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担当 

総務部企画室

   室 長        高橋 尚子

   統括労働粉調官 岩出 順一

 

    電話 03-3512-1609 

   東京労働局標章.gif     

 厚生労働省

東京労働局発表

平成23年6月1日

 

平成22年度における個別労働紛争解決制度の施行状況

平成22年度における個別労働紛争解決制度の施行状況

相談件数は高水準を維持、助言・指導の申し出、あっせんの申請件数は減少         

《概 要》

東京労働局(局長 山田 亮)では「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づく個別労働紛争解決制度

            

(1) 総合労働相談件数

129,317件  

(0.9%減*)

(2) 民事上の個別労働紛争相談件数

29,965件

 (2.9%増*)

(3) 助言・指導申出受付件数

484件

(22.7%減*)

(4) あっせん申請受理件数 

1,203件

(29.3%減*)

[*増減率は平成21年度の実績との比較]

(参考資料1 年度別個別労働紛争解決制度の利用状況の表1,図1,図2参照)

(5) 民事上の個別労働紛争相談件数のうち,増加を続けていた整理解雇の相談件数平成21年度と比較して-42.8%と大幅に減少した。

(参考資料2 個別労働紛争解決制度の利用状況の第6図参照)

1 相談受付状況について

 平成22年度において,都内21か所の総合労働相談コーナーには,1年間で約13万件の労働相談が寄せられた。これらの相談の中で,労働関係法上の違反を伴わない民事上の個別労働紛争に関する相談は,約3万件に達し,昨年度に引き続き制度発足以来最多となった。

 民事上の個別労働紛争に関する相談の主な内容は,「解雇」に関するものが全体の24.3%を占めて最も多く,次いで「労働条件の引き下げ」に関するものが14.6%,「いじめ・嫌がらせ」に関するものが14.1%,「退職勧奨」に関するものが11.6%,「その他の労働条件」に関するものが7.6%と続いている。

 (参考資料2 個別紛争解決制度の利用状況の第2図,第3図参照)

平成22年度の民事上の個別労働紛争に関する相談内容の内訳をみると,平成21年度と比較して「雇止め」9.2%増,「いじめ・嫌がらせ」7.7%増,「労働条件引き下げ(賃金)」2.6%増と増加傾向が続いている。一方,平成21年度まで増加傾向が続いていた解雇に関する相談のうち,「整理解雇」は42.8%減,「普通解雇」については6.5%減と減少に転じている。

(参考資料2 個別紛争解決制度の利用状況の第3図,第6図参照)

2 東京労働局長による助言・指導及び東京紛争調整委員会によるあっせんの運用状況について

相談によっても,紛争の自主的解決に至らなかった事案については,民事上の労使間個別労働紛争の解決を図るための裁判外紛争処理制度として,

(1) 東京労働局長が助言・指導を行う制度

(2) 東京紛争調整委員会があっせんを行う制度

を運用しているところであるが,この制度の利用状況は以下のとおりである。

(1) 東京労働局長による助言・指導

 平成22年4月からの1年間に,労働局長の助言・指導の申し出があったものは484件で,平成21年度に比較し22.7%の減少となった。同期間に助言・指導の手続きを終了したものは,前年度からの繰り越し分を含めて478件であった。

 このうち,労働局長が助言・指導を実施したものは413件であった。(残余は取下げ,打切りなどとなったものである。)

助言・指導の申出内容についてみると,解雇(普通解雇,整理解雇,懲戒解雇)に関するものが,18.0%に相当する87件と最も多く,続いて労働条件の引下げが69件で14.3%,雇止めが70件で14.5%,いじめ・嫌がらせが58件で12.0%,退職勧奨が46件で9.5%となっている。

(参考資料1及び参考資料2 個別紛争解決制度の利用状況の第7図参照)

(2) 東京紛争調整委員会によるあっせん

 平成22年度に紛争調整委員会によるあっせんの申請があったものは1,203件で,平成21年度と比較して29.3%の減少となった。

あっせん処理については,前年度からの繰り越し分を含めて,平成22年度にあっせんの手続きを終了したものは1,228件,このうち,あっせん不参加441件,あっせん取下げ等45件を除いた742件について,実際に紛争調整委員会によるあっせんを実施した。

 あっせんにより,当事者間の合意が成立したものは505件で,合意に至った割合は68.1%であった(残余は取下げ,打切りとなったものである)。なお,あっせんの手続きを終了したもの全体に占める合意成立の割合は41.1%となる。

あっせん申請の内容についてみると,解雇に関するものが最も多く全体の46.6%を占め,次いで,雇止めに関するものが9.9%,いじめ・嫌がらせに関するものが9.3%,その他の労働条件に関するものが8.6%と続いている。

(参考資料1及び参考資料2 個別紛争解決制度の利用状況の第8図参照)                      

 あっせん内容の典型的な事例としては,解雇,雇止め及びいじめ・嫌がらせに対して労働者が損害賠償を求めるものが挙げられ,一部で金銭的な和解,謝罪等を含む合意が成立している。

なお,助言・指導,あっせんの具体的な事例は参考資料3のとおりである。 

 

 

表1 

 

(参考資料2)

  個別労働紛争解決制度の利用状況

(平成22年4月~平成23年3月)

第1図 総合労働相談の内容

 

 

 

 資料2 第1図

 

 

※ 総合労働相談件数129,317件について相談内容別に整理したもので,1件の相談について複数の項目がある。

第2図 個別労働紛争相談内容の内訳

 

 第2図

 

 第3図

 

 第4図及び第5図及び第6図

 

 第7図 労働局長の助言・指導の申出内容

 第7図

◎ 東京労働局長による助言・指導の状況

(1) 助言・指導の申出の受付件数             484件

≪紛争の内容≫
  普通解雇                                       74件

  整理解雇                                       8件

  懲戒解雇                                       5件
  その他の労働条件                               20件

  労働条件の引下げ                               69件

  退職勧奨                                       46件

  いじめ・嫌がらせ                                  58件

  雇止め                                         70件

  出向・配置転換                                  44件
  自己都合退職                                   8件

  その他                                         82件

(2) 助言・指導の手続を終了した件数          478件

≪終了の区分≫
  助言を実施                          413件

  文書指導の実施                         0件
  取下げ                              31件

  打切り(助言・指導すべきと判断されないもの)  27件

  制度対象外事案・その他                7件

第8図 あっせん申請の内容

 

 

 第8図

 

 

 

◎ 東京紛争調整委員会によるあっせんの状況

(1) あっせんの申請の受理件数     1,203件

≪紛争の内容≫
  普通解雇                      447件

  整理解雇                        91件

  懲戒解雇                                    22件
  いじめ・嫌がらせ                               112件

  その他の労働条件                            104件

  労働条件の引下げ                            81件

  退職勧奨                                    90件

  雇止め                                      119件

  採用内定取消                                42件

  出向・配置転換                               23件
  その他                                      72件

(2)あっせん手続きを開始した件数     1,199件

(3)あっせんの手続を終了した件数      1,228件

  あっせん不参加の件数                  441件

  あっせん取下げ等の件数                 45件

  実際にあっせんを実施した件数            742件

≪終了の区分≫

  当事者間の合意が成立したもの       505件

  合意不成立により打切りとなったもの    237件

(参考資料3)  

助言・指導,あっせんの具体的事例

(助言・指導事案1)

普通解雇

○ 事案の概要

 1年間の有期労働契約を締結し働いていたが,契約期間が満了していないにも関わらず,勤務状況不良という身に覚えの無い理由で,突然の契約解除を言い渡された。この解雇には正当な理由が無く不当であるとして,解雇の撤回を求めたもの。(ビル管理業)

○ 助言・指導の内容

 契約期間中は,やむを得ない事由がある場合でなければ労働者を解雇できないこと(労働契約法第17条),無理に解雇を行っても無効であり,残余期間の賃金の賠償が必要となることがあること等を助言。

○ 結 果

 労働者の主張がとおり,契約期間満了日まで雇用が継続されることとなった。

(助言・指導事案2)

雇止め

○ 事案の概要

 10年以上に渡り1年契約を更新し勤務してきたが,突然,勤務態度が悪いことを理由に,次回の更新を行わない旨の通告を受けた。勤務態度が悪いことについての内容説明を,再三に渡り要求したが回答が無いため,その明確な回答を求めたもの。(派遣業)

○ 助言・指導の内容

 長期に渡り有期契約の更新を繰り返してきたものであり,解雇法理が適用される可能性が高く,雇止めには解雇と同等の正当な理由が必要であることを助言。

○ 結 果

 会社側は雇止めを撤回,契約更新を行うこととし,労働者に対してその旨説明することとなった。

(あっせん事案1)

 いじめ・嫌がらせ

○ 事案の概要

 入社半年ほど経ったころから,上司から会議の席等で指導を超えた問い詰めを何度も受けたが,逆恨みを恐れ退職まで我慢した。これらの行為が行われたことに対し,損害賠償として給与の○か月分の支払いを求めたもの(販売業)。

○ あっせんのポイント

 会社側は申請人の勤務不良を挙げ,その改善のために行った指導の範囲内であり問題はないと主張し,双方の主張は平行線であった。そこであっせん委員が双方の主張をまとめ当事者間の調整を図り,あっせんの場での解決を目指して歩み寄ることを提案した。

○ 結 果

 あっせんの結果,会社側が金銭的解決を行うことに譲歩し,解決金として○○万円を支払うことで合意した。

(あっせん事案2)

 労働条件引き下げ(賃金)

○ 事案の概要

 正社員として入社し店舗勤務を行っていたが,勤務成績不振を理由に大幅な賃金の引き下げ(半額に近い減額)を通告された。勤務成績不振というが,それほどの賃下げをされるほどの勤務振りではなかった。やむを得ず退職したが,事実上の強制解雇であるので,それに対する補償金と次の就職が決まるまでの生活補償金○○万円の支払いを求めたもの。(販売業)

○ あっせんのポイント

 会社側は正当な評価による賃下げであり非は無い,ただし問題解決のために賃下げ分の給与額1か月分を支払い解決としたい旨の主張があった。これに対し,あっせん委員は通常許容される賃下げの幅を逸脱していることを指摘,解決金の額の譲歩を促した。

○ 結 果

 あっせんの結果,解決金に上乗せを行い○○万円を支払うことで合意した。


個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の概要

1 趣旨

 企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働関係紛争」という。)が増加していることにかんがみ、これらの紛争の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るため、都道府県労働局長の助言・指導制度、紛争調整委員会のあっせん制度の創設等により総合的な個別労働紛争解決システムの整備を図る。

2 概要

(1) 紛争の自主的解決

 個別労働関係紛争が生じたときは、紛争の当事者は、自主的な解決を図るように努めなければならないものとする。

(2) 都道府県労働局長による情報提供、相談等

 都道府県労働局長は、個別労働関係紛争の未然防止及び自主的な解決の促進のため、労働者又は事業主に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うものとする。

(3) 都道府県労働局長による助言及び指導

 都道府県労働局長は、個別労働関係紛争に関し、当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当事者に対し、必要な助言又は指導をすることができるものとする。

(4) 紛争調整委員会によるあっせん

  イ 都道府県労働局長は、個別労働関係紛争について、当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において、当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。

  ロ 都道府県労働局に、紛争調整委員会を置くものとする。

  ハ あっせん委員は、当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、実情に即して事件が解決されるように努めなければならないものとする。

  ニ あっせん委員は、当事者等から意見を聴取し、事件の解決に必要なあっせん案を作成し、これを当事者に提示することができるものとする。

(5) 地方公共団体の施策等

 地方公共団体は、国の施策と相まって、地域の実情に応じ、労働者又は事業主に対し、情報提供、相談、あっせんその他の必要な施策を推進するように努めるものとし、国は、地方公共団体の施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。 

 また、当該施策として都道府県労働委員会が行う場合には、中央労働委員会が、当該都道府県労働委員会に対し、必要な助言又は指導をすることができるものとする。


個別紛争解決システム 


 

 

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