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東京労働局発表
平成20年5月22日




東京労働局労働基準部
 安全課長      佐藤 誠
 主任安全専門官   大場 光洋
 労働衛生課長    花房 克好
 主任労働衛生専門官 中山 篤
 電話 03(3512)1615・1616

東京都内の労働災害の発生状況(平成19年確定値)
及び労働災害防止対策の推進について

~労働者の安全と健康の確保を目指して~
 東京労働局(局長 村木太郎)では、東京都内における平成19年の労働災害発生状況をとりまとめた。
 死亡災害は、保健衛生業や清掃業など第三次産業で増加がみられたものの、全産業では平成18年より2人減少し97人となったところであるが、依然として100人近くの労働者が被災している。
 一方、死傷災害(死亡災害を含む休業4日以上の災害)は、商業等で増加したものの、全産業では平成18年と比較して0.7%減少し、10,008人となったが、引続き1万人を超える結果となった。
 また、腰痛等の業務上疾病は増加しており、脳や心臓疾患、精神障害等の作業関連疾患も増加傾向を示した。
 東京における労働災害の被災者数は、長期的には減少傾向を維持してきたが、近年、その傾向は鈍化している。当局においては、このような労働災害発生状況を踏まえ、平成20年から新たに展開する第11次東京労働局労働災害防止計画(計画期間平成20年度から平成24年度)に基づき、事業場の自主的な安全衛生活動を促進するためにリスク低減対策(危険有害要因の低減対策)の促進及び災害等が多発している業種、重篤な労働災害等に対する具体的な防止対策の充実を図るとともに健康を確保するために総合的な対策を推進することとしている。

1 全産業における労働災害発生状況(図1図2参照)

 東京都内における近年の死亡災害をみると、平成19年は、平成18年より2人減少し97人となった。
 死傷災害は、平成19年で10,008人(対前年比70人減)と減少したが、平成18年に引き続き1万人を越える結果となった。

2 業種別等の労働災害発生状況(図3図4図5参照)

(1) 製造業
 死亡災害は3人(対前年比1人減)、死傷災害は1,105人(対前年比6.1%減)となった。労働災害の内容をみると、機械等への「はさまれ・巻き込まれ」(死亡1人、死傷311人)によるものが多く発生している。
(2) 建設業
 死亡災害は42人(対前年比1人増)、死傷災害は1,879人(対前年比0.7%増)となった。労働災害の内容をみると、足場等からの「墜落・転落」(死亡27人、死傷677人)、運搬機械等の「はさまれ・巻き込まれ」(死亡4人、死傷207人)によるものが多く発生している。
(3) 運輸業(運輸交通業及び貨物取扱業)
 死亡災害は10人(対前年比5人減)、死傷災害は1,672人(対前年比3.9%減)となり、中でも道路貨物運送業の労働災害が多数を占めている(死亡7人、死傷993人)。労働災害の内容をみると、「交通事故」(死亡5人、死傷244人)のほか、荷台等からの「墜落・転落」(死亡2人、死傷329人)、「はさまれ、巻き込まれ」(死亡1人、死傷182人)や「動作の反動、無理な動作」(死傷275人)といった荷役運搬作業時によるものが多く発生している。
(4) 商業(卸小売業など)
 死亡災害は11人(対前年比2人増)、死傷災害は1,540人(対前年比2.7%増)となった。労働災害の内容をみると、「転倒」(死傷368人)、「墜落・転落」(死亡4人、死傷249人)、「交通事故」(死亡5人、死傷122人)のほか、「はさまれ、巻き込まれ」(死亡1人、死傷111人)、「切れ、こすれ」(死傷138人)も多く発生している。
(5) 接客娯楽業(飲食店など)
 死亡災害は1人(対前年比3人減)、死傷災害は843人(対前年比4.5%増)となった。労働災害の内容をみると、「切れ・こすれ」(死傷189人)、「転倒」(死傷205人)によるものが多く発生している。また、「墜落」(死亡1人、死傷78人)による死亡も発生している。
(6) 清掃業(ビルメンテナンス業など)
 死亡災害は10人(対前年比7人増)、死傷災害は779人(対前年比2.0%増)となった。労働災害の内容をみると、「転倒」(死傷248人)、「墜落、転落」(死亡6人、死傷195人)によるものが多く発生している。また、「激突され」(死亡1名、死傷14人)による死亡災害も発生している。
(7) その他の第三次産業(保健衛生業、金融業、警備業、管理事務のみを行う企業の本社など)
 死亡災害は18人(対前年比4人減)、死傷災害は2,094人(対前年比2.0%減)となった。労働災害の内容をみると、「転倒」(死傷435人)、「動作の反動、無理な動作」(死傷409人)、「交通事故」(死亡5人、死傷328人)によるものが多く発生しているほか、死亡災害では「墜落」(死亡7人、死傷262人)による死亡が多く発生している。
(8) 過重労働による健康障害及びメンタルヘルス
 脳血管疾患・虚血性心疾患及び精神障害等の過重労働による作業関連疾患の労災請求件数、認定件数は増加している。

3 東京労働局において推進する労働災害防止対策等

(1) 第11次東京労働局労働災害防止計画の推進
 東京労働局では、平成20年度から新たに展開する第11次労働災害防止計画(計画期間平成20年度から平成24年度)に基づき目標を設定し、労働災害の着実な減少に向けて取組みを行っていく。
1  計画期間
 平成20年度を初年度とし、平成24年度を目標年度とする5ヵ年計画とする。ただし、平成20年度から平成22年度までの3年間に具体的対策を重点的に推進し、毎年度の成果等を的確に把握、検証した上で、平成23年度以降の計画の推進に反映させるものとする。
2  計画の目標
 本計画中にあっては、死亡災害、死傷災害いずれにおいても明確に減少傾向とすることを目標とし、最終年である平成24年において、前次の労働災害防止計画最終年である平成19年と比し、「死亡者数の20%以上減少」、「死傷者数の15%以上減少」という目標値を設定する。
 また労働者の健康確保対策及び快適職場の形成を図り、「過重労働による健康障害、職場のストレス等による健康障害等作業関連疾患を減少させること」、「災害性の腰痛等の職業性疾病を減少させること」という目標を設定する。
3  重点対策、重点実施事項
 重点対策として、「事業者等による自主的な安全衛生活動の促進」、「設備又は管理を原因とする重篤な労働災害の防止」、「健康確保対策の推進」を推進していく。
 また、具体的な重点実施事項として以下の対策を推進する。
 安全衛生管理体制の確立と安全衛生活動の活性化
 経営トップと接する機会をとらえ、自らが先頭に立って安全衛生管理活動に取り組むよう働きかけ等を行うとともに、法定管理者の選任及びその職務の履行の徹底、安全衛生委員会等の活動の活性化及び日常的な安全衛生活動の充実、雇入時等における安全衛生教育の実施の徹底を指導し、安全衛生管理体制の確立、安全衛生活動の活性化を図る。
 リスクアセスメント(*1)及び労働安全衛生マネジメントシステム(*2)の導入促進
 リスクアセスメント等の実施及び労働安全衛生マネジメントシステムの導入による自主的な安全衛生活動について、促進協議会、労働災害防止団体、関係業界団体等と連携を図るなどにより、その普及・定着を図る。
*1  リスクアセスメントとは、職場の危険有害要因(リスク)を見つけ出して危険度・重篤度を評価するとともに、危険度・重篤度の高いリスクから優先的に対策を講じることで労働災害の発生を未然に防止する安全衛生管理手法のこと。
*2  労働安全衛生マネジメントシステムとは、経営トップの安全衛生管理方針の表明のもと、リスクアセスメントを行い、これらに基づいて目標を設定し、安全衛生計画の作成(P)、実施(D)、評価(C)及び改善(A)を適切かつ継続的に実施していく安全衛生管理活動に関する仕組みのこと。
 墜落・転落災害の労働災害の防止対策の推進
 足場などの高所での作業やはしご・脚立等からの墜落災害が増加していることから、事業場におけるリスクアセスメント等の実施により、墜落・転落の危険要因の把握、労働災害防止措置の徹底を図る。
 特に、死亡災害の多くを占める建設業に対し、墜落による死亡災害の20%減少に向け取り組む。
 機械災害の防止対策の推進
 依然として多発している食品加工用機械等による、はさまれ・巻き込まれ等の労働災害を防止するため、機械を使用する事業者及び機械の製造者に対し、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」及び改正された「機械の包括的な安全基準に関する指針」に基づく安全対策の周知徹底を図る。特に「使用上の情報の提供」の定着を図る。
 転倒・動作の反動・無理な動作による労働災害の防止
 事業場におけるリスクアセスメント等の実施、危険予知活動、災害事例、効果的な労働災害防止対策の収集等により、設備・作業環境の安全化、作業方法・作業手順の改善の促進を図る。
 交通労働災害防止対策の推進
 依然として、死亡災害に占める交通労働災害の割合が大きいことから、関係行政機関、労働災害防止団体等と連携し「交通労働災害防止のためのガイドライン」の周知・指導を図る。
 健康確保対策
 過重労働による健康障害防止対策として、時間外・休日労働の削減、年次有給の休暇の取得促進等や労働安全衛生管理体制の整備の徹底を図る。またメンタルヘルス対策として、労働者一人ひとりの早期の気づきを促すための教育、研修等の実施を促進するとともに、相談体制の整備、職場復帰のための対策の推進を図る。
 過重労働による健康障害の未然防止を図る観点から国民一般に対して周知、啓発行うため、過重労働による健康障害防止運動の展開を図る。
 アスベストによる健康障害防止対策として、計画届等の届出はもとより、アスベスト解体作業時における労働者のばく露防止対策やアスベスト製品の製造等の全面禁止の措置の徹底を図る。更に職業性疾病予防対策として、職業性疾病の約61%を占める腰痛の発生が多い介護作業、重量物運搬作業等を有する業種を重点に、「職場における腰痛予防対策指針」に基づく対策の一層の推進を図る。
 就業形態の多様化等に対応した安全衛生管理対策
 派遣労働者が従事する作業に関し、派遣元・派遣先事業場の双方に対して、安全衛生教育の実施等労働安全衛生法上の措置義務の履行の徹底を図るとともに、派遣元・派遣先責任者間の連絡調整の促進を図る。
 高年齢労働者の身体的特性や高年齢労働者の労働災害事例を踏まえ、作業環境、機械設備及び作業方法の改善を促進する。
 重点業種別労働災害防止対策
 建設業では「墜落、転落」や「機械」による労働災害、運輸業では「交通事故」及び荷役作業時における「墜落、転落」、「機械」等による労働災害、第三次産業では災害が多発している小売業、飲食店、ビルメンテナンス業及び社会福祉施設を重点に、製造業では「機械」による労働災害をなど業種ごとの災害内容に応じた労働災害防止対策の徹底を図る。
(2) 全国安全週間の実施
1
期間

 6月1日~30日   準備期間

 7月1日~7日   本週間
2  趣旨等
 産業界における自主的な労働災害防止活動を促進するとともに、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ることを目的として実施。
3  平成20年度のスローガン
「トップが率先 みんなが実行 つみ取ろう職場の危険」
(3) 東京産業安全衛生大会の開催
1  趣旨  職場における労働者の安全と健康の確保を図るため、優良な事業場に対する東京労働局長表彰を行うとともに、事業者及び労働者等の関係者はもとより、国民一般における労働者の安全と健康の確保に対する気運の醸成を図る。
2  日時
 平成20年7月7日 13:30~
3  場所  九段会館
4  発表等
 事業場の労働安全衛生への取組事例など
(4) 産業保健フォーラムIN TOKYO 2008 の開催
1  趣旨
 過重労働による健康障害防止運動の中心的事業として事業者及び労働者等の関係者はもとより、広く国民一般に過重労働による健康障害防止、メンタルヘルス対策等の周知、啓発を行う。
2  日時
 平成20年9月8日 10:00~
3  場所  九段会館
4  講演等  「睡眠と労働」・「過重労働による健康障害」など




別添 第11次東京労働局労働災害防止計画


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