ニュース&トピックス各種法令・制度・手続き事例・統計情報窓口案内労働局について
ホーム > ニュース&トピックス > 報道発表資料 > 2008年度 > 過重労働による脳・心臓疾患及び精神疾患の発症を懸念する企業が大幅に増加 - 東京労働局

東京労働局発表
平成20年5月12日





東京労働局労働基準部
労働衛生課長
花房 克好
広報担当 主任労働衛生専門官
中山 篤
電 話 (3512)1616

過重労働による脳・心臓疾患及び精神疾患の発症を
懸念する企業が大幅に増加
~「従業員の健康管理等に関するアンケート調査」結果~

 東京労働局(局長 村木太郎)では、過重労働による健康障害の防止が重点課題となっていることから、平成14年度以降、「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月に、労働安全衛生法の改正による長時間労働者への医師による面接指導制度の法制化を受けて全面改定。以下「総合対策」という。)に基づき対策を進めているところである。昨年7月、企業の対応状況を確認し、対策の浸透度を把握するとともに、今後の対策の的確な推進を図るため、都内に本社を置く規模300人以上の企業に対し、健康管理等の取組状況に関する調査を実施したところ、1,367社から回答を得た(回収率31.8%)ので、その結果について公表する。なお、同様調査を平成14度、15年度及び16年度(以下「前回3調査」という。)に実施している。


I 調査結果の主な内容
1 1か月100時間超の長時間労働がある企業は、47.5%

 脳・心臓疾患の発症との関連性が強くなるとされる長時間労働(1か月100時間又は2~6か月を平均して月平均80時間を超える時間外・休日労働)のうち、1か月100時間超の長時間労働がある企業は649社(47.5%)であり、1か月100時間又は2~6か月を平均して月平均80時間を超える時間外・休日労働があるとする企業は862社(63.1%)で、16年度調査の35.7%、15年度調査の31.9%、14年度調査の24.9%と比較するとほぼ倍増している。
( 参考1の§IV-1 )

2 脳・心臓疾患発症の懸念があるとしている企業の割合は50.2%に増加

 過重労働が関連した脳・心臓疾患の発症を懸念している企業は、16年度調査の38,3%、15年度調査の35.3%、14年度調査の30.1%に対し、今回の調査では50.2%となっており、過重労働による健康障害を懸念する企業の割合が大幅に高まっている。
( 参考1の§I-3)

3 精神疾患発症の懸念があるとしている企業の割合も53.3%に増加

 過重労働が関連した精神疾患の発症を懸念している企業は、16年度調査の33.8%、15年度調査の35.5%、14年度調査の27.4%に対し、今回の調査では53.3%となっており、脳・心臓疾患と同様に大幅に増加している。
( 参考1の§I-4 )

4 過重労働による健康障害防止対策としての医師による面接指導制度の設置は50.5%

 平成18年4月に法制化された「長時間労働者に対する医師による面接指導制度」を設けている企業は691社(50.5%)で半数に止まり、面接指導に準じた措置の制度を設けている企業も315社(23.0%)となっている。また、何らの制度も設けていない企業も407社(29.8%)に上っている。
( 参考1の§IV-2 )

5 心身の健康確保対策として「メンタルヘルス対策」を行う企業が増加

 心身の健康確保のために重視し、実際に対応している主なる事項のうち最も多いのは前回3調査と同様に「健康診断の完全実施」(82.0%)であったが、「メンタルヘルス対策の充実」「労働時間・労働密度など心身の過重負荷要因の改善」「健康教育・健康相談の実施」を挙げる企業が増加しており、メンタルヘルスケア、過重労働による健康障害および生活習慣病に対する対応に関心が移っている。
( 参考1の§I-1 )


II  今後の行政としての対応

 以上のアンケート結果を踏まえ、東京労働局としては、過重労働防止および過重労働による健康障害防止対策を最重点の課題と位置付け、対策を以下のとおり推進する。

(1) 長時間労働抑制に向けた取組の推進

 今回の調査結果において、長時間労働がある企業が大幅に増加していることから、長時間労働の実効ある抑制を図るため、時間外労働協定の適正化について時間外労働協定届出時の窓口指導を徹底する、労働時間管理、健康管理等に関する法令の遵守徹底のための監督指導、個別指導を強化する、過重労働による健康障害が懸念される事業場に対する集団指導等を実施する等の取組を推進する。
  また、平成20年4月から、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導制度が、労働者50人未満の中小事業場にも適用となることから、このことの周知・徹底を図るだけでなく、各地の地域産業保健センターにおいて専用の相談窓口を設け、中小事業場の相談に対応できる体制を整備する。

(2) 「過重労働による健康障害を防止するための事業者が講ずべき措置」等の周知徹底

 また、長時間労働の慢性化が認められるなか、一定規模以上の企業といえども、労働時間管理が十分行われているとは言えないと共に、過重労働による健康障害を防止するための健康管理体制の整備等も不十分な実態が認められた。
  このため、今後とも、総合対策において示されている「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」等の周知徹底を図る。

(3) 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」等の周知徹底

 そして、過重労働が関連する精神疾患の発症が懸念している企業が大幅に増加していることから、平成18年3月に策定された「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の周知を図るなどメンタルヘルス対策の推進に努めることとする。

(4) 「過重労働による健康障害防止運動」の新たな展開

 第11次労働災害防止計画に合わせて、過重労働による健康障害防止を目的とする運動を平成20年4月から展開しており、毎年9月を同運動の推進月間とし、本年9月8日に九段会館において産業保健フォーラムを開催する。


(参考1)調査結果の概要


このページのトップに戻る

東京労働局標章 〒102-8305 東京都千代田区九段南1-2-1                            

Copyright(c)2000-2017 Tokyo Labor Bureau.All rights reserved.