労支援、新宿の実態も見学させていただいたんですけれど、生活保護をもらっちゃうと就労意欲がなくなるという、そこを労働局と自治体の方で就労意欲を増すような方策を強力に推進していただいて、実際の就職に結び付くように、もっと強力に進めていただきたいということでございます。

 それから、新卒の就労支援でございますけれども、企業規模別に見ると、中小企業の方では求人倍率が3倍ぐらいになっているということで、ミスマッチが起きているようでございます。中小企業のメリットが学生とか、その親にまだなかなか理解されていないということがあろうかと思いますので、是非、就労支援の方もきめ細かく、特に中小企業の方を重点に進めていただければと。そうすることで、今、就職できない大学生が毎年5万人以上出ているということなんで、その減少を図っていただきたいと思っております。

 それから、障害者雇用の問題、29ページ以下にいろいろ書かれておりますが、2.0%ということになって、これも大企業の方は何とか確保できているという企業も結構あるんですけれど、中小企業の方までなかなか回ってこない。それで、労働局等でいろいろ就労支援をやっておられるようですけど、是非働ける状態にまでもっていくよう、そういう障害者への支援を是非強化していただきたいということと、就労支援機関がどういう活動をやっているのか、よく知らない人たちも多いので、PRを是非強化していただきたいと思っております。とりあえず以上でございます。

【佐藤会長】  では、ほかにあれば。どうぞ。

【秋山委員】  2点ありまして、1点目は、もしかしたら先ほどの傳田さんのところとかぶってしまうかもしれないんですが、53ページの労働契約に関するルールの周知等というところで、改正労働契約法のところで懸念されるのが、有期から無期に転換する前に安易な雇止めですとか、法の趣旨を損なうような契約を結ばれるというところが非常に懸念されるところですので、是非そこについては、そういうものではないということをきっちり伝えていっていただければというふうに思います。

 2点目は、ちょっと全体的なところなんですが、いろいろな施策に対して助成金というのがいろいろあるかと思うんですが、その助成金、細かい1つのことについて調べていくと、こういうのがあるんだというのが分かるんですけど、もうちょっと大きく、全体として見えづらい部分があるというふうに聞いたんで、是非、その辺のところをもうちょっと、こういうことやっていくのに、こういう助成金があるんだというふうに使いやすくなるような形で周知していただければというふうに思います。

【佐藤会長】  もう一つぐらいあれば。では、どうぞ。

【蜂谷委員】  コメントの前に質問なんですけど、情報提供、67ページの積極的な広報活動の実施というところの話の中でちょっと思ったんですけど、情報提供、今、ツイッターなどでもされていらっしゃいますか、ツイッターの情報提供というのを。

【伊岐労働局長】  ツイッターまでは、まだやっておりません。

【蜂谷委員】  それで思ったんですけれども、まず1つ、やはり学生などに労働行政ですとか、法律などにもっと興味を持ってもらいたいですし、例えば文学部の学生が労働法制に興味なんか、多分、ほとんど持っていないと思うんですけれども、彼女、彼たちも就職活動をして社会人となって働くわけですから、やはり学生のうちに労働法制というものはこういうのがあるんだよとか、例えば就業規則というのはこういうものねと、働き出す前にちょっとでも情報があった方がいいかなという気持ちがあります。

 経済学部とかでは、それはあるかもしれないんですけど、ほかの学部の子は、そういう情報になかなか取っ付きにくいかなというのがあって、そういう世代の人たちは、デジタルネイティブですし、ツイッターというのが当たり前のことで、決して、それはバーチャルじゃなくて、彼、彼女たちにとってはリアルな世界とイコールなものですから、例えば労働局のホームページをわざわざ見に行くかというと、多分、見に行かないと思うんです。ただ、ツイッターとかで情報が来た方が、こういうことが世の中にはあるんだというのでちょっとでも興味を持ってもらうと、じゃあ、ホームページ見てみようかなという気にもなるかもしれないなと思いました。

 それから、グラフや図を利用するなど、ビジュアル化というのはもちろん必要なことであると同時に、ちょっと心配なのが、もしかしてグラフとか図を読めない子もいるのかなと。ゆとり教育の年代の子たちは、もしかしたら読み取れないんじゃないかという気も。かえってグラフとか出てくると、苦手意識が出たりという場合もあるという前提に立てば、ほんの少しでもアニメーションとか漫画とかというので事例とか、こういうことをしたらセクシュアルハラスメントになるんだねというようなことを、若い人たちに分かりやすい形で、もっと興味を持ってもらって、労働行政ですとか、あと、私たちがやっていることがもっと身近に思ってもらえるようなことがもしできれば、可能性があれば御検討いただければなと。そうすると、選挙に行こうかなという気にもなるかなと思うので、よろしくお願いします。

【佐藤会長】  どうもありがとうございました。今回の4月以降の大きな法改正とか、自治体との連携とか、情報提供を含めた運営の仕方について、御質問というより、御意見なり御要望をかなり出していただきましたので、多分、安定、需給、基準、あと総務にかかわるのかな。あと、局長もあれば、最後にというような順でさせていただければと思います。

 今回、高齢法の改正なんですけれども、いわゆる定年制の下にある人については60代前半の雇用が推進されるんですけれど、残念ながら55歳から59歳のうちの有期の人が男女ともに相当増えているんですね。全国のデータですけれども、55歳から59歳の有期契約、男性で17%ぐらい、女性だと多分3、4割だった。この人にとっては、今回の措置というのは関係ないんですね。ですから、そういう意味で、有期契約でいる人たちの60歳前半の雇用をどうするかというのが結構大事な点で、そこが余りないので、実は本省もあまり考えていないので、そこを少し。そういう意味で、雇うときの年齢条件はすごく大事になってきているかなというふうに思います。

 あと、ポジティブ・アクションの話も出たんですけれども、ここ数年見ると、女性管理職比率は落ちているんですよね。女性の勤続年数も下がっているんだよね。なぜだかよく分からないんだけど。そんなこともあるので、そういうことも含めていろいろ取り組んでいただければと思います。

 それでは、安定部長から。御要望等があるので、可能な範囲内で結構です。

【清野職業安定部長】  まず、傳田委員さんからいただいた65歳まで働ける制度に経過措置も認められているので、どのように確認を行うのかということですが、私どもとしましても、対象年齢の離職が余りにも多いようなところについては重点的に指導に入りたいと思っているところでございます。

 また、傅田委員さんから東京都でも高齢関係のアンケート意識調査をやられるという情報をいただきましたので、その調査がどのようなものか確認したいと思います。

 それから、生活保護の関係につきましては、自治体とのアクション・プランについての御意見、ありがとうございます。ここは大変高い実績も出ているし、また、首長さん等の評価も得られていると思いますので、また、更に進めていくというような方針が本省から出ておりますので、それに沿って進めていければと思っております。

 それから、田中委員さんからいただきました新卒関係、中小企業・中堅企業への人材の橋渡しというところでは、是非とも私どもも力を入れていきたいということでございますので、引き続き御協力をお願いできればと。

 それから、学生、親の理解というのは、確かにいろいろなところがございますので、この辺もしっかりセミナー等、あるいは個別支援等で理解を高めていきたいと考えております。

 それから、障害者の雇用率2.0%ということで、中小まで障害者の方が回っていかないんじゃないかというような御指摘でございまして、確かに働ける状態というのはどういうところかというところもあるんですが、今、現実的には大企業さんの方が雇用率を達成すべく活動が大変活発でございますので、その分、中小さんの方は大変厳しい状況があるというところは認識させていただいているところです。

 そんなところでございましたか。

【佐藤会長】  では、需給調整、もし何かあれば。

【中村需給調整事業部長】  御指摘のあった派遣法の努力義務についてですが、もちろん義務事項を重点的にやっておりますけれど、努力義務事項につきましても、例えば無期転換措置の状況などについて、実際、派遣会社に行くなどして、状況を把握しつつ周知していきたいと考えております。

【佐藤会長】  では、基準は何か。

【相浦労働基準部長】  労働契約法の関連でどのように周知を図っていくのかというお話だったと思います。4月1日から全面施行ということになりますので、周知は非常に重要なことというふうに承知しておりまして、これまでも局のみならず監督署レベルでもセミナーを開催してきています。

 把握している範囲では22回、約3,000名強の方を集めてセミナーを開催してきていますし、併せて各種の団体とか企業グループからの要請に応じて、周知のためのセミナー等に参画している状況にございますので、引き続き、そういった面で対応していきたいというふうに思っております。

 また、本省では先進的好事例、モデル就業規則等を25年度に収集、作成するとしていますので、それができ上がってくれば、そういったものを使った周知に更に努めていきたいというふうに考えているところでございます。

【佐藤会長】  総務部長、何かありますか。

【高橋総務部長】  蜂谷委員から学生さんに対しての情報発信という御指摘をいただきました。重要な点だと考えておりまして、その点につきまして、広報のところではないんですが、先ほど何回かに分けて触れましたけれども、労働法制等、これは私どもの施策も含めて、特に就職を目前とした学生さんに対して出前の講義をさせていただいておりまして、そういうようなもので積極的に訴えていきたいと思っております。その際の資料の中には、アニメーションとまではいきませんが、イラスト等をふんだんに駆使しまして、分かりやすい例を用いてというようなことを工夫しておるところでございます。

 なお、学生さん以外で、フリーターやひきこもりの方とか、情報がなかなか届きにくい方がいらっしゃると思いますので、今、私どもの行政ツールでは、それぞれのパソコンからツイッターをやることができない仕組みになっておりますが、今後、新しいツールの活用も含めて検討していきたいというふうに思っております。

【佐藤会長】  ちなみに労働局のホームページは、携帯からアクセスしても見られるような状況、見えることを考えて作っているのかな。よく分かんないけど、携帯では余りアクセスしたことないから、どうなんだろう。

【事務局】  それに関しては、携帯専用のページと、今、スマートフォンですから、スマートフォンから見られる作りにはなっています。

【佐藤会長】  そういうことね。では、全体、局長から何かあれば。

【伊岐労働局長】  では、時間もまいりましたので、お礼を兼ねて申し上げたいと思います。

 本当に多角的な御意見をいただきましてありがとうございました。時間の制約がありましたことを大変申し訳なく思っております。

 いくつか部長の方から御説明したこと以外に、一覧性のある資料の作成とか、正社員化についてどこを見れば、何があるか分かる絵図面を作るであるとか、新しい広報媒体としてツイッターなり、フェイスブックでしょうか、いろんなものの活用など、広報に関しての御意見をいただいたことを大変有り難く思っています。

 一覧性に関しましては、実は私どもの方も本省に要望して、特に能開行政とか、安定行政とか、いろんなものを新しく作っているもんですから、その見取り図を是非見せてと頼んで、一部、指示も来ておりますので、そういうものを効果的に皆さんにお示しできるようなこと、運営方針の附属資料にするか、別途の資料にするかはありますが、今度検討していきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、分かりやすくという面でまだ十分でない部分もあるかもしれませんが、今日いただいた御意見を最大限反映するとともに、ワーディングも含めて、もう少しブラッシュして、予算成立とともにオープンにして皆さんに読んでいただけるようにしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 また、引き続き行政運営については、いろんな御意見をちょうだいできればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤会長】  局長から、皆さんの御意見についての御回答と、かつごあいさつもいただいたということでいいですかね。

 そうすると、あと、ほかに何か言い残したことがあれば、事務局はいいですか。

 それでは、これをもちまして第6期第4回東京地方労働審議会を終わらせていただきたいと思います。

【石原企画室長】  どうも委員の皆様、長時間にわたる御審議、お疲れさまでございました。これをもちまして散会とさせていただきます。御協力、誠にありがとうございました。

【佐藤会長】  どうもありがとうございました。

── 了 ──

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雇用環境・均等部 企画課(企画担当) TEL : 03-6867-0212

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