事業主の方からのよくあるご質問

Q1.女性のみを対象とした就職セミナーを通じて、労働者の募集・採用を行う予定だが、何か問題はあるのか?

A.女性のみを対象とした就職セミナーにおいて、企業が労働者を募集・採用する目的で、求人内容や会社概要等の説明を行うことは、職場に事実上生じている男女間の格差(一定の区分、職務、役職において女性が4割を下回る状況)を是正する取組み(ポジティブ・アクション)である場合には法違反となりませんが、ポジティブ・アクションに該当しない場合には法違反となります。(男女雇用機会均等法第8条、14条)

 

Q2.女性社員から妊娠したとの報告があった。

 (母体になにかあったら大変だし、責任もとれない。産休中の代替要員も新たに雇わなければならなくなり、会社として新たな負担になる。女性社員に退職してもらってもいいか?)

A.妊娠したことを理由として解雇や解雇にあたると考えられるような退職勧奨をすることは均等法に違反します。また、事業主からこのような対応を受けた女性は、働きながら子供をもつことを躊躇するかもしれません。法律を守ることはもとより、社員が安心して子供を産み育てられる環境づくりについて配慮をすることが望ましいです。(男女雇用機会均等法第9条)

 

    Q3.妊娠している女性社員から、妊娠による体調不良のため休業したいとの申し出があった。どのように対応したらよいのか?

A.男女雇用機会均等法では、妊娠した女性労働者が健康診査等を受け医師等から何らかの指導を受けた場合は、その指導事項を守ることができるようにするために措置を講ずることが事業主は義務づけられています。例えば医師から一定期間休業が必要と指導があった際には、業務の繁閑に関わらず、医師から指導された期間、休業させなければなりません。(男女雇用機会均等法第12条、13条)

その他、労働基準法では、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が請求した場合においては、就業させてはならないという規定があります。その間であれば、産前休業の取得を認めなければなりません。

 

Q4.ポジティブ・アクションに取り組みたいが、何か援助はないだろうか?

A.厚生労働省ではポジティブ・アクションの具体的な取り組みを援助するために、個々の会社が実情に応じた目標を立てる際に活用できるよう、同業他社と比較してその会社の女性の活躍推進状況や取組内容について診断が受けられる「女性の活躍推進状況診断」事業等を実施しています。

 また、事業主がポジティブ・アクションの実施状況を開示する場合の国の援助として「女性の活躍推進宣言コーナー」や「ポジティブ・アクション応援サイト」を設け、企業における女性活躍推進の取組を情報提供しています。

 

Q5.同性間のセクハラの相談の際にも、事業所は応じないといけないのだろうか?

A.職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれます。もともと禁止されていた項目ですが、平成2671日に「セクシュアルハラスメント指針」が改正されたことにより明示されることになりました。同性に対するセクシュアルハラスメント対策を講じていない場合は、法違反となりますのでご注意ください。(男女雇用機会均等第11条)

 

Q6.採用の条件に全国転勤要件をいれて、募集・採用している。現在県外に支店はないが、将来県外に展開する可能性がある。法律上問題はないのだろうか?

A.労働者の募集・採用若しくは昇進、職種の変更に当たって、合理的な理由のない転居を伴う転勤を要件とすることは間接差別として禁止されています。

当該措置の実施が業務の遂行上必要であり、事業の運営の状況に照らして、雇用管理上特に必要である場合等、合理的な理由がなければ、間接差別として違法となります。

広域に展開する支店・支社等がなく、かつ、支店・支社などを広域に展開する計画がない場合は合理的な理由があるとはいえません。また、展開する計画があったとしても、ある程度の具体性があることが必要であり、不確実な将来の予測であれば間接差別となる可能性があります。(男女雇用機会均等法第7条)

 

労働者の方からのよくあるご質問

Q7.採用面接で子供が産まれたらどうするのかと聞かれた。これは性別による差別ではないか?

A.女性に対し、男性には聞かない質問をするなど、男女で異なる採用選考をすることは均等法に違反します。また、「女性には大変な仕事なので採用は難しい」「女性の採用は終わりました」などの発言があった場合も均等法に違反する募集・採用が行われている可能性があります。(男女雇用機会均等法5条)

 

Q8.事務職の募集に応募したところ、前任者が女性だったことから女性の採用を考えていると言われた。均等法違反では?

A.男女を募集の対象としているにも関わらず、採用の対象を一方の性に限ることは均等法に違反します。性別にかかわりなく均等な機会を与える必要があります。(男女雇用機会均等法第5条)

 

Q9.勤続年数が短い自分よりも先に入社したばかりの男性が昇進したのは男女差別的な取り扱いではないかとショックを受けている。性別によらない公平な人事評価をしてもらえないのか?

A.一定の役職への昇進に当たって、その対象から男女のいずれかを排除することや昇進に当たっての条件を男女で異なるものとすることは、均等法では差別的取り扱いとして禁止されています。(男女雇用機会均等法第6条)

 

Q10.社長から体を触れられるというセクハラを受け、ショックで退職した。

(セクハラを受けなければ、ずっと仕事を続けていられた。新しい仕事が見つかるまでの金銭補償をしてもらえないのか?)

A.雇用均等室では、労働者と事業主との間で、セクシュアルハラスメントなど男女雇用機会均等法に関する民事上のトラブルが生じた場合には解決に向けた援助を行っています。当事者双方が援助の内容に沿った解決策を実行することにより、問題が解決する制度です。労使双方が金銭的解決策を受諾すれば金銭補償も可能です。ただし、労使双方ともにお互いの歩み寄りが見られない場合は、打ち切りとなるケースもあります。(男女雇用機会均等法第17条、18条)

(詳細についてはこちら↓) 

 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/woman/index.html

Q11.パートとして勤務。職場の男性正社員から、性的な内容を含んだメールが送られてくるようになり、上司に相談したところ、何の対応もしてもらえなかった。個人の問題ではなく職場の問題として対応してもらえないのだろうか?

A.男女雇用機会均等法では、職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために雇用管理上必要な措置を講じることを事業主に義務付けています。事業主が講ずべき措置としては、セクシャルハラスメントの相談窓口をあらかじめ定めること、事案が生じた場合には迅速かつ正確に事実を確認することなど10項目を指針に定めています。事業主はそのすべての項目について措置を講ずる必要があります。なお、職場の相談窓口に相談しても対応してもらえない場合は雇用均等室にご相談ください。

 

Q12.妊婦健診のため定期的に病院に通わなければならないが、会社に通院休暇制度はなく、上司が認めてくれない。この場合休むことはできないのか。

A.妊産婦のための定期健診については、会社に通院休暇制度がなくても、休むことができます。均等法では、妊産婦が保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保するように事業主に義務付けています。(男女雇用機会均等法第12条、13条)

 

Q13.派遣労働者として勤務。妊娠に伴う体調不良のため、医師の指示に従い1ヶ月休業したい旨派遣先事業主に申し出たところ、退職するように強要された。法的に問題ではないか?

A.労働者派遣が行われる場合、派遣元だけではなく派遣先もまた、男女雇用機会均等法に定められた妊娠中及び出産後の母性健康管理に関する措置の義務や妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止についての規定が適用されます。従って、医師から指導を受けた際にはその指導事項を守ることができるようにするための措置を講ずることが事業主に求められます。(労働者派遣法第47条の2)