平成26年度
◇平成27年3月の送検事例
事例 1
居酒屋経営者を逮捕・送検 新宿労働基準監督署は,平成27年3月2日,居酒屋経営者を最低賃金法違反の疑いで逮捕し,平成27年3月3日,東京地方検察庁に同経営者を身柄と共に送検し,当該居酒屋を経営する法人も書類送検した。 〈事件の概要〉 被疑会社は,東京都杉並区内で,不動産の賃貸業及び居酒屋3店舗を営む事業主,被疑者は同会社の代表取締役として,その事業全般を統括して管理する者であるが,被疑者は,被疑会社の業務に関し,法定の除外事由が無いのに,労働者Aの平成25年6月分賃金108,406円の全額をその所定支払期日である平成25年6月30日に支払わず,もって法で定める東京都最低賃金(当時の時間額850円)以上の賃金を支払わなかったもの。 <参考事項> 平成23年1月1日から平成25年8月16日までの間,被疑会社の元労働者から,勤務した最後の月の給料が支払われない旨の賃金不払に関する申告が4件あった。 当署ではこの申告を受け,被疑者に対して,不払賃金を支払うよう行政指導を行ったが,被疑者はその行政指導に従わなかった。 被疑者は,当署による再三の出頭要求に応じず,罪証隠滅のおそれもあったことなどから,逮捕のうえ,送検したものである。 |
事例 2
ドラグ・ショベルの用途外使用で死亡災害を起こした建設工事業者を書類送検
〈事件の概要〉 捜査の結果,工事部主任は,ドラグ・ショベルで荷のつり上げをしてはならないことが法令で定められていることを知りながら,そのバケットにワイヤロープを固定せずにかけた状態で鉄板のつり上げ作業を行っていたことが判明した。
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事例 3
屋根張替作業中の墜落死亡災害で屋根工事会社を書類送検 立川労働基準監督署は,労働安全衛生法違反容疑で,建築板金工事業者を平成27年3月18日,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。 〈事件の概要〉 平成26年10月28日,小平市内で行われた民間発注の屋根張替工事において,屋根上で屋根張り替えの作業に従事していた労働者(男性・64歳)が,木毛板(もくもうばん)を踏み抜き,高さ約12メートルを墜落して死亡する災害が発生した。屋根は薄い金属板でふかれていたが,張り替えのため,下地材である木毛板が露出しており,被災者はその箇所を踏み抜いた。 労働安全衛生法では,事業者に対し,木毛板によりふかれた屋根の上で作業を行わせるにあたり,踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれがある場合には,同屋根に幅30センチメートル以上の歩み板を設け,防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じることを義務づけているが,当該作業においては,これらの措置を講じず,もって労働者が墜落するおそれがある場所にかかる危険を防止するため必要な措置が講じられていなかったものである。 |
事例 4
最低賃金法違反容疑で書類送検 ~賃金不払で貨物運送会社を送致~
〈事件の概要〉 元労働者から当署に対し賃金不払いに対する行政指導を求める申告がなされ,当署から文書による行政指導を行ったが是正しなかったため,捜索・差押を実施して証拠資料を保全収集するなどして最低賃金不払で書類送検したものである。
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事例 5
パートタイム労働者に違法な長時間労働を行わせたパン製造販売業者を書類送検 亀戸労働基準監督署は,平成27年3月26日,労働基準法違反容疑で,パン製造販売業を営む会社の元東京工場エリアマネージャー(工場長)及び元工場サンドイッチ部門チームリーダー(部門長)を東京地方検察庁に書類送検した。 〈事件の概要〉 東京工場サンドイッチ部門に所属するパートタイム労働者3名(時給900円~950円,1日の所定労働時間6時間)に対し,平成25年12月1日から同月31日までの間,最長で月139時間に達する時間外労働を行わせ,もって労働基準法第36条で定める時間外労働協定の延長時間の限度を超える違法な時間外労働を行わせていたもの。 また,同期間,本来支払うべき時間外労働に対する割増賃金のうち3割程度(1月当たり最大で約11万円の時間外手当の不払が発生)の支払しかしていなかったもの。 〈過重労働撲滅に向けて〉 厚生労働省では,長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害防止対策の強化を喫緊の課題として,平成26年9月に厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減対策推進本部」が設置され,省をあげて取り組んでいるところであり,当署でも,過重労働等の撲滅に向けた対策推進のため,著しい過重労働により労働基準法違反が認められるなど重大又は悪質な事案に対しては司法処分を含め厳正な対応を強化することとしている。 |
事例 6
労災かくしで書類送検 ~元請負人の責任者,関係請負人の代表取締役らを共犯で~
〈事件の概要〉 |
事例 7
労災かくし(虚偽報告)を行った建設業者を書類送検
大田労働基準監督署は,建設業者及び同社代表取締役を,労働安全衛生法違反の容疑で,平成27年3月27日,東京地方検察庁に書類送検した。 〈事件の概要〉 |
事例 8
タイヤリサイクル会社における死亡事故 ~法人と代表者を書類送検~
〈事件の概要〉 |
事例 9
割増賃金不払いで書類送検 大田労働基準監督署は,リネンサプライ業者及び同社代表取締役専務を労働基準法違反の容疑で,平成27年3月31日,東京地方検察庁に書類送検した。 〈事件の概要〉 |
◇平成27年2月の送検事例
事例 1
同一解体工事現場における2件の労災かくしにつき下請業者を書類送検 中央労働基準監督署は,同一解体工事現場で発生した下記2件の労災かくし被疑事件について,労働安全衛生法違反の容疑で,平成27年2月12日,東京地方検察庁に書類送検した。 〈事件の概要〉 ・事案1 同作業員を雇用する一次下請業者は,現場所在地を所轄する中央労働基準監督署長に当該労働災害の報告書(労働者死傷病報告書)を遅滞なく提出しなければならなかったが,これを行わなかったこと(いわゆる「労災かくし」)が判明した。 ・事案2 平成24年11月10日,東京都千代田区内の解体工事現場において,現場の二次下請業者と雇用関係にある作業員1名が,前記一次下請業者から請け負った建物階段部分の清掃作業で階段を移動中,着地時に足を捻り,左足の靭帯損傷を負うという労働災害が発生した。 二次下請業者は,現場所在地を所轄する中央労働基準監督署長に当該労働災害の報告書(労働者死傷病報告書)を遅滞なく提出しなければならなかったが,二次下請業者取締役社長は,一次下請業者の代表取締役と共謀のうえ,これを行わなかったこと(いわゆる「労災かくし」)が判明した。 |
事例 2
足場の解体作業中の墜落死亡災害で書類送検
〈事件の概要〉 捜査の結果、つり足場の上での使用を禁じているはしごを用いて作業させたことが判明したことから、書類送検したものである。 |
◇平成26年11月の送検事例
事例 1
年少労働者の死亡災害で事業者を書類送検 ~建設工事現場での重機災害~
〈事件の概要〉 〈建設現場での災害発生状況と東京労働局の対応〉 東京労働局管内において平成25年中に発生した労働災害の状況を見ると,同年中に発生した死亡災害54件の半数にあたる27件が建設業で発生しており,休業4日以上の労働災害の場合でも全業種9,639件の約15.2%に相当する1,472件が建設業で発生していることから,依然,建設業における死亡災害及び休業4日以上の災害が高水準にある。 |
事例 2
住宅の屋根葺替え工事中の墜落重傷災害でリフォーム会社等を書類送検 立川労働基準監督署は,労働安全衛生法違反容疑で,住宅リフォーム工事会社,同社代表取締役及び下請の屋根工事業者を,平成26年11月18日,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。 〈事件の概要〉 労働安全衛生法では,元請及び下請の事業者に対し,高さが2メートル以上の作業床の端で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には,墜落防止のための手すり等を設けることを義務付けているが,当現場においては,建物の周りに足場を組み立てることにより1階の屋根の周りに手すりを設けることが可能であったのに,手すり等を設けていなかったものである。 〈賃金不払への対応〉 立川労働基準監督署管内における平成25年1月から10月までのリフォーム工事・改修工事の休業4日以上の災害は21件発生しており,うち「転落・墜落」による災害は6件であった。また,平成26年同期に発生した災害22件のうち「墜落・転落」によるものは13件と倍増しており,このうち2件が死亡事故となっている。 今後,立川労働基準監督署は,労働災害防止への取組を強化していく予定である。 |
事例 3
医系予備校会社及びその代表者を最低賃金法違反で書類送検
〈事件の概要〉 〈管内の賃金不払の申告事件等〉 渋谷労働基準監督署管内では,賃金不払に関する申告事件が,平成24年に633件,平成25年に558件発生しており,悪質なものは司法事件として捜査するなど,厳正に対応している。 |
事例 4
違法な時間外労働で警備業者を書類送検
〈事件の概要〉 しかし、被疑会社は、平成25年4月16日から同年10月15日までの6か月間に延長時間が1か月45時間を超えたことにより、同年10月16日以降は延長時間を1か月45時間までとしなければならないにもかかわらず、同年10月16日から11月15日までの1か月につき延長時間が45時間を超えていたことが判明した。 中央労働基準監督署は、被疑会社に対する4回にわたる臨検監督において、36協定未締結、36協定で定める延長時間の限度を超える時間外労働等の事態を把握し、その都度、是正を求めていたが、法違反が繰り返されたため、労働基準法違反として捜査に着手したものである。 〈参考〉 法定労働時間を超える時間外労働を行わせる場合には、労働基準法第36条において、時間外労働に関する協定(36協定)を締結し、労働基準監督署長に届け出ることを要件している。 労働基準法第36条は、時間外労働・休日労働を無制限に認める趣旨ではなく、延長時間の限度は原則として「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(限度基準)」に基づき、本件においては、1か月45時間を超えないものとしなければならない。 しかし、この限度基準を超えて時間外労働を行わせざるを得ない特別の事情がある場合には、全体として1年の半分を超えない範囲(1か月の場合は6回(6か月)以内)で、一定の手続きを経て、上記限度基準を超えて協定した時間(本件においては、1か月につき80時間)まで労働時間を延長することができることになっている。 |
◇平成26年10月の送検事例
事例 1
解体工事現場の元請と下請を労働安全衛生法違反容疑で書類送検 -墜落防止措置を怠り作業員が墜落死-
〈事件の概要〉 労働安全衛生法では,高さが2メートル以上の作業床の端,開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には,囲い,手すり,覆い等を設けることを義務づけているが,捜査の結果,被疑者らは,労働者の危険を防止するために法令上必要な墜落防止措置を講じていなかったことが判明した。 〈東京都内(建設業)の災害発生状況〉 |
事例 2
土木工事現場で労災かくし -建設業者と代表者を書類送検- 青梅労働基準監督署は、建設会社及び同社の代表取締役社長を、労働安全衛生法違反の容疑で、平成26年10月20日、東京地方検察庁立川支部に書類送検した。 〈事件の概要〉 同社は当該災害について、管轄である青梅労働基準監督署長に遅滞なく労働者死傷病報告書を提出しなければならないのに、これをせず、災害発生からおよそ5か月が経過した平成25年10月8日になって同報告書を提出したものである。 〈労災かくしへの対応〉 本件は、労働災害の発生を隠蔽するため、労働者死傷病報告を遅滞なく所轄労働基準監督署長に提出しなかったいわゆる「労災かくし」事案である。 「労災かくし」が行われることは、災害原因究明、同種災害の防止対策の確立等、労働者の安全を確保する機会を失わせるほか、被災労働者が適正に労災補償を受ける権利を侵害することに繋がるものである。 労働基準行政においては「労災かくし」の排除を推進しており、あらゆる機会を通じて事業者に労働者死傷病報告の提出を周知・啓発しているもので、当署では今後も引き続き、当該違反行為に対しては厳正な対応を行っていく方針である。 |
◇平成26年9月の送検事例
事例 1
託児所経営者を最低賃金法違反の疑いで逮捕・送検
八王子労働基準監督署町田支署長は、平成26年9月10日、託児所経営者を最低賃金法違反の疑いで逮捕し、平成26年9月11日、東京地方検察庁立川支部に同経営者を身柄とともに送検し、当該託児所を経営する法人も書類送検した。 〈事件の概要〉 〈参考事項〉 被疑会社は、平成23年7月に託児所の運営を開始するまでは、清掃業を営んでいたが、清掃業を営んでいた平成23年4月から労働者に対する賃金不払を繰り返し発生させ、平成24年10月までの間に、労働者14名(清掃業従事者6名、託児業従事者8名)が、不払賃金(合計約221万6千円)の行政指導による救済を求め八王子労働基準監督署町田支署に申告に及んだ。 |
◇平成26年7月の送検事例
事例 1
墜落災害を発生させた建築現場の下請負業者を書類送検
〈事件の概要〉 〈墜落災害について〉 平成25年に東京労働局管内で発生した休業4日以上の労働災害は9639件、死亡災害は54件であり、そのうち建設業では休業4日以上の労働災害は1472件(約15%)、死亡災害は26件(48%)となっている。 |
事例 2
賃金不払を繰り返した事業者を書類送検
〈事件の概要〉 〈賃金不払への対応〉 平成25年2月以降、複数の労働者から当署に対し、「賃金が不払となっている」との申告がなされたことから、当署においてその都度事実関係を確認の上、被疑会社に対し法違反を是正するよう文書での勧告等の行政指導を繰り返し行ってきたが、いずれも是正されることがなかったため書類送検に踏み切ったものである。 |
◇平成26年6月の送検事例
事例 1
土木工事現場で労災かくし
〈事件の概要〉 〈労災かくしへの対応〉 本件は、労働災害の発生を隠蔽するため、労働者死傷病報告を遅滞なく所轄労働基準監督署長に提出しなかったいわゆる「労災かくし」事案である。 |
事例 2
賃金不払残業を行わせたスーパーマーケット経営会社を書類送検
〈事件の概要〉 〈捜査の端緒〉 同社に対しては、平成24年8月、平成25年6月に割増賃金の不払について是正するよう監督指導を行ってきたが、同社はその指導にもかかわらず違反行為を続けてきたものであることから捜査に着手したものである。 〈賃金不払残業への対応〉 労働基準監督署では、事業者に対して適正な労働時間管理の徹底を図り、賃金不払残業を起こさせないことを重点とした監督指導を実施しています。 |
◇平成26年5月の送検事例
事例 1
スレート踏み抜きによる墜落死亡事故につき一次下請工事業者を書類送検
〈事件の概要〉 |
事例 2
建設工事現場で落下した吊り荷による死亡災害について工事業者を書類送検
<建設現場での飛来・落下災害発生状況> 表1 平成21年以降の建設業における労働災害死傷者数の推移 (東京都内)
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◇平成26年4月の送検事例
事例 1
労災かくしで個人事業主を書類送検
〈事件の概要〉 平成24年6月9日、東京都杉並区内のマンションにおいて、マンション共用部分の電球交換を行っていた労働者A(男性、当時61歳)が脚立から転落し、脳挫傷等により同日死亡する労働災害が発生した。 |