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東京労働局発表
平成20年1月21日




東京労働局 労働基準部
 監 督 課 長  加藤 博人
 監 察 監 督 官  梶野 晃
 電話 03(3512)1612(内線6415)

墜落・転落防止を重点に324箇所の建設現場を一斉監督
~約6割の現場で安衛法違反、約3割の現場で作業停止等を命令~

一斉監督指導の実施
 東京労働局(局長 村木 太郎)では、次のとおり、東京都内の建設現場に対して、一斉に監督指導を実施した。
1 対象  都内の建設工事現場 324現場
2 期間  平成19年12月3日から同月14日
 東京都内の建設現場における死亡災害及び休業4日以上の労働災害が増加傾向にあるため、死亡災害の発生原因の約6割を占める墜落・転落災害の防止等を重点に管下18労働基準監督署・支署が都内の建設工事現場に対して実施したもの(グラフ1234)。
監督指導実施結果
(1) 違反状況
ア 324現場の61%に労働安全衛生法違反
 監督指導を実施した324現場(・建築工事299現場、・土木工事10現場、・設備工事等9現場、・解体工事6現場)の内、何らかの労働安全衛生法令違反(以下「法令違反」という。)が認められた現場は198現場(61.1%)であった。
主要な違反事項として
1 足場や高所の作業床等からの墜落・転落防止に関する違反が111現場
2 安全衛生管理面に関する違反が63現場
で認められた(第1表、第2表)。
イ 55現場に対して作業停止措置、立入禁止措置等の命令書を交付
 法令違反が認められた198現場のうち、特に、労働災害の急迫した危険が認められた55現場(27.8%)に対しては、作業停止等を命令する行政処分を行った(第1表)。
(2) リスクアセスメント等の取組状況
今回監督指導を実施した現場におけるリスクアセスメントの取組状況は、
1 実施している現場が157現場(48.5%)
2 今後実施予定である現場が54現場(16.7%)
3 実施予定がない現場が78現場(24.1%)
4 制度を知らない現場が35現場(10.8%)
であった。(グラフ5)

(注)  リスクアセスメントとは、以下の手順で実施する労働災害防止対策であり、危険の度合(リスク)に応じて、事前にリスクを除去・低減する計画を立てて対策を実施するため、死亡災害、重傷災害防止に有効な仕組みとなっている。
 当行政においては、建設現場のみならず、工場等の労働災害防止必要な事業場及び関係団体に対して周知を図り、その導入を推進している。
(リスクアセスメント等の仕組み概要)
1 現場において事前に危険な箇所や作業の洗い出しを行う。
2 各危険箇所等について、危険の度合い(リスク)を見積もり、4段階程度のレベルに評価分類する。
3 レベルに応じたリスクの除去・低減措置を事前に計画し、リスクを再評価する。
4 計画に基づく措置を実施するとともに、残ったリスクを明確にし、作業標準等を確実に守らせる。
5 1にもどり、同様のことを繰り返すことにより、スパイラル状に危険防止措置のレベルアップを図る。
今後の方針
 東京労働局管内の労働基準監督署では、建設現場における死亡災害、休業災害の増加傾向を踏まえ、労働災害の主要原因となっている墜落・転落災害の防止を重点として、建設現場に対し監督指導を継続するとともに、死亡・重大災害防止に有効なリスクアセスメント等の導入を推進することとしている。
 また、法令違反を原因とする死亡・重大災害を発生させた現場や労働災害を隠した現場に対しては、司法処分を行うなど厳正に対応し、今後も労働災害防止の徹底を図る方針である。
 さらに、現場の安全管理体制の整備に加え、労働時間の適正な把握・管理、過重労働防止対策の徹底のための指導についても強化していく方針である。
第1表 建設現場違反状況
合 計 現場別内訳
 建 築   土 木  設備工事等  解 体 
現 場 数 324 299 10 9 6
法令違反現場数
    (違反率)
198
(61.1%)
187
(62.5%)
5
(50.0%)
4
(44.4%)
2
(33.3%)
作業停止等命令現場数
(違反現場に対する割合)
55
(27.8%)
51
(27.3%)
4
(80.0%)
0
0
第2表 事項別違反状況
(* 安衛法は労働安全衛生法、安衛規は労働安全衛生規則、令は労働安全衛生法施行令、ク規はクレーン等安全規則の略)
違反事項 違反現場数
(違反率)
主な内容
【安全衛生管理面の違反】
元請事業者における各種管理者等の選任、管理事項関係
63
(19.4%)
統括安全衛生責任者の選任及び職務(安衛法15)
元方安全衛生管理者の選任及び職務(安衛法15の2)
店社安全衛生管理者の選任及び職務(安衛法15の3)
安全衛生責任者の選任及び職務(安衛法16)
元方事業者の講ずべき措置(安衛法29,29の2)
特定元方事業者の講ずべき措置(安衛法30)
【墜落・転落防止違反】
足場や高所の作業床等からの墜落・転落防止関係
111
(34.3%)
高所(2m以上)の作業での安全帯不使用(安衛規518)
高所の作業床、開口部に手すり等無し(安衛規519、653)
高所作業箇所で安全帯取付け設備無し(安衛規521)
足場の作業床未設置、手すり等無し(安衛規563、655)
【型枠支保工違反】
型枠支保工の倒壊防止等関係
15
(4.6%)
型枠支保工の組立図未作成、組立図どおり作成されていない(安衛規240)
型枠支保工のパイプサポートの不適(安衛規242)
型枠支保工の組立て時の立ち入り禁止無し(安衛規245)
【建設機械違反】
建設機械との接触、建設機械の転倒等防止関係
8
(2.5%)
建設機械の作業計画未作成(安衛規155)
建設機械との接触の危険(安衛規158)
建設機械の用途外使用(安衛規164)
就業制限(令20・12号)
【クレーン等違反】
クレーンの定格荷重、転倒防止関係
6
(1.9%)
移動式クレーンの定格荷重未表示(ク規70の2)
移動式クレーンの転倒防止(ク規70の3)
移動式クレーンの玉掛けロープ等(ク規215)
移動式クレーンの荷の下立入禁止無し(ク規74の2)
(グラフ1)建設業における死亡者数の推移
 平成9年~平成18年の値は確定値、平成19年の値は確定値が確定していないため速報値により集計したものである。<参考 平成18年速報値(死亡者数)36人>
(グラフ2)建設業における死傷者数の推移
 平成9年~平成18年の値は確定値、平成19年の値は確定値が確定していないため速報値により集計したものである。<参考 平成18年速報値(死傷者数)1,656人>
(グラフ3)建設業における死亡災害の事故の型別状況(平成19年度)
 グラフの値は確定値が確定していないため速報値により集計したものである。
(グラフ4)建設業における死傷災害の事故の型別状況(平成19年度)
 グラフの値は確定値が確定していないため速報値により集計したものである。
(グラフ5)リスクアセスメントの取組状況


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