多様な正社員について
正社員と非正規雇用の労働者との働き方の二極化を緩和し、労働者一人ひとりのワーク・ライフ・バランスと、企業による優秀な人材の確保や定着を同時に可能とするような、労使双方にとって望ましい多元的な働き方の実現が求められています。
徳島労働局では、多様な正社員の推進に向けて様々な情報を発信していきます。
多様な正社員とは
多様な正社員とは
一般的に、正社員は、
- 労働契約の期間の定めがない、
- 所定労働時間がフルタイムである、
- 直接雇用である者
をいいます。
多様な正社員とは、いわゆる正社員(従来の正社員)と比べ、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定されている正社員のことを指します。
多様な正社員の類型
一般に、以下のような類型が挙げられます。
- 勤務地限定正社員・・・ 転勤エリアを限定、または転勤がないなどの限定されている社員
- 職務限定正社員・・・担当する職務内容や仕事の範囲が限定されている社員
- 勤務時間限定正社員・・・所定労働時間が短い、残業が免除されるなどの限定されている社員
多様な正社員の具体例
以下のような例が挙げられます。
- 全国転勤のない営業職
- 限定された店舗で働く販売スタッフ
- ディーラーなど、特定の職務のスペシャリスト
- 1日6H程度の短時間勤務社員
なぜ多様な正社員なのか。
少子高齢化の進展、労働力の減少、価値観の多様化、など、企業の経営環境は変化しています。
これまでのような無限定な働き方を前提とする「いわゆる」正社員とパートに代表される非正規社員という枠組みでは、労働力を確保することが難しい時代に入りつつあります。
多様な正社員制度を導入し、多様な働き方を提示することで、多様性のある優秀な人材を確保し、企業に活力をもたらすことができます。
優秀な社員の確保
- 育児・介護等で転勤ができない、残業ができない。
- 慣れた仕事をやり続けたい。
- 高度専門能力を生かしたい、専門的キャリアを積みたい。
就業意識の多様化・二極化
- 女性の社会進出と共働き世代の増加
- 限定された勤務条件で働きたいニーズ
- ワークライフバランスを求める就業意識の変化
二極化した人材ポートフォリオの見直し
- 労働契約法18条の無期転換権行使者の処遇
- 正社員、非正規社員の転換の受け皿
- 多様性の提示
専門的人材の処遇
- 経済の高度化・グローバル化による競争環境の激化
- 技術革新や消費者ニーズの加速化
- 外部労働市場からの高度専門人材の調達と処遇
多様な正社員のメリット
多様な正社員制度を導入することで、労使にメリットがあります。
企業側のメリット
- 優秀な人材の確保・定着・・・家庭の事情などで辞めざるを得ない社員の離職防止
- 多様な人材の活用・・・例えば、地元志向の優秀な人材の採用や定着促進に資することができます。
- 技能の蓄積・承継・・・職種転換の受け皿として、人材の育成、技能の蓄積・承継ができます。
- 地域に根差した事業展開・・・地元の人材を雇用することで、地域に密着し、地域に根差した事業活動ができます。
労働者側のメリット
- ワークライフバランスの実現・・・勤務地や勤務時間の限定により、ワークライフバランスを実現できます。
- 雇用の安定・処遇の改善・・・安定した雇用の下で、処遇の改善により、意識を高く働くことができます。
- キャリア形成・・・スペシャリスト、あるいは地元を知り尽くした人材としてのキャリア形成・キャリアアップを行うことができます。
- サステイナブルな就業環境・・・育児・介護等で仕事を辞めることなく、無理なく働き続けることができます。
多様な正社員の活用ケース
例えば、以下のような活用ケースが考えられます。
勤務地限定 |
職務限定 |
勤務時間限定 |
|
有能な非正規社員の離職に対応したい。 | ○ | ○ | ○ |
有期雇用者の無期転換後の受け皿を作りたい。 | ○ | ○ | ○ |
非正規雇用者が多く技能の蓄積・承継が進まない。 | ○ | ○ | |
育児・介護等による離職を防ぎたい。 | ○ | ○ | |
職務の範囲が狭い一般職の育成が進まない。 | ○ | ○ | |
高度な専門性を必要とする業務を担える人材がいない。 | ○ |
多様な正社員の雇用管理上の留意事項
労働者に対する限定の内容の明示
- 転勤、配置転換などに関する紛争を未然に防止し、労働者にとってもキャリア形成の見通しができ、ワーク・ライフ・バランスを図りやすくなる。
- 企業にとって優秀な人材を確保しやすくなる。
多様な正社員への転換制度
- 雇用の安定とキャリア・アップや適正処遇のため、非正規雇用者→多様な正社員への転換制度の提供。
- ワークライフバランスの実現等のために「いわゆる」正社員→多様な正社員への転換制度の提供。
いわゆる正社員と多様な正社員間の均衡処遇(賃金、昇進・昇格)
- 多様な正社員といわゆる正社員との双方の均衡。
- 不公平感を与えず、また、モチベーションを維持するため。
いわゆる正社員の働き方の見直し
- 多様な正社員を活用しやすくするための前提。
- いわゆる正社員の働き方(所定外労働、転勤、配転など)の見直しにより、多様な正社員を活用できる環境の整備。
人材育成・キャリア形成
- 労働者が職業能力を計画的に習得できるよう、職業訓練機会を付与。
- 中長期的なキャリア形成に役立つ専門的・実践的な教育訓練への支援。
制度の設計・導入・運用にあたっての労使コミュニケーション
- 労働者に対する十分な情報提供。
- 労働者との十分な協議。
事業所閉鎖や職務の廃止などへの対応
- 限定が明確にされていても、事業所の閉鎖や職務の廃止の場合に直ちに解雇が有効となるものではない。
- 解雇回避のための措置として配置転換などを可能な範囲で行うことが求められる場合。
多様な正社員に関する情報提供
徳島労働局管内事業所における多様な正社員の活用事例
多様な正社員の活用事例の募集について
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多様な正社員の活用事例
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