送検事例 平成22年度

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◇ 平成 23 年 3 月の送検事例

 

 事例 1

食料品製造会社らを「労災かくし」で書類送検

 

  立川労働基準監督署は,食料品製造会社及び同社の総務部長を,労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

  被疑会社は,食料品製造業を営むものであるが,平成21年9月11日, 東京都東村山市内の同社工場において,同社従業員が製品搬送中に転倒し,左大腿部,腰部等の打撲等の傷害を負い,76日間休業したにもかかわらず,労働災害を隠蔽する目的で,労働者死傷病報告を遅滞なく提出しなかったものである。マンション改修工事現場における墜落災害で足場工事業者を書類送検

  


  

 事例 2 

違法な時間外・休日労働及び割増賃金の不払などで書類送検

 

  品川労働基準監督署は,不動産仲介会社及び同社の代表取締役らを,労働基準法違反の容疑で,東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

  被疑会社は,平成20年9月21日から平成21年4月20日までの間,労働者1名に対し,時間外労働・休日労働に関する協定(いわゆる36協定)を締結しないまま,違法な時間外・休日労働をさせたもの。

  また,時間外労働と休日労働に対する割増賃金及び深夜(午後10時から午前5時まで)における労働に対して,約204万円の割増賃金を支払わなかったものである。

 

 


 

事例 3 

月100時間を超える違法な時間外労働で書類送検

 

  大田労働基準監督署は,食料品製造会社と同社の代表取締役を,労働基準法違反の容疑で,東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 被疑会社は,平成22年3月15日から同年5月28日までの間,同社第二工場の労働者10名に対し,当署に届け出た「時間外労働・休日労働に関する協定届(いわゆる特別条項付きの36協定)」で延長することができる限度の1か月100時間を超えて,1か月について2時間23分ないし93時間14分の労働をさせたものである。

 

 

 

 

 

◇ 平成 23 年 2 月の送検事例

 

 事例 1

解体作業中に墜落事故を発生させた事業者を書類送検

 

  八王子労働基準監督署は,建設工事業者及び同社の代表取締役社長を,労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

  平成22年10月22日, 東京都八王子市内の高さ約10メートルの鉄骨コンクリート3階造の建物 の解体工事現場において,派遣会社から被疑会社に派遣された労働者3名が解体作業を行っていたところ, 労働者が3階で壁を壊す作業中に,3階屋上部分が崩れ,同人が3階の床端から約7メートル下の地上部まで墜落し,腰椎骨折などの重傷を負う災害が発生した。

   労働安全衛生法では,コンクリート造の解体作業を行う場合においては,法定の技能講習を修了した者のうちから,コンクリート造の工作物の解体等作業主任者を選任しなければならないとされているが,被疑者はこれを選任することなく,労働者に作業をさせていたものであり,派遣先事業場となる被疑会社等を送検した。

  

  

 

 

◇ 平成 22 年 12 月の送検事例

 

 事例 1

地下道建設工事現場の土砂崩壊で書類送検

 

  三鷹労働基準監督署は,地下道建設工事現場で発生した土砂崩壊事故に関連して,施工業者3社及び3社の現場責任者を労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川 支部に書類送検した。

 

〈事件概要〉

  平成21年10月30日午前,東京都西東京市内で施工していた地下道建設工事現場において,掘削作業を行っていた二次下請の労働者が崩壊した土砂に生き埋めとなり,救出後の翌31日に死亡する災害が発生した。

  労働安全衛生法では,トンネル内の掘削面が土砂崩壊するおそれがある場合には,土止めを設けるなど土砂崩壊の危険を防止する措置を講じることが定められているが,二次下請の現場責任者が,これらの措置を講じることなく,作業を行わせていたもの。

  また,事故発生の前日にも,一次下請の現場責任者が同様に土止めを設けるなど土砂崩壊の危険を防止する措置を講じることなく別の労働者を同場所で作業させ,元請もこれを黙認していたことから,それぞれの違反について送検したものである。 

  

  

 

 

◇ 平成 22 年 11 月の送検事例

 

 事例 1

最低賃金法違反容疑で貸しおしぼり業者を書類送検

 

   足立労働基準監督署は、最低賃金を下回る賃金を支払っていた最低賃金法違反容疑で、貸しおしぼり業者と同社の取締役を東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉
 被疑会社は、東京都足立区内の工場において、平成21年5月21日から同年9月30日までの間、10名の労働者に対し、東京都最低賃金(時間額766円)以上の賃金を支払わなければならないのに、これを支払わず、また、平成21年10月1日から同年11月20日まで間、8名の労働者に対し、東京都最低賃金(時間額791円)以上の賃金を支払わなければならないのに、これを支払わなかったもの。

   上記期間において、同社が支払っていた賃金は、最も低い者で時間額600円であった。また、最低賃金不足額は、総額で約79万円であった。
   なお、平成21年10月16日、足立署は被疑者に対し、不足賃金を支払うよう行政指導を行っていたが、この行政指導に応じなかったため、書類送検に踏み切ったものである

  

  

 

 

◇ 平成 22 年 10 月の送検事例

 

 事例 1

    屋根改修工事現場でスレート葺屋根を作業員が踏み

抜き,墜落し死亡下請板金工事業者等を書類送検

 

  池袋労働基準監督署は,スレート葺屋根改修工事を施工した板金工事業者と工事現場

責任者を労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁へ書類送検した。

 

 〈事件の概要〉

 平成22年5月30日,東京都練馬区内の工場の屋根改修工事において派遣労働者がスレート葺屋根上で屋根材の運搬作業を行っていたところ,同労働者が屋根を踏み抜いて高さ8.4メートルから墜落し,死亡する災害が発生した。  

   被災労働者の作業は,スレート葺屋根上での運搬作業であり,踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれがあり,幅が30センチメートル以上の歩み板を設ける等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならないことが労働安全衛生法で定められているにもかかわらず,被疑者は歩み板を設けることなく労働者に作業をさせていたものである。 

  


  

 事例 2 

アースドリル転倒災害に関し書類送検

 

 中央労働基準監督署は,基礎工事専門業者と同社の職長を労働安全衛生法違反の容疑 で,東京地方検察庁へ書類送検した。

 

〈事件の概要〉

   平成21年4月14日,東京都千代田区内のマンション新築工事現場の基礎工事において,被疑者は,くい穴に建て込んだ重さ10.46トンのケーシングをアースドリルで引き抜くに際し,当該アースドリルの最大使用荷重を守らずに,作業を行わせたもの。

 その結果,アースドリルが転倒し,アースドリルの運転手が負傷すると共に,歩行者2名が死傷し,隣接する国道を通行していたトラックの搭乗者3名が負傷したもの。 

 

 

 

   

◇ 平成 22 年 9 月の送検事例

 

 事例 1

 作業床を設けることなく電柱上で高所作業を行わせた電気工事業者らを書類送検

 

   青梅労働基準監督署は,電気工事業者並びに同社の取締役を労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

  平成22年3月20日,東京都青梅市内のJR青梅線宮ノ平駅構内の電力設備改良工事現場において,被疑会社労働者が線路脇に立つ木製の電柱上(地上から高さ約5.57メートル)で電線の撤去作業を行っていた際に,その木製電柱が根元から折れ,労働者が木製電柱とともに線路上に墜落し,死亡する災害が発生した。 

   労働安全衛生法では,地上から高さ2メートル以上の箇所で作業を行う場合において,墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある時は,高所作業車を使用する等の方法により作業床を設けるなどの措置を講じなければならないとされているが,被疑者は作業床を設けることなく労働者に作業をさせていたものである。

  本災害は上記の墜落防止措置を講じることで回避することができた災害であった。

  


  

 事例 2 

   マンション新築工事現場で作業員が開口部から墜落,

重傷元請建築工事業者と工事現場所長を書類送検

 

 向島労働基準監督署は,元請建築工事業者及び同社の工事現場所長を労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

  平成22年3月5日,東京都墨田区内のマンション新築工事現場において,下請会社の労働者に,同工事現場の5階(高さ11.74メートル)で,建設用リフト(積載荷重0.24トン)を使用させ,荷の運搬作業を行わせていたところ,同建設用リフトの荷台の床先と荷の積卸口の床先との間から同労働者が地上に墜落し,重傷を負う災害が発生した。

  被災労働者の作業場所は,高さ2メートル以上であり,墜落の危険がある幅26センチメートルから幅29センチメートルの開口部があったにも拘わらず,被疑者は労働安全衛生法で定める有効な覆いを設けていなかったものである。

 


 

事例 3 

多店舗展開企業で賃金不払小売業者と

店長を労働基準法違反容疑で書類送検

 

 

  上野労働基準監督署は,衣料品及び食料品小売業を営む多店舗展開企業及び同社の衣料品小売店店長を労働基準法違反の容疑で,東京地方検察庁へ書類送検した。

〈事件の概要〉

 被疑会社の店長は,平成21年3月1日から平成22年2月28日までの間,同店の販売業務に従事する労働者27名に対し,延べ11,905時間の時間外労働(時間外労働割増賃金にして約2023万円分)を行わせていたにもかかわらず,1,855時間分の時間外労働割増賃金(約318万円)しか支払っていなかったもの(約1705万円が未払い)。

 同社については,平成16年以降,東京労働局管内の各労働基準監督署が店舗・部署に対し,7回にわたり賃金不払残業について是正勧告を行ってきたが,全社的に抜本的な改善が図られていなかった。

 そのため,上野労働基準監督署は,同社の中核店である店舗につき捜査を行い,違反が特定された上記期間について書類送検したものである。

  


 

事例 4

勤務の途中に休憩を与えていない総合警備業者を書類送検

 

   中央労働基準監督署は,総合警備業者と同社の常務取締役ほかを労働基準法違反の容疑

で,東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

  被疑会社は,機械警備(ホームセキュリティ等),輸送警備(現金輸送等),常駐警備(施設警備・交通誘導等),保安警備(万引き防止等)といった総合警備業を行っているものであるが,同会社では,機械警備については,同会社の本店事務所で警備対象物件等を通信システムで集中監視し,異常発生を関知したときに,都内に点在する待機所に待機させた労働者(以下「警備員」という。)を現場に出動させていた。

   しかし,待機所に待機させていた警備員は常に一人で,午前10時から翌日の午前10時までの24時間勤務を行っており,かつ,出動していない時間帯においてもいつ出動指令が出るか分からない待機時間となっており,同会社は,警備員に対し,労働時間の途中に法定の休憩時間(労働時間が8時間を超える場合は,少なくとも1時間)を与えていなかったものである。

  同会社に対して,中央労働基準監督署は,再三,是正を求める指導を行ったが,同会社の常務取締役ほか4名は,共謀して,是正をしないことを決定し,違法な状態を継続させていたものである。

  容疑事実は、警備員22名に対し、平成21年7月20日から平成22年1月19日の間,延べ1,577日にわたり、8時間を超える労働時間の間に1時間以上の休憩時間を与えていなかったものである。  

 

 

◇ 平成 22 年 6 月の送検事例

 

 事例 1

一酸化炭素中毒の労災かくしで建設会社らを書類送検

    

 

   東京労働局は、建設会社及び同社の代表取締役を労働安全衛生法違反の容疑で、東京地方検察庁へ書類送検した。

 

<事件の概要>

  被疑会社は、建築工事の塗装・防水工事を請け負う建設工事業者であるが、平成21年2月24日、東京都中央区のマンション新築工事現場において、地下1階での塗装作業中、塗料を吹き付けるために使用していたエンジンコンプレッサーから排気ガスが発生し、その排気ガスを吸い込んだ労働者が一酸化炭素中毒を発症する災害を発生させた。

   当該労働者は5日間休業したが、被疑会社は、労働者死傷病報告書を、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に提出しなかったもの。

  被疑会社は、元請建設会社に迷惑をかけたくないと思い、被災労働者の治療費等を自社で負担していたが、その額が多額となったため、災害が発生したのとは別の自社が施工する工事現場で災害が発生したこととして、労災保険請求を行うとともに、架空の労働者死傷病報告書を提出していた。

  


  

 事例 2 

型枠解体作業での労災かくしで建設会社らを書類送検

 

  渋谷労働基準監督署は、建設会社及び同社の取締役を労働安全衛生法違反の容疑で、東京地方検察庁へ書類送検した。

 

<事件の概要>

  被疑会社は、建築工事の型枠解体を請け負う建設工事業者であるが、平成20年9月25日、東京都世田谷区の大学校舎新築工事現場において、型枠解体作業中、労働者の膝に釘が刺さる災害を発生させた。

  当該労働者は12日間休業したが、被疑会社は、労働者死傷病報告書を、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に提出しなかったもの。

 

 

 

◇ 平成 22 年 5 月の送検事例

 

 事例 1

 労災かくしで書類送検

 

  三鷹労働基準監督署は、建設会社並びに同社の取締役を労働安全衛生法違反の容疑で、東京地方検察庁へ書類送検した。

 

<事件の概要> 

   平成21年8月1日、東京都西東京市所在の集合住宅新築工事現場において、被疑会社労働者1名が同現場の清掃作業中に同現場に設置された足場において転倒し、骨折等の傷を負って休業する災害が発生した。

  そのため、所轄の三鷹労働基準監督署長に対し、遅滞なく、労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告書を提出しなければならなかったのに、被疑者は、労働災害の発生を隠蔽するために、当該報告書を提出しなかったものである。 

  


  

 事例 2 

安全装置の無い丸のこ盤を使用させた建設会社らを書類送検

 

  立川労働基準監督署は、建設会社及び同社の専務取締役を労働安全衛生法違反の容疑で、東京地方検察庁へ書類送検した。

 

<事件の概要>
  平成21年11月20日、東京都立川市内の建設会社木材加工場において、労働者が木材加工用丸のこ盤を用いて木材を縦びき(*)で加工していたところ、ひき割られた木材が反ぱつし、当該労働者の腹部に激突したために、当該労働者が死亡する災害が発生した。

  労働安全衛生法では、木材加工用丸のこ盤を用いて木材を縦びきで加工するときに、ひき割られた木材が反ぱつすることを防止するため、割刃その他の反ぱつ予防装置を設ける等の措置を講ずることとされているが、被疑者はこうした措置を講ずることなく作業を行わせていたものである。

 

  * 縦びき:木目に対して平行に切ること。

 

 

 

◇ 平成 22 年 4 月の送検事例

 

 事例 1

フォークリフトの無資格運転で書類送検

 

  池袋労働基準監督署は、製本業者並びに同社の取締役社長及び取締役経理部長を労働安全衛生法違反の容疑で、東京地方検察庁へ書類送検した。

 

<事件の概要>
  平成21年1月14日、東京都板橋区の製本工場内で、労働者Aが、フォークリフトを用いて、総重量約630キログラムの紙の束を載せたパレットを床上に4段積み上げておいたところ、およそ40分後に上部2段が崩れ、その紙の束(総重量約1200キログラム)が、付近を通行していた労働者Bの頭部に当たり、同人が死亡する災害が発生した。

  同社社長らは、平成19年に同署からフォークリフトの無資格運転を行わせないよう指導を受け、これに対し、同署には無資格運転を行わせない旨報告していたにもかかわらず、実際には、フォークリフトの運転資格を持っていない労働者Aに、5年以上前からほぼ毎日フォークリフトの運転を行わせていたものである。

  

  
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