第4期第3回 東京地方労働審議会議事録

1 日時  平成20年11月28日(金) 15:30~17:30

2 場所  九段第3合同庁舎 11階 共用会議室1-1

3 出席者
委 員 佐藤委員、橋本委員、山崎委員、秋山委員、尾野委員、黒澤委員、
三宅委員、上原委員、紀陸委員、野中委員、蜂谷委員
事務局 東 東京労働局長、木塚総務部長、山岸労働保険徴収部長、山本労働基準部長、福島職業安定部長、浅野需給調整事業部長、峯岸雇用均等室長
4 議題
(1) 平成20年度 東京労働局最重点目標、重点対策事項に係る進捗状況(上半期)について
(2) 緊急総合対策について(非正規雇用対策の推進)
(3) その他(質疑・意見交換)

5 議事

【前田企画室長】  それでは、大変お待たせいたしました。定刻でございますので、ただいまから第4期第3回の東京地方労働審議会を開催いたします。本日は、委員の皆様方には、大変お忙しい中をご出席賜りましてまことにありがとうございます。
 本日の進行を務めさせていただきます企画室の前田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは初めに、審議会に先立ちまして、事務局のほうに人事異動がございましたので、ご紹介をさせていただきたいと思います。本年の7月11日より着任しております東京労働局長の東でございます。

【東労働局長】  東でございます。よろしくお願いします。

【前田企画室長】  続きまして、総務部長の木塚でございます。

【木塚総務部長】  木塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【前田企画室長】  続きまして、本年4月1日より着任をいたしております労働保険徴収部長の山岸でございます。

【山岸労働保険徴収部長】  山岸です。よろしくお願いします。

【前田企画室長】  同じく、雇用均等室長の峯岸でございます。

【峯岸雇用均等室長】  峯岸でございます。よろしくお願いいたします。

【前田企画室長】  どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、お手元にお配りをしております資料のほうの確認をさせていただきたいと思いますが、本日の次第、席次表のほかに、配付資料一覧を表紙といたしました、青い表紙でございますけれども、資料1、委員名簿から続きまして、資料8までつづってございます。順番につづってございますので、ご確認のほどお願いしたいと思います。
 並びに、参考資料といたしまして、冊子になっております「Profile2008」、それからそれ以外の資料といたしまして、「これだけは知っておきたい働くための基礎知識・ルール」ということで、A4判の(案)の資料と、A5判の小さな2セットをお手元のほうにお配りさせていただいております。
 またあわせて、児童福祉法等の一部を改正する法律の主な内容ということで、ホチキスどめのA4判の資料をお手元のほうにお配りさせていただいておりますので、ご確認のほうをお願いいたします。
 次に、本日の出席委員でございますけれども、先ほど公益委員の田付委員のほうから急遽欠席のご連絡がございましたので、本日の出席委員につきましては11名となってございます。地方労働審議会令第8条第1項の規定よりまして、本会が有効に成立しておりますことをまずご報告差し上げたいと思います。
 それでは、審議会の開催に当たりまして、冒頭、東局長よりごあいさつを申し上げます。

【東労働局長】  先ほどもご紹介いただきましたけれども、7月から着任いたしました東でございます。直前までは中央労働委員会に3年ほどおりまして、不当労働行為事件などをやっておりました。その前は、労働政策の担当をやっておりまして、佐藤先生も昔からいろいろとお世話になっているところでございます。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 また、各委員の皆様におかれまして、当審議会の審議運営につきまして、普段から多大なご尽力をいただいておりますことにつきまして、また日ごろから労働行政の運営についてご協力いただいておりますことにつきまして、この場をかりて厚く御礼申し上げる次第でございます。
 当審議会におきましては、東京労働局の行政運営方針の策定、またはその施行状況等につきましてご審議いただいているところでございます。また、いろいろな観点から皆様方からいろいろなご意見をちょうだいいたしまして、それを行政運営に反映できるようにということで、私どももしっかりと聞いていきたいということでございます。本日も、そういった観点からいろいろなご意見、ご発言をいただければと思っている次第でございます。
 本日、雇用情勢を発表されました。有効求人倍率が0.80倍ということで、前月を0.04ポイント下回っております。ただ、完全失業率は、前月9月から0.3ポイント低下しまして3.7%ということでございますが、多分にこれは雇用情勢が厳しくなってきたということで、求職申し込みをしない人が増えてきたのだろうというような見解を国のほうではいたしているようでございますが、やはり先行き不透明といったところが出てきているのではないかと思っております。
 全国がそういった状況でございますが、東京局の管内の状況でございますと、10月でございますが、有効求人倍率1.11倍、前月9月で0.03ポイント下回っているということになってございます。もう皆さんご承知のとおり、リーマンショック以来、雇用環境につきましては非常に厳しい情勢になっているところでございます。
 今日も、厚生労働省の発表ということで、向こう3月まで非正規の労働者の方は3万人ぐらい、あるいは現在、内定取り消しが331人というようなテレビ報道等もあったわけでございますけれども、非常に厳しいなと思っております。ここら辺のところを私どもは受けとめて、きちんとやっていくことが必要なのかなと思っております。
 また、労働条件面におきましても、長時間労働でございますとか、あるいは過重労働によりますメンタルと健康障害の問題等いろいろございます。また、若干少なくはなっておりますが、でも相変わらず高い水準で労働災害が発生いたしておりますし、また昨今、どんどん労働相談、あるいは申告が増えているというような状況になっております。一般情勢はこういうことでございますけれども、こういった中にありまして、私ども、東京労働局といたしまして、本年3月7日の審議会において説明させていただきましたけれども、平成20年度の行政運営方針に基づいて業務展開を今までやってきているところでございます。
 詳細につきましては、また後ほど関係部長のほうからご説明させていただきますけれども、先ほどからも申しておりますように、補正予算が通ってきておりますので、非常に厳しい状況に対応したいろいろな施策等もございます。それをまた後ほどご紹介させていただきますけれども、特に、仮称ではございますけれども、非正規労働者就労支援センター、こういうネーミングがいいかどうかというのはありますけれども、非正規の方々を安定した職業のほうに就けていくということで補正予算でついております。とりあえず、東京、愛知、大阪ということのようでございます。そういったことも後ほどご説明させていただきたいということでございます。
 私ども、先ほどから述べておりますけれども、非常に厳しい状況になっておりまして、皆様方ご承知のとおりでございますが、ハローワークの市場化テストの問題等、あるいは地方分権の問題等いろいろ出ているところでございます。社会保険庁の問題もあったわけでございますけれども、国民の皆さん方の行政に寄せる目線、非常に厳しいということは私ども、非常に承知をしている中で一生懸命やっているところでございますけれども、やはりこういった中にありましても、国民の皆様方のそれぞれのニーズに合った形で行政展開をしていく必要があるだろうと思っているところでございます。本日、そういった立場からいろいろな有意義なご意見をちょうだいいただければと思っているところでございます。
 最後になりますけれども、先ほどから言っておりますけれども、国民の皆様方に十分対応できるような行政運営をしていきたいと考えているところでございますので、本日はよろしくご審議のほど、あるいはご意見をちょうだいできればと考えているところでございます。
 簡単ではございますけれども、開会に当たりましてのあいさつとさせていただきます。本日はよろしくお願い申し上げます。

【前田企画室長】  続きまして、新委員のご紹介をさせていただきたいと思います。まず、使用者代表委員の大久保委員の後任となりました紀陸委員でございます。

【紀陸委員】  よろしくお願いいたします。

【前田企画室長】  次に、労働者代表委員の大浦委員が退任されまして、浅見委員が就任をしてございますけれども、本日、欠席をされてございますので、ご紹介のみとさせていただきたいと思います。
 それでは、以降の議事の進行につきましては、佐藤会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤会長】  それでは、ただいまから第4期第3回の東京地方労働審議会を始めさせていただきます。
 初めに、運営規定第6条第1項に基づき、本日の議事録署名委員を指名させていただきたいと思います。黒澤委員と蜂谷委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、今日は2つ議題があるわけですけれども、最初の議題の東京労働局最重点目標、重点対策事項に係る進捗状況(上半期)について、事務局から順次ご説明をお願いいたします。

【木塚総務部長】  東京労働局の業務につきましては、行政運営方針に基づきまして進めているところでございますけれども、特に重点的に取り組むべき目標というものを定めつつ実施をしているところでございまして、お手元にこのような「Profile」という冊子を配らせていただいているんですけれども、この1ページ目のところに最重点目標といったようなものを定めつつ、これを広く広報しながら進めているというところであります。
 まず、資料のNo.2というのがあるんですけれども、それの1ページ目をお開きいただきたいと思います。ここに示しておりますとおり、4つの最重点目標というものを定め、各分野ごとに重点対策というものをつくって、それに基づいて実施しているわけでございますけれども、私のほうからは、特にこの4つの最重点目標の達成状況につきましてご説明をさせていただいたいと考えているところでございます。
 先ほど見ていただきました「Profile」の最初のページの4つの最重点目標の中に具体的な目標が定められておりまして、1つの重点目標とするすべての労働者の適正な労働条件の確保というものにつきましては、数値目標といたしまして、派遣先、派遣元、請負受託者、請負発注者等への個別指導監督を年間2,200件以上実施すると。
 2つ目といたしましては、労働者の安全と健康の確保ということで、産業医の75%以上、衛生管理者70%以上の選任ということと、もう1つは、建設業の墜落による死亡災害の減少を図るということで、昨年19年、暦年の1月から12月までとの比較で20%の減少を数値目標としております。
 3つ目につきましては、いわゆる仕事と生活の調和のとれた働き方を可能とする労働環境の整備ということで、300人以下の企業からの届け出件数を2,000件以上としております。
 最後の4つ目といたしましては、ハローワークの利用満足度のさらなる向上ということで、年間就職件数と年間充足数の数値目標を掲げております。
 今、上半期のちょうど半分のところでございますけれども、この段階での達成状況につきましては、資料No.2の2ページをお願いいたします。
 まず、第1点目の適正な労働条件の確保につきましては、目標が年間2,200件以上ということでございますけれども、現在、個別指導につきましては、888社に対して実施をいたしているところでございます。年間目標の40.4%ということでございまして、若干50%を下回っているところでございまして、年間目標が50%に届かなかった理由といたしましては、主といたしまして、当初計画には計上していない行政処分案件の処理でございますとか、あるいは今年度から実施を開始した繰り返し違反をする事業者の方に対する取り組みを強化するというようなことにつきまして、相当の業務量を投入する必要に迫られたということでございまして、下半期につきましては、派遣先に対する指導の強化でございますとか、あるいは呼び出し指導の手法を効率的に組み入れることなどによりまして、年間目標数の達成に向けて鋭意努力していくということとしてございます。
 続きまして、労働者の安全と健康の確保ということでございますけれども、選任率につきましては、産業医については、目標75%に対して、平成20年10月末現在で既に78.9%、衛生管理者につきましても、目標70%に対して74.2%と、ともに達成をしているところでございます。
 建設業の墜落による死亡災害を20%減少するということについてでございますけれども、平成19年度の墜落による死亡者数が27名ということでございましたので、本年12月末までの間で21人以下を達成すれば目標達成ということになるわけでございますけれども、10月末現在では12名ということでございますので、あと11月、12月の2カ月間で9人以内ということでございますけれども、現状では達成可能だと考えているところでございます。
 続きまして、3ページをお願い申し上げます。
 仕事と生活の調和のとれた働き方を可能とする労働環境の整備ということでございますけれども、次世代育成支援対策推進法に基づきます行動計画の策定・届け出の努力義務である300人以下の企業からの届け出件数、目標2,000社に対しまして、現在2,448社となってございまして、これも目標を達成しているところでございます。
 最後に、4点目のハローワークの利用満足度のさらなる向上ということでございますが、年間就職件数と年間充足数につきまして、それぞれを13万7,470件、充足数が18万7,593件という目標を立てているわけでございますけれども、現在達成している状況につきましては、就職件数が6万7,937件ということでございまして、49.42%ということで、50%にはまだ達していないというところでございまして、年間充足数につきましても、現段階で9万1,885件ということで、これも48.98%の達成ということで、いま一つ5割まで達していないという状況でございます。いずれにいたしましても、現下の雇用情勢が大変厳しいという状況にございますので、それをしっかりと見据えながら行政展開を図って、年間目標の達成に向けてしっかりと努力をしていきたいと考えているところでございます。
 私からは以上でございますが、各行政分野ごとの進捗状況につきまして、引き続き担当部長よりご説明をさせていただきたいと存じます。

【山本労働基準部長】  それでは、引き続きまして私のほうからは、労働基準の分野につきまして説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料のNo.3でございます。労働基準の分野における重点対策取組状況ということでございます。1ページ目以降で説明をさせていただきますけれども、時間の都合もございますので、重点的な部分について説明を加えさせていただくということでお願いしたいと思っております。
 まず、1ページ目でございますけれども、長時間労働の抑制・過重労働による健康障害の防止等についてでございます。過重労働による健康障害防止につきましては、月45時間を超える労働が継続いたしますと疲労が蓄積していくと。その結果、健康障害が発生するということが起きるわけでございまして、ちょっと飛んで申しわけございませんけれども、一番最後の6ページを見ていただきますと、迅速・適正な労災補償の実施というところの欄で掲げておりますけれども、実は、脳・心臓疾患の請求件数、認定件数がここに書いてございます。請求件数は、ほぼ横並びという形ではございますけれども、19年で言うと931件が全国でございまして、東京は141件という数値になっております。これに対しまして認定件数は、60件が東京でございまして、全国が392件、東京でも、また全国で見ても認定件数は増加傾向にあるという状況にございます。
 そういう状況の中で、健康障害を何とか防止しなければならないということで、そのためには、まずは長時間労働を排除していただくということになるわけでございます。1ページに戻っていただきますと、(1)の(1)から(3)ということで、事業者の方々にこういった点にご留意をいただきたいという項目を並べております。時間外労働・休日労働の削減から始まりまして、長時間労働を行っておられる方々に対する医師等による面接指導の実施、こういったものについてご理解いただく中で、しっかり実施をしていただくと。そのための集団指導あるいは監督指導といった形での取り組みを行っているところでございます。
 また、(2)にございますけれども、東京局独自の取り組みといたしまして、過重労働による健康障害防止運動というものを5カ年という期間で取り組んでおります。標語というものを公募いたしまして、キャッチフレーズとして使わせていただきたいと思っておりますが、本年公募いたしまして決まったものがそこにございます、「みつめようみんなの健康 みなおそうオーバーワーク」というものでございます。これをキャッチフレーズといたしまして、啓発活動等を展開してまいりたいと思っております。
 9月をその運動の強調月間としておりまして、その9月にさまざまな啓発活動を展開することにしております。その一環といたしまして、(3)の産業保健フォーラム IN TOKYOというのを開催しております。9月8日に800名の方々に集まっていただきまして、過重労働による健康障害の防止というものをメーンテーマとして開催したところでございます。
 また、11月には長時間労働を排除するための啓発活動ということで、労働時間適正化キャンペーンというものを実施しております。22日には、南関東ブロックの4局が一緒に取り組みを行いまして、労働時間相談ダイヤルというものを実施いたしました。経済が非常に厳しい状況にあるということもございまして、ことしは昨年の31件から115件という非常に多くの相談を受けたという状況になっております。引き続き、啓発活動、あるいは問題がある事業所に関する監督指導をしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 2ページ目に移りますと、労働条件の確保・改善等の取り組みでございます。先ほど、局長のほうから話をさせていただきましたけれども、申告・相談等が非常に増加してきております。そういったものに対する対応が今現在、非常に求められているという状況にございます。
 まず、申告の受理件数でございますけれども、昨年同期比でいきますと、14.6%の増加、5,504件という状況になっております。申告といいますのは、労働者の方々から労働基準法等の違反というものの申し出を受けて、私どもが監督指導等を通じてその是正を図っていくというものでございます。申告の受理の内容については、賃金不払い、解雇といったものが多いという状況にございます。
 また、相談件数につきましても、3.5%増の24万3,155件と、多くの相談が寄せられているという状況にございます。
 また、残念ではございますが、倒産に至ったという場合に、労働者の方々が賃金をいただけないという状況に陥った場合には、国が事業者にかわって立て替え払いを行うという制度がございます。これは、立替払申請件数という部分でございます。これも昨年に比べますと、21.1%増の276件という状況になっているわけでございます。非常に厳しい経済情勢を反映して、それぞれのデータが増加傾向が顕著であるという状況が言えると思っております。
 いずれにしても、申告・相談につきましては、何をおいても懇切丁寧な対応、労働者の方々の立場に立った対応ということが重要でありますし、法違反に対しては厳正に対処する、あるいは厳しく是正を求めるといったことが必要であると考えておりますし、さらに立て替え払いにつきましては、何よりも早くということが求められていると思っております。しっかりとした取り組みを行ってまいりたいと思っております。
 (2)については、省略をさせていただきたいと思います。
 3ページ目でございますけれども、最低賃金制度の適正な運営ということでございますが、地域別最低賃金につきましては、ことしは生活保護水準との乖離額80円というものを3年間で解消するということで、27円引き上げまして766円、10月19日の発効という形になっております。
 また、産別につきましても、労使のイニシアチブによる改定を行うということで、6業種とも労使の話し合いが十分に行われまして、全会一致で決定をされまして、そこの表にございますような改定金額、発効日は12月31日という状況になっております。
 1枚めくっていただきまして、4ページ目でございますけれども、多様な働き方が可能となる労働環境の整備のところでございますけれども、(3)の仕事と生活の調和の実現のところでございます。ことしは、ブロックごとに開催をしておりました推進会議を都道府県単位で開催するということで、東京も「東京・仕事と生活の調和推進会議」を開催いたしまして、ブロック単位でつくっておりました推進プログラムを東京局版に改定するという作業を現在行っております。来る12月15日には、第3回目の推進会議を開催いたしまして、最終的な内容についての詰めを行っていただく予定にしております。
 また、昨年までに策定いたしました推進プログラムの建設業編、あるいはホワイトカラー編といったものについてはしっかり周知もしていかなければならないということで、(2)のセミナーも開催しておりますし、(3)のシンポジウムにつきましては、11月12日、佐藤会長のほうからも基調講演をいただく中で、380名の参加を得て開催をいたしたところでございます。
 5ページ目でございます。労働者の安全と健康の確保対策についてでございます。
 (1)の労働者の安全を確保するための対策のところでございます。労働災害の発生状況、一言で申し上げれば、死亡者数については減少している、逆に死傷者数で言うと増加傾向にあるということでございます。死傷者数については、増加傾向が顕著であるのは第3次産業、運輸業といったところでございまして、下のほうに6.5%増、これが運輸業でございまして、6%増というのが第3次産業ということでございます。
 ことしは、第11次の労働災害防止計画の初年度でございまして、計画自体の目標は、毎年、労働災害を着実に減少させると。そういった中で、死亡者数を20%以上、死傷者数を15%以上それぞれ減少するということを立てておりますが、残念ながら、死傷者数については非常に厳しい状況に陥っているという状況でございます。リスクアセスメント等の普及・定着活動をしっかり取り組む、あるいは業種別対策として、増加傾向が顕著な運輸業、第3次産業といったものに対する取り組みを強化してまいりたいと思っております。
 それからもう1点、(2)の労働者の健康を確保するための対策でございますが、(1)の健康確保の対策については、先ほど総務部長から説明がございましたので、省略をさせていただきます。
 (2)のアスベストによる健康障害防止の対策でございますけれども、計画届、作業届ということで、吹きつけアスベスト等の建築物の解体作業等につきましては、届け出が必要でございます。一言で申し上げれば、計画届については減少傾向、作業届については増加傾向ないしは横ばいといった状況が続いております。引き続き、計画届の審査といったものをしっかりやっていく、あるいは問題がある届け出、工事現場についてはしっかりと実地調査等を展開していくということを予定しているところでございます。
 最後の迅速・適正な労災補償の実施。脳・心臓疾患については先ほど申し上げましたが、精神疾患につきましては、そこにございますように、東京局につきましては、17年から年々申請件数、認定件数ともに増加傾向にあるといった状況にございます。いずれにしても、申請されたものに対して早く、適正に処理をするという方針で今後も臨んでまいりたいというところでございます。
 私からの説明は、以上でございます。

【福島職業安定部長】  それでは、私からは、引き続いて資料4に基づきまして、職業安定の分野における取り組み状況についてご説明申し上げたいと思っております。
 資料4の1枚目をめくっていただいて、1ページをごらんいただきたいと思います。先ほど、職業安定行政の重点対策については、総務部長のほうから概略説明があったと思いますが、そのうち私は、今日、時間の関係もございますので、5つの項目について取り扱い状況をご説明申し上げたいと思っております。
 1ページは、ハローワークサービスの根幹と申します求人者サービスと求職者サービスの状況であります。左側が求人者サービスということで、ハローワークの求人者サービスの課題は、いかに求める人材をしっかりあっせんして労働力をそれぞれの企業に確保させていくかということで、一般的に求人をいただいて、その求人に見合う求職者をあっせんさせていただきますが、特に求人者サービスを強化するために、平成20年度は、求人コンサルティング業務というものをすべてのハローワークにおいて実施しております。
 これは、充足の可能性が高い求人者については、早期に充足をしていただくためにどういうプランが必要か、どういうニーズがあるのか、あるいは人材の登用がどういうふうになっているかという一般的な求人申し込み所以外の情報をつぶさに収集いたしまして、求職者に速やかに提供しながら、見合う人材をあっせんさせていただくというサービスでありますが、結果は、上半期までにコンサルティングをやった求人数は、1万780人の求人に対してコンサルティング業務を実施いたしました。その実施に基づいて人材がしっかり確保されて充足されたという数が4,337人であります。充足率を申し上げますと、40.2%になりました。これは、見にくいですが、参考という欄に小さく記述させていただきましたが、一般的に普通の求人総数に占める充足の割合というのは、東京局の平均の求人充足率でいったら18.2%です。2割を切っております。このコンサルティングをやるとこれが40%に跳ね上がる。いかにこのコンサルティング業務が有効であるかということを上半期、私どもが実証しております。下半期については、この業務をさらに強化していきたいと思っております。
 もう1つは、求職者に対してきちんとサービスをするということで、求職者サービスも従来の手法に加えて、付加価値のあるサービスにしようということで、個別支援という手法を使っております。これは、数多くの求職者の方がハローワークの窓口に来られますけれども、いろいろ課題を抱えている求職者の方がいらっしゃいますので、それぞれの求職者の方が保有する課題を解決しながら個別的に支援していく。例えていうと、お医者さんと患者さんの関係を少しイメージしていただきたいんですが、ハローワークに来られる求職者の方は、1回で就職が決まる方は数はそういらっしゃらないんです。何回か利用されている方が多いと思うんですが、その都度職員が変わることをしないように、できるだけ同じ職員が求職者の方の相談を担当するような一貫性、あるいは担当性、そういうものを使いながら個別支援をやっていくというやり方であります。
 今年度、上半期までに個別支援の対象となった方につきましては、19年度に比べて前年比で26%強増えておりまして、この方に対する個別支援の結果が、表にありますように、20年度上半期は9,705件の就職が決まりました。昨年度は7,651件でしたので、個別支援の強化が実績としても上がっている。
 それから、求職者の方のどのくらいの割合で就職が決まっているのかというのは、参考までに、全体の就職率が23.3%、就職が決まる方は4人にお一人弱という状況なんです。これを個別支援をすると、50%近くまで就職率が改善できるというか、実効がとれるということで、個別支援による求職者サービスも私は効果が出ていると思っておりまして、求人者サービスと同様、求職者サービスも下半期も引き続いて強化をしていきたいと思っております。
 それから、私たちのサービスが、利用者にとってどういうふうに思われているかという利用者満足度調査をしっかりやろうということで、全ハローワークにおいてやっております。結果、上半期の状況は、下段のほうに図で示させていただいておりますが、求人者サービスを満足とされた求人企業の方が全体の62.4%。それから、求職者サービスで満足したという求職者の方が全体の62.1%。これは、私は、出足としてはまあまあかなと思っているんですが、まだまだ普通ですよと言っている方も3分の1以上いらっしゃる。あるいは、悪いと言われている求人者の方が7%前後で多い。求職者の方は4%弱。こういう数字を少し直視しながら、どこが悪かったのか、どこを改善するべきなのかということを、各ハローワークごとに実は事情が違っておりますので、こういった調査分析をして業務改善につなげていけることを下半期の1つの課題として取り組んでいきたいと思っております。
 重点対策の2本目として、2ページをごらんいただきたいと思っておりますが、障害者雇用対策の推進であります。これは、障害者雇用対策を2本立てで説明させていただきますが、1つは、雇用率達成指導の徹底であります。東京の場合は、多くの企業が集積しているところで、特に本社機能も多いというところで、なかなか改善が遅々と進まない状況が続いておったんですが、昨今の状況は、障害者の社会参加が非常に旺盛になりまして、あるいは企業における障害者雇用がコンプライアンスであり、あるいはCSRというところも含めて、障害者雇用に私は順風が吹いていると思っているんですが、そういう状況とハローワークの紹介機能の強化というところも相まって、実は着実に障害者の雇用率は改善しております。表をごらんいただきますと、3年間の6月1日現在の数値をそこに示させていただいておりますが、民間企業の全体の雇用状況は、平成18年が1.44%、19年が1.46%、20年が1.51%と経年ごとに着実に改善されております。
 ただ、1,000人以上の大企業が牽引役になっていることは、ごらんいただくとおわかりいただけるんではないかと思いますが、300人以下の中小企業が雇用改善がなかなか進まなかったんですが、ようやく20年6月に0.86まで改善したことは大きい話ではないかと思っております。
 いずれにしましても、特に中小企業等に対する指導をさらに強化しながら、東京における雇用率改善に向けて鋭意継続をしていきたいと思っております。
 もう1つは、障害者の就職支援であります。特にここ二、三年は、福祉から雇用へということで、福祉サイドの機関から障害者の一般雇用をきちんと実現させていくという取り組みを全ハローワークにおいて進めております。進め方につきましては、ハローワークが主査になりまして、福祉施設、あるいは支援関係者、支援機関も含めて、それぞれチームを組んで、チームごとに障害者を支援していくというやり方であります。
 チーム支援と掲げておりますが、今年度、チーム支援による就職目標数は、年815件を目標にさせていただいております。上半期の目標が421件でありまして、上半期の目標数を大幅に上回る588件という実績を確保させていただきました。この勢いを切らさずに、下半期についても障害者の就職支援に精力的に取り組んでまいりたいと思っております。
 続きまして、3ページをごらんいただきたいと思っております。3つ目の重点対策として若年者雇用対策であります。若年者雇用対策も2つ柱を掲げておりまして、1つはフリーターの常用雇用化プランを推進していく事業であります。特に、東京を中心とした首都圏という労働市場は、多くの若年労働力が存在していると言われているんですが、どうも若年労働力がなかなかうまくいかないということもございまして、今年2月から、都内の17のすべてのハローワークに、若年者相談窓口という専門の窓口を設置いたしました。そこで一貫して支援をしていこうという取り組みであります。
 図を見ていただくとわかるんですが、若年者の支援につきましては、1つはフリーター常用就職支援事業とトライアル雇用事業、それからジョブカフェと連携した事業を組み合わせながら、多くの若年者を就職まで実現をさせていこうということであります。
 結果として、上半期は、34歳以下の若年者の就職実績は2万4,082件、全体の92%は達成できまして、かなり高水準な達成状況だと思っているんですが、分析してみると、その中の内数ですが、フリーターの常用就職が実は伸び悩んでおります。上半期は、フリーターの方が就職を決めた件数が7,251件で、目標に対して達成率が60%弱。全体としては92%以上の達成はしているんですが、中身を分析すると、フリーターが少し低調だということであります。企業の採用も、フリーターに関してはかなり厳しい条件になっているのかなと思っております。
 もう1つは、トライアルを通じてきちんとした正雇用をやろうということなんですが、トライアルそのものの件数も少し低調なんです。目標に対して55.6%で、これも6割を切っている。トライアルをした若年者については、常用移行がどの程度かというと84.2%、約9割。85%近い方はきちんと常用雇用ができているんです。私どもはこういうものをできるだけ多く推奨して、あるいは助成金、奨励金を使いながらトライアル雇用を進めていかないと、なかなかフリーターの方はうまくいかないんではないかと思っておりますので、トライアル雇用と常用就職支援事業をうまく組み合わせてやっていきたいと思っております。
 それから、応募機会の拡大ということで、現在、多くの企業に若年者の応募機会を広げていただく運動を広げようということで、現在、日本フードサービス協会のほうに業務委託しております。フードサービス協会の状況はそこに示したとおりであります。
 もう1つ、若年者は、新規学卒者に対する支援でありまして、19年度までは学卒者には追い風が吹いておりました。非常に旺盛な求人の中で高い内定率を維持できたんですが、風向きが日本の景気ともども変わってきているなということで、1つは学卒の求人が去年に比べて減っております。
 それから、足元の雇用情勢の中で、局長のほうからも話があったように内定の取り消し、あるいは求人数の変更、募集の停止が実は出ておりますので、21年3月の新規学卒者の状況をさらに内定率を高めると同時に、内定の取り消し、応募の変更、応募の停止などの企業に、きちんと対応していく取り組みがさらに下半期は必要になってくるだろうと思っております。
 次の対策としては、高齢者の雇用対策がございますので、4ページをごらんいただきたいと思っておりますが、これも、本年6月1日現在の高年齢者の確保状況、これは新聞発表をさせていただきましたが、東京都内の51人以上規模企業の状況は、着実に進展している、高齢者確保措置が導入が図られているということでございます。東京の実施率としては、51人以上の規模企業が1万8,405社に対して、実施企業数が1万7,704社、実施率が96.2%でございます。まだ、3.8%は未導入という結果になっておりますけれども、これは今年度中に何とか完全導入を目指して、引き続いて指導していきたいと思っております。
 確保措置の状況は、規模別等にそこに書いてあるんですが、65歳まで希望者全員という企業は実はまだ少ないです。労使協定等の企業が非常に多いということです。300人以上大企業については、本年3月までで就業規則でやれるのが終わりますので、それは労使協定なり、希望者全員という形に切りかえていく指導が残っておりますけれども、東京につきましては、3.8%の未導入企業の完全指導と、3月で切れる就業規則からの変更をしっかりやると同時に、50人以下の企業がまだ未着手でありますので、ここは新たな課題として、今年度下半期、あるいは21年度の大きな課題として、50人以下企業に対する指導を重要な課題として取り組んでいきたいと思っております。
 その関係で、どうしても定年後リタイアせざるを得ないという高年齢者の方がいらっしゃいますので、リタイアをされてなおかつ再就職を希望される高年齢者の方に、しっかり支援をしていくという再就職の援助・促進業務も重要な課題になっております。今年度上半期につきましては、2のほうに書かせていただきましたように、就職件数につきましては、上半期で9,859件、昨年同期に比べて6.6%増ということで、高齢者の雇用については数は少ないですが、しっかり支援していくことによって、着実に実効が上がっております。
 最後に、5番目の重点施策として、地方公共団体との連携による支援というのがあります。これは、本年3月の審議会等で説明させていただいて、地方方針を東京労働局局長名で策定させていただきました。あわせて、東京都知事の意見、要望を踏まえて、地方方針というものを策定させていただいた内容の実施状況であります。4つほど重点対策として地方方針に盛り込ませていただきました。
 第1番目は、障害者に対する就労支援の推進であります。先ほど申し上げたチーム支援による就職件数をさらに強化していくと同時に、私も委員の1人になっているんですが、東京都障害者就労支援協議会というものを設置いたしまして、間もなく、東京都における行動宣言というのが出ると思いますが、そういうものを出して広く都民に啓発していこうという取り組みであります。これも、東京労働局と東京都が連携しながらやっていく事業であります。
 2つ目は、働く希望を持つ若者の就業支援であります。特に、ここは東京都が設置しておりますしごとセンター内にありますジョブカフェ事業と我々国の機関との連携で、私どもの国の施設があそこに入っておりますので、具体的なジョブカフェと国の施設との連携の中で、上半期は254件の若者の就職を決定させていただきました。達成率はちょうど100%強であります。
 それから、地域における若者サポートステーションとの連携。これは、新宿にある高田馬場、足立区の千住、それから立川市の高松町、三鷹市の下連雀の4カ所のサポートステーションがありますので、ここを利用される若者とハローワークとの連携が重要であります。一般的にサポートステーションを利用される方は、サポートステーションのメニューを使いながら、いろんなセミナー、あるいはいろいろとグループ交流を深めて就職意欲を少しずつ積み上げていただいて、ハローワークにつなぐというやり方が主導なんですが、そういうものをさらに強化しながらやっていきたいと思います。現在の連携状況は、セミナー2回、22人参加、新規求職36名のうち就職件数14件とまだ小さい数字なんですが、これをさらに強化していきたいと思っております。
 3つ目は高齢者の問題であります。先ほど言いましたように、東京しごとセンターにも高齢者の対策をする施設が入っておりますので、私ども国の機関もそこに一緒に入居しながら東京都と連携しながらやっております。ここでは、年間の就職件数が553件という連携実績を確保することができました。
 それから、シルバー人材センター事業の拡大でありますが、現在、東京には7万9,475人の会員がありまして、全国的にもこれを広げようという取り組みを東京都と連携しながらやっておりまして、9月末現在では、わずかですけれども、約8万人弱まで会員数が伸びてきたということで、さらにこれをいろいろ啓発を通じながら、実施をしながら会員数を増やしていきたいと考えております。
 もう1つは、女性の意欲・能力を生かした事業であります。これは国がマザーズハローワーク事業ということで、そこに書いてありますように、従前の渋谷にありますマザーズハローワーク東京に加えて、足立、立川、池袋、八王子、木場と5カ所、それぞれコーナーをつくりました。仕事と子育てを両立したいという多くの利用者に対する支援をやっていく話であります。ここは、それぞれの自治体の持っている保育情報と非常に密接不可分な事業でございますので、地公体との連携事業として位置づけさせていただいております。
 現在、上半期では、重点支援対象者950人に対して、就職件数640人ということで、就職率が67.4%、7割弱の方が就職を決定されている。3割の方は保育園が見つからない、ご主人が反対をしているとか、いろんな事情で就職が未決定になっている状況であります。それから、子育て女性の協議会をつくりまして、地公体と我々といろいろな情報交換をしながら、この事業をさらに大きく育てようという協議会も既に開催させていただいております。
 最後に、各ハローワークと監督署が、それぞれ地元の自治体と管内の雇用問題について意見交換、情報交換をしながら施策の共有化、あるいは事業の実施をやっている「雇用問題連絡会議」を開催しております。今年度上半期は31回、38地域で開催いたしました。それぞれの地域事情に見合う事業等について、首長さんも出席をいただきながら、連携しようという試みであります。
 職業安定行政の状況は以上であります。

【浅野需給調整事業部長】  それでは、引き続きまして、私から需給調整事業の分野における重点対策取り組み状況についてご説明したいと思います。資料No.5をめくっていただければと思います。
 まず、許可申請、届け出の適正かつ迅速な処理についてでございますが、10月1日現在、東京労働局管内の労働者派遣事業所数は1万8,836、職業紹介事業所数は5,792となっております。許可・届け出事業所数は引き続き伸び続けているところではございますが、派遣についていえば、新規許可・届け出の件数は昨年の同じ時期に比べまして、約4分の3ぐらいとなっておりまして、グラフの傾斜も幾分緩やかになっているところでございます。
 その一方で、派遣については、経営の統合とか、あるいは合併といった動きがいろいろございます。また事業所の統廃合の動きも非常に活発でございまして、これに伴う相談、審査や受理等といった業務に私どもは追われているところでございます。
 それから、紹介の新規許可件数は、昨年の同じ時期とほぼ変わらない状況でございますが、日雇い派遣原則禁止の動きや2009年問題の対応をにらんでのことかと見ているところでございますけれども、このところ、製造、あるいは軽作業の派遣、請負を行う事業主からの許可申請、あるいは事業所新設の動きが目立っているところでございます。
 続きまして、1ページめくっていただきまして、今度は、指導監督関係のことでございますけれども、私ども需給調整事業部では、労働基準部をはじめとする局内の各部、監督署、ハローワーク、ほかの労働局の需給部門と連携を図りつつ、的確かつ厳正な指導監督を行うということで、これに努めているところでございます。先ほど、総務部長からも説明があったところでございますけれども、上半期の個別指導監督件数は年間目標の4割ぐらいということで、目標数字に対してはおくれをとっているところでございますが、それでも、この表をごらんいただければと思いますが、派遣、請負合わせて701件ということで、前年同期比3割以上増加しておりまして、特に重点を置いて私どもが取り組んでおります訪問指導につきましては、468件と5割近い増加となっているところでございます。また、紹介も前年同期比4割以上の増加となっております。
 それから、指導監督件数が増えているわけでございますけれども、それに比べ、是正指導件数のほうはそれほど増えていない、あるいは、派遣でみればほぼ横ばい、請負についてみれば、大幅な減少となっているところでございますけれども、これについては、偽装請負の問題が大きく取り上げられたということもあって、派遣への切りかえを含めて改善が進んだためであるとみているところでございます。
 それから、このページの一番下の行政処分については、上半期は行っておりませんので、ここにはゼロが並んでおりますけれども、その後、10月3日に日雇派遣の大手の事業主に1カ月の事業停止と改善命令、それから11月12日に軽作業派遣の中堅と言ってもいいと思いますけれども、中堅事業主に2週間から1カ月の事業停止と改善命令をそれぞれ行ったところでございます。
 それから、下半期に入りましてから、10月、11月と労働者派遣請負適正化キャンペーンを実施しておりまして、法制度の周知、指導監督等に取り組んでいるところでございますが、引き続き、的確かつ厳正な指導監督を行っていきたいと思っているところでございます。
 それから、その中でも特に、以前から是正指導を行っているにもかかわらず、同じような違反を繰り返す事業主であるとか、悪質な違反を行う事業主に対しては、行政処分や告発も含めた厳正な措置を講ずることとしているところでございます。
 次に、また1ページめくっていただいて、今度は申告・相談への対応についてでございます。派遣労働者などからの申告、相談につきましては、中身を正確に把握して、問題が認められるような事案については、迅速かつ的確に対応するということに努めているところでございます。相談内容をグラフにしておりますが、上半期では、派遣では解雇、派遣契約の中途解除等が最も多く、次いで、派遣会社の事業運営に係ること、それから偽装請負、多重派遣の問題、それから就業条件明示の不備等といった順番になっております。
 下半期にかけては、この中でも派遣契約の中途解除等を含む解雇がさらに増えるのではないかなと予想しているところでございます。その場合、私ども、監督署やハローワーク等と連携するとともに、派遣元、先、双方に対して新たな就業機会の確保を図るよう、指針に基づいて適正に指導を行ってまいりたいと考えております。
 説明は以上でございますけれども、私どもとしては、今後とも、派遣事業・紹介事業が適正に運営されて、派遣労働者等が安心かつ納得して働くことができるように、法制度の周知徹底、指導監督に努めていきたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

【峯岸雇用均等室長】  それでは、私のほうから雇用均等行政の上半期の重点事項の取組状況についてご説明したいと思います。資料No.6に基づきましてお話しさせていただきます。
 まず、1点目でございますけれども、今年度雇用均等行政の最重点行政ということで、パートタイム労働対策の推進を掲げてございます。ご案内のように、今年の4月から改正パートタイム労働法が施行されたところでございます。改正法が円滑に施行されるようさまざま取り組みをしてきたところですけれども、今年度上半期、1,500件を上回る相談が寄せられているところでございます。昨年度の同期でみますと、大幅な増加でございまして、5倍という状況になってございます。
 内容でみていきますと、事業主からの相談が8割、その他が労働者等々でございます。労働者からの相談の内容でみていきますと、そこに書いてございますように、差別的取扱いの禁止に関するもの、あるいは賃金に関するもの、さらには直接パートタイム労働法の適用にはならない、いわゆるフルタイムパートについての相談が多く寄せられているという状況でございます。一方の事業主からの相談につきましては、労働条件の文書による明示、それから差別的取扱い禁止の問題、さらには通常の労働者への転換措置についての相談が大変多く寄せられたという状況でございます。
 このパート法に基づきます指導ですけれども、77件となってございます。これは私ども職員が個別に企業訪問いたしまして、ヒアリングを行った際に実施した件数でございます。
 次に2ページ目ですけれども、改正パートタイム労働法の円滑な施行のために、局を挙げて施行に取り組むということから、局に施行本部を設置してございます。そこにあります構成員をメンバーといたしまして、上半期に2回開催しているところでございます。
 次のページでございますけれども、いわゆる男女雇用機会均等法に関する施行の状況でございます。まず相談でございますけれども、全体数にミスがございまして、2,669件でございます。対前年同期でみますと、ほぼ横ばいの状況にはなってございますが、労働者からの相談が大変増加しているという状況になっていることが昨年度と違う傾向でございます。特に労働者からの相談につきましては、セクシュアルハラスメントに関する相談が約8割弱という状況になってございます。それに続きまして、妊娠等を理由とする、いわゆる解雇等の不利益取扱いに関する相談が約12%という状況になってございます。
 一方の事業主からの相談につきましては、セクハラに関するものが約4割弱、それから妊娠等を理由とする不利益取扱いに関する相談が15%ほどという状況になってございます。特に、このセクシュアルハラスメントに関する相談は、年々増加傾向にあるという状況でございます。
 次のページでございますけれども、指導の件数として337件、これも個別に企業を訪問いたしましてヒアリングをしたもの、あるいは労働者等からの相談を端緒にヒアリングをして、指導を行った件数でございます。それから紛争解決の援助ということで局長による援助と調停という手法がございますけれども、それぞれ34件と3件という状況になってございます。特に労働局長による援助につきましては、今年度増加してございまして、内容といたしましては、やはり相談と同じような傾向でございますけれども、セクシュアルハラスメントに関する相談が大変多く占めているという状況でございます。調停についても同じ状況となっているところでございます。
 次のページでございますけれども、育児・介護休業法関係等の仕事と家庭の両立支援対策の推進でございます。まず1点目の育児・介護休業法の施行状況でございますけれども、相談といたしましては4,200件を超える状況になってございます。この件数は対前年同期で見ますと、約2.5%ほど減少しているという状況でございますが、相変わらず事業主からの相談が大変多く寄せられているという状況でございます。
 事業主から相談につきましては、具体的に育児・介護休業法に基づきます各種制度の規定の整備をどういう形でしたらいいのかという具体的な措置事項に関する問題についての相談が大変多く、一方の労働者からの相談につきましては、育児休業等の取得に関する相談、あるいは復帰に当たっての不利益取扱いに関する相談というのが大変多くなっている状況でございます。
 次のページは、指導の関係についてだけお話ししたいと思いますけれども、これも同じく企業を個別に訪問いたしまして、ヒアリングした結果指導したもの、あるいは労働者等からの相談を端緒に指導したものということで、754件という状況になってございます。
 最後の次世代法関係でございますけれども、先ほど冒頭に総務部長のほうからも、300人以下の企業についてはもう既にご報告させていただいているところでございますが、全体として今6,300を超える企業から策定届出をいただいているという状況でございます。そのうち、この行動計画に基づきまして具体的な取組をしていただき、一定の成果がみられた企業につきましては、19年度から認定というものを開始しているわけでございますけれども、10月末の状況では、328社が認定を受けていただいているところです。これらの企業につきましては、社員の方の名刺に、そこに書いてございます「くるみんマーク」をつけていただいたり、あるいは求人票につけていただく、さらには企業案内にマークをつけていただいて、ご活用いただいているという状況がございます。
 なお、この認定につきましては、全国の約54%を東京で占めているという状況でございますが、必ずしも行動計画策定の件数からみると、十分この認定が行き渡っている状況にないということもございますので、東京局といたしましては、認定説明会を開催したり、あるいは特別相談会を実施する等々、認定に向けた取組についての促進を図っているところでございます。
 取組状況については以上でございますが、1点、今日机上のほうに「児童福祉法等の一部を改正する法律の主な内容」という資料を配らせていただいております。これは児童福祉法の一部改正と次世代法の一部改正を含んでいるものでございます。
 3ページをお開きいただきたいと思いますけれども、そこの4番のところが特に企業の方々に関わる改正点でございます。改正点といたしましては2点ございまして、1点目といたしましては、今現在、一般事業主行動計画の策定届出義務がかかっていますのが301人以上の企業ということになっておりますけれども、それを101人以上の企業に拡大する。2つ目といたしましては、行動計画策定届出の義務のある事業主については、行動計画の内容を公表、あるいは従業員への周知を義務づけるという改正でございます。
 これはつい先ごろの26日に国会で成立をいたしまして、12月3日に公布されるということでございますが、4番の(1)につきましては23年4月施行、(2)については21年4月から施行という状況でございます。
 私からは以上でございます。

【山岸労働保険徴収部長】  引き続きまして、労働保険適用徴収関係分野についてご説明を申し上げます。時間が押していますので、簡略に説明させていただきます。
 1点目が労働保険の未手続事業一掃対策の推進ということでございます。目的は費用の負担の公平化、それから労働保険の財政の健全化を図るためということで、今年度から3カ年の第2次労働保険未手続事業一掃対策3カ年計画というものを策定して、私どもは3年間で2万174件の保険関係の成立を目標としております。
 今年度につきましては、6,690件を目標としておりまして、9月末現在が2,442件、36.5%ということで、進捗率はかなり低い状況になっております。私どものほうは、年度当初につきましては、非常に年度更新の業務が忙しく、例年スタートダッシュが遅いということでございますので、年度末には目標どおり達成をしていきたいと思っております。資料としてお配りしているものにつきましては、セーフティーネットとして対象になっている事業所数がどうなっているのか、それから労働者数がどうなっているのかということを見ていただければということで掲載させていただいております。
 2点目に労働保険料等の適正徴収でございます。今年度の年更の対象事業場数は約40万事業場がございまして、10月末現在ですけれども、徴収決定額が1兆118億円、それから収納済額が7,043億円でございます。それぞれ対前年度比で、6%強増加をしておりまして、東京局が全国に占める割合は28%ということでございます。
 それから、私どもは昨年度より石綿健康被害救済のための一般拠出金の徴収もあわせて実施をしておりまして、今年度の徴収決定、それから収納額ともに約24億円ということでございます。それから私どもの数値目標として、この分野でやっているのは収納率でございまして、18年度実績の98.81%を目標としております。それで今年度10月末現在の収納率でございますけれども、69.61%ということで、私どもは現在全国の第1位ということでございます。東京局につきましては、対前年で0.22ポイント増加をしておりますけれども、地方は軒並み低下しているということで、必然的に私どもが第1位になったというところでございます。今後は経済情勢が厳しいですので、私ども滞納整理を含めて、しっかりとした業務をやっていきたいと思っております。
 それから、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化ということで、来年度、平成21年度から、年度更新の業務が6月1日から7月10日までということで、期間が変更されることになっております。ここにつきましても周知を行いまして、円滑な業務推進が図られるように準備を進めているところでございます。以上でございます。

【佐藤会長】  それでは、まだかなり説明が続いているわけですが、あともう一つの議題を説明いただいてから質疑ということにしたいと思います。2番目の議題は非正規雇用対策の推進ですので、これもまた事務局からご説明いただければと思います。

【福島職業安定部長】  それでは、職業安定部のほうから議題の2つ目について、説明申し上げたいと思います。資料8にまとめさせていただきましたので、ごらんいただきたいと思います。
 1ページをめくっていただきますと、安心実現のための緊急総合対策(平成20年度補正予算)として資料をまとめさせていただきました。これは各委員ご存じのように、8月29日に取りまとめられました安心実現の緊急総合対策としての補正予算が10月16日に成立した内容であります。今回の成立した補正予算の中から、職業安定関係の施策について6点、表としてまとめさせていただきましたが、今回は時間の関係もございますので、1番目の非正規雇用対策の推進について説明を申し上げたいと思っております。
 資料の2ページをごらんいただきたいと思います。これは総務省の「就業構造基本調査」でありますが、日々雇用等の労働者数の推移をあらわしたものでありまして、グリーンで色づけをさせていただいたところが日雇いとしての派遣労働者の数でありますが、平成14年当時の3万6,500人から、昨年、平成19年では9万1,900人、約2.5倍と大幅に増加をしているということが1つあります。
 それからもう一つは、昨今大手派遣会社の事業廃止の背景となりました、いわゆる違法行為である二重派遣の多くは、この日雇い派遣労働者に対して行われたものであったということであって、こうした問題を生み出した日雇い派遣労働のあり方等が現在社会問題化をしておりまして、改正派遣労働法が提案されておりますけれども、原則日雇い派遣は禁止という方向になっているということであります。
 一方、日雇い派遣労働者で働く方々は、必ずしもみずから望んで、こうした雇用形態を選択しているわけではありませんで、直接雇用による安定した職業につくことを希望しているのにもかかわらず、技能に乏しく、あるいは日々の生活費というものを得るために、やむを得ず日払いによる雇用形態で働かざるを得ない状態にある者も多いと言われてもおります。いわゆる日雇い派遣労働者が不本意なまま、こうした形態での就業を続けるということは、本人のキャリア形成であるとか、あるいは生活の安定にとりましても、深刻な影響があるばかりではございませんで、本人が年齢を重ねていくことによって病気、あるいは事故等で就業が困難になった際にも、生活保護の対象者になってしまうとか、社会的コストの増大にもつながるということもあって、この問題については早急に対処することが不可欠な課題だと言われております。
 このため、私どもハローワークでは、こうした日雇い派遣労働者を中心として、加えて短期の登録型派遣労働者、あるいは自営業をおやめになった方も含めて、安定した職業につくことを希望する方に対して、特別な窓口をつくってハローワークの機能というものを強化しつつ、支援をしていこうというのが1つあります。
 3ページをごらんいただきたいと思っております。これは先ほど申し上げた日雇い派遣労働で働く方々に対する、安定就職を希望する方についてしっかり支援をしていくというものでございまして、基本的には真ん中にあります安定就職ナビゲーターという職員の配置をいたしまして、ハローワーク全体の機能を強化しつつ、個別的に支援をしていこうというものであります。この安定就職ナビゲーターを設置する窓口につきましては、これは仮称ですが、安定就職コーナーという窓口を設置して、そこにこういったナビゲーターというものを配置して支援していこうということです。このナビゲーターによるプログラムの実施につきましては、(1)から(8)までありますけれども、1つはやはり求職活動の心構え等の確立支援から始まりまして、現在の労働市場の理解支援、あるいは応募書類の書き方、面接の受け方の指導、場合によっては、つなぎとしての短期就労のあっせん、それから技能講習等の参加、同行紹介、あるいは就職後の職場定着指導まで、個々の対象者の状況、課題等に応じて、しっかりマンツーマンで支援をしていくというやり方であります。
 それから必要に応じて、ジョブ・カード制度に参加を希望する方に対してもキャリアコンサルティングを実施して、ジョブ・カードの交付、あるいは有期実習型の訓練、委託型訓練への参加というものを具体化していくということであります。それから、場合によりましては、安定就職に向けて、一つのつなぎとしての短期就労の求人開拓ということも必要ではないかと思っておりますので、こういった短期就労のための求人開拓をも実施いたします。それから、非正規労働者から正規労働者となった者が数多く職場で働いている現場を見学する、あるいはそういう方たちと意見を交換することも含めて、いろいろメニューを用意しながら、このコーナーにおける支援というものをやっていこうというのが1点目であります。
 それからもう1点は、非正規労働者に対する、大都市圏における就労支援体制の整備ということで、先ほど私どもの局長から冒頭お話がありましたけれども、拠点として東京、大阪、愛知に3つのセンターをつくるということでございます。
 この資料の4をごらんいただきますと、全非正規労働者というのは非常に多くなっておりまして、3人に1人以上が非正規労働者と言われております。現在、全国で1,890万人いるということになっておりまして、この全国の1,890万がどういう都市、県に集中しているかという図表が下に出ておりまして、1つはブロックとして埼玉、千葉、東京、神奈川、南関東ブロック。それから、中部ブロックとして静岡、愛知。それから関西ブロックとして大阪、兵庫。この8都府県が全体の930万人の数を占めているということです。特に、930万人の集中の中で、さらに南関東はその6割、550万人が集中していると言われておりまして、その非正規労働者をしっかり支援していくために、東京にセンターを設置するというのが2点目であります。
 最後に、資料の5ページをごらんいただきたいと思っております。これは具体的なセンターの事業内容であります。まず、非正規労働者のセンターのネーミングも仮称になっておりまして、この看板だとなかなか利用しにくいかなということもあって、ここは別途愛称というものを3センターで統一するように、現在厚生労働省のほうで鋭意検討中だと聞いております。いずれにしても、このネーミングだけではなかなか難しいんではないかと私どもも考えております。
 いずれにしましても、このセンターを非正規労働者が利用していただくということから始まるわけでございまして、まず利用されていくとプレ相談、初回相談を担当する相談員を置きます。個別にいろいろ相談をしながら、どういうメニューが必要かということを決めて、今度は専門の職員のほうにつなぐという形であります。それが正規就労支援ナビゲーターということで、これは担当制でやっていこうと思っております。こういうナビゲーター等がカウンセリング資格を持ちながら、いろんな自己理解、あるいは応募書類の書き方、先ほどの安定就職コーナーとほぼ重複する内容でございますけれども、こういうものを使いながら、正規の社員の実現に向けて支援をしていくということになろうかと思います。ここはある程度規模を大きくして、東京だけではなくて南関東地域から数多く利用していただくようなものにしていきたいと思っております。
 それから、1番目に申し上げた安定就職コーナーを利用する方も、この非正規センターを利用する方も、かなり同じような対象の方が利用しますので、東京のセンターを取り巻く、各ハローワークのコーナーとの有機的な連携というものも今後必要になってくるのではないかと思っております。いずれにしましても、一次補正ですので、早期に事業を詰めまして、実施ができるように鋭意努力をしていきたいと思っております。
 それからもう一つ、今日、机上配付をさせていただいております、「これだけは知っておきたい働くための基礎知識・ルール」というのは、前回の審議会で佐藤会長のほうから、若年者向けの労働法の簡単にわかるパンフレットみたいのはないのかねという話がありまして、「ポケット労働法」という東京都でつくっているものがありますと言ったら、あれは分厚くて余り見ないということで、少し私どもも検討させていただきました。それで、小さいほうがクイックで使えるようなもの、それからちょっと大き目のほうが、さらにもうちょっと詳しいものということで2種類のものをつくるようなことで今検討して、できるだけ成案にして、印刷をして、ハローワークで配布したいと考えております。現在も、今年度上半期だけで20万人の若年者がハローワークを利用しておりますので、相当枚数をやらないといけないし、あるいは地元の自治体にもこういうものを置かせていただければ、さらに啓発ができるかなと思っております。以上であります。

【佐藤会長】  どうもありがとうございました。何か言っておくと、それが反映される、もちろんほかのは反映されないという意味ではないですよ、物として出てくると、言っておいてよかったかなという気がします。これについては、また後でご意見を伺うことにします。
 それでは、今までご説明していただいたものはすごく情報量が多いので、一応資料7まで、つまり非正規雇用対策の手前のところまでについて、多分ご質問、もう少し説明してほしいとか、わからないとかということと、ご意見、こういうふうに進めたほうがいいという両方あると思いますが、とりあえず分けません。それでいつものようにまずご質問なり、ご意見を先に出していただいて、あるところまで出たところで、それぞれの担当の方にお答えいただくというふうにしたいと思います。そういう意味で、ご質問、ご意見はどの領域、どの資料と言っていただければわかると思うんですけれども、安定行政なのか、基準行政なのかわかるような形でご意見を出していただければと思います。できるだけいろいろな方に簡潔に伺えればありがたいです。どなたか、どうぞ、黒澤委員。

【黒澤委員】  黒澤です。私のほうから何点かご質問なり、要望もさせていただきたいと思います。簡潔にいきます。
 まず労働基準行政でいうと、資料3の4ページ、労働環境の整備の関係で、これはもしわかれば教えていただきたい。1番目の東京における労働時間の現状の中で、(1)と(2)がありますが、平均年間総労働時間の推移という形で出ておりますが、これは例えば所定内と残業部分でいうと、どういうふうな形になっているのか、もしわかれば教えていただきたいということと、もう一つは、私は委員として、トラックの関係の業種をやっているので、特にトラック運送業界でいうと、正直言って、かなり長時間労働なりがあります。そういう中で三六協定、あるいは改善基準告示という形で労働基準監督署に出したりするわけですが、法令遵守とコンプライスという立場でいうと、今年の4月だったと思うんですけれども、国土交通省運輸局と厚生労働省との合同監査をやるという話を聞いておりますが、もしやっている状況なり、事例があれば教えていただきたいと思っております。
 それから次に職業安定部、資料4の3ですか、若年者雇用対策の推進ということで、細かくご説明いただきまして、特にトライアル雇用について、ちょっとお聞きしたいと思っておりますが、例えば登録事業者というのはあるのかないのか、私もわかりませんので、そういう部分と、業種的に、もし会社でいうと、どういうところに特徴的にトライアル雇用がされているかどうか、あれば教えていただきたいと思っております。
 それから、その次の4ページで、これは部長のほうからご説明がありましたように、ここには51人以上の規模企業と出ておりますが、ある意味では東京においても全国においても、50人未満の企業が圧倒的に多いと思っておりますので、これらについて、50人以下の企業についての指導なり、もし具体的に状況がわかれば教えていただきたいと思っております。
 最後になりますが、労働保険分野でご説明がありまして、社会保険と労働保険徴収の一元化という話があったと思うんですけど、これについて、すみません、もう一度簡単に教えていただきたいと思います。以上です。

【佐藤会長】  それは後で。あとご質問の中で、今日すぐ資料がなくて無理なものは、また後でとお答えいただければといいと思います。ほかの方いかがでしょう。
 どうぞ、上原委員。

【上原委員】  3点ほど。1つは、プランを立てて施策を振興してきて、それぞれの部門で報告されて進度が進んでいるのは結構だということで、大変評価できます。ただ、労働行政は幅が広くて、全体像として見たときに、どこまで進んできているのかということがわかりにくい。難しい話だと思いますが、例えばツリーみたいなのをつくって、そのうち根の部分がここだとか、ここはここまで進度が進んだんだとか、だから幹全体が伸びたとか、花が咲いたとか、そういうような全体的なとらえ方というのも必要なんじゃないかなと思います。次の2009年に向けても、また「Profile」というのをつくられるんでしょうけども、そういう総括表があると、もう少し一般の人たちにわかりやすく、親しみやすいと思います。言葉も含めて、一般的には少し難しいんだろうと思います。だから、その辺が工夫されると、働く側も使用者側ももう少し理解が深まるのかなというのが1点です。
 それから具体的なやつで、求職者サービス、求人者サービスというのがありまして。

【佐藤会長】  1ページ目ですね。

【上原委員】  ええ。資料の……。

【佐藤会長】  資料4-1ですね。

【上原委員】  そうですね。これで説明を受けて、コンサルティング求人というのも聞いたんですけれども、もう少しイメージがいまいち、ちょっと伝わらないので、ご説明いただければと思います。
 あとは、それぞれ個別支援ですか、両方とも非常に倍ぐらいに有効性が高いので、こういうことを推し進めていくのがいいのではないかなと思います。
 それから企業の立場で言うと、例えば我々の仲間なんかでも、非常に景気がどーんと落ちたので、いろいろな対応をしなければならなくて、企業として雇用を維持するのには、補助金があるとか、どこかにいろいろな施策がありましたよね。ところが、皆さん、知らないんですよ。ハローワークと言うと求人に行くんだというイメージが非常に強くて、例えば「ハローワークに行って、そういうことを含めて相談されたらいかがですか」と説明すると、「あ、そんなことやっているんですか」というレベルなので、そこら辺のPRというか、難しい話なのかもしれませんけれども、ここで聞いている限りでは、非常に国のセーフティーネットというのは丁寧なんですけれども、そこが十分、個別企業まで浸透していないというのが現状なのかなと思ったので、ご報告したいと思います。
 以上です。

【佐藤会長】  今の3つのうち最初と最後は、総務部長のほうがいいかなと。後でちょっと考えていただくということで。今回、特に最重点目標みたいなものを立てて、数値目標も立ててやるようになったと思うんですけれども、最初の質問は、その辺の進め方にもかかわると思います。あと、いろいろな広報も。ですから、それぞれ安定は安定で答えなくていいという意味ではなくて、総務部長が考えているところを最初に。
 いろいろ出てきたので、あと、お一方ぐらい伺ってから。ちょっと安定、基準のところで重なっていますので、あと、お一方ぐらい、まずご質問を。
 どうぞ、山崎委員。

【山崎(泰)委員】  安定行政の中で、最近、私は障害者の雇用と、それから若年層もそうなんですけれども、ジョブコーチというのがすごく有効な手段だなと思っていたんですけれども、今回、それについて全く出てこなかったので、そのことについて少し説明していただければと思います。

【佐藤会長】  一応、ここでとめさせていただきます。安定がすごく多いので、まず今は徴収ですね。そのとき、基準、安定ということで、少し考えていただくことにします。
 じゃ、徴収部長のほうから最初の社保について。

【山岸労働保険徴収部長】  社会保険と労働保険の徴収の一元化というところでございます。現在の状況だけ先に言ってしまいますと、社保庁の関係がありまして、あまり進んでいないというのが現状です。ただ、社会保険と労働保険で、徴収事務だけなんですけれども、ここをとりあえず統合させていこうというところで、今、事務が進んでおります。ただ、事務の統合といっても、対象になる賃金が違ったりとか、そういうところがございまして、同じ資料でもって、この料率と料率を掛ければいいというところではないんです。ただ、届け出の期間が、今まで私ども労働保険の場合については4月1日から5月20日までの期間でしたけれども、社会保険の基礎届のほうと期限を合わせるということで、6月1日から7月10日までの間にやっていただくという届け出の期間を統合したところでございます。
 それから、来年の4月から現物給与の評価がそれぞれありまして、それがどのぐらいで評価するのか、同じ金額にして、保険料を掛けるときに事業主さんのほうでより楽になるようにというようなことをやっております。
 あとは、社会保険事務所のほうとは、いろいろ事業者情報をお互いに交換したり、滞納整理を一緒にやったりというようなことを進めております。最終的には統合というところまで行ってという、目標としてはあったんですけれども、ただ、社保庁の関係がありまして、まだ法律的にどうなっていくのかが全然見えていないところでございます。非常に説明も難しくてですね。

【佐藤会長】  よろしいですか。事業主の方からすると、手続は片方に行けばよくなるんですか。両方に行くというのは今後も続くんですか。

【山岸労働保険徴収部長】  はい。徴収関係につきましては、徴収事務センターのほうに行っていただければ1回で済みます。

【佐藤会長】  最初の手続は。

【山岸労働保険徴収部長】  労働保険の成立届につきましては、徴収事務センターのほうに行っていただければ、そこで書類を両方ともお預かりいたします。お預かりさせていただいて、それぞれのところで正式に受理して処理をするという形になります。

【佐藤会長】  そういう意味では楽になるのかな。

【山岸労働保険徴収部長】  はい。あと、雇用保険の取得届だとか喪失届につきましても、徴収事務センターのほうにお届けいただければ、そこからハローワークのほうに届けられるという形になります。

【佐藤会長】  はい。それは非常にいいかなという気がしているんです。いいですか。
 あと、基準部長のところで、まず資料3の4ページのところとトラック業界について、おわかりの範囲内で。

【山本労働基準部長】  まず労働時間のところでございますけれども、資料No.3の4ページの(1)でございます。労働時間の現状がございまして、2つほど表がございます。(1)のほうがパートタイム労働者を含んだデータということで、総労働時間が東京の場合には1,860時間とございます。これに対応する形での時間外労働時間数は168時間ということになります。また、(2)のほうはパートタイム労働者を除いた一般労働者に係るデータでございまして、これについては1,980時間という数値がございますが、これに対応する時間外労働時間数は188時間になっております。それが労働時間の現状に関するデータです。
 それから、もう1点、国土交通省、ここで言えば運輸局でしょうか、それとの合同監査・監督の話でございますけれども、実は先行しているのはタクシーのほうが先行しておりまして、今年度から新たにトラックとかバスといったものが追加されて、トータルとして3つの分野について合同監査・監督をやろうということになりました。20年度の実績といたしましては、3件がタクシー、それから、今年まだ始まったばかりでございますので、どういうやり方をしようかというものも含めてちょっと手さぐりの状態でございますので、バスとトラックについては1件ずつとりあえずやってみたと、こんな状況になっております。

【黒澤委員】  トラックはまだですか。

【山本労働基準部長】  トラックとバスは1件ずつでございます。

【佐藤会長】  あと上原委員で、総務部長が可能な範囲で、1つは、ハローワークはいろいろやっているけれども、まだ職業紹介とか求人というふうにしか思われていないんじゃないかということです。もう一つは、全体のプランを立ててアクションしてということで言うと、全体としてどう変わったかみたいなものがもう少し見えるようにと。ただ、僕は、かなり工夫されてはきているかなと思うのですが、その辺を可能な範囲で。

【木塚総務部長】  私どもも、いろいろな形でいろいろな施策をやっていて、それがしっかりと利用者にリーチするというのでしょうか、届くようにどう工夫していくかというのは、日夜、頭を悩ませております。特に本省は、こういう経済状況ですといろいろな対策をつくって、その周知で、昨今は、広告代理店にどういうリーチを伸ばすかとか企画競争とかをしながらやっているんですけれども、新聞とかいろいろなマスコミとかも使っているんですけれども、細かい字がいっぱい書いてあったりするものですから、なかなかそこら辺が十分ではないので、そこら辺はもう少し、私どもも、そういう全国的な周知とともに東京ではどうできるかということも、ここにいらっしゃる関係機関の皆様のお力をおかりすることもあろうかと思いますけれども、いずれにしても今日いただいたご意見をしっかり踏まえて検討して、少しでもリーチが届くように努力したいと思っております。
 もう1点、多分、私どもの施策の達成度がもう少し有機的にビジュアルにというお話だと思うんですけれども、私ども、どうしても今までは文字ばかりの形でやっているような状況で、少しずつ工夫はしているんですけれども、まだまだ不十分だと思います。今日、私どももご説明として、パワーポイント等を使ってわかりやすいようにと思っていたんですけれども、ご指摘をいただくと、円とか達成度とか、何か工夫がもう少しあったのかなと思っております。そういう意味で、また来年度の計画もそういうビジュアル化を可能にするためにはどうするかとか、あるいは、実際こうやって達成状況をご報告するときには、ある種、一目見ていろいろな観点でわかるような工夫ができないかとか、そういう点も今後しっかりと努めてまいりたいと思っております。

【佐藤会長】  安定部長、たくさんあるんですけれども、先ほど求人コンサルティングのところがありました。ちょっと僕からも、そこにかかわってなんですけれども、コンサルティングを受ける事業所というのはだれが決めるのか。つまり、職安の職員の方が「ここはやろう」と言うのか、あるいは事業主が申し込めるのかということなんです。つまりどういうことかというと、ちょっと説明があったんですけれども、受理して、ほっぽっておいても採用できるところはやる必要がないんだよね。もうちょっと情報をやればとれるんじゃないかというところが多分、いくらやってもだめなところは、これは職安だから、それはできないんだけれども、とても無理だなというか、ちょっと頑張ればとれるんじゃないかというところが結構大事なターゲットだと思うんですけれども、どういうふうに選ぶのかをご説明のときに教えていただければありがたいと思います。
 じゃ、最初のほうから順番どおりで結構です。

【福島職業安定部長】  はい。順番で、最初に黒澤委員から、若年者のトライアル雇用について登録をしている事業所というか企業はということですが、これは必ず登録をしていただくことになります。トライアル雇用をする事業所としては、事前に登録をしていただくことになります。一般の求人とトライアル求人とを併用してもいいということになっていますが、若年のトライアルがなかなか出てこないというのは、実は昨年の10月に雇用対策法を改正いたしまして、原則、安定所に求人を申し込むときは年齢制限をしてはいけませんよという法律ができて、そこが大きな縛りになっていることは事実なんです。ですから、若年のトライアルをやりたいんだけれども求人年齢は不問で出すという非常に矛盾したやり方になっているので、ここがやっぱり若年者が少し敬遠しているかなというのがあるんです。私どもは、「何とか省令の3号のイという特別規定を使ってでも若年のトライアル求人を出してください」ということをちょっと進めていかないと、これは上原委員にも通ずるんですけれども、ちょっとその辺のPRも下手なのかなとは思っています。必ずこれは登録をしていただくことになります。
 もう一つは、どんな産業というか特徴があるのかというのは、ちょっと私、手元に資料がないものですから、現行、トライアルを開始した企業の特徴というのはちょっとつかめていないので、申しわけありません。
 それから、50人未満の継続雇用と雇用確保措置はどういう方法で指導しているのか、あるいは指導しようとしているのかというのは、おっしゃるとおりで51人以上は報告をもらっていますので、それ以下はということですが、東京は、ある程度、先見性を出しながら、実は30人以上は全部、雇用状況報告書をもらっています。ですから、30人から50人まではつかんでいます。ところが29人以下は出していただいておりませんので、現在、雇用保険の適用事業所で規模29人以下については本省と労働市場センター業務室に出してもらって、そこを把握いたしまして、基本的にはセミナーなどを開催しながら集団指導から始めていく必要があるかなと思っております。できるだけ早目に、四四半期ですから、年が明けたら50人以下をしっかり集団指導に着手するという方針で臨んでいきたいと思っております。
 それから、上原委員から、コンサルティングの内容と同時に、会長からも、だれが決めているのかというお話ですけれども、これは実は求人企業から申し出があるケースと、受理をした職員側が、今おっしゃったように、「もうちょっとここを工夫してもらえば」、あるいは「仕事の内容をもうちょっと具体的にしてもらえば」、あるいは「初めてハローワークを使う企業なので何とか充足をさせたい」と、いろいろな要素の中で、求人者が希望するケースとハローワークの職員側がそれを選定するケースとがあります。
 2つあるということをご理解いただいて、コンサルティングの内容は一体どうしているのかということになるのですが、早期に充足を図るいろいろなやり方があります。情報提供でオープンにして広く見ていただくのが一般的なやり方なのですが、ある意味では、求人は公開せずに非公開にして、それに見合う求職者をハローワークが選抜していくというやり方があります。それから、今、3カ月、求人は有効なのですが、応募期日設定方式と言っているんですけれども、応募の期日を決めて、求人受理所のほうに応募書類を集約する。ですから、ある意味では選抜選考の変形なのですが、そういうものをする。あるいは、その求人者の事務所に行って面接をするのではなくてハローワークの会議室を使って面接する方法だとか、こういう選考に関するいろいろなやり方を工夫したやり方があります。
 もう一つは、求人の申込書以外の情報を表に出す。例えば社長のメッセージであるとか先輩社員のメッセージであるとか、会社全景であるとか作業の風景であるとか、ややビジュアル的に写真だとかを使って提示をしていくという方法も含めてコンサルティングを、もう一つは、求人条件がほんとうに相場観を下回っているのか上回っているのかも含めて、今の労働市場の中で、この求人条件だとどうなのか悪いのかということも含めて、きちっとコンサルをしながら、一日も早く充足をさせるサービスというやり方をしております。実は、年間100万人近い求人を扱うものですから、全部の求人にはなかなかそんなにできないということで、一応、冒頭申し上げたやり方で選定をしていくということです。
 それから、山崎委員のほうからあったジョブコーチの活用は、ほんとうに省略して申しわけありませんでした。ハローワークの紹介就職が伸びているのは、実はジョブコーチの役割が非常に大きいんです。ここまで伸びてきているというのは、支援者つきのメニューが多くなってきているんです。ですから、就労前のジョブコーチ、就労中のジョブコーチも含めて、ジョブコーチ制度をうまく活用しながらやっています。
 私どものチーム支援で558件の中で、ジョブコーチを使って成功したのが70件あります。これは非常にいい制度なので広く普及していきたいと思うのですが、絶対数がなかなかないものですから、今、障害者センターともいろいろ協議しながら、それから民間でのジョブコーチも育成してもらうような、全体で支援者を多くして、ジョブコーチ制度をうまく使いながら、安定所の支援者つきのメニューを活用して就職を実現していきたいと思っております。

【佐藤会長】  先ほどの若年トライアルは、「若年」という年齢のその辺というのは、やはり少し工夫してもらってもいいんじゃないかということを思います。
 あと、先ほど、ハローワークは求人を受理しなければいけないけれども、公開しなくてもいいわけですね。そういう選択は以前からできているわけですか。

【福島職業安定部長】  あります。ただし、これは求人者の同意がないと、勝手にハローワークが非公開にはできません。

【佐藤会長】  もちろん、もちろん。求人者が「公開しないで」ということであれば、条件が合った人を紹介してくださいというやり方ができるということですか。

【福島職業安定部長】  はい、そうです。

【佐藤会長】  そうですか。意外と知られているのかな。それは必ず確認するんですか。求人を出す側が知っていないとそういう選択ができないのか。そのことは大体知っているのかしら。

【福島職業安定部長】  ハローワークを多く使っている方は、多分、確認しなくても公開、非公開というのはご存じだと思っているのですが、初めて使う方とか、しばらくぶりで使う方については、そういう方法があることは知らないと思いますので、「公開しますか、どうしますか」ということは必ず確認するようにしています。

【佐藤会長】  それでは、時間も限られてきているんですけれども、今の部分も含めて結構ですが、資料8の非正規雇用も含めて、全体として、今のようにご質問、ご意見を伺えればと思います。
 じゃあ、秋山委員から。

【秋山委員】  1点目は労働基準の部分で、労働者の安全と健康というところで、衛生管理者ですとか産業医の選任率が上がりましたよというお話があったのですが、実際、選任されていても、産業医は別として、衛生管理者ですとか、事業所の中でなかなか実際に機能していないという現状があるのではないかなと思うのですが、そこのところをぜひフォローとか情報提供ですとかをしていっていただきたいなというのが1点です。
 もう1点は、雇用均等の部分で、セクシュアルハラスメントのご相談が大変増えているというお話があったのですが、そういったところを解決していただくというのはもちろんなのですが、それが事前に起きないようにというのが非常に大事だと思うんです。そこのところで、今でも結構ですし、これからの部分で何かこういう対策をとるというのがありましたら、教えていただきたいと思います。

【佐藤会長】  それじゃ、続きまして、尾野委員、お願いします。

【尾野委員】  最初に安全の関係で、労災が増えているということなんですけれども、この資料では産業別に出ているのですが、これだけ非正規だとか派遣だとか言われているので、そういう分類はできないのかどうか。多分、派遣のところで相当増えているので、全体的に右肩下がりだったのがストップしてきているんじゃないかというふうにも、これは予測ですからわかりませんけれども、なかなか派遣労働者には安全教育がされていないということも指摘されていますから、そういう資料もあったらいいんじゃないかなと思います。
 2点目はパート法の関係で、通常の労働者への転換という部分で、次年度以降になると思うんですけれども、通常労働者への転換は仕組みをつくればいいということに今なっているわけですけれども、実際は実績として上がってこないと意味がないと思うので、今は法律を定着させる段階ですから、次年度以降、実際そういう形で転換がされているのかどうなのかという調査というか、そういう計画をぜひつくっていただきたいと思います。
 最後に非正規センターの名称の関係ですけれども、私ども連合も、「非正規」という呼び方は非常に難しいということで、かつてはパート、派遣、何だかんだと全部名前をつけて、「非正規」と言うと英語にすると大変なことになってしまうからと思ったんですけれども、なかなかいいネーミングが見つからずに、連合としても立ち上げたのは「非正規センター」ということで立ち上げたと。それにいい名前があればいいんですけれども、名前をつけたら、だれのためのセンターなのかわからなくなっちゃうということになると利用もされないという部分がありますので、ぜひそこら辺は十分工夫をしていただいて、お願いをしたいなと思います。
 以上です。

【佐藤会長】  ほかに。三宅委員、どうぞ。

【三宅委員】  三宅です。2点ほど。
 1つは派遣の関係なんですけれども、建設産業は派遣はいけないということになっているんです。それで、私ども組合のほうに、全建総連の関係で組合員からずっとそういう情報が入ってくるんです。例えばチラシだとか、そういう形で入ってくるんです。「こういうふうに1日幾らで派遣をしますよ。応じてもらえませんか」というのが流れてくるんです。ところが現実問題としては、労働局にそのことを話しても、申告といいますか、そういうのがなければ動けませんという話なんです。
 ところが、そういう人たちというのは、そこをやめて、そこの社長とけんかをしてというふうになるかというとなかなかならなくて、この間、たまたまいたので、「じゃあ、それでやろうよ」という話になったんですけれども、会社からおどされて、もう田舎に帰っちゃったというふうなことも現実的に起きているんです。だから、そういうふうな情報の中で一緒になくしていくために動く体制を何とか考えてもらえないかなというのが1つです。
 もう一つは、私たち建設労働組合なので、これはなかなか大変な課題になっているんですけれども、建売住宅業者が東京労働局に対して裁判を起こして、労災保険料を納めませんという裁判をやりましたよね。徴収の関係ですけれども、4月にその判決が出たという話を先々月あたりに知ってびっくりしたんですけれども、この判決によると、「その建売住宅業者というのは建設業の元請けではないので保険料を納める必要がない」ということになってしまったということなんです。私たちは、それはおかしいと思っているんです。労働局の立場のほうがはるかに正しかったと思っているんですけれども、ところが判決が出てしまったということで、何か本省のほうから改めて通達が出るというお話をちょっと聞いているんです。しかし、我々、全建総連本部とも相談をしているんですけれども、中途半端な通達が出されると、これから先、すべての建売業者が労災保険料を納めなくてもいいということになってしまったら、大変な問題になると思っているんです。
 そういうことで、私たちの組合員は実際にそういうところで働いていますので、その問題では、実態に応じて慎重な対応をするように。現実的には、そういった建売業者は、企画から設計、そして施工、販売、アフターサービス、そこまで全部一環としてやっているわけです。会社の中にいろいろな部門があって、生産管理部門の下に施工管理部門を持っているんです。そういう中で仕事をしているわけですから、全くの建設業なんですよ。僕は、労働局の立場は、ほんとうに正しいと思うんですけれども、1つの裁判の結果が出たということで通達を出していくようなのは、ぜひちょっと検討してほしい。それと、そのことについて本省に、当事者の労働局さんで、ぜひ意見を上げてほしいと思うんですよ。これは、ほんとうに僕らにとっては、我々そういうところで働いている人間にとっては大きな問題で、そのまま行ってしまえば、固有名詞を出して恐縮ですけれども、不動産の販売をやっている、例えば○○なんかは、マンションを自分のところでつくって売っているわけです。それは保険料を納めなくていいみたいな話になりかねないわけで、そのあたりは、ぜひよろしくお願いしたいということです。
 以上です。

【佐藤会長】  よろしいですか、お答えいただくような形で。
 それでは、均等室長が最初で、基準関係で、あと需給調整で、徴収のところは伺っておくか、何かあればという形にしましょう。
 じゃあ、均等室長から。

【峯岸雇用均等室長】  それでは、秋山委員からセクハラの防止対策の関係についてのご質問をいただきました。まさしく、私ども全く同じ思いをしておりまして、具体的に防止対策については均等法の指針に基づいてそれぞれの企業に対して措置を講じていただくことを求めているわけですけれども、具体的にどのような形で周知徹底をしているかということになりますと、まず1つは、個別に企業を訪問いたしまして、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、実態を把握させていただいて、具体的な措置が講じられていなければ行政指導をするという方法です。それから、東京労働局の各部で主催する会議、あるいは監督署、安定所で主催する会議、あるいは関係機関等々で主催する会議も活用させていただきながら、集団指導という形で均等法について周知徹底を図るということを行っているところでございます。均等法指針に基づいて具体的な措置を講じていただいているとしても、それが広く従業員、特に派遣等々を含むすべての社員の方に周知徹底されていなければ、これまた実効ある措置にはならないので、具体的な周知も含めて対応をお願いしているという状況でございます。
 それから、尾野委員のパート法の関係でございますけれども、パート法上は措置を講じていただくということになっておりますけれども、ただ措置を講じただけでは実効のない絵に描いた餅になってしまうというのも全くご指摘のとおりでございます。
 今現在、この措置についてどのように把握をしているかということですけれども、やはりこれも個別に事業所を訪問させていただきまして、通常の労働者への転換があったかどうか実績を確認させていただいております。今年の4月以降、まだ措置を講じていない企業もまだまだございますので、そこについては、措置をまず講じていただき、それを広く周知していただくということと、当然、そういった希望があった場合については対応していただくということもあわせて、周知徹底をしているという状況でございます。
 以上です。

【佐藤会長】  あと基準部長、先ほどの派遣、労災のところはわかるかどうかと。

【山本労働基準部長】  それでは、私のほうから2点ほど。
 第1点は、衛生管理者の問題がございましたけれども、先ほど選任率と申し上げましたけれども、選任率の向上を図るための取り組みというのは、要選任事業所のリストがありまして、未選任事業所のリストがだーっと出てきます。それに対して、まず選任していただくためには、「あなたのところでは選任されていませんので、お願いします」という要請文書を出す。あるいは、選任されていないところについて個別に来ていただいて、「お願いします」という形での指導をさせていただくという取り組みを中心に選任率の向上対策に取り組んでおります。
 その関係で、秋山委員が言われましたように、実際、選任された衛生管理者や産業医の方々がどういった活動をしているのかというのはよく見えてまいりません。それ以外の活動といたしまして、例えば安全衛生部署の人間が問題がある事業所について個々に回っていくという活動も別にやっております。その場面では、具体的に言って、「安全衛生委員会、衛生委員会はどういうふうに開いておられますか。そのときには衛生管理者の方はどういうふうに参画しておられますか」、それ以外に安全衛生管理規程がございまして、「その中で衛生管理者はどういうふうに位置づけられていますか」、そういったものをつぶさに見まして、問題があれば具体的に指導させていただくということで、私も監督署をずっと回りまして、具体的にどういうふうに指導しているのかということでいろいろ聞いておりますけれども、かなり細かな詳細な指導票も書いたりしておりますので、そういったものを地道に今後も続けていかなければならないなと思っております。それが1点目でございます。
 それから、もう1点、尾野委員からお話がございました派遣労働者の災害が増えているのではないかということでございます。20年度のデータはまだ出ておりませんが、実は19年のデータでいくと、18年が401件でございましたけれども、19年が605件ということで5割増ということでございます。これについても、派遣元から出されているもの、派遣先から出されているもの、両方出していただく必要があるわけですけれども、しっかり出しましょうということで、片方が例えば派遣元から出された場合には、派遣先についても出していただくようにということで指導して、今、しっかりやっているところでございます。実は20年度についても、件数は、先ほど言いましたようにまだ集計はしておりませんが、担当の者に聞きますと、昨年に比べればはるかに増えているという状況にあるというのは事実でございます。派遣先の事業所における、実際作業するのは先にするわけでございますから、そういった部分の安全衛生教育も含めて、これからターゲットに入れて指導していかなければならないと思っております。

【佐藤会長】  じゃ、需給調整部長、お願いします。

【浅野需給調整事業部長】  三宅委員から、建設派遣が行われているという情報が寄せられても申告でないと動かないのではないかということでございますけれども、私どもでは、申告であっても、それから苦情相談であっても、あるいは情報提供というレベルのものであっても、具体的にこういうところでこんな違反が行われているという違反の蓋然性が高いものについては、基本的にすべて調査を行うこととしております。ただ、例えばチラシをお持ちいただいても、「1日いくらです」とかと書いてあるだけとか、現場がどこにあるのかがわからないような場合など、情報が具体的でない場合など調査のしようがないような場合もございます。また、一般的に「ここの会社、悪いんです」と言われても、それだけではなかなか調査に入れないというようなこともございますのでご理解下さい。
 なお、私どもが調査をした結果ですが、申告の場合については、「調査した結果、こういうことで指導をしました」という結論部分についてはお答えできるのですが、それ以外の場合については、個別の事業所の指導監督に係ることであるので、お答えしないことにしてあります。そういうことはございますけれども、どのレベルのものであっても、違反の蓋然性が高ければ私どもは調査をするということでございますので、どうかよろしくお願いいたします。

【佐藤会長】  徴収部長、何かあれば。

【山岸労働保険徴収部長】  個別課題ですので、どこまでお話しできるかちょっとわからないんですけれども、今お話しいただいたのは建設業者の元請けと言われているところなんですけれども、ここは単なる注文事業主か、それとも工程管理まですべてやっている事業主かどうかということについての判断の問題だろうと思っております。それで、もしその元請けさんが単なる注文事業主だということであれば、その下の実際施工をやる会社のほうから、労災保険料、労働保険料を納めていただくということで、どこから納めていただくかというところの問題なんですけれども、全然納めないということではないと思っております。
 それで、これについての通達については、現時点では発出されておりません。私どもとしても、業務上、困りますので、早急に出すように本省のほうには要望をしているところでございます。はっきり指示が出てまいりましたら、その時点でまたご説明をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【佐藤会長】  よろしいですか。

【三宅委員】  ちょっと僕も意見があるんですけれども、まあ、いいです。

【佐藤会長】  はい。
 それでは、まだ今みたいにご意見があるかと思いますが、時間もちょっと過ぎてしまいましたので。
 それで、先ほどの非正規のところは、ネーミングを考えてほしいということで、ご検討いただければと思います。ただ、なかなか難しいので、英語でも「Non-standard」とか「untypical」、非典型と使うんです。英語でも「Non-standard」と言うんです。あとは、非典型で「untypical」とも使うので、ですから、別に日本だけではないので、「Non」とか「そうじゃない」というのを使うのは国際的な使い方なので。ただ、その言葉がいいかどうかというのは、もちろんあると思いますので、なかなか難しい。「有期契約労働者」というのは客観的ですね。派遣を合わせると大体ほとんど入っちゃうんじゃないかと思いますが、ご検討いただければと思います。
 それでは、今日いろいろいただいたご意見を踏まえて後半の事業を執行していただければと思います。
 それでは、ちょっと時間を過ぎましたけれども、最後に、事務局を代表して東局長のほうからごあいさつをいただけるということですので、よろしくお願いいたします。

【東労働局長】  本日は、ご熱心にご意見をいただきまして、ありがとうございました。先ほど上原委員から言われました、いろいろな指標をどうやってわかりやすくやっていくか。理想形でいけば、会社の業績が上がって、経常が黒字になって、内部留保あるいは設備投資に回せる、あるいは労働分配率が上がる、そういった中で労働条件が給与もベアでも定昇込み率が上がっていく、労働時間も横ばい、あるいは育児・介護休暇がとれるという何か理想形があればいいんでしょうけれども、景気の中でいろいろな労働条件も変化していくわけでございます。少しでも数字を対前年比上げていく、そういったことを掲げていきながらやっていくことが必要なんじゃないかと思いながら、今後、その点につきまして注意をしながらやらせていただきたいと思います。
 それから、監督署、安定所とございますけれども、施策につきまして、PRすべきところはきちんとPRしていくことが必要だろうと思っております。それと、非常に政策メニューがいっぱいあり過ぎて、それを追いかけるあまり、じゃあ、我々は何をしなければいけないのだとまた根本に返って、そこのところを忘れないでやる。基本は大事だろうと。基本といったら何かといえば、労働条件の確保であり、あるいは安定した就職であり、そういったことだろうというふうに、もう一遍、原点に返ってやっていくことが必要だろうと思っております。
 今後、多分、景気が非常に厳しくなって、第1次オイルショックあるいはバブル崩壊よりきついんじゃないかというふうに私自身は思っております。第一線の職員も含めまして、そこら辺のところを十分感じ取りながら日常の業務に携わらせていただきたいと思っております。
 本日いただきましたご意見等、できるものは直ちにやっていきたい、また研究すべきものは研究していきたいと思っている次第でございます。今後とも、何分にもいろいろなご協力のほど、よろしくお願いいたしたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

【佐藤会長】  どうもありがとうございました。
 議論できなかったんですけれども、これは、多分、薄いほうをたくさんつくったほうがいいと思うんだけれども、ご存じかと思いますけれども、今、厚生労働省で労働者教育のあり方についての研究会が立ち上がって、若い人たちにどういう情報をどういう形で提供したらいいかというのが検討されていますので、そういうものも少し見ていただければと思います。
 それでは、ちょっと私の進行ミスで8分ぐらい残業ということになってしまいましたけれども、時間内に会議は終わらせるということからすると、やや外れてしまいましたけれども、これをもちまして、第4期第3回東京地方労働審議会を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

── 了 ──



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