快適職場をめざして


快適職場づくりの必要性


  勤労者は、生活時間の3分の1を週5~6日間、職場で過ごしています。職場は、いわば勤労者の生活の場ともいえます。その生活の場が浮遊粉じんで汚れていたり、臭気があったり、暑すぎたり、寒すぎたり、暗かったり、騒音でうるさかったり、不自然な姿勢での作業や大きな筋力を必要とする作業であったり、人間関係が良くない場合には、その人にとって不幸であるだけでなく、生産性の面からも能率の低下をきたします。
  そこで、作業環境や施設設備についての現状を的確に把握し、職場の意見、要望等を聞いて、快適職場の目標を掲げ、その実施の優先順位に基づいて計画的に着実に職場の改善を進めます。例えば、空気の清浄化をする、適切な温度・湿度の管理を行う、力仕事を少なくして作業者の心身の負担を軽減する、疲れた時に身体を横にすることのできる休憩室等を設置する等の措置をします。昼休みにスポーツをして汗を流した時にシャワーの設備があれば、気分をスッキリさせることができます。職場の快適性が高いと、職場のモラールの向上、労働災害の防止、健康障害の防止が期待できるのみならず、事業活動の活性化に対しても良い影響を及ぼします。
  人が快適と感じるかどうかは、個人差があり、作業環境の状態という物理的な面のみでは測れませんが、多くの人にとっての快適さをめざすことを基本としつつ、各個人差にも配慮する努力を行うべきです。また、快適化の第一歩は作業環境等のハード面の改善を行い、人が不快と感ずる要因を取り除くことですが、それだけでなく、労働時間、安全衛生管理の水準、職場の人間関係、働きがい、自己実現の可能性、企業の社会的な評価も、人が快適さを感じるための重要な要因です。
  最近の技術革新、サービス経済化の進展等による労働環境、作業形態の変化、中高年齢者や女性勤労者の割合の増加等の職場をめぐる環境の変化の中で、就業に伴う疲労やストレスが問題となりつつあり、さらに、物の豊かさがある程度満たされている現在においては、職場において、より「快適さ」が求められています。

快適職場指針


  このような状況を背景として、平成4年(1992年)5月に労働安全衛生法が改正され、快適職場づくりが事業者の努力義務とされました。同法第71条の3の規定により「事業者が構ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(快適職場指針)が厚生労働大臣から公表されました。
  快適職場指針は、「作業環境の管理」、作業方法の改善」、「労働者の心身の疲労の回復を図るための施設・設備の設置・整備」、「その他の施設・設備の維持管理」の4つの視点から措置を講じることが望ましいとしています。
  この快適職場指針のめざすものは、「仕事による疲労やストレスを感じることの少ない、働きやすい職場づくり」です。快適職場指針では、「快適職場づくり」を事業場の自主的な安全衛生管理活動の一環として位置付け、職場の「快適化」という目標を安全衛生委員会等で十分に検討して具体化すべきことを定めています。そのためには、計画の作成、実行、評価、改善のサイクルを回して、作業環境や作業方法に関する不快な要因を取り除くとともに、リフレッシュルームの設置等の疲労の回復を図るための施設等の充実を図ることによって「職場の快適さ」を高めることが必要です。
 この場合、快適職場づくり推進体制の整備、安全衛生委員会の活動等による勤労者の意見の反映、より快適な職場づくりのための職場環境の見直し等を継続的,計画的に取り組むことが重要であるとしています。当然のことですが、職場が安全衛生関係法令等に違反しているような不安全な状態では、他のことがいかに快適になっていても、快適職場とはいえません。

法定の安全衛生水準と職場の快適化との関係

 

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