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東京労働局発表
平成22年1月29日


東京労働局労働基準部
 監督課長   松田 明
 監察監督官  宮崎 正行
  電話 03(3512)1612(内線6410)


墜落・転落防止を重点に242箇所の建設現場を一斉監督指導

125現場(約52%)で法令違反を確認し、このうち43現場に対し作業停止等を命令
1 一斉監督指導の実施
 東京労働局(局長 東 明洋)では、次のとおり、東京都内の建設現場に対して、一斉に監督指導を実施した。
対象 都内の建設工事現場 242現場
期間 平成21年12月1日から12月11日
 東京都内の建設現場における労働災害の発生状況は、墜落・転落災害の占める割合が高い傾向(死亡災害の発生原因の約5割(平成21年速報値))にあることから、墜落・転落災害の防止を重点に管下18労働基準監督署・支署が実施したものである(表1、表3、図2)。
2 監督指導実施結果
(1) 違反状況
ア 242現場の51.7%に労働安全衛生法違反
 監督指導を実施した242現場のうち、何らかの労働安全衛生法違反(以下「法令違反」という。)が認められた現場は125現場(51.7 %)であった。
 主な違反事項として、
 足場や高所の作業床等からの墜落・転落防止に関する違反が69現場
 元請事業者の安全衛生管理面に関する違反が58現場
で認められた(表1、表2)。
イ 43現場に対して作業停止等の命令書を交付
 法令違反が認められた現場のうち、設備等が安全に関する基準に満たず、労働災害を未然に防止する必要があると認められた43現場(法令違反が認められた現場の34.4%)に対しては、作業停止、立入禁止を命令する行政処分を行った(表1)。
(2) リスクアセスメント等の取組状況
今回監督指導を実施した建設現場におけるリスクアセスメント等の取組状況は、
実施している現場 186現場(76.9%)
実施していない現場 53現場(21.9%)
不明 3現場( 1.4%)
 なお、実施している現場のうち、特定されたリスクを店社(建設現場の指導等を行う建設会社の本社または支店等)へ報告しているのは108現場であり、4割以上の現場で、上部機関である店社との連絡が十分行われていなかった。
(注)リスクアセスメント等とは、以下の手順で実施する労働災害防止対策であり、危険の度合(リスク)に応じて、事前にリスクを除去・低減する計画を立てて対策を実施するため、死亡災害、重傷災害防止に有効な仕組みである。
 労働基準行政においては、建設現場のみならず、工場等の労働災害防止の必要な事業場及び関係団体に対して周知を図り、その導入を推進している。
(リスクアセスメント等の仕組み概要)

現場において事前に危険な箇所や作業の洗い出しを行う。

各危険箇所等について、危険の度合い(リスク)を見積もり、4段階程度のレベルに評価分類する。

レベルに応じたリスクの除去・低減措置を事前に計画し、リスクを再評価する。

計画に基づく措置を実施するとともに、残ったリスクを明確にし、作業標準等を確実に守らせる。

3 今後の方針
 平成20年度を初年度とする東京労働局の第11次労働災害防止計画においては、建設業を重点業種と位置づけており、特に「墜落・転落」による労働災害の防止を最重点としている。
 平成21年における建設業の労働災害のうち、墜落・転落による労働災害が、死亡災害の約5割、死傷災害の約3割を占めていることから、東京労働局においては、引き続き墜落・転落災害の防止を重点として、建設現場に対し管下18の労働基準監督署による監督指導を強化するとともに、死亡・重大災害防止に有効なリスクアセスメント等の導入についても効果的な指導を行うこととしている。
 また、法令違反を原因とする死亡・重大災害を発生させた場合や労働災害を隠すなど悪質な場合は、司法処分を行うなど厳正な対応を行うこととしている。
表1 建設現場違反状況
  合 計 現場別内訳
建築 土木 解体 その他
現 場 数 242 208 11 5 18
法令違反現場数
(違反率)
125
(51.7%)
120
(57.7%)
2
(18.2%)
1
(20.0%)
2
(11.1%)
作業停止等命令現場数
(違反現場に対する割合)
43
(34.4%)
41
(34.2%)
0 1
(100.0%)
1
(50.0%)
表2 事項別違反状況
(* 安衛法は労働安全衛生法、安衛則は労働安全衛生規則、令は労働安全衛生法施行令、クレーン則はクレーン等安全規則の略)
違反事項 違反現場数
(違反率)
主な内容
【墜落・転落防止】
足場や高所の作業床等からの墜落・転落防止関係
69
(28.5%)
高所(2m以上)作業における安全帯不使用(安衛則518、519)
高所の作業床の端、開口部に手すり等無し(安衛則519、653)
高所作業箇所で安全帯取付け設備無し(安衛則521)
足場の作業床未設置、手すり等無し(安衛則563、655)
【安全衛生管理面】
元請事業者における各種管理者等の選任、管理事項関係
58
(24.0%)
元方事業者の講ずべき措置未実施(安衛法29,29の2)
特定元方事業者の講ずべき措置未実施(安衛法30)
【型枠支保工】
型枠支保工の倒壊防止等関係
3
(1.2%)
型枠支保工の組立図未作成、組立図どおり作成されていない(安衛則240)
型枠支保工のパイプサポートの不適(安衛則242)
型枠支保工の組立て時の立ち入り禁止無し(安衛則245)
【建設機械】
建設機械との接触、建設機械の転倒等防止関係
3
(1.2%)
建設機械の作業計画未作成 (安衛則155)
建設機械との接触の危険(安衛則158)
建設機械の合図未実施(安衛則159)
【クレーン等】
クレーン作業における危険の防止関係
2
(0.8%)
クレーンの作業開始前点検未実施(クレーン則36)
移動式クレーンの使用制限無し(クレーン則64)
移動式クレーンの作業方法の決定無し(クレーン則66の2)
移動式クレーンに係る立入禁止未実施(クレーン則74)
クレーンの合図の統一未実施(安衛則639)
図1 建設業における死傷者数と全産業に占める割合の推移(東京都)
* 平成21年は速報値(以下同じ)
表3 平成16年以降の建設業における労働災害の推移(東京都)
  16年 17年 18年 19年 20年 21年
(速報値)
死傷災害 1865 1865 1866 1879 1689 1216
うち墜落・転落
 (割合・%)
641
(34.3%)
640
(34.3%)
665
(35.6%)
677
(36.0%)
601
(35.6%)
415
(34.1%)
死亡災害 41 37 41 42 38 21
うち墜落・転落
 (割合・%)
15
(36.6%)
14
(37.8%)
23
(56.1%)
27
(64.3%)
16
(42.1%)
10
(47.6%)
* 平成21年速報値は、平成22年1月28日現在の数字である。
図1 建設業における死傷者数と全産業に占める割合の推移(東京都)

死傷者合計1216人

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