■ 最低賃金制度
■ 最低賃金制度とは
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされている制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労使合意の上で定めても、それは法律により無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものと見なされます。(厚生労働省HP 最低賃金に関する特設サイトはこちら)
■ 最低賃金が適用されるのは
最低賃金は、原則として事業場で働く常用・臨時・パート・アルバイトなど雇用形態や呼称の如何を問わずすべての労働者とその使用者に適用されます。
しかし、一般の労働者と労働能力などが異なるため最低賃金を一律に適用すると、かえって雇用機会を狭める可能性のある労働者(下記1~5)については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
1 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方
2 試用期間中の方
3 認定職業訓練(事業主等の行う職業訓練の申請を受けて、都道府県知事が認定を行った訓練)を受けている方
4 軽易な業務に従事する方
5 断続的労働に従事する方
最低賃金の減額の特例許可を受けようとする場合には、使用者は事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に最低賃金の減額の特例許可申請書を提出してください。 (最低賃金の減額の特例許可申請書様式)
■ 最低賃金の対象となる賃金は
最低賃金の対象となる賃金は、通常の労働時間、労働日に対応する賃金に限られます。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象になります。
1 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
2 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
3 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(所定外割増賃金など)
4 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
5 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
6 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
■ 最低賃金額以上になっているかどうかの確認は
実際の賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を次の方法で比較します。
(1)時間給の場合
時間給≧地域別又は産業別最低賃金額(時間額)
(2)日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧地域別又は産業別最低賃金(時間額)
(3)上記(1)、(2)以外(週給・月給等)の場合
賃金額を時間当たりの金額に換算し、地域別又は産業別最低賃金(時間額)と比較します。
(換算方法は次の計算例を参照)
■ 月給制の場合の換算方法の例
月給を時間額に換算するには、月給を月平均労働時間数で割って、時間単価を計算します。
なお、この月給には皆勤手当、通勤手当、家族手当、臨時に支払われる手当、時間外(休日、深夜)手当は含めません。(上の「最低賃金の対象となる賃金は」を参考にして下さい。)
ここでいう月給には月単位で支払われる賃金のことで、基本給のほかに職務手当などを含んだ金額になります。
● 月給の時間額換算には、「月平均労働時間数」を求める必要があります。
1日の所定労働時間数、年間所定労働日数を調べて計算します。
例えば、下の労働条件の場合、
・1日の所定労働時間数 8時間
・年間所定労働日 255日
月平均労働時間数は、
・8時間×255日÷12ヶ月=170.00時間/月平均
となります。
月給を月平均労働時間数で割ると、時間単価が分かります。
■ 例1(月給のみ)徳島県内で働く労働者Aさんが
月給135,000円で上の労働条件と同じとすると、
135,000円(月給額) ÷ 170.0時間(月平均労働時間数) = 794.117…円
これを徳島県最低賃金(時間額796円)と比較すると、
794,117…円 < 796円
となるので、最低賃金法に違反します。
■ 例2 (時間給+月の手当)徳島県内で働くBさんが、
時間給770円に月の手当として5,000円が支払われていた場合
(労働条件は例1と同じで、月の手当は「最低賃金の対象となる賃金」とします。)
770円 + {5,000円(月の手当) ÷ 170.0時間(月平均労働時間数)} = 799.411…円
これを徳島県最低賃金(時間額796円)と比較すると、
799.411…円 > 796円
となるので、最低賃金以上の賃金となっています。
(ただし、月の手当には「精皆勤手当」「通勤手当」「家族手当」、時間外などの手当、臨時の手当を除きます。)
この記事に関するお問い合わせ先
労働基準部 賃金室 TEL : 088-652-9165