9.年俸制導入による退職金制度変更の効力

(問)
 退職金の算定に当たっては、年俸をこれに反映させる場合、退職前年の年俸を基礎とすることが不合理となり、多くの企業では、ポイント制度などを採用する場合が多いようです。こうした制度変更について、労働者の同意が得られなかった場合、変更はできなくなるのでしょうか。

(答)
 退職金制度は、重要な労働条件の一つです。その決定、計算の方法は、雇い入れ時に個々の労働者に書面を交付することにより明示するほか、就業規則により定めなければなりません。判例では、就業規則の変更にる労働条件の一方的不利益変更は原則として認められていません。変更内容が合理的なものである場合に限り、個々の労働者が同意しなくとも適用を拒めないとされています。退職時の賃金を算定基礎額として退職金を計算する方法から、別の制度に変更することが不利益変更に当たるのか一概には言えないでしょうが、退職金の額の減少を伴う時には不利益変更と判断される可能性が高いと思われます。

 したがって、貴社の場合も年俸制の導入を含め、退職金制度変更についての労働者の同意を得るよう努めることが肝要です。
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