東京労働局発表
平成19年7月5日



東京労働局労働基準部
 監督課長  加藤  博人
 監察監督官   梶野  晃
  電話 03(3512)1612(内線6415)

東京都内約360箇所の建設現場を対象に一斉監督指導を実施
~6割の現場で安衛法違反の是正を勧告し、2割の現場で作業停止等を命令~



1 一斉監督指導の実施
 東京労働局(局長 大槻 勝啓)では、次のとおり、東京都内の建設現場に対して、一斉に監督指導を実施した。
1対象 都内の建設工事現場 364現場
2期間 平成19年6月4日から同月15日
 東京都内の建設現場における死亡災害及び休業4日以上の労働災害は、依然として高い状況で推移していることから、死亡災害の発生原因の約6割を占める墜落・転落災害の防止等を重点に管下18労働基準監督署・支署が都内の建設工事現場に対して実施したもの(グラフ1234)

2 監督指導実施結果
(1) 違反状況
364現場の62%に労働安全衛生法違反
監督指導を実施した364現場(建築現場345現場、土木工事現場7現場、設備工事等現場9現場、解体工事現場3現場)の内、何らかの労働安全衛生法令違反が認められた現場は227現場(62.4%)であった。
主要な違反事項として
1 安全衛生管理面に関する違反が84現場
2 死亡災害に直結する足場や高所の作業床等からの墜落・転落災害に関する違反が144現場で認められた(第1表第2表)。
61現場に対して作業停止措置、立入禁止措置などの命令書を交付
 法令違反が認められた227現場のうち、特に、労働災害の急迫した危険が認められた61現場(26.9%)に対しては、作業停止等を命令する行政処分を行った(第1表)。

(2) リスクアセスメント等の取組み状況
 リスクアセスメントとは、以下の手順で実施する労働災害防止対策であり、危険の度合い(リスク)に応じて、事前にリスクを除去・低減する計画を立てて対策を実施するため、死亡災害、重傷災害防止に有効な仕組みとなっている。
 当行政においては、建設現場のみならず、工場等の労働災害防止対策が必要な事業場及び関係団体に対して周知を図り、その導入を推進している。
(リスクアセスメント等の仕組み概要)
1 現場において事前に危険な箇所や作業の洗い出しを行う。
2 各危険箇所等について、危険の度合い(リスク)を見積もり、4段階程度のレベルに評価分類する。
3 レベルに応じたリスクの除去・低減措置を事前に計画し、リスクを再評価する。
4 計画に基づく措置を実施するとともに、残ったリスクを明確にし、作業標準等を確実に守らせる。
5 1にもどり、同様のことを繰り返すことにより、スパイラル状に危険防止措置のレベルアップを図る。

(今回監督指導を実施した現場の取組み状況 グラフ5)
1 実施している現場が136現場(37.4%)
2 今後実施予定である現場が75現場(20.6%)
3 実施予定がない現場が79現場(21.7%)
4 制度を知らない現場が74現場(20.3%)

(3) 元請事業者の現場職員の労働時間の状況
 元請事業者の現場職員の長時間労働は、安全衛生対策にも影響を与えることから、その削減が必要であり、多くの現場で問題が認められた。
労働時間を把握してない現場が25現場(6.9%)
 長時間労働削減を行うためには労働時間の把握を行うことが、必要不可欠であるが、当該労働時間の把握が行われていない現場が少なからず認められた。
自己申告制による労働時間の把握が288現場(79.1%)
 労働時間の把握方法として、タイムカード等の機械的記録による把握は全体の3.0%(11現場)で、労働時間の把握が曖昧になりがちな自己申告による把握が288現場と全体の約8割となっている。(グラフ6)
月間の時間外労働が80時間以上の現場が4現場
 時間外労働の実績として月80時間以上の現場が4現場(1.1%)で認められた。(グラフ7第3表)

3 今後の方針
 東京労働局管内の労働基準監督署では、今回の監督・指導の結果及び死亡・重大災害の多発傾向を踏まえ、建設現場に対し、監督指導を継続するとともに、死亡・重大災害防止に有効なリスクアセスメント等の導入を推進する。
 また、労働安全衛生法違反を原因とする死亡・重大災害を発生させた現場や労働災害を隠した現場に対しては、司法処分を行うなど厳正に対応する等して、今後も労働災害防止の徹底を図る方針である。
 さらに、現場の安全管理体制の整備に加え、労働時間の適正な把握・管理、過重労働防止対策の徹底のための指導についても強化していく方針である。



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