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東京労働局発表
平成20年5月12日




東京労働局労働基準部監督課
 監督課長  加藤 博人
 監察監督官 梶野  晃
電話 03-3512-1612(内線6417)

食料品スーパーマーケットの労働時間管理を
主眼に監督指導を実施

労働時間の把握・管理、割増賃金の支払いの適正化が課題

 東京労働局(局長 村木太郎)は、平成19年度に管下の労働基準監督署において実施した管内の食料品スーパーマーケットの本社36事業場及び店舗57事業場に対する監督指導結果を以下のとおり取りまとめた。
 その結果、店舗及び本社ともに約9割の事業場に何らかの労働基準関係法令の違反が認められており、特に、5割を超える事業場について労働時間や割増賃金の支払いに係る法違反が認められたため、これらの法違反については、是正勧告を行い、是正を図らせるため指導を実施した。

1 監督指導の目的

 不適切な労働時間の管理に起因する賃金不払残業をはじめとする一般労働条件確保上の問題が懸念される食料品スーパーマーケットについて、店舗に対する監督指導を実施し、その結果を踏まえ、本社に対して指導を行うことにより、全社的な改善を図らせるもの。

2 監督指導実施結果

(1) 本社、店舗の過半数に時間外労働時間に係る法違反(別添1参照)
 時間外労働に関する労働基準法(以下、「法」という。)違反が、本社の19事業場(52.8%)、店舗の31事業場(54.4%)に認められた。
 法定労働時間を超えて労働させる場合に必要な時間外労働に関する協定(36協定)を締結・届出ることなしに時間外労働を行わせていたものが、本社6事業場(16.7%)、店舗9事業場(15.8%)で認められた。
 また、36協定を届け出ているものの、協定で定められた限度時間を超えて時間外労働を行わせていたものが、本社13事業場(36.1%)、店舗18事業場(31.6%)で認められた。
(2) 本社、店舗の過半数に割増賃金の支払いに係る法違反(別添1参照)
 割増賃金の支払いに係る法違反が、本社20事業場(55.6%)、店舗34事業場(59.6%)に認められた。
 時間外労働時間の一部又は全部に対して割増賃金が支払われていないものが、本社14事業場(38.9%)、店舗19事業場(33.3%)で認められた。
 時間外労働に対する割増賃金について、割増率が法定(通常の賃金の2割5分以上)に満たなかったものが、本社6事業場(16.7%)、店舗15事業場(26.3%)で認められた。
 また、深夜労働(午後10時から翌朝5時)に対する深夜割増賃金について、割増率が法定(通常の賃金の2割5分以上)に満たなかったものが、本社5事業場(13.9%)、店舗12事業場(21.1%)で認められた。
(3) 労働時間の適正な把握と管理に関する指導等(別添2参照)
 不適切な労働時間の把握と管理を改善するため、指導を実施したものは、本社21事業場(58.3%)、店舗22事業場(38.6%)であった。
【不適切な労働時間の把握・管理等の例】
1  時間外労働は自己申告制を採用しているが、申告していない時間外労働が認められたもの。
2  時間外労働の把握を全く行っていないもの。
3  労働時間の把握を15分単位で行い、15分未満は切り捨てているもの。
4  タイムカードの打刻が徹底されていない(打刻してないものがある)ことから、労働時間の把握が適切に行われていないもの。
5  時間外労働時間数が、36協定で定める1年間の時間外労働の限度時間以内となるよう1年単位という視点で管理されていないもの。
(4) 時間外労働の削減、過重労働による健康障害の防止に関する指導(別添2参照)  長時間労働から生ずる労働者の健康障害を防止するため、時間外労働の削減に関する指導を本社10事業場(27.8%)、店舗11事業場(19.3%)に対して実施した。
 また、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導の実施、当該面接指導を適切に実施するための措置等について、本社14事業場(38.9%)、店舗15事業場(26.3%)に対して指導を実施した。
【指導の例】
1   1ヶ月に121時間の時間外労働を行わせている労働者が認められたが、医師による面接指導の対象となっていないことから、衛生委員会等により調査審議を行い、1ヶ月当たり100時間又は2ないし6ヶ月の平均で1ヶ月当たり80時間を超える時間外・休日労働を行わせた労働者全員について、面接指導を実施するなど、面接指導等の必要な措置を実施する対象者とするように努めること、並びに時間外・休日労働を1ヶ月45時間以内とするよう指導を実施したもの。
2  長時間労働を行った労働者に対する医師の面接指導について、制度は存在するものの、面接指導を希望する者のみを対象としており、実態として希望する者が存在せず、面接指導制度が機能していないことから、上記(1)と同様の面接指導の実施についての指導を行ったもの。
(5) 年次有給休暇の取得促進についての指導(別添2参照)
 年次有給休暇の取得が低い状況等から、本社店舗8事業場(22.2%)、店舗21事業場(36.8%)に対して年次有給休暇の取得促進についての指導を実施した。
【指導の対象となったものの例】
1  有給休暇の取得が全くない等有給休暇の取得状況が低調なもの。
2  労働者ごとの有給休暇日数を把握・管理していないもの。
(6) 店舗の約3割に労働条件の明示に関する違反(別添1参照)
 労働者を雇い入れる際に、賃金額やその支払期日、労働時間等について法定どおりの明示を行っていなかったものが、本社4事業場(11.1%)、店舗18事業場(31.6%)に認められており、違反率は、店舗が本社の約3倍となっている。

3 今後の指導方針

 東京労働局においては、今後とも、一般労働条件確保上の問題が懸念される業種等を捉え、労働時間管理の適正化の定着、賃金不払残業の解消及び過重労働による健康障害の防止対策の徹底等を図らせるため、効果的な監督指導を実施することとしている。



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