第3期第2回 東京地方労働審議会議事録

日時  平成18年3月8日(水) 午後2時00分から午後4時00分

2 場所  東京労働局 飯田橋ビル会議室

3 出席者
(1) 委員
公益代表 清家会長、小井土委員、金子委員、武石委員
山崎委員
労働者代表 秋山委員、尾野委員、北瀬委員、久笠委員、三宅委員
使用者代表 石井委員、上原委員、大久保委員、野中委員
山崎委員
(2)    事務局
奥田東京労働局長、井上総務部長、吉野労働保険徴収部長
永山労働基準部長、水谷職業安定部長、三上需給調整事業部長
菅原雇用均等室長ほか

4 議題
(1) 平成17年度 東京労働局重点事項の取組状況について
(2) 平成18年度 東京労働局行政運営方針について

5 議事

樋口企画室長
  ただいまから「第3期第2回の東京地方労働審議会」を開催させていただきます。本日委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところご出席いただきまして、ありがとうございます。遅れましたが、本日の司会を務めさせていただきます、総務部企画室長の樋口です。よろしくお願いします。
  はじめに、審議会に先立ちまして、本日の欠席委員等のご報告をさせていただきます。公益代表委員の田付委員、労働者代表委員の白川委員、使用者代表の吉川委員におかれましては、欠席の旨の連絡をいただいています。石井委員は遅れてお見えになります。公益代表委員の武石委員は、3時半ごろに退席しますので、併せてご連絡します。
  次に、お手元にお配りしている資料の確認をさせていただきます。資料については、資料配布一覧のとおりとなっていますので、ご確認をお願いしたいと思います。配布漏れはありませんでしょうか。
  なお、資料No.8については、ただいまはまだ未定稿ですので、審議会終了後に事務局において回収をさせていただきますので、よろしくお願いします。出来上がり次第配布させていただくこととしていますので、ご了解のほどをよろしくお願いしたいと思います。
  次に、本日の現時点における出席委員は13名です。したがいまして、地方労働審議会令第8条第1項の規定により、本会が有効に成立していることをご報告申し上げます。また、本審議会は東京地方労働審議会運営規定第5条第1項の規定に基づき、原則として公開の会議とさせていただき、その議事録についても発言者氏名を含めて公開させていただくこととしておりますので、ご了解のほどをよろしくお願いいたします。それでは、清家会長よろしくお願いいたします。
清家会長
  ただいまから「第3期第2回の東京地方労働審議会」を開催いたします。冒頭からお願いで恐縮ですが、本日の議事録、署名委員については、労働側の尾野委員と使用者側の上原委員にお願いしたいと思いますのでよろしくお願いします。最初に議事に入る前に、奥田労働局長からご挨拶をいたします。
奥田労働局長
  皆様、年度末の大変お忙しいときにお集まりをいただきましてありがとうございました。
  前回は平成17年度途中までの業務運営の状況について説明し、審議いただいたわけですが、本日はそれ以降の取組みについてご説明し、メインテーマとして、資料No.8の来年度の業務運営方針について、現段階の案について皆様方からご意見をいただいて最終案にしていきたいということが主な内容です。
  来年度の業務運営方針は、東京労働局が発足をして7年目ということになります。来年度の運営方針については、東京の労働市場における状況をかなり詳しくというか、私どもの業務統計についても、できる限り運営方針の中に数字として表すように努力をしました。
  また、それを受けていろいろな問題が、全国の中では東京において先がけて起こってくることがありますので、そういう問題に積極的に取り組んでいこうという考え方から、この運営方針を作成しました。各課題についてはそれぞれ各部の重点事項ということで書いてありますが、総合的な考え方については運営方針の前の方でいくつか列挙していますが、いちばんの基本は、東京労働局として職業安定、労働基準、雇用均等のそれぞれの行政が、総合的な力を発揮していくといったところに最大の力を注いでいきたい。
  また、行政を展開するに当たり、各地域の区や市、町などとこれまで以上により深く連携をして、行政の展開をしていきたいと考えています。さらに、これまでも申し上げてきましたが、私どもが行いましたことを広く都民、国民の方に知っていただくということで、広報にはさらに力を入れたいということで、来年度もこれまで以上の工夫をしながら展開をしていきたいと思っています。
  以上、開会に当たりまして、業務運営方針の基本的な考え方を皆様に申し上げました。どうぞよろしくお願いします。
清家会長
  どうもありがとうございました。早速ですが、議事に入ります。本日の議題の第1は「平成17年度東京労働局重点事項の取組状況について」です。前回は上半期のことについてだいぶ伺いましたが、今回は主に下半期の取組状況等についてを中心にご説明することを伺っています。資料No.1~6までを、事務局から簡潔にご説明いただきたいと思います。
永山労働基準部長
  では私からは、労働基準行政の重点事項の取組状況について、3点ご説明します。
  資料No.1の監督指導等の実施状況ですが、臨検監督を18の労働基準監督署で実施していますが、今年度の2月末までの総件数として、13,073件の臨検監督を実施しています。昨年同期よりは若干増えている状況です。その内訳として定期監督、申告監督、再監督とありますが、定期監督、再監督は増えていますが、申告監督は若干減という状況になっています。
  私どもは司法警察権を持って司法処分を行っていますが、今年度2月末までで総件数74件の事件を送致しているところです。内訳としては安全衛生法関係が49件、労働基準法関係が25件です。これについても昨年同期で63件でしたので、今年度は増加している状況です。
  未払賃金立替払制度の運営状況ですが、認定申請の件数が324件で、対前年で11件増加しています。それに基づく個々の労働者ごとの確認申請の件数ですが、2,016件で、前年度よりも229件の増加です。
  監督署の窓口等で申告・相談を受けていますが、申告受理件数が5,324件で、前年よりも244件の減少になっています。相談件数が273,014件ということで、前年より12,271件の増加となっています。申告監督と申告受理件数が若干減という状況です。
  2点目の一般労働条件の確保・改善対策ですが、賃金不払残業に関する無料相談ダイヤルを、昨年11月23日の勤労感謝の日に実施しました。これは、隣接する埼玉、千葉、神奈川の各労働局と連携して、場所は東京労働局におきまして、フリーダイヤルによる賃金不払残業に関する相談受付をしたもので、159件の相談を受理しています。この日は全国一斉に実施していまして、1,247件の相談があったと聞いています。相談者は労働者の方とその家族の方が、159件中150件で、その多くが労働者の方からの相談です。
  裁量労働制の適正な実施の確保ですが、18の労働基準監督署に届出のあった裁量労働制のうち、企画業務型については466件で、前年よりも111件の増加です。専門業務型の裁量労働制については1,668件で、これも前年182件の増加となっております。裁量労働制の適正な導入運用については問題のある点も認められますので、引き続き指導に努めていくこととしているところです。
  3点目の最低賃金制度の適正な運用ですが、東京都の産業別最低賃金は6業種ありますが、12月1日に改正を行い、12月31日から施行されています。改正後の最低賃金は、鉄鋼業が時間額で804円、一般機械器具製造業は時間額で792円、電気、情報通信、精密機械器具製造業が時間額で788円、輸送用機械器具製造業が時間額で791円、出版業は時間額で789円、各種商品小売業が時間額で765円と、それぞれ引き上げられたところです。前回ご説明しましたが、東京都の最低賃金については時間額714円で、昨年10月1日から施行されております。
  3点目の総労働時間の短縮対策ですが、東京における平成17年の労働者1人平均年間総実労働時間は1,802時間となり、前年比で28時間の減少となっています。今後とも、年次有給休暇の取得促進、ゆとり休暇の促進、所定外労働時間の削減等を図ることにより、引き続き労働時間短縮の指導を実施していきたいと考えております。ちなみに、昨年11月17日には気運の醸成、啓発を図るために「長期休暇取得推進2005東京大会」を開催したところです。
  4点目は、多様な働き方が可能となる労働環境の整備についてですが、本年4月1日から施行される労働時間等設定改善法は、現在の時短促進法に代わるものですが、これに基づき事業主及びその団体が留意すべき事項について定めた労働時間等設定改善指針が出されていますので、この周知を図っていきたいと考えています。法改正の内容についての、周知・広報が重要でありますので、東京労働局としては、ホームページ等で法令の周知を行う等、4月からの円滑な施行に向けて現在取り組んでいるところです。5点目の労働者の安全と健康の確保対策は、資料として横表を提出してありますので、それをご覧いただきたいと思います。
  東京都内における平成17年の労働災害による死亡者数は、1月末日時点での状況です。後に業務上と認定されるものもありますので、1月末日時点の把握の状況ですが、前年同期と比較して、9人減という状況です。死傷者数については、1月末日時点で前年同期比の0.6%減で、いずれも3月末日で数字を確定させることとしています。
  平成18年の死亡災害ですが、1月末日時点では前年同期と比較して同数です。死傷者数は1月末日時点では件数が少ないものですから、前年同期比で8.9%増となっております。
  改正労働安全衛生法の周知ですが、昨年11月2日に公布された改正労働安全衛生法については、関係の政省令が制定交布され、今後、施行に当たっての必要な指針、通達等が示されることになっております。東京労働局としては法令の周知を行う等、4月からの改正法の円滑な施行に向けて、現在取り組んでいるところです。現在まで実施した事項は、平成17年11月22日付で関係団体、労使の団体、社会保険労務士会に対して、周知の協力依頼を通知するとともに、東京労働局のホームページにも掲載いたしました。さらに、改正労働安全衛生法の概要を整理したパンフレットを作成して、説明会等の際に配布しているところです。
  関係の政省令の制定及び施行通達策定後に実施する事項ですが、改めて各団体、地方自治体に対する周知の協力依頼を通知することとしています。東京労働局のホームページに掲載する改正労働安全衛生法のリーフレットは、今後は政省令を入れ込んだリーフレットを配布することを考えています。本年の3月には、各地区の労働基準協会と連携して、説明会実施の予定をしています。その他いろいろな機会がありますので、各団体から講師の要請等があれば、可能な限り対応していきたいと考えております。
  労働者の健康を確保するための対策ですが、毎年度「産業保健フォーラム」を開催しています。東京局独自の取組である「過重労働による健康障害防止運動」の一環として実施していますが、平成17年度は今年2月8日に開催いたしました。参加者数は、約1,100名です。この件については、来年度は運営方針の中に入れてありますが、平成18年9月に実施する予定としております。
  本年度は建設業に対して、一酸化炭素中毒の防止の徹底を緊急要請したところです。建設工事現場における一酸化炭素中毒が多発し、昨年の4月以降、7件で25名が被災している状況で、そのうち1名死亡が含まれています。そのような多発している状況から、昨年の12月12日付で建設業労働災害防止協会東京支部長に対して、一酸化炭素中毒の防止の徹底を緊急要請したところです。
  6点目は、労災補償対策です。労災補償の請求事案に対しては、迅速・適正な保険給付に努めていますが、中でも、最近増加傾向にある脳・心臓疾患事案、いわゆる過労死と言われている事案、自殺等を含む精神障害事案が増加していますので、所定の認定基準及び判断指針の的確な運用によって、今後とも迅速・適正な事務処理に努めていきたいと考えております。
  7番目の石綿対策ですが、石綿障害予防規則が昨年7月1日より施行されましたこと、昨年7月以降に社会問題化したこと等により事業場の調査、監督指導等の実施に努めているところです。
  今日も資料にリーフレットを配っていますが、石綿による健康被害の救済に関する法律、いわゆるアスベスト救済法が施行されることになっています。昨日の閣議において施行令が決定しましたので、今年の3月27日に施行になり、1週間前の3月20日から受付が開始されることとなっています。
  厚生労働省の関係では、時効で労災補償を受けられなかった遺族の方に対して、特別遺族給付金が支給されることとなっています。石綿による健康被害に遭われた方々を隙間なく救済するため、これから施行までの期間は非常に短いわけですが、周知・広報を徹底して図っていきたいと考えております。私からは以上です。
水谷職業安定部長
  私からは4点についてお話します。まず1点は職業相談・職業紹介ですが、求人については平成17年中に140万人余ということで、昨年に比べて13%増となっています。逆に新規求職者については3.9%減の63万人となっています。就職については148,287人ということで、0.4%とわずかですが、若干増加しています。
  就職率については、1ポイント増の23.5%です。紹介成功率、紹介した人のうちで何人就職したかという割合ですが、これが13.9%ということで、平成16年に比べて1.5ポイント増となっています。隣に1月の最近の数字を出しておいたのですが、1月は日数が少ないこともありまして、就職数も5%ほど低下しています。これは例年とほぼ同じ傾向だと思います。2月は、逆に1.5ポイントほど就職率は上昇していまして、11,100人強の就職数となっています。
  2点目の求職者ニーズに応じたサービス提供体制の整備ということで、これは平日夜間に十七ケ所において、サービス提供時間を拡大しています。これは別紙の2-1にお示ししたところです。
  大きな2点目の若年者対策ですが、フリーター・ニートの未然防止ということで、職業意識の啓発を進めています。その中で中学・高校生に対しては、キャリア探索プログラムを632校で実施し、34,000人余の生徒が参加しています。またジュニア・インターシップについては84校で、約2,000人が参加したことになります。職場見学については130校、40社に対して、379人が参加しています。スクールデーは9回実施しまして、191名の参加をいただいています。
  大学生に対しては、東京学生センターで行っていますが、夏期のインターシップとして87名を企業等に送り込んでおります。また、就職活動セミナーについては、34回開催しまして、6,900人の参加をいただいています。
  新規学卒者の就職支援ですが、高校3年生向けの就職ガイダンスを9回実施しまして、422人の生徒さんの参加をいただいています。就職面接会を6回開催しまして、1,026人の参加をいただいています。大学生についても24回、学生センターで開催していまして、1,109社、2,876名の学生のご参加をいただいています。
  フリーター対策ですが、フリーター20万人常用雇用化プランということで取り組んできましたが、12月末で8,162件実施しています。年間の計画の約50%ということで進捗しています。
  大きな3点目は、高齢者対策です。まず、職業紹介については求職者は10%ぐらい減少しましたが、逆に就職は4%増えまして、28,000人余の就職を上げています。また、地方自治体と連携して、職業相談室を8ケ所開設しており、約3万人の新規求職者申込みがあり、8,156人の方々に就職していただいております。2点目として高年齢者の雇用確保措置についてですが、前の審議会でもだいぶ指摘をいただきましたが、今日お示ししたのは1月末の300人以上の企業の数字です。東京と全国を示しておきましたが、東京ですでに確保措置を導入している所が19.8%で、3月末までに導入する予定が77.9%で、合わせて97.7%の企業で4月には導入されることになっています。また、これに係る指導件数は、イの雇用指導状況に示したとおりです。
  大きな4点目の障害者雇用対策ですが、新規求職者が10%ほど減りまして、9,149名です。逆に就職が6.3%増えまして、3,298名となっています。そのうち知的のウエイトが増加しております。前年比で減っていますが、知的障害者の数が、新規求職者が1,653名で、就職が873名となっています。
  トライアル雇用については、1月末までで387件実施していますが、そのうちの84.5%が常用に移行しています。次に雇用率の達成指導ですが、平成17年6月1日の数字で1.40となっていまして、昨年に比べて0.05アップしています。私からは以上です。
三上需給調整事業部長
  東京労働局における許可・届出事業所数及び指導監督状況ですが、派遣事業の許可届出受理事業所数はグラフにもありますように、2月1日現在で1万件を超え、10,398件ということで、前年比で26.3%の増加をしています。ちょうど2年前の6,832件に比べると52%増ということで、著しく増えています。この要因としては、規制緩和による新規参入、業務請負から派遣への切替え等が考えられるかと思います。
  職業紹介事業の関係は点線で示していますが、3,639件で、次の頁に数値がありますが、前年比で16.7%増で、これも2年前と比べて34%の増加です。それぞれの事業の実績等については、先ほど局長が申しましたように、行政運営方針の中に数値等を入れています。またあとで見ていただきたいと思いますが、大まかに申し上げて事業については、主要な指標で東京局は全国の大体3、4割の指標を占めている状況になっていることを付け加えます。
  3頁の指導監督の状況です。(1)(1)労働者派遣事業の集団指導関係ですが、21,000人余の延人数に対して、集団指導を行っています。新規では、派遣事業をこれから営もうとする者について、開始予定事業所に対する講習会。ちょっと飛びますが、新規に営もうとする場合、責任者の派遣講習会受講が必須ですので、派遣元の責任者講習会で集団指導を行っています。新たに許可を受けたり届出を行った事業主については、許可証の交付等に際して、コンプライアンス等に関するさまざまな事項について、集団指導を行っています。
  さらに現在事業を続けている継続事業者については、一般派遣では3年、5年の更新時期がありますので、このときに集団指導を行っています。また、特定派遣では全届出事業主を対象に個別に案内して集団指導を行っています。
  首都圏の派遣・業務請負適正化キャンペーンの項でも述べることになろうかと思いますが、この他にも、適正化セミナー、労務管理講習会、派遣先企業研修会といったさまざまな機会をとらえて、集団指導を行っているところです。
  (2)の職業紹介事業についても、約6,800人に対して集団指導を行っているところです。これも派遣事業と同じように、これから紹介事業を営もうとする者に対して、それから具体的に事業を開始するとき、更新を受けるとき等々、適宜見計らって集団指導を行っています。
  次に4頁の、個別指導に関連してですが、労働者派遣事業では884事業所に対して個別指導を行いまして、是正指導に至ったのは、このうち75.8%です。業務請負に係るものについては130事業所、是正指導率については73.8%ということで、いずれも前年同期に比べて大幅増を示しています。職業紹介指導についても298の事業所に対して指導し、是正率は63.8%という状況です。
  派遣のほうでは就業条件の明示の不備であるとか、偽装請負等、派遣契約の不適正による是正が多くを占めました。また、職業紹介では労働条件の明示の不備、または個人情報の取扱不適正などが多いという状況です。
  指導監督の件数については、昨年度1年間で1,026件ということですが、この1月までの個別指導の884と298を足していただくと、1,182件ということで、すでにその数字を上回っている状況にあります。今後ともこの申告事案については申告の緊要度を踏まえて、適正に対応していきたいと思っています。
  (3)の行政処分については、事業の廃止命令を1件と事業の改善命令を3件行いました。5頁のキャンペーンですが、前回の審議会ではキャンペーンをこれから始めますというお話をさせていただきましたが、その結果として、首都圏6都県労働局合同で、10月から11月の2カ月間、「ノーモア偽装請負、違法派遣」を標語に、適正化の推進を図りました。特に製造業の派遣が可能になったことから、それに関するアンケート等も行ったところです。製造業をはじめとした派遣や請負の取引が、東京だけではなく周りの県に及んでいることから、今年度は首都圏でキャンペーンをしたわけですが、各局との連携、関係部との連携といったものを踏まえながら進めてまいりました。以上、簡単ですが、説明とさせていただきます。
菅原雇用均等室長
  続きまして資料No.4に沿って説明します。
  まず、育介法の施行の関係ですが、昨年4月に施行されたということで、相談状況を見ますと平成17年度1月末現在で、相談が10,691件となっています。事業主のほうが多く、改正に関する就業規則の記載方法などの質問が多くなっています。労働者のほうは、いろいろ個別事案に関するものも出てきています。例えば有期雇用者が育休が取れないとか、1歳6カ月までの延長と保育園の問題、不利益取扱の問題といろいろな問題が出てきております。私どもが情報提供、あるいは指導することによって、有期雇用者が育休がとれたという事案もだいぶ出てきています。 育児介護法改正への関心は、次世代法の施行が重なったことや少子化への危機感があり、かなり高かったのではないかと思っています。モデル就業規則などを参考にして、改正が進んだと思いますが、一方で育児・介護休業規定もないような中小企業もあり、そのような所への周知が今後の課題と考えています。
  (2)に次世代法の関係が書いてあります。2月23日現在で届出企業が4,137社ということで、301人以上の企業で、東京でも97.7%と、ほぼ100%に近くなっています。2月の中旬に、届けを提出していない108社に対して、いよいよ次世代法に基づく勧告を行いますよという通告を行いました。とにかく最終期限は平成18年4月30日だと言っておりまして、その後も3月末を目処に出してくる所もありますので、実際に勧告となる企業はかなり少なくなるのではないかと思います。東京は全国の3分の1の4,000社が集中しており、最初出足が少し遅かったので大変心配したところでしたが、次世代センターのご協力もいただきまして、一応ここまでは持ってきています。
  東京の場合は認定希望が、ほかの県よりも高い傾向がありまして、ここには書いてありませんが、23%ぐらいの認定希望があります。未定としている所が45%で、例えばその未定の中から男性の育児休業者が出れば認定を受けたいしたいということが出てくることも考えられます。認定の基準のひとつに計画期間が2~5年となっていますので、平成19年4月には2年になりますので、認定申請がかなり出てくるのではないかと思っています。そのため来年度については300人以下に対する(努力義務ではありますが、)周知と、認定を目指す企業への情報提供が必要になってくるかと思います。
  2頁目は、均等関係が書いてあります。ちょっとミスプリントがあるので訂正していただきたいのですが、(1)17年度(9月末現在)と書いてありますが、これを17年度(1月末現在)に訂正してください。均等に関しては、そこにあるように相談は2,428件であり、前年同期比で2割ほど減少しています。平成16年度は過去最高の相談件数だったのですが、景気が良くなりまして、妊娠、出産による解雇といった事案が、少なくなっている感じがします。ただ、妊娠したので産休、育休を取りたいと申し出たところ、雇い止めという事案もかなりありまして、少なくなっているとはいえ、深刻な問題だと思っています。
  (3)にはポジティブ・アクションの推進が書いてありますが、2007年問題ということもあり、労働力不足の観点もあり、女性の活躍推進については、かなり手応えを感じています。
  均等推進企業表彰は平成18年度表彰に向けての応募を募り、いま選考しているところです。応募企業が19社ありますが、来年度6月の均等月間で表彰させていただこうと思っています。業種としては金融が目立ちます。
  ロの東京女性の活躍推進協議会は、今年の3月17日に予定しています。構成メンバーは経営者団体の方や学識経験者は同じですが、東京の場合は表彰企業が非常にに多いので、その方たちは毎年変わってきますが、お集まりいただいた所でいろいろな発言をしたものをホームページに載せて、表彰企業ではどのような課題があり、どのようにして解決しているのかということも見られるようにしていきたいと思います。私からは以上です。
清家会長
ありがとうございました。
吉野労働保険徴収部長
  私のほうからは、平成17年度の労働保険適用徴収業務の重点事項の取組みについてご説明します。
  お手元の資料5で大きな柱として3点ほど掲げています。1点目は労働保険の未手続事業の一掃対策、2点目が労働保険料の適正徴収、3点目が労働保険事務組合の活用、育成、指導となっています。
  1つ目の労働保険の未手続事業の一掃対策の取組状況については、1の(2)、(3)に、表として示しています。
  (2)の適用事業場数及び労働者数については、コメントにあるようにそれぞれ若干増加傾向にあります。一方(3)の新規適用事業場数については、前年より少なくなり、減少傾向にあるという状況です。
  次に、2の労働保険料の適正徴収ですが、コメントのとおり平成17年度の徴収決定額・収納額については、東京局としては初めて1兆円の大台を超えたところです。また、収納率ですが、この2月末現在は、昨年に比べて0.32ポイント上昇しています。表をご覧いただきますと、いちばん左のほうは平成18年2月末の徴収決定額・収納率ですが、決定額・収納額は1兆円を超え、収納率は98.22となっていますが、まだ3月、4月の出納整理期間がありますので、平成16年度の98.27%を超えるのではないか、最終的にはそのように考えています。
  1兆円を超えた原因は、前回の審議会でもお話しましたが、雇用保険料率の1,000分の2が改定され、その影響によるものです。収納率が良くなっているのは、ご案内のとおり景気回復の要因が非常に大きいのかなと思っています。詳細については、次の頁に労働保険料の徴収決定・収納状況一覧ということで、過去3年間の月別の状況がありますので、後ほどご覧いただきたいと思います。
  最後に3の労働保険事務組合の活用、育成等ですが、これもコメントをご覧ください。委託事業場数は年々増加傾向にあります。
  一方で、取り扱っている事務組合数は表のカッコ書きの覧ですが、平成16年度では860組合となっていますが、対前年に比べて減少傾向にありますが、全体の委託事業場については、東京は37万事業場がありますが、それに占める割合は、過去3年間は45.3%と、ほぼ横這状況になっています。事務組合というのは、労働保険制度を運営するに当たり、大変重要な役割を担っていますので、引き続き有効活用と事務組合の育成指導に努めていきたいと思います。
  また、労働保険の適用徴収業務というのは、対策業務と違って基本業務ですので、今後とも着実に労働保険の適用促進や保険料の適正徴収に努めていきたいと考えています。以上です。
清家会長
どうもありがとうございました。
井上総務部長
  総務部長の井上です。私からは個別労働紛争解決制度の運用状況について、ご説明します。お手元の資料No.6をご覧ください。個別労働紛争解決制度については、すでにご案内のように、民事上の個別労働関係紛争の解決を図るために、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づき運用しているものです。ここには平成17年4月から平成18年1月末までの状況について、とりまとめています。
  1頁目の数字をとりまとめた資料に基づき、概略を説明します。現在都内21ケ所に設置している総合労働相談コーナーに寄せられた総合労働相談の件数については、1に示しているように95,949件となっています。これは前年の同期と比べて0.5%の増加です。これらの相談のうち、約4割が事業主から寄せられている状況で、総合労働相談については、労使双方から有効に利用されつつある状況になっていると考えています。
  続きまして2の民事上の個別労働関係紛争に係る相談の件数ですが、これは総合労働相談の中で、法令違反を伴わない民事上の個別労働紛争に関わる相談ということで、全体の件数として14,251件と、前年同期に比べて約20%の増加となっているところです。
  続いて3ですが、民事上の粉争については、当事者間における話し合い解決のために、東京労働局長に対し助言・指導を求める申し出のあった件数をとりまとめています。これは490件ということで、前年同期に比べてほぼ倍増ということです。助言・指導の処理を期間中に終了したものは488件で、その凡例などに照らし、問題点を指摘するなど、東京労働局長が助言・指導を実施して、話し合いの促進を図ったものについては、362件となっています。
  4は、東京粉争調整委員会によるあっせんの件数で、1,027件です。これも前年同期に比べて、約45%の増加になっています。この期間中にあっせんの処理を終了したものは1,043件で、そのうち粉争当事者間で合意の成立があったものは456件となっています。
  以上が昨年4月から本年1月末までの運用状況の概要です。今後とも解雇の事案などを中心として、個別労働紛争解決制度の利用はますます増加すると思いますので、本制度の特徴である簡易迅速性を最大限に発揮できるよう、適正な運用を図っていきたいと考えています。以上です。
清家会長
  ただいま事務局のほうから各部局の担当の責任者の方に、平成17年度東京労働局重点事項の取組状況について説明をいただきました。これらについて委員の皆様方から何かご質問、ご意見等がありましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
尾野委員
  基準の関係で、総労働時間短縮のご報告をいただいたところで、28時間減っているということで、確かに統計上は減っているとは思いますが、実際減っている要因は、個々の労働者の労働時間が短縮して減っているわけではたぶんないので、これはパートタイマーや短時間労働者が増えたので減っているという書き方だと非常に誤解を受けやすいような気がするのです。我々の立場で1,800時間を目指していたのは、統計上の数字がなるということではなくて、一人ひとりのゆとりや豊かさを求めて、当時の目標として1,800時間と掲げたわけです。
  実際に一般というか、正社員の時間はどうなのかというのと並行して記載をしていただかないと、東京は労働時間が短くなって1,800時間の目標に、かつて外国にそういう目標を言っていたのが、なったと、非常に下がって良かったというように言われてしまうのはちょっと問題があるので、もし本当に東京の場合にちゃんと労働時間が減っているのであればいいのですが、たぶんパートタイムなどの短時間労働者のメンバーの人数が増えたために、このような結果になったのではないかと思われるので、そうであればそのことも書き添えていただかないと、ちょっと誤解を受けるのではないかと思います。
永山労働基準部長
  私の資料では総実労働時間だけを説明しましたが、実は平成18年度の行政運営方針の未定稿という資料No.8の10頁の労働時間の状況という記載の中では、総労働時間は1,802時間となり、前年に比べて28時間減少し、パートタイム労働者を除いた一般の労働者の労働時間も1,943時間と、前年に比べて9時間減少しております。そのあとに、全国で週の労働時間が「35時間未満の者」と、「60時間以上の者」の全体の占める割合はともに増加し、いわゆる労働時間分布の長短二極化が進行していることについても記載しています。非正規労働者については1,079時間となっており、パートタイム労働者等が入りますので、短くなっている状況です。
清家会長
  尾野委員、よろしゅうございますか。
尾野委員
  これは説明のための……。
永山労働基準部長
  お配りしてある資料は、当審議会で説明するためのもので、公表するものではありません。
尾野委員
  わかりました。
小井土委員
  いまの資料No.8の10頁のすぐ下に、裁量労働制の話が出ています。労働時間減少と裁量労働制の導入事業場の増大の間に関係は、全くないのかどうかということが第1点です。
   第2点は、裁量労働制導入事業場の中にある制度の運用について不適正なものも認められるということが文言にもありますし、先ほどの部長のご説明にもありましたが、例えばどのような不適正なものがあるのか、1、2例を挙げていただければと思います。
永山労働基準部長
  裁量労働制の導入事業場は届出が必要でありますので、企画業務型裁量労働制については届出があった事業場ということですので、労働時間と直接のリンクはしていないと考えています。
   制度の運用の不適正というのは、対象業務、対象労働者の範囲が企画、立案、調査等の業務であって具体的な知識・経験等を有する者に限られていますが、対象労働者の範囲が広くなっている事例が見うけられます。
奥田労働局長
  ちょっと補足いたします。裁量労働制の導入事業場がどんどん増えているわけですが、適用労働者の数からいうと、まだ絶対数は相当少ない状況です。ですから、統計の上で裁量労働制の対象労働者が増えているから全体の平均労働時間が短くなっているか長くなっているかについては、まだ影響が現れないような数字だと思います。しかし、将来、裁量労働制の対象者が増えてくれば、その対象者のみなし時間が8時間となれば、そのようにカウントされますので、その影響が及ぶことになるだろうと思います。
清家会長
  ほかにいかがですか。
三宅委員
  2点ほどお伺いします。1つは、昨年11月に労災保険の未手続事業場の一掃ということで、労働基準部のほうで出したことを改めて各労働局で出したということだと思いますが、一掃に向けての費用徴収の程度が実施されたと思うのですが、その実施状況はどうなっているのか。そのことによってどれくらいの未手続事業場が減ってきたのか、その状況を教えていただきたいと思います。
   もう1つは、アスベストの問題が昨年の労働基準の中に出ていますが、その関係で迅速適正な保険給付に努めておりとなっていますが、私どもが聞くところによると、申請から認定までかなりの月日、少なくとも半年以上かかっているのが実態だと聞いていますが、その辺りの迅速適正化というのは、政府のほうからも通達は出ていますが、どのように実行されているかを教えてください。
清家会長
  1点目は、吉野徴収部長に、2点目は永山基準部長にお願いします。
吉野労働保険徴収部長
  私のほうで1点目はお話します。例の費用徴収制度については私どもはあくまで徴収事務の関係がありますので、仮に未手続事業場の中で労災事故にかかった場合に、費用徴収制度が適用されるということで、ちょっと私のほうからは離れるのですが、今般の第一次の労働保険の適用促進3カ年計画の未手続事業の一掃対策ということでやっています。これは今年始まっていたわけではなくて、従来からやっていたものの名称を変更して、とりわけ職権成立の関係について、もっと強制力を出して適用したいと考えています。とは言っても、労働保険そのものというのは事業主の自主的な申告に委ねていることが非常に強いので、あくまでも最後の手段ということで職権成立はやっています。
   今般の数字的な面をお知らせします。職権成立は平成17年度の現在まで、未手続中に災害を起こさない事業所に単純に入っていただきたいということが理解いただけなくて、強制的に入っていただいた数字はいまは49ありまして、年度末までにはもう少し増えると思います。併せて、未手続中に事故を起こした企業もありますが、これは現在のところ69の事業所に強制的に加入をしていただいている状況です。
  未手続事業場に対して私どもが説明に参る場合については、別に伝家の宝刀を掲げて入れということではなくて法の趣旨にありますようにあくまで、自主成立を前提としております。制度の趣旨等を理解した上で、再三にわたり説明した中で、強制適用されるのであれば、自主的に適用しますと、手を挙げますよというのが割合的に3割強あります。その上で、どうしても入らないという数字が、強制適用、職権成立の数です。今年始まったばかりなので、正確な数字については年度を待たないと出てきませんが、それらの状況で未手続事業場対策を実施しています。
  それから、東京においては未手続事業場は約10万弱あると言われていますので、1つひとつ潰しながらやっていこうと思います。新規の成立事業場がある反面、廃止の事業場も非常に多いので、なかなか補足が難しい状況についてはご理解いただきたいと思います。
永山労働基準部長
  労災の関係で、前回もご説明しましたが、石綿による肺がんや中皮腫については、遅発性の疾病であるということで、その潜伏期間が30年から40年に及ぶケースもあると言われております。
  労災の請求事案が出てきますと、最終事業場が存在している場合は、比較的書類もスムーズに出てきますので迅速な処理もできると思います。しかし、医学的所見の判断に少し時間がかかっているものもあります。
  もう1つは、かなり以前の事案ですから、事業場が不明であるときは、最終事業場の調査や資料が残っているのかという調査が必要となってきます。事業場が廃止されている場合等で資料がない場合は、別の方法で平均賃金を決定するということになりますので、どうしても処理に時間を要しているのは否めない事実です。
  我々としては、できる限り迅速適正な処理に努めるように取り組んでおります。現在、石綿に関連する請求事案は東京労働局管内で143件です。そのうち、現時点で48件を認定しています。例えば、平均賃金の決定に当たって、迅速処理のために基準部内各課が連携を取るなど、迅速処理を意識しながら取り組んでいるところです。
山崎(使)委員
  労働力需給調整事業についてお伺いします。企業が派遣事業の申請をする場合、住民票の添付が必要書類の一つであるそうですが、住民票と言いますと、一般的には役員1人の住民票でよろしいのかと思い、提出したところ、家族全員というか、全部記載されている住民票を提出しなければいけないと言われたことがあるようです。役員1人でなく、なぜ家族全員が記載されてないといけないのですか。
三上需給調整事業部長
  代表取締役と役員等ということで、そこの事業をやられる主な方について、当然住民票を取らせて頂いております。この場合、それが具体的にどういうお話なのか、そこは個別事案になってくると思いますので、別途もう少し具体的に教えていただければ、また対応させていただけるかと思います。
山崎(使)委員
  労働者派遣事業の新規の届出書類を東京労働局に提出しましたら、もう一度住民票を取り直してこいという指導があったと聞いております。それは最初から示されていれば良かったのですが。しかし、一般的には自分1人の住民票で良いと考えるのが普通ではないかという思いがあるそうです。
北瀬委員
  先ほど尾野委員が質問されたことと同じになるかと思い^ますが、3番目の「総労働時間の時間短縮の関係」については、前年よりも28時間減少したということですが、この見解についてはいろいろお聞きしました。私は運輸関係の企業に勤めておりますので、多少実態を申し上げます。トラックというのはどうしても長時間労働になっています。この要因については、体質的なものもありますが、その1つには賃金の問題があります。固定給がやはり低いのです。あとは残業や諸々で一定の賃金になっているというのが仕組みです。したがって、どうしても現場の人たちについては、時間外もやらざるを得ませんし、またそういう賃金になるからやると。ここのところ景気も上澄みになっていますが、そうなると仕事も過密になって当然時間も増えてきます。
  私が聞いてみましたら、平成16年度当たりでは、運輸関係全体で総労働時間が約2,300時間と言われています。そういう意味では、資料を見ますと結構格差があるわけですから、これは業種によって違うのはしようがないとは思うのですが。いずれにしても、そういう状況にありますので、現行の36協定なり、運転者の改善記入刻時というのがありますから、そういうものを徹底して監督指導をお願いしたい。これは5番目の健康の問題や労災の対策の問題にもつながると思いますので、よろしくお願いします。
  同じくお願いですが、2番目の最低賃金の問題です。現在、東京都では6業種と書かれています。6業種の賃金を去年の12月1日に改訂したということですが、この6業種の中に何とかトラックの運転者の最低賃金を確立できないだろうかという取組もしているのですが、この件については我々の思わくと、事業主、企業の思わくとマッチしないということがあります。何とか最賃の問題の確立をお願いしたい。現在聞いているところでは、全国では高知県の1県だけがこの問題について解決しているということですので、これから2007年問題とか、人口も減りますし、どうしてもトラック産業というのは労働主力産業ですから、人がいなければ車も動かないということになってきますので、人を確保するには一定の賃金と、社会的なモラルの向上も含めて、ある程度安定した賃金を確保する意味では、額最賃が是非必要ではないかと思います。そういう意味で、行政も企業のほうに強く働きかけながら、何とかしていただけるようにお願いします。トラック最賃について、どこかで申立てをしている所があれば教えていただきたいと思います。以上です。
永山労働基準部長
  最初の自動車運転者に係る監督指導については、当局としてもかなりの数の監督指導を実施しております。長時間労働等による過労運転を防止するために取り組んでいます。特に、この件については、運輸機関との通報制度がありますので、法律や改善基準に触れるようなケースを把握した場合には、お互いに通報するとともに、それぞれが必要な措置を講じて指導に努めております。
  トラックの最賃については、最低賃金審議会の中でも議論が出ております。その中で、これから労働者側委員のご意見等も聞きながら、審議会の場で協議していくものと考えております。その他の情報については最近、具体的にトラック最賃の申立をしているという情報は現在のところ把握しておりません。
清家会長
  まだご意見、ご質問はあるかと思いますが、時間の関係でここまでといたします。今日のメインテーマである、来年度の行政運営方針についてご説明をいただきますので、この後に今までのご説明についてのご質問、ご意見も含めて時間をとりたいと思います。続きまして、議題2の「平成18年度東京労働局行政運営方針」について、事務局から簡潔に資料No.7、No.8についてご説明をお願いします。
井上総務部長
  「平成18年度の東京労働局の行政運営方針」について、現時点の案の概要についてご説明いたします。
  平成18年度の行政運営方針については、4つの基本方針をお示しし、その後で特に東京の労働市場等の状況に鑑み、重要と考えられる対策を重点対策として6つ掲げています。その後に、各行政分野別の重点対策という構成をとっております。
  資料No.7、「基本方針」については、東京労働局、18の監督署、17のハローワークが、公共的なサービス機関として業務運営をしていく基本的な姿勢を示したものです。
  1東京労働局・労働基準監督署・公共職業安定所が、各担当分野の枠を超えて、一体的な取組を行い、労働行政の総合力を発揮することとする。
  これについては、下にいくつかの対策について例示しています。例えば高年齢者に関する対策については、改正された高年齢者雇用安定法に基づきまして、高年齢者の雇用確保措置が講じられるよう指導を進めるとともに、高齢者の安全衛生の確保といった点についても併せて指導を講じていく。
  若年者に関しては、若年者の就業意識の形成を図り、就職促進を進めていく一方、若年者、あるいは事業主に対して、その若年者の職場定着などのために、適正な職場環境の形成についての指導を行っていく。
  2地域のニーズ・特性をとらえ、地方公共団体等との連携により、各地域における行政サービスを向上させると同時に、行政効果を高めることとする。
  その主なものとしては、各区市町村と、その地域に所在する監督署、ハローワークが、雇用問題、労働問題などについて協議する場を設定していく。それぞれの区市町村において、高齢者の問題、若年者の問題、身近な就業の場所としてパートなどの雇用機会の確保といったような問題について、地域のニーズをとらまえながら業務運営を進めていくという考え方です。
  3利用者の利便性を向上させる、という点については、都内においても交通の利便などが必ずしもよくない地域などにおいて、各種施策についての説明会を行うなり、あるいは巡回的に総合労働相談を実施していくといった内容です。
  4業務の整理統合等の合理化により、可能な限り業務運営の効率化を追求する、という点については現在も引き続き、何がどこまでできるかということで検討しております。その例示として、各種助成金取扱業務の集中化を挙げています。これは現在、各ハローワークにおいて、助成金の審査業務を行っているものを、審査業務について集中化をしていきたいということです。
  重点対策については(1)~(6)まで掲げています。これについては、2頁、東京の労働行政の重点対策、1 労働行政の重点対策に内容が書いてありますので、これに沿ってご説明いたします。
  (1)高年齢者の雇用安定・労働環境の確保については、65歳まで安定した雇用確保をするための高年齢者雇用確保措置を講ずるような指導・支援を行うとともに、高年齢者が安全に働けるように指導を行っていく。
  (2)若年者の適正な労働環境の確保についても先ほど例示としてご説明しましたが、若年者の働く意欲の喚起や就職支援と同時に、適正な労働環境の確保のための支援・指導を行っていく。
  (3)労働時間管理の適正化などの一般労働条件の確保・改善対策の推進については、東京、本社機能が集中しているという状況も踏まえ、賃金不払残業、あるいは不適正な裁量労働をはじめとする法定労働条件上の問題に関して、その未然防止に向けて対策を推進していく。
  (4)アスベストによる健康障害防止過重労働対策など、第10次東京労働局労働災害防止計画に基づく、安全と健康確保対策の推進ということです。これは総合的なアスベストによる健康障害防止対策。あるいは過重労働による健康障害の防止対策といったことを進めていく。
  (5)職業生活と家庭生活の両立支援について、その1つには、子育て世代の仕事と家庭の両立を支援するための育児・介護休業法の周知徹底があります。
  改正された法律に基づく労働時間等設定改善指針の周知などを進めていく。
  次世代法に基づき、できるだけ多くの一般事業主行動計画の策定・届出がなされていくように周知、啓発を行っていく。
  出産・育児により、離職した女性が、そのニーズに応じて再就職などができるように、マザーズハローワークを新設していくことを考えています。マザーズハローワークについては、本年4月1日より、渋谷で運営開始の予定です。(6)「派遣労働者、パートタイム労働者等の雇用環境の整備」については、先ほど労働力需給調整事業の適正な事業運営の確保についてご説明した他、そこに働く人たちの労働条件・安全衛生の確保を図っていくものです。それと同時に、パートタイム労働者、あるいは有期契約労働者の雇用管理の改善、労働条件の改善を図っていくものです。
  2 各行政分野別の重点対策については、(1)労働基準の分野についてお示ししています。イ 労働条件の確保・改善等ということで、労働時間管理に関する不適切な運用等による賃金不払の残業の問題などに対処していく観点から、監督指導、あるいは労使の自主的な取組の一層の促進を図っていくものです。
  裁量労働制についても、制度の趣旨に適合した形で導入・運用されるように指導を行っていくものです。その他、未払賃金立替払制度の適正な運用、最低賃金制度についての適正な運営を図っていく。
  ロ 多様な働き方が可能となる労働環境の整備については、労働時間等設定改善法に基づき労働時間等設定改善指針の周知を中心に努めていく。
  ハ 労働者の安全と健康の確保については、労働災害を減少させ、10次防の目標を達成するために、「安全衛生リスク・ゼロ運動」の啓発などを進めていく。 「過重労働による健康障害の防止のための総合対策」、心の健康確保についてのメンタルヘルス対策などを推進していく。4頁、ニ 労災補償対策の推進については、迅速な事務処理、迅速・適正な調査に努めていく。ホ アスベスト対策については、関係法令の周知に始まり、そこに掲げているような形で、総合的な対策として進めていく。同時に、アスベストの救済法についても、適切な周知、円滑な施行に努めていく。(2)職業安定の分野については、イ 雇用のミスマッチの縮小のための雇用対策の推進です。都内の有効求人倍率については、1倍を超えるような形で、数字としては着実に改善を進めていますが、就業形態などによる求人・求職のミスマッチが拡大している状況です。
  平成18年度においては、就職率27%以上、あるいは雇用保険受給者の早期再就職割合16%以上をはじめとして、各業ごとの数値目標を定めるとともに、紹介・求人・保険部門が一体となった業務推進、あるいは求人者サービスに軸足を置いた業務の推進などを図っていきたいと考えています。
  現在の「しぶやワークプラザ」を発展・拡充する形で、マザーズハローワークを新設する。それによって、子育てをする女性に対する再就職支援の充実を図っていくと考えております。
  ロ 若年者雇用対策の推進については、職業意識の問題、あるいはコミュニケーション能力の問題等々により、なかなか安定した就職ができない状況が引き続き存在しています。次頁、平成18年度においては、フリーター、ニートと言われる若年求職者の就職支援の強化、あるいは在学中からの職業体験機会の充実の対策に取り組んでいきたいと考えています。
  ハ 高年齢者雇用対策の推進については、改正高年齢者雇用安定法に基づく高年齢者雇用確保措置に関する指導・支援の推進などを中心として取組を進めていきたいという考え方です。
  ニ 障害者雇用対策の推進については、多様な雇用機会の場の確保。あるいは福祉から雇用への移行促進のための支援措置といった観点から、対策を進めていきたいと考えています。企業の障害者雇用率について見ると、未達成割合が依然として高いことから、引き続き強力に指導を行っていきたい。
  (3)需給調整事業の分野については、労働力需給調整事業における対策として、イ 許可申請・届出の迅速・適正な処理を図っていきたいと考えています。ロ 個別指導・集団指導における指導監督を効果的に実施していきたい。ハ 改正法関係の周知等については、病院・診療所等への医療関係職員の派遣に関し、必要な事項などについての徹底を図っていく。同時に、6頁、ニ 相談、申告などに対しては、迅速・的確な対応を図っていく。
  (4)雇用均等の分野については、イ 男女雇用機会均等確保対策の推進ということです。職場における男女の均等取扱いが徹底されるよう、引き続き指導を行っていくとともに、妊娠・出産を理由とする解雇等均等取扱いによる相談については、迅速な解決を図っていく。また、今通常国会に男女雇用機会均等法の改正法案が提出される予定ですが、これが成立した後は、その周知徹底を図っていく。その他、ポジティブ・アクション、セクシュアルハラスメント防止対策にも力を入れていきたい。
  ロ 仕事と家庭の両立支援対策の推進については、育児・介護休業が制度として整備され、定着していくよう指導を強化するとともに、問題事案についての相談を的確に対応していきたいと考えています。
  ハ パートタイム労働対策の推進については、パートタイム労働法、パートタイム労働指針の浸透を図り、パートタイム労働者と正社員との均衡処遇の重点的な周知について努めていく。(5)労働保険適用徴収の分野については、重点対策として、労働保険未手続事業一掃対策の推進、労働保険料の適正徴収、労働保険事務組合の活用、育成、指導の3点を重点として対策を進めたい。雑駁ですが、以上が現時点における運営方針の(案)の概要です。
清家会長
  ただいま事務局から「平成18年度東京労働局行政運営方針」についてご説明をいただきましたが、これらについてご質問、ご意見等をいただきたいと思います。武石委員から何かございますか。
武石委員
  非常に意欲的な運営方針を聞かせていただきありがとうございました。私からは意見になりますが、労働市場が比較的良好に推移してきている一方で、高齢者の雇用や女性の問題等、いろいろな労働政策の課題が山積している中で、雇用情勢が良くなっているのはそういう問題の解決の追風になっていると思いますので、景気が良い時を活用して意欲的に取り組んでいただければありがたいと思います。
清家会長
  それはご要望ということですね。
小井土委員
  先ほど職業安定部長から報告がありましたが、フリーターの常用雇用化は50%強というのは、おそらく全国最高水準をいっていると思います。もっとご尽力をいただきたい。
  それと絡んで、職業紹介の成功率は13%程度というのは、求人・求職の双方のミスマッチが拡大しているという問題があるのでしょうが、もう少しこちらを高めるようにご尽力をいただきたい。これはお願いです。それから局長のご意見をお聞きしたい。 4月1日に労働審判制度が発足しますが、これが労働局などの相談業務といいますか、これと競合関係になるのか。どういう影響が出るのか。労働委員会との関連もあるのですが、労働局との関係においてどのような影響があるのか、ないのか、ご説明をいただきたいと思います。
水谷職業安定部長
  それはご指摘どおりでございます。新年度から東京全体で充足を上げていこうということで、求人のマッチングセンターを開設予定です。併せて、成功率を上げていくためには、やはり担当者の職員一人ひとりのレベルを上げていくことが大切ですから、いろいろな事例を研究しながら成功率を高めていく努力をしていきたいと思います。よろしくご理解をいただきたいと思います。
井上総務部長
  2点目のご指摘については、2週間ほど前に労働審判法の施行にかかわる関係機関ということで、裁判所や弁護士会、東京産業労働局等と私ども関係機関による打合せ会議を行いましたが、実際に労働審判法の運用に当たる関係機関においても、まだどの程度活用されるか。あるいはどういった状況、ニーズのある方が労働審判に来られるか、まだ見通しが立たない状況です。
  お答になっていなくて大変申し訳ないのですが、私どもの役割としてはそれぞれの方のニーズなり、状況に応じて適切と思われる制度をご案内していくことだと思います。ですから、法施行後少し経った時点でまたご報告させていただきます。
小井土委員
  審判制度のほうは、代理人を選定したり費用がかかりますが、こちらのほうは無料だと思うのです。利用者としては、こちらのほうが使いやすいと思いますので、ますます相談内容を充実させるように良い対策をご提示願うようにご尽力をいただきたいと思います。
奥田労働局長
  最初のご質問の補足をいたします。前回も委員から、ハローワークの就職率が極めて低いというお話がありました。私も何とかハローワークにお越しいただいた方にはできるだけ多くの方に就職していただきたいということで、いろいろ取り組まなければならないと思っております。たとえば、今回の業務運営方針の中で、37頁に「求人者サービスに軸足を置いた業務の推進」とありますが、これは全国でもこういうことを書いた局はそうないと思います。東京のハローワークにどこかの会社をお辞めになって求職に来られる中で、年収が1,000万円近いという方は、東京はたくさんお見えになるわけです。しかし、その方にそれまでと大きくは違わない条件の就職先を提供できるかと言いますと、なかなか困難です。残念ながらハローワークで就職している方たちの平均賃金は月給20万円程度です。
  ですから、より高い給与といいますか、そういった層に対する就職サービスは私どもでは十分にはできておりません。企業のほうも、ハローワークに求人を出してもいい人は採用できないという思い込みもあることを、いろんな方からお聞きしているものですから、そういう意味で求人者がハローワークにどんなことを求めているのか、私どももニーズ調査もしまして、ここに書いたようなことから始めていこうということです。
  マッチングセンターを今回つくるようにしておりますが、求人・求職の選択を皆さんにお任せするというのではなく、ハローワークのほうで情報を集約して、この人にはこの求人が合うのではないか、ということを行っていこうと考えております。そういった努力をしながら、1人でも多くの方に就職していただき、企業側には1人でも多くの方を採用していただくようにして、就職率の向上に努めてまいりたいと思います。
  なお、就職率の計算には、複数のハローワークに求職申込みをされる、いわゆるダブルの求職者の方がおられますので、こういった方々が分母を大きくすると言いましょうか、東京の場合14%の方がダブル登録となっています。この分を考慮しますと実際の就職率は4ポイントから5ポイント上がるのではないか試算しています。そういったことも分析しながら、我々のサービスでどれだけの方が就職しているのかについても、よりわかりやすくご説明していきたいと思います。
秋山委員
  メンタルヘルスについては、かなり世間でも注目を浴びていることもあり、今回の取組の中にも入っておりますが、実際、具合が悪くなった方についての取組はいろいろあると思います。それを予防するという視点での取組というのは、実際、自分がそういうことをやっていく立場としては難しいと思います。今後の取組の中で、予防といった視点から情報提供という形でお願いしたい。
  それから、労働者に対する支援で何か考えていることがありましたら教えてください。
永山労働基準部長
  今度の改正労働安全衛生法の中でも、過重労働対策、メンタルヘルス対策を充実させることが入っております。例えば、1月当たりの時間外労働時間が100時間を超えるものについては、疲労の蓄積が認められるときは労働者の申出を受けて、医師による面接指導を実施する。併せて、長時間労働によってメンタルヘルスの問題が起きるケースも多いわけで、そういうものも医師の指導の中で行っていくこととしております。
  常時労働者が50人以上の事業場は、産業医の選任の義務がありますので、産業医の方を活用して、そういう対策を充実させていくことだと思います。50人未満の小規模の事業場については、医師会へ事業委託している地域産業保健センターがありますので、そういう所で具体的なご相談にも応じられる制度となっています。
  また、労働者健康福祉機構の東京産業保健推進センターでも相談日を設けていますので、そういう所で相談してもらったり、いろいろな関連の周知広報のためのビデオや書物を貸し出すこともできますので、そういうものも活用していただきたいと思います。
  労災病院では、メンタルヘルスセンターみたいなものを設けておりますので、そういう所に相談したり、診察を受けていただくことも可能だと思います。
秋山委員
  いまのお話は、ちょっと具合が悪いという方に対する対策だと思います。実際、具合が悪くなる前に、そこまでいかないように予防していこうということがすごく大事になってくると思いますので、そちらの取組も、是非併せてやっていただきたいと思います。
野中委員
  1つだけお願いです。アスベストの件です。先ほどのお話でも、もう143件も申請が出て、これから非常に多くなるだろうということですが、我々は建設業で、特に当社の下請の社員については職歴とかかなり明確になるのですが、下請さんについては非常に古いことと、短期間に現場をたくさん回るということで、最終の事業場を認定していくのが難しく、我々も確認するのは非常に難しい。したがって、最終事業場の認定に当たっては、慎重に認定の方法をお願いしたい。よろしくお願いします。
永山労働基準部長
  このところ、申請件数、認定件数はだいぶ多くなっています。東京では、これから建築物の解体工事等が多く実施されると思いますので、予防対策はしっかりやっていくこととしています。労災請求事案については、まさに言われたような最終事業場の認定が難しい場合もありますので、迅速に調査をいたしますが、法律に則って適正な認定に務めていきたいと考えております。
久笠委員
  雇用機会均等法や仕事と家庭の両立支援に関して、制度面等周知徹底を図っていくということですが、実は今まで私は組合の仕事をやるまでそういう周知文書・広告を見たことがなく、一般の方には行き届いてないと思われます。有効な広報の観点から、これからどのような広報活動をしていくのか教えていただきたい。また、労働局のホームページの「21世紀職業財団」という所を拝見し、働く女性の能力発揮や両立支援に関する、フレーフレーテレフォンの存在を知りましたが、この存在について知っている人と、知らない人ではかなり差が出てくると思いますし、非常に有益なサイトだと思いますので、こういったことも広報をお願いします。
菅原雇用均等室長
  広報については本当に力を入れていかなければと思います。特に中小企業に対する資料などについては、今までもそうだったのですが、とにかく分かりやすいことが大事で、パンフレットが何冊にもなってしまうと全くわかりにくいので、そこを気を付けてわかりやすい資料を作りながら配付していきたいと思います。
  雇用均等室は、東京に1つしかないのですが、結局、地域に支所があるわけで、その連携を、特に来年度は強化して、そういうところでパンフレットも手に入ったり、いろいろな情報も提供できるように力を入れていきたいと思います。
  それからホームページの関係ですが、いまはネットでいろいろ調べる方が非常に多く、そういう中から私どもに質問が来ることも多いのです。ホームページについては充実していこうと思います。まだ至らないところも随分あります。特に、21世紀職業財団や仕事みらい館などのホームページは非常に充実しておりますので、そういう所ともリンクを張りながら、充実して提供していきたいと思います。
奥田労働局長
  総務部長の説明の中でマザーズハローワークという話をしましたが、「マザーズハローワーク東京」という名前で4月にオープンします。首都圏では東京、横浜、千葉の3カ所にできます。東京の場合は、今、渋谷にある「ワークプラザ」を発展させることにしています。ここのコンセプトとしては、女性の『就職生活』情報ステーションということにしています。就職のお世話は当然するのですが、仕事と子育てという女性の生活に関する情報ステーションとして運用していこうと考えています。21世紀職業財団の情報や市町村における子育て支援の情報などもそこにできるだけ多く集約して、問い合わせがあればマザーズハローワーク東京からそういった情報発信をしていきたい。そういう意味で、ここも広報の1つの拠点として活用していきたいと思います。
石井委員
  資料3の労働力需給調整事業の件ですが、これから企業はアウトソーシングがどんどん進んでいき、それに比例して事業者数が増えてくるわけです。その際、労働者派遣事業者に対しての集団指導をすると同時に、派遣事業における派遣労働者の実態調査ということで、例えば、どういう能力の人にどの程度の賃金を払っているのか、あるいは昇給的なものがあるのか、継続雇用をしていくのか、我々企業側として知りたいことはいろいろあるのですが。今後実態調査をやる予定はあるのでしょうか。
三上需給調整事業部長
  ご説明資料、5頁の「首都圏適正化キャンペーン」の中に示しておりますように、事業所に対するアンケート調査などをしております。これは個別事業所の労働者はどういうふうになっているかとか、そういうことを調べたわけではなく、派遣と請負いの区分について製造業に関連して、今回は初めてアンケートを行いました。
  また局としては、年に1度、事業報告をしていただいております。それは年報という形で全国版が出ています。ただ、それは個別労働者の賃金等細かい状況を示すものではありません。本省の統計情報部のほうから、昨年の9月に派遣労働者実態調査が出ております。業務の規制緩和等々が始まってきている中で、いまの派遣の現状なりを調べた初めての統計調査です。
   この中で男女比や賃金、どういうことが要望されているのかといったことが示されています。いま現物は持っておりませんが、そういった調査はあります。
石井委員
  機会がありましたら、こういう所で発表していただくとありがたいと思います。
三上需給調整事業部長
  そうですね。また取りまとめて、考えていきたいと思います。
大久保委員
  一般論としての意見のようなことを少々申し上げさせていただきます。東京局の労働行政については、いまも詳細なご説明がありましたように、結果として全体的に成果を上げておられると個人的には認識しております。次世代の問題、あるいは改正高齢法の問題についても大きな力を発揮されたのではないかという気がします。
  平成18年度の運営方針を見ますと、確かに重点項目に6点上がっていますが、これはここ何年間か続いてきた問題をさらに取り上げていく形のように見られるわけです。この厚い資料をしっかり読めば、いろいろなことが出ていると思うのですが、できればこの中で「こいつを目玉にしたいよ」というのがあれば教えていただきたい。これだけを見ると、いつもと同じだなという感じを受けます。まだ読んでいないので、その辺は恐縮ですが。
  第2点目は、パートや派遣の人数が非常に多くなっている中で、今年の春期労使交渉においても、パートの賃上げというものが非常に大きくクローズアップされてきています。これをどのように経営側として受け止めるか。個別企業だけ考えてみると、パートの賃金を上げてくれと言われても、これはなかなか難しいのです。なぜならばパート・派遣の賃金は市場賃金ですから、1つの会社でどうこうするということが、逆に他の企業に迷惑をかけるようなことになったりもします。これは要望ですが、東京都としてもパートや派遣の賃金の統計をきちんと整備し、利用しやすいものにしていただきたい。もちろん賃金センサスには載るわけですが、これはやはりタイムラグがあります。
  もう1つ大きな問題として、いま疑問なのは、有効求人倍率が全国で1%を超えていますが、失業率はあまり低い数字になっていない。例えば、ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれたプラザ合意のときの有効求人倍率は0.76%なのです。いま1%を超えているということは破天荒な数字なわけです。東京にしても有効求人倍率は多分1.54%程度で、おそらく失業率も1.54%に見合う低さになっていないと思うのです。そこにいろいろな問題が潜んでいると思います。フリーターの問題もあるでしょう。ですから、この辺の理由がわかれば教えていただきたい。
  また、過去10数年間の労働政策は労働移動をどんどん進めるという方向に傾いていたわけです。これは行政も同じだったと思います。それが本当にいいのかどうか。どんなアンケートを取っても、組織に勤めている人の60~70%は「できることなら、いまの職場にいたい」というのが実態です。それならば、単なるミスマッチ解消のために労働移動を増やすことがいいのかどうか。先行き、安定性、その他を考えたときにむしろ定着対策のほうが重要なのではないか。経営側の論理でいけば、厳しいときに我慢してもらうのはどうしても正規従業員だったり、定着するような従業員でなければならないわけです。その辺を行政として移動的なものを考えるのか、定着的なものを考えるのか。あるいはそのマッチングなのか。こういうことが明らかになってくることが非常に重要なのではないかと思います。
清家会長
  多岐にわたるご意見でしたが、事務局から何かお答えになりますか。あるいは基本的な方針等について、局長から何かございますか。
奥田労働局長
  後半の話とも関係しますが、数字上では求人倍率は高くなりました。東京の1月の友好求人倍率は1.58倍です。この1.58倍というのは極めて高い数字だと思いますが、中身を見ると、過去数年間に起きた労働市場の構造変化が相当大きく反映しています。東京においても、求人のうち約3割が派遣会社・業務請負業者からのものです。また、職種別には、高度な技術者に対する求人倍率はきわめて高くなっていますが、一般事務になりますと、1倍に届きません。このように職種間では相当大きなミスマッチがあります。
  さらに年齢別の状況を見ますと、若年者の失業率が徐々に下がってきたとは言え、まだかなり高いということで、若年者の失業あるは不安定雇用の問題は構造として残っています。私どもとしては、現在、安定した職場を若年求職者の方に提供することが重要であるということでフリーターの常用化支援に力を入れています。
  武石委員からもお話がありましたように、風向きとしては、私どもが仕事をやりやすい方向に向いてきておりますので、そういった風を利用しながら、この機会をとらえてより良い勤労者生活の充実、特に労働行政全体が仕事と生活の調和、ワークライフバランスを実現できるように対策を整備してきていますので、そういった方向に全体を向けていくような施策展開をしていきたい。
清家会長
  大久保委員のご指摘はすべて大切なポイントですが、1つひとつ検討するには非常に大きなテーマですので、引き続き重要なご指摘と受け止めていただきたい。
上原委員
  フリーターとかニートという問題は出ており、いろいろ施策を打つことはそのとおりだと思います。同時にこれはやはり根本的な原因の掘り下げがないと、税金の無駄使いのような気がします。
  それから雇用ミスマッチの問題で資料を読みますと、ハローワークで、来た人に「趣味は何ですか」と聞いたら、「旅行が趣味です」という話で、旅行代理店の窓口を紹介したという例が載っていました。そういうきめの細かい対応が一方でいるのではないか。これは感想です。
  もう1つは、成熟社会になるほど、さまざまな労働条件をよくしてほしいと要求されるのは議論の余地がないところです。一方で企業によってはグローバルな競争をしていて、労働力の質はともかく、コストの安い国と競争しなければならない。そういうものに対応する長期的なビジョンが必要で、そうでないと産業によっては残っていけない業種が出てくるわけです。そういう連なりの中で競争力を上げていき、仕事を維持していく難しさもあろうかと思います。これは国との施策の問題なのでしょうが、そういうときに少子化対応や外国人労働の活用もしなければならないのではないかという議論もされている中で、もう少し長期的な視点から、それらに向けて対応していく方が経営としては必要なことではないかと思います。
清家会長
  山崎委員、金子委員、何かご発言はありますか。
金子委員
  先ほど議論されたニート・フリーターの問題と関わりますが、私も若者の失業率の高さが非常に気になるわけです。平成18年度の具体的な対策は、それはそれで意味はあると思いますが、しかしニートの問題というのは、私が大学で体験しているケースをみると、行政が具体的な施策を実施してもそれに乗ってこない者がけっこういるところに1つの大きな問題があるのではないかと思います。職業体験をさせる、あるいは職業意識を醸成させてやるという具体的な施策を講じても、それに反応してこない人たちにどういう対応の仕方があるのか考えてみる必要があると思います。上原委員のご意見もありましたが、もっと人間としての根本的なところに原因があるのではないかという気がするわけです。そういった点で、高等学校や大学との連携を深める場合、ニート層を生み出す心理的要因や社会環境をどうカバーできるのか考えていただくと、若者の失業率の高さに何らかの答えが出てくるのではないかというように感じます。難しい問題ですが、これは意見ですので答えはいりません。
山崎(公益)委員
  平成18年度の運営方針の中に「雇用のミスマッチ縮小」というのがありますが、それはすごく大切なことだと思います。例えば旅行が好きな人であれば、旅行関係の会社へといわれているということですが、実際にミスマッチがわかるのは、就職したあとではないかということも考えられるわけです。
  障害者の就職のことを考えると、いまハローワークを使って雇うとジョブコーチがついてきたり、トライアル雇用があったりして、実際にその人が合わなかった場合、何とか改善できるのではないかとか、いろいろなことが一緒にできるわけです。あのシステムは障害者だけではもったいないような気がします。それは人数的にも大変なことだとは思いますが、それが就職したあとで個別紛争まで行く前に、何か行われたらいいのではないか。これは意見です。
清家会長
  それでは時間になりましたので、本日の会議は終了させていただきます。最後に事務局からご挨拶をお願いします。
奥田労働局長
  本日は大変熱心なご議論をいただきましてありがとうございました。私どもといたしましては、平成18年度において多くの対策を実施していくつもりですが、いろいろな面において皆様方のご協力をいただきたいと思っています。どうか来年度におきましてもご協力をお願いして、閉会のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
清家会長
  それではこれをもちまして、「第3期第2回東京地方労働審議会」を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。


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