送検事例 平成27年度

平成27年度

 ◇平成28年3月の送検事例 

事例1

急傾斜地での草刈作業現場で死亡災害を発生させた
事業者を労働安全衛生法違反で書類送検

 

 中央労働基準監督署は,平成28年3月7日,草刈業務等委託事業を請け負う個人事業者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

  平成27年2月3日,東京都三宅島三宅村内の急傾斜地での草刈作業現場において,労働者にコンクリート製の崩落防止用の上部部分を作業床として使用させるに当たり,安全帯を使用させる等の墜落防止措置を講じることなく作業を行わせたもの。 

 

事例2 

石綿作業主任者を選任することなく石綿を含有する
スレート屋根の解体作業を行わせた事業者を

労働安全衛生法違反で書類送検

 

 足立労働基準監督署は,平成28年3月14日,建築物解体業を営む会社及びその代表者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

  平成27年8月7日,東京都足立区内の解体工事現場において,男性作業員(被災当時70歳)にスレート屋根の解体作業を行わせていたが,この作業は0.1パーセントを超える重量の石綿が含まれるスレート波板を取り扱う作業であったので,石綿作業主任者を選任し,その者に作業指揮等を行わせなければならないのに,選任しないまま作業を行わせていたもの。 

 

事例3

道路復旧工事現場で死亡災害を発生させた元請業者を
労働安全衛生法違反で書類送検

 

 渋谷労働基準監督署は,平成28年3月16日,電気工事業を営む会社及び現場責任者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 平成26年11月18日,東京都世田谷区内の道路復旧工事現場において,交通誘導に当たっていた下請業者の労働者に,他の下請業者が運転するローラーが接触し死亡した。
 現場責任者は,関係下請業者が行う作業を統括管理していた者であり,下請業者の労働者が機体重量3トン以上の車両系建設機械であるローラーを使用する際,あらかじめ下請業者に対して,作業場所に適応する作業計画を定めるよう指導を行わなければならなかったのにその指導を行わず,また,ローラーの運行経路に係る連絡及び調整を行わなければならないのに,その連絡及び調整を行わなかったもの。

 

事例4 

ビル改修工事現場の作業構台に墜落防止措置を
講じない業者を労働安全衛生法違反で書類送検

 

 上野労働基準監督署は,平成28年3月16日,エクステリア工事業を営む会社及びその代表者並びに同社に工事を発注した個人事業者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 平成26年10月10日,東京都台東区内のビル改修工事現場付近の歩道上で,改修中のビルの屋上から歩道上に落下したコンクリート製ブロックの破片が通行人の足に当たり,同人が足を骨折する事故が発生した。
 当該事故を契機に同工事現場を調査したところ,改修中のビルの屋上階に組み立てた高さ11.6メートルの作業構台の作業床の端で,労働者に巻き上げ機を用いて建築資材の吊り上げ作業を行わせるに際し,墜落による危険を防止するための手すり等を設けていなかったことが判明したもの。

 

事例5

伐木現場において死亡災害を発生させた事業者を
労働安全衛生法違反で書類送検

 

 青梅労働基準監督署は,平成28年3月17日,土木工事業を営む会社及び現場責任者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁立川支部に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 平成27年9月2日,東京都青梅市内のJR青梅線沿線に生育する立木の伐木作業を行っていた現場において,伐倒された木が現場作業員に直撃し死亡した。
 伐倒作業を行っていた現場責任者が立木の伐倒を行う際に,伐倒する木の危険が及ばない範囲に労働者が避難していることを確認する措置を講ずることなく伐倒作業を行わせていたもの。

 

◇平成28年2月の送検事例 

事例 1  

死亡労働災害を発生させた一般廃棄物収集運搬業者を労働安全衛生法違反で書類送検

 

 亀戸労働基準監督署は,平成28年2月5日,ごみ収集作業の受託業者と同社の統括運行管理者を,労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁に書類送検した。

 労働安全衛生法では,事業者に対して,ごみ収集車等の車両系荷役機械を用いて作業を行うときは,あらかじめ,当該作業に係る場所の広さ及び地形,当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力,荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定め,かつ当該作業計画により作業を行わせることを義務付けているが,本件では,作業計画を定めることなく,ごみ収集車による作業を行わせていたもの。

 

〈事件の概要〉

 平成25年4月13日,東京都江東区のごみ集積場で,ごみ収集作業に従事していた労働者(男性,当時54歳)が,当該ごみ収集車の荷台に搭乗していたところ,運転席の屋根とごみ集積場の高さ制限バー(高さ3.0メートル)との間に挟まれ,死亡するという労働災害が発生した。

 捜査の結果,ごみ収集車等の車両系荷役機械を用いて作業を行うときに義務付けられている作業計画を定めることなく,作業を行わせていたことが明らかになったことから,本件送検に至った。 

 

 

事例 2 

労災かくしを行った防水工事業者を書類送検


 八王子労働基準監督署は,平成28年2月19日,虚偽の内容の労働者死傷病報告を同署に届け出た総合防水工事業者及び同社役員を,労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。 

 

〈事件の概要〉
 平成26年9月3日,東京都八王子市内の住宅建設工事現場内で,男性作業員(被災当時26歳)が,はしごを使用して地上からの高さ2.4メートルの踏み面上で住宅部材の取り付け作業を行っていたところ墜落し,全治3か月の怪我をし107日休業したにも関わらず,「男性作業員は自社敷地内の鳥の巣の除去作業中に墜落して被災した」旨の虚偽内容の報告書を当署長宛てに提出したもの(いわゆる「労災かくし」)。

 

事例 3  

違法な状態でプレス作業を行わせた会社を書類送検

 ~プレス機械作業主任者の未選任・安全装置の未設置~

 

 八王子労働基準監督署町田支署は,平成28年2月22日,金属製品製造業を営む会社及びその代表者を,労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。 

 

〈事件の概要〉

 金属製品製造業者の工場において,プレス機械を5台以上有し,当該プレス機械による作業を行わせるに際し,プレス機械作業主任者技能講習を修了した者のうちから,プレス機械作業主任者を選任しなければならないのに,これを選任せず,また,平成28年2月4日,プレス機械にスライドや刃物による危険を防止するための安全装置を取り付けることなく,労働者に当該プレス機械による作業を行わせていたもの。

 労働安全衛生法では,プレス機械を5台以上有する事業場においては,プレス機械作業主任者技能講習を修了した者のうちから,プレス機械作業主任者の選任を義務付けている。

 また,労働者にプレス作業を行わせる際,体の一部がスライドや刃部の可動域に入らないような安全囲いを設けること,又は,作業の性質上安全囲いの設置が困難であれば,安全装置を取り付けることを義務付けている。

 送検した会社は,プレス機械を5台以上有しているにもかかわらず,プレス機械作業主任者を選任せず,また,安全囲いが設置困難なプレス機械に安全装置を設置することなく,プレス作業を行わせていたもの。

 

 

事例 4  

機械による労働災害を発生させた会社を書類送検

~機械動作部への転落防止措置を講じないまま作業をさせ~ 

 

 池袋労働基準監督署は,平成28年2月26日,古紙の圧縮梱包業の会社及びその代表取締役を,労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁に書類送検した。 

 

〈事件の概要〉

 平成27年3月31日,古紙等の回収及び選別加工を営む会社の東京都板橋区にある作業場において,圧縮梱包機(使用済コピー用紙等の古紙等を圧縮してキューブ状にする機械)の投入口(縦約1メートル,横約1メートル,深さ約1.5メートル)に古紙等の投入作業を行っていた男性作業員(被災当時67歳)が,足をすべらせ投入口に転落し,投入口内で作動していた古紙等を圧縮する金属棒に挟まれ両下肢切断する重傷を負った。
 労働安全衛生法では,事業者に,労働者が機械に挟まれる等の危険を及ぼすおそれがある場所で作業を行わせる場合には,高さ75センチメートル以上の丈夫なさく等を設け,転落による危険を防止するための措置を講じることを義務づけているが,送検した会社は,投入口の周囲に,さくを設ける等の危険防止措置を講じることなく作業を行わせたもの。

 

    


 
◇平成28年1月の送検事例 

事例 1  

建設機械の法定検査実施を装ったリース業者と検査業者取締役を労働安全衛生法違反で書類送検

 

 三鷹労働基準監督署は,平成28年1月15日,車両系建設機械に義務づけている法定検査を実施しなかったうえ,結託して書類を偽造した建設機械のリース業者と同社の代表取締役及び建設機械の法定検査業者の取締役を,労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 建設機械リース業を営むA社の代表取締役は,建設工事現場で使用する2台のドラグ・ショベルが,検査期限切れで改めて検査を行わなければならなかったのに,検査業者であるB社の取締役と共謀して,同会社から2度に渡り虚偽の特定自主検査記録表及び検査済標章の発行を受け,検査を実施したことを装ったものである。

 

 

事例 2 

ディスカウントストア運営会社を違法な長時間労働で書類送検


 東京労働局は,平成28年1月28日,ディスカウントストア運営会社並びに同社の支社長3名及び店舗責任者5名を,労働基準法違反の容疑で,東京地方検察庁に書類送検した。 

 

〈事件の概要〉
 ディスカウントストア2店舗において,従業員2名に対し,労働基準法第36条に基づく時間外労働に関する協定で定める限度時間(3か月120時間)を超えて,平成26年10月1日から同年12月31日までの3か月間に,最長で415時間45分の時間外労働を行わせ,また,ディスカウントストア3店舗において,従業員4名に対し,平成27年1月1日から同年3月31日までの3か月間に,最長で265時間30分の時間外労働を行わせたものである。

 

 
◇平成27年11月送検事例 

事例 1  

ビルの内装工事現場で墜落死亡災害を発生させた工事業者を書類送検

 

 中央労働基準監督署は、平成27年11月5日、千代田区内にあるビルの内装工事現場において平成27年3月に発生した死亡災害について、労働安全衛生法で定められた墜落防止措置を講じなかった工事業者及び同社職長を、同法違反の容疑で、東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 平成27年3月21日、千代田区内所在のビルの内装工事現場において、天井からの下がり壁(※1)の設置のための金属製部材を取り付ける作業に従事していた労働者が、室内に設置された喫煙ボックスの天井(1.3m×4mの広さ)の上に足場板を敷き、その上に乗って作業を行っていたところ、体勢を崩して高さ2.15m下の床面に墜落し、その後死亡した。

 

※1)「下がり壁」=天井から下方へ設置された壁のこと。 

 

 

事例 2 

クレジットカード会社を違法な長時間労働で書類送検


 三田労働基準監督署は、平成27年11月19日、クレジットカード会社及び同社の取締役等4名を、労働基準法違反の容疑で、東京地方検察庁に書類送検した。 

 

〈事件の概要〉
 港区に所在する本社の2部署において、平成26年2月1日から同年3月31日までの間、労働者7名に対し、労働基準法第36条に基づく時間外労働に関する協定で定める限度時間を超えて、1か月当たり最長で66時間55分の違法な時間外労働を行わせていたものである。

 

事例 3  

マグネシウム合金粉じんで火災を起こした会社を書類送検

 

 東京労働局は、平成27年11月6日、金属加工会社及び同社取締役工場長を、労働安全衛生法違反の容疑で、東京地方検察庁に書類送検した。 

 

〈事件の概要〉

 金属加工会社は、町田市においてマグネシウム合金製のノート型パーソナルコンピューター筐体の製造及び加工等を行っていたが、平成26年5月13日、同社工場において、労働者に電気機械器具を使用させるに当たり、マグネシウム粉に対して防爆構造電気機械器具であるものを使用させなければならないにも関わらず、これを使用させず、発火性の物による危険を防止するために必要な措置を講じなかったもの。
 その結果、平成26年5月13日にマグネシウム合金粉じんに着火したことが原因で工場火災を発生させ、大量のマグネシウム合金粉じんが短時間で爆発燃焼したことにより、取締役工場長が死亡、男女6名がやけど等で負傷する重大な労働災害が発生した。

 

   

 

◇平成27年7月送検事例 

事例 1 

大手靴小売会社を違法な長時間労働で書類送検

 

 東京労働局過重労働撲滅特別対策班〈通称「かとく」〉は,大手靴小売会社並びに同社の取締役及び店舗責任者2名を,労働基準法違反の容疑で,平成27年7月2日,東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 渋谷区に本社を置き,全国各地で靴販売を中心とした小売店を多店舗展開する会社が運営する,都内の2店舗について,

 (1) A店において,従業員2名に対し,法定労働時間である1週40時間を超えた違法な時間外労働を,平成26年4月13日から5月10日までの4週間において,100時間前後行わせ,また,

 (2) B店において,従業員2名に対し,平成26年4月11日から5月10日までの間に,労働基準法第36条に基づく時間外労働に関する協定で定める限度時間を超えて,100時間前後の時間外労働を行わせていた

ものである。 

 

 

事例 2

移動式足場からの転落災害で事業者を書類送検


 八王子労働基準監督署は,平成27年7月14日,東京都稲城市内の工事現場において発生した労働災害について,当該工事を施工した建設会社並びに資材手配担当者及び職長を労働安全衛生法違反の容疑で,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。
 

 

〈事件の概要〉
 平成27年2月13日,稲城市内の工事現場において,男性作業員(49歳)が移動式足場(以下,「ローリングタワー」という。)の高さ約2.3メートルの作業床上において建屋の雨樋取付工事を行っていたところ,ローリングタワーが不意に動いたため,手すりを乗り越えて地面に墜落し,脊髄損傷及び両膝蓋骨骨折の重傷を負う災害が発生した。

 捜査の結果,当該ローリングタワーに設けられた作業床を使用して作業を行わせるに当たり,高さ85センチメートル以上の位置に手すりを設けなければならないのに,手すりの高さが不適正(82センチメートル)なまま同足場を使用させていたことが判明した。


 

◇平成27年6月の送検事例 

事例 1 

スレート等踏み抜きによる墜落事故につき個人事業主を書類送検

 -安全措置を講じないまま作業させる-

 

 池袋労働基準監督署は,平成27年6月5日,土木工事業を営む個人事業主を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 平成26年8月23日,東京都板橋区内の倉庫解体工事において,被疑者が使用していた労働者(当時43歳)が,屋根の明り取り用の合成樹脂製屋根板を踏み抜き,4.3メートル下のコンクリート床に墜落し重傷を負った事故の際,歩み板を設ける等踏み抜きによる危険を防止する措置を被疑者が行っていなかったもの。

 


◇平成27年5月の送検事例

事例 1 

労災かくしを行った住宅基礎工事業者を書類送検

 

 品川労働基準監督署は、平成27年5月15日、建設業者及び同社代表取締役を、労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 平成26年4月7日、東京都目黒区内の集合住宅新築工事現場で、男性作業員(当時 47歳)が、建物の基礎工事作業中に、高さ1.2メートルの箇所から墜落し、休業62日を要する腰椎横突起骨折を負う労働災害が発生した。

 同作業員を雇用する被疑会社の代表取締役は、同現場を管轄する品川労働基準監督署長に対し、遅滞なく、当該労働災害の報告書(労働者死傷病報告書)を提出しなければならなかったが、これを行わなかったもの(いわゆる「労災かくし」)。

 同作業員が、市役所に生活保護を受けるための相談に行ったところ、相談に対応した市職員がこの労働災害について労災保険による取扱いがされていないことに気付いたことから、これを発端として本件労災かくしが発覚した。 

 

 

事例 2

労働安全衛生法違反容疑で塗装工事業者を書類送検

-マンション修繕工事で労災かくし-


 品川労働基準監督署は、平成27年5月27日,塗装工事業者及び同社代表取締役を、労働安全衛生法違反容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉
 平成26年9月13日、東京都品川区内の集合住宅大規模修繕工事現場で、塗装会社の作業員(当時64歳)が、塗装工事に伴う養生シートの撤去作業のため外部足場からバルコニーに移動中、誤って転落し、左膝内側半月板損傷等を負う休業2か月を要する労働災害が発生した。
 同作業員を雇用する被疑会社の代表取締役は、同現場を管轄する品川労働基準監督署長に対し、遅滞なく、労働者死傷病報告書を提出しなければならなかったが、これを行わなかったもの(いわゆる「労災かくし」)。


 

事例 3

大手居酒屋チェーンの経営会社を違法な長時間労働で書類送検

-労使協定で定める限度時間を超える長時間労働を行わせた容疑-

 

 東京労働局は,平成27年5月27日,大手居酒屋チェーンの経営会社を,労働基準法違反容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 居酒屋チェーン経営会社は,同社が運営する千代田区内及び小平市内の2店舗において,従業員2名に対し,法定労働時間である1日8時間又は1週40時間を超えた時間外労働を,平成25年10月1日から同月末日までの間に,労働基準法第36条に基づく時間外労働に関する協定で定める限度時間を超える違法な時間外労働を行わせていたものである。
 それぞれ,月90時間前後の時間外労働を行わせていたもの。


 

 

◇平成27年4月の送検事例

 

事例 1

労災かくしを行った建設業者を書類送検

 

 江戸川労働基準監督署は,平成27年4月28日,建設業者及び同社代表取締役を労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。  

 

〈事件の概要〉

 被疑会社は,コンクリート型枠組立工事業を請け負う専門工事業者であるが,同社所属の建設作業員が,東京都江戸川区内の建築工事現場でコンクリート型枠の組み立て中,使用していた釘打機のロール釘の連結ワイヤーの破片が右目に突き刺さったことにより右目眼球破裂の怪我を負い,12日間休業した災害について,同社代表取締役は,江戸川労働基準監督署に労働者死傷病報告書を遅滞なく提出しなければならないのに,これを行わなかったもの。

 

 

事例 2

最低賃金不払い及び虚偽報告で書類送検

-婦人服小売業者,監督署に虚偽の報告-


 青梅労働基準監督署は,平成27年4月30日,婦人服小売業者を最低賃金法違反及び労働基準法違反の疑いで東京地方検察庁立川支部に書類送検した。

 

〈事件の概要〉
 被疑会社は,東京都羽村市内で,婦人服等の販売業を営む事業主,被疑者は同会社の代表取締役であるが,労働者Aに対し,平成25年3月18日から平成26年6月30日までの賃金をその所定支払日に,東京都最低賃金(平成25年3月18日から平成25年10月18日までは1時間あたり850円,平成25年10月19日から平成26年6月30日までは1時間あたり869円)以上の賃金を支払わなかったもの。
 また,同会社は,平成26年1月21日,労働基準監督官が賃金台帳の提出を求めたことに対し,虚偽の記載をした賃金台帳を提出し,最低賃金法違反の事実を隠蔽したもの。

  

 

事例 3

外装工事中の墜落死亡災害で元請の建設工事会社を書類送検

-下請の個人事業主も被疑者死亡で送検- 

 

 新宿労働基準監督署は,平成27年4月30日,建築工事業者を労働安全衛生法違反容疑で,東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 平成26年4月15日,東京都新宿区内の集合住宅建築工事現場で,外装工事を請け負った個人事業主が,3階床の開口部から1階の土間まで6.15メートル墜落し,死亡するという災害が発生した。
 捜査の結果,元請の工事現場責任者及び死亡した個人事業主は,労働者が墜落するおそれのある3階床の開口部に,法で定められた墜落防止措置を講じていなかったことが判明したもの。

 

 

ビル改修工事現場の作業構台に墜落防止措置を
講じない業者を労働安全衛生法違反で書類送検

 

 上野労働基準監督署は,平成28年3月16日,エクステリア工事業を営む会社及びその代表者並びに同社に工事を発注した個人事業者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

 

〈事件の概要〉

 平成26年10月10日,東京都台東区内のビル改修工事現場付近の歩道上で,改修中のビルの屋上から歩道上に落下したコンクリート製ブロックの破片が通行人の足に当たり,同人が足を骨折する事故が発生した。
 当該事故を契機に同工事現場を調査したところ,改修中のビルの屋上界に組み立てた高さ11.6メートルの作業構台の作業床の端で,労働者に巻き上げ機を用いて建築資材の吊り上げ作業を行わせるに際し,墜落による危険を防止するための手すり等を設けていなかったが判明したもの。

石綿作業主任者を選任することなく石綿を含有する

スレート屋根の解体工事を行わせた事業者を
労働安全衛生法違反で書類送検

 

 足立労働基準監督署は,平成28年3月14日,建築物解体業を営む会社及びその代表者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

 

〈事件の概要〉

 平成27年8月7日,東京都足立区内の解体工事現場において,男性作業員(被災当時70歳)にスレート屋根の解体作業を行わせていたが,この作業は0.1パーセントを超える重量の石綿が含まれるスレート波板を取り扱う作業であったので,石綿作業主任者を選任し,その者に作業式等を行わせなければならないのに,選任しないまま作業を行わせていたもの。

急傾斜地での草刈作業現場で死亡災害を発生させた

事業者を労働安全衛生法違反で書類送検

 

 中央労働基準監督署は,平成28年3月7日,草刈業務等委託事業を請け負う個人事業者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

 

〈事件の概要〉

 平成27年2月3日,東京都三宅島三宅村内の急傾斜地での草刈作業現場において,労働者にコンクリート製の崩落防止用枠の上部部分を作業床として使用させるに当たり,安全帯を使用させる等の墜落防止措置を講じることなく作業を行わせたもの。

道路復旧工事現場で死亡災害を発生させた元請業者を
労働安全衛生法違反で書類送検

 

 渋谷労働基準監督署は,平成28年3月16日,電気工事業を営む会社及び現場責任者を,労働安全衛生法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検した。

 

〈事件の概要〉

 平成26年11月18日,東京都世田谷区内の道路復旧工事現場において,交通誘導に当たっていた下請業者の労働者に,他の下請業者が運転するローラーが接触し死亡した。
 現場責任者は,関係下請業者が行う作業を統括管理していた者であり,下請業者の労働者が機体重量3トン以上の車両系建設機械であるローラーを使用する際,あらかじめ下請業者に対して,作業場所に適応する作業計画を定めるよう指導を行わなければならなかったのにその指導を行わず,また,ローラーの運行経路に係る連絡及び調整を行わなければならないのに,その連絡及び調整を行わなかったもの。

 

この記事に関するお問い合わせ先

労働基準部 監督課 TEL : 03-3512-1612

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